特許第5917320号(P5917320)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アスモ株式会社の特許一覧

特許5917320電機子、電機子の巻線巻回方法及び直流モータ
<>
  • 特許5917320-電機子、電機子の巻線巻回方法及び直流モータ 図000002
  • 特許5917320-電機子、電機子の巻線巻回方法及び直流モータ 図000003
  • 特許5917320-電機子、電機子の巻線巻回方法及び直流モータ 図000004
  • 特許5917320-電機子、電機子の巻線巻回方法及び直流モータ 図000005
  • 特許5917320-電機子、電機子の巻線巻回方法及び直流モータ 図000006
  • 特許5917320-電機子、電機子の巻線巻回方法及び直流モータ 図000007
  • 特許5917320-電機子、電機子の巻線巻回方法及び直流モータ 図000008
  • 特許5917320-電機子、電機子の巻線巻回方法及び直流モータ 図000009
  • 特許5917320-電機子、電機子の巻線巻回方法及び直流モータ 図000010
  • 特許5917320-電機子、電機子の巻線巻回方法及び直流モータ 図000011
  • 特許5917320-電機子、電機子の巻線巻回方法及び直流モータ 図000012
  • 特許5917320-電機子、電機子の巻線巻回方法及び直流モータ 図000013
  • 特許5917320-電機子、電機子の巻線巻回方法及び直流モータ 図000014
  • 特許5917320-電機子、電機子の巻線巻回方法及び直流モータ 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5917320
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】電機子、電機子の巻線巻回方法及び直流モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 23/26 20060101AFI20160422BHJP
   H02K 3/28 20060101ALI20160422BHJP
   H02K 15/09 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
   H02K23/26
   H02K3/28 J
   H02K15/09
【請求項の数】8
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2012-149578(P2012-149578)
(22)【出願日】2012年7月3日
(65)【公開番号】特開2014-14199(P2014-14199A)
(43)【公開日】2014年1月23日
【審査請求日】2014年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101352
【氏名又は名称】アスモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】河合 啓太
(72)【発明者】
【氏名】岡本 智久
(72)【発明者】
【氏名】大下 剛彦
【審査官】 森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−055655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 23/00−23/68
H02K 3/28
H02K 15/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に並設された3n(但し、nは3以上の奇数である)個のティースを有した電機子コアと、
前記ティースに巻回された複数の電機子巻線と、
周方向に並設された複数の整流子片を有し前記電機子コアと一体回転可能に設けられた整流子と
を備え、
前記整流子片の数は、6n個であり、
前記3n個の各ティースは、基端側で径方向に延びる内側巻回部と、該内側巻回部の先端から周方向に二股状に分岐して径方向に延びる第1分岐部と第2分岐部を有し、
前記複数の電機子巻線は、
ティースの内側巻回部にそれぞれ巻回された3n個の集中巻線と、
隣り合うティースの一方のティースの第1分岐部と他方のティースの第2分岐部との間においてにそれぞれ巻回された3n個の分布巻線と
からなる電機子であって、
前記3n個の集中巻線は、
前記3n個の集中巻線のうち、(360/n)度の間隔に配置され、それぞれ正巻きにて巻回されたn個の集中巻線からなる第1集中巻線組と、
前記3n個の集中巻線のうち、前記第1集中巻線組の隣接し(360/n)度の間隔に配置され、それぞれ逆巻きにて巻回されたn個の集中巻線からなる第2集中巻線組と、
前記3n個の集中巻線のうち、前記第1集中巻線組と前記第2集中巻線組との間に設けられて(360/n)度の間隔に配置され、それぞれ正巻きにて巻回されたn個の集中巻線からなる第3集中巻線組と
からなり、そのn個からなる集中巻線の3組の集中巻線組は、一連して結線されるものであり、
前記3n個の分布巻線は、
前記3n個の分布巻線のうち、(360/n)度の間隔に配置され、それぞれ正巻きにて巻回されたn個の分布巻線からなる第1分布巻線組と、
前記3n個の分布巻線のうち、前記第1分布巻線組に隣接し(360/n)度の間隔に配置され、それぞれ逆巻きにて巻回されたn個の分布巻線からなる第2分布巻線組と、
前記3n個の分布巻線のうち、前記第1分布巻線組と前記第2分布巻線組との間に設けられて(360/n)度の間隔に配置され、それぞれ正巻きにて巻回されたn個の巻線からなる第3分布巻線組と
からなり、そのn個からなる分布巻線の3組の分布巻線組は、一連して結線されるものであり、
前記第2分布巻線組の各分布巻線は、軸方向から見て、それぞれ第1集中巻線組の各集中巻線と第集中巻線組の各集中巻線との間に配置されているものであり、
前記一連して結線された3組の分布巻線組の始端は、一連して結線された3組の集中巻線組の端に結線され、前記一連して結線された3つの分布巻線組の終端は、一連して結線された3組の集中巻線組の始端に結線されるものであり、
前記6組の巻線組間は、6n個の整流子片を、(360/n)度の間隔に配置されn個の整流子片を組として振り分けられ、その振り分けられたn個の整流子片を介して、結線されているものであり、
振り分けられた各組のn個の整流子片は、次の巻線組間を結線するために割り当てられた組のn個の整流子片がそれぞれ隣接することを特徴とする電機子。
【請求項2】
請求項に記載した電機子において、
前記nは、3であることを特徴とする電機子。
【請求項3】
請求項又はに記載した電機子の巻線巻回方法であって、
第1集中巻線組から第n集中巻線組まで順番にそれぞれの各集中巻線を順番に巻回した後、第1分布巻線組から第n分布巻線組まで順番にそれぞれの各分布巻線を順番に巻回するようにしたことを特徴とする電機子の巻線巻回方法。
【請求項4】
周方向に並設された3n(但し、nは3以上の奇数である)個のティースを有した電機子コアと、
前記ティースに巻回された複数の電機子巻線と、
周方向に並設された複数の整流子片を有し前記電機子コアと一体回転可能に設けられた整流子と
を備え、
前記整流子片の数は、6n個であり、
前記各ティースの数は、3n個であり、
前記各ティースは、基端側で径方向に延びる内側巻回部と、該内側巻回部の先端から周方向に二股状に分岐して径方向に延びる第1分岐部と第2分岐部を有し、
前記複数の電機子巻線は、
ティースの内側巻回部にそれぞれ巻回された3n個の集中巻線と、
隣り合うティースの一方のティースの第1分岐部と他方のティースの第2分岐部との間においてにそれぞれ巻回された3n個の分布巻線とからなる電機子であって、
前記3n個の集中巻線は、
正巻きの第1集中巻線、逆巻きの第2集中巻線及び正巻きの第3集中巻線の順番で結線される3個の集中巻線からなるn組の第1〜第n集中巻線組とからなり、
その第1〜第n集中巻線組は、隣接する組が互いに(360/n)度ずれで結線されるとともに、第1〜第n集中巻線は電気的に並列に接続されるものであり、
前記3n個の分布巻線は、
正巻きの第1分布巻線、逆巻きの第2分布巻線及び正巻きの第3分布巻線の順番で結線される3個の分布巻線からなるn組の第1〜第n分布巻線組とからなり、
その第1〜第n分布巻線組は、隣接する組が互いに(360/n)度ずれで結線されるとともに、第1〜第n分布巻線は電気的に並列に接続されるものであり、
前記第1〜第n分布巻線組の各始端は、それぞれ対応する第1〜第n集中巻線組の終端と結線されるものであり、
前記2n組の巻線組の各巻線間は、(360/n)度の間隔に配置され2個の整流子片を介して結線されていることを特徴とする電機子。
【請求項5】
請求項に記載した電機子において、
前記nは、3であることを特徴とする電機子。
【請求項6】
請求項又はに記載した電機子の巻線巻回方法であって、
第1〜第n集中巻線組の各集中巻線を、同時に順番に巻回した後、第1〜第n分布巻線組の各分布巻線を、同時に順番に巻回するようにしたことを特徴とする電機子の巻線巻回方法。
【請求項7】
周方向に並設された複数の磁極と、
周方向に並設された複数のティースを有し前記ティースの先端が前記磁極と径方向に対向される電機子コアと、
前記ティースに巻回された複数の電機子巻線と、
周方向に並設された複数の整流子片を有し前記電機子コアと一体回転可能に設けられた整流子と、
前記整流子片に押圧接触される複数の給電ブラシと
を備えた直流モータであって、
前記磁極の数は、2n(但し、nは3以上の奇数である)極であり、
前記整流子片の数は、6n個であり、
前記ティースの数は、3n個であり、
前記各ティースは、基端側で径方向に延びる内側巻回部と、該内側巻回部の先端から周方向に二股状に分岐して径方向に延びる第1分岐部と第2分岐部を有し、
前記複数の電機子巻線は、
ティースの内側巻回部にそれぞれ巻回された3n個の集中巻線と、
隣り合うティースの一方のティースの第1分岐部と他方のティースの第2分岐部との間においてにそれぞれ巻回された3n個の分布巻線とからなり、
前記3n個の集中巻線は、
前記3n個の集中巻線のうち、(360/n)度の間隔に配置され、それぞれ正巻きにて巻回されたn個の集中巻線からなる第1集中巻線組と、
前記3n個の集中巻線のうち、前記第1集中巻線組の隣接し(360/n)度の間隔に配置され、それぞれ逆巻きにて巻回されたn個の集中巻線からなる第2集中巻線組と、
前記3n個の集中巻線のうち、前記第1集中巻線組と前記第2集中巻線組との間に設けられて(360/n)度の間隔に配置され、それぞれ正巻きにて巻回されたn個の集中巻線からなる第3集中巻線組と
からなり、そのn個からなる集中巻線の3組の集中巻線組は、一連して結線されるものであり、
前記3n個の分布巻線は、
前記3n個の分布巻線のうち、(360/n)度の間隔に配置され、それぞれ正巻きにて巻回されたn個の分布巻線からなる第1分布巻線組と、
前記3n個の分布巻線のうち、前記第1分布巻線組に隣接し(360/n)度の間隔に配置され、それぞれ逆巻きにて巻回されたn個の分布巻線からなる第2分布巻線組と、
前記3n個の分布巻線のうち、前記第1分布巻線組と前記第2分布巻線組との間に設けられて(360/n)度の間隔に配置され、それぞれ正巻きにて巻回されたn個の巻線からなる第3分布巻線組と
からなり、そのn個からなる分布巻線の3組の分布巻線組は、一連して結線されるものであり、
前記第2分布巻線組の各分布巻線は、軸方向から見て、それぞれ第1集中巻線組の各集中巻線と第3集中巻線組の各集中巻線との間に配置されているものであり、
前記一連して結線された3組の分布巻線組の始端は、一連して結線された3組の集中巻線組の端に結線され、前記一連して結線された3組の分布巻線組の終端は、一連して結線された3組の集中巻線組の始端に結線されるものであり、
前記6組の巻線組間は、6n個の整流子片を、(360/n)度の間隔に配置されn個の整流子片を組として振り分けられ、その振り分けられたn個の整流子片を介して、結線されているものであり、
振り分けられた各組のn個の整流子片は、次の巻線組間を結線するために割り当てられた組のn個の整流子片がそれぞれ隣接することを特徴とする直流モータ。
【請求項8】
周方向に並設された複数の磁極と、
周方向に並設された複数のティースを有し前記ティースの先端が前記磁極と径方向に対向される電機子コアと、
前記ティースに巻回された複数の電機子巻線と、
周方向に並設された複数の整流子片を有し前記電機子コアと一体回転可能に設けられた整流子と、
前記整流子片に押圧接触される複数の給電ブラシと
を備えた直流モータであって、
前記磁極の数は、2n(但し、nは3以上の奇数である)極であり、
前記整流子片の数は、6n個であり、
前記ティースの数は、3n個であり、
前記各ティースは、基端側で径方向に延びる内側巻回部と、該内側巻回部の先端から周方向に二股状に分岐して径方向に延びる第1分岐部と第2分岐部を有し、
前記複数の電機子巻線は、
ティースの内側巻回部にそれぞれ巻回された3n個の集中巻線と、
隣り合うティースの一方のティースの第1分岐部と他方のティースの第2分岐部との間においてにそれぞれ巻回された3n個の分布巻線とからなり、
前記3n個の集中巻線は、
正巻きの第1集中巻線、逆巻きの第2集中巻線及び正巻きの第3集中巻線の順番で結線される3個の集中巻線からなるn組の第1〜第n集中巻線組とからなり、
その第1〜第n集中巻線組は、隣接する組が互いに(360/n)度ずれで結線されるとともに、第1〜第n集中巻線は電気的に並列に接続されるものであり、
前記3n個の分布巻線は、
正巻きの第1分布巻線、逆巻きの第2分布巻線及び正巻きの第3分布巻線の順番で結線される3個の分布巻線からなるn組の第1〜第n分布巻線組とからなり、
その第1〜第n分布巻線組は、隣接する組が互いに(360/n)度ずれで結線されるとともに、第1〜第n分布巻線は電気的に並列に接続されるものであり、
前記第1〜第n分布巻線組の各始端は、それぞれ対応する第1〜第n集中巻線組の終端と結線されるものであり、
前記2n組の巻線組の各巻線間は、(360/n)度の間隔に配置され2個の整流子片を介して結線されていることを特徴とする直流モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電機子、電機子の巻線巻回方法及び直流モータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
直流モータの電機子において、電機子コアに対して周方向に並設された各ティースが、二股状に分岐形成され一対の分岐部を有したものがある(特許文献1)。この電機子に巻回される巻線は、電機子コアの中心側を各ティースの基端部位に集中巻きで巻線を施し、電機子コアの外側を二股状に形成した一対の分岐部を利用して隣接するティースの分岐部間を分布巻きにて巻線を施している。これによって、コギングの少ない直流モータを実現させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−55655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の電機子を用いて6極のように極数対の3以上の奇数の直流モータを作るにあたり、巻線を一括して巻回して電機子を製造するための巻線の巻回方法が開示されていない。
【0005】
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであって、その目的は、電機子コアの中心側を集中巻線で、電機子コアの外側を分布巻線よりなる電機子の巻線を簡単な工程で巻回することができる電機子、電機子の巻線巻回方法及び直流モータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
求項に記載の発明は、周方向に並設された3n(但し、nは3以上の奇数である)個のティースを有した電機子コアと、前記ティースに巻回された複数の電機子巻線と、周方向に並設された複数の整流子片を有し前記電機子コアと一体回転可能に設けられた整流子とを備え、前記整流子片の数は、6n個であり、前記3n個の各ティースは、基端側で径方向に延びる内側巻回部と、該内側巻回部の先端から周方向に二股状に分岐して径方向に延びる第1分岐部と第2分岐部を有し、前記複数の電機子巻線は、ティースの内側巻回部にそれぞれ巻回された3n個の集中巻線と、隣り合うティースの一方のティースの第1分岐部と他方のティースの第2分岐部との間においてにそれぞれ巻回された3n個の分布巻線とからなる電機子であって、前記3n個の集中巻線は、前記3n個の集中巻線のうち、(360/n)度の間隔に配置され、それぞれ正巻きにて巻回されたn個の集中巻線からなる第1集中巻線組と、前記3n個の集中巻線のうち、前記第1集中巻線組の隣接し(360/n)度の間隔に配置され、それぞれ逆巻きにて巻回されたn個の集中巻線からなる第2集中巻線組と、前記3n個の集中巻線のうち、前記第1集中巻線組と前記第2集中巻線組との間に設けられて(360/n)度の間隔に配置され、それぞれ正巻きにて巻回されたn個の集中巻線からなる第3集中巻線組とからなり、そのn個からなる集中巻線の3組の集中巻線組は、一連して結線されるものであり、前記3n個の分布巻線は、前記3n個の分布巻線のうち、(360/n)度の間隔に配置され、それぞれ正巻きにて巻回されたn個の分布巻線からなる第1分布巻線組と、前記3n個の分布巻線のうち、前記第1分布巻線組に隣接し(360/n)度の間隔に配置され、それぞれ逆巻きにて巻回されたn個の分布巻線からなる第2分布巻線組と、前記3n個の分布巻線のうち、前記第1分布巻線組と前記第2分布巻線組との間に設けられて(360/n)度の間隔に配置され、それぞれ正巻きにて巻回されたn個の巻線からなる第3分布巻線組とからなり、そのn個からなる分布巻線の3組の分布巻線組は、一連して結線されるものであり、前記第2分布巻線組の各分布巻線は、軸方向から見て、それぞれ第1集中巻線組の各集中巻線と第集中巻線組の各集中巻線との間に配置されているものであり、前記一連して結線された3組の分布巻線組の始端は、一連して結線された3組の集中巻線組の端に結線され、前記一連して結線された3つの分布巻線組の終端は、一連して結線された3組の集中巻線組の始端に結線されるものであり、前記6組の巻線組間は、6n個の整流子片を、(360/n)度の間隔に配置されn個の整流子片を組として振り分けられ、その振り分けられたn個の整流子片を介して、結線されているものであり、振り分けられた各組のn個の整流子片は、次の巻線組間を結線するために割り当てられた組のn個の整流子片がそれぞれ隣接する。
【0009】
の発明によれば、6n個からなる全ての巻線を一筆書きのように連続して巻回することができる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載した電機子において、前記nは3である。
【0010】
の発明によれば、18個からなる全ての巻線を一筆書きのように連続して巻回することができる。
請求項に記載の発明は、請求項又はに記載した電機子の巻線巻回方法であって、第1集中巻線組から第n集中巻線組まで順番にそれぞれの各集中巻線を順番に巻回した後、第1分布巻線組から第n分布巻線組まで順番にそれぞれの各分布巻線を順番に巻回するようにした。
【0011】
の発明によれば、n個からなる全ての巻線を一筆書きのように連続して巻回することができる。
請求項に記載の発明は、周方向に並設された3n(但し、nは3以上の奇数である)個のティースを有した電機子コアと、 前記ティースに巻回された複数の電機子巻線と、周方向に並設された複数の整流子片を有し前記電機子コアと一体回転可能に設けられた整流子とを備え、前記整流子片の数は、6n個であり、前記各ティースの数は、3n個であり、前記各ティースは、基端側で径方向に延びる内側巻回部と、該内側巻回部の先端から周方向に二股状に分岐して径方向に延びる第1分岐部と第2分岐部を有し、前記複数の電機子巻線は、ティースの内側巻回部にそれぞれ巻回された3n個の集中巻線と、隣り合うティースの一方のティースの第1分岐部と他方のティースの第2分岐部との間においてにそれぞれ巻回された3n個の分布巻線とからなる電機子であって、前記3n個の集中巻線は、正巻きの第1集中巻線、逆巻きの第2集中巻線及び正巻きの第3集中巻線の順番で結線される3個の集中巻線からなるn組の第1〜第n集中巻線組とからなり、その第1〜第n集中巻線組は、隣接する組が互いに(360/n)度ずれで結線されるとともに、第1〜第n集中巻線は電気的に並列に接続されるものであり、前記3n個の分布巻線は、正巻きの第1分布巻線、逆巻きの第2分布巻線及び正巻きの第3分布巻線の順番で結線される3個の分布巻線からなるn組の第1〜第n分布巻線組とからなり、その第1〜第n分布巻線組は、隣接する組が互いに(360/n)度ずれで結線されるとともに、第1〜第n分布巻線は電気的に並列に接続されるものであり、前記第1〜第n分布巻線組の各始端は、それぞれ対応する第1〜第n集中巻線組の終端と結線されるものであり、前記2n組の巻線組の各巻線間は、(360/n)度の間隔に配置され2個の整流子片を介して結線されている。
【0012】
の発明によれば、n箇所で同時に一筆書きのように連続してそれぞれ振り分けられた巻線を巻回し6n個なる全ての巻線を短時間に巻回することができる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載した電機子において、nは3である。
【0013】
の発明によれば、3箇所で同時に一筆書きのように連続してそれぞれ振り分けられた巻線を巻回し18個なる全ての巻線を短時間に巻回することができる。
請求項に記載の発明は、請求項又はに記載した電機子の巻線巻回方法であって、第1〜第n集中巻線組の各集中巻線を、同時に順番に巻回した後、第1〜第n分布巻線組の各分布巻線を、同時に順番に巻回するようにした。
【0014】
の発明によれば、n箇所で同時に一筆書きのように連続してそれぞれ振り分けられた巻線を巻回し6n個なる全ての巻線を短時間に巻回することができる。
請求項に記載の発明は、周方向に並設された複数の磁極と、周方向に並設された複数のティースを有し前記ティースの先端が前記磁極と径方向に対向される電機子コアと、前記ティースに巻回された複数の電機子巻線と、周方向に並設された複数の整流子片を有し前記電機子コアと一体回転可能に設けられた整流子と、前記整流子片に押圧接触される複数の給電ブラシとを備えた直流モータであって、前記磁極の数は、2n(但し、nは3以上の奇数である)極であり、前記整流子片の数は、6n個であり、前記ティースの数は、3n個であり、前記各ティースは、基端側で径方向に延びる内側巻回部と、該内側巻回部の先端から周方向に二股状に分岐して径方向に延びる第1分岐部と第2分岐部を有し、前記複数の電機子巻線は、ティースの内側巻回部にそれぞれ巻回された3n個の集中巻線と、隣り合うティースの一方のティースの第1分岐部と他方のティースの第2分岐部との間においてにそれぞれ巻回された3n個の分布巻線とからなり、前記3n個の集中巻線は、前記3n個の集中巻線のうち、(360/n)度の間隔に配置され、それぞれ正巻きにて巻回されたn個の集中巻線からなる第1集中巻線組と、前記3n個の集中巻線のうち、前記第1集中巻線組の隣接し(360/n)度の間隔に配置され、それぞれ逆巻きにて巻回されたn個の集中巻線からなる第2集中巻線組と、前記3n個の集中巻線のうち、前記第1集中巻線組と前記第2集中巻線組との間に設けられて(360/n)度の間隔に配置され、それぞれ正巻きにて巻回されたn個の集中巻線からなる第3集中巻線組とからなり、そのn個からなる集中巻線の3組の集中巻線組は、一連して結線されるものであり、前記3n個の分布巻線は、前記3n個の分布巻線のうち、(360/n)度の間隔に配置され、それぞれ正巻きにて巻回されたn個の分布巻線からなる第1分布巻線組と、前記3n個の分布巻線のうち、前記第1分布巻線組に隣接し(360/n)度の間隔に配置され、それぞれ逆巻きにて巻回されたn個の分布巻線からなる第2分布巻線組と、前記3n個の分布巻線のうち、前記第1分布巻線組と前記第2分布巻線組との間に設けられて(360/n)度の間隔に配置され、それぞれ正巻きにて巻回されたn個の巻線からなる第3分布巻線組とからなり、そのn個からなる分布巻線の3組の分布巻線組は、一連して結線されるものであり、前記第2分布巻線組の各分布巻線は、軸方向から見て、それぞれ第1集中巻線組の各集中巻線と第3集中巻線組の各集中巻線との間に配置されているものであり、前記一連して結線された3組の分布巻線組の始端は、一連して結線された3組の集中巻線組の端に結線され、前記一連して結線された3組の分布巻線組の終端は、一連して結線された3組の集中巻線組の始端に結線されるものであり、前記6組の巻線組間は、6n個の整流子片を、(360/n)度の間隔に配置されn個の整流子片を組として振り分けられ、その振り分けられたn個の整流子片を介して、結線されているものであり、振り分けられた各組のn個の整流子片は、次の巻線組間を結線するために割り当てられた組のn個の整流子片がそれぞれ隣接する。
【0015】
の発明によれば、6n個からなる全ての巻線を一筆書きのように連続して巻回することができる。
請求項に記載の発明は、周方向に並設された複数の磁極と、周方向に並設された複数のティースを有し前記ティースの先端が前記磁極と径方向に対向される電機子コアと、前記ティースに巻回された複数の電機子巻線と、周方向に並設された複数の整流子片を有し前記電機子コアと一体回転可能に設けられた整流子と、前記整流子片に押圧接触される複数の給電ブラシとを備えた直流モータであって、前記磁極の数は、2n(但し、nは3以上の奇数である)極であり、前記整流子片の数は、6n個であり、前記ティースの数は、3n個であり、前記各ティースは、基端側で径方向に延びる内側巻回部と、該内側巻回部の先端から周方向に二股状に分岐して径方向に延びる第1分岐部と第2分岐部を有し、前記複数の電機子巻線は、ティースの内側巻回部にそれぞれ巻回された3n個の集中巻線と、隣り合うティースの一方のティースの第1分岐部と他方のティースの第2分岐部との間においてにそれぞれ巻回された3n個の分布巻線とからなり、前記3n個の集中巻線は、正巻きの第1集中巻線、逆巻きの第2集中巻線及び正巻きの第3集中巻線の順番で結線される3個の集中巻線からなるn組の第1〜第n集中巻線組とからなり、その第1〜第n集中巻線組は、隣接する組が互いに(360/n)度ずれで結線されるとともに、第1〜第n集中巻線は電気的に並列に接続されるものであり、前記3n個の分布巻線は、正巻きの第1分布巻線、逆巻きの第2分布巻線及び正巻きの第3分布巻線の順番で結線される3個の分布巻線からなるn組の第1〜第n分布巻線組とからなり、その第1〜第n分布巻線組は、隣接する組が互いに(360/n)度ずれで結線されるとともに、第1〜第n分布巻線は電気的に並列に接続されるものであり、前記第1〜第n分布巻線組の各始端は、それぞれ対応する第1〜第n集中巻線組の終端と結線されるものであり、前記2n組の巻線組の各巻線間は、(360/n)度の間隔に配置され2個の整流子片を介して結線されている。
【0016】
の発明によれば、n箇所で同時に一筆書きのように連続してそれぞれ振り分けられた巻線を巻回し6n個なる全ての巻線を短時間に巻回することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電機子コアの中心側を集中巻線で、電機子コアの外側を分布巻線よりなる電機子の巻線を簡単な工程で巻回することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態の直流モータの断面図。
図2】同じく電機子コアの正面図。
図3】電機子巻線の巻回方法を示し、(a)〜(f)は電機子巻線の巻回順序を示す説明図。
図4】同じく(a)〜(f)は電機子巻線の巻回順序を示す説明図。
図5】同じく(a)〜(f)は電機子巻線の巻回順序を示す説明図。
図6】同じく電機子巻線の結線を説明する結線図。
図7】同じく電機子巻線の等価回路図。
図8】第2実施形態の電機子巻線の巻回方法を示し、(a)〜(f)は電機子巻線の巻回順序を示す説明図。
図9】同じく(a)〜(f)は電機子巻線の巻回順序を示す説明図。
図10】同じく(a)〜(f)は電機子巻線の巻回順序を示す説明図。
図11】同じく電機子巻線の結線を説明する結線図。
図12】同じく電機子巻線の結線を説明する結線図。
図13】同じく電機子巻線の結線を説明する結線図。
図14】同じく(a)〜(c)は電機子巻線の等価回路図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図1図7に従って説明する。
図1に示すように、直流モータ1は、固定子2と、該固定子2の内側に配置された電機子3とを備えている。
【0020】
固定子2を構成する略円筒状のヨークハウジング2aの内周面には、磁極としての3個の第1永久磁石MG1と3個の第2永久磁石MG2が、周方向に交互に等ピッチ(本実施形態では60度間隔)となるように固着されている。
【0021】
3個の第1永久磁石MG1は、径方向に磁化されていて、径方向内側がN極、径方向外側がS極となるように磁化されている。一方、3個の第2永久磁石MG2は、径方向に磁化されていて、径方向内側がS極、径方向外側がN極となるように磁化されている。
【0022】
従って、固定子2には、径方向内側がN極の3個の第1永久磁石MG1は、径方向内側がS極の第2永久磁石MG2を挟んで120度間隔でそれぞれ配置されている。換言すれば、径方向内側がS極の3個の第2永久磁石MG2は、径方向内側がN極の第1永久磁石MG1を挟んで120度のピッチでそれぞれ配置されている。そして、直流モータ1は、3個の第1永久磁石MG1と3個の第2永久磁石MG2を周方向に交互に配置することにより磁極の数が「6」となっている。
【0023】
図1に示すように、電機子3は、回転軸4と、該回転軸4に固定された略円筒状の整流子5と、同じく回転軸4に固定された電機子コア6とを備えている。この電機子3は、回転軸4が固定子2によって軸支されることにより、固定子2に対して回転可能に支持されている。そして、整流子5及び電機子コア6は、共に回転軸4に固定されることにより、回転軸4の回転に伴って一体回転される。つまり、極数対が「3」になっている。
【0024】
図1に示すように、整流子5は、回転軸4に固着された絶縁性樹脂材料よりなる円筒状の保持部材5aを有し、その保持部材5aの外周面周方向に18個の整流子片Sが時計回り方向に順番に互いに離間した状態で配置されている。
【0025】
ここで、図2に示すように、18個の整流子片Sをそれぞれ特定するために、以後、第1〜第18整流子片S1〜S18という。そして、図2に示すように、第1〜第18整流子片S1〜S18は、保持部材5aの外周面を時計回り方向に順番に互いに離間した状態で配置されている。従って、18個の第1〜第18整流子片S1〜S18は、周方向に等ピッチ(20度間隔)となるように配置されている。
【0026】
整流子5の外周には、図1に2点鎖線で示すように、陽極側ブラシB1及び陰極側ブラシB2が第1〜第18整流子片S1〜S18に摺接可能に配置されている。陽極側ブラシB1と陰極側ブラシB2は、周方向に180度相対向する位置配置されていて、陽極側ブラシB1は、第1永久磁石MG1の周方向中心位置と対応する位置に配置されているとともに、陰極側ブラシB2は、第2永久磁石MG2の周方向中心位置と対応する位置に配置されている。そして、電機子3には、これら陽極側ブラシB1及び陰極側ブラシB2を介して電流が供給される。
【0027】
図1に示すように、電機子コア6は、円筒状のコアバック7と、該コアバック7の外周面から径方向外側に向かって延びる9本のティースTとが一体に形成されてなるとともに、コアバック7が回転軸4に外嵌されることにより同回転軸4に対して固定されている。ちなみに、第1〜第18整流子片S1〜S18の数は、9本のティースTの数の2倍となるように設定されている。
【0028】
図1に示すように、各ティースTの先端部には、周方向の時計回り方向に分岐し径方向外側に延出形成された第1分岐部Taと、周方向の反時計回り方向に分岐し径方向外側に延出形成された第2分岐部Tbとが設けられている。そして、各ティースTにそれぞれ二股状の一対の第1及び第2分岐部Ta,Tbを形成することによって、電機子コア6には、18個のスロットSLが形成される。なお、各ティースTにおいて、それぞれ一対の第1及び第2分岐部Ta,Tbよりも径方向内側となる基端部側の部位を、内側巻回部Tcとしている。
【0029】
ここで、図2に示すように、9本のティースTをそれぞれ特定するために、以後、第1〜第9ティースT1〜T9という。そして、図2に示すように、9本の第1〜第9ティースT1〜T9は、コアバック7に対し周方向に等ピッチ(40°間隔)となる位置において、時計回り方向に順番に形成されている。このとき、第1〜第9ティースT1〜T9は、第1〜第18整流子片S1〜S18のうち、それぞれ2個が径方向において相対向するように相対配置されている。
【0030】
詳述すると、図2に示すように、第1ティースT1は、第1及び第2整流子片S1,S2がそれぞれ対峙する。第2ティースT2は、第3及び第4整流子片S3,S4がそれぞれ対峙する。第3ティースT3は、第5及び第6整流子片S5,S6がそれぞれ対峙する。第4ティースT4は第7及び第8整流子片S7,S8がそれぞれ対峙する。
【0031】
また、第5ティースT5は、第9及び第10整流子片S9,S10がそれぞれ対峙する。第6ティースT6は、第11及び第12整流子片S11,S12がそれぞれ対峙する。第7ティースT7は、第13及び第14整流子片S13,S14がそれぞれ対峙する。第8ティースT8は、第15及び第16整流子片S15,S16がそれぞれ対峙する。
【0032】
さらに、第9ティースT9は、第17及び第18整流子片S17,S18がそれぞれ対峙する。
第1〜第9ティースT1〜T9の先端部には、図2に示すように、周方向の時計回り方向に分岐し径方向外側に延出形成された第1分岐部T1a〜T9aと、周方向の反時計回り方向に分岐し径方向外側に延出形成された第2分岐部T1b〜T9bとが設けられている。そして、第1分岐部T1a〜T9aの先端部は、周方向の反時計回り方向に屈曲形成されているとともに、第2分岐部T1b〜T9bの先端部は、周方向の時計回り方向に屈曲形成されている。
【0033】
従って、第1〜第9ティースT1〜T9は、先端部にそれぞれ一対の第1及び第2分岐部T1a,T1b〜T9a,T9bが形成されることにより、軸方向から見た形状が略Y字状をなしている。
【0034】
そして、第1〜第9ティースT1〜T9において、それぞれ一対の第1及び第2分岐部T1a,T1b〜T9a,T9bよりも径方向内側となる基端部側の部位を、内側巻回部T1c〜T9cとしている。即ち、第1〜第9ティースT1〜T9において、一対の第1及び第2分岐部T1a,T1b〜T9a,T9bは、内側巻回部T1c〜T9cの先端部から分岐して径方向外側に延びている。
【0035】
ここで、第1〜第9ティースT1〜T9に一対の第1及び第2分岐部T1a,T1b〜T9a,T9bを形成することによって、電機子コア6に形成される18個のスロットSLを特定するために、スロット番号で特定し、その番号を図2図6(第2実施形態の図8図13も同様)に付す。
【0036】
ちなみに、本実施形態では、一対の第1及び第2分岐部T1a,T1b〜T9a,T9bの周方向の幅は、内側巻回部T1c〜T9cの周方向の幅の半分である。
ここで、各ティースにおいて、それぞれ一対の第1及び第2分岐部T1a,T1b〜T9a,T9bが形成する間隔(スロットSL)の中間位置は、その中間位置と回転軸4の中心軸線を結ぶ線上に、相対配置された2個の整流子片との間隔の中間位置が位置するようになっている。
【0037】
つまり、第1ティースT1の第1及び第2分岐部T1a,T1bとの間隔(スロット番号「2」のスロットSL)の中間位置と回転軸4の中心軸線を結ぶ線上には、第1及び第2整流子片S1,S2との間隔の中間位置が位置する。
【0038】
以下、第2ティースT2の第1及び第2分岐部T2a,T2bとの間隔(スロット番号「4」のスロットSL)の中間位置と回転軸4の中心軸線を結ぶ線上には、第3及び第4整流子片S3,S4との間隔の中間位置が位置する。第3ティースT3の第1及び第2分岐部T3a,T3bとの間隔(スロット番号「6」のスロットSL)の中間位置と回転軸4の中心軸線を結ぶ線上には、第5及び第6整流子片S5,S6との間隔の中間位置が位置する。第4ティースT4の第1及び第2分岐部T4a,T4bとの間隔(スロット番号「8」のスロットSL)の中間位置と回転軸4の中心軸線を結ぶ線上には、第7及び第8整流子片S7,S8との間隔の中間位置が位置する。第5ティースT5の第1及び第2分岐部T5a,T5bとの間隔(スロット番号「10」のスロットSL)の中間位置と回転軸4の中心軸線を結ぶ線上には、第9及び第10整流子片S9,S10との間隔の中間位置が位置する。第6ティースT6の第1及び第2分岐部T6a,T6bとの間隔(スロット番号「12」のスロットSL)の中間位置と回転軸4の中心軸線を結ぶ線上には、第11及び第12整流子片S11,S12との間隔の中間位置が位置する。第7ティースT7の第1及び第2分岐部T7a,T7bとの間隔(スロット番号「14」のスロットSL)の中間位置と回転軸4の中心軸線を結ぶ線上には、第13及び第14整流子片S13,S14との間隔の中間位置が位置する。第8ティースT8の第1及び第2分岐部T8a,T8bとの間隔(スロット番号「16」のスロットSL)の中間位置と回転軸4の中心軸線を結ぶ線上には、第15及び第16整流子片S15,S16との間隔の中間位置が位置する。第9ティースT9の第1及び第2分岐部T9a,T9bとの間隔(スロット番号「18」のスロットSL)の中間位置と回転軸4の中心軸線を結ぶ線上には、第17及び第18整流子片S17,S18との間隔の中間位置が位置する。
【0039】
また、隣り合うティースにおいて、隣り合う一方のティースの第1分岐部と他方のティースの第2分岐部が形成する間隔(スロットSL)の中間位置は、その中間位置と回転軸4の中心軸線を結ぶ線上に、隣り合うティースに相対配置された片方ずつの整流子片との間隔の中間位置が位置するようになっている。
【0040】
詳述すると、第1ティースT1の第1分岐部T1aと第2ティースT2の第2分岐部T2bとの間隔(スロット番号「3」のスロットSL)の中間位置と回転軸4の中心軸線を結ぶ線上には、第2及び第3整流子片S2,S3との間隔の中間位置が位置する。
【0041】
以下、第2ティースT2の第1分岐部T2aと第3ティースT3の第2分岐部T3bとの間隔(スロット番号「5」のスロットSL)の中間位置と回転軸4の中心軸線を結ぶ線上には、第4及び第5整流子片S4,S5との間隔の中間位置が位置する。第3ティースT3の第1分岐部T3aと第4ティースT4の第2分岐部T4bとの間隔(スロット番号「7」のスロットSL)の中間位置と回転軸4の中心軸線を結ぶ線上には、第6及び第7整流子片S6,S7との間隔の中間位置が位置する。第4ティースT4の第1分岐部T4aと第5ティースT5の第2分岐部T5bとの間隔(スロット番号「9」のスロットSL)の中間位置と回転軸4の中心軸線を結ぶ線上には、第8及び第9整流子片S8,S9との間隔の中間位置が位置する。第5ティースT5の第1分岐部T5aと第6ティースT6の第2分岐部T6bとの間隔(スロット番号「11」のスロットSL)の中間位置と回転軸4の中心軸線を結ぶ線上には、第10及び第11整流子片S10,S11との間隔の中間位置が位置する。第6ティースT6の第1分岐部T6aと第7ティースT7の第2分岐部T7bとの間隔(スロット番号「13」のスロットSL)の中間位置と回転軸4の中心軸線を結ぶ線上には、第12及び第13整流子片S12,S13との間隔の中間位置が位置する。第7ティースT7の第1分岐部T7aと第8ティースT8の第2分岐部T8bとの間隔(スロット番号「15」のスロットSL)の中間位置と回転軸4の中心軸線を結ぶ線上には、第14及び第15整流子片S14,S15との間隔の中間位置が位置する。第8ティースT8の第1分岐部T8aと第9ティースT9の第2分岐部T9bとの間隔(スロット番号「17」のスロットSL)の中間位置と回転軸4の中心軸線を結ぶ線上には、第16及び第17整流子片S16,S17との間隔の中間位置が位置する。第9ティースT9の第1分岐部T9aと第1ティースT1の第2分岐部T1bとの間隔(スロット番号「1」のスロットSL)の中間位置と回転軸4の中心軸線を結ぶ線上には、第18及び第1整流子片S18,S1との間隔の中間位置が位置する。
【0042】
図1に示すように、上記のように構成された電機子コア6の各ティースT(第1〜第9ティースT1〜T9)には、電機子巻線が巻回されている。
ここで、説明の便宜上、第1〜第9ティースT1〜T9の内側巻回部T1c〜T9cに巻回されている電機子巻線ついて、第1ティースT1の内側巻回部T1cから時計回り方向に第9ティースT9の内側巻回部T9cまで順番に巻回されている巻線を、第1〜第9巻線C1〜C9を呼ぶ。
【0043】
また、隣り合うティースの第1分岐部と第2分岐部との間に巻回されている電機子巻線について、第1ティースT1の第1分岐部T1aと第2ティースT2の第2分岐部T2bから時計回り方向に第9ティースT9の第1分岐部T9aと第1ティースT1の第2分岐部T9bまで順番に巻回されている巻線を、第10〜第18巻線C10〜C18と呼ぶ。
【0044】
従って、第1〜第9ティースT1〜T9の内側巻回部T1c〜T9cに巻回された第1〜第9巻線C1〜C9は、集中巻きとなる。また、隣り合う一方のティースの第1分岐部と他方のティースの第2分岐部との間に巻回された第10〜第18巻線C10〜C18は、分布巻きとなる。
【0045】
本実施形態では、集中巻きの第1〜第9巻線C1〜C9について、6個の第1、第2、第4、第5、第7、第8巻線C1,C2,C4,C5,C7,C8が正巻きに巻回しているのに対して、3個の第3、第6、第9巻線C3,C6,C9を逆巻きに巻回する。従って、逆巻き巻回された集中巻きの第3、第6、第9巻線C3,C6,C9は、それぞれ2つ正巻きの集中巻きの巻線を挟んで120度のピッチで配置されている。
【0046】
これによって、3個の逆巻きの第3、第6、第9巻線C3,C6,C9に対して、それぞれ反時計回り方向に隣接する3個の正巻の第2、第5、第8巻線C2,C5,C8は120度のピッチで配置されている。
【0047】
また、3個の逆巻きの第3、第6、第9巻線C3,C6,C9に対して、それぞれ時計回り方向に隣接する3個の正巻の第4、第7、第1巻線C4,C7,C1は120度のピッチで配置されている。
【0048】
ここで、120度のピッチで配置され集中巻きで正巻きの3個の第2、第5、第8巻線C2,C5,C8の組みを、第1集中巻線組GA1と呼ぶ。
また、120度のピッチで配置され集中巻きで逆巻きの3個の第3、第6、第9巻線C3,C6,C9の組みを、第2集中巻線組GA2と呼ぶ。
【0049】
さらに、120度のピッチで配置され集中巻きで正巻きの3個の第4、第7、第1巻線C4,C7,C1の組みを、第3集中巻線組GA3と呼ぶ。
一方、分布巻きの第10〜第18巻線C10〜C18について、6個の第11、第12、第14、第15、第17、第18巻線C11,C12,C14,C15,C17,C18が正巻きに巻回しているのに対して、3個の第10、第13、第16巻線C10,C13,C16を逆巻きに巻回する。従って、逆巻き巻回された分布巻きの第10、第13、第16巻線C10,C13,C16は、それぞれ2つ正巻きの分布巻きの巻線を挟んで120度のピッチで配置されている。
【0050】
これによって、逆巻きの3個の第10、第13、第16巻線C10,C13,C16に対して、それぞれ反時計回り方向に隣接する3個の第18、第12、第15巻線C18,C12,C15は120度のピッチで配置されている。
【0051】
また、逆巻きの3個の第10、第13、第16巻線C10,C13,C16に対して、それぞれ時計回り方向に隣接する3個の第11、第14、第17巻線C11,C14,C17は120度のピッチで配置されている。
【0052】
ここで、120度のピッチで配置され分布巻きで正巻きの3個の第18、第12、第15巻線C18,C12,C15の組みを、第1分布巻線組GB1と呼ぶ。
また、120度のピッチで配置され分布巻きで逆巻きの3個の第10、第13、第16巻線C10,C13,C16の組みを、第2分布巻線組GB2と呼ぶ。
【0053】
さらに、120度のピッチで配置され分布巻きで正巻きの3個の第11、第14、第17巻線C11,C14,C17の組みを、第3分布巻線組GB3と呼ぶ。
ちなみに、第2集中巻線組GA2の第3、第6、第9巻線C3,C6,C9と、第2分布巻線組GB2の逆巻きの第10、第13、第16巻線C10,C13,C16は、60度のピッチで交互に相対配置されている。
【0054】
さらに、第2分布巻線組GB2の第10、第13、第16巻線C10,C13,C16は、軸方向から見て、第1集中巻線組GA1の第2、第5、第8巻線C2,C5,C8と第3集中巻線組GA3の第4、第7、第1巻線C4,C7,C1との間に相対配置されている。
【0055】
次に、電機子コアの第1〜第18ティースT1〜T18に巻回する第1〜第18巻線C1〜C18の巻回の順序を図3図7に従って説明する。
まず、図6図7に示すように、第7整流子片S7のライザにその始端が引っ掛けられ掛け止めされた巻線用の絶縁被膜された導線は、時計回り方向に120度離間した第13整流子片S13まで時計回り方向に引き回される。そして、同第13整流子片S13のライザに引っ掛けられた導線は、時計回り方向に120度離間した第1整流子片S1まで時計回り方向に引き回され同第1整流子片S1のライザに引っ掛けられる。
【0056】
第1整流子片S1のライザに引っ掛けられた導線は、図6に示すように、スロット番号「11」に時計回り方向に引き回され、スロット番号「11」と「9」との間おいて、第5ティースT5の内側巻回部T5cに正巻きにて巻回される。これによって、図3(a)に示すように、集中巻きで正巻きの第5巻線C5が巻回される。
【0057】
第5巻線C5を巻回すると、導線は、図6に示すように、スロット番号「9」からスロット番号「17」に時計回り方向に引き回され、スロット番号「17」と「15」との間おいて、第8ティースT8の内側巻回部T8cに正巻きにて巻回される。これによって、図3(b)に示すように、集中巻きで正巻きの第8巻線C8が巻回される。つまり、第5巻線C5に対して、時計回り方向に120度離間した位置の第8巻線C8が巻回される。
【0058】
第8巻線C8を巻回すると、導線は、図6に示すように、スロット番号「15」からスロット番号「5」に時計回り方向に引き回され、スロット番号「5」と「3」との間おいて、第2ティースT2の内側巻回部T2cに正巻きにて巻回される。これによって、図3(c)に示すように、集中巻きで正巻きの第2巻線C2が巻回される。つまり、第8巻線C8に対して、時計回り方向に120度離間した位置の第2巻線C2が巻回される。従って、この時点で、図7に示すように、正巻きの3個の第1集中巻線組GA1からなる第5巻線C5と第8巻線C8と第2巻線C2が120度のピッチで巻回される。
【0059】
第8巻線C8を巻回すると、導線は、図6に示すように、スロット番号「3」から第12整流子片S12まで引き回され同第12整流子片S12のライザに引っ掛けられる。第12整流子片S12のライザに引っ掛けられた導線は、図6に示すように、時計回り方向に120度離間した第18整流子片S18まで時計回り方向に引き回され同第18整流子片S18のライザに引っ掛けられる。同第18整流子片S18のライザに引っ掛けられた導線は、時計回り方向に120度離間した第6整流子片S6まで時計回り方向に引き回され同第6整流子片S6のライザに引っ掛けられる。
【0060】
これら第12、第18、第6整流子片S12、S18、S6は、先の第1集中巻線組GA1を巻回する前に引き回しのため引っ掛けられた第7、第13、第1整流子片S7、S13、S1に対して、それぞれ時計回り方向側に隣接した整流子片である。
【0061】
第6整流子片S6のライザに引っ掛けられた導線は、図6に示すように、スロット番号「17」に引き回され、スロット番号「17」と「1」との間おいて、第9ティースT9の内側巻回部T9cに逆巻きにて巻回される。これによって、図3(d)に示すように、集中巻きで逆巻きの第9巻線C9が巻回される。
【0062】
第9巻線C9を巻回すると、導線は、図6に示すように、スロット番号「1」からスロット番号「11」に反時計回り方向に引き回され、スロット番号「11」と「13」との間おいて、第6ティースT6の内側巻回部T6cに逆巻きにて巻回される。これによって、図3(e)に示すように、集中巻きで逆巻きの第6巻線C6が巻回される。つまり、第9巻線C9に対して、反時計回り方向に120度離間した位置の第6巻線C6が巻回される。
【0063】
第6巻線C6を巻回すると、導線は、図6に示すように、スロット番号「13」からスロット番号「5」に反時計回り方向に引き回され、スロット番号「5」と「7」との間おいて、第3ティースT3の内側巻回部T2cに逆巻きにて巻回される。これによって、図3(f)に示すように、集中巻きで逆巻きの第3巻線C3が巻回される。つまり、第6巻線C6に対して、反時計回り方向に120度離間した位置の第3巻線C3が巻回される。従って、この時点で、図7に示すように、逆巻きの3個の第2集中巻線組GA2からなる第9巻線C9と第6巻線C6と第3巻線C3が120度のピッチで巻回される。
【0064】
第3巻線C3を巻回すると、導線は、図6に示すように、スロット番号「7」から第17整流子片S17まで引き回され同第17整流子片S17のライザに引っ掛けられる。第17整流子片S17のライザに引っ掛けられた導線は、図6に示すように、時計回り方向に120度離間した第5整流子片S5まで時計回り方向に引き回され同第5整流子片S5のライザに引っ掛けられる。同第5整流子片S5のライザに引っ掛けられた導線は、時計回り方向に120度離間した第11整流子片S11まで時計回り方向に引き回され同第11整流子片S11のライザに引っ掛けられる。
【0065】
これら第17、第5、第11整流子片S17、S5、S11は、先の第1集中巻線組GA1と第2集中巻線組GA2との間で引き回しのため引っ掛けられた第12、第18、第6整流子片S12、S18、S6に対して、それぞれ時計回り方向側に隣接した整流子片である。
【0066】
第11整流子片S11のライザに引っ掛けられた導線は、図6に示すように、スロット番号「3」に引き回され、スロット番号「3」と「1」との間おいて、第1ティースT1の内側巻回部T1cに正巻きにて巻回される。これによって、図4(a)に示すように、集中巻きで正巻きの第1巻線C1が巻回される。
【0067】
第1巻線C1を巻回すると、導線は、図6に示すように、スロット番号「1」からスロット番号「9」に時計回り方向に引き回され、スロット番号「9」と「7」との間おいて、第4ティースT4の内側巻回部T4cに正巻きにて巻回される。これによって、図4(b)に示すように、集中巻きで正巻きの第4巻線C4が巻回される。つまり、第1巻線C1に対して、時計回り方向に120度離間した位置の第4巻線C4が巻回される。
【0068】
第4巻線C4を巻回すると、導線は、図6に示すように、スロット番号「7」からスロット番号「15」に時計回り方向に引き回され、スロット番号「15」と「13」との間おいて、第7ティースT7の内側巻回部T7cに正巻きにて巻回される。これによって、図4(c)に示すように、集中巻きで正巻きの第7巻線C7が巻回される。つまり、第4巻線C4に対して、時計回り方向に120度離間した位置の第7巻線C7が巻回される。従って、この時点で、図7に示すように、正巻きの3個の第3集中巻線組GA3からなる第1巻線C1と第4巻線C4と第7巻線C7が120度のピッチで巻回されるとともに、全ての集中巻きの第1〜第9巻線C1〜C9が巻回される。
【0069】
第7巻線C7を巻回すると、導線は、図6に示すように、スロット番号「13」から第4整流子片S4まで引き回され同第4整流子片S4のライザに引っ掛けられる。第4整流子片S4のライザに引っ掛けられた導線は、図6に示すように、時計回り方向に120度離間した第10整流子片S10まで時計回り方向に引き回され同第10整流子片S10のライザに引っ掛けられる。同第10整流子片S10のライザに引っ掛けられた導線は、時計回り方向に120度離間した第16整流子片S16まで時計回り方向に引き回され同第16整流子片S16のライザに引っ掛けられる。
【0070】
これら第4、第10、第16整流子片S4、S10、S16は、先の第2集中巻線組GA2と第3集中巻線組GA3との間で引き回しのため引っ掛けられた第17、第5、第11整流子片S17、S5、S11に対して、それぞれ反時計回り方向側に隣接した整流子片である。
【0071】
第16整流子片S16のライザに引っ掛けられた導線は、図6に示すように、スロット番号「8」に引き回され、スロット番号「8」と「6」との間おいて、即ち、第4ティースT4の第2分岐部T4b及び第3ティースT3の第1分岐部T3a間に正巻きにて巻回される。これによって、図4(d)に示すように、分布巻きで正巻きの第12巻線C12が巻回される。
【0072】
第12巻線C12を巻回すると、導線は、図6に示すように、スロット番号「6」からスロット番号「14」に時計回り方向に引き回され、スロット番号「14」と「12」との間おいて、即ち、第7ティースT7の第2分岐部T7b及び第6ティースT6の第1分岐部T6a間に正巻きにて巻回される。これによって、図4(e)に示すように、分布巻きで正巻きの第15巻線C15が巻回される。つまり、第12巻線C12に対して、時計回り方向に120度離間した位置の第15巻線C15が巻回される。
【0073】
第15巻線C15を巻回すると、導線は、図6に示すように、スロット番号「12」からスロット番号「2」に時計回り方向に引き回され、スロット番号「2」と「18」との間おいて、即ち、第1ティースT1の第2分岐部T1b及び第9ティースT9の第1分岐部T9a間に正巻きにて巻回される。これによって、図4(f)に示すように、分布巻きで正巻きの第18巻線C18が巻回される。つまり、第15巻線C15に対して、時計回り方向に120度離間した位置の第18巻線C18が巻回される。従って、この時点で、図7に示すように、正巻きの3個の第1分布巻線組GB1からなる第12巻線C12と第15巻線C15と第18巻線C18が120度のピッチで巻回される。
【0074】
第18巻線C18を巻回すると、導線は、図6に示すように、スロット番号「18」から第9整流子片S9まで引き回され同第9整流子片S9のライザに引っ掛けられる。第9整流子片S9のライザに引っ掛けられた導線は、図6に示すように、時計回り方向に120度離間した第15整流子片S15まで時計回り方向に引き回され同第15整流子片S15のライザに引っ掛けられる。同第15整流子片S15のライザに引っ掛けられた導線は、時計回り方向に120度離間した第3整流子片S3まで時計回り方向に引き回され同第3整流子片S3のライザに引っ掛けられる。
【0075】
これら第9、第15、第3整流子片S9、S15、S3は、先の第3集中巻線組GA3と第1分布巻線組GB1との間で引き回しのため引っ掛けられた第4、第10、第16整流子片S4、S10、S16に対して、それぞれ反時計回り方向側に隣接した整流子片である。
【0076】
第3整流子片S3のライザに引っ掛けられた導線は、図6に示すように、スロット番号「14」に引き回され、スロット番号「14」と「16」との間おいて、即ち、第7ティースT7の第1分岐部T7a及び第8ティースT8の第2分岐部T8b間に逆巻きにて巻回される。これによって、図5(a)に示すように、分布巻きで逆巻きの第16巻線C16が巻回される。
【0077】
第16巻線C16を巻回すると、導線は、図6に示すように、スロット番号「16」からスロット番号「8」に反時計回り方向に引き回され、スロット番号「8」と「10」との間おいて、即ち、第4ティースT4の第1分岐部T7a及び第5ティースT5の第2分岐部T5b間に逆巻きにて巻回される。これによって、図5(b)に示すように、分布巻きで逆巻きの第13巻線C13が巻回される。つまり、第16巻線C16に対して、反時計回り方向に120度離間した位置の第13巻線C13が巻回される。
【0078】
第13巻線C13を巻回すると、導線は、図6に示すように、スロット番号「10」からスロット番号「2」に反時計回り方向に引き回され、スロット番号「2」と「4」との間おいて、即ち、第1ティースT1の第1分岐部T1a及び第2ティースT2の第2分岐部T2b間に逆巻きにて巻回される。これによって、図5(c)に示すように、分布巻きで逆巻きの第10巻線C10が巻回される。つまり、第13巻線C13に対して、反時計回り方向に120度離間した位置の第10巻線C10が巻回される。従って、この時点で、図7に示すように、逆巻きの3個の第2分布巻線組GB2からなる第16巻線C16と第13巻線C13と第10巻線C10が120度のピッチで巻回される。
【0079】
第10巻線C10を巻回すると、導線は、図6に示すように、スロット番号「4」から第8整流子片S8まで引き回され同第8整流子片S8のライザに引っ掛けられる。第8整流子片S8のライザに引っ掛けられた導線は、図6に示すように、時計回り方向に120度離間した第14整流子片S14まで時計回り方向に引き回され同第14整流子片S14のライザに引っ掛けられる。同第14整流子片S14のライザに引っ掛けられた導線は、時計回り方向に120度離間した第2整流子片S2まで時計回り方向に引き回され同第2整流子片S2のライザに引っ掛けられる。
【0080】
これら第8、第14、第2整流子片S8、S14、S2は、先の第1分布巻線組GB1と第2分布巻線組GB2との間で引き回しのため引っ掛けられた第9、第15、第3整流子片S9、S15、S3に対して、それぞれ反時計回り方向側に隣接した整流子片である。
【0081】
第2整流子片S2のライザに引っ掛けられた導線は、図6に示すように、スロット番号「12」に引き回され、スロット番号「12」と「10」との間おいて、第6ティースT6の第2分岐部T6b及び第5ティースT5の第1分岐部T5a間に正巻きにて巻回される。これによって、図5(d)に示すように、分布巻きで正巻きの第14巻線C14が巻回される。
【0082】
第14巻線C14を巻回すると、導線は、図6に示すように、スロット番号「10」からスロット番号「18」に時計回り方向に引き回され、スロット番号「18」と「16」との間おいて、即ち、第9ティースT9の第2分岐部T9b及び第8ティースT8の第1分岐部T8a間に正巻きにて巻回される。これによって、図5(e)に示すように、分布巻きで正巻きの第17巻線C17が巻回される。つまり、第14巻線C14に対して、時計回り方向に120度離間した位置の第17巻線C17が巻回される。
【0083】
第17巻線C17を巻回すると、導線は、図6に示すように、スロット番号「16」からスロット番号「6」に時計回り方向に引き回され、スロット番号「6」と「4」との間おいて、即ち、第3ティースT3の第2分岐部T2b及び第2ティースT2の第1分岐部T2a間に正巻きにて巻回される。これによって、図5(f)に示すように、分布巻きで正巻きの第11巻線C11が巻回される。つまり、第17巻線C17に対して、時計回り方向に120度離間した位置の第11巻線C11が巻回される。従って、この時点で、図7に示すように、逆巻きの3個の第3分布巻線組GB3からなる第14巻線C14と第17巻線C17と第11巻線C11が120度のピッチで巻回されるとともに、全ての分布巻きの第10〜第18巻線C10〜C18が巻回される。
【0084】
第11巻線C11を巻回すると、導線は、図6に示すように、スロット番号「4」から導線の始端が掛け止めされている第7整流子片S7まで引き回され同第7整流子片S7のライザに引っ掛けられて掛け止めされる。つまり、第3分布巻線組GB3と第1集中巻線組GA1とが結線される。
【0085】
そして、第1〜第18巻線C1〜C18が、巻線用の1本の導線を用いて一筆書きのように一連して順番に巻回されることによって、巻回作業は終了する。
ちなみに、この第3分布巻線組GB3と第1集中巻線組GA1との間で引き回しのため引っ掛けられた第7、第3、第1整流子片S7、S13、S1は、先の第2分布巻線組GB2と第3分布巻線組GB3との間で引き回しのため引っ掛けられた第8、第14、第2整流子片S8、S14、S2に対して、それぞれ反時計回り方向側に隣接した整流子片である。
【0086】
次に、上記実施形態の作用効果を以下に記載する。
本実施形態によれば、集中巻きの第1〜第9巻線C1〜C9のうち、120度のピッチで配置された3個の第2、第5、第8巻線C2,C5,C8を第1集中巻線組GA1に振り分ける。また、同様に、120度のピッチで配置された3個の第3、第6、第9巻線C3,C6,C9を第2集中巻線組GA2に振り分ける。さらに、120度のピッチで配置された3個の第4、第7、第1巻線C4,C7,C1を第3集中巻線組GA3に振り分ける。
【0087】
一方、分布巻きの第10〜第18巻線C10〜C18のうち、120度のピッチで配置された3個の第18、第12、第15巻線C18,C12,C15を第1分布巻線組GB1に振り分ける。また、同様に、120度のピッチで配置された3個の第10、第13、第16巻線C10,C13,C16を、第2分布巻線組GB2に振り分ける。さらに、同様に、120度のピッチで配置された3個の第11、第14、第17巻線C11,C14,C17を、第3分布巻線組GB3に振り分けた。
【0088】
そして、第1集中巻線組GA1→第2集中巻線組GA2→第3集中巻線組GA3の順に各組の巻線を巻回する。そして、第1〜第3集中巻線組GA1〜GA3の全ての巻線が巻回された後に、第1分布巻線組GB1→第2分布巻線組GB2→第3分布巻線組GB3の順に各組の巻線を巻回するようにした。
【0089】
これによって、1本の導線で一筆書きのように一連して全ての巻線を巻回することができる。
なお、本実施形態では、巻線巻回方法をティースTが9個の第1〜第9ティースT1〜T9を有した電機子3に具体化したが、ティースTが9個以外の電機子に応用してもよいことは勿論である。
【0090】
(第2実施形態)
本実施形態は、第1実施形態で説明した図1に示す第1〜第18巻線C1〜C18の巻回方法が相違する。
【0091】
詳述すると、第1実施形態が、一箇所から巻き始めて一筆書きのように第1〜第18巻線C1〜C18を一筆書きのように一連して巻回したのに対して、本実施形態では、3箇所で同時に巻き始めて第1〜第18巻線C1〜C18を巻回するようにした点が相違する。
【0092】
そのため、その巻回方法を図8図14に従って詳細に説明し、他の共通部分は説明の便宜上、詳細な説明は省略する。
ここで、本実施形態では、第1実施形態と相違して、第1集中巻線組GA1を、正巻きの第5巻線C5(第1集中巻線)、逆巻きの第6巻線C6(第2集中巻線)、正巻きの第1巻線C1(第3集中巻線)の3個とする。
【0093】
また、第2集中巻線組GA2を、正巻きの第8巻線C8(第1集中巻線)、逆巻きの第9巻線C9(第2集中巻線)、正巻きの第7巻線C7(第3集中巻線)の3個とする。
さらに、第3集中巻線組GA3を、正巻きの第2巻線C2(第1集中巻線)、逆巻きの第3巻線C3(第2集中巻線)、正巻きの第4巻線C4(第3集中巻線)の3個とする。
【0094】
同様に、第1実施形態と相違して、第1分布巻線組GB1を、正巻きの第12巻線C12(第1分布巻線)、逆巻きの第13巻線C13(第2分布巻線)、正巻きの第17巻線C17(第3分布巻線)の3個とする。
【0095】
また、第2分布巻線組GB2を、正巻きの第15巻線C15(第1分布巻線)、逆巻きの第16巻線C16(第2分布巻線)、正巻きの第11巻線C11(第3分布巻線)の3個とする。
【0096】
さらに、第3分布巻線組GB3を、正巻きの第18巻線C18(第1分布巻線)、逆巻きの第10巻線C10(第2分布巻線)、正巻きの第14巻線C14(第3分布巻線)の3個とする。
【0097】
そして、本実施形態では、図8(a)、図9(a)、図10(a)に示す、3箇所(第5巻線C5、第8巻線C8、第2巻線C2)から同時に巻回を開始し、それぞれ図8(f)、図9(f)、図10(f)で示す3箇所(第17巻線C17、第11巻線C11、第14巻線C14)で巻回を終了する。
【0098】
まず、図11に示すように、第1整流子片S1のライザにその始端が引っ掛けられ掛け止めされた巻線用の絶縁被膜された導線は、スロット番号「11」に時計回り方向に引き回され、スロット番号「11」と「9」との間おいて、第5ティースT5の内側巻回部T5cに正巻きにて巻回される。これによって、図8(a)に示すように、第1集中巻線組GA1の正巻きの第5巻線C5が巻回される。
【0099】
また同時に、図12に示すように、第7整流子片S7のライザにその始端が引っ掛けられ掛け止めされた巻線用の絶縁被膜された導線は、スロット番号「17」に時計回り方向に引き回され、スロット番号「17」と「15」との間おいて、第8ティースT8の内側巻回部T8cに正巻きにて巻回される。これによって、図9(a)に示すように、第2集中巻線組GA2の正巻きの第8巻線C8が巻回される。
【0100】
また同時に、図13に示すように、第13整流子片S13のライザにその始端が引っ掛けられ掛け止めされた巻線用の絶縁被膜された導線は、スロット番号「5」に時計回り方向に引き回され、スロット番号「5」と「3」との間おいて、第2ティースT2の内側巻回部T2cに正巻きにて巻回される。これによって、図10(a)に示すように、第3集中巻線組GA3の正巻きの第2巻線C2が巻回される。
【0101】
このとき、互いに120度の間隔を有した第1整流子片S1、第7整流子片S7、第13整流子片S13からそれぞれ導線が引き出され、互いに120度の間隔を有したそれぞれ正巻きの第5巻線C5、第8巻線C8、第2巻線C2が巻回されることから、これら3箇所での巻回作業において衝突することなく行われる。
【0102】
第1集中巻線組GA1において第5巻線C5が巻回されると、導線は、図11に示すように、スロット番号「9」から第18整流子片S18に時計回り方向に引き回され、同第18整流子片S18のライザに引っ掛けられる。
【0103】
第18整流子片S18のライザに引っ掛けられた導線は、図11に示すように、時計回り方向に120度離間した第6整流子片S6まで時計回り方向に引き回され同第6整流子片S6のライザに引っ掛けられる。
【0104】
第6整流子片S6のライザに引っ掛けられ掛け止めされた導線は、図11に示すように、スロット番号「11」に時計回り方向に引き回され、スロット番号「11」と「13」との間おいて、第6ティースT6の内側巻回部T6cに逆巻きにて巻回される。これによって、図8(b)に示すように、第1集中巻線組GA1の逆巻きの第6巻線C6が巻回される。
【0105】
また、これと同時に、第2集中巻線組GA2において第8巻線C8が巻回されると、導線は、図12に示すように、スロット番号「15」から第6整流子片S6に時計回り方向に引き回され、同第6整流子片S6のライザに引っ掛けられる。
【0106】
第6整流子片S6のライザに引っ掛けられた導線は、図12に示すように、時計回り方向に120度離間した第12整流子片S12まで時計回り方向に引き回され同第12整流子片S12のライザに引っ掛けられる。
【0107】
第12整流子片S12のライザに引っ掛けられ掛け止めされた導線は、図12に示すように、スロット番号「17」に時計回り方向に引き回され、スロット番号「17」と「1」との間おいて、第9ティースT9の内側巻回部T9cに逆巻きにて巻回される。これによって、図9(b)に示すように、第2集中巻線組GA2の逆巻きの第9巻線C9が巻回される。
【0108】
さらに、これと同時に、第3集中巻線組GA3において第2巻線C2が巻回されると、導線は、図13に示すように、スロット番号「3」から第12整流子片S12に時計回り方向に引き回され、同第12整流子片S12のライザに引っ掛けられる。
【0109】
第12整流子片S12のライザに引っ掛けられた導線は、図13に示すように、時計回り方向に120度離間した第18整流子片S18まで時計回り方向に引き回され同第18整流子片S18のライザに引っ掛けられる。
【0110】
第18整流子片S18のライザに引っ掛けられ掛け止めされた導線は、図13に示すように、スロット番号「5」に時計回り方向に引き回され、スロット番号「5」と「7」との間おいて、第3ティースT3の内側巻回部T3cに逆巻きにて巻回される。これによって、図10(b)に示すように、第3集中巻線組GA3の逆巻きの第3巻線C3が巻回される。
【0111】
このとき、互いに120度の間隔を有した第18整流子片S18、第6整流子片S6、第12整流子片S12からそれぞれ導線が引き出され、互いに120度の間隔を有した第6整流子片S6、第12整流子片S12、第18整流子片S18に引き回される。そして、それぞれの導線は、互いに120度の間隔を有したそれぞれ逆巻きの第6巻線C6、第9巻線C9、第3巻線C3が巻回されることから、これら3箇所での巻回作業において衝突することなく行われる。
【0112】
第1集中巻線組GA1において第6巻線C6が巻回されると、導線は、図11に示すように、スロット番号「13」から第5整流子片S5に時計回り方向に引き回され、同第5整流子片S5のライザに引っ掛けられる。
【0113】
第5整流子片S5のライザに引っ掛けられた導線は、図11に示すように、時計回り方向に120度離間した第11整流子片S11まで時計回り方向に引き回され同第11整流子片S11のライザに引っ掛けられる。
【0114】
第11整流子片S11のライザに引っ掛けられ掛け止めされた導線は、図11に示すように、スロット番号「3」に時計回り方向に引き回され、スロット番号「3」と「1」との間おいて、第1ティースT1の内側巻回部T1cに正巻きにて巻回される。これによって、図8(c)に示すように、第1集中巻線組GA1の正巻きの第1巻線C1が巻回される。
【0115】
また、これと同時に、第2集中巻線組GA2において第9巻線C9が巻回されると、導線は、図12に示すように、スロット番号「1」から第11整流子片S11に時計回り方向に引き回され、同第11整流子片S11のライザに引っ掛けられる。
【0116】
第11整流子片S11のライザに引っ掛けられた導線は、図12に示すように、時計回り方向に120度離間した第17整流子片S17まで時計回り方向に引き回され同第17整流子片S17のライザに引っ掛けられる。
【0117】
第17整流子片S17のライザに引っ掛けられ掛け止めされた導線は、図12に示すように、スロット番号「9」に時計回り方向に引き回され、スロット番号「9」と「7」との間おいて、第4ティースT4の内側巻回部T4cに正巻きにて巻回される。これによって、図9(c)に示すように、第2集中巻線組GA2の正巻きの第4巻線C4が巻回される。
【0118】
さらに、これと同時に、第3集中巻線組GA3において第3巻線C3が巻回されると、導線は、図13に示すように、スロット番号「7」から第17整流子片S17に時計回り方向に引き回され、同第17整流子片S17のライザに引っ掛けられる。
【0119】
第17整流子片S17のライザに引っ掛けられた導線は、図13に示すように、時計回り方向に120度離間した第5整流子片S5まで時計回り方向に引き回され同第5整流子片S5のライザに引っ掛けられる。
【0120】
第5整流子片S5のライザに引っ掛けられ掛け止めされた導線は、図13に示すように、スロット番号「15」に時計回り方向に引き回され、スロット番号「15」と「13」との間おいて、第7ティースT7の内側巻回部T7cに正巻きにて巻回される。これによって、図10(c)に示すように、第3集中巻線組GA3の正巻きの第7巻線C7が巻回される。
【0121】
このとき、互いに120度の間隔を有した第5整流子片S5、第11整流子片S11、第17整流子片S17からそれぞれ導線が引き出され、互いに120度の間隔を有した第11整流子片S11、第17整流子片S17、第5整流子片S5に引き回される。そして、それぞれの導線は、互いに120度の間隔を有したそれぞれ正巻きの第1巻線C1、第4巻線C4、第7巻線C7が巻回されることから、これら3箇所での巻回作業において衝突することなく行われる。
【0122】
そして、この時点で、図14(a)(b)(c)に示すように、第1〜第3集中巻線組GA1〜GA3の第1〜第9巻線C1〜C9の全てが巻回される。
第1集中巻線組GA1の第1巻線C1が巻回されると、導線は、図11に示すように、スロット番号「1」から第10整流子片S10に時計回り方向に引き回され、同第10整流子片S10のライザに引っ掛けられる。
【0123】
第10整流子片S10のライザに引っ掛けられた導線は、図11に示すように、時計回り方向に120度離間した第16整流子片S16まで時計回り方向に引き回され同第16整流子片S16のライザに引っ掛けられる。
【0124】
第16整流子片S16のライザに引っ掛けられ掛け止めされた導線は、図11に示すように、スロット番号「8」に時計回り方向に引き回され、スロット番号「8」と「6」との間おいて、即ち、第4ティースT4の第2分岐部T4bと第3ティースT3の第1分岐部T3aとの間を正巻きにて巻回される。これによって、図8(d)に示すように、第1分布巻線組GB1の正巻きの第12巻線C12が巻回される。
【0125】
この第12巻線C12は、第1巻線C1に対して時計回り方向に100度ずれるとともに第5巻線C5に対して反時計回り方向に60度ずれて配置される。
また、これと同時に、第2集中巻線組GA2において第4巻線C4が巻回されると、導線は、図12に示すように、スロット番号「7」から第16整流子片S16に時計回り方向に引き回され、同第16整流子片S16のライザに引っ掛けられる。
【0126】
第16整流子片S16のライザに引っ掛けられた導線は、図12に示すように、時計回り方向に120度離間した第4整流子片S4まで時計回り方向に引き回され同第4整流子片S4のライザに引っ掛けられる。
【0127】
第4整流子片S4のライザに引っ掛けられ掛け止めされた導線は、図12に示すように、スロット番号「14」に時計回り方向に引き回され、スロット番号「14」と「12」との間おいて、即ち、第7ティースT7の第2分岐部T7bと第6ティースT6の第1分岐部T6aとの間を正巻きにて巻回される。これによって、図9(d)に示すように、第2分布巻線組GB2の正巻きの第15巻線C15が巻回される。
【0128】
この第15巻線C15は、第4巻線C4に対して時計回り方向に100度ずれるとともに第8巻線C8に対して反時計回り方向に60度ずれて配置される。
さらに、これと同時に、第3集中巻線組GA3において第7巻線C7が巻回されると、導線は、図13に示すように、スロット番号「13」から第4整流子片S4に時計回り方向に引き回され、同第4整流子片S4のライザに引っ掛けられる。
【0129】
第4整流子片S4のライザに引っ掛けられた導線は、図13に示すように、時計回り方向に120度離間した第10整流子片S10まで時計回り方向に引き回され同第10整流子片S10のライザに引っ掛けられる。
【0130】
第10整流子片S10のライザに引っ掛けられ掛け止めされた導線は、図13に示すように、スロット番号「2」に時計回り方向に引き回され、スロット番号「2」と「18」との間おいて、即ち、第1ティースT1の第2分岐部T1bと第9ティースT9の第1分岐部T9aとの間を正巻きにて巻回される。これによって、図10(d)に示すように、第3分布巻線組GB3の正巻きの第18巻線C18が巻回される。
【0131】
この第18巻線C18は、第7巻線C7に対して時計回り方向に100度ずれるとともに第2巻線C2に対して反時計回り方向に60度ずれて配置される。
このとき、互いに120度の間隔を有した第10整流子片S10、第16整流子片S16、第4整流子片S4からそれぞれ導線が引き出され、互いに120度の間隔を有した第16整流子片S16、第4整流子片S4、第10整流子片S10に引き回される。そして、それぞれの導線は、互いに120度の間隔を有したそれぞれ正巻きの第12巻線C12、第15巻線C15、第18巻線C18が巻回されることから、これら3箇所での巻回作業において衝突することなく行われる。
【0132】
第1分布巻線組GB1において第12巻線C12が巻回されると、導線は、図11に示すように、スロット番号「6」から第15整流子片S15に時計回り方向に引き回され、同第15整流子片S15のライザに引っ掛けられる。
【0133】
第15整流子片S15のライザに引っ掛けられた導線は、図11に示すように、時計回り方向に120度離間した第3整流子片S3まで時計回り方向に引き回され同第3整流子片S3のライザに引っ掛けられる。
【0134】
第3整流子片S3のライザに引っ掛けられ掛け止めされた導線は、図11に示すように、スロット番号「8」に時計回り方向に引き回され、スロット番号「8」と「10」との間おいて、即ち、第4ティースT4の第1分岐部T4aと第5ティースT5の第2分岐部T5bとの間を逆巻きにて巻回される。これによって、図8(e)に示すように、第1分布巻線組GB1の逆巻きの第13巻線C13が巻回される。
【0135】
また、これと同時に、第2分布巻線組GB2において第15巻線C15が巻回されると、導線は、図12に示すように、スロット番号「12」から第3整流子片S3に時計回り方向に引き回され、同第3整流子片S3のライザに引っ掛けられる。
【0136】
第3整流子片S3のライザに引っ掛けられた導線は、図12に示すように、時計回り方向に120度離間した第9整流子片S9まで時計回り方向に引き回され同第9整流子片S9のライザに引っ掛けられる。
【0137】
第9整流子片S9のライザに引っ掛けられ掛け止めされた導線は、図12に示すように、スロット番号「14」に時計回り方向に引き回され、スロット番号「14」と「16」との間おいて、即ち、第7ティースT7の第1分岐部T7aと第8ティースT8の第2分岐部T8bとの間を逆巻きにて巻回される。これによって、図9(e)に示すように、第2分布巻線組GB2の逆巻きの第16巻線C16が巻回される。
【0138】
さらに、これと同時に、第3分布巻線組GB3において第18巻線C18が巻回されると、導線は、図13に示すように、スロット番号「18」から第9整流子片S9に時計回り方向に引き回され、同第9整流子片S9のライザに引っ掛けられる。
【0139】
第9整流子片S9のライザに引っ掛けられた導線は、図13に示すように、時計回り方向に120度離間した第15整流子片S15まで時計回り方向に引き回され同第15整流子片S15のライザに引っ掛けられる。
【0140】
第15整流子片S15のライザに引っ掛けられ掛け止めされた導線は、図13に示すように、スロット番号「2」に時計回り方向に引き回され、スロット番号「2」と「4」との間おいて、即ち、第1ティースT1の第1分岐部T1aと第2ティースT2の第2分岐部T2bとの間を逆巻きにて巻回される。これによって、図10(e)に示すように、第3分布巻線組GB3の逆巻きの第10巻線C10が巻回される。
【0141】
このとき、互いに120度の間隔を有した第15整流子片S15、第3整流子片S3、第9整流子片S9からそれぞれ導線が引き出され、互いに120度の間隔を有した第3整流子片S3、第9整流子片S9、第15整流子片S16に引き回される。そして、それぞれの導線は、互いに120度の間隔を有したそれぞれ逆巻きの第13巻線C13、第16巻線C16、第10巻線C10が巻回されることから、これら3箇所での巻回作業において衝突することなく行われる。
【0142】
第1分布巻線組GB1において第13巻線C13が巻回されると、導線は、図11に示すように、スロット番号「10」から第2整流子片S2に時計回り方向に引き回され、同第2整流子片S2のライザに引っ掛けられる。
【0143】
第2整流子片S2のライザに引っ掛けられた導線は、図11に示すように、時計回り方向に120度離間した第8整流子片S8まで時計回り方向に引き回され同第8整流子片S8のライザに引っ掛けられる。
【0144】
第8整流子片S8のライザに引っ掛けられ掛け止めされた導線は、図11に示すように、スロット番号「18」に時計回り方向に引き回され、スロット番号「18」と「16」との間おいて、即ち、第9ティースT9の第2分岐部T9bと第8ティースT8の第1分岐部T8aとの間を正巻きにて巻回される。これによって、図8(f)に示すように、第1分布巻線組GB1の正巻きの第17巻線C17が巻回される。
【0145】
また、これと同時に、第2分布巻線組GB2において第16巻線C16が巻回されると、導線は、図12に示すように、スロット番号「16」から第8整流子片S8に時計回り方向に引き回され、同第8整流子片S8のライザに引っ掛けられる。
【0146】
第8整流子片S8のライザに引っ掛けられた導線は、図12に示すように、時計回り方向に120度離間した第14整流子片S14まで時計回り方向に引き回され同第14整流子片S14のライザに引っ掛けられる。
【0147】
第14整流子片S14のライザに引っ掛けられ掛け止めされた導線は、図12に示すように、スロット番号「6」に時計回り方向に引き回され、スロット番号「6」と「4」との間おいて、即ち、第3ティースT3の第2分岐部T3bと第2ティースT2の第1分岐部T2aとの間を正巻きにて巻回される。これによって、図9(f)に示すように、第2分布巻線組GB2の正巻きの第11巻線C11が巻回される。
【0148】
さらに、これと同時に、第3分布巻線組GB3において第10巻線C10が巻回されると、導線は、図13に示すように、スロット番号「4」から第14整流子片S14に時計回り方向に引き回され、同第14整流子片S14のライザに引っ掛けられる。
【0149】
第14整流子片S14のライザに引っ掛けられた導線は、図13に示すように、時計回り方向に120度離間した第2整流子片S2まで時計回り方向に引き回され同第2整流子片S2のライザに引っ掛けられる。
【0150】
第2整流子片S2のライザに引っ掛けられ掛け止めされた導線は、図13に示すように、スロット番号「12」に時計回り方向に引き回され、スロット番号「12」と「10」との間おいて、即ち、第6ティースT6の第2分岐部T2bと第5ティースT5の第1分岐部T5aとの間を正巻きにて巻回される。これによって、図10(f)に示すように、第3分布巻線組GB3の逆巻きの第14巻線C14が巻回される。
【0151】
このとき、互いに120度の間隔を有した第2整流子片S2、第8整流子片S8、第14整流子片S14からそれぞれ導線が引き出され、互いに120度の間隔を有した第8整流子片S8、第14整流子片S14、第2整流子片S2に引き回される。そして、それぞれの導線は、互いに120度の間隔を有したそれぞれ正巻きの第17巻線C17、第11巻線C11、第14巻線C14が巻回されることから、これら3箇所での巻回作業において衝突することなく行われる。
【0152】
第1分布巻線組GB1において第17巻線C17が巻回されると、導線は、図11に示すように、スロット番号「16」から第7整流子片S7に時計回り方向に引き回され、同第7整流子片S7のライザに引っ掛けられて掛け止めされる。つまり、この時点で、第1集中巻線組GA1と第1分布巻線組GB1の各巻線が、図11及び図14(a)に示すように、1本の導線を用いて一筆書きのように一連して順番に結線される。
【0153】
第2分布巻線組GB2において第11巻線C11が巻回されると、導線は、図12に示すように、スロット番号「4」から第13整流子片S13に時計回り方向に引き回され、同第13整流子片S13のライザに引っ掛けられて掛け止めされる。つまり、この時点で、第2集中巻線組GA2と第2分布巻線組GB2の各巻線が、図12及び図14(b)に示すように、1本の導線を用いて一筆書きのように一連して順番に結線される。
【0154】
第3分布巻線組GB3において第14巻線C14が巻回されると、導線は、図13に示すように、スロット番号「1」から第1整流子片S1に時計回り方向に引き回され、同第1整流子片S1のライザに引っ掛けられて掛け止めされる。つまり、この時点で、第3集中巻線組GA3と第3分布巻線組GB3の各巻線が、図13及び図14(c)に示すように、1本の導線を用いて一筆書きのように一連して順番に結線される。
【0155】
このとき、それぞれの導線は、互いに120度の間隔を有した第7整流子片S7、第13整流子片S13、第1整流子片S1に引き回され掛け止めされることから、これら最後の結線作業においても衝突することなく行われる。
【0156】
そして、それぞれの導線が、第7整流子片S7、第13整流子片S13、第1整流子片S1のライザに掛け止めされると、第1〜第18巻線C1〜C18を3箇所から同時に巻き始めて巻回する巻回作業は終了する。
【0157】
次に、上記実施形態の作用効果を以下に記載する。
本実施形態によれば、集中巻きの第1〜第9巻線C1〜C9のうち、第5巻線C5、第6巻線C6、正巻きの第1巻線C1の3個を第1集中巻線組GA1に振り分ける。また、第1集中巻線組GA1と120度ずれた第8巻線C8、第9巻線C9、第7巻線C7の3個を第2集中巻線組GA2に振り分ける。さらに、第2集中巻線組GA2と120度ずれた第2巻線C2、第3巻線C3、第4巻線C4の3個を第3集中巻線組GA3に振り分ける。
【0158】
同様に、分布巻きの第10〜第18巻線C10〜C18のうち、第12巻線C12、第13巻線C13、第17巻線C17の3個を第1分布巻線組GB1に振り分ける。また、第1分布巻線組GB1と120度ずれた第15巻線C15、第16巻線C16、第11巻線C11の3個を第2分布巻線組GB2に振り分ける。さらに、第2分布巻線組GB2と120度ずれた第18巻線C18、第10巻線C10、第14巻線C14の3個を第3分布巻線組GB3に振り分ける。
【0159】
そして、第1集中巻線組GA1、第2集中巻線組GA2及び第3集中巻線組GA3について、同時にその組に属する巻線を順次巻回する。第1集中巻線組GA1、第2集中巻線組GA2及び第3集中巻線組GA3の巻線が終わると、第1集中巻線組GA1に対する第1分布巻線組GB1、第2集中巻線組GA2に対する第2分布巻線組GB2及び第3集中巻線組GA3に対する第3分布巻線組GB3について、同時にその組に属する巻線を順次巻回するようにした。
【0160】
これによって、3本の導線を用いて、3箇所で同時に一筆書きのように一連してそれぞれ振り分けられた巻線を巻回し18個なる全ての巻線を巻回することができる。
しかも、3本の導線を用いて、3箇所で同時に巻回作業が行われることから、巻線の巻回時間を短縮することができる。
【0161】
なお、本実施形態では、第1集中巻線組GA1、第2集中巻線組GA2及び第3集中巻線組GA3について、同時にその組に属する巻線を順次巻回するようにした。
つまり、第1集中巻線組GA1は図8に示す(a)→(b)→(c)の順番で、第2集中巻線組GA2は図9に示す(a)→(b)→(c)の順番で、第3集中巻線組GA3は図10に示す(a)→(b)→(c)の順番で、それぞれ巻線を巻回した。
【0162】
詳述すると、第1集中巻線組GA1においては、正巻きの第5巻線C5→時計回り方向に隣接する逆巻きの第6巻線C6→時計回り方向に160度に位置する正巻きの第1巻線C1の順で巻回した。
【0163】
また、第2集中巻線組GA2おいては、正巻きの第8巻線C8→時計回り方向に隣接する逆巻きの第9巻線C9→時計回り方向に160度に位置する正巻きの第4巻線C4の順で巻回した。
【0164】
第3集中巻線組GA3おいては、正巻きの第2巻線C2→時計回り方向に隣接する逆巻きの第3巻線C3→時計回り方向に160度に位置する正巻きの第7巻線C7の順で巻回した。
【0165】
この各集中巻線組の各巻線の巻回順序は1態様の巻回順序であって、各巻線の巻回順序は同電位位置となる巻線を順番に巻回できればどの順番でもよい。
また、本実施形態では、第1集中巻線組GA1、第2集中巻線組GA2及び第3集中巻線組GA3の巻線が完了した後に、第1分布巻線組GB1、第2分布巻線組GB2及び第3分布巻線組GB3について、同時にその組に属する巻線を順次巻回するようにした。
【0166】
つまり、第1分布巻線組GB1は図8に示す(d)→(e)→(f)の順番で、第2分布巻線組GB2は図9に示す(d)→(e)→(f)の順番で、第3分布巻線組GB3は図10に示す(d)→(e)→(f)の順番で、それぞれ巻線を巻回した。
【0167】
詳述すると、第1分布巻線組GB1においては、正巻きの第12巻線C12→時計回り方向に隣接する逆巻きの第13巻線C13→時計回り方向に160度に位置する正巻きの第1巻線C17の順で巻回した。
【0168】
また、第2分布巻線組GB2おいては、正巻きの第15巻線C15→時計回り方向に隣接する逆巻きの第16巻線C16→時計回り方向に160度に位置する正巻きの第11巻線C11の順で巻回した。
【0169】
第3分布巻線組GB3おいては、正巻きの第18巻線C18→時計回り方向に隣接する逆巻きの第10巻線C10→時計回り方向に160度に位置する正巻きの第14巻線C14の順で巻回した。
【0170】
この各分布巻線組の各巻線の巻回順序は1態様の巻回順序であって、各巻線の巻回順序は同電位位置となる巻線を順番に巻回できればどの順番でもよい。
また、本実施形態では、巻線巻回方法をティースTが9個の第1〜第9ティースT1〜T9を有した電機子3に具体化したが、ティースTが9個以外の電機子に応用してもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0171】
1…直流モータ、2…固定子、2a…ヨークハウジング、3…電機子、4…回転軸、5…整流子、5a…保持部材、6…電機子コア、7…コアバック、MG1…第1永久磁石、MG2…第2永久磁石、S…整流子片、S1〜S18…第1〜第18整流子片、B1…陽極側ブラシ、B2…陰極側ブラシ、SL…スロット、T…ティース、T1〜T9…第1〜第9ティース、Ta,T1a〜T9a…第1分岐部、Tb,T1b〜T9b…第2分岐部、Tc,T1c〜T9c…内側巻回部、C1〜C18…第1〜第18巻線、GA1〜GA3…第1〜第3集中巻線組、GB1〜GB3…第1〜第3分布巻線組。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14