(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5917131
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】エゼクタ式真空ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04F 5/44 20060101AFI20160422BHJP
F04F 5/10 20060101ALI20160422BHJP
F04F 5/54 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
F04F5/44 B
F04F5/10 K
F04F5/10 A
F04F5/54
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-281142(P2011-281142)
(22)【出願日】2011年12月22日
(65)【公開番号】特開2013-130147(P2013-130147A)
(43)【公開日】2013年7月4日
【審査請求日】2014年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(72)【発明者】
【氏名】三宮 佳幸
【審査官】
後藤 泰輔
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−251248(JP,A)
【文献】
特開2009−068434(JP,A)
【文献】
特開2009−300014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04F 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エゼクタと複数の液体圧送ポンプと液体タンクとを含むエゼクタ式真空ポンプであって、
前記液体タンクと前記各液体圧送ポンプの液体流入口とを接続し、
前記エゼクタの入口と前記各液体圧送ポンプの液体流出口とを接続し、
前記エゼクタの出口と前記液体タンクの上部とを接続し、
前記各液体圧送ポンプの液体流入口をそれぞれ高低差を設けて前記液体タンク内で開口し、
前記液体タンク内の液体を前記各液体圧送ポンプで圧送することにより、前記エゼクタにて吸引力を発生させ、
前記エゼクタの出口と接続する副液体タンクを、前記エゼクタよりも高い位置に配置し、
前記エゼクタの入口と前記副液体タンクの下部とを接続し、
前記副液体タンクと前記エゼクタの入口との間に生じた水頭圧によって流下する液体を前記エゼクタの駆動流体として用いること
を特徴とするエゼクタ式真空ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エゼクタとポンプ手段を組み合わせたエゼクタ式真空ポンプに関する。エゼクタ式真空ポンプは、ポンプ手段で流体をエゼクタ内に循環させることにより、エゼクタ部で真空吸引力を生じるものであり、低圧蒸気使用装置等からの復水吸引回収装置として従来から用いられている。
【背景技術】
【0002】
従来のエゼクタ式真空ポンプは、渦巻きポンプと、この渦巻きポンプの吐出口と吸込口を結ぶ循環通路と、循環通路の途中に配置したエゼクタ及びタンクとで構成される。
【0003】
上記従来のエゼクタ式真空ポンプでは、渦巻きポンプを駆動するために電動モータを作動しなければならず、この電動モータの作動に伴って比較的多くの電力を消費してしまう問題があった。また、各種プラントにおいては防爆域があり、このような防爆域では、電動モータを防爆仕様とするために多額のコストを要してしまう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−253100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、電動モータの作動が不要で、電力を消費することのない安価なエゼクタ式真空ポンプを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、エゼクタのノズルに駆動流体としての液体を供給して、ノズル外周の吸引口から別途の流体を吸引するものにおいて、エゼクタの入口側に複数の液体圧送ポンプと、エゼクタの出口側に液体タンクを順次に配置すると共に、複数の液体圧送ポンプの液体流入口を、液体タンク内でそれぞれ高低差を設けて配置したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、複数の液体圧送ポンプのそれぞれの液体流入口を、液体タンク内でそれぞれ高低差を設けて配置したことにより、液体タンク内にたまった液体を複数の液体圧送ポンプから順次にエゼクタのノズルに供給することができ、電動ポンプが不要となり、電力を消費することがない安価なエゼクタ式真空ポンプとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明のエゼクタ式真空ポンプの実施例を示す構成図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、エゼクタの出口側に液体圧送ポンプを配置するものであるが、液体圧送ポンプは、電動モータを使用することなく、高圧の圧縮空気や蒸気を圧送源として液体を圧送することができるものが好適である。
【実施例1】
【0010】
本実施例においては、エゼクタ6の入口側に配置した複数の液体圧送ポンプ1,2と、エゼクタ6の出口側に配置した液体タンク8と、エゼクタ6の吸引口3と接続した流体吸引管4と、エゼクタ6の上方に配置した副液体タンク5を用いた例を示す。
【0011】
エゼクタ6の出口側を管路9によって液体タンク8の上部と接続する。液体タンク8は、円筒状の密閉タンクであり、上部にはエアの排出を兼用できるオーバーフロー管14と、液体タンク8へ冷却水を補給することのできる冷却水補給管15をそれぞれ接続する。
【0012】
流体吸引管4をエゼクタ6の吸引口3と接続する。流体吸引管4の左側端部を図示しない復水発生装置と接続する。エゼクタ6の吸引口3の内部には図示しないノズルを配置する。
【0013】
液体タンク8の下方に2台の液体圧送ポンプ1,2を配置して、液体タンク8の内部に上端を開口した液体流入管16,17を介してそれぞれの液体流入口25,30と接続する。液体流入管17は液体タンク8内の底部で上端を開口し、液体流入管16は液体タンク8の上部で開口することによって、液体タンク8内でそれぞれ高低差を設けて配置する。
【0014】
液体圧送ポンプ1は、液体流入口25と液体流出口26、及び、高圧圧送流体導入口27と高圧圧送流体排出口28を有し、また、液体圧送ポンプ2は、液体流入口30と液体流出口31、及び、高圧圧送流体導入口32と高圧圧送流体排出口33を有する。それぞれの液体流出口26、31は、それぞれ管路34,35によって、エゼクタ6の吸引口3内のノズルと接続する。
【0015】
液体流入管16,17には、図示はしないが一方方向の流体の通過のみを許容する逆止弁を取り付ける。この逆止弁は、液体タンク8から液体圧送ポンプ1,2への流体の通過を許容し、反対方向の通過は阻止するものである。液体流出口26,31にも図示しない逆止弁を介して管路34,35を接続すると共に、高圧圧送流体導入口27、32には高圧蒸気源を接続する。また、高圧圧送流体排出口28、33は大気と連通する。
【0016】
液体圧送ポンプ1,2は、内部に配置した図示しないフロートが下方部に位置する場合に、高圧圧送流体導入口27、32を閉口し、一方、高圧圧送流体排出口28、33を開口して、液体タンク8に溜まった液体を液体流入口25、30を通して液体圧送ポンプ1,2内に流下させる。そして、液体圧送ポンプ1,2内に液体が溜まって図示しないフロートが所定上方部に位置すると、高圧圧送流体排出口28、33を閉口し、一方、高圧圧送流体導入口27、32を開口して、高圧圧送用蒸気を内部に流入させることにより、内部に溜まった液体を液体流出口26、31からエゼクタ6へ圧送する。
【0017】
液体が高圧蒸気で圧送されて液体圧送ポンプ1,2内の液位が低下すると、再度、高圧圧送流体導入口27、32を閉口し、高圧圧送流体排出口28、33を開口することにより、液体流入口25、30から液体を内部へ流下させる。このような作動サイクルを繰り返すことにより、液体圧送ポンプ1,2は液体タンク8からの液体をエゼクタ6へ圧送するものである。
【0018】
液体圧送ポンプ1の液体流入管17は液体タンク8内の底部で上端を開口し、液体圧送ポンプ2の液体流入管16は液体タンク8の上部で開口して、液体タンク8内でそれぞれ高低差を設けて配置したことによって、液体タンク8の液位が低い場合は、液体圧送ポンプ1が駆動し、液体タンク8の液位が高い場合は、液体圧送ポンプ1と2が駆動して、長時間にわたってエゼクタ6へ液体が供給され、エゼクタ6で所定の真空吸引力を発生することができる。
【0019】
エゼクタ6の上方で、且つ、液体タンク8の上部に副液体タンク5を配置する。副液体タンク5には、管路9を分岐した分岐管10でエゼクタ6と接続する。分岐管10にはバルブ12を取り付ける。このバルブ12の弁開度を調節することで、エゼクタ6から吐出された液体の一部を副液体タンク5に溜め置くことができるものである。副液体タンク5の下部に管路11を接続してエゼクタ6の吸引口3内部のノズル側と接続する。副液体タンク5に溜まった液体が、エゼクタ6までの高さに相当する水頭圧によってエゼクタ6のノズル内を流下して、その速度エネルギーに応じた真空吸引力を発生し、吸引口3から流体吸引管4内の所定の流体を吸引するものである。
【0020】
副液体タンク5からエゼクタ6へ液体を供給するのは、液体圧送ポンプ1,2からの吐出がとぎれた場合に実施することが、エゼクタ6の真空吸引力を連続的に発生されるためには効果的である。
【0021】
液体圧送ポンプ1,2を駆動させてエゼクタ6を作動させると共に、副液体タンク5内の液体を水頭圧によってエゼクタ6内を流下させることにより、電動モータを駆動する必要がなく、従って、電力を消費することがない安価なエゼクタ式真空ポンプとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、流体をエゼクタ内に循環させることにより、エゼクタ部で真空吸引力を生じるものであり、低圧蒸気使用装置等からの復水吸引回収装置などに利用することができる。
【符号の説明】
【0023】
1,2
液体圧送ポンプ
3 吸引口
4 流体吸引管
5 副液体タンク
6 エゼクタ
8 液体タンク
9 管路
10 分岐管
16,17 液体流入管
25,30 液体流入口
26,31 液体流出口
34,35 管路