特許第5917078号(P5917078)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5917078
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】固形状組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/00 20060101AFI20160422BHJP
   A61K 47/08 20060101ALI20160422BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20160422BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20160422BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20160422BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20160422BHJP
   A23L 33/17 20160101ALI20160422BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20160422BHJP
【FI】
   A61K37/02
   A61K47/08
   A61K47/12
   A61K9/20
   A61P3/10
   A61P43/00 111
   A23L1/305
   A23L1/30 Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-226404(P2011-226404)
(22)【出願日】2011年10月14日
(65)【公開番号】特開2013-87062(P2013-87062A)
(43)【公開日】2013年5月13日
【審査請求日】2014年10月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】首藤 愛呼
(72)【発明者】
【氏名】石塚 信輝
【審査官】 平林 由利子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−173962(JP,A)
【文献】 特開2000−026286(JP,A)
【文献】 特開2001−008666(JP,A)
【文献】 日本医薬品添加剤協会 訳編,"改訂 医薬品添加物ハンドブック",株式会社薬事日報社,2007,p.558-562
【文献】 日本医薬品添加剤協会 訳編,"改訂 医薬品添加物ハンドブック",株式会社薬事日報社,2007,p.245-248
【文献】 日本医薬品添加剤協会 訳編,"改訂 医薬品添加物ハンドブック",株式会社薬事日報社,2007,p.1040-1042
【文献】 日本医薬品添加剤協会 訳編,"改訂 医薬品添加物ハンドブック",株式会社薬事日報社,2007,p.433-435
【文献】 日本医薬品添加剤協会編,"医薬品添加物事典 2007",株式会社薬事日報社,2007,p.4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K38/00−38/58
A61K47/00−47/48
A61K 9/00− 9/72
A23L 1/27− 1/308
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(C):
(A)小麦アルブミン 20〜70質量%
(B)炭酸塩 13〜20質量%
(C)クエン酸及びリンゴ酸から選ばれる有機酸
を含有し、成分(A)と成分(B)の含有質量比[(A)/(B)]が1.5〜であり、且つ成分(C)と成分(B)の当量比が0.7〜1.9である固形状組成物。
【請求項2】
(A)小麦アルブミンが、(a)0.19小麦アルブミンを10〜60質量%含有するものである請求項1記載の固形状組成物。
【請求項3】
次の成分(a)〜(C):
(a)0.19小麦アルブミン 2〜20質量%
(B)炭酸塩 13〜20質量%
(C)クエン酸及びリンゴ酸から選ばれる有機酸
を含有し、成分(a)と成分(B)の含有質量比[(a)/(B)]が0.2〜であり、且つ成分(C)と成分(B)の当量比が0.7〜1.9である固形状組成物。
【請求項4】
(C)有機酸の含有量が8〜18質量%である請求項1〜3のいずれか1項記載の固形状組成物。
【請求項5】
発泡錠である請求項1〜のいずれか1項記載の固形状組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小麦アルブミン並びに炭酸ガス発生物を含有する固形状組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食生活の変化等により、肥満やII型糖尿病(高血糖症)に代表される糖代謝異常疾患に罹患する患者が著しく増加している。
通常、食後、特に糖質を含む食事を摂取した後は、血糖値が上昇することにより膵臓のβ細胞からインスリンが分泌される。インスリンは筋肉、肝臓、脂肪組織等に作用し、細胞内への糖の取り込みを促進することで、食後の急激な血糖値上昇を抑制する。しかし、インスリン感受性の低下(インスリン抵抗性)により、食後の高血糖状態が続くと、膵臓はインスリンを多量に分泌して血糖の上昇を抑えようとする。そして、このような状態が長く続くと膵臓が疲弊し、膵β細胞からのインスリンの分泌が低下し、最終的にインスリン作用機構が正常に機能しなくなると、II型糖尿病等になることが知られている。
【0003】
インスリン抵抗性に伴う食後過血糖症状は、糖尿病でない健常人や糖尿病の境界型の方においても見られ、さらに、II型糖尿病以外にも肥満、高脂血症、動脈硬化等の原因や増悪因子となることが知られている。したがって、健康維持及びこれら諸症状・疾患の発症リスクの低下、予防の観点から、該食後過血糖症状を防止することは極めて重要である。
そこで近年、食後の急激な血糖上昇やインスリンの分泌を抑制できる物質の開発が多く行なわれている。その一つとして、アミラーゼ阻害物質があり、小麦由来のアミラーゼ阻害物質が糖尿病や肥満等の予防、治療に用いられている(非特許文献1)。
【0004】
小麦の胚乳部には約10〜15%のタンパク質が含まれ、タンパク質組成の約11%を占めるアルブミン(水可溶性タンパク質)は、α−アミラーゼ阻害活性を有し、食後血糖上昇抑制作用やインスリン抵抗性改善作用等の生理機能を有することが報告されている(非特許文献1、2)。なかでも、電気泳動の移動度が0.19の小麦アルブミンは、高いα−アミラーゼ阻害活性を有することから、多様な食品への応用が期待されている。
【0005】
小麦アルブミンの生理機能を発現させるには、前記電気泳動の移動度が0.19の小麦アルブミン(以下0.19小麦アルブミンともいう)を、一食あたり125mg以上を一度に摂取するのが有効であると考えられ(非特許文献2)、これまでに、有効量の小麦アルブミンを配合した健康食品として、スープやハードカプセルが上市されている。また、特許文献1には、0.19小麦アルブミンを配合した錠剤についての開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−173962号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】抜井一貴ら、薬理と治療、36(8)、761−765(2008)
【非特許文献2】Kodama T et al.,Euro J. Clin. Nutr. 59,384−392(2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
小麦アルブミンを無理なく長期間継続して摂取するには1回当たり少量で、手軽に摂取可能な形態である固形状組成物とすることが有利である。
しかしながら、本発明者らが検討したところ、一度少量摂取するだけで有効量を満たせるほどに高い濃度で小麦アルブミンを固形状組成物中に配合することは困難であることが判明した。すなわち、小麦アルブミンを高濃度化すると、摂食中にねとつきが生じ、口内に付着し易く、また、小麦アルブミンに由来する異味が感じられて摂食が困難であることが判明した。
【0009】
したがって、本発明の課題は、高濃度の小麦アルブミンを含みながらも口内での付着性が改善され、且つ異味が低減された食感及び風味の良好な固形状組成物を提供することにある。なお、前記特許文献1には、小麦アルブミンを含有する錠剤の食感、異味等の改善について何ら記載はない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、小麦アルブミンに炭酸塩と有機酸とを組み合わせ、炭酸ガスを発生させることにより、小麦アルブミンを高濃度に含有するにもかかわらず、口内でのねとつき・付着が抑制され、また小麦アルブミンの特有の異味が低減されて、食感及び風味の良好な固形状組成物とすることができることを見出した。
【0011】
すなわち、本発明は、次の成分(A)〜(C):
(A)小麦アルブミン、
(B)炭酸塩、
(C)有機酸、
を含有し、成分(A)と成分(B)の含有質量比[(A)/(B)]が1.5〜16.5であり、且つ成分(C)と成分(B)の当量比が0.7〜1.9である固形状組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、小麦アルブミンを高濃度に含有しながらも、摂食中の口内でのねとつき・付着が抑制され、また、小麦アルブミンに由来する特有の異味が低減された、食感及び風味の良好な固形状組成物を提供することができる。
本発明の固形状組成物は、一度少量摂取するだけで、小麦アルブミンの生理効果発現に必要な量を摂取できるので、該小麦アルブミンによる効果を長期に亘って十分に期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明で用いる(A)小麦アルブミンは、小麦の胚乳部に由来するアルブミンファミリーに属する水可溶性タンパク質である。小麦アルブミンは、高いα−アミラーゼ阻害活性を有する点から、電気泳動の移動度が0.19の小麦アルブミンを多く含有することが好ましい。なお、ここでの電気泳動の移動度とは、試料をDavisの方法(Annals of the NewYork Academy of Science,121,404−427,1964)に従って、ポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけた際の移動度をさす。
【0014】
小麦アルブミンは小麦の胚乳部から抽出により得ることができる。小麦アルブミンの小麦からの抽出法としては、例えば、特開平9−172999号公報に記載のアミラーゼ阻害物質の調製法を用いることができる。
また、小麦アルブミンNA−1(日清ファルマ株式会社)等の市販品を用いてもよい。
【0015】
本発明の固形状組成物中、(A)小麦アルブミンの含有量は、10〜70質量%(以下、単に「%」とする)、更に20〜70%、更に30〜60%、更に30〜55%、更に30〜50%であるのが、生理効果を有効に発現する点から好ましい。
(A)小麦アルブミン中の(a)0.19小麦アルブミンの含有量は、10〜60%、更に15〜40%、更に20〜35%、更に25〜31%であるのが、生理効果を有効に発現する摂取量の点から好ましい。
【0016】
本発明の固形状組成物中、(a)0.19小麦アルブミンの含有量は、2〜20%、更に5〜18%、更に10〜15%であるのが、生理効果を有効に発現する摂取量の点から好ましい。
本発明の固形状組成物中の0.19小麦アルブミン含有量は、HPLCにより測定することがきる。例えば、特開平9−172999号公報に記載の0.19アミラーゼ阻害物質の含量の測定方法を用いることができる。
【0017】
本発明で用いる(B)炭酸塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、セスキ炭酸ナトリウム等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0018】
本発明の固形状組成物中、(B)炭酸塩の含有量は、2〜20%、更に3〜19.5%、更に10〜14%であるのが風味、物性の点から好ましい。
【0019】
また、本発明で用いる(C)有機酸としては、可食性の酸を使用することができる。例えば、クエン酸、リン酸、コハク酸、アスコルビン酸、酢酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、アジピン酸等の有機酸が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、摂食時の口内でのねとつき・付着が少ない点、発生する泡の食感が良好な点から、クエン酸又はリンゴ酸が好ましく、更にクエン酸が好ましい。
【0020】
本発明の固形状組成物中、(C)有機酸の含有量は、2〜18%、更に2.5〜15%、更に3〜12%、更に8〜11%であるのが風味、物性の点から好ましい。
【0021】
本発明の固形状組成物においては、(A)小麦アルブミンと(B)炭酸塩の含有質量比[(A)/(B)]を、1.5〜16.5の範囲とする。当該範囲とすることで、摂食時の口内でのねとつき・付着性を抑制でき、また、小麦アルブミン特有の異味を低減できる。(A)小麦アルブミンと(B)炭酸塩の含有質量比[(A)/(B)]は、上記と同様の点から、更に2.5〜15.5、更に2.6〜12、更に3.5〜5が好ましい。
(a)0.19小麦アルブミンと(B)炭酸塩の含有質量比[(a)/(B)]は、摂食時の口中のねとつき・付着性を抑制でき、また、小麦アルブミン特有の異味を低減できる点から、0.2〜4.1、更に0.3〜3.8、更に0.35〜3が好ましい。
【0022】
更に、本発明の固形状組成物においては、(C)有機酸と(B)炭酸塩の当量比を、0.7〜1.9の範囲とする。当該範囲とすることで、炭酸塩由来のえぐみや有機酸の酸味が突出せず、風味のバランスが良好となる。(C)有機酸と(B)炭酸塩の当量比は、上記と同様の点から、更に0.8〜1.8、更に0.85〜1.2、更に0.9〜1.1が好ましい。
尚、本発明において、前記「当量比」とは、固形状組成物に含まれる(C)有機酸の当量を(B)炭酸塩の当量で除した値である。
【0023】
本発明の固形状組成物には、上記成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲において、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、クロム、セレン、マンガン、モリブデン、銅、ヨウ素、リン、カリウム、ナトリウム等のミネラル、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンE、葉酸及びそれらの塩、又はそれらのエステル等のビタミン、フルクトース、グルコース、ガラクトース、キシロース、タガトース等の単糖、ショ糖、乳糖、麦芽糖、トレハロース、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、大豆オリゴ糖、イソマルツロース、カップリングシュガー等の少糖、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、ラクチトール、マンニトール等の糖アルコール、サッカリン、スクラロース、アセスルファムカリウム等の合成甘味料、(C)有機酸以外の酸味料、香料、着色料、保存料等が適宜配合されていてもよい。
【0024】
本発明の固形状組成物は、口内又は水の存在下で炭酸ガスを発生するものである。その形態としては、例えば、室温(15〜25℃)で固形状のものであれば特に限定されないが、例えば、カプセル剤、顆粒剤、散剤、錠剤、丸剤等が挙げられる。なかでも、1回あたり少量で摂取可能な点、摂取が簡便な点から、発泡錠である錠剤が好ましく、チュアブル錠であることが更に好ましい。
このような剤型の組成物を調製するには、必要に応じて、乳糖、デンプン類、結晶セルロース、蔗糖、マンニトール、軽質無水ケイ酸、リン酸水素カルシウム等の賦形剤、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、アルファー化デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、プルランメチルセルロース、硬化油等の結合剤、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポピドン、トウモロコシデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等の崩壊剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、二酸化ケイ素等の滑沢剤、ステビア、アスパルテーム等の嬌味剤、香料、増量剤、界面活性剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、被膜剤、希釈剤等を適宜組み合わせて用いることができる。
【0025】
本発明の固形状組成物は、特に制限はなく常法に従い製造される。例えば、(A)小麦アルブミン、(B)炭酸塩、(C)有機酸及び必要に応じて添加される添加剤の混合物を調製後、圧縮成形することによって製造することができる。
例えば、錠剤を製造する場合、原料粉末を直接圧縮して成形(直接粉末圧縮法)しても、乾式造粒法、湿式造粒法等を用いて造粒してから圧縮して成形(顆粒圧縮法)しても良い。なかでも、工程の簡便性の点から、直接粉末圧縮法を用いて錠剤とするのが好ましい。
直接圧縮して成形して錠剤を製造する場合、打錠成形機としてはロータリー式打錠機や単発式打錠機等通常使用されるものを用いることができる。
また、造粒法より造粒してから錠剤とする場合、円筒造粒機、球形整粒機、ペレッター等を使用する押し出し造粒法;スピードミル、パワーミル等を使用する破砕造粒法;転動造粒法、攪拌造粒法、流動層造粒法等により造粒物を製造し、乾燥・整粒した後、得られた造粒物を前記打錠成形機で圧縮して錠剤を形成できる。造粒物の粒子径は、45μm〜850μmとするのが好ましく、100μm〜500μmとするのが更に好ましい。
錠剤の形状としては、円形錠もしくは楕円形、長円形、四角形等の面形を有する各種異形錠であってもよい。
また、打錠時の圧縮成型圧は、成形物の硬度維持、崩壊性等の点から、100〜3000kg/cm2である。
【0026】
また、本発明の錠剤の1錠当りの重量は0.1〜2g、好ましくは0.5〜1.8g更に0.8〜1.5gとするのが服用感及び有効性の点で好ましい。
【実施例】
【0027】
[有機酸の分析]
固形状組成物中の有機酸の含有量の分析方法は以下の通りである。
固形状組成物を1g採取し5%過塩素酸20mLを加え、10分間振とうすることで抽出する。これを水で200mLに定容し10分間超音波処理を行なう。ろ過後高速液体クロマトグラフに供する。
<高速液体クロマトグラフ操作条件>
機種:LC−20AD[株式会社島津製作所]
検出器:紫外可視吸光光度計SPD−20AV[島津製作所]
カラム温度:40℃
移動相:3mmоl/L過塩素酸
反応液:0.2mmоl/Lブロムチモールブルー含有
15mmоl/Lりん酸水素二ナトリウム溶液
流量:移動相1.0mL/min、反応液1.4mL/min
測定波長:445nm
【0028】
[炭酸塩の分析]
固形状組成物中の炭酸塩の含有量の分析方法は以下の通りである。
固形状組成物を0.1〜0.2g採取し、水10mLと50%りん酸2mLを加え密栓する。10分間超音波処理を行った後、1時間放置しヘッドスペースガスをガスクロマトグラフに供してCO2量を求め、発生したCO2量から算出する。
<ガスクロマトグラフ操作条件>
機種:GC−14B[島津製作所]
検出器:TCD
カラム:Chromosorb101,80〜100mesh
ガラス管,φ3.2mm×2m
温度:カラム50℃,注入口及び検出器100℃
セル電流75mA
ガス圧力:ヘリウム(キャリヤーガス)100kPa
注入量:ヘッドスペースガス0.2mL
【0029】
[原料]
小麦アルブミン:小麦アルブミンNA−1、日清ファルマ株式会社製 (0.19小麦アルブミン含有量25%)
クエン酸:無水クエン酸 80MP、扶桑化学工業株式会社
リンゴ酸:DL-リンゴ酸、扶桑化学工業株式会社
酒石酸:L−酒石酸、扶桑化学工業株式会社
アジピン酸:アジピン酸、和光純薬株式会社
炭酸水素ナトリウム:炭酸水素ナトリウム、和光純薬株式会社
粉糖:M−SPD、昭和産業株式会社
マルチトール:粉末マルチトールG3、三菱商事フードテック株式会社
ステアリン酸カルシウム:オーラブライトCA-65、日油株式会社
【0030】
〔チュアブル錠の調製〕
実施例1〜実施例15及び比較例1〜比較例9
粒径の大きい原料は粉砕し、50メッシュに通したのち、表1に記載の配合組成で各原料成分を混合した。次に単発式打錠機(RIKEN製)を用いて、穴径13mmのリング状杵で、錠剤重量1000mgで打錠し、チュアブル錠を得た。チュアブル錠中の(a)0.19小麦アルブミン含有量は表1のとおりであった。
尚、実施例3,4,6,7,11,14及び15は参考例である。
【0031】
上記で得た本発明品と比較品について官能評価を行なった。評価は、専門パネル3名で、摂食時の口内付着性、小麦アルブミン特有の異味、泡の食感、風味のバランスについて、下記に示す判断基準に従って行い、その平均値をもって評点とした。結果を表1に示す。
〔口内付着性〕
5:歯や舌への付着性が非常に弱い
4:歯や舌への付着性が弱い
3:歯や舌への付着性がわずかに強い
2:歯や舌への付着性が強い
1:歯や舌への付着性が非常に強い
〔小麦アルブミン特有の異味〕
5:異味を感じない
4:異味を殆ど感じない
3:異味を僅かに感じる
2:異味を強く感じる
1:異味を非常に強く感じる
〔泡の食感〕
5:口中での泡切れが非常に良い
4:口中での泡切れが良い
3:口中での泡切れがやや良い
2:口中での泡切れが悪い
1:口中での泡切れが非常に悪い
〔風味のバランス〕
5:有機酸や炭酸塩の風味が突出せずにバランスが非常に良い
4:有機酸や炭酸塩の風味が突出せずにバランスが良い
3:有機酸や炭酸塩の風味が突出せずにバランスがやや良い
2:有機酸や炭酸塩の風味が突出せずにバランスが悪い
1:有機酸や炭酸塩の風味が突出せずにバランスが非常に悪い
【0032】
【表1】
【0033】
表1から明らかなように、本発明品は、比較品と比べ、摂食中の口内のねとつき・付着性が抑えられ、また、小麦アルブミン特有の異味が低減されて、泡の食感が良く、風味のバランスも良好であった。