(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5917239
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】果菜自動選別方法と、果菜自動選別用背凭れ具と、果菜自動選別用果菜キャリアと、果菜自動選別装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/46 20060101AFI20160422BHJP
B07C 5/36 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
B65G47/46 H
B07C5/36
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-84367(P2012-84367)
(22)【出願日】2012年4月2日
(65)【公開番号】特開2013-212909(P2013-212909A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2014年11月19日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成23年12月29日、日本協同企画株式会社が、「多野藤岡農業協同組合 JA多野藤岡トマト・なす選別施設」に、果菜自動選別装置を引渡し
(73)【特許権者】
【識別番号】391017702
【氏名又は名称】日本協同企画株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(72)【発明者】
【氏名】宮田 和男
【審査官】
加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−005464(JP,A)
【文献】
特開2009−274878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 1/00−99/00
B65G 47/34−47/51
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
往復回転可能なベルトを備えた果菜キャリアに果菜をのせて搬送し、搬送中に果菜を計測して果菜の等階級を判別し、判別結果に基づいて果菜を送り出す果菜自動選別方法において、果菜をのせる凹部と当該凹部にのせた果菜を支持できる支持凸部を備えたベルト式の果菜キャリアの前記凹部に果菜の一部をのせ、当該果菜のうち凹部からはみ出た部分をベルトの上に載せて、当該果菜を支持凸部で支持して搬送するようにしたことを特徴とする果菜自動選別方法。
【請求項2】
請求項1記載の果菜自動選別方法において、
果菜キャリアが果菜の等階級判別後に所定位置まで到来すると、前記ベルトが凹部及び支持凸部と共に回転して、前記果菜を果菜キャリアの移動方向側方に送り出す、
ことを特徴とする果菜自動選別方法。
【請求項3】
請求項2記載の果菜自動選別方法において、
果菜を果菜キャリアの移動方向斜め後方に送り出す、
ことを特徴とする果菜自動選別方法。
【請求項4】
果菜を往復回転可能なベルトを備えた果菜キャリアにのせ、当該果菜キャリアの背凭れ具により果菜を支持して搬送し、搬送中に果菜を計測して果菜の等階級を判別し、判別結果に基づいて果菜を送り出す果菜自動選別用の前記果菜キャリアに取付けられた背凭れ具において、背凭れ具が果菜の一部を載せる凹部と、当該凹部にのせた果菜を支持できる支持凸部を備え、前記ベルトの回転と共に移動する、
ことを特徴とする果菜自動選別用背凭れ具。
【請求項5】
請求項4記載の果菜自動選別用背凭れ具において、
支持凸部が少なくとも凹部の移動方向後方に設けられた、
ことを特徴とする果菜自動選別用背凭れ具。
【請求項6】
請求項4記載の果菜自動選別用背凭れ具において、
支持凸部が凹部の移動方向後方と、左右両側面又は左右いずれかの一方の側面に設けられた、
ことを特徴とする果菜自動選別用背凭れ具。
【請求項7】
果菜を往復回転可能なベルトを備えた果菜キャリアにのせて、当該果菜キャリアの背凭れ具により果菜を支持して搬送し、搬送中に果菜を計測して果菜の等階級を判別し、判別結果に基づいて果菜を送り出す果菜自動選別用果菜キャリアにおいて、果菜キャリアが背凭れ具を備え、その背凭れ具が果菜の一部を載せる凹部と、当該凹部にのせた果菜を支持できる支持凸部を備え、前記ベルトの回転と共に移動する、
ことを特徴とする果菜自動選別用果菜キャリア。
【請求項8】
請求項7記載の果菜自動選別用果菜キャリアにおいて、
ベルトが一枚又は複数本であり、複数本の場合は背凭れ具がそれら複数本のベルトに跨って配置され、複数本のベルトは横幅が同じ又は異なるものであり、それら複数本のベルトは同時に回転し、背凭れ具がそれら複数本のベルトの回転に伴って移動する、
ことを特徴とする果菜自動選別用果菜キャリア。
【請求項9】
請求項8記載の果菜自動選別用果菜キャリアにおいて、
複数本のベルトが、果菜搬送方向斜め後方に向けて配置された、
ことを特徴とする果菜自動選別用果菜キャリア。
【請求項10】
請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の果菜自動選別用果菜キャリアにおいて、
果菜キャリアが切り替えスイッチを備え、その切り替えスイッチは作業者が果菜を果菜キャリアのベルトの上にのせるときに果菜を目視判別し、その判別結果に応じて操作することができる、
ことを特徴とする果菜自動選別用果菜キャリア。
【請求項11】
果菜を往復回転可能なベルトを備えた果菜キャリアにのせて、当該果菜キャリアの背凭れ具により果菜を支持して搬送し、搬送中に果菜を計測して果菜の等階級を判別し、判別結果に基づいて果菜を送り出す果菜自動選別装置において、果菜自動選別装置は無端搬送体に多数の果菜キャリアが連結されて果菜選別ラインが形成され、果菜選別ラインに果菜載せ部、果菜を計測して等階級を判別する計測部、計測部での計測判別結果に基づいて果菜を仕分けして、果菜選別ラインの側方に配置された果菜受け体に送り出す仕分け部を備え、前記果菜キャリアが請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の果菜キャリアである、
ことを特徴とする果菜自動選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種果菜をサイズ別、形状別、色別、糖度別などの規格(等階級)別に選別するための果菜自動選別方法と、果菜自動選別用背凭れ具と、果菜自動選別用果菜キャリアと、果菜自動選別装置に関するものであり、トマト、桃、梨、メロン、胡瓜、小玉西瓜などの丸物果菜を選別できるのは勿論のこと、茄子、胡瓜、ズッキーニ等の長物果菜の選別に特に適するものである。
【背景技術】
【0002】
トマトなどの果菜を選別する装置として、本件発明者が先に発明したベルト式の果菜自動選別装置(特許文献1)がある。この果菜自動選別装置はチェーン(無端搬送体)に多数の果菜キャリアが連結されて果菜選別ラインが構成され、果菜選別ラインに果菜載せ部、果菜を計測して等階級を判別する計測部(計測・判別部)、計測部での計測判別結果に基づいて等級別に仕分ける仕分け部を備えている。この果菜自動選別装置では、果菜載せ部において作業者が果菜キャリアの上に一個ずつ果菜をのせると、搬送中に計測部で果菜が計測されて等階級が判別され、その判別信号に基づいて、仕分け部で果菜キャリアのベルトが往回転して果菜を果菜選別ラインの側方の果菜受け体(プールコンベア)に送り出し、プールコンベアの上にプールされた果菜を箱詰めできるようにしてある。この場合、前記ベルトの上に仕切り体(背凭れ具)を設け、その背凭れ具で果菜を後方から支持して、プールコンベアに送り出される果菜が位置ずれしたり傾いたり、転倒したりしないようにしてある。果菜が搬送中に果菜搬送体の上で位置ずれしたり傾いたりすると、計測部の真下を正規の姿勢で通過できないため計測に狂いが生じ、等階級が誤判別されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−99285号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記ベルト式の果菜自動選別装置は格別問題はないが、強いていえば、茄子や胡瓜のように長物果菜の場合は、果菜キャリアを長くしないと載せにくいとか、載せることができない(はみ出す)といったことがあった。
【0005】
本発明は、果菜キャリアを格別長くしなくとも、茄子や胡瓜のように長物果菜をのせることができ、搬送中や果菜受け体への送り出し時に果菜が安定して転倒したり位置ずれしたりしにくい(しない)果菜自動選別方法と、果菜自動選別用背凭れ具と、その背凭れ具を備えた果菜自動選別用果菜キャリアと、その果菜キャリアを備えた果菜自動選別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の果菜自動選別方法は、往復回転可能なベルトを備えた果菜キャリアに果菜をのせて搬送し、搬送中に果菜を計測して果菜の等階級を判別し、判別結果に基づいて果菜を送り出す果菜自動選別方法において、果菜を載せる凹部と当該凹部にのせた果菜を支持できる支持凸部を備えたベルト式の果菜キャリアの前記凹部に果菜の一部をのせ、当該果菜のうち凹部からはみ出た部分をベルトの上に載せて、当該果菜を前記支持凸部で支持して搬送するようにした方法である。
【0007】
本発明の果菜自動選別用背凭れ具は、往復回転可能なベルトを備えた果菜キャリアに果菜をのせ、当該果菜キャリアの背凭れ具により果菜を支持して搬送し、搬送中に果菜を計測して果菜の等階級を判別し、判別結果に基づいて果菜を送り出す果菜自動選別用背凭れ具において、背凭れ具が果菜の一部を載せる凹部と、当該凹部にのせた果菜を支持できる支持凸部を備えたものである。この場合、支持凸部を凹部の移動方向後方と、左右両側面又は左右いずれかの一方の側面に設けることができる。
【0008】
本発明の果菜自動選別用果菜キャリアは、往復回転可能なベルトを備えた果菜キャリアに果菜をのせて、当該果菜キャリアの背凭れ具により果菜を支持して搬送し、搬送中に果菜を計測して果菜の等階級を判別し、判別結果に基づいて果菜を送り出す果菜自動選別用果菜キャリアにおいて、果菜キャリアが背凭れ具を備え、その背凭れ具を前記背凭れ具としたものである。
【0009】
本発明の果菜自動選別装置は、往復回転可能なベルトを備えた果菜キャリアに果菜をのせて、当該果菜キャリアの背凭れ具により果菜を支持して搬送し、搬送中に果菜を計測して果菜の等階級を判別し、判別結果に基づいて果菜を送り出す果菜自動選別装置において、果菜自動選別装置はチェーン(無端搬送体)に多数の果菜キャリアが連結されて果菜選別ラインが形成され、果菜選別ラインに果菜載せ部、果菜を計測して等階級を判別する計測部、計測部での計測判別結果に基づいて仕分けして、果菜選別ラインの側方に配置された果菜受け体(プールコンベア)に送り出す仕分け部を備え、果菜キャリアを前記果菜キャリアとしたものである。この場合、果菜キャリアの送り出し側を無端搬送体の搬送方向に対して斜め後方に向けて、又は搬送方向に対して直角に向けて、又は可能であれば斜め前方に向けて取付けることもできる。また、果菜選別ラインの側方に果菜をプールできる果菜受け体を配置することもできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の果菜自動選別方法は、背凭れ具の凹部に果菜の一部をのせ、当該果菜のうち凹部からはみ出た部分をベルトの上に載せ、凹部に載せた果菜を支持凸部で支持するので、長物果菜を搬送中も送り出し時も安定し、位置ずれしたり傾いたりし難くなり、精度の高い計測ができ、果菜に傷なども付きにくい。
【0011】
本発明の果菜自動選別用背凭れ具は、背凭れ具が果菜の一部を載せる凹部と、当該凹部にのせた果菜を支持できる支持凸部を備えるので、長物果菜を搬送中も送り出し時も安定させることができる。
【0012】
本発明の果菜自動選別用果菜キャリアは、果菜の一部を載せる凹部と、当該凹部にのせた果菜を支持できる支持凸部がある背凭れ具を備えるので、長物果菜を搬送中も送り出し時も安定させることができる。
【0013】
本発明の果菜自動選別装置は、果菜キャリアが凹部と凸部のある背凭れ具を備えているので、長物果菜でも精度の高い計測と、安定した送り出しができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の果菜自動選別装置の実施形態の一例を示す平面図である。
【
図2】本発明の果菜キャリアの一例であり、四本の細幅ベルトを斜めに配列した場合の斜視図。
【
図3】本発明の果菜キャリアの上に茄子を載せた状態の斜視図。
【
図4】本発明の果菜キャリアの一例であり、ベルトが一枚物の場合の斜視図。
【
図5】本発明の果菜キャリアの一例であり、同じ幅の四本の細幅ベルトを平行に配列した場合の斜視図。
【
図6】本発明の果菜キャリアの一例であり、異なる幅の四本の細幅ベルトを平行に配列した場合の斜視図。
【
図8】本発明の果菜キャリアのベルトの移動構造を示す説明図。
【
図9】本発明の果菜キャリアのベルトを移動させた状態の説明図。
【
図10】本発明の果菜キャリアのべルトとガイドピンの連結構造の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(果菜自動選別方法の実施形態)
本発明の果菜自動選別方法の一例を
図1、
図2に基づいて説明する。往復回転可能なベルト1を備えた果菜キャリア2がチェーン(無端搬送体)3に多数取付けられ、果菜キャリア2が無端搬送体3の回転走行に伴ってその走行方向に移動して、果菜キャリア2の上の果菜4(
図3)を搬送し、搬送中に果菜4を計測装置で計測して果菜の等階級を判別し、判別結果に基づいて果菜4を果菜キャリア2の上か側方の果菜受け体(例えば、プールコンベア)20に送り出す果菜自動選別方法である。この場合、ベルト1の上方に突出する背凭れ具6を備え、背凭れ具6が果菜4を載せる凹部7(
図2)と当該凹部7(
図2)にのせた果菜4を支持する支持凸部8を備えたベルト式の果菜キャリアを使用し、その凹部7に果菜4の一部をのせ、当該果菜4のうち凹部7からはみ出た部分をベルト1の上に載せて当該果菜4を前記支持凸部8で支持し、その支持状態で果菜4を無端搬送体3の走行方向に搬送し、所定位置まで搬送してきたときに判別結果に基づいてベルト1が回転して果菜4を前記判別結果別(等階級別)にベルト1及び凹部7の上から、果菜キャリア2の側方に配置された果菜受け体20に送り出して果菜4を等階級別に選別するようにした方法である。
【0016】
(果菜自動選別用背凭れ具の実施形態)
本発明の果菜自動選別用背凭れ具の一例を図面に基づいて説明する。この実施形態の果菜自動選別用背凭れ具は、往復回転可能なベルト1を備えた果菜キャリア2に果菜4をのせ、当該果菜キャリア2の背凭れ具6により果菜4を支持して搬送し、搬送中に果菜4を計測して果菜の等階級を判別し、判別結果に基づいて果菜4を送り出す果菜自動選別用背凭れ具において、背凭れ具6が果菜4の一部を載せる凹部7と、当該凹部7にのせた果菜4を支持できる支持凸部8を備えたものである。
【0017】
図3は果菜4が茄子の場合であるが、果菜4には各種形状のものがあるため、凹部7の形状、深さ、広さ等は載せる果菜4の種類、形状、大きさ等に合わせて設計する。支持凸部8ものせる果菜4の種類、形状、大きさ、背丈等に合わせて設計する。
図2では支持凸部8が茄子のへた部分から離れているが、茄子のへた部分の側方に接触するように凹部7側に張り出させることもできる。図示した背凭れ具6は支持凸部8が凹部7の移動方向後方と一方の側面にしか設けてないが、支持凸部8は凹部7の左右両側面に設けることもできる。
【0018】
図1、
図2に示す例では、四本(この本数は任意数とすることができる)の細長のベルト1を斜めに配置してあるが、ベルト1は
図3や
図4のような一枚物でも、
図5のような同じ幅のベルトを数本(
図5では4本)並べたものであっても、
図6のように幅の異なる細幅ベルトを数本(
図5では4本)並べたものであってもよい。
【0019】
(果菜自動選別用果菜キャリアの実施形態)
本発明の果菜自動選別用果菜キャリア2は、無端搬送体3に取付けるベース10(
図7)と、ベルト1を巻く数本のガイド(図では四本)12(
図2)と、背凭具6と、切り替えスイッチSWを備える。
【0020】
ベース10は、平板状の基板10aの長手方向両側(
図7の左右)に下向き(
図7は裏返しにしてあるため上向き)に設けた取付け板10bを備え、両取付け板10bを無端搬送体3に螺子止めとか他の手段で固定して、無端搬送体3の回転走行に伴って、その走行方向に移動するようにしてある。ベース10は金属製とか硬質樹脂製として形状が固定されている。基板10aには光学式計測部の光が透過するための透孔10c(
図7)が開口されている。
【0021】
図2のガイド12は、ベルト1と同じ数(四本)あり、これらガイド12の横幅はベルト1の幅と同じかやや広めにしてあり、これら四本のガイド12は二本の案内バー12c(
図8、
図10)と樹脂で一体成型されている。四本のガイド12の夫々の軸方向両端部には回転ローラ12bが回転自在に取付けられている。四本のガイド12と夫々のガイド12の両端の回転ローラ12bの外周にはベルト1が巻かれている。
【0022】
前記二本のガイドバー12cにはそれと別体に成型されたスライダー13(
図8)がガイドバー12cの軸方向にスライド可能に嵌合されている。スライダー13は前記ベルト1を上下から挟んでいる連結片14(
図8、
図10)に連結され、スライダー13から下方に一本のガイドピン15が突設されており、このガイドピン15をガイドバー12cの軸方向に移送させるとスライダー13がガイドバー12cの軸方向に移動し、それに伴って四本のベルト1が夫々のガイド12及び回転ローラ12bの外周を同時に回転するようにしてある。
【0023】
果菜キャリア2が
図1の矢印方向(
図1の左方向)に搬送されて仕分け部までくると、ガイドピン15が無端搬送体3の仕分け部の下に配置されている往ガイド(切替えバーとか溝等:図示しない)に沿って果菜受け体20側に移動して果菜4を斜め後方に送り出し、その後もそのまま無端搬送体3で移動されると、無端搬送体3の下に配置されている復ガイド(切替えバーとか溝等:図示しない)に沿って果菜受け体20と反対側に復回転する(戻る)ようにしてある。果菜キャリア2の背凭れ具6は果菜搬送前も果菜搬送中も一例に並んでおり、これにより、背凭れ具6で支持されている果菜が一例に並んで計測装置の下を通過できるようにしてある。
【0024】
前記切り替え用のガイドバーはロータリーソレノイドにより切り替え駆動される。ロータリーソレノイドは計測装置の判別信号を受けて動作するようになっており、例えば、排出すべき果菜4を載せた果菜キャリア2が所定位置まで来ると、平常時直進状態にある切替えバーを斜め進行状態に切り替えてガイドピン15をスライドさせて果菜4を搬出する。この箇所よりも搬送方向先方には前記ガイドピン15を元の位置に復帰させて搬送ベルト及び背凭れ具6を元の位置に一列に戻すためのガイド(図示せず)が設けられている。
【0025】
前記連結片14(
図8)は背凭れ具6に
図10のように連結されて、前記ガイドピン15の移動に伴って前記ベルト1が往回転すると、その往回転に伴ってベルト1の移動方向に移動するようにしてある。背凭れ具6は
図3のように果菜4の一部(果菜4が茄子の場合は
図3のように、へた側)を載せる凹部7と、当該凹部7にのせた果菜4を後方及び側方から支持できる支持凸部8を備えている。
図3のように、果菜4のへたを凹部7に載せ、それからはみ出した部分をベルト1の上に載せると、その果菜は、ベルト1が前記のように往回転することにより、果菜搬送方向斜め後方に設けられた果菜受け体20の上に送り出されるようにしてある。
【0026】
夫々の果菜キャリア2には切り替えボタン(スイッチ)SW(
図1)が二つ設けられている。このスイッチSWは果菜キャリア2の上に果菜4をのせる作業者が、のせるときに果菜4の底面の傷とか、果菜4の変色、色ムラ、変形等(計測部で計測や判別のできない箇所の傷、変形、色等)を目視でチェックして、それら傷、変形等がある場合は一方のスイッチSWを押し、色が悪い場合は他方のスイッチSWを押し、傷があり且つ色が悪い場合屋色ムラがある場合は双方のスイッチSWを押すといったように、果菜4の状態に応じて作業者がスイッチSWを操作すると、その信号が仕分け部に伝送されて果菜キャリア2を移動させてその果菜キャリア2の上の果菜4を仕分けできるようにしてある。このスイッチSWは一個でも、三個以上でもよい。多ければ多くの仕分けができる。図示したスイッチSWは果菜4を載せる作業者側に配置されているが、果菜キャリア2のうち作業者側と反対側に設けることもできる。
【0027】
(果菜自動選別装置の実施形態)
本発明の果菜自動選別装置は、無端搬送体3に多数の果菜キャリア2が取付けられている。果菜選別ラインには作業者が手で果菜を載せる供給部と、搬送中の果菜4のサイズ、形状、色、糖度を計測して等階級を判別する計測・判別部が配置され、計測・判別部よりも終点側(図の右側)には、等階級別に果菜4を果菜受け体20に送り出す送り出し部(仕分け部)を備えている。計測部は画像処理、光学処理といった果菜4の計測に適した方式とすることができる。計測部は果菜4の大きさ、形状、傷、色などから、あらかじめ指定された条件に基づいて等階級を判別することができる。この計測装置からは等階級を指示する判別信号が出力される。ロードセルを設けて果菜キャリア2の重量を計測して果菜4の重量計測を行うこともできる。
【0028】
図1の果菜自動選別装置は、果菜4を往復回転可能なベルト1を備えた果菜キャリア2にのせて、果菜4の後方を当該果菜キャリア2の背凭れ具6で支持して搬送し、搬送中に果菜4を計測して果菜の等階級を判別し、判別結果に基づいて果菜4を所定の果菜受け体(例えば、平ベルトコンベア)20に送り出すことができる。
【0029】
果菜キャリア2には本発明の前記果菜キャリア2が使用され、その果菜キャリア2がチェーン(無端搬送体)3に多数連結されて果菜選別ラインを構成する。この場合、果菜キャリア2は無端搬送体3に斜め後方に向けて取付けて、果菜4がベルト1の回転で斜め後方に送り出されるようにしてある。無端搬送体3に取付ける果菜キャリア2の向きは、無端搬送体に対して直角にすることもでき、可能であれば、前方に向けて斜めに設けることもできる。無端搬送体3は平面的に周回するような循環走行とすることもできる。
【0030】
図1では果菜キャリア2の側方に果菜受け体20を直に配置してあるが、必要であれば、果菜キャリア2と果菜受け体20の間に、ベルトコンベア、ローラーコンベア等の各種方式の中継具を配置することもできる。中継具は果菜キャリア2に対して直角に配置することも所望角度で斜めに配置することもできる。この場合、斜め後方に向けて斜めに配置することにより、急激な方向転換が緩和されて、送り出される果菜4が転がったり、位置ずれしたりすることなく果菜受け体20の上にスムースに送りされるようにするのがよい。
【0031】
果菜受け体20は遅いスピードで連続移動するものでも、一定の時間間隔で間欠移動するものでも、果菜キャリア2から果菜4が送り出される度に移動するものでも、所定数量の果菜4がプールされると自動的に移動するものでもよく、他の方式で移動するものでもよい。いずれの場合も、果菜受け体20の上に多くの果菜をプールできるようにする。
【0032】
前記実施形態では、個々の果菜キャリア2にスイッチSWの代わりに他の方法とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本願発明の果菜自動選別方法、果菜自動選別装置は果菜の選別に限られず、農産物、海産物等の一次産業品、工業製品のような二次産業品といった各種物品の自動選別に応用することもできる。
【符号の説明】
【0034】
1 ベルト
2 果菜キャリア
3 無端搬送体
4 果菜
6 背凭れ具
7 凹部
8 支持凸部
10 ベース
10a 基板
10b 取付け板
10c 透孔
12 ガイド
12b 回転ローラ
12c 案内バー
13 スライダー
14 連結片
15 ガイドピン
20 果菜受け体(プールコンベア)
SW 切り替えスイッチ