特許第5917259号(P5917259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 医療法人裕紫会の特許一覧 ▶ 公立大学法人和歌山県立医科大学の特許一覧

<>
  • 特許5917259-マウスピース用吸引具 図000002
  • 特許5917259-マウスピース用吸引具 図000003
  • 特許5917259-マウスピース用吸引具 図000004
  • 特許5917259-マウスピース用吸引具 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5917259
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】マウスピース用吸引具
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20160422BHJP
【FI】
   A61B1/00 320D
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-96529(P2012-96529)
(22)【出願日】2012年4月20日
(65)【公開番号】特開2013-223572(P2013-223572A)
(43)【公開日】2013年10月31日
【審査請求日】2015年3月19日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 研究集会名: 平成23年 第67回日本消化器内視鏡技師学会 主催者名: 第67回日本消化器内視鏡技師学会長 社団法人 熊本市医師会 熊本地域医療センター 内視鏡検査係長 淡路 誠一 公開日: 平成23年10月22日 公開場所: 熊本県立劇場(熊本県熊本市大江2−7−1) 文書の種類: スライド
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 研究集会名: 平成23年 第82回日本消化器内視鏡学会総会 主催者名: 平成23年第82回日本消化器内視鏡学会総会長 福岡大筑紫病院・消化器内科 教授 松井 敏幸 公開日: 平成23年10月23日 公開場所: (財)福岡コンベンションセンター マリンメッセ福岡 福岡県福岡市博多区沖浜町7−1 文書の種類: ポスター
(73)【特許権者】
【識別番号】512104915
【氏名又は名称】医療法人裕紫会
(73)【特許権者】
【識別番号】308038613
【氏名又は名称】公立大学法人和歌山県立医科大学
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100117097
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 充浩
(72)【発明者】
【氏名】中谷 由紀彦
(72)【発明者】
【氏名】前北 隆雄
【審査官】 右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭55-146105(JP,U)
【文献】 実開平6-64522(JP,U)
【文献】 特開平10-262993(JP,A)
【文献】 特開平11-28219(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3064136(JP,U)
【文献】 特開2006-25870(JP,A)
【文献】 特開2008-272344(JP,A)
【文献】 米国特許第4053984(US,A)
【文献】 米国特許第5295826(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
A61C 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体が略円筒型をなして前記円筒の外周側に被検査者の歯列の一部歯又は歯茎の一部を収容可能な咬合凹部が形成されるとともに前記円筒の内周側に前記被検査者の口腔内に内視鏡を案内する挿通ガイド部が形成されたマウスピースに取付可能な、前記被検査者の口腔内に貯留する唾液等の吸引対象物を吸引手段へと導く吸引管を備えるマウスピース用吸引具であって、
前記吸引管は、可撓性を有することにより、長手方向の両端部が近接するように曲折されてあり、
前記両端部がなす管路を合流させて前記吸引手段へと連通させる接続部と、
該接続部から最も離れた最遠曲折領域に穿設された、前記吸引対象物を管内に吸い込むため複数の吸引孔と、
曲折して前記接続部側を向いている前記吸引管同士を部分的に括り合わせる結束部と
を更に備え、
前記結束部は、前記吸引管同士を複数箇所で括り合わせ、結束箇所の間に前記マウスピースに嵌着させるための離間空間を形成するようにしてあることを特徴とするマウスピース用吸引具である。
【請求項2】
前記複数の結束部は、前記接続部と前記最遠曲折領域との間で前記吸引管の長手方向に沿って移動可能とされていることを特徴とする請求項1に記載のマウスピース用吸引具。
【請求項3】
複数の吸引孔は、少なくとも一部が、前記被検査者の口腔内に挿入された際に口腔壁と当接しない箇所に穿設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマウスピース用吸引具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体が略円筒型をなして円筒の外周側に被検査者の歯列の一部歯又は歯茎の一部を収容可能な咬合凹部が形成されるとともに円筒の内周側に被検査者の口腔内に内視鏡を案内する挿通ガイド部が形成されたマウスピースに取付可能な、被検査者の口腔内に貯留する唾液等の吸引対象物を吸引手段へと導く吸引管を備えるマウスピース用吸引具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検査者の胃や大腸などを検査する場合には、「内視鏡」と呼ばれる人体内部を観察する医療器具を被検査者の人体内に挿入し、その内部映像を外部出力することが行われている。なお、本明細書において、内視鏡とは、食道、胃、十二指腸までの上部消化管を観察する「上部消化管内視鏡」を意味する。
【0003】
従来の内視鏡は、可撓性を有する細長部分を備えており、この細長部分が被検査者の口腔から人体内に経口挿入されるようになっている。内視鏡は、人体内に挿入される際に、傷みや不快感を感じる被検査者に噛みちぎられるおそれがある。そこで、内視鏡を使用する際には、内視鏡用マウスピースを被検査者に咬合させることにより、内視鏡を保護することが行われている。
【0004】
内視鏡用マウスピースは、本体が被検査者の口に咥えられるように略円筒型をしており、その円筒内側に内視鏡を挿通するための挿通ガイド部が設けられ(本願の図2参照)、この挿通ガイド部が内視鏡を囲むことにより、内視鏡の損傷を防ぎ、且つ、内視鏡を人体内に円滑に経口挿入することを助ける。このように、内視鏡用マウスピースは、内視鏡検査に必須の器具である。
【0005】
ところで、被検査者の口腔内は、内視鏡の挿入に伴い、唾液等が分泌され溜まりやすくなる。そして、溜まった唾液等は、口腔外に流れ出ることとなり、被検査者に不快感やストレスを与えることとなる。
【0006】
また、高齢の被検査者においては、次第に唾液腺の萎縮がおき、溜まった唾液等の粘稠度が高い場合が多いため、これを強制的に吐き出すことが困難となり、最悪な状況として、溜まった唾液等が気管側に流れ込み、肺炎を発症させ、敗血症などを引き起こす事態に進展することがある。
【0007】
そこで、従来、内視鏡用マウスピースに唾液等を吸引するための管を取り付け、口腔内に溜まった唾液等を積極的に排除するように工夫してある吸引具が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第3064136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載された吸引具は、帯状の取付部がマウスピースの内側に挿通され、マウスピースの前後側から垂れ下がる取付部の両端部分を跨ぐように、可撓性を有する一本の吸引管が、マウスピースの前後方向に沿って取り付けられている(特許文献1の図1及び図2参照)。
【0010】
ところで、吸引管は、被検査者の口腔内に挿入されるため、衛生上の観点から、内視鏡検査を行う毎に取り替えられている。一方、内視鏡用マウスピースは、合成樹脂などの硬質な素材で形成されているため、資源の有効活用という観点から、消毒をして再利用される場合がある。かかる観点から、吸引具は、内視鏡用マウスピースと着脱可能な構造を備えることが望ましい。
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載された吸引具にあっては、構造上、吸引管の内視鏡用マウスピースへの「取り付け」と「取り外し」とが容易とはいえない。そのため、取り付けが不十分となり、内視鏡検査時に吸引管がマウスピースから脱落したり、取付作業に手間取り、迅速に内視鏡検査を行うことができない、などの問題を有する。
また、吸引管の取り外しについても、取り外し作業に手間取り、場合によっては、内視鏡用マウスピースと一緒に廃棄処分されることとなり、資源の無駄を招来している。
【0012】
また、特許文献1に記載された吸引具にあっては、構造上、一本の吸引管の先端部分に穿設された吸引孔により唾液等を吸引するため、即ち、吸引箇所が「点」となっているため、例えば、口腔内の複数箇所に溜まった唾液等を同時に吸引することができず、吸引管の先端部分を移動させて個別に吸引させるなど、吸引操作に手間取るという問題を有する。
また、特許文献1に記載された吸引具にあっては、構造上、被検査者の口腔内に挿入される部分の長さを調整し難く、例えば、挿入される部分が必要以上に長すぎると吸引管の先端が咽喉に到達して傷付けるおそれがある。
【0013】
また、特許文献1に記載された吸引具にあっては、唾液等の排除手段が一本の吸引管に委ねられているため、高齢の被検査者に多い粘稠度の高い唾液等が、吸引管内の一部を塞ぐような場合には、吸引が不可能となる。
【0014】
本発明はかかる事情を鑑みてなされたものであり、内視鏡用マウスピースに取付可能な、被検査者の口腔内に貯留する唾液等を吸引手段へと導く吸引管を備え、吸引管は、可撓性を有し、長手方向の両端部が接近するように曲折され、両端部がなす管路を接続部品を介して合流させて吸引手段へと連通させ、この接続部品から最も離れた最遠曲折領域に複数の吸引孔を穿設し、曲折して接続部品側を向いている吸引管同士を結束部品を介して複数箇所で部分的に括り合わせ、結束箇所の間にマウスピース本体に嵌着させるための離間空間を形成するようにしてあることにより、マウスピースへの着脱を従来に比べて容易にすることができ、吸引対象物を確実に吸引することができるマウスピース用吸引具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るマウスピース用吸引具は、全体が略円筒型をなして前記円筒の外周側に被検査者の歯列の一部歯又は歯茎の一部を収容可能な咬合凹部が形成されるとともに前記円筒の内周側に前記被検査者の口腔内に内視鏡を案内する挿通ガイド部が形成されたマウスピースに取付可能な、前記被検査者の口腔内に貯留する唾液等の吸引対象物を吸引手段へと導く吸引管を備えるマウスピース用吸引具であって、前記吸引管は、可撓性を有することにより、長手方向の両端部が近接するように曲折されてあり、前記両端部がなす管路を合流させて前記吸引手段へと連通させる接続部と、該接続部から最も離れた最遠曲折領域に穿設された、前記吸引対象物を管内に吸い込むため複数の吸引孔と、曲折して前記接続部側を向いている前記吸引管同士を部分的に括り合わせる結束部とを更に備え、前記結束部は、前記吸引管同士を複数箇所で括り合わせ、結束箇所の間に前記マウスピースに嵌着させるための離間空間を形成するようにしてあることを特徴とする。
【0016】
本発明にあっては、被検査者の口腔内に貯留する吸引対象物を吸引するための吸引管が曲折されて長手方向の両端部が接近し、これらの両端部の管路が接続部を介して合流して吸引手段へと連通し、接続部から最も離れた領域に、吸引対象物を吸引する吸引孔が設けられることにより、吸引孔から吸引手段へと導かれる管路が複数系統形成されるため、一系統の吸引管が塞がれる場合であっても、他系統の吸引管を介して吸引対象物を吸引手段へと導くことができる。
【0017】
また、本発明にあっては、結束部が吸引管同士を複数箇所で括り合わせることにより、結束箇所の間に離間空間を形成し、この離間空間がマウスピースに嵌まり込むため、構造上、マウスピースへの着脱が従来に比べて容易となる。その結果、吸引管を内視鏡用マウスピースに、確実且つ迅速に取り付けることができる。また、吸引管を内視鏡用マウスピースから、容易且つ迅速に取り外すことができ、例えば、内視鏡用マウスピースが吸引管と一緒に廃棄処分される事態を回避することができる。
【0018】
また、本発明にあっては、複数の吸引孔の穿設箇所が湾曲していることにより、特許文献1に記載された吸引具の如く棒状の先端に穿設される場合に比べて穿設箇所を狭小な領域に有効的に配置させることができるため、これらの穿設箇所が被検査者の口腔内に生じた唾液が貯留しやすい部分に確実に到達する。また、穿設箇所が湾曲していることにより、吸引箇所を「点」より広い「面」で捉えることができ、例えば、口腔内の複数箇所に溜まった唾液等を同時に吸引する。
【0019】
また、本発明にあっては、複数の吸引孔が穿設されていることにより、一の吸引孔が塞がれる場合であっても、残りの吸引孔から吸引対象物を吸引する。また、複数の吸引孔によって吸引圧力を分散させることにより、吸引孔が口腔壁に吸い付いて吸引痕を付けるような事態が起こり難くなる。
【0020】
また、本発明に係るマウスピース用吸引具は、前記複数の結束部は、前記接続部と前記最遠曲折領域との間で前記吸引管の長手方向に沿って移動可能とされていることを特徴とする。
【0021】
本発明にあっては、結束部が移動可能とされていることにより、結束箇所を自由に変更することができ、結束箇所の間に形成された離間空間の離間距離を変更することができるため、離間距離をのばして吸引管のマウスピースへの「取り付け」及び「取り外し」を容易とし、離間距離を縮めて吸引管をマウスピースに締着させる。
また、結束箇所を自由に変更することにより、離間空間のみならず、吸引孔の穿設箇所の曲がり具合を変更することができるため、穿設箇所を挿入すべき口腔内の大きさに応じて、穿設箇所がなす略環状部分の環の大きさを調整する。特に、口腔内の大きさは、年齢又は性別に応じて大きさが異なるので有効である。
【0022】
更にまた、本発明に係るマウスピース用吸引具は、複数の吸引孔は、少なくとも一部が、前記被検査者の口腔内に挿入された際に口腔壁と当接しない箇所に穿設されていることを特徴とする。
【0023】
本発明にあっては、少なくとも吸引孔の一部が、被検査者の口腔壁と当接しない箇所に穿設されることにより、被検査者の口腔壁により全ての吸引孔が塞がれて吸引対象物を吸引することができなくなるという事態を回避する。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、マウスピースへの着脱を従来に比べて容易にすることができ、併せて、吸引対象物を確実に吸引することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係るマウスピース用吸引具の全体構造を示す裏面図である。
図2図1に示すマウスピース用吸引具を内視鏡用マウスピースに取り付けた状態を示す斜視図である。
図3図1に示すマウスピース用吸引具を被検査者の口腔内に挿入している状態を示す、口腔外側から見た図である。
図4図1に示すマウスピース用吸引具を被検査者の口腔内に挿入した状態を示す、口腔内側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に係るマウスピース用吸引具を本実施の形態を示す図面に基づき以下説明する。図1は本発明に係るマウスピース用吸引具の全体構造を示す裏面図である。図1中、1は、吸引具である。吸引具1は、吸引管10と、吸引管10の両端部100に接続する接続部品11と、吸引管10の一部を括り合わせる結束部品12とを備える。
【0027】
吸引管10は、例えばシリコーンゴムで形成され、長手方向に湾曲自在な可撓性を有する。吸引管10は、管外径が3乃至6mm程度となるように形成されている。吸引管10は、長手方向の両端部100と、最遠曲折領域101と、結束箇所102と、吸引孔103とを備える。
【0028】
また、吸引管10は、最遠曲折領域101を通る仮想中心線(図示せず)に基づき略左右線対称となるように全体が略U字型となるように曲折し、曲折により両端部100が近接している。吸引管10は、曲折することにより、最遠曲折領域101が両端部100に接続された接続部品11から最も離れた位置に形成される。吸引管10は、曲折することにより、管本体が最遠曲折領域101から接続部品11側を向いており、管本体の複数箇所が結束部品12によって括り合わされ、曲折状態が保持されている。なお、本明細書において、「複数」とは、二つ以上のものを意味する。
【0029】
また、吸引管10は、結束部品12により括り合わされることにより、最遠曲折領域101が略環状となるように形成されている。最遠曲折領域101には、複数の吸引孔103が有効的な配置となるよう穿設されている。各吸引孔103は、口径が2.5乃至4mm程度となるように形成されている。また、各吸引孔103は、吸引管10の外周面の裏面側、やや側面及び側面の複数方向に連続して、即ち、吸引管10を周方向に螺旋を描くように(長手方向に螺旋移動するように)連続して穿設されている(特に図1及び図2を参照)。
【0030】
接続部品11は、本発明に係る「接続部」に該当し、吸引管10と後述する吸引手段とを接続する部品である。接続部品11は、例えばポリプロピレンなどの樹脂で形成され、吸引管10側の接続端部110と、吸引手段側の接続端部111とを備え、複数の吸引管側接続端部110が合流して一つの吸引手段側接続端部111へと連通する略Y字型に形成されている。吸引管側接続端部110と吸引手段側接続端部111には、抜け止め用の突起112が複数突き出ている。なお、接続部品11は、略Y字型に限定されるものではなく、例えば、略T字型など、吸引管側接続端部110が合流して吸引手段側接続端部111に連通するような形状であればよい。
【0031】
結束部品12は、本発明に係る「結束部」に該当し、吸引管10同士を部分的に括り合わせる部品である。結束部品12は、例えば吸引管10と同様のシリコーンゴムで形成された環状部材である。結束部品12は、吸引管10同士を複数の箇所で部分的に括り合わせ、複数の結束箇所102の間に、後述するマウスピース2に嵌着させるための離間空間Eを形成する。
【0032】
また、結束部品12は、弾性を有し、環の大きさが大小自在に変化する。結束部品12は、環の大きさが小径に変化することにより、吸引管10の管路が押し潰されることがない程度の力で括り合わせる一方、環の大きさが大径に変化することにより、吸引管10の両端部100と最遠曲折領域101との間で吸引管10の長手方向に沿って移動可能となる。結束箇所102の間に形成された離間空間Eは、結束部品12の移動に応じて、吸引管10同士の離間距離が遠近自在に変化する。
また、結束部品12は、吸引管10を括り合わせることにより、最遠曲折領域101を略環状となるように湾曲形成させ、吸引管10の長手方向に沿って移動することにより、最遠曲折領域101の環の大きさを大小自在に変化させる。
【0033】
図2は本発明に係るマウスピース用吸引具1を内視鏡用マウスピース2に取り付けた状態を示す斜視図である。図2中、2は、内視鏡用マウスピースである。内視鏡用マウスピース2は、例えばアクリロニトリル (Acrylonitrile)、ブタジエン (Butadiene)、スチレン (Styrene)共重合合成樹脂(以下「ABS樹脂」という。)で形成されており、本体が略円筒型をなしている。内視鏡用マウスピース2は、挿通ガイド部20と、口腔外側鍔部21と、口腔内側鍔部22と、咬合凹部23とを備える。
【0034】
挿通ガイド部20は、円筒の内周側に形成されている。挿通ガイド部20は、マウスピース本体が被検査者に咬合された際に、マウスピース2の口腔外から口腔内に向かって貫通しており、内視鏡(図示せず)を口腔内に向けて案内する。
【0035】
口腔外側鍔部21は、挿通ガイド部20の口腔外側の開口縁に沿って径方向に鍔状に突き出ており、被検査者に咬合されたマウスピース本体を口唇位置で保持する。
【0036】
口腔内側鍔部22は、挿通ガイド部20の口腔内側の開口縁に沿って径方向に鍔状に突き出ており、上述する口腔外側鍔部21との間に咬合凹部23を形成する。咬合凹部23は、被検査者の歯列の一部歯又は歯茎の一部を収容可能な凹部であり、吸引管10が嵌着される箇所でもある。咬合凹部23は、マウスピース本体が十分な奥行きを有していることから、例えば、咬合する歯列等と吸引管10とが重なり合うことがないように回避空間を十分とることができる。
【0037】
吸引具1は、結束部品12の移動に応じて、離間空間Eの離間距離が調整され、調整された離間空間Eがマウスピース本体に嵌め込まれる。このとき、離間空間Eの離間距離は、口腔内側鍔部22より大径であるが、口腔外側鍔部21より小径となるように調整される。その後、吸引具1は、マウスピース本体に嵌め込まれた状態で、離間空間Eの離間距離が再調整され、マウスピース本体の外周に締着する。このとき、離間空間Eの離間距離は、口腔外側鍔部21及び口腔内側鍔部22より小径となるように再調整される。
【0038】
図3は本発明に係るマウスピース用吸引具1を被検査者の口腔内に挿入している状態を示す、口腔外側から見た図である。図3に示すように、吸引具1は、最遠曲折領域101側から連続して被検査者の口唇Lに挿入され、内視鏡用マウスピース2の咬合凹部23に、被検査者の歯列の一部又は歯茎の一部が収容される。このとき、吸引具1は、両端部100から接続部品11に掛けての部分が被検査者の口腔外に飛び出ており、接続部品11の吸引手段側接続端部111に吸引手段が接続される。ここで、吸引手段は、吸引用ポンプ及び給電部を備えた吸引機が該当する。
【0039】
図4は本発明に係るマウスピース用吸引具1を被検査者の口腔内に挿入した状態を示す、口腔内側から見た図である。図4に示すように、吸引具1は、最遠曲折領域101側が被検査者の口腔内側に挿入される一方、両端部100から接続部11に掛けての部分が被検査者の口腔外側に飛び出ている。このとき、吸引具1は、最遠曲折領域101が口腔壁Wに当接し、咽喉側に湾曲変形する。また、最遠曲折領域101に穿設されている複数の吸引孔103は、少なくとも一部が、口腔壁Wと当接しない箇所、即ち、口腔壁Wと反対側に、穿設されている。また、複数の吸引孔103は、上述するように、吸引管10を周方向に螺旋を描くように(長手方向に螺旋移動するように)連続して穿設されているので、例えば、全ての吸引孔103を側面側のみに連続して穿設させた場合に比べて、最遠曲折領域101が略く字型に屈曲してしまうおそれが少なく、自然に流れるように湾曲させる。また、略く字型に屈曲した箇所に応力が集中して吸引管10がちぎれるという事態を生じ難くする。また、被検査者が頭部を動かして唾液等の貯留箇所が移動する場合であっても、螺旋を描くように(長手方向に螺旋移動するように)連続して穿設された複数の吸引孔103のいずれかが貯留箇所を捉える。また、複数の吸引孔103は、穿設箇所が湾曲していることにより、「点」より広い「面」で吸引対象物を捉えることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 吸引具
10 吸引管
100 両端部
101 最遠曲折領域
102 結束箇所
103 吸引孔
11 接続部品
110 吸引管側接続端部
111 吸引手段側接続端部
112 抜け止め用の突起
12 結束部品
2 内視鏡用マウスピース
20 挿通ガイド部
21 口腔外側鍔部
22 口腔内側鍔部
23 咬合凹部
E 離間空間
L 被検査者の口唇
図1
図2
図3
図4