【0021】
ポリエポキシ化合物の一部のエポキシ基と、アクリル酸および/またはメタクリル酸との反応は、触媒を用いずに行ってもよいが、反応速度を速くできることから、酸付加触媒を用いて行うことが好ましい。
酸付加反応触媒としては、4級オニウム塩、3級アミンおよび3級ホスフィンが好ましく用いられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
4級オニウム塩の具体例としては、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニムブロマイドなどを挙げることができる。
3級アミンの具体例としては、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのトリアルキルアミン;ジメチルベンジルアミン、ジエチルベンジルアミンなどのジアルキルアリールアミン;トリエタノールアミンなどを挙げることができる。
3級ホスフィンの具体例としては、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリトリルホスフィンなどのトリアリールホスフィン;トリシクロヘキシルホスフィンなどのトリシクロアルキルホスフィン;トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィンなどトリアルキルホスフィンなどを挙げることができる。
上記した酸付加反応触媒は単独で用いてもよいし、または2種以上を併用してもよい。
そのうちでも、酸付加触媒としては、反応活性、ハロゲンが敬遠される点から、トリフェニルホスフィンが好ましく用いられる。
【実施例】
【0038】
以下に、実施例、比較例などによって本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
以下の例中、エポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物の粘度を次のようにして測定した。
【0039】
(1)エポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物の粘度の測定法:
以下の実施例または比較例で得られたエポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物の製造直後の粘度およびそれを温度70℃で1週間保存したときの粘度を、JIS K7117−2に準じて、測定試料の温度制御が可能な恒温水槽を付属した円錐−平板型回転粘度計(コーン・プレート型粘度計)を使用して測定し[粘度測定時のエポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物の温度は40℃]、3回測定してその平均値を採って粘度とした。
【0040】
《実施例1》
(1) 反応容器に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成イーマテリアルズ社製「AER250」、エポキシ当量=186)100質量部、アクリル酸19.4質量部およびメトキノン(重合禁止剤)0.1質量部を仕込み、90℃に加熱撹拌して均一な混合溶液にした後、トリフェニルホスフィン0.1質量部を添加して、同温度で6時間反応させて、エポキシ基含有アクリレート化合物(エポキシ基の一部がアクリル酸エステル化したビスフェノールA型エポキシ化合物;生成量119.4質量部)を調製した。
(2) 上記(1)で得られたエポキシ基含有アクリレート化合物119.4質量部に、ヒドロキシエチリデンジホスホニックアシッド[上記の化学式(Ia−8)で表されるリン化合物](キレスト社製「PH−210」)[以下「リン化合物(Ia−8)」という]0.1質量部を添加して、リン化合物(Ia−8)を含有するエポキシ基含有アクリレート化合物を製造した。
(3) 上記(2)で得られた、リン化合物(Ia−8)を添加した直後のエポキシ基含有アクリレート化合物の粘度を上記した方法で測定したところ、20000mPa・sであった(測定温度40℃)。
(4) 上記(2)で得られた、リン化合物(Ia−8)を添加したエポキシ基含有アクリレート化合物を、温度70℃で1週間保存し、当該1週間保存後の粘度を上記した方法で測定したところ、35000mPa・sであった(測定温度40℃)。
【0041】
《実施例2》
(1) 実施例1の(1)と同じ操作を行って、エポキシ基含有アクリレート化合物(エポキシ基の一部がアクリル酸エステル化したビスフェノールA型エポキシ化合物;生成量119.4質量部)を調製した。
(2) 上記(1)で得られたエポキシ基含有アクリレート化合物119.4質量部に、ニトロトリス(メチレンホスホニックアシッド)[上記の化学式(Ib−1)で表されるリン化合物](キレスト社製「PH−320」)[以下、「リン化合物(Ib−1)」という]0.1質量部を添加して、リン化合物(Ib−1)を含有するエポキシ基含有アクリレート化合物を製造した。
(3) 上記(2)で得られた、リン化合物(Ib−1)を添加した直後のエポキシ基含有アクリレート化合物の粘度を上記した方法で測定したところ、20000mPa・sであった(測定温度40℃)。
(4) 上記(2)で得られた、リン化合物(Ib−1)を添加したエポキシ基含有アクリレート化合物を、温度70℃で1週間保存し、当該1週間保存後の粘度を上記した方法で測定したところ、35000mPa・sであった(測定温度40℃)。
【0042】
《実施例3》
(1) 実施例1の(1)と同じ操作を行って、エポキシ基含有アクリレート化合物(エポキシ基の一部がアクリル酸エステル化したビスフェノールA型エポキシ化合物;生成量119.4質量部)を調製した。
(2) 上記(1)で得られたエポキシ基含有アクリレート化合物119.4質量部に、ホスホノブタントリカルボニックアシッド[上記の化学式(Ia−10)で表されるリン化合物](キレスト社製「PH−430」)[以下、「リン化合物(Ia−10)」という]0.1質量部を添加して、リン化合物(Ia−10)を含有するエポキシ基含有アクリレート化合物を製造した。
(3) 上記(2)で得られた、リン化合物(Ia−10)を添加した直後のエポキシ基含有アクリレート化合物の粘度を上記した方法で測定したところ、20000mPa・sであった(測定温度40℃)。
(4) 上記(2)で得られた、リン化合物(Ia−10)を添加したエポキシ基含有アクリレート化合物を、温度70℃で1週間保存し、当該1週間保存後の粘度を上記した方法で測定したところ、35000mPa・sであった(測定温度40℃)。
【0043】
《比較例1》
(1) 実施例1の(1)と同じ操作を行って、エポキシ基含有アクリレート化合物(エポキシ基の一部がアクリル酸エステル化したビスフェノールA型エポキシ化合物;生成量119.4質量部)を調製した。
(2) 上記(1)で得られた、リン化合物(I)を添加していないエポキシ基含有アクリレート化合物の製造直後の粘度を上記した方法で測定したところ、20000mPa・sであった(測定温度40℃)。
(3) 上記(1)で得られた、リン化合物(I)を添加していないエポキシ基含有アクリレート化合物を、温度70℃で1週間保存する実験を行ったところ、3日目にゲル化した。
【0044】
《比較例2》
(1) 上記の実施例1の(1)と同じ操作を行って、エポキシ基含有アクリレート化合物(エポキシ基の一部がアクリル酸エステル化したビスフェノールA型エポキシ化合物;生成量119.4質量部)を調製した。
(2) 上記(1)で得られたエポキシ基含有アクリレート化合物119.4質量部に、エチレンジアミンテトラカルボン酸(キレスト社製「キレスト110」)0.1質量部を添加して、エチレンジアミンテトラカルボン酸を含有するエポキシ基含有アクリレート化合物を製造した。
(3) 上記(2)で得られた、エチレンジアミンテトラカルボン酸を添加した直後のエポキシ基含有アクリレート化合物の粘度を上記した方法で測定したところ、20000mPa・sであった(測定温度40℃)。
(4) 上記(2)で得られた、エチレンジアミンテトラカルボン酸を添加したエポキシ基含有アクリレート化合物を、温度70℃で1週間保存する実験を行ったところ、3日目にゲル化した。
【0045】
《比較例3》
(1) 上記の実施例1の(1)と同じ操作を行って、エポキシ基含有アクリレート化合物(エポキシ基の一部がアクリル酸エステル化したビスフェノールA型エポキシ化合物;生成量119.4質量部)を調製した。
(2) 上記(1)で得られたエポキシ基含有アクリレート化合物119.4質量部に、下記の化学式(II)で表されるエチレンジアミンテトラ(メチレンホスホニックアシッド)(キレスト社製「キレスト540」)0.1質量部を添加して、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホニックアシッド)[以下、「リン化合物(II)」という]を含有するエポキシ基含有アクリレート化合物を製造した。
【0046】
【化9】
【0047】
(3) 上記(2)で得られた、リン化合物(II)を添加した直後のエポキシ基含有アクリレート化合物の粘度を上記した方法で測定したところ、20000mPa・sであった(測定温度40℃)。
(4) 上記(2)で得られた、リン化合物(II)を添加したエポキシ基含有アクリレート化合物を、温度70℃で1週間保存する実験を行ったところ、3日目にゲル化した。
【0048】
《実施例4》
(1) 反応容器に、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC社製「EXA−830CRP」、エポキシ当量=159)100質量部、アクリル酸22.6質量部およびメトキノン0.1質量部を仕込み、90℃に加熱し撹拌して均一な混合溶液にした後、トリフェニルホスフィン0.1質量部を添加して、同温度で6時間反応させて、エポキシ基含有アクリレート化合物(エポキシ基の一部がアクリル酸エステル化したビスフェノールF型エポキシ化合物;生成量122.6質量部)を調製した。
(2) 上記(1)で得られたエポキシ基含有アクリレート化合物122.6質量部に、ヒドロキシエチリデンジホスホニックアシッド[上記した化学式(Ia−8)で表されるリン化合物](キレスト社製「PH−210」)[以下、リン化合物(Ia−8)」という]0.1質量部を添加して、リン化合物(Ia−8)を含有するエポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物を製造した。
(3) 上記(2)で得られた、リン化合物(Ia−8)を添加した直後のエポキシ基含有アクリレート化合物の粘度を上記した方法で測定したところ、4000mPa・sであった(測定温度40℃)。
(4) 上記(2)で得られた、リン化合物(Ia−8)を添加したエポキシ基含有(メタ)アクリレート化合物を、温度70℃で1週間保存し、当該1週間保存後の粘度を上記した方法で測定したところ、5000mPa・sであった(測定温度40℃)。
【0049】
《比較例4》
(1) 実施例4の(1)と同じ操作を行って、エポキシ基含有アクリレート化合物(エポキシ基の一部がアクリル酸エステル化したビスフェノールF型エポキシ化合物;生成量122.6質量部)を調製した。
(2) 上記(1)で得られた、リン化合物(I)を添加していないエポキシ基含有アクリレート化合物の製造直後の粘度を上記した方法で測定したところ、4000mPa・sであった(測定温度40℃)。
(3) 上記(1)で得られた、リン化合物(I)を添加していないエポキシ基含有アクリレート化合物を、温度70℃で1週間保存する実験を行ったところ、3日目にゲル化した。
【0050】
上記の実施例1〜4および比較例1〜4の結果をまとめると、下記の表1に示すとおりである。
【0051】
【表1】
【0052】
上記の表1の結果にみるように、実施例1〜4では、ポリエポキシ化合物の一部のエポキシ基にアクリル酸を反応させて得られたエポキシ基含有アクリレート化合物に、リン化合物(I)の範疇に包含されるリン化合物(Ia−8)(ヒドロキシエチリデンジホスホニックアシッド)、リン化合物(Ib−1)[ニトロトリス(メチレンホスホニックアシッド)]またはリン化合物(Ia−10)(ホスホノブタントリカルボニックアシッド)を添加したことにより、ポリエポキシ化合物の一部のエポキシ基にアクリル酸を反応させて得られたエポキシ基含有アクリレート化合物は、70℃で1週間保存した後でも粘度の上昇が小さく、保存安定性に優れている。
一方、比較例1および比較例4では、リン化合物(I)を添加しなかったことにより、ポリエポキシ化合物の一部のエポキシ基にアクリル酸を反応させて得られたエポキシ基含有アクリレート化合物は、70℃で保存したときに3日目にゲル化し、保存安定性に劣っている。
また、比較例2では、リン化合物(I)の範疇に含まれないエチレンジアミンテトラカルボン酸を添加したことにより、そして比較例3ではリン化合物(I)の範疇に含まれないリン化合物(II)[エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホニックアシッド)]を添加したことにより、ポリエポキシ化合物の一部のエポキシ基にアクリル酸を反応させて得られたエポキシ基含有アクリレート化合物は、70℃で保存したときに3日目にゲル化し、保存安定性に劣っている。