特許第5917198号(P5917198)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5917198伸縮可撓式継手とこれを用いたサドル付分水栓
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5917198
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】伸縮可撓式継手とこれを用いたサドル付分水栓
(51)【国際特許分類】
   F16L 19/07 20060101AFI20160422BHJP
   F16L 19/08 20060101ALI20160422BHJP
   F16L 41/06 20060101ALN20160422BHJP
【FI】
   F16L19/07
   F16L19/08
   !F16L41/06
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-44443(P2012-44443)
(22)【出願日】2012年2月29日
(65)【公開番号】特開2013-181574(P2013-181574A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2015年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】390002381
【氏名又は名称】株式会社キッツ
(74)【代理人】
【識別番号】100081293
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 哲男
(72)【発明者】
【氏名】松林 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一聡
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−146072(JP,A)
【文献】 特開平03−234996(JP,A)
【文献】 米国特許第04786090(US,A)
【文献】 特開2006−183839(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3000711(JP,U)
【文献】 特開2006−234031(JP,A)
【文献】 特開平7−213640(JP,A)
【文献】 国際公開第01/48414(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L19/00−19/14
F16L41/00−41/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
継手本体の接続端部に内周円筒面と内周テーパ面を有する拡径部を形成し、この拡径部に螺合した袋ナットの締付により前記拡径部内に装着した環状パッキンで接続管外周を密封シールし、かつ前記袋ナット内に装着した拡縮可能なロックリングで接続管外周をロックするようにした伸縮可撓式継手であって、前記拡径部内周と前記環状パッキンとの間に外周円筒面と外周テーパ面を有し、かつ適宜の厚みを有する環状スペーサを介在させ、前記外周テーパ面に形成した装着溝にシール部材を装着して前記拡径部の内周テーパ面と前記環状スペーサの外周テーパ面とをシールするようにしたことを特徴とする伸縮可撓式継手。
【請求項2】
前記装着溝は、前記環状スペーサの外周円筒面に接続する外周テーパ面の接続基部に形成し、この装着溝にシール部材を装着した請求項1に記載の伸縮可撓式継手。
【請求項3】
前記シール部材は、Oリングである請求項1又は2に記載の伸縮可撓式継手。
【請求項4】
前記袋ナットを締付前に環状スペーサをワッシャを介して前記環状パッキンと前記拡径部との間に装着した状態において、前記袋ナットの締付後で、前記継手本体内に内圧が加わったとき、前記装着溝の小径側に装着したシール部材であるOリングが装着溝の大径側に移動して所定のシール力を発揮するようにした請求項1乃至3の何れか1項に記載した伸縮可撓式継手。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の伸縮可撓式継手を、止水機構を内蔵したサドル付分水栓に適用し、当該分水栓に設けた分岐部を継手本体とし、分岐部の接続端部に拡径部を形成したサドル付分水栓。
【請求項6】
前記拡径部に前記環状スペーサを装着して各種の呼び径を持つ給水管である接続管を接続可能とした請求項5に記載のサドル付分水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮可撓式継手に関し、特に、この継手をサドル式分水栓の継手部に適用し、分水栓の分岐部に各種の呼び径の給水管を確実に接続できるようにしたサドル付分水栓の継手構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、地中に埋設されている水道管から給水管を分岐させるには、サドル付分水栓が使用される。この給水管の分岐にあたり、サドル付分水栓の分岐口に給水管を接続する方式には、管用平行おねじ式と継手一体式の二種類がある。
【0003】
管用平行おねじ式は、専用ソケットの一端部をサドル付分水栓の分岐口に螺着するとともに、他端部に設けた拡径部の内周に装着した環状のパッキンで給水管の外周面を密封シールし、更に拡径部の外周を袋ナットで締め付けることにより、ロックリングを介して給水管を接続する方式である。管用平行おねじ式は、サドル付分水栓の分岐口と給水管との間に専用ソケットを配するため、給水管への分岐作業にあたっては分水栓の周囲にある程度の空間が必要であり、狭い場所での分岐作業はやり難い。
【0004】
継手一体式は、サドル付分水栓の分岐口に拡径部を形成し、この拡径部内周に装着した環状のパッキンで給水管の外周面を密封シールし、更に拡径部の外周を袋ナットで締め付けることにより、ロックリングを介して給水管を接続する方式である。継手一体式は、サドル付分水栓の分岐口が継手と一体化し、専用ソケットを使用していないので、管用平行おねじ式よりも少ない部品点数でサドル付分水栓の分岐口に給水管を接続することができるとともに、継手部がコンパクトに構成されているので、狭い場所での分岐作業も容易に行うことができる。
【0005】
従来は、管用平行おねじ式の接続法を採用したサドル付分水栓であっても、また継手一体式の接続法を採用したサドル付分水栓であっても、給水管の呼び径に対応した呼び径の止水機構を有する分水栓を用意する必要があり、生産上、多大な投資が必要となるばかりでなく、製品の管理が面倒であった。また、サドル付分水栓を施工した後、給水管の径を大きくする必要が生じた場合には、既存のサドル付分水栓を交換して穿孔穴を拡大するか、或いは、既存のサドル付分水栓を閉鎖し、近傍に新しい呼び径の止水機構を有するサドル付分水栓を取付ける必要があり、多大な費用を要していた。
【0006】
この様な問題に対処するため、特許文献1には、少数の部品を交換するだけで、容易に呼び径の異なる給水管を接続することができるサドル付分水栓の継手1が開示されている。この継手1は、図3に示すように、分水栓2の内部に備えた止水機構3の分岐部4を継手本体5とし、分岐部4の接続端部に形成した拡径部6と環状パッキン7との間に、外周円筒面にOリング8を有する環状スペーサ9を着脱可能に装着することにより、給水管の呼び径の大小に対応することができようにしている。このため、特許文献1の継手1を備えたサドル付分水栓では、当初は、需要見積りに対応する呼び径よりも大きい呼び径の止水機構3を備えた分水栓2を取付けるとともに、需要見積りに対応する呼び径の給水管を分水栓2に接続し、将来、水道の需要が増加した場合には、既存の分水栓2を交換することなく、単に環状スペーサ9等の少数の部品を交換するのみで、増加した需要に対応するより大きな呼び径の給水管を接続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−146072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載された継手1を備えた分水栓2に止水機構3の呼び径よりも小さい呼び径の接続管を接合する際には、先ず、継手本体5に形成された拡径部6内周に環状スペーサ9を収納し、環状スペーサ9内周に環状パッキン7を装着する。その後、ロックリング10とワッシャ11を装着した袋ナット12のめねじ部13を、拡径部6の外周に形成されているおねじ部14に1〜2山程度ねじ込んだ後、袋ナット12の挿入孔から接続管を差し込む。差し込まれた接続管の先端は、ロックリング10の内周面に求心方向に配設されているボール10aに接し、ロックリング10及びワッシャ11を、ワッシャ11が環状パッキン7に当接するまで移動させる。これにより、ロックリング10の外周には拡径可能なスペースが生じると共に、ロックリング10はワッシャ11を介して環状パッキン7に当接しているため、接続管の先端がロックリング10の内周面に求心方向に配設されているボール10aを押し広げ、接続管はロックリング10を通過して環状パッキン7の挿入孔を挿通する。次に、袋ナット12を締め付けると、ロックリング10は袋ナット12の内周に形成した傾斜面により外側から圧縮されて縮径し、ロックリング10のボール10aが接続管の外周面に食い込むと共に、環状パッキン7は前面に配したワッシャ11を介して拡径部6の内周面に押圧されて接続管の外周面を密封シールするため、止水機構3の呼び径よりも小さい呼び径の接続管を分水栓2の継手1に確実に接合することができる。
【0009】
また、継手保持部材15を使用し、継手1の構成部品である袋ナット12、ロックリング10、ワッシャ11、環状パッキン7及び環状スペーサ9を一式にまとめた状態で拡径部6内周に装着することもでき、構成部品を個別に装着する場合より、接続管の接合作業がより簡単になる。この場合には、事前に継手保持部材15により前記の各構成部品が一体にまとめられているので、袋ナット12のめねじ部13を拡径部6の外周に形成されているおねじ部14に1〜2山程度ねじ込んだ後、継手部材15を引き抜くだけで、構成品の装着作業は終了する。このとき、環状スペーサ9は拡径部6内周に略収容された状態であり、ロックリング10とワッシャ11との間には十分な距離があるので、袋ナット12の挿入孔から差し込んだ接続管に押されたロックリング10は、周囲に拡径するためのスペースが十分にある位置まで移動することができる。
【0010】
一方、Oリング8は、環状スペーサ9の外周円筒面に形成された装着溝に装着され、外周面円筒面から上部が突出している。このため、環状スペーサ9を拡径部6内に収納する際、図3に示すように、環状スペーサ9の外周筒面から突出しているOリング8と拡径部6の先端が干渉し、環状スペーサ9を拡径部6内周に収納しにくいことがある。
【0011】
継手保持部材15を使用して継手1の構成部品を一式にまとめた状態で拡径部6内周に
装着する際にこの様な干渉が発生すると、図3に示すように、環状スペーサ9の外周筒面から突出しているOリング8と拡径部6の先端が干渉するため、環状スペーサ9はその位置で係止され、拡径部6内周に完全には収納されない。
【0012】
このため、図3に示すように、ロックリング10とワッシャ11間の距離は極めて近く、袋ナット12の挿入孔から差し込んだ接続管の先端でロックリング10を押しても、ロックリンが10は、周囲に十分に拡径可能なスペースがある位置まで移動することができない。さらに接続管を押し込んでロックリング10の内周面に求心方向に配設されているボール10aを押し広げ、接続管を通過させようとすると、ロックリング10は十分に拡径することができないため、接続管の挿入はやりにくく、施工性が悪かった。
【0013】
本発明は、従来の課題を解決するために開発したものであり、サドル付分水栓に設けた分岐部の拡径部にOリングを装着した環状スペーサを確実に収納させ、各種の呼び径の接続管を接合可能とし、かつ給水管の挿入時にロックリングの必要な拡径スペースを保持することを可能とし、もって、施工性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、継手本体の接続端部に内周円筒面と内周テーパ面を有する拡径部を形成し、この拡径部に螺合した袋ナットの締付により前記拡径部内に装着した環状パッキンで接続管外周を密封シールし、かつ前記袋ナット内に装着した拡縮可能なロックリングで接続管外周をロックするようにした伸縮可撓式継手であって、前記拡径部内周と前記環状パッキンとの間に外周円筒面と外周テーパ面を有し、かつ適宜の厚みを有する環状スペーサを介在させ、前記外周テーパ面に形成した装着溝にシール部材を装着して前記拡径部の内周テーパ面と前記環状スペーサの外周テーパ面とをシールするようにした伸縮可撓式継手である。
【0015】
請求項2に係る発明は、前記環状スペーサの外周円筒面に接続する外周テーパ面の接続基部に形成し、この装着溝にシール部材を装着した伸縮可撓式継手である。
【0016】
請求項3に係る発明は、シール部材は、Oリングとした伸縮可撓式継手である。
【0017】
請求項4に係る発明は、袋ナットを締付前に環状スペーサをワッシャを介して前記環状パッキンと前記拡径部との間に装着した状態において、前記袋ナットの締付後で、前記継手本体内に内圧が加わったとき、前記装着溝の小径側に装着したシール部材であるOリングが装着溝の大径側に移動して所定のシール力を発揮するようにした伸縮可撓式継手である。
【0018】
請求項5に係る発明は、前記拡径部内周と前記管状パッキンとの間に外周円筒面と外周テーパ面を有し、かつ適宜の厚みを有する環状スペーサを介在させ、前記環状スペーサの前記外周円筒面に接続する前記外周テーパ面の外周接続基部に形成した装着溝にOリングを装着して、前記拡径部の内周テーパ面と前記環状スペーサの外周テーパ面とをシールするようにした伸縮可撓式継手を、止水機構を内蔵したサドル付分水栓に適用し、当該分水栓に設けた分岐部を継手本体とし、分岐部の接続端部に拡径部を形成したサドル付分水栓である。
【0019】
請求項6に係る発明は、環状スペーサを装着して各種の呼び径を持つ給水管である接続管を接続可能とした伸縮可撓式継手を用いたサドル付分水栓である。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に係る発明によると、環状スペーサに装着したシール部材の装着位置を環状スペーサの外周テーパ面に設けたことで、接合時に継手本体の拡径部に環状スペーサを確実に収納できるので、接続管の挿入時にロックリングの拡径スペースを保つことができるため、接続管の接合による施工性が著しく向上すると共に、従来の不具合を一挙に解消することができる。
【0021】
請求項2に係る発明によると、装着溝は、外周テーパ面の接続基部に設けているので、環状スペーサを拡径部に確実に収納できると共に、シール部材は、所定のシール力を有効に発揮することができる。
【0022】
請求項3に係る発明によると、シール部材はOリングを用いることによって、環状スペーサを拡径部に円滑にかつ確実に収納でき、しかも、一様のシール力を確実に得ることができる。
【0023】
請求項4に係る発明によると、袋ナットを締付固定すると、環状スペーサは、ワッシャを介して環状パッキンに押圧されて環状パッキンと拡径部との間に確実に収納され、しかも、継手本体内に水圧(内圧)が加わったときに、装着溝の小径側に装着したOリングが大径側に移動して所定の位置でOリングが圧縮され、同様のシール力が発揮される。
【0024】
請求項5に係る発明によると、接続端部に給水管を挿入すると、ロックリングが必要な拡径スペースを保った状態で接続管が挿入されるので、接続管はロックリングで確実にロックされると共に、環状パッキンで接続管の外周を密封シールするため、接続管接合時の施工性が極めて良好であり、従来品と比して優れた機能を有するサドル付分水栓を提供することができる。
【0025】
請求項6に係る発明によると、サドル付分水栓を取り換えることなく、接続管の呼び径の大小に応じて少ない部品点数で接続管を接合することが可能なサドル付分水栓を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明におけるサドル付分水栓の分岐部に継手の袋ナットを螺合した初期状態を示す断面図である。
図2図1の状態から袋ナットを締付固定した状態の継手部分を示す部分拡大図である。
図3】従来のサドル付分水栓の分岐部に継手の袋ナットを螺合した初期状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明における伸縮可撓式継手をサドル付分水栓に適用した実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明におけるサドル付分水栓の分岐部に継手の袋ナットを螺合した初期状態を示す断面図であり、図2図1の状態から袋ナットを締付固定した状態の継手部分を示す部分拡大図である。
【0028】
図1において、本発明における伸縮可撓式継手を適用したサドル付分水栓は、図示しない水道管に環状のガスケット21を介してサドル22を図示しないボルトナットで取付け、このサドル22に分水栓23を図示のようなフランジ結合式で、又はねじ込み式で固定している。
【0029】
分水栓23の内部には止水機構24を設けており、この止水機構24は三方口25aを有するボール25を一対のボールシート26、26で支受けし、このボール25をステム27により回動自在に設けている。さらに、分水栓23の上部には、穿孔具等を挿入するためのキャップ28aで被蓋した取付口28を設けている。
【0030】
止水機構部24の筒型状の分岐部29の接続端部に拡径部30を形成し、拡径部30を有する分岐部29を継手本体31としている。この拡径部30は、内周面に内周円筒部32と開口側に拡がった内周テーパ面33を設けた構造であり、この拡径部30の外周には、おねじ部34を形成している。
【0031】
拡径部30の内周には、環状パッキン35を装着し、拡径部30内周と環状パッキン35との間に、外周テーパ面にシール部材であるOリング36を装着した環状スペーサ37を介在させている。
【0032】
拡径部30の外周に形成したおねじ部34には、内周にめねじ部38を形成した袋ナット39が螺合しており、また、袋ナット39の内周には、ロックリング40、ワッシャ41及びOリング42が装着されている。
【0033】
図2において、環状スペーサ37は、先端に拡大筒部37aを、中間にテーパ部37bを、後端に縮径部37cを一体に形成され、適宜な厚みを有している。環状スペーサ37も厚さや縮径部37cの挿通孔37dの径を変化させることにより、複数の呼び径の接続管43に対応可能である。また、拡大筒部37aの外周には外周円筒面44を、テーパ部37bの外周には外周テーパ面45が形成されている。環状スペーサ37の外周円筒面44に接続する外周テーパ面45の接続基部には、Oリング36を装着するための装着溝46を形成している。この装着溝46は、外周テーパ面45の接続基部である大径側位置に設けられている。
【0034】
図2において、Oリング36の装着溝46は、内径側の内壁を外周テーパ面と垂直に形成し、外径側の内壁を管軸方向43aと垂直に形成している。これにより、装着溝46の加工が管軸方向43aと垂直の方向から確実に行われると共に、内圧が加わって装着溝46の外径側に移動したOリング36は、略三角形の断面領域で保持され、図2におけるa点、b点、c点の三点で確実に固定シールすることが可能となる。
なお、Oリング36は、その半径方向に、成形型のパーティングラインである合わせ面が存在することがある。本実施例では、外周テーパ面45を利用してシールするので、前記パーティングラインの突起を避けてシールすることができる。
【0035】
袋ナット39は、図2に示すように、円筒部39aと、一端に向かって断面積が漸次減少するような形状のテーパ部39bとを接合した形状であって、これらの円筒部39aとテーパ部39bとの間に段差部39cを形成している。この袋ナット39の円筒部39aの内周には、めねじ部38を形成しており、拡径部30の外周に形成したおねじ部34と螺着する。また、袋ナット39のテーパ部39b内周の縁端部には、弾性材料により形成されたダストシール材48が装着されている。
【0036】
袋ナット39のテーパ部39b内周には、略環状に成型されて内周面に沿って複数のボール40aが配設されたロックリング40が配置されている。このロックリング40は、ボール40aを接続管43外周面に喰い込ませて、接続管43の引抜を防止する喰い込み部材である。
【0037】
本例におけるロックリング40は、樹脂で形成したリング状の部材の内周面に多数のボール40aを均等に埋設し、ボール40aを部材の内周面より求心方向に突設させ、しかもボール40a同士の間の部材には、部材の軸方向に沿って交互に割り溝40bを設け、部材の外周を押圧すると部材が縮径し、ボール40aが接続管43の外周面に食い込むようにしている。このロックリング40は、ボール40aを用いた方式以外であってもよく、接続管43の外周に喰い込む喰い込み部材であれば良い。
【0038】
環状パッキン35は、ゴム等の弾性環状部材からなり、環状スペーサ37の内周に設けたテーパ面と当接する外周面を有している。この環状パッキン35を環状スペーサ37内周に装着することで、接続管43を接合したときに、この接続管43が可撓性を持った状態で密封支持される。
【0039】
袋ナット39内側の係合面49と環状パッキン35の間にはワッシャ41が装着され、このワッシャ41の外周側にOリング42が装着されている。このOリング42により、拡径部30と袋ナット39の間がシールされる。
【0040】
次に、サドル付分水栓の分岐部29に接続管43を接続する例を説明する。
【0041】
図1において、分岐部29に設けた拡径部30内周に、Oリング36を装着した環状スペーサ37を収納する。シール部材としてOリング36を用いており、Oリング36は環状スペーサ37の外周テーパ面45に形成された装着溝46内に装着される。このため、環状スペーサ37を拡径部30内周に装着する際に、Oリング36が拡径部30と干渉することがなく、環状スペーサ37の装着は極めて容易であり、環状スペーサ37は拡径部30内周に円滑かつ確実に収納される。環状スペーサ37を拡径部30内周に装着した後、環状スペーサ37内周に環状パッキン35を装着する。
【0042】
次に、袋ナット39のテーパ部39b内周にロックリング40を、袋ナット39の円筒部39a内周にワッシャ41とOリング42を装着した後、図1に示すように、袋ナット39の内周に形成しためねじ部38と拡径部26の外周に形成したおねじ部34を螺合させ、1〜2山程度ねじ込む。
【0043】
その後、接続管43を袋ナット39の挿入孔から挿入すると、接続管43の先端は、ロックリング40の内周面に埋設されているボール40aに当接する。この時、上述のとおり、環状スペーサ37は拡径部30内周に完全に収納されているので、図1に示すように、ロックリング40とワッシャ41との間には十分な距離がある。そのため、接続管43に押されたロックリング40は、周囲に拡径するためのスペースが十分にある位置まで移動することができる。
【0044】
接続管43をさらに押し込むと、ロックリング40はワッシャ41を介して環状パッキン35に当接して移動することができなくなるため、接続管43の先端はロックリング40のボール40aを遠心方向に押し広げ、ロックリング40は拡径して接続管43を通過させる。上記のように、この時、ロックリング40の外周には拡径するために十分なスペースがあるため、ロックリング40は小さな力で容易に拡径する。
【0045】
接続管43が溝付き管の場合には、接続管43を十分に押し込んだ後に引張り、ロックリング40のボール40aが接続管43の溝に入っていることを確認する。接続管43が溝なしの場合には、管端に表示した差込み線が袋ナット39の挿入孔に達するまで確実に押し込む。これにより、接続管43は環状パッキン35の挿入孔を挿通し、所要の長さ分挿入される。
【0046】
接続管43の外周に形成した溝にロックリング40のボール40aが入っていること、又は接続管43の管端に表示した差込み線が所定の位置まで達していることを確認した後、袋ナット39を規定のトルクで締め付けると、ロックリング40は袋ナット39のテーパ部39bの内周テーパ面により外側から圧縮されて縮径し、ロックリング40の内周面に配設されているボール40aが接続管43の外周面に形成されている溝、若しくは接続管43の外周面に食い込むことにより、接続管43をサドル付分水栓に接合することができると同時に、袋ナット39内側の係合面49がワッシャ41を介して環状スペーサ37と環状パッキン35を拡径部30内周に押圧する。
【0047】
拡径部30内周に押圧された環状スペーサ37の外周テーパ面45は、拡径部30の内周テーパ面33に当接すると共に、環状スペーサ37の外周テーパ面45の形成された装着溝46に装着されたOリング36が拡径部30の内周テーパ面33により圧縮され、Oリング36は、環状スペーサ37の外周テーパ面45と拡径部30の内周テーパ面33の間を一様にシールする。
【0048】
また、環状パッキン35は、拡径部30の内周テーパ面33に当接した環状スペーサ37の内周テーパ面にワッシャ41を介して押圧され、中心方向に縮径するので、接続管43の外周は環状パッキン35により密封シールされると共に、接続管43は可撓性を持った状態で支持される。
【0049】
一方、図1の鎖線で示したように、継手保持部材50を使用して接続管43を接合する場合には、先ず、袋ナット39の円筒部39a内周にOリング42を装着し、継手保持部材50にOリング42を装着した袋ナット39、ロックリング40、ワッシャ41、環状パッキン35、Oリング36を装着した環状スペーサ37の順に装着した後、これらを保持板50aの先端の設けた係止部50bで係止し、これらの構成部品を一式にまとめた状態にする。
【0050】
次に、継手保持部材50で一式にまとめた構成部品を、保持板50aの係止部50b側から拡径部30内周に挿入し、袋ナット39の内周に形成しためねじ部38と拡径部30の外周に形成したおねじ部34とを螺合させ、1〜2山程度ねじ込んだ後、継手保持部材50を引き抜く。
【0051】
このとき、環状スペーサ37は、外周テーパ面44に設けた装着溝46に装着したOリング36が拡径部30と干渉しないため、完全に拡径部30内周に収納されているので、図1に示すように、ロックリング40とワッシャ41との間には十分な距離がある。そのため、接続管43に押されたロックリング40は、周囲に拡径するためのスペースが十分にある位置まで移動することができ、接続が確実に実施でき、極めて施工性が良好である。
【0052】
その後、接続管43を袋ナット39の挿入孔から挿入すると、挿入した接続管43の先端がロックリング40の内周面に埋設されているボール40aに当接することにより、ロックリング40をワッシャ41に当接するまで移動させる。
【0053】
さらに、接続管43を押し込むと、ロックリング40はワッシャ41を介して環状パッキン35に当接して移動することができないため、接続管43の先端はロックリング40のボール40aを遠心方向に押し広げ、ロックリング40は拡径して接続管43を通過させる。これ以降の接合手順は、継手保持部材50を使用しない場合と同じである。
【0054】
次いで、サドル付分水栓に接続管43を接続した後、止水機構24を開状態にすると、継手本体31内に水圧(内圧)が加わり、装着溝46が外周テーパ面45に形成されているため、装着時には装着溝46の小径側に位置しているOリング36は、図2に示すように、圧力側面から水圧を受けて大径側に移動すると共に、水圧により圧縮されて自己密封作用を発揮する。特に水圧が加わると、装着溝46の外径側に移動するOリング36は、図2におけるa点、b点、c点の三点で確実にシールされる。
【0055】
以上の様に、本発明における伸縮可撓式継手を適用したサドル付分水栓は、分水栓を交換することなく、既存の袋ナット、ロックリング、ワッシャ、環状アダプタ、環状パッキン、Oリングを、新しい呼び径の接続管に対応する袋ナット、ロックリング、ワッシャ、環状アダプタ、環状パッキン、Oリングに交換するだけで、既存の分水栓をそのまま使用して新しい呼び径の接続管を簡単に接合することができるので、作業性及び経済性に極めて優れ、その利用価値は非常に大きい。
【0056】
本発明における伸縮可撓式継手は、環状スペーサのOリングの装着位置を外周テーパ面に変更したことにより、環状スペーサを円滑かつ確実に継手本体に設けた拡径部内周に収納させることができると共に、環状スペーサを拡径部内周へ確実に収納させることによって、ロックリングの拡径に必要なスペースを確保することができるので、各種の呼び径の接続管を接合する際の施工性の向上を図ることができる。
【0057】
以上、本発明における伸縮可撓継手とこれを用いたサドル付分水栓の実施形態について詳述したが、本発明は、前記実施の形態記載に限定されるものではなく、一般の伸縮可撓式継手としても使用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0058】
23 分水栓
24 止水機構
30 拡径部
32 内周円筒面
33 内周テーパ面
35 環状パッキン
36 Oリング
37 環状スペーサ
40 ロックリング
41 ワッシャ
43 接続管
44 外周円筒面
45 外周テーパ面
46 装着溝
図1
図2
図3