(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように構成されたフェンスでは、パネルの見付け面に外力を加える等してパネルを面外方向に変形させた場合にも、支柱に対してパネルの端部がその長手方向に移動する。このため、パネルの変形量によっては、パネルの端部が支柱から脱落する事態を招来する恐れがある。
【0005】
ここで、パネルを変形させた際にパネルの端部が支柱から脱落するか否かは、パネルの端面からパネルを支柱に支持する箇所までの距離(以下、「掛かり代」という)に大きく影響される。すなわち、パネルの端部と支柱との掛かり代が大きく確保されていれば、パネルが大きく変形した場合にもパネルの端部が支柱から脱落する事態を防止することが可能となる。
【0006】
しかしながら、パネルの端部と支柱との掛かり代は、適用する支柱の寸法や支柱の設置間隔、あるいはフェンスを設置する場所等の条件に大きく影響されるものであり、常に大きく確保できるものではない。特に、端面が対向した状態で2つのパネルを支持する支柱においては、パネルの端面の間に伸長変形を吸収できるだけのスペースを確保する必要があるため、掛かり代として確保できる寸法も著しく制限されることになり、比較的小さい外力が加えられた場合にもパネルの端部が容易に脱落する恐れがある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みて、気温の変化に伴うパネルの伸長変形に対応することができ、かつパネルの端部と支柱との掛かり代を十分に確保できない場合にも、外力によってパネルの端部が支柱から脱落する事態を確実に防止することのできるフェンスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係るフェンスは、設置面に立設した複数の支柱の間に渡ってパネルを配設することにより構成されるフェンスであって、パネルの端部に位置する支柱には、
係合部を介して前記パネルの係合部に当接する係合部材を設け、前記パネルにはその見込み面に凹部を形成することによって前記係合部を形成し、前記係合部材には前記パネルの凹部に対応する部位に突部を形成することによって前記係合部を形成し、前記パネルの凹部に前記係合部材の突部を収容させた状態で前記支柱に前記パネルを支持させることにより、前記支柱に対して前記パネルの端部が互いの対向面積を増加する方向に移動する場合にはこれを許容し、かつ前記パネルの端部が互いの対向面積を減少する方向に移動する場合には
前記係合部材の係合部に前記パネルの係合部を当接させることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、パネルの端部が支柱から脱落する方向に移動する場合、パネルの見込み面に設けた凹部の係合部と係合部材に設けた突部の係合部とが互いに当接し、パネルの端部が支柱から脱落する方向の移動が制限される。
【0012】
また、本発明
に係るフェンスは、設置面に立設した複数の支柱の間に渡ってパネルを配設することにより構成されるフェンスであって、パネルの端部に位置する支柱には、係合部を介して前記パネルの係合部に当接する係合部材を設け、前記パネルにはその見込み面に突部を形成することによって前記係合部を形成し、前記係合部材には前記パネルの突部に対応する部位に凹部を形成することによって前記係合部を形成し、前記係合部材の凹部に前記パネルの突部を収容させた状態で前記支柱に前記パネルを支持させることにより、前記支柱に対して前記パネルの端部が互いの対向面積を増加する方向に移動する場合にはこれを許容し、かつ前記パネルの端部が互いの対向面積を減少する方向に移動する場合には前記係合部材の係合部に前記パネルの係合部を当接させることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、パネルの端部が支柱から脱落する方向に移動する場合、パネルの見込み面に設けた突部の係合部と係合部材に設けた凹部の係合部とが互いに当接し、パネルの端部が支柱から脱落する方向の移動が制限される。
【0014】
また、本発明
に係るフェンスは、設置面に立設した複数の支柱の間に渡ってパネルを配設することにより構成されるフェンスであって、パネルの端部に位置する支柱には、係合部を介して前記パネルの係合部に当接する係合部材を設け、前記パネルにはその見付け面に凹部を形成することによって前記係合部を形成し、前記係合部材には前記パネルの凹部に対応する部位に突部を形成することによって前記係合部を形成し、前記パネルの凹部に前記係合部材の突部を収容させた状態で前記支柱に前記パネルを支持させることにより、前記支柱に対して前記パネルの端部が互いの対向面積を増加する方向に移動する場合にはこれを許容し、かつ前記パネルの端部が互いの対向面積を減少する方向に移動する場合には前記係合部材の係合部に前記パネルの係合部を当接させることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、パネルの端部が支柱から脱落する方向に移動する場合、パネルの見付け面に設けた凹部の係合部と係合部材に設けた突部の係合部とが互いに当接し、パネルの端部が支柱から脱落する方向の移動が制限される。
【0016】
また、本発明
に係るフェンスは、設置面に立設した複数の支柱の間に渡ってパネルを配設することにより構成されるフェンスであって、パネルの端部に位置する支柱には、係合部を介して前記パネルの係合部に当接する係合部材を設け、前記パネルには前記支柱に対向する見付け面に凹部を形成することによって前記係合部を形成し、前記係合部材には前記支柱において前記パネルの凹部に対応する部位に突設することによって前記係合部を形成し、前記パネルの凹部に前記係合部材の突部を収容させた状態で前記支柱に前記パネルを支持させることにより、前記支柱に対して前記パネルの端部が互いの対向面積を増加する方向に移動する場合にはこれを許容し、かつ前記パネルの端部が互いの対向面積を減少する方向に移動する場合には前記係合部材の係合部に前記パネルの係合部を当接させることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、パネルの端部が支柱から脱落する方向に移動する場合、パネルの見付け面に設けた凹部の係合部と係合部材の突設された係合部とが互いに当接し、パネルの端部が支柱から脱落する方向の移動が制限される。
【0018】
また、本発明は、上述したフェンスにおいて、前記パネルは、前記支柱の長手方向に沿って複数並設されるものであり、前記係合部材は、複数のパネルの見込み面の間に介在する状態で前記支柱に取り付けられ、前記パネルの取付間隔を規定するスペーサとして機能することを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、パネルの端部が支柱から脱落する方向の移動を制限する係合部材によって、パネルの取付間隔が規定される。
【0020】
また、本発明は、上述したフェンスにおいて、前記係合部材は、少なくとも前記パネルの下方に位置した見込み面に対向する支持部と、前記パネルの見付け面を覆うカバー部とを一体に成形したものであり、前記係合部材の支持部と前記パネルの見込み面との間に前記係合部を形成したことを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、係合部材によってパネルの端部を支柱に支持させることが可能となる。
【0022】
また、本発明は、上述したフェンスにおいて、前記係合部材は、前記支柱との間に前記パネルを介在させる状態で前記支柱に取り付けられたものであり、前記パネルの見付け面との間に前記係合部を形成したことを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、係合部材によってパネルの端部を覆い隠すことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、パネルの端部に位置する支柱に係合部材を設けることにより、支柱に対してパネルの端部が対向面積を減少する方向に移動する場合に係合部材をパネルに係合させてその移動を制限することができるため、パネルの端部と支柱との掛かり代を十分に確保できない場合にも、外力によってパネルの端部が支柱から脱落する事態を確実に防止することが可能となる。しかも、係合部材は、支柱に対してパネルの端部が互いの対向面積を増加する方向に移動することを許容するものであるため、気温の変化に伴ってパネルがその長手方向に沿って伸長変形する場合にも、パネルの中間部が面外方向に湾曲する等の外観品質上の問題を招来する恐れがない。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係るフェンスの好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0027】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1であるフェンスを示したものである。ここで例示するフェンスは、例えば家屋の周囲等、屋外に設置して敷地の内部領域と外部領域とを仕切る場合に適用されるもので、その設置面から鉛直上方に向けて立設した複数の支柱10と、支柱10の長手方向に沿って並設した複数のパネル20とを備えて構成してある。支柱10は、横断面が矩形の柱状部材であり、フェンスによって仕切る領域の境界に沿って所定の間隔で配設してある。パネル20は、ポリスチレン等の合成樹脂によって押し出し成形した長尺の平板状部材である。図には明示していないが、本実施の形態1では、パネル20の両端部及びパネル20の中間部をそれぞれ支柱10の支持面11に支持させることができるように、パネル20の長さが設定してある。
【0028】
パネル20の中間部とこれに対応して配設された支柱10との間は、パネル20に形成したネジ挿通孔21を介して支柱10の支持面11にネジSを締結することにより、パネル20と支柱10との相対移動を制限した状態で連結してある。
【0029】
これに対してパネル20の端部と、パネル20の端部に対応して配設された支柱10との間は、支柱10の支持面11に取り付けたスペーサ(係合部材)30及びカバー40によってパネル20が支柱10に支持させてある。
図2の(a)に示すように、互いに端面が対向する2枚のパネル20の間には、気温の上昇に伴ってパネル20がその長手方向に沿って伸長変形した場合にも両者が接触しないだけの隙間dが確保してある。
【0030】
スペーサ30は、
図1に示すように、支柱10の支持面11からの突出高さがパネル20の板厚とほぼ同じとなり、かつ支持面11の幅とほぼ同じ長さを有するように構成したもので、互いに端面が対向する2枚のパネル20の間に渡って配置してある。このスペーサ30は、両端部に設けたネジ挿通孔31を介して支柱10の支持面11にネジSを締結することにより、支柱10の長手方向に沿って並設したパネル20の相互間に介在する位置に取り付けてある。スペーサ30の上下に位置してパネル20の板厚方向に沿った面(以下、「見込み面」という)は、それぞれが対向するパネル20の見込み面に当接しており、複数のパネル20の取付間隔を規定し、かつその状態を維持するように機能する。
【0031】
カバー40は、パネル20の端部及びスペーサ30を覆う大きさに形成した平板状部材である。このカバー40は、スペーサ30に対応する位置に形成したネジ挿通孔41を介してスペーサ30にネジSを締結することにより、支柱10の支持面11と上下一対のスペーサ30との間にパネル20の端部を収容する収容空間を確保した状態で支柱10に取り付けてある。カバー40において支柱10の支持面11に対向する見付け面は、パネル20の端部に位置する見付け面に近接した状態で対向しており、パネル20の端部が支柱10の支持面11から離隔する方向に移動する場合に当接してその移動を制限するように機能する。
【0032】
一方、パネル20の端部とスペーサ30との間には、それぞれに互いに当接可能な係合面(係合部)20A,30Aが設けてある。本実施の形態1では、
図2の(a)に示すように、パネル20の見込み面に凹部22を形成し、かつスペーサ30の見込み面に突部32を一体に形成し、パネル20の凹部22にスペーサ30の突部32を収容させることで、これら凹部22と突部32との間に互いに当接可能で平坦な係合面20A,30Aを設けている。パネル20に設ける凹部22及びスペーサ30に設ける突部32は、それぞれ見付け方向から見た場合の横断面が矩形状に形成してあるが、凹部22の内部において突部32がパネル20の長手方向に沿って相対的に移動できるように突部32に対して凹部22が大きな寸法に形成してある。
【0033】
ここで、パネル20の凹部22にスペーサ30の突部32を収容させた場合には、それぞれの凹部22において2組の面が互いに当接可能な状態となる。すなわち、パネル20の凹部22とスペーサ30の突部32との間には、支柱10に対してパネル20の端部が互いに対向する部分の面積(以下、単に「対向面積」という)を減少する方向に移動する場合に互いに当接する面20A,30Aと、支柱10に対してパネル20の端部が互いの対向面積を増加する方向に移動する場合に互いに当接する面20B,30Bとが存在する。しかしながら、本実施の形態1でいう係合面とは、支柱10に対してパネル20の端部が互いの対向面積を減少する方向に移動する場合に互いに当接する面20A,30Aである。以下においては、両者を区別するため、支柱10に対してパネル20の端部が互いの対向面積を増加する方向に移動する場合に互いに当接する面を非係合面20B,30Bと称することとする。
【0034】
図2の(a)からも明らかなように、パネル20の係合面20Aとスペーサ30の係合面30Aとの間の距離は、通常の状態にある場合、パネル20の非係合面20Bとスペーサ30の非係合面30Bとの間の距離よりも小さく設定してある。パネル20の非係合面20Bとスペーサ30の非係合面30Bとの間に確保する距離は、気温の上昇に伴ってパネル20が伸長変形した場合にもパネル20の非係合面20Bとスペーサ30の非係合面30Bと接触しないように設定してある。
【0035】
上記のように構成したフェンスによれば、気温の上昇に伴ってパネル20が伸長変形する場合には、つまり、
図2の(b)に示すように、支柱10に対してパネル20の端部が互いの対向面積を増加する方向に移動する場合には、パネル20の係合面20Aとスペーサ30の係合面30Aとが離隔する方向に移動することになる。上述したように、パネル20の端面相互間、並びにパネル20の非係合面20Bとスペーサ30の非係合面30Bとの間には、十分な間隙が確保してある。従って、気温が上昇してパネル20が長手方向に伸長する場合にも、支柱10に対してパネル20の端部が適宜移動することでパネル20の長手方向への伸長変形が妨げられることがなくなり、支柱10の間のパネル20が面外方向に湾曲する等の外観品質上の問題を招来する恐れがない。
【0036】
一方、支柱10に対してパネル20の端部が対向面積を減少する方向に移動する場合には、
図2の(c)に示すように、スペーサ30の係合面30Aとパネル20の係合面20Aとが互いに当接することになり、支柱10に対するパネル20の端部の移動が物理的に制限されることになる。従って、フェンスの設置状況によってパネル20の端部と支柱10との対向面積(掛かり代)を十分に確保できない場合にも、外力によってパネル20の端部が支柱10から脱落する事態を確実に防止することが可能となる。
【0037】
従って、パネル20の係合面20Aを構成する部分並びにスペーサ30の係合面30Aを構成する部分に、支柱10に対してパネル20の端部が対向面積を減少する方向に移動する場合にも、破損することなく抗することができるように耐荷重性能を担保しておけば、フェンスとして安定した一定の品質を確保することができるようになる。
【0038】
さらに、パネル20の見込み面に凹部22を設ける加工は、予めパネル20を製造した工場において実施しても良いが、現場においても適宜手工具を用いて容易に実施することが可能である。従って、フェンスの設置現場においてパネル20を所望の長さに切断する必要が生じた場合であっても、その後、新たに凹部22を設けてスペーサ30の突部32を収容させることができ、現場での施工性に優れる。
【0039】
尚、上述した実施の形態1では、スペーサ30の上下両見込み面にそれぞれ係合部30Aを設けるとともに、パネル20の上下両見込み面に係合部20Aを設けるようにしているが、必ずしもこれに限らない。例えば、スペーサ30の上方に位置する見込み面にのみ係合部を設け、かつパネル20の下方に位置する見込み面にのみ係合部を設けるようにしても良いし、逆に、スペーサ30の下方に位置する見込み面にのみ係合部を設け、かつパネル20の上方に位置する見込み面にのみ係合部を設けるようにしても良い。
【0040】
また、上述した実施の形態1では、スペーサ30に突部32を一体に成形するようにしているが、スペーサ30の見込み面にネジを締結したり、ピンを突設する等々、スペーサ30とは別体に突部を設けるようにしても構わない。
【0041】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2であるフェンスを示したものである。ここで例示するフェンスは、実施の形態1と同様、支柱にパネルを支持させることによって設置される屋外用のもので、実施の形態1とはパネルとスペーサとの間に設ける係合部の構成が異なっている。尚、以下においては、実施の形態1と異なる部分を中心に説明を行い、実施の形態1と同様の構成は同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0042】
図4の(a)に示すように、実施の形態2のフェンスでは、パネル120の見込み面に突部121を形成し、かつスペーサ130の見込み面に凹部131を形成し、スペーサ130の凹部131にパネル120の突部121を収容させることで、これら突部121と凹部131との間に互いに当接可能な係合部120A及び係合面(係合部)130Aを設けている。パネル120の見込み面に設ける突部121としては、
図3に示すように、締結したネジSの頭部を例示しているが、パネル120に突部121を一体に成形しても良いし、ネジSの代わりにピンを突設する等して突部121を設けても構わない。スペーサ130に設ける凹部131は、その内部においてパネル120に設けた突部121がパネル120の長手方向に沿って相対的に移動できるように突部121に対して大きな寸法に形成してある。尚、本実施の形態2においても係合部120A及び係合面130Aとは、支柱10に対してパネル120の端部が互いの対向面積を減少する方向に移動する場合に互いに当接する部分である。以下においては、支柱10に対してパネル120の端部が互いの対向面積を増加する方向に移動する場合に互いに近接する部分を非係合部120B及び非係合面130Bと称して両者を区別することとする。また、
図4の(a)に示すように、通常の状態にある場合、パネル120の係合部120Aとスペーサ130の係合面130Aとの間の距離が、パネル120の非係合部120Bとスペーサ130の非係合面130Bとの間の距離よりも小さく設定してあるのは実施の形態1と同様である。
【0043】
上記のように構成したフェンスによれば、気温の上昇に伴ってパネル120が伸長変形し、
図4の(b)に示すように、支柱10に対してパネル120の端部が互いの対向面積を増加する方向に移動する場合には、パネル120の係合部120Aとスペーサ130の係合面130Aとが離隔する方向に移動することになる。従って、気温が上昇してパネル120が長手方向に伸長する場合にも、支柱10に対してパネル120の端部が適宜移動することでパネル120の長手方向への伸長変形が妨げられることがなくなり、支柱10の間のパネル120が面外方向に湾曲する等の外観品質上の問題を招来する恐れがない。
【0044】
一方、支柱10に対してパネル120の端部が対向面積を減少する方向に移動する場合には、
図4の(c)に示すように、スペーサ130の係合面130Aとパネル120の係合部120Aとが互いに当接することになり、支柱10に対するパネル120の端部の移動が物理的に制限されることになる。従って、フェンスの設置状況によってパネル120の端部と支柱10との対向面積(掛かり代)を十分に確保できない場合にも、外力によってパネル120の端部が支柱10から脱落する事態を確実に防止することが可能となる。
【0045】
従って、パネル120の係合面120Aを構成する部分並びにスペーサ130の係合面130Aを構成する部分に、支柱10に対してパネル120の端部が対向面積を減少する方向に移動する場合にも、破損することなく抗することができるように耐荷重性能を担保しておけば、フェンスとして安定した一定の品質を確保することができるようになる。
【0046】
尚、上述した実施の形態2では、スペーサ130の上下両見込み面にそれぞれ係合部130Aを設けるとともに、パネル120の上下両見込み面に係合部120Aを設けるようにしているが、必ずしもこれに限らない。例えば、スペーサ130の上方に位置する見込み面にのみ係合部を設け、かつパネル120の下方に位置する見込み面にのみ係合部を設けるようにしても良いし、逆に、スペーサ130の下方に位置する見込み面にのみ係合部を設け、かつパネル120の上方に位置する見込み面にのみ係合部を設けるようにしても良い。
【0047】
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3であるフェンスを示したものである。ここで例示するフェンスは、実施の形態1と同様、支柱にパネルを支持させることによって設置される屋外用のもので、実施の形態1とは支柱に対してパネルの端部を支持する構成及び係合部材の構成が異なっている。尚、以下においては、実施の形態1と異なる部分を中心に説明を行い、実施の形態1と同様の構成は同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0048】
実施の形態3のフェンスでは、パネル20の中間部と、パネル20の中間部に対応して配設された支柱10との間をネジSで締結する点は同じであるが、パネル20の端部とこれに対応して配設された支柱10との間は、ブラケット(係合部材)230によってパネル20を支柱10に支持させてある。ブラケット230は、パネル20の見付け面を覆うカバー部231と、カバー部231の上下両端部からそれぞれ屈曲してパネル20の見込み面を覆う一対の支持部232と、支持部232の先端から互いに離隔する方向に屈曲した一対の取付部233とを一体に成形したものである。このブラケット230は、取付部233に設けたネジ挿通孔234を介して支柱10の支持面11にネジSを締結することにより、支柱10の長手方向に並設される複数のパネル20の取付間隔を規定し、かつその状態を維持するとともに、パネル20の端部が支柱10の支持面11から離隔する方向に移動する場合に当接してその移動を制限するように機能する。
【0049】
パネル20の端部とブラケット230との間には、それぞれに互いに当接可能な係合面(係合部)20A及び係合突部230Aが設けてある。本実施の形態3では、パネル20の見込み面に凹部22を形成し、かつパネル20の見込み面に向けて突出するようにブラケット230の支持部232に突部235を一体に形成し、パネル20の凹部22にブラケット230の突部235を収容させることで、これら凹部22と突部235との間に互いに当接可能な係合面20A及び係合突部230Aを設けている。ブラケット230の支持部232に突部235を設ける場合には、図に示すように、支持部232の外表面から凹部を形成することで、パネル20の見込み面に対向する部分を突出させれば良い。図には明示していないが、パネル20に設ける凹部22は、その内部において支持部232の突部235がパネル20の長手方向に沿って相対的に移動できるように突部235に対して大きな寸法に形成してある。尚、本実施の形態3においても係合面20A及び係合突部230Aとは、支柱10に対してパネル20の端部が互いの対向面積を減少する方向に移動する場合に互いに当接する部分である。
【0050】
上記のように構成したフェンスによれば、気温の上昇に伴ってパネル20が伸長変形し、支柱10に対してパネル20の端部が互いの対向面積を増加する方向に移動する場合には、パネル20の係合面20Aとブラケット230の係合突部230Aとが離隔する方向に移動することになる。従って、気温が上昇してパネル20が長手方向に伸長する場合にも、支柱10に対してパネル20の端部が適宜移動することでパネル20の長手方向への伸長変形が妨げられることがなくなり、支柱10の間のパネル20が面外方向に湾曲する等の外観品質上の問題を招来する恐れがない。
【0051】
一方、支柱10に対してパネル20の端部が対向面積を減少する方向に移動する場合には、ブラケット230の係合突部230Aとパネル20の係合面20Aとが互いに当接することになり、支柱10に対するパネル20の端部の移動が物理的に制限されることになる。従って、フェンスの設置状況によってパネル20の端部と支柱10との対向面積(掛かり代)を十分に確保できない場合にも、外力によってパネル20の端部が支柱10から脱落する事態を確実に防止することが可能となる。
【0052】
従って、パネル20の係合面20Aを構成する部分並びにブラケット230の係合突部230Aを構成する部分に、支柱10に対してパネル20の端部が対向面積を減少する方向に移動する場合にも、破損することなく抗することができるように耐荷重性能を担保しておけば、フェンスとして安定した一定の品質を確保することができるようになる。
【0053】
尚、上述した実施の形態3では、ブラケット230の上下両支持部232にそれぞれ係合突部230Aを設けるとともに、パネル20の上下両見込み面に係合面20Aを設けるようにしているが、必ずしもこれに限らず、ブラケット230の一方の支持部232にのみ係合突を設け、かつパネル20の対応する見込み面にのみ係合部を設けるようにしても良い。
【0054】
また、上述した実施の形態3では、支持部232の外表面から凹部を形成することで突部235を設けるようにしているが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図6の変形例に示すように、ブラケット230′の支持部232′にコの字状の切欠を形成することによって突部230A′を切り起こすように一体成形することも可能である。尚、
図6において
図5に示した実施の形態3と同様の構成には同一の符号が付してある。また、支持部232にネジやピン等の別部品を貫通保持させることで突部を設けても構わない。
【0055】
(実施の形態4)
図7及び
図8は、本発明の実施の形態4であるフェンスを示したものである。ここで例示するフェンスは、実施の形態1と同様、支柱にパネルを支持させることによって設置される屋外用のもので、実施の形態1とは係合部の構成が異なっている。尚、以下においては、実施の形態1と異なる部分を中心に説明を行い、実施の形態1と同様の構成は同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0056】
実施の形態4のフェンスでは、パネル320において支柱10の支持面11に対向する見付け面及びカバー40に対向する見付け面にそれぞれ凹部321を形成し、かつ支柱10の支持面11及びカバー40の内表面にそれぞれ突部310,410を設け、パネル320の凹部321に突部310,410を収容させることで、これら突部310,410と凹部321との間に互いに当接可能な係合面(係合部)310A,410A,320Aを設けている。パネル320の見付け面に設ける凹部321は、支柱10の長手方向に沿って形成した溝状を成し、パネル320の上下両見込み面にそれぞれ開口するものである。支柱10の支持面11及びカバー40の内表面に設ける突部310,410としては、支柱10やカバー40と一体に成形しても良いし、別途成形した部材を取り付けることで突部310,410としても構成しても良い。本実施の形態4では、別体に成形した角柱状を成す部材を支柱10の支持面11及びカバー40の内表面に取り付けることで突部310,410を構成している。
図8に示すように、パネル320に設ける凹部321は、その内部において突部310,410がパネル320の長手方向に沿って相対的に移動できるように突部310,410に対して大きな寸法に形成してある。尚、本実施の形態4においても係合面310A,410A,320Aとは、支柱10に対してパネル320の端部が互いの対向面積を減少する方向に移動する場合に互いに当接する面である。以下においては、支柱10に対してパネル320の端部が互いの対向面積を増加する方向に移動する場合に互いに当接する面を非係合面310B,410B,320Bと称して両者を区別することとする。また、通常の状態にある場合、パネル320の係合面320Aと支柱10及びカバー40の係合面310A,410Aとの間の距離が、パネル320の非係合面320Bと支柱10及びカバー40の非係合面310B,410Bとの間の距離よりも小さく設定してあるのは実施の形態1と同様である。尚、
図7中の符号330は、パネル320の見込み面に当接することにより、支柱10の長手方向に沿って並設される複数のパネル320の取付間隔を規定し、かつその状態を維持するように機能するスペーサである。
【0057】
上記のように構成したフェンスによれば、気温の上昇に伴ってパネル320が伸長変形し、支柱10に対してパネル320の端部が互いの対向面積を増加する方向に移動する場合には、パネル320の係合面320Aと支柱10及びカバー40の係合面310A,410Aとが離隔する方向に移動することになる。従って、気温が上昇してパネル320が長手方向に伸長する場合にも、支柱10に対してパネル320の端部が適宜移動することでパネル320の長手方向への伸長変形が妨げられることがなくなり、支柱10の間のパネル320が面外方向に湾曲する等の外観品質上の問題を招来する恐れがない。
【0058】
一方、支柱10に対してパネル320の端部が対向面積を減少する方向に移動する場合には、支柱10及びカバー40の係合面310A,410Aとパネル320の係合面320Aとが互いに当接することになり、支柱10に対するパネル320の端部の移動が物理的に制限されることになる。従って、フェンスの設置状況によってパネル320の端部と支柱10との対向面積(掛かり代)を十分に確保できない場合にも、外力によってパネル320の端部が支柱10から脱落する事態を確実に防止することが可能となる。
【0059】
従って、パネル320の係合面320Aを構成する部分並びに支柱10及びカバー40の係合面310A,410Aを構成する部分に、支柱10に対してパネル320の端部が対向面積を減少する方向に移動する場合にも、破損することなく抗することができるように耐荷重性能を担保しておけば、フェンスとして安定した一定の品質を確保することができるようになる。
【0060】
尚、上述した実施の形態4では、支柱10の支持面11とパネル320の見付け面との間に係合面310A,320Aを設けるとともに、カバー40の内表面とパネル320の見付け面との間に係合面410A,320Aを設けるようにしているため、パネル320の脱落に関わる耐荷重性能をより高く設定することが可能であるが、支柱との間もしくはカバーとの間のいずれか一方に設けるようにしても良い。