(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、載置部に載置されている被計量物に、前記複数の重量ランクのいずれかの重量ランクの被計量物の1個を追加することによって、前記目標重量に達するときに、追加すべき前記1個の被計量物を、前記指示手段を制御して、その重量ランク及び該重量ランクにおける相対的な重量によって指示する、
請求項1に記載の計量装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の従来の構成では、被計量物が一個あるいは一単位ずつ収納部に収納されるため、被計量物を取り出す毎に新たに被計量物を収納部に入れ直す必要がある。このように、作業者は、被計量物を収納部に一旦収納し、収納した被計量物を収納部から取り出さなければならず、作業効率が悪いという課題がある。
【0008】
本発明は、経験や勘に頼ることなく、効率的に定量の計量作業が行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0010】
(1)本発明の計量装置は、被計量物が載置される載置部を有し、該載置部に載置される被計量物の重量を計量する計量装置であって、被計量物の複数の重量ランク及び各重量ランクの重量範囲を含むランク情報が、予め記憶される記憶部と、複数個の前記被計量物の重量を合計した目標重量を含む設定情報が設定される設定部と、前記載置部に載置された被計量物の重量、前記設定情報及び前記ランク情報に基づいて、前記載置部に載置された被計量物の重量が前記目標重量に達していないときに、指示手段を制御して、前記載置部に追加すべき被計量物を指示する制御部とを備え、前記制御部は、前記指示手段を制御して、前記追加すべき被計量物の重量ランクを指示すると共に、該重量ランクにおける追加すべき被計量物の重量を、相対的に指定して指示する。
【0011】
前記ランク情報には、前記重量ランク及び該重量ランクの重量範囲に加えて、被計量物の品名等を含めてもよい。
【0012】
前記設定情報には、目標重量に加えて、許容値等を含めてもよい。
【0013】
重量ランクにおける被計量物の重量を相対的に指定するとは、当該重量ランクの重量範囲における被計量物の重量値を相対的に指定することをいい、例えば、前記重量範囲を三つに区分して、被計量物の重量値が、三つに区分された重量範囲のいずれに属するかによって、重い、中程度(普通)、軽いと相対的に指定したり、あるいは、前記重量範囲を五つに区分して、非常に重い、重い、中程度(普通)、軽い、非常に軽いといったように相対的に指定することをいう。この場合、計量作業を行う作業者に理解しやすいように、重量はサイズ(大きさ)に比例するので、例えば、重い、中程度(普通)、軽いを、大、中、小のサイズとして指示するのが好ましい。
【0014】
当該計量装置は、指示手段を備える構成としてもよいし、指示手段を計量装置とは別個に設けてもよく、この場合、計量装置の制御部が指示手段を制御できるように、計量装置と指示手段とを有線、または、無線で接続するのが好ましい。
【0015】
指示手段は、追加すべき被計量物を指示できればよく、例えば、表示灯の点灯や表示部の表示によって指示してもよいし、音声によって指示してもよく、それらを組合せて指示するようにしてもよい。
【0016】
本発明の計量装置によると、作業者が、被計量物を目標重量に対して少な目に載置部に載置すると、指示手段によって、目標重量にするために、追加すべき被計量物の重量ランクが指示されると共に、その重量ランクにおける被計量物の重量が相対的に、例えば、大、中、小といったように相対的に指示される。
【0017】
これによって、作業者は、指定された重量ランクの被計量物の内から指定された相対重量の被計量物を目視で選択して載置部に追加することで、目標重量に達した被計量物の組合せが完成し、この被計量物の組合せを袋詰め等すればよい。
【0018】
このように、複数個の被計量物の重量が目標重量になるように、追加すべき被計量物の重量ランクと、その重量ランクにおける相対的な重量が指示されるので、作業者は、目標重量に対して少な目の被計量物を大まかに載置部に載置し、指示された重量ランクであって、指示された相対重量の被計量物を選択して載置部に載置するだけでよい。したがって、作業者自らが、追加すべき被計量物の重量ランクやその重量ランクでの大きさを判断する必要がなく、経験や勘によらず、追加すべき被計量物を容易に選択して目標重量となる被計量物の組合せを完成させることができ、作業効率が向上する。
【0019】
(2)本発明の計量装置の好ましい実施態様では、前記制御部は、載置部に載置されている被計量物に、前記複数の重量ランクのいずれかの重量ランクの被計量物の1個を追加することによって、前記目標重量に達するときに、追加すべき前記1個の被計量物を、前記指示手段を制御して、その重量ランク及び該重量ランクにおける相対的な重量によって指示する。
【0020】
制御部は、載置部に載置されている被計量物の重量と目標重量とに基づいて、追加すべき被計量物の重量を求めることができ、また、予め記憶されている被計量物の複数の重量ランク及び各重量ランクの重量範囲に基づいて、追加すべき被計量物が1個でよいか否かを判断することができるので、追加すべき被計量物が1個になったときに、その1個の被計量物を、その重量ランク及び該重量ランクのおける相対的な重量を指示することができる。
【0021】
なお、追加すべき被計量物が2個以上であるときには、例えば、その2個以上の各被計量物の重量ランクと該重量ランクにおける相対的な重量をそれぞれ指示するようにしてもよいし、あるいは、追加すべき被計量物が1個になるまでは、例えば、最も重い重量ランクの被計量物を1個ずつ追加するように指示してもよい。
【0022】
この実施態様によると、作業者は、目標重量よりも少な目、好ましくは、目標重量に被計量物1個分足りない程度の被計量物を載置部に載置すればよく、これによって、追加すべき1個の被計量物の重量ランクが指示されると共に、該重量ランクにおける相対的な重量、例えば、大、中、小が指示されるので、その指示に従って1個の被計量物を選択して追加するだけで被計量物の組合せを完成させることができる。
【0023】
(3)本発明の計量装置の別の実施態様では、前記複数の重量ランクの前記被計量物が、複数の容器に重量ランク毎にそれぞれ収納され、前記指示手段は、前記複数の各容器に個別的に対応して配置される複数の表示ユニットを備え、該表示ユニットは、前記追加すべき被計量物の重量を、相対的に表示する表示部を有し、前記制御部は、前記指示手段を制御して、前記追加すべき被計量物の重量ランクに対応する前記表示ユニットによって、追加すべき被計量物の重量ランクを指示すると共に、その重量を相対的に指示する。
【0024】
容器は、被計量物を入れるものであればよく、例えば、箱、袋、トレイ、コンテナなどであってもよい。
【0025】
複数の各容器には、複数の重量ランク毎に被計量物が収納されているので、例えば、被計量物が重量ランク毎に箱詰されたものをそのまま容器として使用してもよいし、前記箱詰された被計量物を移し替えてもよい。
【0026】
この実施態様によると、指示手段は、各重量ランクの被計量物がそれぞれ収納された容器に対応してそれぞれ配置される複数の表示ユニットを備えているので、表示ユニットの表示によって、対応する容器を指示する、したがって、追加すべき被計量物の重量ランクを指示することができ、また、表示ユニットは、被計量物の重量を相対的に表示する表示部を有しているので、この表示によって、追加すべき被計量物の重量を相対的に指示することができる。
【0027】
(4)本発明計量システムは、本発明の計量装置と、該計量装置に接続される前記指示手段とを備える。
【0028】
本発明の計量システムによれば、作業者は、目標重量に対して少な目の被計量物を大まかに載置部に載置し、指示手段によって指示された重量ランクであって、指定された相対重量の被計量物を選択して載置部に載置するだけで、目標重量となる被計量物の組合せを完成させることができ、経験や勘に頼ることなく、計量作業を効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0029】
このように、本発明によれば、被計量物を目標重量に対して少な目に載置部に載置すると、目標重量にするために、追加すべき被計量物が、その重量ランクと、その重量ランクにおける重量が相対的に指定されて指示されるので、作業者は、指示された重量ランクの被計量物の内から指定された相対重量の被計量物を目視で選択して載置部に追加することで、目標重量に達した被計量物の組合せが完成する。したがって、作業者の経験や勘に頼ることなく、目標重量に達する被計量物の組合せを容易に完成させることができ、作業効率が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0032】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態に係る計量装置を備える計量システムのブロック図である。
【0033】
この実施形態の計量システムは、農産物や海産物等の物品を、定量で小分けに袋詰め等する際に使用される。
【0034】
この計量システムは、計量装置としての電子秤10と、後述のように選択すべき被計量物を指示する指示手段としての複数、この例では3つの表示ユニット20a〜20cを備えている。
【0035】
電子秤10は、被計量物を計量する計量部11、各部を制御すると共に、演算処理を行なう制御部12、記憶部13、目標重量等を設定する設定入力部14、計量した重量値や作業者に対する指示等を表示する表示部15、コネクタ19を備えている。
【0036】
制御部12は、演算部16、表示ユニット20a〜20cを制御して選択すべき被計量物を指示する指示制御部17、表示部15を制御する表示制御部18を備えている。各表示ユニット20a〜20cは、点灯回路21a〜21c及びランプ22a〜22cを備えている。
【0037】
図2は、この実施形態の電子秤10の外観斜視図である。
【0038】
この電子秤10は、本体ケース30を備え、上部に被計量物が載置される載置部としての計量皿31を備えている。本体ケース30内には、上述の制御部12、記憶部13の他、計量皿31に連結されて演算部16に荷重信号を出力するロードセル等の荷重センサが内蔵されている。本体ケース30の前面には、操作ボタンからなる設定入力部14、液晶ディスプレイからなる表示部15が設けられており、計量皿31及びロードセル等によって計量部11が構成される。
【0039】
図3は、上記表示ユニット20a〜20cを示すものであり、同図(a)は正面図、同図(b)は平面図、同図(c)は側面図である。
【0040】
各表示ユニット20a〜20cは、同一構成であり、この
図3及び後述の
図4では、表示ユニット20a〜20cを代表的に表示ユニット20として示している。
【0041】
図3に示すように、表示ユニット20は、ケース23を備えており、このケース23内には、点灯回路21等が内蔵されており、ケース23の前面に赤色LED24、青色LED25、黄色LED26の3個で1組のランプ22が設けられている。点灯回路21は、電子秤10からの点灯信号により、赤色LED24、青色LED25、黄色LED26の内、いずれか1つのLEDを点灯する。また、ケース23の後面には取り付け用のクリップ27が設けられている。
【0042】
図4は、表示ユニット20の取り付け状態を示す斜視図である。
【0043】
表示ユニット20は、箱40に取り付けられ、この箱40には、後述するランク分けされた被計量物が収納される。表示ユニット20は、箱40の任意の壁面の上端に、上方からクリップ27にて当該壁を挟むようにして着脱可能に取付けられる。また、表示ユニット20は、図示しない信号線を介して電子秤10のコネクタ19に接続される。
【0044】
次に、この実施形態の計量システムについて、具体例を挙げて説明する。
【0045】
ここでは、重量ランクの異なるS,M,Lの各サイズにランク分けされて箱詰めされた被計量物、例えば、S,M,Lの各サイズのジャガイモの箱詰めを仕入れ、それを小分けにして、複数個のジャガイモの定量の袋詰めを作成する場合に適用して説明する。
【0046】
箱詰めのジャガイモの各重量ランクS,M,Lの重量範囲は、予め決まっており、各重量ランクS,M,L及びその重量範囲は、後述のランク情報として、電子秤10に設定されて記憶部13に記憶される。また、この実施形態では、前記重量範囲を、等しく三つに区分し、被計量物の重量値が、区分された三つの重量範囲のいずれに属するかによって、大、中、小と相対的に重量を指定できるようしている。このため、電子秤10には、重量範囲の区分数、この例では、三つが設定される。
【0047】
先ず、袋詰め作業の準備として、
図5に示すように、仕入れた箱詰めのS,M.Lのジャガイモを移し替えるために、各ランク用に3つの箱40a,40b,40cを準備し、S用の箱40aにはSサイズの箱詰めのジャガイモを移し替え、M用の箱40bにはMサイズの箱詰めのジャガイモを移し替え、L用の箱40cにはLサイズの箱詰めジャガイモを移し替える。
【0048】
各箱40a,40b,40cには、それぞれ表示ユニット20a,20b,20cが取付けられる。各表示ユニット20a,20b,20cは、信号線を介して電子秤10のコネクタ19の所定のポートに接続する。コネクタ19は、各種被計量物のランク分けの数に対応できるように十分な数のポートを有しており、これらポートのうちから、後述するように、S,M,Lのジャガイモ用の各ポートを設定し、表示ユニット20aはS用のポートに、表示ユニット20bはM用のポートに、表示ユニット20cはL用のポートにそれぞれ接続する。
【0049】
また、各表示ユニット20a,20b,20cのランプ22a,22b,22cにおける各赤色LED24a,24b,24cは、そのランクの重量範囲を前記三つに区分した場合に、重量が相対的に小さい(軽い)ことを示す「小」、各青色LED25a,25b,25cは、重量が相対的に中程度であることを示す「中」、各黄色LED26a,26b,26cは、重量が相対的に大きい(重い)ことを示す「大」であることを予め作業者との間で取り決めておく。すなわち、箱40aに入っているSサイズのジャガイモは一定の重量範囲内にあり、この重量範囲内のジャガイモの内、赤色LED24aは作業者の主観で小さいと判断するもの、青色LED25aは中程度と判断するもの、黄色LED26aは大きいと判断するものを指示することになる。
【0050】
同様に、赤色LED24b、青色LED25b、黄色LED26bは、箱40bの中のMサイズのジャガイモの内、それぞれ「小」,「中」,「大」と判断するもの、赤色LED24c、青色LED25c、黄色LED26cは、箱40cの中のLサイズのジャガイモの内、それぞれ「小」.「中」,「大」と判断するものを指示することになる。
【0051】
この例では、S,M,Lの箱詰めされたジャガイモを箱40a,40b,40cにそれぞれ移し替えたけれども、ジャガイモを移し替えることなく、箱詰めされたまま使用してもよく、この場合には、箱詰めの箱に、表示ユニット20a,20b,20cを取付ければよい。
【0052】
次に、
図6のフローチャートを用いて、計量作業について説明する。
【0053】
下準備として、
図6Aに示すように、ランク情報を入力する(S1)。これは、電子秤10の記憶部13に、被計量物の品名、産地、重量ランク、重量ランク別の重量範囲等を関連付けて記憶させる。例えば、品名がジャガイモ、重量ランクがS,M,L、ランク別の重量範囲の情報を関連付けて、さらに、この情報を呼び出す際の名称、例えば、ジャガイモ01と適宜名付けて入力する。この情報入力は、設定入力部14から行ってもよいが、電子秤10にパソコンを接続し、専用の情報入力ソフトを使って入力してもよい。なお、既に情報入力が済んでいる場合には、このステップS1はスルーしてよい。
【0054】
電子秤10の設定入力部14を操作して、ステップS1にて記憶させておいた情報呼び出しのための名称を順次、表示部15に表示させて所望の情報を選択する。本例ではジャガイモ01を選択する(S2)。
【0055】
ジャガイモ01のランク情報の内、今回使用する重量ランクを、設定入力部14を操作して選択する。本例では、既にランク分けされた定型の重量ランクS,M.Lの全てを使用する(S3)。例えば、M,Lの重量ランクのジャガイモしか袋詰めしないのであればM,Lのみ選択する。
【0056】
ステップS3の操作により、ランク別の重量範囲の情報が記憶部13から呼び出されて表示部15に表示される(S4)。ここで、ランク別の重量範囲の表示に加えて、該当する表示ユニット20を接続するコネクタ19のポートを表示するとよい。例えば、重量ランクLの重量範囲の表示の横に、重量ランクL用の箱40cに取り付けた表示ユニット20cを接続する先のポート番号を表示する。作業者は、表示部15に表示されたS.M,Lの各ポート番号に該当するポートにそれぞれS,M,Lの表示ユニット20a,20b,20cを接続することで、電子秤10と各表示ユニット20が正しく関連付けされて接続される。
【0057】
ステップS5で、設定入力部14を操作して設定情報として目標重量を入力する。
【0058】
作業者は、目標重量よりも少な目、好ましくは、9割程度の被計量物、例えば目標重量が1kgであれば、900g程度、例えば、Mサイズの1個のジャガイモの重量が、100g前後であれば、9個程度のジャガイモを、例えば、袋に入れた状態で計量皿31に載置する(S6)。
【0059】
計量皿31に載置された9個程度のジャガイモが計量される(S7)。
【0060】
ステップS8で、演算部16は、目標重量からステップS7で計量した重量を差し引いた重量値、すなわち、目標重量にするために追加すべきジャガイモの重量値を求める。求めた追加すべきジャガイモの重量値が、選択し得る最大重量である重量ランクLの重量を超えているか否か、すなわち、目標重量にするのに追加すべきジャガイモが残り1個であるか否かを判断する。
【0061】
残り1個でないときには、ステップS10で、ジャガイモを1個追加するための追加表示を表示部15にて行う。ステップS11で、計量皿31に載置されている袋の中に、ジャガイモを1個加える。加えるジャガイモのサイズは、特にこだわらないが、例えばLサイズのジャガイモを1個加えるのが好ましい。なお、表示部15による追加表示に代えて、あるいは、表示部15による追加表示と共に、表示ユニット20を用いて、加えるジャガイモを後述と同様にして指示してもよい。
【0062】
ステップS8で、追加すべきジャガイモが残り1個であるときには、その追加すべきジャガイモの重量ランクと、その重量ランクにおける相対的な重量である大、中、小を求める(S9)。ステップS8で、追加すべきジャガイモ1個の重量値が算出されるので、その重量値が、重量ランクS,M,Lのいずれの重量ランクの大、中、小のいずれのサイズに該当するかを求める。すなわち、各重量ランクの重量範囲を、それぞれ三つに等しく区分した重量範囲のいずれの区分に属するかを判断し、重い区分に属するときには、大、真ん中の区分に属するときは、中、軽い区分に属するときは、小と判断する。
【0063】
次に、
図6Bに示すステップS12で、指示制御部17から一旦全ての表示ユニット20のランプを消灯する指示を出した後、ステップS9で求めた追加すべき最後の1個のジャガイモの重量に相当するランプを点灯する点灯信号を対応する表示ユニット20に出力する。
【0064】
追加すべき最後の1個のジャガイモが、例えば、重量ランクがSであって、その重量範囲の「小」に該当する場合には、S用の箱40aに取り付けられた表示ユニット20aの点灯回路21aに対して、「小」を指定する赤色LED24aを点灯させて指示し、その他のLEDは全て消灯状態のままとする。
【0065】
同様に、最後の1個がS中、S大、M小、M中、M大、L小、L中、L大の場合には、青色LED25a、黄色LED26a、赤色LED24b、青色LED25b、黄色LED26b、赤色LED24c、青色LED25c、黄色LED26cをそれぞれ点灯させる指示する。
図5の例では、重量ランクLのサイズ小を指定する赤色LED24cが点灯している。
【0066】
ステップS13で、点灯したランプに相当するジャガイモを1個、箱40から取り出して、計量皿31に載っている袋の中に加える。S用の箱40aに取り付けた表示ユニット20aの赤色LED24aが点灯している場合、S用の箱40aの中から作業者が主観で小さいと判断したジャガイモを1個取り出して袋に加える。同様に、青色LED25a、黄色LED26aが点灯している場合、S用の箱40aの中から中くらい、大きいものをそれぞれ取り出し、赤色LED24b、青色LED25b、黄色LED26bが点灯している場合、M用の箱40bの中から小さい、中くらい、大きいものをそれぞれ取り出し、赤色LED24c、青色LED25c、黄色LED26cが点灯している場合、L用の箱40cの中から小さい、中くらい、大きいものをそれぞれ取り出す。
【0067】
計量皿31に載置されている袋詰めの重量を計量する(S14)。
図5の例では、L用の箱40cの中から小さいものを1個取り出して袋に加える。
【0068】
ステップS15で、ステップS14の計量値が目標重量をクリアしているか否かを判断する。目標重量をクリアしていない場合にはステップS16に進み、クリアしている場合にはステップS18に進む。
【0069】
ステップS16で、表示部15にて目標重量に達していない不足エラー表示を行う。
【0070】
ステップS17で、計量皿31に載っている袋の中から、作業者が主観で小さいと判断したジャガイモを1個取り出して残り1個の状態に戻す。これは、ランプの指示によって最後の1個を加えたにも関わらず重量不足となったことに鑑みて、袋の中からできるだけ小さいジャガイモを排除することで、再度重量不足となるのを避けることを目的としている。そして、ステップS7に戻る。
【0071】
ステップS15で目標重量以上の場合、表示部15に目標重量に到達していることを示すOK表示を行う(S18)。
【0072】
計量皿31に載っている袋詰めを降ろす(S19)。
【0073】
ステップS20で、全ての袋詰め作業が終了したか否かを判断し、終了していない場合、ステップS21に進む。
【0074】
ステップS21で、表示ユニット20の点灯しているランプを消灯し、電子秤10の計量値を零点リセットした後、ステップS6に戻って、同様の作業を繰り返す。
【0075】
このように構成された計量システムによると、既にランク分けされている被計量物を目標重量に対して少な目にして大まかに袋詰めして計量するだけで、表示ユニット20のランプ22の点灯によって目標重量に達するのに必要な最後の1個の被計量物が、重量ランクとその重量ランク内の相対的な大きさによって指定される。作業者は、指定された重量ランクの中から指定された相対的な大きさの被計量物を選択して加えることで、目標重量に達した被計量物の袋詰めが完成する。このように、目標重量に必要な最後の1個の被計量物が指示されるので、作業者は大まかな袋詰めと指定の大きさの被計量物を選択するだけでよく、経験や勘に頼ることなく、容易に定量計量作業が行える。
【0076】
また、既にランク分けされている被計量物を用いるため、細かなランク分け作業が不要である。
【0077】
また、目標重量に達しない場合には、袋詰めの中から小さい被計量物を1個取り除いて、目標重量に対して残り1個の状態に戻すので、再び目標重量に達しなくなる恐れを減らすことができる。
【0078】
なお、目標重量に足りない9個程度のジャガイモを、予め袋に入れたものを多数作成しておき、各袋を順次、計量皿31に載せて最後の1個を追加するようにすれば、一層作業効率が向上する。
【0079】
なお、目標重量に加えて、許容値(上限値)を設定し、目標値以上であって、かつ、許容値以内の定量の袋詰めを行うようにしてもよい。この場合、最後の1個を追加したときに、許容値を上回った場合には、その旨を表示して、例えば、袋詰めの中から大きい被計量物を1個取り除いて、目標重量に対して残り1個の状態に戻すようにすればよい。
【0080】
(実施形態2)
上述の実施形態1では、ランク分けされて箱詰めされた被計量物を使用することを前提としているが、本実施形態2ではランク分けされていない被計量物にも対応できるようしたものである。
【0081】
実施形態1の
図1〜
図5の構成は、本実施形態2の計量システムにおいても同様である。
図7は本実施形態2の特徴部分を示しており、
図6のフローチャートに
図7のS31〜37を追加することで本実施形態2の定量計量の作業を示すフローチャートとなる。なお、
図6のS1〜21の各ステップの内容については同様である。
【0082】
図1〜6に示した実施形態1と同一部分については説明を省略し、
図7の特徴部分のみ説明する。
【0083】
ステップS31で、ジャガイモの袋詰めには既にランク分けされたものを使用するか、ランク分けされていないものを使用するかの判断を行なう。ランク分けされたものを使用する場合はステップS2へ進み、以降、
図6と同様の流れとなる。ランク分けされていないものを使用する場合はステップS32へ進む。
【0084】
ステップS32で、袋詰めのために用意されたランク分けされていないジャガイモの中から数十個のサンプルを任意に選択する。なお、サンプルの個数は数十個に限らないが、あまり多いとランク分け作業に手間がかかるので適宜決定する。そして、選択したサンプルを1個ずつ計量皿31に載置して計量し、記憶部13に個々の重量を記憶させる。
【0085】
ステップS33で、設定入力部14を操作して、ステップS32で入力したサンプルデータに基づき、演算部16にて平均重量、標準偏差を計算し記憶部13に記憶させる。
【0086】
ステップS34で、これから行なう袋詰め作業で希望するランク分け数を、設定入力部14を操作して入力し記憶部13に記憶させる。例えば、S,M,Lの3つにランク分けするのであれば、ランク分け数は3となる。
【0087】
ステップS35で、設定入力部14を操作して、記憶部13に記憶させた平均重量、標準偏差、ランク分け数に基づき、演算部16にてランク毎の重量範囲を計算し、表示部15に表示すると共に、記憶部13に記憶させる。
【0088】
ステップS36で、サンプルに用いたジャガイモも含め、袋詰め用の全てのジャガイモを1個ずつ計量皿31に載置して計量する。表示部15に表示された当該ジャガイモの重量と、ランク毎の重量範囲とを見比べ、当該ジャガイモはS,M,Lのいずれのランクに該当するかを判断する。予め、
図5に示すS用の箱40a、M用の箱40b、L用の箱40cを準備しておき、当該ジャガイモがSであれば箱40aに、Mであれば箱40bに、Lであれば箱40cに入れる。なお、表示部15に表示されたジャガイモの重量とランク毎の重量範囲とから当該ジャガイモのランクを作業者が決定する代わりに、演算部16にて当該ジャガイモのランクを自動で算出して表示部15に直接S,M,Lとランクを表示してジャガイモのランクを作業者に知らせるようにしてもよい。
【0089】
袋詰め用の全てのジャガイモについて、ステップS36のランク分け作業を行い(S37)、ランク分け作業が終了すると、
図6のステップS5以降の作業に進む。
【0090】
このように構成された計量システムによると、被計量物が予めランク分けされていない場合であっても、被計量物の一部をサンプルとして計量することでランク分け重量範囲が出力されるので、そのランク分け重量範囲に基づいて被計量物を計量してランク分けすることができる。
【0091】
(実施形態3)
上述の実施形態1では、表示ユニット20のランプ22は赤色LED24、青色LED25、黄色LED26から構成されているのに対し、本実施形態3では
図8に示す構成となっている。
【0092】
すなわち、本実施形態3のランプ22は、RGBの3色LEDにて構成されており、RGBの組み合わせで数色に光るものである。ランプ22の点灯回路21に、電子秤10からの点灯信号が入力されると、その指示にしたがって予め作業者との間で取り決めておいた色となるように3色LEDを点灯する。例えば箱40の中から小さいジャガイモを選択する旨の指示は3色LEDを赤色に光らせ(Rのみ点灯)、中くらいを選択する旨の指示は青色に光らせ(Bのみ点灯)、大きいものを選択する旨の指示は黄色に光らせる(RとGを点灯)。作業者はランプ22の色にしたがって箱40の中から指定の大きさのジャガイモを1個取り出して袋に加える。
【0093】
なお、その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0094】
(実施形態4)
上述の実施形態1では、表示ユニット20をクリップ27にて箱40に取り付ける構成であるのに対し、本実施形態4では
図9に示す構成となっている。
【0095】
すなわち、表示ユニット20を据え置きタイプとして用い、ランク分けした被計量物を入れたトレイに隣接させて置くようにしたものである。
【0096】
(その他の実施形態)
表示ユニット20は、ランプ22の点灯色によって大きさを指定するものに限らない。例えば、表示ユニット20の表示画面にバーグラフを表示し、その長短により、長さが長いと大を、短いと小を指定するものとしたり、あるいはリミットメータ等の大きさの大小で指定するようにしてもよい。
【0097】
また、表示の代わりに、“Lの大”“Mの小”等の音声で指示する音声ユニットであってもよい。この場合、
図5に示すように被計量物のランク毎に設ける必要はなく1個設置すればよい。音声ユニットとしては、音声回路とスピーカを有し、音声回路は電子秤10の制御部12から制御信号が入力されると、その制御信号によって、予め記憶されているコメント文や電子音等をスピーカから出力させる。
【0098】
さらに、表示ユニットと音声ユニットを組み合わせて、表示と音声の両方で指示するようにしてもよい。
【0099】
上述の実施形態では、被計量物としては、ジャガイモに適用したけれども、被計量物は、農産物、海産物他、袋等に小分けにパック詰め等して販売するものであれば、どのような物品であってもよい。
【0100】
また、重量ランクは、上述のS,M,Lに限らず、SS,S,M,L,LL等、任意である。