(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5917181
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】クリップレスペダル装置
(51)【国際特許分類】
B62M 3/08 20060101AFI20160422BHJP
【FI】
B62M3/08 B
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-28330(P2012-28330)
(22)【出願日】2012年2月13日
(65)【公開番号】特開2012-166780(P2012-166780A)
(43)【公開日】2012年9月6日
【審査請求日】2014年10月31日
(31)【優先権主張番号】1151158
(32)【優先日】2011年2月14日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】599057179
【氏名又は名称】ルック サイクル インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】LOOK CYCLE INTERNATIONAL
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】シゼロン ダミアン
(72)【発明者】
【氏名】ボーシェ ジュリアン
【審査官】
須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】
仏国特許出願公開第02822127(FR,A1)
【文献】
特表2010−533621(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0154432(US,A1)
【文献】
実開平06−063493(JP,U)
【文献】
特開平06−156357(JP,A)
【文献】
特開2005−153863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペダルに設けられた第1固定構造を、サイクリング シューズの靴底の下面に固定された第2固定構造と固定するための取り付け構造(8,14)を有しており、該取り付け構造は、弾性手段(5,5a,5b,15)によって取り付け位置(8,14)に付勢される少なくとも一つの移動部を備えたクリップレス ペダル装置(1,11)であって、
弾性手段(5,5a,5b,15)は、ペダル軸(3)と平行に延びて弾性トーション軸(T)を構成する、少なくとも一つの直線状の部分を備えていることを特徴するクリップレス ペダル装置。
【請求項2】
取り付け構造(8,14)がペダルに固定されており、該取り付け構造(8,14)は、前記弾性トーション軸(T)を構成する弾性手段によって取り付け位置に付勢された少なくとも一つの移動部を備えている、請求項1に記載のクリップレス ペダル装置。
【請求項3】
取り付け構造がサイクリング シューズの靴底の下面に固定されており、該取り付け構造は、前記弾性トーション軸(T)を構成する弾性手段によって取り付け位置に付勢された少なくとも一つの移動部を備えている、請求項1に記載のクリップレス ペダル装置。
【請求項4】
弾性手段(5,5a,5b)は、二組の曲げられた構造と、前記弾性トーション軸(T)を構成する少なくとも一つの延長直線部分とを備えていることを特徴する請求項1に記載のクリップレス ペダル装置。
【請求項5】
弾性手段(5,5a,5b)は、S字型の構造で、その中間部分に前記弾性トーション軸(T)を構成していることを特徴する請求項1または請求項4に記載のクリップレスペダル装置。
【請求項6】
弾性手段(5,5a,5b)は、ピボット(9)を構成する少なくとも一つの折り返し端を備えていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のクリップレス ペダル装置。
【請求項7】
弾性手段(5,5a,5b)は、ワイヤの両端を曲げて中間部分に直線状のトーション(T)応力要素を構成することにより製造されていることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載のクリップレス ペダル装置。
【請求項8】
弾性手段(5,5a,5b)は、ペダル本体(2)に対して側方取り付け手段(6a,6b)によって押圧されて取り付けられていることを特徴とする請求項7に記載のクリップレス ペダル装置。
【請求項9】
クリップレス ペダル(1)のペダル本体(2)は、サイクリング シューズの靴底の下面に固定された保持クリート(10)または取り付け部材用の少なくとも一つの支持プレート(4)に支持されていることを特徴とする請求項7または8のいずれかに記載のクリップレス ペダル装置。
【請求項10】
ペダル(1)は、それぞれ二つの取り付け端を有する二組の曲げられたワイヤ構造(5a,5b)を備えており、両側取り付けペダルを形成していることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のクリップレス ペダル装置。
【請求項11】
弾性手段(15)は、ペダル(11)の本体(12)に固定された少なくとも一方に配置されたトーション応力バー(15)と、少なくとも他方に配置された取り付け爪を形成するレバー(14)とを備えていることを特徴とする請求項1に記載のクリップレス ペダル装置。
【請求項12】
トーション バー(15)は、取り付け爪を形成するレバー(14)に設置されるか、または、取り付け爪を形成するレバー(14)と一体に形成されていることを特徴とする請求項11に記載のクリップレス ペダル装置。
【請求項13】
トーション バー(15)は、クリップレス ペダル(11)の本体(12)に設置されるか、または、ペダルの本体(12)と一体に形成されていることを特徴とする請求項11または12のいずれかに記載のクリップレス ペダル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペダルに設けられた第1固定構造を、サイクリング シューズの靴底の下に取り付けられた第2固定構造に固定するための取り付け構造を有する、クリップレス ペダル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのクリッププレス ペダル取り付けシステムが知られている。
【0003】
特許文献1の単一側取り付けシステムは、ペダルの前方に位置している固定された取り付け鼻部と、ペダルの後方に位置している可動爪とを備えており、可動爪は、靴底の下面に固定されたクリートをロックする位置に弾性部材によって付勢されている。
【0004】
このようなペダルでは、特許文献2に開示されているように、クリートを係合または解放するときに圧縮される二つのコイルばねからなる弾性復帰部材を使用することも、知られている。圧縮応力を付与する弾性復帰部材の他の例は、特許文献3に開示されている。この弾性部材は、取り付けクリートの内部に収容されており、クリートを係合するときに突出する部分を押す動きによって圧縮されるコイルばねも備えている。
【0005】
さらに最近では、マウンテン バイク(MTB)の出現に伴って、両側取り付けクリップレス ペダルが出てきており、このペダルは、二つの保持手段がペダル本体の各側に反対に設けられている。
【0006】
両側取り付けクリップレス ペダルを使用することによって、サイクリストは、ペダルのクリート保持手段が設けられている側を捜すことなく、まっすぐ前を見たままで、すばやくクリップ状態に戻してバランスを維持すことができる。
【0007】
両側取り付けペダルは、特許文献4により知られている。このペダルは、コイルばねからなる弾性体を備えており、このコイルばねは、クリートがペダルに係合するときまたは開放するときに圧縮され、緩むと移動爪が初期位置に戻る。両側取り付けペダルの他の例としては、圧縮応力弾性戻し部材を備えたものが、特許文献5に開示されている。この特許文献5における弾性部材は、ペダルの軸の各側に配置された圧縮ばねにより構成されている。
【0008】
この種のものには泥の問題が付き物であり、泥がぺダル取り付けシステムの作動のトラブルの原因となるので、可能な限りペダル本体をくり抜くことによって、また、特に取り付け部材に金属ワイヤで弓状部またはループを形成して、可能な限り細い部材を用いてアタッチメントを改良することによって、泥を容易に取り除くための処置がこれまでに講じられてきた。
【0009】
特許文献6には、ペダルの軸の中央に配置されて、ペダル本体に対してクリートを取り付けるための4つの側を有しており、回転弓状部と固定弓状部との間が各取り付け側となっている、弓状部を備えたクリップレス ペダルが開示されている。
【0010】
特許文献7には、ペダル軸の表面に偏心して配置されたこのような弓状部を備えたクリップレス ペダルが開示されている。
【0011】
これらの弓状部弓状部または爪は、大抵、曲げ応力で作用する金属ワイヤのばねを使用して、ロック位置に戻される。
【0012】
取り付けられた2つの弓状部自体が曲げばねとして働く、軽量化と部品数の低減を図ったクリップレス ペダルが、特許文献8に開示されている。
【0013】
軽量化と部品数の低減を図った他のクリップレス ペダルとして、アタッチメント自体が曲げばねとして弓状部に対して働くものが、特許文献9に開示されている。このアタッチメントの弓状部は、すべて互いに独立している。これらのアタッチメントの弓状部の端部は互いにオフセットされており、クリートを差し込んで応力を加えると、互いにオフセットされた曲げ軸に沿って弓状部が曲がる。
【0014】
MTBクリップレス ペダルは、フランス法の下でルックサイクルの配下の会社によってクォーツの商品名で製造されており、リンク:http//www.lookcycle.com/quartz/を経由してアクセス可能なウエブサイトにおいて提供され、または、リンク:http//www.youtube.com/watch?v=6brlmKvgydE&feature=relatedを経由してアクセス可能なウエブサイトからビデオで提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】フランス特許 第2442175号
【特許文献2】国際公表 第WO2005/016736号公報
【特許文献3】米国公開特許 第2003/066385号公報
【特許文献4】ヨーロッパ特許公開 第557735号公報
【特許文献5】米国特許 第6324941号
【特許文献6】米国特許 第6205885号
【特許文献7】フランス特許 第2861362号
【特許文献8】ヨーロッパ特許 第0296898号
【特許文献9】ヨーロッパ特許 第1780113号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、クォーツの商品名で製造されているペダルは、戻りバネとして働くとともにクリートをペダル本体に取り付ける役割を果たすスチール ワイヤの剛性不足のリスクを受ける可能性がある。この剛性不足のリスクは、不用意な解放につながる可能性がある。
【0017】
クォーツ ペダルはまた、戻りバネとして働くとともにクリートをペダル本体に取り付ける役割を果たすスチール ワイヤ、特にその曲げられた部分に応力が集中するリスクを受ける可能性もある。戻りバネとして働くとともにクリートをペダル本体に取り付ける役割を果たすスチール ワイヤは、応力が集中する領域でより早く劣化して、ますます剛性が少なくなる。
【0018】
本発明の目的は、上記の問題を解決するため、製造と組立が単純で新規な改良されたクリップレス ペダル装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の問題を解決するため、本発明のクリップレス ペダル装置は、
ペダルに設けられた第1固定構造を、サイクリング シューズの靴底の下面に固定された第2固定構造と固定するための取り付け構造を有しており、該取り付け構造は、
弾性手段によって取り付け位置に付勢される少なくとも一つの移動部を備えたクリップレス ペダル装置であって、弾性手段は、
ペダル軸(3)と平行に延びて弾性トーション軸(T)を構成する少なくとも一つの直線状横長の部分を備えていることを特徴とする。
【0020】
本発明の、特にマウンテン バイクに有利となる他の特徴によれば、
−弾性手段は、二組の曲げられた配列と、前記
弾性トーション
軸を構成する少なくとも一つの延長直線部分とを備えており、
−弾性手段は、S字型に配列されて、その中間部分に前記
弾性トーション
軸を構成しており、
−弾性手段は、ピボットを構成する二つの折り返し端を備えており、
−弾性手段は、ワイヤの両端を曲げて中間部分に直線状のトーション応力要素を構成することにより製造されていることが望ましく、
−弾性手段は、ペダル本体に対して側方取り付け手段によって押圧されて取り付けられており、
−ペダル本体は、サイクリング シューズの靴底の下面に固定された保持クリートまたは取り付け部材用の支持プレートに支持されており、
−ペダルは、それぞれ二つの取り付け端を有する二組の曲げられたワイヤ構造を備えており、両側取り付けペダルを形成している。
【0021】
本発明、特にオンロードバイクに有利とな
る他の特徴によれば、
−弾性手段は、ペダル本体に固定されたトーション応力バーと、取り付け爪を形成するレバーとを備えており、
−トーション応力バーは、取り付け爪を形成するレバーに設置されるか、または、取り付け爪を形成するレバーと一体に形成されており、
−トーション応力バーは、ペダル本体に設置されるか、または、ペダル本体と一体に形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】2つの取り付け側を備えた、本発明のクリップレス ペダル装置の第1の実施の形態を詳細に示した分解斜視図である。
【
図2】
図1のペダル装置において、保持クリートの挿入を開始するときの、
図1における矢印Fの方向から見た端部を示した図である。
【
図3】
図1および
図2のペダル装置において、保持クリートの取り付けを示した、
図1における矢印Fの方向から見た端部を示した図である。
【
図4】
図1−3に示したペダル装置の部分を形成するワイヤ取り付け構造の斜視図である。
【
図5】
図1−4を参照して説明した本発明のクリップレス ペダル装置の、実施の形態の部分的な斜視図である。
【
図6】1つの取り付け側を有する、本発明のクリップレス ペダル装置の第2の実施の形態を詳細に示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付の図面を参照して非限定の実施の形態を用いた以下の説明から、本発明をより理解することができるであろう。
【0024】
図1において、マウンテン バイク(MTB)用のクリップレス ペダル装置(1)は、ペダル軸(3)に回転可能の取り付けられるペダル本体(2)と、公知のように、詳細を示していない2つの転がり軸受とを備えている。
【0025】
ペダル軸(3)は、詳細を示していないが、自転車のクランク セットのクランク アームのテーパ孔に係合可能なネジ山を有している。
【0026】
ペダル(1)は、詳細を示していないが、サイクリング シューズの靴底に固定された取り付け部材または保持クリート用の、少なくとも一つの支持プレート(4)を備えている。
【0027】
この支持プレート(4)は、二つの取り付け構造(5a,5b)の間の本体(2)に取り付けられる。取り付け構造(5a,5b)は、それぞれ側方デフレクタ(6a,6b)によってペダルの本体に対して側方に押圧されて取り付けられている。
【0028】
デフレクタ(6a,6b)は、ネジ(7)または他の同等の機械的締結具を用いて取り付けられている。
【0029】
各弾性手段(5a,5b)は、ペダル本体(2)のハウジングと対応してピボットを形成する二つの折り返し端部を有するS字状に形成されている。
【0030】
各弾性手段(5a,5b)は、好ましくはワイヤを端部で曲げて製造して、保持構造を構成する。
【0031】
図2は、保持クリート(10)を挿入し始めた状態の、本発明のクリップレス ペダル装置の詳細を示したものであり、保持クリート(10)は、サイクリング シューズに固定されるが、詳細は示していない。
【0032】
保持クリート(10)の第1鼻部(10a)は、弾性手段(5a)の上端部(8a)の下に係合されている。一方、保持クリート(10)の第2鼻部(10b)は、第2弾性手段(5b)の上部構造(8b)を下方に押圧して離すように移動させると、この弾性手段(5b)の取り付け端部(8b)の下に第2鼻部(10b)を保持することができる。
【0033】
保持クリート(10)の鼻部(10b)の圧力は、端部(8b)に対して力を加える。この力は、ワイヤ構造に伝達されて、弾性手段(5b)を構成する要素の中間部分に、軸(T)回りのトーション効果を発生させる。
【0034】
図3は、保持クリートが、本発明のクリップレス ペダル(1)に取り付る位置にある保持クリート(10)を示したものである。
【0035】
鼻部(10a,10b)は、弾性手段(5a,5b)の取り付け端部(8a,8b)の下に係合されている。
【0036】
軸(T)回りのトーション効果は、取り付け端部(8b)に伝達されて、保持クリート(10)が解放するのを防ぐ。
【0037】
図1−3に示したクリップレス ペダルは、弾性手段(5a,5b)がクリップレス ペダル(1)の中央平面の各側にそれぞれ2つの作用側面を有しているので、2つの保持側面を有する2側クリップレス ペダルである。
【0038】
図4において、弾性手段(5)は、取り付け下方端部(8)と、取り付け上方端部(8)とを備えている。
【0039】
これらの取り付け端部(8)は、すべてを詳細を示していないが、ペダルの本体(2)のハウジングと対応して取り付けられるピボットを形成する端部(9)によって延ばされている。
【0040】
弾性手段(5)の中央部分は、軸(T)を形成する棒材の延長要素を実質的に構成している。この延長要素(5)の軸(T)は、取り付け下方端部(8)と、取り付け上方端部(8)との間に相対的な移動を許容する弾性トーション軸を構成している。
【0041】
トーション軸(T)と取り付け下方端部(8)によって形成されてクリートを保持する平面と、トーション軸(T)と取り付け上方端部(8)によって形成されてペダルの下にクリートを保持する平面とによって、二面角(dihedral angle)を形成することが望ましい。
【0042】
折り返し端部(9)は、ペダルの本体(2)に枢着されていることが望ましい。
【0043】
図1から
図5で詳細に示した実施の形態において、弾性手段(5)を構成するワイヤ装置は、数が2つであり、それらの取り付け端部(8)が両側取り付けペダルを形成している。
【0044】
ペダルの各取り付け側面は、弾性手段(5a,5b)の留め上部端部(8)に対応しているが、別の取り付け側面は、弾性手段(5a,5b)の留め下部端部(8)に対応している。
【0045】
ピボット軸を形成する折り返し端部(9)は、弾性手段(5a,5b)の対称軸に沿った方向の延長中間部分の軸(T)回りにトーション力が加わることによって、弾性手段(5a,5b)の留め上部端部(8)が移動できるようにする。
【0046】
各弾性手段(5a,5b)は、ペダルをペダル軸(3)に対してほぼ平行に延びる中央部分を
有し、全体がS字状のワイヤで製作されている。
【0047】
軸(T)の中央部分は、ペダル軸(3)に対してほぼ平行に延びており、4つの曲がった部分によって静的に冗長なピボットを形成する折り返し端部(9)に接続している。
【0048】
静的に冗長なピボットを形成するこれらの折り返し端部(9)は、ペダル本体(2)に適当な配置で取り付けられる。
【0049】
ピボット軸を形成する端部(9)は、軸(T)に沿う中央トーション部分に平行に延びており、且つ、ペダル本体(2)の軸に対してほぼ平行に延びている。
【0050】
各S字状のワイヤは、例えば鋼などのように弾性を有する素材により製作することが望ましいが、軸(T)回りの捻れを許容する素材の固有の弾性を利用するために、弾性体、プラスチック、繊維強化プラスチックなどで製作することもできる。
【0051】
図5は、弾性手段(5a,5b)のペダル本体(2)に対する位置を示したものである。
【0052】
弾性手段(5a,5b)に対して取り付けて圧力を加えるためのデフレクタ(6a,6b)は、明りょう化するために破線で示されている。
【0053】
図1−5を参照して説明した本発明のクリップレス ペダルは、7つの構成部品からなり、破線で示したデフレクタ(6a,6b)と、ペダル本体(2)と、二つの支持プレート(4)と、および
図1−4を参照して説明した弾性手段(5a,5b)とを備えている。
【0054】
留め部分(8)がクリート(10)によって離れるように移動すると、トーション軸(T)回りに形成された二面角が変形して、開放した二面が形成され、トーション軸(T)に沿って反対方向に捻れが加えられる。
【0055】
受け部端部(8)の下に係合されたクリート(10)の鼻部が保持されると、軸(T)回りに形成された二面体は、当初の位置に戻って、サイクリング シューズを本発明のクリップレス ペダルに固定する位置にクリート(10)を保持する。
【0056】
解放するときにおいては、保持クリート(10)をひねって受け部端部(8)から離すと、保持クリート(10)を外してサイクリング シューズを取り外すことができる。
【0057】
図6は、本発明のクリップレス ペダル装置の第2の実施の形態を詳細に示したもので、特に、オンロード サイクリングに適しているものである。
【0058】
この実施の形態においては、ロード自転車用のクリップレス ペダル装置(11)が、ペダル軸(13)に回転可能に取り付けられた本体(12)を有する場合で詳細に示されているが、転がり軸受自体は公知であるのでその詳細を説明しない。
【0059】
ここでは詳細に示されていないが、軸(13)の一方端には、自転車のクランク セットのクランクに設けられたネジ孔と係合可能なネジ山を備えている。
【0060】
ペダル本体(12)は、詳細に示されていないが、保持クリートを保持または取り付けるための爪を形成するレバー(14)を備えている。
【0061】
保持部材(14)は、軸(T)周りのトーション応力を受けるトーション バーを形成する直線状の矩形部分を備えた弾性手段(15)に固定して取り付けられている。
【0062】
軸(T)周りに捻られるトーション バーを形成する弾性手段(15)は、ペダルの本体(12)に、そして、取り付け爪を形成するレバー(14)に固定され取り付けられていることが望ましい。トーション バー(15)は、取り付け爪を形成するレバー(14)と一体の部分、および/または、ペダル本体(12)と一体の部分に形成することができる。
【0063】
この実施の形態において、トーション バー(15)は、回転を防止するための手段、たとえば矩形形状のバー構造(15b)によって、レバー(14)に挿入されている。
【0064】
本発明の詳細に示されていない代替形式によれば、トーション バー(15)は、接着剤を用いて取り付け爪(14)に挿入することもできる。
【0065】
また、トーションバー(15)は、ペダルの本体(12)にも挿入されており、回転を防止するための手段、たとえば矩形形状のバー構造(15a)によって、その挿入された箇所での回転が防止されている。
【0066】
この実施の形態において、トーション バー(15)は、その位置(15a)が本発明のクリップレス ペダルの本体(12)に挿入されており、また、トーション バー(15)は、その位置(15b)が取り付け爪(14)にも挿入されている。
【0067】
トーションバーの配置(16)は、ペダル本体(12)と取り付け爪(14)の回転の相対的な自由度に対応する。
【0068】
したがって、取り付け爪(14)が移動して保持クリートが挿入されるようにするために、保持クリートが取り付け爪(14)を回転させると、取り付け位置に対して反対方向にある挿入した端部(15a,15b)の間に捻れが発生することとなる。
【0069】
保持クリートが挿入されると、トーション バー(15)のプレストレスは、取り付け爪(14)をサイクリング シューズの保持クリートにロックする。
【0070】
サイクリング シューズを解放するために、保持クリートを捻ると、取り付け爪(14)が離れるよう移動して、軸(T)周りに対抗する捻れを発生させる。
【0071】
上述したように特に二つの実施の形態を参照しつつ説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されることはなく、添付の特許請求の範囲の趣旨、すなわち、移動を許容するとともに取り付け構造の保持力を提供する弾性手段が、トーション応力を付与する要素により構成されている、という本質的な特徴の中に含まれるいかなる形状の変更およびいかなる実施の形態の代替形式にも構成することができる。
【0072】
トーション応力を付与する要素は、たとえば鋼、ゴム、プラスチック、繊維強化プラスチックなどで製作することが望ましく、これにより、構成素材の固有の弾性を利用して軸(T)回りの捻れを許容する。
【0073】
本発明の代替形式では、詳細に説明しなかったが、クリップレス ペダル装置は、サイクリング シューズの靴底の下面に固定された取り付け構造を有しており、該取り付け構造は、トーション応力を付与する要素を備えてなる弾性手段によって取り付け位置に付勢される、少なくとも一つの移動部分を備えている。
【符号の説明】
【0074】
1:クリップレス ペダル装置、 2:ペダル本体、 3:ペダル軸、 4:支持プレート、 5:弾性部材(弾性手段)、 6:デフレクタ、 8:受け部(取り付け構造)、 9:端部、 10:クリート、 11:クリップレス ペダル装置、 14:取り付け爪(レバー)、 15:トーション バー、