【実施例】
【0066】
HGF遺伝子のプロモーター領域の部分配列である19432961番目の塩基から19432991番目の塩基までのpoly A repeat数変異を、本発明の多型検出用プローブを使用し評価した実施例について、以下に述べる。
【0067】
(実施例1)
実施例1では、本発明の多型検出用プローブを利用し、HGF遺伝子のプロモーター領域におけるpoly A repeat数変異について、全自動SNPs検査装置(商品名i−densy(IS−5310)、アークレイ社製)を用いTm解析を行った。i−densy(IS−5310)に添加するプローブ等の溶液、試薬の処方は下記の表の通りである。
【表1】
【0068】
上記表1におけるプローブとは、3T−HGF−WT−F1プローブ(正常型検出用プローブ)であり、配列を下記に示す。
3T−HGF−WT−F1プローブ、配列番号5、30(31)
5’−TTGTGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCC−(TAMRA)−3’
3T−HGF−WT−F1プローブは、上記配列の3’末端のCにTm解析のための蛍光色素として、TAMRAを用いた。
【0069】
上記配列の3T−HGF−WT−F1プローブとハイブリッドを形成する相補鎖を、本実施例1では2種類使用した。また、これら2種類の相補鎖を各々0.1μMずつ用いたものについても実験を行った。各々の配列は、下記に示す。
HGF−R−A30−60、配列番号13、30(31)
5’−ctcagagcaggcagctttttttttttttttttttttttttttttttcacaaactgccaaa−3’
HGF−R−A25−60、配列番号14、25(26)
5’−gggctcagagcaggcagcttttttttttttttttttttttttttcacaaactgccaaact−3’
【0070】
このような反応液を、それぞれi−densy(IS−5310)に添加し、95度で1秒間、次に40度で60秒間、さらに温度の上昇速度を3秒間に1度として40度から75度まで加熱し、当該プローブの蛍光色素に応じた検出波長(585〜700nm)における、経時的な蛍光強度の変化を測定し、Tm解析を行った。
【0071】
図1は、実施例1に係る3T−HGF−WT−F1プローブでのTm解析の結果を示す図である。横軸は温度(℃)であり、縦軸は単位時間当たりの蛍光強度の変化量である。
図1において、30Aは0.2μMの相補鎖HGF−R−A30−60を用いた結果であり、25Aは0.2μMの相補鎖HGF−R−A25−60を用いた結果であり、30A/25Aは各々0.1μMの相補鎖を用いたTm解析の結果である。30Aに示す通り、poly A repeat数が30(31)である場合(正常型である場合)、ピークが65℃になっており、融解温度Tm値が高くなっている。また、25Aでは、正常型よりもpoly A repeatが数塩基程度しか少なくなっていないにもかかわらず、ピークは61℃になっており、30Aと比較するとそれぞれを区別できる程度に融解温度Tm値が下がっている。さらに、各々0.1μMを用いた30A/25Aでは、両方の融解温度Tm値において、ピークを有していることがわかる。
【0072】
(実施例2)
実施例2では、前述の実施例1で用いた本発明の多型検出用プローブとは異なる本発明の多型検出用プローブを用い、Tm解析を行った。実験プロトコルおよび試薬等の配合については、前述の実施例1と同様である。
【0073】
本実施例2では、実施例1の3T−HGF−WT−F1プローブの代わりに、3T−HGF−WT−F3プローブを用いた。3T−HGF−WT−F3プローブの配列を下記に示す。
3T−HGF−WT−F3プローブ、配列番号15、30(31)
5’−TTGTGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGC−(TAMRA)−3’
このように、3T−HGF−WT−F3プローブは、実施例1と同様に、上記配列の3’末端のCにTm解析のための蛍光色素として、TAMRAを用いた。
【0074】
上記配列の3T−HGF−WT−F3プローブとハイブリッドを形成する相補鎖を、本実施例2でも2種類および各々0.1μMのものについて使用したが、これは下記の配列に示す通り、実施例1と同様である。
HGF−R−A30−60、配列番号13、30(31)
5’−ctcagagcaggcagctttttttttttttttttttttttttttttttcacaaactgccaaa−3’
HGF−R−A25−60、配列番号14、25(26)
5’−gggctcagagcaggcagcttttttttttttttttttttttttttcacaaactgccaaact−3’
【0075】
このような反応液について、実施例1と同様の方法でTm解析を行った。
【0076】
図2は、実施例2に係る3T−HGF−WT−F3プローブでのTm解析の結果を示す図である。横軸は温度(℃)であり、縦軸は単位時間当たりの蛍光強度の変化量である。
図2において、30Aは0.2μMの相補鎖HGF−F−A30−60を用いた結果であり、25Aは0.2μMの相補鎖HGF−F−A25−60を用いた結果であり、30A/25Aは各々0.1μMの相補鎖を用いたTm解析の結果である。30Aに示す通り、poly A repeat数が30(31)である場合(正常型である場合)、ピークが71℃になっていた。25Aでは、実施例1の結果よりも大きく差がでることはなかったが、ピークは68℃になっており、減少していた。しかしながら、各々を0.1μMずつ用いた30A/25Aは、各々の温度のピークにあまり大きな差がなかったためか、明確な2つのピークを検出できなかった。
【0077】
(実施例3)
実施例3でも、前述の実施例1および実施例2で用いたプローブとは異なる本発明の多型検出用プローブを用い、Tm解析を行った。実験プロトコルおよび試薬等の配合については、前述の実施例1と同様である。
【0078】
本実施例3では、実施例1の3T−HGF−WT−F1プローブの代わりに、3T−HGF−WT−R1プローブを用いた。3T−HGF−WT−R1プローブの配列を下記に示す。
3T−HGF−WT−R1プローブ、配列番号16、30(31)
5’−gctttttttttttttttttttttttttttttttcac−(TAMRA)−3’
このように、3T−HGF−WT−R1プローブは、実施例1と同様に、上記配列の3’末端のcにTm解析のための蛍光色素として、TAMRAを用いた。
【0079】
上記配列の3T−HGF−WT−R1プローブとハイブリッドを形成する相補鎖を、本実施例3でも2種類使用した。また、これら2種類の相補鎖が各々0.1μMずつ用いたものについても実験を行った。各々の配列は、下記に示す。
HGF−F−A30−60、配列番号17、30(31)
5’−TTTGGCAGTTTGTGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTCTGAG−3’
HGF−F−A25−60、配列番号18、25(26)
5’−AGTTTGGCAGTTTGTGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTCTGAGCCC−3’
【0080】
このような反応液について、実施例1と同様の方法でTm解析を行った。
【0081】
図3は、実施例3に係る3T−HGF−WT−R1プローブでのTm解析の結果を示す図である。横軸は温度(℃)であり、縦軸は単位時間当たりの蛍光強度の変化量である。
図3において、30Aは0.2μMの相補鎖HGF−F−A30−60を用いた結果であり、25Aは0.2μMの相補鎖HGF−F−A25−60を用いた結果であり、30A/25Aは各々の相補鎖を0.1μMずつ用いたTm解析の結果である。まず、30Aに示す通り、poly A repeat数が30(31)である場合(正常型である場合)、3T−HGF−WT−R1を使用すると、ピークが62℃になった。また、25Aでは、実施例1の結果と同様に、正常型よりもpoly A repeat数が数塩基減少しているので、ピークは56℃になっており、30AのTm値と比較すると大きく差が開いていた。各々を0.1μMずつ用いた30A/25Aでも同様に、各々の温度のピークを判別することが可能であった。
【0082】
(比較例)
比較例では、本発明の多型検出用プローブとは異なるプローブを用い、Tm解析を行った。実験プロトコルおよび試薬等の配合については前述の実施例1と同様である。
【0083】
本比較例では、実施例1での本発明に係る多型検出用プローブの代わりに、3T−HGF−WT−F2プローブを用いた。3T−HGF−WT−F2プローブの配列を下記に示す。
3T−HGF−WT−F2プローブ、配列番号19、30(31)
5’−TTGTGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTC−(TAMRA)−3’
このように、3T−HGF−WT−F2プローブでも、実施例1と同様に、上記配列の3’末端のCにTm解析のための蛍光色素として、TAMRAを用いた。
【0084】
上記配列の3T−HGF−WT−F2プローブとハイブリッドを形成する相補鎖を、本比較例でも2種類および各々0.1μMのものについて使用したが、これは下記の配列に示す通り実施例1および実施例2と同様である。
HGF−R−A30−60、配列番号13、30(31)
5’−ctcagagcaggcagctttttttttttttttttttttttttttttttcacaaactgccaaa−3’
HGF−R−A25−60、配列番号14、25(26)
5’−gggctcagagcaggcagcttttttttttttttttttttttttttcacaaactgccaaact−3’
【0085】
このような反応液について、実施例1と同様の方法でTm解析を行った。
【0086】
図4は、比較例に係る3T−HGF−WT−F2プローブでのTm解析の結果を示す図である。横軸は温度(℃)であり、縦軸は単位時間当たりの蛍光強度の変化量である。
図4において、30Aは0.2μMの相補鎖HGF−F−A30−60を用いた結果であり、25Aは0.2μMの相補鎖HGF−F−A25−60を用いた結果であり、30A/25Aは各々の相補鎖を0.1μMずつ用いたTm解析の結果である。
図4に示す通り、本比較例では30A、25Aおよび30A/25Aのいずれの場合においてもピーク、すなわちTm値を検出することができなかった。
【0087】
実施例1ないし実施例3の結果から、HGF遺伝子のプロモーター領域のpoly A repeat数の変異を正確に判別するためには、当該poly A repeatの配列の周辺の「C」の位置を基準に、蛍光標識を用いたTm解析を行い、蛍光標識のシグナルのピーク値の温度を評価することにより、変異が判別可能であることがわかった。しかし、比較例の結果から、蛍光標識の基準となるpoly A repeatの配列の周辺の「C」の位置は、限定されていることも確認された。すなわち、実施例1では配列番号3の塩基番号95のGの相補塩基の「C」、実施例2では配列番号3の塩基番号92のGの相補塩基の「C」、実施例3では配列番号3の塩基番号134の「C」に蛍光標識することによって、HGF遺伝子プロモーター領域のpoly A repeat数変異を分析することが可能であることがわかった。
【0088】
(実施例4)
実施例4では、PCRの工程を間に入れ、HGF遺伝子におけるpoly A repeat変異について、Tm解析を行った。PCRおよびTm解析を行うための装置は、前述の実施例1、実施例2および実施例3と同様の、i−densy(IS−5310)を使用した。添加するプローブ等の溶液・試薬の組成を下記の表の通りである。
【表2】
【0089】
上記表2におけるHGF−KKD−FおよびHGF−KKD−Rはプライマーであり、配列を下記に示す。
HGF−KKD−F、配列番号20、32mer、Tm=63.6℃
5’−GGGACAGGCTATGGACAATGACTGTTTCTTGG−3’
HGF−KKD−R、配列番号21、28mer、Tm=61.4℃
5’−gggtgtggtattgtggggccaaaataag−3’
【0090】
また、上記表2におけるプローブとは、前述の実施例3と同様の3T−HGF−WT−R1プローブであり、配列を下記に示す。
3T−HGF−WT−R1プローブ、配列番号16、30(31)
5’−gctttttttttttttttttttttttttttttttcac−(TAMRA)−3’
3T−HGF−WT−R1プローブは、上記配列の3’末端のcにTm解析のための蛍光色素として、前述と同様にTAMRAを用いた。
【0091】
テンプレートには、3種類のプラスミド(全て、GeneScript社製)を使用し、比較した。配列番号22に示すプラスミド(29A)と、配列番号23に示すプラスミド(25A)と、配列番号24に示すプラスミド(20A)とを、全て2500copy/μlにて使用した。このような反応液を、それぞれi−densy(IS−5310)に添加し、まずPCRを行うため、95度で60秒間熱した後、95度で1秒間から60度で15秒間を50サイクル行った。その後、前述の実施例1、実施例2および実施例3と同様に、95度で1秒間、次に40度で60秒間、さらに温度の上昇速度を3秒間に1度として40度から75度まで加熱し、当該プローブの蛍光色素に応じた検出波長(585〜700nm)における、経時的な蛍光強度の変化を測定し、Tm解析を行った。
【0092】
図5は、実施例4に係る3T−HGF−WT−R1プローブでのTm解析の結果を示す図である。横軸は温度(℃)であり、縦軸は単位時間当たりの蛍光強度の変化量である。
図5において、29Aは配列番号22に示すプラスミドを使用し、25Aは配列番号23に示すプラスミドを使用し、20Aは配列番号24に示すプラスミドを使用しPCR、Tm解析を行った結果を示す。poly A repeat数においてAを29(30)塩基有する場合、
図5の29Aに示すように、PCRを行うとピークが55℃になっていた。また、poly A repeat数においてAを25(26)塩基有する場合、
図5の25Aに示すように、PCRを行うとピークが51℃になっていた。poly A repeat数においてAを20(21)塩基有する場合、
図5の20Aに示すように、PCRを行うとピークが48℃になっており、PCRを工程に含んでも、それぞれのピークを判別することが可能であることがわかった。
【0093】
また、上述の実施例1ないし実施例3よりも、より少数単位での標的配列におけるpoly A repeatのA塩基欠失によるTm値の変化を指標とした場合、正確なA塩基の欠失個数を判別できるか否かをTm値計算ソフトウェアMeltCalcを用い、算出した。
【0094】
まず、算出に使用する正常型配列および変異型配列、すなわちA塩基欠失配列について下記に示す。
正常型、配列番号5、30(31)
5’−TTGTGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCC−3’
poly A repeat 1塩基欠失、配列番号25、29(30)
5’−AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCC−3’
poly A repeat 3塩基欠失、配列番号26、27(28)
5’−AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCC−3’
poly A repeat 5塩基欠失、配列番号27、25(26)
5’−AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCC−3’
正常型、配列番号15、30(31)
5’−TTGTGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGC−3’
poly A repeat 1塩基欠失、配列番号28、29(30)
5’−gcaggcagctttttttttttttttttttttttttttttt−3’
poly A repeat 3塩基欠失、配列番号29、27(28)
5’−gcaggcagctttttttttttttttttttttttttttt−3’
poly A repeat 5塩基欠失、配列番号30、25(26)
5’−gcaggcagctttttttttttttttttttttttttt−3’
正常型、配列番号16、30(31)
5’−gctttttttttttttttttttttttttttttttcac−3’
poly A repeat 1塩基欠失、配列番号31、29(30)
5’−ttttttttttttttttttttttttttttttcac−3’
poly A repeat 3塩基欠失、配列番号32、27(28)
5’−ttttttttttttttttttttttttttttcac−3’
poly A repeat 5塩基欠失、配列番号33、25(26)
5’−ttttttttttttttttttttttttttcac−3’
【0095】
以下に上記正常型配列および欠失配列での、塩基数(mer)、A(t)の数、および算出されたTm値(℃)について表に示す。
【表3】
【0096】
また、同様の効果を奏する当該蛍光標識プローブの塩基長および塩基配列について、より詳細に調査するため、実施例1ないし実施例3と同様の方法を用い、Tm値(℃)およびその変化と塩基配列との関連について調査した。
【0097】
まず、配列番号3の塩基番号95に対応する塩基を蛍光標識し調査したプローブの塩基配列について下記に示す。
配列番号34
5’−AGCTGCC−3’
配列番号35
5’−GAGCTGCC−3’
配列番号36
5’−TTGTGAGCTGCC−3’
配列番号37
5’−AAAGCTGCC−3’
配列番号38
5’−AAAAAAGCTGCC−3’
配列番号39
5’−AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCC−3’
配列番号40
5’−TTGTGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCC−3’
配列番号41
5’−AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTCTG−3’
配列番号42
5’−CAGTTTGTGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCC−3’
配列番号43
5’−AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTCTGAGCCCA−3’
配列番号44
5’−AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTCTGAGCCCATG−3’
配列番号45
5’−AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTCTGAGCCCATGGGG−3’
配列番号46
5’−AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTCTGAGCCCATGGGGC−3’
配列番号47
5’−AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTCTGAGCCCATGGGGCA−3’
配列番号48
5’−GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTCTGAGCCCATGGGGCAGGGGCAATTTTTTCATCTGACAATCTGCGTGCTTTT−3’
配列番号49
5’−GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTCTGAGCCCATGGGGCAGGGGCAATTTTTTCATCTGACAATCTGCGTGCTTTTGTTTT−3’
【0098】
次に、これらのプローブの塩基配列における、mer、Aの数、Tm値(℃)(パーフェクトマッチ)、1塩基欠失のTm値(℃)、およびTm値(℃)(パーフェクトマッチ)−1塩基欠失のTm値(℃)の値(Δ)を表に示す。
【表4】
【0099】
1mer欠失するとΔ1℃以上(検出不可も含む)の差が出た場合のみ、本発明の多型検出用プローブとして検出可能とし、さらに当該プローブ自体のTm値(℃)が0℃以上であることを条件とすると、上記表4では配列番号46、配列番号47および配列番号49の蛍光標識プローブでは検出不可能であることが示唆される。
【0100】
さらに、配列番号3の塩基番号92に対応する塩基を蛍光標識し調査したプローブの塩基配列について下記に示す。
配列番号50
5’−AGCTGCCTGC−3’
配列番号51
5’−GAGCTGCCTGC−3’
配列番号52
5’−AAAGCTGCCTGC−3’
配列番号53
5’−AAAAAAGCTGCCTGC−3’
配列番号54
5’−AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCC−3’
配列番号55
5’−AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGC−3’
配列番号56
5’−TGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGC−3’
配列番号57
5’−AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTC−3’
配列番号58
5’−TTTGTGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGC−3’
配列番号59
5’−AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTCTGAGCCCATGGGG−3’
配列番号60
5’−AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTCTGAGCCCATGGGGCA−3’
配列番号61
5’−GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTCTGAGCCCATGGGGCAGGGGCAATTTTTTCATCTGACAATCTGCGTGCTTTT−3’
配列番号62
5’−GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGCCTGCTCTGAGCCCATGGGGCAGGGGCAATTTTTTCATCTGACAATCTGCGTGCTTTTGTTTT−3’
【0101】
次に、これらのプローブの塩基配列における、mer、Aの数、Tm値(℃)(パーフェクトマッチ)、1塩基欠失のTm値(℃)、およびTm値(℃)(パーフェクトマッチ)−1塩基欠失のTm値(℃)の値(Δ)を表に記す。
【表5】
【0102】
前述と同様の条件で本発明の多型検出用プローブとして検出可能とすると、上記表5では配列番号60および配列番号62の蛍光標識プローブでは検出不可能であることが示唆される。
【0103】
さらに、配列番号3の塩基番号134の塩基を蛍光標識し調査したプローブの塩基配列について下記に示す。
配列番号63
5’−CTCAC−3’
配列番号64
5’−CTTCAC−3’
配列番号65
5’−TTTCAC−3’
配列番号66
5’−CTTTCAC−3’
配列番号67
5’−TTTTCAC−3’
配列番号68
5’−CTTTTCAC−3’
配列番号69
5’−TTTTTCAC−3’
配列番号70
5’−TTTTTTTCAC−3’
配列番号71
5’−TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTCAC−3’
配列番号72
5’−CTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTCAC−3’
配列番号73
5’−GCTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTCAC−3’
配列番号74
5’−AGAGCAGGCAGCTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTCAC−3’
配列番号75
5’−CTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTCACAAACTGCCAAACTCACGAAATACCACACATTTACCCAAAGTATACAAAATAAACTTGTCTGATCTGACTTTTTAAGAGAAAGTCC−3’
配列番号76
5’−CTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTCACAAACTGCCAAACTCACGAAATACCACACATTTACCCAAAGTATACAAAATAAACTTGTCTGATCTGACTTTTTAAGAGAAAGTCCAAGAAACAGTCATTGTCCATAGCCT−3’
配列番号77
5’−TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTCACAAACTGCCAAACTCACGAAATA−3’
配列番号78
5’−TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTCACAAACTGCCAAACTCACGAAATACCAC−3’
配列番号79
5’−TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTCACAAACTGCCAAACTCACGAAATACCACACATTTACCCAAAGTATACA−3’
【0104】
次に、これらのプローブの塩基配列における、mer、Aの数、Tm値(℃)(パーフェクトマッチ)、1塩基欠失のTm値(℃)、およびTm値(℃)(パーフェクトマッチ)−1塩基欠失のTm値(℃)の値(Δ)を表に記す。
【表6】
【0105】
前述と同様の条件で本発明の多型検出用プローブとして検出可能とすると、上記表6では配列番号63ないし配列番号69、配列番号76、配列番号78および配列番号79の蛍光標識プローブでは検出不可能であることが示唆される。
【0106】
このように、実施例1、実施例2および実施例3の結果、ならびにTm値計算ソフトウェアMeltCalcでのTm値推測結果から、蛍光標識プローブのpoly A repeatの配列(または相補的なT)の周辺の「C」の位置を基準に蛍光標識を用いたTm解析を行い蛍光標識のシグナルのピーク値の温度を評価することにより、標的配列のpoly A repeat数変異を数塩基単位でも正確に判別可能であることがわかった。
【0107】
さらに詳細には、表4ないし表6に示すように、蛍光色素を用いて標識化する位置、T(または相補塩基のA)の連続個数および塩基長によっては、当該多型が検出可能となる場合と不可能となる場合とで条件がある。例えば、配列番号3の塩基番号95に対応する塩基を蛍光標識する場合は、塩基番号95〜100と塩基番号132との間にTが挟まれた塩基配列に相補的な塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有する配列では、元の塩基配列のTの連続個数は1〜31で塩基長は8〜94であり(P1−1)、塩基番号95〜100の塩基配列とTの連続配列からなる塩基配列(Tの連続配列が挟まれていない状態)に相補的な塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有する配列では、元の塩基配列のTの連続個数は1〜31で塩基長は7〜55であることが示唆される(P1’−1)。
【0108】
配列番号3の塩基番号92に対応する塩基を蛍光標識する場合は、塩基番号92〜100と塩基番号132との間にTが挟まれた塩基配列に相補的な塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有する配列では、元の塩基配列のTの連続個数は1〜31で塩基長は11〜94であり(P2−1)、塩基番号92〜100の塩基配列とTの連続配列からなる塩基配列(Tの連続配列が挟まれていない状態)に相補的な塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有する配列では、元の塩基配列のTの連続個数は1〜31で塩基長は10〜55であることが示唆される(P2’−1)。配列番号3の塩基番号134の塩基を蛍光標識する場合は、塩基番号100と塩基番号132〜134との間にTが挟まれた塩基配列に対して少なくとも80%以上の同一性を有する配列では、元の塩基配列のTの連続個数は4〜31で塩基長は8〜120であり(P3−1)、塩基番号132〜134の塩基配列とTの連続配列からなる塩基配列(Tの連続配列が挟まれていない状態)に対して少なくとも80%以上の同一性を有する配列では、元の塩基配列のTの連続個数は5〜31であり塩基長は8〜56であることが示唆される(P3’−1)。
【0109】
本発明は、上記発明の実施の形態および実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【0110】
本明細書の中で明示した論文および公開特許公報等の内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。