特許第5917296号(P5917296)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5917296バイオガス中に気散するアンモニア濃度推定方法、発酵液中のアンモニア濃度調節方法、バイオガス製造方法、及びバイオガス製造システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5917296
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】バイオガス中に気散するアンモニア濃度推定方法、発酵液中のアンモニア濃度調節方法、バイオガス製造方法、及びバイオガス製造システム
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/00 20060101AFI20160422BHJP
   C02F 3/28 20060101ALI20160422BHJP
   C02F 11/04 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
   B09B3/00 CZAB
   B09B3/00 D
   C02F3/28 Z
   C02F11/04 A
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-123589(P2012-123589)
(22)【出願日】2012年5月30日
(65)【公開番号】特開2013-248549(P2013-248549A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2015年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504159235
【氏名又は名称】国立大学法人 熊本大学
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100168893
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 正路
(72)【発明者】
【氏名】押部 洋
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 安佐美
(72)【発明者】
【氏名】大坂 典子
(72)【発明者】
【氏名】木田 建次
【審査官】 山田 貴之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−245639(JP,A)
【文献】 特開2008−104452(JP,A)
【文献】 特開2010−069417(JP,A)
【文献】 特開2011−212534(JP,A)
【文献】 特開2006−218429(JP,A)
【文献】 特開2008−253870(JP,A)
【文献】 特開2001−276880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 1/00− 5/00
B09C 1/00
C02F 3/28− 3/34
C02F 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタン発酵により発酵液からバイオガスを発生させ、発生したバイオガスを不純物吸収液体に供給することでバイオガスに含まれるアンモニアを除去し、アンモニアが除去されたバイオガスを不純物吸収液体から発酵液中に供給することで、発酵液と不純物吸収液体との間にバイオガスを循環させる際に、発酵液からバイオガス中に気散するアンモニアの濃度(アンモニアmg/バイオガスL)を、式(1):
アンモニアの濃度=A*exp(B*発酵液のpH) (1)
[式中、A及びBは定数である]
に従って推定する方法。
【請求項2】
メタン発酵が高温メタン発酵である場合、式(1)におけるアンモニアの濃度及び発酵液のpHをそれぞれY軸及びX軸とすることにより式(1)で表される曲線が、
Y=1*10−8*exp(2.31*X)で表される曲線と、
Y=2*10−8*exp(2.15*X)で表される曲線と、
により挟まれる領域内に位置する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
メタン発酵により発酵液からバイオガスを発生させ、発生したバイオガスを不純物吸収液体に供給することでバイオガスに含まれるアンモニアを除去し、アンモニアが除去されたバイオガスを不純物吸収液体から発酵液中に供給することで、発酵液と不純物吸収液体との間にバイオガスを循環させる際に、
循環させるバイオガスの量を、
測定された発酵液のpHと請求項1又は2に記載の方法とに基づいて、バイオガス中に気散するアンモニアの濃度(アンモニアmg/バイオガスL)を推定する推定工程;及び
推定工程において推定されたアンモニアの濃度に基づいて、発酵液から除去すべき量のアンモニアを気散することができるバイオガスの量を算出する算出工程;
に従って決定することを特徴とする発酵液中のアンモニアの濃度を調節する方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法によりアンモニアの濃度を調節した発酵液からメタン発酵によってバイオガスを発生させ、発生したバイオガスを回収することを含む、バイオガスの製造方法。
【請求項5】
メタン発酵によりバイオガスを発生するメタン発酵槽;
メタン発酵槽に接続され、メタン発酵槽で発生したバイオガスを送出する第1のガス導管;
第1のガス導管を介してメタン発酵槽と連結され、内部に張り込まれた不純物吸収液体中に第1のガス導管よりバイオガスが供給される不純物吸収槽;
不純物吸収槽とメタン発酵槽とを連結し、不純物吸収槽内に張り込まれた不純物吸収液体を通過したバイオガスをメタン発酵槽内の発酵液中に循環する第2のガス導管;
発酵液のpHを測定するpH測定手段;及び
発酵液と不純物吸収槽との間に循環させるバイオガス量を調節するガス流量調節手段;
を備え、ガス流量調節手段により調節されるバイオガスの量を、
測定された発酵液のpHと請求項1又は2に記載の方法とに基づいて、バイオガス中に気散するアンモニアの濃度(アンモニアmg/バイオガスL)を推定する推定工程;及び
推定工程において推定されたアンモニアの濃度に基づいて、発酵液から除去すべき量のアンモニアを気散することができるバイオガスの量を算出する算出工程;
に従って決定することを特徴とするバイオガス製造システム。
【請求項6】
発酵液から、循環されたバイオガス中に気散するアンモニアの濃度(アンモニアmg/バイオガスL)を推定する式(1):
アンモニアの濃度=A*exp(B*発酵液のpH) (1)
[式中、A及びBは定数である]
を記憶した記憶手段と、
発酵液から除去すべきアンモニアの量を入力する入力手段と、
pH測定手段により測定された発酵液のpHと記憶手段に記憶された式(1)とに基づいて、循環されるバイオガス中に気散するアンモニアの濃度を算出し、続いて、算出されたアンモニアの濃度と入力手段により入力されたアンモニアの量とに基づいて、発酵液から除去すべき量のアンモニアを気散することができるバイオガスの量を算出する演算手段と、
を有する制御部を更に備えることを特徴とする、請求項5に記載のバイオガス製造システム。
【請求項7】
メタン発酵が高温メタン発酵である場合、式(1)におけるアンモニアの濃度及び発酵液のpHをそれぞれY軸及びX軸とすることにより式(1)で表される曲線が、
Y=1*10−8*exp(2.31*X)で表される曲線と、
Y=2*10−8*exp(2.15*X)で表される曲線と、
により挟まれる領域内に位置する、請求項5又は6に記載のバイオガス製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発酵液からバイオガス中に気散するアンモニアの濃度を推定する方法に関する。また、本発明は前記推定方法を利用して発酵液中のアンモニアの濃度を調節する方法に関する。更に、本発明は前記調節方法を利用して効率的にバイオガスを製造する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近では地球温暖化防止の観点から、化石燃料に代わる新エネルギーの開発が進められている。その一つとして、生ゴミや下水等のバイオマスを対象としたメタン発酵は、カーボンニュートラルなエネルギー変換技術として注目されている。しかし、発酵液中のアンモニア濃度が高いと発酵が阻害され、エネルギー変換が著しく困難となることが知られている。
【0003】
特にタンパク質等の窒素源が多く含まれる食品系のバイオマス原料を発酵させる場合には、発酵液中のアンモニア濃度を低下させるために、大量の希釈水を投入してアンモニアによる発酵阻害を回避することが行われている。しかし、このような方法を用いると、発酵槽を大型化する必要が生じ、設備コストが上昇するという問題が存在する。
【0004】
アンモニアによる発酵阻害を回避するために、発酵槽の上流にアンモニア処理槽を設け、バイオマス原料由来の窒素分をアンモニアガスとして除去した後にバイオマス原料を発酵槽に投入する方法も行われている。しかし、この方法ではアンモニア処理槽を新たに設ける必要があるため、装置が複雑化し、設備コストが上昇するという問題が存在する。
【0005】
また、特許文献1にはアンモニア濃度が低下した処理水等をメタン発酵槽に循環させることにより、アンモニア濃度を低下させる方法が開示されている。また、非特許文献1にはバイオガスを発酵槽に循環させることにより、発酵液中のアンモニアを除去することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−444号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Chemical Engineering Journal, Volume 178, 15 December 2011, Pages 138-145
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
メタン発酵により発生したバイオガスには発酵液に由来するアンモニアが含まれている。ここで、バイオガスに含まれるアンモニアを除去した後、バイオガスを発酵液中に供給すると、発酵液中のアンモニアがバイオガス中に気散する。これにより、発酵液中のアンモニア濃度が低下する。
【0009】
しかし、発酵液の窒素含有量を下げすぎるとメタン生成細菌等に悪影響を与える可能性がある。そのため、バイオガスを発酵液に供給する場合には、発酵液中のアンモニア性窒素濃度を随時測定し、アンモニア性窒素濃度が下がりすぎないように注意を払わなければならない。しかし、発酵液中のアンモニア性窒素濃度を測定するには煩雑な操作が必要となる。
【0010】
そのため、本発明は発酵液からバイオガス中に気散するアンモニアの濃度を推定する方法を提供することを目的とする。また、前記推定方法を利用して発酵液中のアンモニア濃度を調節する方法を提供することを目的とする。更に、前記調節方法を利用してバイオガスを効率的に製造する方法及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した目的を達成するため、本発明者らが鋭意検討した結果、発酵液からバイオガス中に気散するアンモニアの濃度は、発酵液のpHを用いた関係式に基づいて推定できることを見出した。発酵液からバイオガス中に気散するアンモニアの濃度が推定できれば、発酵液から除去すべきアンモニアの量に基づいて、循環させるべきバイオガスの量を決定することができる。
【0012】
すなわち、本発明は以下を包含する。
[1]メタン発酵により発酵液からバイオガスを発生させ、発生したバイオガスを不純物吸収液体に供給することでバイオガスに含まれるアンモニアを除去し、アンモニアが除去されたバイオガスを不純物吸収液体から発酵液中に供給することで、発酵液と不純物吸収液体との間にバイオガスを循環させる際に、発酵液からバイオガス中に気散するアンモニアの濃度(アンモニアmg/バイオガスL)を、式(1):
アンモニアの濃度=A*exp(B*発酵液のpH) (1)
[式中、A及びBは定数である]
に従って推定する方法。
[2]メタン発酵が高温メタン発酵である場合、式(1)におけるアンモニアの濃度及び発酵液のpHをそれぞれY軸及びX軸とすることにより式(1)で表される曲線が、
Y=1*10−8*exp(2.31*X)で表される曲線と、
Y=2*10−8*exp(2.15*X)で表される曲線と、
により挟まれる領域内に位置する、[1]に記載の方法。
[3]メタン発酵により発酵液からバイオガスを発生させ、発生したバイオガスを不純物吸収液体に供給することでバイオガスに含まれるアンモニアを除去し、アンモニアが除去されたバイオガスを不純物吸収液体から発酵液中に供給することで、発酵液と不純物吸収液体との間にバイオガスを循環させる際に、
循環させるバイオガスの量を、
測定された発酵液のpHと[1]又は[2]に記載の方法とに基づいて、バイオガス中に気散するアンモニアの濃度(アンモニアmg/バイオガスL)を推定する推定工程;及び
推定工程において推定されたアンモニアの濃度に基づいて、発酵液から除去すべき量のアンモニアを気散することができるバイオガスの量を算出する算出工程;
に従って決定することを特徴とする発酵液中のアンモニアの濃度を調節する方法。
[4][3]に記載の方法によりアンモニアの濃度を調節した発酵液からメタン発酵によってバイオガスを発生させ、発生したバイオガスを回収することを含む、バイオガスの製造方法。
[5]メタン発酵によりバイオガスを発生するメタン発酵槽;
メタン発酵槽に接続され、メタン発酵槽で発生したバイオガスを送出する第1のガス導管;
第1のガス導管を介してメタン発酵槽と連結され、内部に張り込まれた不純物吸収液体中に第1のガス導管よりバイオガスが供給される不純物吸収槽;
不純物吸収槽とメタン発酵槽とを連結し、不純物吸収槽内に張り込まれた不純物吸収液体を通過したバイオガスをメタン発酵槽内の発酵液中に循環する第2のガス導管;
発酵液のpHを測定するpH測定手段;及び
発酵液と不純物吸収槽との間に循環させるバイオガス量を調節するガス流量調節手段;
を備え、ガス流量調節手段により調節されるバイオガスの量を、
測定された発酵液のpHと[1]又は[2]に記載の方法とに基づいて、バイオガス中に気散するアンモニアの濃度(アンモニアmg/バイオガスL)を推定する推定工程;及び
推定工程において推定されたアンモニアの濃度に基づいて、発酵液から除去すべき量のアンモニアを気散することができるバイオガスの量を算出する算出工程;
に従って決定することを特徴とするバイオガス製造システム。
[6]発酵液から、循環されたバイオガス中に気散するアンモニアの濃度(アンモニアmg/バイオガスL)を推定する式(1):
アンモニアの濃度=A*exp(B*発酵液のpH) (1)
[式中、A及びBは定数である]
を記憶した記憶手段と、
発酵液から除去すべきアンモニアの量を入力する入力手段と、
pH測定手段により測定された発酵液のpHと記憶手段に記憶された式(1)とに基づいて、循環されるバイオガス中に気散するアンモニアの濃度を算出し、続いて、算出されたアンモニアの濃度と入力手段により入力されたアンモニアの量とに基づいて、発酵液から除去すべき量のアンモニアを気散することができるバイオガスの量を算出する演算手段と、
を有する制御部を更に備えることを特徴とする、[5]に記載のバイオガス製造システム。
[7]メタン発酵が高温メタン発酵である場合、式(1)におけるアンモニアの濃度及び発酵液のpHをそれぞれY軸及びX軸とすることにより式(1)で表される曲線が、
Y=1*10−8*exp(2.31*X)で表される曲線と、
Y=2*10−8*exp(2.15*X)で表される曲線と、
により挟まれる領域内に位置する、[5]又は[6]に記載のバイオガス製造システム。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、発酵液のpHを測定することによりバイオガス中に気散するアンモニアの濃度を推定することができる。これにより、発酵液中のアンモニア濃度を調節することができる。更に、発酵液中のアンモニア濃度を所望の範囲に調節することにより、バイオガスを効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るバイオガス製造システムの一実施形態を示す概要図である。
図2】本発明に係るバイオガス製造システムの一実施形態を示す概要図である。
図3】本発明に係るバイオガス製造システムの一実施形態を示す概要図である。
図4】本発明に係るバイオガス製造システムの一実施形態を示す概要図である。
図5】本発明に係るバイオガス製造システムの一実施形態を示す概要図である。
図6】発酵液のpHとバイオガス中に気散するアンモニアの濃度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、メタン発酵によって発酵液からバイオガスを発生させ、発生したバイオガスを不純物吸収液体に供給することでバイオガスに含まれるアンモニアを除去し、アンモニアが除去されたバイオガスを不純物吸収液体から発酵液中に供給することで、発酵液と不純物吸収液体との間にバイオガスを循環させる際に、発酵液からバイオガス中に気散するアンモニアの濃度を推定する方法に関する。
【0016】
発酵液からバイオガス中に気散するアンモニアの濃度(アンモニアmg/バイオガスL)は、式(1):
アンモニアの濃度=A*exp(B*発酵液のpH) (1)
[式中、A及びBは定数である]
に従って推定することができる。式(1)から理解されるように、バイオガス中に気散するアンモニアの濃度は、発酵液のpHに基づいて推定することができる。
【0017】
式(1)に従ってバイオガス中に気散するアンモニアの濃度を推定するには、予め発酵液のpHとバイオガス中に気散するアンモニアの濃度とを測定して定数A及びBを決定する必要がある。定数A及びBを一旦決定すれば、これらの値を代入した式(1)と発酵液のpHとに基づいてバイオガス中に気散するアンモニアの濃度を推定することができる。
【0018】
定数A及びBは、メタン発酵の条件に依存して決定される定数である。例えば、定数A及びBは発酵温度、発酵原料、発酵に関与する微生物(群)等に依存して変化する。そのため、メタン発酵の条件により定数A及びBが変化する場合には、メタン発酵の条件ごとに定数A及びBを設定することが好ましい。これにより、メタン発酵の条件ごとにバイオガス中に気散するアンモニアの濃度を正確に推定することができる。
【0019】
ここで、定数A及びBを決定するにあたり、発酵液のpHは一般的なpH測定装置を用いて直接的に測定することができる。一方、バイオガス中に気散するアンモニアの濃度は、濃度が低いために測定が困難な場合がある。この場合には、既知濃度のアンモニアを含む発酵液に一定量のバイオガスを供給し、発酵液中のアンモニア濃度を測定することで発酵液中のアンモニアの減少量を算出し、算出したアンモニアの減少量を供給したバイオガスの総量で割ることにより、バイオガス中に気散したアンモニアの濃度を間接的に測定することができる。
【0020】
なお、メタン発酵の規模は定数A及びBにほとんど影響を与えない。そのため、小規模の発酵システムに基づいて大規模の発酵システムにおける定数A及びBを決定することができる。
【0021】
特に、定数A及びBはメタン発酵の温度に大きく依存する。例えばメタン発酵が高温メタン発酵(約55℃)である場合、式(1)で表わされる曲線(アンモニアの濃度をX軸、発酵液のpHをY軸とする)は、Y=1*10−8*exp(2.31*X)(以下、「式(2)」ともいう)で表される曲線と、Y=2*10−8*exp(2.15*X)(以下、「式(3)」ともいう)で表される曲線とにより挟まれる領域内に位置する。ここで、「領域内に位置する」とは、式(1)で表される曲線が、式(2)又は式(3)で表される曲線と一致する場合も包含する。
【0022】
次に、本発明に係るバイオガス製造システム、及びバイオガス製造方法、並びに発酵液中のアンモニア濃度調節方法を、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
本発明に係るバイオガス製造システムは、例えば図1に示すように、主としてメタン発酵槽1と不純物吸収槽2とから構成されている。メタン発酵槽1には、有機系廃棄物や有機系廃水等の有機物を含有する発酵原料を供給するための導入管3、及び被処理物を抜き取るための排出管4が配設されていてもよい。また、図示しないが、メタン発酵槽1は、発酵液を撹拌する撹拌手段を備えていてもよい。撹拌手段としては、撹拌翼を有する機械攪拌装置もしくは槽内液循環装置等の発酵液を混合できるものであれば如何なる手段でもよい。使用するメタン発酵槽1の形式としては、特に限定されるものではなく、ガス攪拌型リアクターに限らず機械攪拌型リアクター等からなる縦型円筒リアクター、及び横型円筒リアクターや卵形消化槽、更にはUASB(upflow anaerobic sludge-blanket)リアクター、固定床型リアクター、流動床型リアクター等、いずれのものであっても適用することができる。
【0024】
また、バイオガス製造システムは、メタン発酵槽1の上部に接続され、メタン発酵に伴って発生するバイオガスを不純物吸収槽2へ排出する排出ライン5(第1のガス導管)と、不純物吸収槽2でアンモニアを除去したバイオガスをメタン発酵槽1に供給するためのガス循環ライン6(第2のガス導管)を備えている。排出ライン5の排出口は不純物吸収槽2に張り込まれた不純物吸収液体中に位置している。ガス循環ライン6の起端部は、不純物吸収槽2の上部に接続されている。また、ガス循環ライン6の終端部は、メタン発酵槽1内の発酵液中に位置している。不純物吸収槽2に張り込まれる不純物吸収液体としては、バイオガス中に含まれる不純物、特にアンモニアを吸収できる液体であれば特に限定されないが、例えば水を使用することができる。不純物吸収槽2に張り込まれる水は、河川水、湖沼水、水道水、地下水あるいは工業用水であってよい。水はバッチ的に入れ替えても、連続的に入れ替えても、入れ替えることなく連続的に使用してもかまわない。
【0025】
更に、バイオガス製造システムは、メタン発酵槽1内の発酵液のpHを測定するpH測定手段8を備えている。また、排出ライン5を介してメタン発酵槽1から不純物吸収槽2へ排出されるバイオガスの量を調節するガス流量調節手段9を備えている。pH測定手段8としては、特に限定されるものではなく、一般的なpH測定装置を使用することができる。また、ガス流量調節手段9としては、発酵液から発生したバイオガスを不純物吸収槽2に排出する排出ライン5を開閉可能な弁や、発酵液中のアンモニア濃度を調節するときに起動し、発酵液から発生したバイオガスを不純物吸収槽2に供給するポンプ等を挙げることができる。このような弁とポンプとを組み合わせたものをガス流量調節手段9として使用することもできる。ガス流量調節手段9はガスの流量を感知する流量計を更に備えていてもよい。また、ガス流量調節手段9と異なる位置に設置された流量計からの信号を直接又は間接的に受信可能な受信装置を備えていてもよい。
【0026】
なお、排出ライン5には、バイオガスをガスホルダー等に送出するための送出ライン7が接続されていてもよい。そして、送出ライン7には、発酵液中のアンモニア濃度を調節するときに、送出ライン7を閉じることができる弁(図示せず)を備えていてもよい。また、不純物吸収槽2の内部に位置する排出ライン5の先端部及びメタン発酵槽1の内部に位置するガス循環ライン6の先端部には、放出されるバイオガスをバブリングするための散気手段(図示せず)が配設されていてもよい。
【0027】
以上のように構成されたバイオガス製造システムにおいて、メタン発酵槽1では、内部に張り込まれた有機系廃棄物や有機系廃水等に含まれる有機物をメタン生成細菌等が分解して、メタンや二酸化炭素等のバイオガスを発生するメタン発酵を行なうことができる。メタン発酵槽1で行なわれるメタン発酵は、中温メタン発酵(約37℃)、高温メタン発酵(約55℃)を問わずいずれの方法によるものであってもよい。例えば、BOD(生化学的酸素要求量)として数万ppmの液を酸化還元電位で−300〜−400mVの嫌気状態にし、51〜55℃に保つものであってもよい。このような嫌気状態により、絶対嫌気性細菌であるメタン生成細菌の活性化が図られ、有機物1kg当たり、300〜1000Lのバイオガスが生成される。
【0028】
なお、有機系廃水、有機系廃棄物とは、生ゴミや家畜糞尿、種々の食品工場の食品から廃棄される有機物を含んだ排水、大豆煮汁、有機系廃棄物や、ウィスキーや焼酎の蒸留廃液、ビール製造工程から排出されるトルーブ廃水等有機系の廃水や、廃棄物、あるいは、これらの工場から排出される有機物を活性汚泥法といわれる好気性処理により処理した余剰汚泥等いずれのものも含まれる。
【0029】
メタン発酵槽1で発生したバイオガスは、送出ライン7を介してガスホルダー等に送出される。しかし、発酵液中のアンモニア濃度が高く、メタン発酵が阻害されている場合には、ガス流量調節手段9により一定量のバイオガスを不純物吸収槽2に排出する。
【0030】
ガス流量調節手段9により不純物吸収槽2に排出するバイオガスの量は、上述のバイオガス中に気散するアンモニアの濃度(アンモニアmg/バイオガスL)を推定する式(1):
アンモニアの濃度=A*exp(B*発酵液のpH) (1)
[式中、A及びBは定数である]
に従って決定される。なお、定数A及びBはバイオガス製造システム内で行われているメタン発酵の条件に基づいて予め決定され、代入される。また、発酵条件が変化した場合には定数A及びBを変更することもできる。
【0031】
不純物吸収槽2に排出するバイオガスの量を決定する際には、まず、pH測定手段8により測定した発酵液のpHを使用する。発酵液のpHは常時測定していてもよいし、発酵液中のアンモニア濃度の調節が必要となったときに測定してもよい。次に、測定されたpHの値を、定数A及びBが代入されている式(1)に代入することにより、バイオガス中に気散するアンモニアの濃度を算出する。続いて、算出されたアンモニアの濃度に基づいて、発酵液から除去すべき量のアンモニアを気散することができるバイオガスの量を算出する。バイオガス量の算出は、バイオガス製造システムと独立したコンピュータ等で行ってもよいし、人間による計算であってもよい。
【0032】
ガス流量調節手段9により、上述のように決定された量のバイオガスが不純物吸収槽2に排出される。バイオガスにはアンモニアが含まれているが、不純物吸収槽2に張り込まれた不純物吸収液体中を通過することによりアンモニアが除去される。排出ライン5の先端部に散気手段を配設した場合には、バイオガスを液体中にバブリングすることができる。なお、バブリングとは、液体中に気体を放出して、多数の気泡を形成させることをいう。気泡は水中を徐々に上昇し、上方の気液界面を経て、空間に到達する。
【0033】
不純物吸収槽2内の液体を通過したバイオガスは、ガス循環ライン6を介して発酵液中に供給され、不純物吸収槽2とメタン発酵槽1との間を循環する。バイオガスが発酵液中を通過することにより、発酵液中のアンモニアがバイオガス中に気散する。発酵液中に供給されるバイオガスの量は、所望の量のアンモニアが発酵液から気散されるようにガス流量調節手段9により調節されているため、所望の量のアンモニアが発酵液から除去される。これにより、発酵液中のアンモニア濃度を調節することができる。
【0034】
このように、本発明に係るバイオガス製造システムでは、メタン発酵槽で発生し、ガス流量調節手段9により調節された一定量のバイオガスが、排出ライン5、不純物吸収槽2、ガス循環ライン6、メタン発酵槽1の順に循環する。一定量のバイオガスをこのように循環させることにより、一定量のアンモニアが発酵液から除去される。これにより、発酵液中のアンモニア濃度が調節され、アンモニア阻害が回避されることによって効率的なバイオガスの製造が可能となる。
【0035】
なお、式(1)から分かるように、バイオガス中に気散するアンモニアの濃度は発酵液のpHが上昇するにつれて増加する。そのため、発酵液に水酸化ナトリウム等の薬品を加えて強制的にpHを上昇させることにより、発酵液から気散するアンモニアの濃度を増加させ、発酵液中のアンモニア濃度の調節をより迅速に行うこともできる。
【0036】
ところで、本発明に係るバイオガス製造システム、及びバイオガス製造方法、並びに発酵液中のアンモニア濃度調節方法は、上記の構成に限定されるものではない。例えば、図2に示すように、ガス流量調節手段9を制御部10により制御することもできる。制御部10は、バイオガス中に気散するアンモニアの濃度(アンモニアmg/バイオガスL)を推定する式(1):
アンモニアの濃度=A*exp(B*発酵液のpH) (1)
[式中、A及びBは定数である]
を記憶した記憶手段11と、発酵液から除去すべきアンモニアの量を入力する入力手段12と、発酵液から除去すべき量のアンモニアを気散することができるバイオガスの量を算出する演算手段13とを有する。記憶手段11に記憶させた式(1)における定数A及びBは発酵条件に応じて変化するため、必要に応じて変更することができる。
【0037】
なお、pH測定手段8と制御部10とは接続されていないため、pH測定手段8により測定されたpHの値は、発酵液から除去すべきアンモニアの量と同様に、入力手段12により入力してもよい。
【0038】
制御部10では、pH測定手段8により測定され、入力手段12により入力された発酵液のpHと記憶手段11に記憶された式(1)とに基づいて、演算手段13によりバイオガス中に気散するアンモニアの濃度を算出する。続いて、算出されたアンモニアの濃度と、入力手段12により入力された発酵液から除去すべきアンモニアの量とに基づいて、演算手段13により発酵液から除去すべき量のアンモニアを気散することができるバイオガスの量を算出する。そして、産出したバイオガスの量をガス流量調節手段9に伝えることにより、不純物吸収槽2に供給するバイオガスの量を制御することができる。
【0039】
記憶手段11、入力手段12、及び演算手段13は一つの制御手段として統一することもできる。例えば、制御手段としてコンピュータ等を挙げることができる。コンピュータのRAM、HDD等に記憶されたプログラムが動作することによって、制御手段の機能を実現することができる。
【0040】
また、図3に示すように、バイオガス製造システムは、pH測定手段8と制御部10とを接続した構成とすることもできる。このバイオガス製造システムでは、発酵液のpHを制御部10に常時伝えることができるため、発酵液から除去すべきアンモニアの量を入力するだけで、ガス流量調節手段9を適宜制御することができる。例えば、この構成のバイオガス製造システムによれば、発酵液のpHの変動に応じて、不純物吸収槽2に供給するバイオガスの量を常時調節するように制御することができる。また、この構成のバイオガス製造システムによれば、予め設定したタイミングで、不純物吸収槽2に供給するバイオガスの量を調節するように制御することもできる。
【0041】
図4に示すように、バイオガス製造システムは、ガス流量調節手段9をガス循環ライン6に接続し、送出ライン7をガス循環ライン6の起端部とガス流量調節手段9との間に配設する構成とすることもできる。図1〜3に示す構成のバイオガス製造システムでは、発酵液から発生したバイオガスは、発酵液中のアンモニア濃度を調節する場合を除いて、不純物吸収槽2を通過することなく、送出ライン7を介してガスホルダー等に送出される。一方、図4に示す構成のバイオガス製造システムでは、送出ライン7がガス循環ライン6に接続されているため、発酵液から発生する全てのバイオガスは、送出ライン7を介して送出される前に不純物吸収槽2を通過する。これにより、不純物が除去されたバイオガスを送出ライン7を介して送出することができる。
【0042】
図5に示すように、バイオガス製造システムは、ガス循環ライン6の終端部を、メタン発酵槽1内の発酵液の上方の空間部に配置してもよい。この構成のバイオガス製造システムでは、ガス循環ライン6の終端部が発酵液中に位置していないため、ガス循環ライン6に発酵液が目詰まりするといった問題を回避することができる。なお、図5に示すバイオガス製造システムと、ガス循環ライン6の終端部が発酵液中に位置している構成のバイオガス製造システムとでは、発酵液からバイオガス中に気散するアンモニアの濃度は異なる。そのため、図5に示すバイオガス製造システムでは、図1〜4に示すシステムと発酵条件が同じであったとしても、式(1)における定数A及びBを独自に設定することとなる。
【0043】
送出ライン7から排出されたバイオガスには、アンモニア、硫化水素、二酸化炭素等の不純物が含まれている場合があるため、更なる不純物吸収槽(図示せず)で精製してもよい。また、PSA方式(プレッシャースイング吸着方式)によるガス精製分離装置で精製してもよい。
【0044】
なお、図1〜5に示したバイオガス製造システムでは、不純物吸収槽2を1槽として示したが、複数槽として不純物吸収槽2を構成してもよい。複数の不純物吸収槽2を交互に用いることにより運転中の槽の掃除が容易になり、連続運転が可能になる。また、運転中トラブルが発生してもバイオガスを導入する槽を切り替えることにより運転の緊急停止の事態を避けることができる。
【0045】
同様に、図1〜5に示したバイオガス製造システムでは、メタン発酵槽1を1槽として示したが、複数槽のメタン発酵槽1を備える構成でもよい。複数のメタン発酵槽1を備えることにより、バイオガスの発生量を増加させることでシステム全体におけるバイオガスの生産性を向上させることできる。なお、複数のメタン発酵槽1を備える場合、不純物吸収槽2は同数であってもよいし、メタン発酵槽1と異なる数であってもよい。
【実施例】
【0046】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
【0047】
[実施例1]
3Lのメタン発酵槽に、3000ppmの窒素を含んだ食品系廃棄物を導入し、55℃でメタン発酵を行った。発生したバイオガスを不純物吸収槽に供給した後、3L/minの平均速度でバイオガスを発酵液中に循環させ、発酵液中のアンモニアを除去した。試験中、発酵槽のpHは8.17であった。発酵液中のアンモニア濃度の変化からアンモニアの除去量を算出し、除去量を循環バイオガスの総量で割ることにより、バイオガス中に気散したアンモニアの濃度を決定した。
【0048】
発酵液のpHとバイオガス中に気散するアンモニアの濃度(アンモニアmg/バイオガスL)との関係は以下の式:
アンモニアの濃度=1.0*10−8*exp(2.31*発酵液のpH)
により表すことができた。
【0049】
[実施例2]
発酵槽のpHを8.6に変更する以外は実施例1と同様に行った。発酵液のpHとバイオガス中に気散するアンモニアの濃度(アンモニアmg/バイオガスL)との関係は以下の式:
アンモニアの濃度=2.0*10−8*exp(2.15*発酵液のpH)
により表すことができた。
【0050】
[実施例3]
4.5Lのメタン発酵槽に、4000ppmの窒素を含んだ食品系廃棄物を導入し、55℃でメタン発酵を行った。発生したバイオガスを不純物吸収槽に供給した後、2L/minの平均速度でバイオガスを発酵液中に循環させ、発酵液中のアンモニアを除去した。試験中、発酵槽のpHは8.0であった。発酵液中のアンモニア濃度の変化からアンモニアの除去量を算出し、除去量を循環バイオガスの総量で割ることにより、バイオガス中に気散したアンモニアの濃度を決定した。
【0051】
発酵液のpHとバイオガス中に気散するアンモニアの濃度(アンモニアmg/バイオガスL)との関係は以下の式:
アンモニアの濃度=1.7*10−8*exp(2.19*発酵液のpH)
により表すことができた。
【0052】
[実施例4]
3000Lのメタン発酵槽に、3000ppmの窒素を含んだ食品系廃棄物を導入し、55℃でメタン発酵を行った。発生したバイオガスを不純物吸収槽に供給した後、16L/minの平均速度でバイオガスを発酵液中に循環させ、発酵液中のアンモニアを除去した。試験中、発酵槽のpHは8.47であった。発酵液中のアンモニア濃度の変化からアンモニアの除去量を算出し、除去量を循環バイオガスの総量で割ることにより、バイオガス中に気散したアンモニアの濃度を決定した。
【0053】
発酵液のpHとバイオガス中に気散するアンモニアの濃度(アンモニアmg/バイオガスL)との関係は以下の式:
アンモニアの濃度=1.3*10−8*exp(2.25*発酵液のpH)
により表すことができた。
【0054】
[実施例5]
発酵槽のpHを7.76に変更する以外は実施例4と同様に行った。発酵液のpHとバイオガス中に気散するアンモニアの濃度(アンモニアmg/バイオガスL)との関係は以下の式:
アンモニアの濃度=9.85*10−9*exp(2.30*発酵液のpH)
により表すことができた。
【0055】
実施例1〜5により得られた、発酵液のpHとバイオガス中に気散するアンモニアの濃度との関係式により表される曲線はいずれも、図6に示すように、Y=1*10−8*exp(2.31*X)で表される曲線と、Y=2*10−8*exp(2.15*X)で表される曲線との間に位置した。
【符号の説明】
【0056】
1・・・メタン発酵槽、2・・・不純物吸収槽、3・・・導入管、4・・・排出管、5・・・排出ライン、6・・・ガス循環ライン、7・・・送出ライン、8・・・pH測定手段、9・・・ガス流量調節手段、10・・・制御部、11・・・記憶手段、12・・・入力手段、13・・・演算手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6