(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5917130
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】レバーフロート式ドレントラップ
(51)【国際特許分類】
F16T 1/24 20060101AFI20160422BHJP
F16K 31/26 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
F16T1/24
F16K31/26 Z
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2011-280969(P2011-280969)
(22)【出願日】2011年12月22日
(65)【公開番号】特開2013-130257(P2013-130257A)
(43)【公開日】2013年7月4日
【審査請求日】2014年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(72)【発明者】
【氏名】久保 知美
【審査官】
関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−286239(JP,A)
【文献】
実開昭62−66096(JP,U)
【文献】
特開2008−249053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16T 1/24
F16K 31/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングで入口と弁室と出口を形成し、弁室と出口を連通する弁口を弁室の下部に形成し、弁室内に支持された揺動軸の周りに回転するレバーを設け、弁室内の液位に応じて浮上降下するフロートをレバーに連結すると共に弁口を開閉する弁体をレバーに連結したものにおいて、弁体が弁口を閉じる位置ではフロートが当接せず弁体が弁口を閉じる位置から更にレバーが閉弁方向に回転したときにフロートが当接するストッパ部材をフロートの下方に設け、ストッパ部材をコイルバネで形成したことを特徴とするレバーフロート式ドレントラップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気配管系や圧縮空気配管系やガス配管系に発生するドレンをフロートを用いて自動的に排出するレバーフロート式ドレントラップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のレバーフロート式ドレントラップは、ケーシングで入口と弁室と出口を形成し、弁室と出口を連通する弁口を弁室の下部に形成し、弁室内に支持された揺動軸の周りに回転するレバーを設け、弁室内の液位に応じて浮上降下するフロートをレバーに連結すると共に弁口を開閉する弁体をレバーに連結したもので、弁室内の液位に応じて浮上降下するフロートでレバーを回転させて弁体で弁口を開閉することによりドレンを自動的に排出するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−36901
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のレバーフロート式ドレントラップにおいては、配管系でウォータハンマ等が発生して弁室内の圧力や液位が急激に変動したときに、弁体が弁口を閉じる位置からレバーが更に閉弁方向に回転し、フロートが弁室底壁に衝突して損傷する問題点があった。
【0005】
解決しようとする課題は、フロートの損傷を防止できるレバーフロート式ドレントラップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明のレバーフロート式ドレントラップは、ケーシングで入口と弁室と出口を形成し、弁室と出口を連通する弁口を弁室の下部に形成し、弁室内に支持された揺動軸の周りに回転するレバーを設け、弁室内の液位に応じて浮上降下するフロートをレバーに連結すると共に弁口を開閉する弁体をレバーに連結したものにおいて、弁体が弁口を閉じる位置から更にレバーが閉弁方向に回転したときにフロートが当接するストッパ部材をフロートの下方に設け、ストッパ部材をコイルバネで形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、弁体が弁口を閉じる位置から更にレバーが閉弁方向に回転したときにフロートが当接するストッパ部材をフロートの下方に設け、ストッパ部材をコイルバネで形成したものである。そのため、コイルバネから成るストッパ部材によりフロートの衝撃を吸収してフロートが弁室底壁に衝突することを防止でき、フロートやフロートとレバーの連結部やレバーが損傷することを防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態に係わるレバーフロート式ドレントラップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、
図1を参照して説明する。入口1と出口2を有する本体3に蓋体4をボルト5で締結して内部に弁室6を有するケーシングを構成する。弁室6と出口2を連通する第1弁口7及び第2弁口8を有する弁座部材9を弁室6の下部の本体3に図示しないねじにより取り付ける。入口1は弁室6の下部に開口し、出口2は第1弁口7及び第2弁口8を介して弁室6の下部に開口する。弁室6内の弁座部材9に揺動軸10を支持し、揺動軸10にレバー11の右側部を回転可能に連結する。レバー11の左端部に弁室6内の液位に応じて浮上降下する中空球形のフロート12を連結する。レバー11の右端部に揺動軸10と平行な連結軸13を支持し、連結軸13に連結棒14の上部を回転可能に連結する。連結棒14の下部は弁体15の弁棒16の上端部に支持された揺動軸10と平行な弁軸17に回転可能に連結する。
【0010】
弁体15は第1弁口7を下方の出口2側から開閉する第1弁体18と、第2弁口8を下方の弁室6側から開閉する第2弁体19と、第1弁体18と第2弁体19を連結する弁棒16とから構成する。第1弁体18及び第2弁体19が第1弁口7及び第2弁口8を閉じる位置からレバー11が更に閉弁方向に回転したときにフロート12が当接するストッパ部材20をフロート12の下方に設ける。ストッパ部材20は上方に向かってコイル半径が大きくなった円錐コイルバネから成り、本体3の底壁にボルト21により固定した取付部材22により下端を本体3の底壁に固定する。
【0011】
弁室6内の液位が低い場合は、
図1に示すようにフロート12は降下し、第1弁体18及び第2弁体19が第1弁口7及び第2弁口8を閉じている。このとき、
フロート12はストッパ部材20に当接していない。配管系でウォータハンマ等が発生し弁室6内の圧力や液位が急激に変動してレバー11が更に閉弁方向に回転すると、フロート12が円錐コイルバネから成るストッパ部材20に当接することにより、ストッパ部材20がフロート12の衝撃を吸収してフロート12が弁室底壁に衝突することを防止し、フロート12やフロート12とレバー11の連結部やレバー11が損傷することを防止する。入口1から流入するドレンによって弁室6内の液位が上昇すると、フロート12が上動してレバー11が揺動軸10を中心に時計回り方向に回転する。このレバー11の回転により、連結棒14を介して弁体15が下動して第1弁体18及び第2弁体19が第1弁口7及び第2弁口8を開く。これにより、弁室6のドレンを出口2から排出する。ドレンの排出により弁室6内の液位が低下すると、フロート12が下動してレバー11が揺動軸10を中心に反時計回り方向に回転する。このレバー11の回転により、連結棒14を介して弁体15が上動して第1弁体18及び第2弁体19が第1弁口7及び第2弁口8を閉じる。これにより、気体の漏出を防止する。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明は、蒸気配管系や圧縮空気配管系やガス配管系に発生するドレンをフロートを用いて自動的に排出するレバーフロート式ドレントラップに利用することができる。
【符号の説明】
【0013】
1 入口
2 出口
3 本体
4 蓋体
6 弁室
7 第1弁口
8 第2弁口
10 揺動軸
11 レバー
12 フロート
15 弁体
18 第1弁体
19 第2弁体
20 ストッパ部材