(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5917047
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】空気清浄機
(51)【国際特許分類】
F24F 7/00 20060101AFI20160422BHJP
【FI】
F24F7/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-179725(P2011-179725)
(22)【出願日】2011年8月19日
(65)【公開番号】特開2013-40750(P2013-40750A)
(43)【公開日】2013年2月28日
【審査請求日】2014年8月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】511203558
【氏名又は名称】深川市創天坤電子有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082740
【弁理士】
【氏名又は名称】田辺 恵基
(72)【発明者】
【氏名】古賀 宣行
【審査官】
小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−071742(JP,A)
【文献】
特開平01−254225(JP,A)
【文献】
特開2000−342921(JP,A)
【文献】
特開平03−267108(JP,A)
【文献】
米国特許第04611531(US,A)
【文献】
特開2001−301451(JP,A)
【文献】
特開平04−131115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直方向に延長する支持基板上に水平方向に出力軸を有するモータによって垂直面内を回転することにより処理対象である室内の空気を前面方向から吸い込んで上方向に向って流れる吹き出し空気流を生成する送風羽根を有するファンを形成すると共に、上記ファンを裏面方向から囲むことにより上記吹き出し空気流を方向を変えさせることなく上方向に送るようにファンケースを設けてなる処理対象空気吸込部と、
上記処理対象空気吸込部の上側位置において、連結板部材を介して、上記ファンケースを通って上記ファンから送風されて来る吹き出し空気流を上記室内に吹き出す清浄空気吹出部と
を具え、
上記清浄空気吹出部は、上記吹き出し空気流を、上記連結板部材に対して斜めに傾斜するように設けたフィルタに斜めに入射させて表側表面から上記室内の前面方向ないし上方向の開放空間に直接に吹き出させる
ことを特徴とする空気清浄機。
【請求項2】
上記フィルタは、矩形箱型を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気清浄機に関し、特に外観上コンパクトで、かつ清浄性能の大きいものを提案しようとするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、外観上コンパクトな構成の空気清浄機として、ファンの前面にフィルタを設け、ファンによってフィルタを介して吸込口から吸い込んだ室内空気を、ファンの上方に設けた吹出口から吹き出させる構成のものが提案されている(特許文献1、2及び3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−296524公報
【特許文献2】特開2007−10179公報
【特許文献3】特開2010−63524公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、この従来の空気清浄機は、基本的に、フィルタ及びファンを前後に並べる構成をもっているので、外観上の構成を前後方向に薄型化することが困難で、フィルタ及びファンの厚さを薄くすることにより、空気浄化能力を低下させる結果になっていた。
【0005】
因に、一般に空気清浄機の性能は、フィルタの体積や、ファンの大きさにより決まるので、薄型にするためには、フィルタ、ファンを薄くすることにより、それぞれの性能を犠牲にしたものしか提案されていなかった。
【0006】
本発明は以上の構成を考慮してなされたもので、外観上コンパクトな構成でかつ清浄性能の大きい空気清浄機を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明においては、垂直方向に延長する支持基板
上に水平方向に出力軸を有するモータによって垂直面内を回転する
ことにより処理対象である室内の空気を前面方向から吸い込んで上方向に向って流れる吹き出し空気流を生成する送風羽根を有するファンを形成
すると共に、ファンを裏面方向から囲むことにより吹き出し空気を方向を変えさせることなく上方向に送るようにファンケースを設けてなる処理対象空気吸込部と、処理対象空気吸込部の上側位置において、連結板部材を介して、
ファンケースを通ってファンから送風され
て来る
吹き出し空気流を
室内に吹き出す清浄空気吹出部と
を具え、清浄空気吹出部は、吹き出し空気流を、連結板部材に対して斜めに傾斜
するように設けたフィルタ
に斜めに入射させて表側表面から室内の前面方向ないし上方向の開放空間に直接に吹き出させるようにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ファン
によって前面方向から吸い込んだ室内の空気から
上方向に向って流れる吹き出し空気流を生成
し、ファンケースによってその流れ方向
を変えさせることなく斜めに
設けたフィルタに
斜めに入射させ、表側表面から室内の開放空間に直接に吹き出させるようにしたことにより、
吹き出し空気流の流れに無用なエネルギーの損失を与えることなく吹き出し空気流を室内の前面方向ないし上方向の開放空間に吹き出させることができ、その結果、フィルタの空気清浄機能を限界まで利用できることにより、ファンや、フィルタの前後方向の幅を薄くすることなく、外観上、前後方向に薄型にしたコンパクトな空気清浄機を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態による空気清浄機の全体構成を示す斜視図である。
【
図3】
図2のフィルタ保持機構部32の詳細構成を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0011】
図1において、1は全体として空気清浄機を示し、処理対象空気である室内空気を処理対象空気吸込部2において吸い込むと共に、当該処理対象空気を清浄空気吹出部3において空気清浄処理をした後、室内に吹き出させる。
【0012】
処理対象空気吸込部2は、
図2に示すように、モータ11によって垂直面内を回転する送風羽根12によって送風動作をするファン13を有する。
【0013】
モータ11は、処理対象空気吸込部2の前面位置において垂直方向に延長する長方形状の支持基板14の中央位置において、水平方向に回転出力軸を支持するように支持基板14の後面に取り付けられており、これによりファン13の送風羽根12によって形成された空気流WDが、処理対象空気吸込部2の上部において清浄空気吹出部3との境界位置に設けられた送風口15を通って清浄空気吹出部3に送風される。
【0014】
支持基板14には、ファン13を裏面方向から囲むようにファンケース16が設けられ、ファン13によって形成された空気流WDがファンケース16によって送風口15を通って清浄空気吹出部3に案内される。
【0015】
清浄空気吹出部3は、支持基板14の上端に固着されてファンケース16を閉塞するように水平方向に延長する長方形状の連結板部材21(その中央部に送風口15が穿設されている)を有し、その後端部に垂直方向に、上方に、立ち上がる後面板部材22が設けられている。
【0016】
後面板部材22及び連結板部材21の左側及び右側端面には、前後方向に延長する左及び右側面板部材23L及び23Rが連結されており、これにより連結板部材21と、後面板部材22と、左及び右側面板部材23L及び23Rによって囲まれた風路空間24が形成される(風路空間24内には制御部CONが設けられている)。
【0017】
この風路空間24は、連結板部材21を貫通する送風口15と連通しており、これによりファンケース16を通って送風された空気流WDを風路空間24に案内できるようになされている。
【0018】
この実施の形態の場合、支持基板14の送風羽根12と対向する位置において、モータ11
の前方に処理対象空気吸込部2が設けられ、これにより
ファンケース16の前面側の空気(すなわち処理対象である室内空気)をファンケース16内に吸い込むことにより、送風口15に対する空気流WDを作るようになされている。
【0019】
風路空間24の前面側には、フィルタ31(
図1においては一点鎖線で示す)を保持するフィルタ保持機構部32が形成されている。
【0020】
この実施の形態の場合、
図3に示すように、フィルタ31は全体として矩形箱型形状に形成され、フィルタ保持機構部32は当該フィルタ31の裏面において前後方向に、斜めに、延長する左及び右側縁に下方から当接する棒状の左及び右支持枠体33L及び33Rを有し、この左及び右支持枠体33L及び33Rが、後面板部材22の内面上端部位置から連結板部材21の上面前端部位置まで、所定の角度で下がって行くように設けられている。
【0021】
これによりフィルタ31を前方から左及び右支持枠体33L及び33Rに当接させるように嵌め込んだとき、フィルタ31は、連結板部材21に対して斜めに傾斜し、これにより矢印aで示すように、その前面が前上方に向くような状態で、フィルタ保持機構部32によって保持される。
【0022】
かくして、処理対象空気吸込部2から空気流WDが風路空間24に送り込まれて来たとき、当該空気流WDはフィルタ31の後側表面に分配され、その厚みを通ってフィルタ31の表側表面に抜け出て行く。
【0023】
当該表側表面に抜け出て行った空気流は、フィルタ31の厚み部分に配設されている空気清浄部材の清浄機能(集塵、脱臭、殺菌など)により、当該フィルタ31が本来もっている空気清浄性能に相当する空気清浄処理を受ける。
【0024】
この実施の形態の場合、連結板部材21の前端左及び右側縁部に、断面L字状の係止部材34L及び34Rが設けられており、これによりフィルタ31の下端部を係止することにより、フィルタ31を左及び右支持枠体33L及び33R上に安定に保持するようになされている。
【0025】
同様に、後面板部材22の上端左及び右側縁部にも、フィルタ31を安定に保持する係止部材35L及び35Rが設けられている。
【0026】
この実施の形態の場合、
図1に示すように、支持基板14の左及び右側面には、前後方向に幅広の補強板部材14Xが設けられ、これにより支持基板14による処理対象空気吸込部2の機構及び清浄空気吹出部3の機構の支持強度を大きくすることにより、全体として一段とコンパクトで強度の大きい空気清浄機1を実現している。
【0027】
補強板部材14Xには、留め金具Gが板面に沿って前方に突出するように設けられ、その係止孔を使って係止釘部材によっ
て、処理対象空気吸込部2の支持基板14をしっかりと固定できるようになされている。
【0028】
以上の構成によれば、ファン13を有する処理対象空気吸込部2の上側部に、フィルタ31を、連結板部材21に対して斜めに傾斜して、前上方に向く姿勢で保持できるようなフィルタ保持機構部32を設けるようにしたことにより、フィルタ31の体積やファン13の大きさに制限を受けることなく、空気清浄機1全体としての前後方向の厚さを、処理対象空気吸込部2、清浄空気吹出部3の前後幅程度に薄型化し得る。
【0029】
因に、フィルタ31は、斜めに配設されていることにより、その本来の体積(目的とする空気清浄性能を得るために必要な)をもっていても、ファン13を格納している処理対象空気吸込部2の前後方向の幅内に収まるような傾斜角度に選定でき、これにより、ファン13と、フィルタ31とを前後方向に並べる構成に比して、空気清浄機1全体としての外観上の前後幅を一段と薄型にコンパクトにできる。
【0030】
なお上述の実施の形態においては、処理対象空気吸込部2の前面側から吸い込んだ処理対象空気を、清浄空気吹出部3によって前面方向に吹き出すようにフィルタ31を傾斜させたが、清浄空気吹出部3のフィルタ31の傾斜方向としては、これに限らず、後面側方向や、左又は右側方向や、その中間角度方向に吹き出すようにしても良く、要は処理対象空気吸込部2から風路空間24に送風されて来る空気流WDに対して、斜めの方向に傾斜したフィルタ31によって受けるようにすれば、上述の場合と同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明はコンパクトな空気清浄機を得る場合に利用できる。
【符号の説明】
【0032】
1……空気清浄機、2……処理対象空気吸込部、3……清浄空気吹出部、11……モータ、12……送風羽根、13……ファン、14……支持基板、15……送風口、16……ファンケース
、21……連結板部材、22……後面板部材、23L及び23R……左側及び右側面板部材、24……風路空間、31……フィルタ、32……フィルタ保持機構部、33L及び33R……左及び右支持枠体、34L及び34R、35L及び35R……係止部材。