(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5917287
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】袋体把持構造及び袋体保持具
(51)【国際特許分類】
B65F 1/14 20060101AFI20160422BHJP
【FI】
B65F1/14 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-113545(P2012-113545)
(22)【出願日】2012年5月17日
(65)【公開番号】特開2013-237560(P2013-237560A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2014年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236964
【氏名又は名称】富士インパルス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 成男
【審査官】
村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−021187(JP,A)
【文献】
特開2005−324962(JP,A)
【文献】
実開昭56−035396(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3105264(JP,U)
【文献】
特開2005−343594(JP,A)
【文献】
実開昭60−024286(JP,U)
【文献】
実開平04−053703(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3138600(JP,U)
【文献】
特開2000−198501(JP,A)
【文献】
実開昭62−45206(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65F 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋体を把持する構造であって、
袋体を挟むための複数の歯が配列された噛み合い部を有し、前記噛み合い部同士を噛み合わせた状態で互いに平行な軸回りに正逆両方の回転方向に回転可能な対をなす回転体と、
前記噛み合い部同士が相対的に接離可能となるように、両回転体を回転可能に支持する支持部と、
少なくとも一方の噛み合い部を相手側の噛み合い部へ向かう方向に付勢する付勢部と、を備え、
前記支持部は、両回転体を軸方向両側から挟む位置に配置される対をなす板状部位を有し、
両板状部位のうち回転体同士が噛み合う部分と軸方向から見て重なる部位に、袋体を通すための切欠部が形成されており、
前記切欠部は、回転方向のいずれか一方に回転体が回転するときに噛み合い部に挟まれている袋体が移動する第一方向に開口しているとともに、回転方向のいずれか他方に回転体が回転しようとするときに噛み合い部に挟まれている袋体と係合して袋体が前記第一方向とは反対の第二方向に移動することを規制する規制面を有する、袋体把持構造。
【請求項2】
前記規制面は、前記両回転体の回転軸同士を結ぶ線よりも前記第二方向側に配置されている請求項1に記載の袋体把持構造。
【請求項3】
両板状部位に形成される対をなす規制面のうち袋体本体に近い側の規制面よりも袋体本体から遠い側の規制面の方が前記第二方向側にオフセットしている請求項1又は2に記載の袋体把持構造。
【請求項4】
前記噛み合い部を有する対をなす回転体は、互いに噛み合う対をなす歯車である請求項1〜3のいずれかに記載の袋体把持構造。
【請求項5】
前記袋体の開口縁部の複数箇所にそれぞれ対応して設けられる請求項1〜4のいずれかに記載の袋体把持構造と、
前記複数の把持構造の足場となる土台部と、を備える袋体保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋体把持構造及び袋体保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
内容物を収納するゴミ袋等の袋体は、ゴミ箱やゴミスタンド等の袋体保持具に保持された状態で使用される。
【0003】
家庭用ゴミ袋を保持する一般的な袋体保持具の一例として、例えば特許文献1に示すように、ゴミスタンドやゴミ箱の開口縁外周に袋体を折り返して被せることで袋体を保持する袋体保持具が開示されている。その他、袋体を保持する構造として、例えば、ゴミ箱やゴミスタンドのハウジングに対して袋体を被せた枠体を嵌め込むことで、袋体を保持する構造や、マグネットを用いて袋体を把持する構造などが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−111277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の把持構造及び袋体保持具では、例えば医療用に用いるなど、重量のある内容物を袋体に収容した場合には、内容物の重量に耐えられずに袋体が抜脱してしまうおそれがある。
【0006】
過大な引っ張り荷重に耐えられるように袋体を的確に保持するためには、袋体を把持機構に複雑に絡ませることが考えられるが、この場合、袋体を把持機構に着脱する動作が複雑になってしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、その目的は、過大な引っ張り荷重に耐え得る袋体の的確な把持と、袋体の容易な着脱とを両立する袋体把持構造及び袋体保持具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、次のような手段を講じている。
【0009】
すなわち、本発明の袋体把持構造は、袋体を把持する構造であって、袋体を挟むための複数の歯が配列された噛み合い部を有し、前記噛み合い部同士を噛み合わせた状態で互いに平行な軸回りに回転可能な対をなす回転体と、前記噛み合い部同士が相対的に接離可能となるように、両回転体を回転可能に支持する支持部と、少なくとも一方の噛み合い部を相手側の噛み合い部へ向かう方向に付勢する付勢部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
このように、袋体を挟むための複数の歯が配列された噛み合い部同士が接離可能であるので、歯と歯の間に袋体を挟むための空間を確保でき、さらに少なくとも一方の噛み合い部が相手側の噛み合い部に向かう方向に付勢されているので、袋体を歯と歯の間に絡ませて的確に挟持することが可能となる。特に、袋体に作用する引っ張り荷重が回転体の軸方向に沿うように設定すれば、過大な引っ張り荷重に耐え得る適切な袋体の把持を実現することが可能となる。それでいて、噛み合い部を有する回転体を回転させるだけで、袋体を容易に着脱することができる。したがって、袋体の的確な挟持と、袋体の着脱の容易性とを両立することが可能となる。
【0011】
袋体への引っ張り荷重によって回転体が回転して袋体が不意に抜けてしまうことを抑制するためには、前記支持部は、両回転体を軸方向両側から挟む位置に配置される対をなす板状部位を有し、
両板状部位のうち回転体同士が噛み合う部分と軸方向から見て重なる部位に、袋体を通すための切欠部が形成されており、
前記切欠部は、回転方向のいずれか一方に回転体が回転するときに噛み合い部に挟まれている袋体が移動する第一方向に開口しているとともに、回転方向のいずれか他方に回転体が回転しようとするときに噛み合い部に挟まれている袋体と係合して袋体が前記第一方向とは反対の第二方向に移動することを規制する規制面を有することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、袋体を第一方向に移動させて容易に噛み合い部から抜脱できるとともに、規制面によって袋体の第二方向への移動が規制されるので、袋体への引っ張り荷重が第二方向に作用したとしても、回転体が回転せずに袋体の抜脱を抑制することが可能となる。
【0013】
袋体が移動して挟持が不意に解除されることを防止するためには、前記規制面は、前記両回転体の回転軸同士を結ぶ線よりも前記第二方向側に配置されていることが望ましい。前記両回転体の回転軸同士を結ぶ線を越えて前記第二方向側から前記第一方向側へ袋体が移動するためには、付勢部による付勢力に勝たなければならない。この構成によれば、袋体が第一方向へ移動して挟持が不意に解除されることを防止することが可能となる。
【0014】
袋体の十分な挟持を確保するとともに、袋体の挟持が不意に解除されることを防止するためには、両板状部位に形成される対をなす規制面のうち袋体本体に近い側の規制面よりも袋体本体から遠い側の規制面の方が前記第二方向側にオフセットしていることが効果的である。この構成によれば、対をなす規制面のうち袋体本体に近い側の規制面を両回転体の噛み合い部分近傍に配置して、袋体の十分な挟持を確保できる。それでいて、噛み合い部同士で挟んだ袋体先端を第二方向側にオフセットするので、袋体が第一方向へ不意に抜けることを防止でき、袋体への引っ張り荷重により袋体が不意に抜けることを抑制することが可能となる。
【0015】
上記構造を低コストで実現するためには、前記噛み合い部を有する対をなす回転体は、互いに噛み合う対をなす歯車であることが好ましい。
【0016】
上記袋体把持構造は、下記の袋体保持具に適用するのが好適である。すなわち、本発明の袋体保持具は、前記袋体の開口縁部の複数箇所にそれぞれ対応して設けられる上記の袋体把持構造と、前記複数の把持構造の足場となる土台部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の袋体把持構造を適用した袋体保持具を示す斜視図。
【
図2】本発明の袋体把持構造を有する把持ユニットを示す斜視図。
【
図4】対をなす回転体の位置関係を模式的に示す正面図。(a)両回転体が近接している状態を示す図。(b)両回転体が離間している状態を示す図。
【
図5】把持ユニットに袋体を着脱する動作を模式的に示す正面図。(a)袋体を装着する動作を示す正面図。(b)袋体を抜脱する動作を示す正面図。
【
図6】軸方向両側にそれぞれ配置される対をなす規制面の位置関係を模式的に示す側面図。(a)上記実施形態における規制面の位置関係図。(b)上記以外の実施形態における規制面の位置関係図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態に係る袋体保持具及びこれに適用される袋体把持構造を、図面を用いて説明する。本実施形態では、把持対象となる袋体がビニール製である場合を例として説明する。
【0019】
図1に示すように、袋体保持具1は、袋体bgの開口縁複数箇所にそれぞれ対応して設けられ、袋体bgを把持する把持構造を有する把持ユニット3と、把持ユニット3の足場となる土台部2とを有する。土台部2は、略矩形の対をなす環状フレーム20・20を交差させて連結した折りたたみ式のスタンドであり、対をなす下辺20a・20aを接地部位とし、対をなす上辺20b・20bを袋体bgを保持する保持部位に設定している。環状フレーム20の上辺20bには、把持ユニット3が離間した状態で2つ設けられ、袋体保持具1全体として4つ設けられている。これら複数の把持ユニット3は、上方から見た場合に仮想矩形の四隅に位置し、各々の把持ユニット3で袋体bgの開口縁部を保持することにより、袋体bgを開き状態で保持することを可能にしている。
【0020】
図2,
図3及び
図4に示すように、把持ユニット3は、袋体を把持する構造を有する。この袋体把持構造は、袋体bgを挟むための複数の歯が配列された噛み合い部40・50を有し、噛み合い部同士40・50を噛み合わせた状態で互いに平行な軸CL1・CL2回りに回転可能な対をなす回転体4・5と、噛み合い部同士40・50が相対的に接離可能となるように、両回転体4・5を回転可能に支持する支持部6と、一方の噛み合い部40を相手側の噛み合い部50へ向かう方向に付勢する付勢部7とを備える。
【0021】
対をなす回転体4・5は、互いに噛み合う対をなす歯車である。本実施形態の歯車は、全体として略円盤形状をなし、その外周面に、軸方向と平行に延びる歯が周方向に沿って配列された平歯車である。勿論、対をなす歯車が噛み合った状態で互いに平行な軸回りに回転することができれば、平歯車に限定されるものではない。例えば、斜歯歯車でもよい。また、回転体は円盤形状に限られず、例えば対をなす扇状であってもよい。
【0022】
支持部6は、
図2に示すように、全体として略四角筒状をなしており、筒内部に対をなす回転体4・5を収容している。このような構造により、支持部6は、
図2及び
図3に示すように、両回転体4・5を軸方向両側から挟む位置に配置される対をなす板状部位60・61を有する。
図4(a)及び
図4(b)に示すように、両板状部位60・61には、各々の回転体4・5の軸41・51を回転可能に支持するための支持孔6a・6bが形成され、支持孔6a・6bに各回転体4・5の軸41・51が挿通されている。また、本実施形態では、一方の回転体5を固定回転体5とし、他方の回転体4を可動回転体4として、固定回転体5の噛み合い部50と可動回転体4の噛み合い部40とが相対的に接離可能となるように構成している。具体的には、可動回転体4を支持する支持孔6aを小判形状の長穴にして、可動回転体4を相手側の固定回転体5に対して遠近移動可能に構成している。なお、本実施形態では、支持部6は、板金加工により形成されているが、樹脂などの部材で形成してもよい。
【0023】
図2,
図4及び
図5に示すように、上記の両板状部位60・61のうち回転体4・5同士が噛み合う部分と軸方向から見て重なる部位に、袋体bgを通すための切欠部63が形成されている。切欠部63は、
図5(b)に示すように、回転方向のいずれか一方(図中矢印Y1で示す方向)に回転体4・5が回転するときに、噛み合い部40・50に挟まれている袋体bgが移動する第一方向X1に開口している(開放されている)。これにより、
図5(a)に示すように、第一方向X1側から袋体bgを着脱可能にしている。切欠部63は、第一方向X1とは反対の第二方向X2に閉塞しており、
図5(a)に示すように、回転方向のいずれか他方(図中矢印Y2で示す方向)に回転体4・5が回転しようとするときに噛み合い部40・50に挟まれている袋体bgと係合して袋体bgが第二方向X2に移動することを規制する規制面64が設定されている。具体的には、板状部位60・61を軸方向から見た場合に、切欠部63は第一方向X1に開口し且つ第二方向X2に閉塞する溝であり、その溝底が規制面64に設定されている。
図4に示すように、溝の開口部は、溝底部の溝幅に比して広い溝幅に設定されており、袋体bgを溝部(切欠部63)に差し込む際に、袋体bgを溝底に案内する呼び込み部65が実現されている。これにより、袋体bgが溝底とズレていても、呼び込み部65によって袋体bgを溝底に円滑に案内することができる。切欠部63に設定される規制面64は、
図4に示すように、両回転体4・5の回転軸41・51同士を結ぶ線Liよりも第二方向X2側に配置されている。
【0024】
図3,
図4及び
図5に示すように、付勢部7は、U字状板70と、弾性部材71とを有する。U字状板70は、一つの板金を板金加工により折り曲げてU字状に形成したもので、その先端には可動回転体4の軸41を押圧するための押圧溝70aが形成されている。弾性部材71は、U字状板70と支持部6との間に弾性反発力を蓄積した状態で設けられ、この弾性反発力によってU字状板70を介して可動回転体4の軸41を付勢する。その付勢の方向は、可動回転体4の噛み合い部40が相手側となる固定回転体5の噛み合い部50へ向かう方向に設定されている。本実施形態では、弾性部材71にシリコンゴムを用いているが、弾性部材であれば、他の材質のゴムや、金属バネ等を用いてもよい。
【0025】
図1に示すように、各々の把持ユニット3は、袋体bg本体に近い側が斜め上方を向き、袋体bg本体に遠い側が斜め下方を向く姿勢で設置されている。これにより、
図5に示すように、噛み合い部40・50に挟まれている袋体bgに対して、引っ張り荷重が軸方向に沿って作用するようになり、引っ張り荷重によって回転体4・5が回転しにくいようにしてある。
【0026】
上記構成の動作を説明する。
図5(a)に示すように、袋体bgを把持機構に装着する際には、指で袋体bgの開口縁部を摘み、噛み合い部40・50の軸方向一方から他方に亘り袋体bgを跨がせて、袋体bgを第二方向X2に向けて引っ張る。すると、袋体bgが、付勢部7の付勢力に抗しながら回転体4・5を図中矢印Y2で示す方向に回転させながら、噛み合い部40・50に挟まれた状態となる。さらに袋体bgを第二方向X2に向けて引っ張ると、切欠部63に定めた規制面64と袋体bgとが係合し、袋体bgの第二方向X2への移動が規制される。このとき、袋体bgの少なくとも一部は、両回転体4・5の回転軸同士41・51を結ぶ線Liと規制面64との間に配置される。このように構成すれば、両回転体4・5の回転軸同士41・51を結ぶ線Liを越えて第二方向X2側から第一方向X1側へ袋体bgが移動するためには、付勢部7による付勢力に勝たなければならないので、袋体bgが第一方向X1へ不意に移動して挟持が解除されることを防止できる。
【0027】
図5(b)に示すように、袋体bgを把持機構から抜脱する際には、袋体bgを第一方向X1に引っ張れば、両回転体4・5が図中矢印Y
1で示す方向に回転して、噛み合い部40・50から開放される。
【0028】
以上のように本実施形態の袋体把持構造は、袋体bgを把持する構造であって、袋体bgを挟むための複数の歯が配列された噛み合い部40・50を有し、噛み合い部同士40・50を噛み合わせた状態で互いに平行な軸CL1・CL2回りに回転可能な対をなす回転体4・5と、噛み合い部同士40・50が相対的に接離可能となるように、両回転体4・5を回転可能に支持する支持部6と、一方の噛み合い部40を相手側の噛み合い部50へ向かう方向に付勢する付勢部7と、を備えている。
【0029】
このように、袋体bgを挟むための複数の歯が配列された噛み合い部同士40・50が接離可能であるので、歯と歯の間に袋体bgを挟むための空間を確保でき、さらに一方の噛み合い部40が相手側の噛み合い部50に向かう方向に付勢されているので、袋体bgを歯と歯の間に絡ませて的確に挟持することが可能となる。特に、袋体bgに作用する引っ張り荷重が回転体4・5の軸方向に沿うように設定すれば、過大な引っ張り荷重に耐え得る適切な袋体bgの把持を実現することが可能となる。それでいて、噛み合い部40・50を有する回転体4・5を回転させるだけで、袋体bgを容易に着脱することができる。したがって、袋体bgの的確な挟持と、袋体bgの着脱の容易性とを両立することが可能となる。
【0030】
特に、本実施形態では、支持部6は、両回転体4・5を軸方向両側から挟む位置に配置される対をなす板状部位60・61を有し、両板状部位60・61のうち回転体同士4・5が噛み合う部分と軸方向から見て重なる部位に、袋体bgを通すための切欠部63が形成されており、切欠部63は、回転方向のいずれか一方(矢印Y2)に回転体4・5が回転するときに噛み合い部40・50に挟まれている袋体bgが移動する第一方向X1に開口しているとともに、回転方向のいずれか他方(矢印Y1)に回転体4・5が回転しようとするときに噛み合い部40・50に挟まれている袋体bgと係合して袋体bgが第一方向X1とは反対の第二方向X2に移動することを規制する規制面64を有する。
【0031】
この構成によれば、袋体bgを第一方向X1に移動させて容易に噛み合い部40・50から抜脱できるとともに、規制面64によって袋体bgの第二方向X2への移動が規制されるので、袋体bgへの引っ張り荷重が第二方向X2に作用したとしても、回転体4・5が回転せずに袋体bgの抜脱を抑制することが可能となる。
【0032】
さらに、本実施形態では、規制面64は、両回転体4・5の回転軸同士41・51を結ぶ線Liよりも第二方向X2側に配置されている。両回転体4・5の回転軸同士41・51を結ぶ線Liを越えて第二方向X2側から第一方向X1側へ袋体bgが移動するためには、付勢部7による付勢力に勝たなければならないので、袋体bgが第一方向X1へ移動して挟持が不意に解除されることを防止することが可能となる。
【0033】
さらにまた、本実施形態では、噛み合い部40・50を有する対をなす回転体4・5は、互いに噛み合う対をなす歯車であるので、市販の汎用部品を用いることができ、上記構造を低コストで実現することが可能となる。
【0034】
本実施形態の袋体保持具1は、袋体bgの開口縁部の複数箇所にそれぞれ対応して設けられる上記把持構造を有する把持ユニット3と、複数の把持機構の足場となる土台部2とを有している。
【0035】
<別実施形態>
本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能である。
【0036】
例えば、本実施形態では、対をなす回転体4・5のうち一方を可動回転体4とし、他方を固定回転体5としているが、双方を可動回転体としてもよい。この場合、相手側の回転体に向けて回転体を付勢する付勢部がそれぞれ必要となる。
【0037】
図6は、
図4(a)のA−A部位の模式的な断面図である。本実施形態では、
図6(a)に示すように、一方の板状部位60に形成される規制面64と、他方の板状部位61に形成される規制面64とが同一高さ位置にあるが、
図6(b)に示すように、両板状部位160・161に形成される対をなす規制面164a・164bのうち袋体bg本体に近い側の規制面164bよりも袋体bg本体から遠い側の規制面164aの方が第二方向X2側にオフセットしていてもよい。このように構成すれば、対をなす規制面164a・164bのうち袋体本体に近い側の規制面164bを両回転体4・5の噛み合い部分近傍に配置して、袋体bgの十分な挟持を確保できる。それでいて、噛み合い部同士40・50で挟んだ袋体bg先端を第二方向X2側にオフセットするので、袋体bgが第一方向X1へ不意に抜けることを防止でき、袋体bgへの引っ張り荷重により袋体が不意に抜けることを抑制することが可能となる。
【0038】
本実施形態では、袋体はビニール製であるが、袋体であれば、その他の材料で形成されていてもよい。例えば、紙製袋、網袋、麻袋などが挙げられる。また、本実施形態では、ゴミを収容する袋体を把持する例で説明したが、内容物はこれに限定されるものではない。また、本実施形態では、内容物を収容する袋体を開き姿勢で保持するために把持機構を用いているが、例えば、袋状の被シール体をシール機でシールするために、被シール体を把持する機構として適用することも可能である。
【0039】
その他、種々の用途において袋体を把持する機構に、本発明の袋体把持機構を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0040】
1…袋体保持具
2…土台部
3…把持ユニット(把持構造)
4,5…回転体
40,50…噛み合い部
6…支持部
60,61,160,161…板状部位
63…切欠部
64,164a,164b…規制面
7…付勢部
CL1,CL2…軸
X1…第一方向
X2…第二方向