特許第5917336号(P5917336)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5917336
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】射出成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/78 20060101AFI20160422BHJP
   B29C 45/50 20060101ALI20160422BHJP
   B29C 45/74 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
   B29C45/78
   B29C45/50
   B29C45/74
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-185135(P2012-185135)
(22)【出願日】2012年8月24日
(65)【公開番号】特開2014-42998(P2014-42998A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2014年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】天野 光昭
【審査官】 田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−225372(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/78
B29C 45/50
B29C 45/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形材料が供給されるシリンダと、
前記シリンダ内に回転自在に且つ軸方向に移動自在に配設されるスクリュと、
前記シリンダを加熱する少なくとも1つの加熱源と、
加熱源毎に、成形時における加熱源の加熱エネルギーEmと、前記スクリュの停止状態で前記シリンダの温度を設定温度に維持する定常時における加熱源の加熱エネルギーEiとの差ΔE(ΔE=Em−Ei)を監視する監視部とを備える、射出成形機。
【請求項2】
前記監視部は、監視結果に基づいて、前記シリンダの各加熱源によって加熱されるゾーンの設定温度を調整する、請求項1に記載の射出成形機。
【請求項3】
前記シリンダを加熱する加熱源が、前記シリンダの軸方向に沿って複数配列されており、
前記監視部は、一の加熱源での差ΔEに基づいて、他の加熱源によって加熱されるゾーンの設定温度を調整する、請求項2に記載の射出成形機。
【請求項4】
前記監視部は、少なくとも1つの加熱源での差ΔEが下限値ΔEminを下回る場合(ΔE<ΔEmin)、少なくとも1つのゾーンの設定温度を高くする、請求項2又は3に記載の射出成形機。
【請求項5】
前記監視部は、少なくとも1つの加熱源での差ΔEが上限値ΔEmaxを超える場合(ΔE>ΔEmax)、少なくとも1つのゾーンの設定温度を調整する、請求項2〜4のいずれか1項に記載の射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機は、成形材料としての樹脂ペレットが供給されるシリンダと、シリンダ内に配設されるスクリュと、シリンダを加熱する加熱源(例えばヒータ)とを備える。スクリュのねじ溝内に供給された樹脂は、スクリュの回転に伴ってシリンダ内を前方に移動しながら、徐々に溶融される。スクリュの前方に一定量の溶融樹脂が蓄えられると、スクリュが前進させられ、シリンダの先端部に形成されるノズルから溶融樹脂が射出され、金型装置のキャビティ空間に充填される。充填された溶融樹脂を固化させることによって成形品が得られる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−103875号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、射出成形機のコントローラは、シリンダ内における樹脂の状態を決める要因として、シリンダの温度、ヒータの発熱量等を監視していたが、シリンダ内の樹脂の状態は分からなかった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、シリンダ内の樹脂の状態をモニタできる射出成形機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一態様による射出成形機は、
成形材料が供給されるシリンダと、
前記シリンダ内に回転自在に且つ軸方向に移動自在に配設されるスクリュと、
前記シリンダを加熱する少なくとも1つの加熱源と、
加熱源毎に、成形時における加熱源の加熱エネルギーEmと、前記スクリュの停止状態で前記シリンダの温度を設定温度に維持する定常時における加熱源の加熱エネルギーEiとの差ΔE(ΔE=Em−Ei)を監視する監視部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シリンダ内における樹脂の状態をモニタできる射出成形機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態による射出成形機を示す図である。
図2】本発明の一実施形態による射出成形機の要部を示す図である。
図3】設定温度が低温のときの、成形時の加熱エネルギーEmと、定常時の加熱エネルギーEiとの差ΔEの一例を示す図である。
図4】設定温度が高温のときの、成形時の加熱エネルギーEmと、定常時の加熱エネルギーEiとの差ΔEの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図面において、同一の又は対応する構成については同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態による射出成形機を示す図である。以下、樹脂の射出方向を前方とし、樹脂の射出方向とは反対方向を後方として説明する。
【0011】
射出成形機10は、シリンダ11内で溶融した樹脂をノズル12から射出し、金型装置内のキャビティ空間に充填する。金型装置は固定金型及び可動金型で構成され、型締め時に固定金型と可動金型との間にキャビティ空間が形成される。キャビティ空間で冷却固化された樹脂は、型開き後に成形品として取り出される。成形材料としての樹脂ペレットは、ホッパ16からシリンダ11の後部に供給される。
【0012】
尚、ホッパ16の代わりに、シリンダ11に樹脂ペレットを定量供給する材料供給装置(例えばスクリュフィーダ)が設けられてもよい。
【0013】
射出成形機10は、シリンダ11内に配設されるスクリュ13を回転させる計量用モータ41を備える。計量用モータ41は、サーボモータであってよい。計量用モータ41の回転は、ベルトやプーリ等の連結部材42を介して、射出軸43に伝えられ、スクリュ13が回転される。そうすると、スクリュ13のフライト(ねじ山)が動き、スクリュ13のねじ溝内に供給された樹脂が前方に送られる。
【0014】
射出成形機10は、スクリュ13を軸方向に移動させる射出用モータ51を備える。射出用モータ51は、サーボモータであってよい。射出用モータ51の回転はボールねじ軸52に伝えられる。ボールねじ軸52の回転により前後進するボールねじナット53はプレッシャプレート54に固定されている。プレッシャプレート54は、ベースフレーム(図示せず)に固定されたガイドバー55、56に沿って移動可能である。プレッシャプレート54の前後進運動は、ベアリング57、樹脂圧力検出器(例えばロードセル)58、射出軸43を介してスクリュ13に伝えられ、スクリュ13が進退される。スクリュ13の進退量は、プレッシャプレート54に取り付けられる位置検出器59で検出される。
【0015】
射出成形機10の動作は、コントローラ60によって制御される。コントローラ60は、CPU及びメモリ等で構成され、メモリ等に記憶されたプログラムをCPUで実施させることにより、各種機能を実現する。コントローラ60は、例えば計量工程を制御する計量処理部61、充填工程を制御する充填処理部62を備える。
【0016】
次に、射出成形機10の動作について説明する。
【0017】
計量工程では、計量処理部61が、計量用モータ41を回転駆動し、スクリュ13を回転させる。そうすると、スクリュ13のフライト(ねじ山)が動き、スクリュ13のねじ溝内に供給された樹脂ペレットが前方に送られる。樹脂は、シリンダ11内を前方に移動しながら、シリンダ11からの熱等で加熱され、シリンダ11の先端部において完全に溶融した状態となる。そして、スクリュ13の前方に溶融樹脂が蓄積されるにつれ、スクリュ13は後退する。スクリュ13が所定距離後退し、スクリュ13の前方に所定量の樹脂が蓄積されると、計量処理部61は計量用モータ41の回転を停止させ、スクリュ13の回転を停止させる。
【0018】
充填工程では、充填処理部62が、射出用モータ51を回転駆動し、スクリュ13を前進させ、型締め状態の金型装置内のキャビティ空間に溶融樹脂を押し込む。スクリュ13が溶融樹脂を押す力は、樹脂圧力検出器58により反力として検出される。つまり、スクリュ13にかかる樹脂圧力(樹脂の射出圧)が検出される。キャビティ空間で樹脂が冷却によって収縮するので、熱収縮分の樹脂を補充するため、保圧工程では、スクリュ13にかかる樹脂圧力(樹脂の射出圧)が所定の圧力に保たれる。
【0019】
図2は、本発明の一実施形態による射出成形機の要部を示す図である。
【0020】
射出成形機10は、シリンダ11と、シリンダ11内で樹脂を送るスクリュ13と、シリンダ11を加熱する複数の加熱源H〜Hと、シリンダ11の後部を冷却する冷却装置30とを備える。
【0021】
スクリュ13は、シリンダ11内に回転自在に且つ軸方向に移動自在に配設される。スクリュ13は、スクリュ回転軸14と、スクリュ回転軸14の周りに螺旋状に設けられるフライト15とを一体的に有する。スクリュ13が回転すると、スクリュ13のフライト15が動き、スクリュ13のねじ溝内に供給された樹脂ペレットが前方に送られる。
【0022】
スクリュ13は、例えば図2に示すように、軸方向に沿って後方(ホッパ16側)から前方(ノズル12側)にかけて、供給部13a、圧縮部13b、計量部13cとして区別される。供給部13aは、樹脂を受け取り前方に搬送する部分である。圧縮部13bは、供給された樹脂を圧縮しながら溶融する部分である。計量部13cは、溶融した樹脂を一定量づつ計量する部分である。スクリュ13のねじ溝の深さは、供給部13aで深く、計量部13cで浅く、圧縮部13bにおいて前方に向かうほど浅くなっている。尚、スクリュ13の構成は特に限定されない。例えばスクリュ13のねじ溝の深さは、一定であってもよい。また、スクリュ圧縮比が一定であってもよい。スクリュ圧縮比はねじ溝の容積比のことであり、ねじ溝の深さ、フライトピッチ、フライト幅等で決まる。
【0023】
加熱源H〜Hとしては、例えばシリンダ11を外側から加熱するヒータが用いられる。ヒータは、シリンダ11の外周を囲むように設けられる。
【0024】
複数の加熱源H〜Hは、シリンダ11の軸方向に沿って配列され、シリンダ11を軸方向に複数のゾーン(図3では4つのゾーンZ〜Z)に分けて個別に加熱する。各ゾーンZ〜Zの温度が設定温度になるように、複数の加熱源H〜Hがコントローラ60によってフィードバック制御される。各ゾーンZ〜Zの温度は、温度センサS〜Sにより測定される。尚、ノズル12にも加熱源が設けられてよい。
【0025】
冷却装置30は、複数の加熱源H〜Hよりも後方に設けられる。冷却装置30は、シリンダ11の後部を冷却し、シリンダ11の後部やホッパ16内で樹脂ペレットのブリッジ(塊化)が生じないように、樹脂ペレットの表面が溶融しない温度にシリンダの後部の温度を保つ。冷却装置30は、水や空気等の冷媒の流路31を有する。
【0026】
図3は、設定温度が低温のときの、成形時の加熱エネルギーEmと、定常時の加熱エネルギーEiとの差ΔE(ΔE=Em−Ei)の一例を示す図である。図3において、斜線は、ゾーンZの設定温度を10℃上げ、ゾーンZの設定温度を20℃上げたときの変化を示す。Em、Ei、ΔEの番号nは、加熱源Hが設けられるゾーンZの番号nを表す。ゾーンZの番号n(図3ではn=1、2、3、4)が大きくなるほど、ゾーンZの位置が冷却装置30から遠くなる。ここで、「定常時」とは、スクリュ停止状態でシリンダ11の温度を設定温度に維持する時を意味する。
【0027】
成形時の加熱エネルギーEmは、所定時間(例えば1回の成形、或いは1回の計量工程等)の間に加熱源HがゾーンZに供給するエネルギー(J)のことである。成形時の加熱エネルギーEmは、加熱源Hがヒータの場合、ヒータが上記所定時間の間に消費する電力量と等価である。電力量は、加熱源Hに接続される電力量計Pにより測定される。
【0028】
成形時には、スクリュ13の動作によって樹脂に剪断熱が生じる。樹脂の剪断熱は、スクリュ13が回転しながら後退する計量工程で主に発生する。樹脂の剪断熱量がある程度多くなると、樹脂からシリンダ11に熱が移動するようになる。また、成形時には、ホッパ16からシリンダ11に新たな樹脂ペレットが順次供給され、シリンダ11と樹脂との間で熱がやり取りされる。
【0029】
定常時の加熱エネルギーEiは、上記所定時間と同じ時間の間に加熱源HがゾーンZに供給するネルギー(J)のことである。定常時の加熱エネルギーEiは、成形開始直前に、電力量計Pにより測定されてよい。成形開始直前に、シリンダ11の温度は設定温度で安定化している。尚、定常時の加熱エネルギーEiは、シミュレーション等により算出することも可能である。
【0030】
定常時には、スクリュ13が停止しているので、樹脂に剪断熱が生じない。また、定常時には、ホッパ16からシリンダ11に新たな樹脂ペレットが供給されないので、シリンダ11内に樹脂が残っていても、成形時に行われるシリンダ11と樹脂との間での熱のやり取りはほとんどない。
【0031】
コントローラ60は、加熱源H毎に、成形時の加熱エネルギーEmと、定常時の加熱エネルギーEiとの差ΔE(ΔE=Em−Ei)を監視する監視部63を備える。差ΔEが正の場合、ゾーンZの温度を設定温度に保つための加熱源Hの熱量が増えており、加熱源Hの熱がシリンダ11を介して樹脂に移動している。従って、差ΔEが正であることは、ゾーンZにおいてシリンダ11の熱が樹脂に移動していることを示している。一方、差ΔEが負の場合、ゾーンZの温度を設定温度に保つための加熱源Hの熱量が減っており、樹脂の熱がゾーンZに流れ込んでいる。従って、差ΔEが負であることは、ゾーンZにおいて樹脂の熱がシリンダ11に移動していることを示している。樹脂の剪断熱量が大きくなるほど、差ΔEが小さくなる。このように、差ΔEから、成形時に樹脂で生じる定性的な剪断熱量、成形時におけるシリンダ11と樹脂との間での熱の移動方向や移動量がわかり、シリンダ11内の樹脂の状態がわかる。
【0032】
図3に示すように、各ゾーンZの設定温度が一律に低い温度であると、スクリュ動作時に樹脂が強く剪断され、樹脂に生じる剪断熱量が増える。樹脂に生じる剪断熱量は、加熱源の加熱量と異なり、制御困難である。
【0033】
そこで、監視部63は、監視結果に基づいて、加熱源Hによって加熱されるゾーンZの設定温度を調整してよい。監視部63は、少なくとも1つの加熱源Hでの差ΔEが下限値ΔEminを下回る場合(ΔE<ΔEmin)、少なくとも1つのゾーンHの設定温度を高くする。設定温度をどの程度高くするかは、差ΔEが下限値ΔEminをどの程度下回るかに基づいて決定されてよい。
【0034】
例えば、監視部63は、図3に斜線で示すように、差ΔEが下限値ΔEminを下回るゾーン(図3の場合、ゾーンZ、Z)の設定温度を高くする。加熱源H、Hの出力が高くなり、ゾーンZ、Zにおける樹脂の温度が高くなり、溶融した樹脂の粘度が下がるため、樹脂に生じる剪断熱を低減でき、シリンダ温度の安定性を向上できる。
【0035】
尚、監視部63は、差ΔEが下限値ΔEminを下回るゾーンZ、Zよりも冷却装置30に近いゾーンZ、Zの設定温度を高くしてもよい。シリンダ11内を前方に移動する樹脂がゾーンZに到達するまでに十分に温められ、樹脂に生じる剪断熱量を低減できる。ゾーンZ、Zの設定温度の変更が困難な場合に、特に有効である。
【0036】
尚、下限値ΔEminは、図3では複数の加熱源Hで同じ値に設定されているが、加熱源H毎に異なる値に設定されてもよい。
【0037】
図4は、設定温度が高温のときの、成形時の加熱エネルギーEmと、定常時の加熱エネルギーEiとの差ΔEの一例を示す図である。図4において、斜線は、ゾーンZの設定温度を20℃下げ、ゾーンZの設定温度を10℃下げたときの状態を示す。
【0038】
図4に示すように、各ゾーンZの設定温度が一律に高い温度であり、加熱源Hの加熱量が多く、樹脂の剪断熱量が少ないと、全てのゾーンで、シリンダ11から樹脂に熱が移動する。その移動量は、冷却装置30に近いゾーンほど多くなる。シリンダ11から樹脂への熱の移動量が多すぎると、加熱源Hの出力が定格出力に達しているか、定格出力近くになっていることがある。
【0039】
そこで、監視部63は、少なくとも1つの加熱源Hにおける差ΔEが上限値ΔEmaxを超える場合(ΔE>ΔEmax)、少なくとも1つのゾーンHの設定温度を調整する。調整量は、差ΔEが上限値ΔEmaxをどの程度超えるかで決定されてよい。
【0040】
例えば、監視部63は、図4に斜線で示すように、差ΔEが上限値ΔEmaxを超えるゾーンZ図4の場合、ゾーンZ、Z)の設定温度を低くする。加熱源H、Hがシリンダ11に与えるべき熱量が少なくなり、加熱源H、Hの出力が定格出力よりも十分に低くなり、シリンダ11の温度が設定温度で安定化する。
【0041】
尚、監視部63は、差ΔEが上限値ΔEmax以下のゾーンZ図4の場合、ゾーンZ、Z)の設定温度を高くし、加熱源H、Hの出力を上げてもよい。隣り合うゾーンの間では熱のやり取りがあるので、余力のある加熱源H、Hの出力を上げることで、余力のない加熱源H、Hの出力を下げることができる。
【0042】
尚、上限値ΔEmaxは、図4では複数の加熱源Hで同じ値に設定されているが、加熱源H毎に異なる値に設定されてもよい。
【0043】
以上、射出成形機について実施形態で説明したが、本発明は上記実施形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で、種々の変形、改良が可能である。
【0044】
例えば、上記実施形態の加熱源H〜Hは、シリンダ11を外側から加熱するヒータであるが、例えばシリンダ11を誘導加熱する誘導加熱コイルでもよく、加熱源の種類は特に限定されない。
【0045】
また、上記実施形態の射出成形機は、スクリュ・インライン方式のものであるが、スクリュ・プリプラ方式のものでもよい。スクリュ・プリプラ方式では、可塑化用シリンダ内で溶融された樹脂を射出用シリンダに供給し、射出用シリンダから金型装置内に溶融樹脂を射出する。スクリュ・プリプラ方式では、加熱源によって加熱されるシリンダは可塑化用シリンダであって、可塑化用シリンダ内にスクリュが配設される。
【符号の説明】
【0046】
10 射出成形機
11 シリンダ
12 ノズル
13 スクリュ
60 コントローラ
63 監視部
〜H 加熱源
〜Z ゾーン
図1
図2
図3
図4