特許第5917341号(P5917341)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5917341
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】格納式車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/30 20060101AFI20160422BHJP
【FI】
   B60N2/30
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-191532(P2012-191532)
(22)【出願日】2012年8月31日
(65)【公開番号】特開2014-46826(P2014-46826A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年2月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】外山 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】吉野 英明
【審査官】 宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−290649(JP,A)
【文献】 実開平07−022833(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 − 2/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバックをシートクッション上に折り畳み、更にシートクッションの端部をヒンジ中心として回動して車室内でコンパクトに格納可能とされた格納式車両用シートであって、
前記シートバックとシート格納時に前記シートバックに対応する固定側部材とに設けられ、前記シートの格納位置においてシートを格納位置に保持するロック装置を備え、
該ロック装置は、フックと、該フックに係合可能とされた被係合部材とから成り、
前記ロック装置のロック時、互いに重合して係合する前記フック及び前記被係合部材の各係合面の一方を、当該面に沿う方向に相対移動可能に構成され、この相対移動により、各係合面が互いに重合して係合する前記ロック装置のロック状態と、各係合面が互いに重合せず係合しない前記ロック装置のロック解除状態とが実現され
前記各係合面の一方は、その相対移動の方向に対して傾斜した縁部を有し、
前記各係合面の他方を形成するフック又は被係合部材には、前記縁部に当接可能な当接部を備え、
前記縁部は、前記当接部が前記係合面の面に沿う方向で互いに離間した2箇所となるように、第1の傾斜線に沿った第1の縁部と、第1の傾斜線に対して交差する第2の傾斜線に沿った第2の縁部とを備えることを特徴とする格納式車両用シート。
【請求項2】
請求項1において、
前記シートは、シートバックをシートクッション上に折り畳み、更にシートクッションの車両側壁側をヒンジ中心として回動して車両側壁に沿って格納可能とされた格納式車両用シートであり、
前記フックはシートバックに、また前記被係合部材は車両側壁にそれぞれ設けられ、
前記被係合部材の係合面は、車両前後方向に移動可能とされ、この移動により前記フックの係合面に対して係合、及び係合解除されることを特徴とする格納式車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートバックをシートクッション上に折り畳み、更にシートクッションの端部をヒンジ中心として回動して車室内でコンパクトに格納可能とされた格納式車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
上記格納式車両用シートが一部車両で実用化されている。下記特許文献1には、車両側壁に沿って格納可能とされた格納式車両用シートが開示されている。
下記特許文献1の格納式車両用シートでは、格納されたシートを格納位置に保持するためのロック装置を備えている。係るロック装置は、シートバック背面のストライカと車両側壁のラッチ機構とによって構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−207699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の格納式車両用シートでは、ロック装置としてストライカと係合するラッチ機構を採用しているが、ラッチ機構は、ロック時には、進入してくるストライカを受け入れて掴み、ロック解除時には、掴んでいたストライカを解放する構成であり、構造が複雑で、高価である問題がある。
このような問題に鑑み本発明の課題は、格納式車両用シートを格納位置に保持するためのロック装置を、相対移動するのみで互いの係合面が重合、及び重合解除される2部材によって構成することにより、ロック装置の構成を簡単にして安価に構成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1発明は、シートバックをシートクッション上に折り畳み、更にシートクッションの端部をヒンジ中心として回動して車室内でコンパクトに格納可能とされた格納式車両用シートであって、前記シートバックとシート格納時に前記シートバックに対応する固定側部材とに設けられ、前記シートの格納位置においてシートを格納位置に保持するロック装置を備え、該ロック装置は、フックと、該フックに係合可能とされた被係合部材とから成り、前記ロック装置のロック時、互いに重合して係合する前記フック及び前記被係合部材の各係合面の一方を、当該面に沿う方向に相対移動可能に構成され、この相対移動により、各係合面が互いに重合して係合する前記ロック装置のロック状態と、各係合面が互いに重合せず係合しない前記ロック装置のロック解除状態とが実現されることを特徴とする。
第1発明によれば、互いに重合して係合するフック及び被係合部材の各係合面の一方を当該面に沿う方向に相対移動することにより、ロック装置のロック状態とロック解除状態とが実現される。そのため、ロック装置の構成を簡単にして安価に構成することができる。
【0006】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記シートは、シートバックをシートクッション上に折り畳み、更にシートクッションの車両側壁側をヒンジ中心として回動して車両側壁に沿って格納可能とされた格納式車両用シートであり、前記フックはシートバックに、また前記被係合部材は車両側壁にそれぞれ設けられ、前記被係合部材の係合面は、車両前後方向に移動可能とされ、この移動により前記フックの係合面に対して係合、及び係合解除されることを特徴とする。
第2発明によれば、被係合部材の係合面が、車両前後方向に移動されることにより、ロック装置のロック状態とロック解除状態とが実現される。そのため、車両側壁に設けられた被係合部材を車両後方から容易に操作することができ、操作性を良くすることができる。
【0007】
本発明の第3発明は、上記第1又は第2発明において、前記各係合面の一方は、その相対移動の方向に対して傾斜した縁部を有し、前記各係合面の他方を形成するフック又は被係合部材には、前記縁部に当接可能な当接部を備え、前記縁部は、前記当接部が前記係合面の面に沿う方向で互いに離間した2箇所となるように、第1の傾斜線に沿った第1の縁部と、第1の傾斜線に対して交差する第2の傾斜線に沿った第2の縁部とを備えることを特徴とする。
第3発明によれば、両係合面が重合して係合するとき、第1及び第2の縁部を当接部の2箇所に当接させる。その結果、一方の係合面の2つの縁部によって当接部を挟んで保持することができ、フックと被係合部材とをがたつくことなく係合させることができる。
また、2つの傾斜線に沿った縁部によって当接部を挟んで両係合面を係合させることができるため、2つの縁部が当接部から離れるときは両者は大きく離れることができ、フックと被係合部材とを係合させるときの両者の係合のための接近を低い寸法精度で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態である格納式車両用シートの斜視図である。
図2】上記第1実施形態の格納式車両用シートが格納位置にある状態を示す斜視図である。
図3図2と同様の斜視図であり、骨格のみの状態を示す。
図4】上記第1実施形態の格納式車両用シートが格納位置にある状態を示す斜視図であり、ロック装置によりシートが車両側壁に保持された状態を示す。
図5図4におけるロック装置部分の垂直断面図である。
図6図4におけるロック装置部分の水平断面図である。
図7】上記第1実施形態のロック装置の被係合部材の斜視図である。
図8】上記第1実施形態のロック装置の作動説明図である。
図9】本発明の第2実施形態のロック装置のフックの構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
図1〜8によって本発明の第1実施形態を説明する。第1実施形態は、車両の後列右側のシートが車両の右側壁に沿って格納される例を示している。各図において、矢印で示すFは車両前方、Uは車両上方、Rは車両右方を、それぞれ示す。
この例において、シートは、シートバック40をシートクッション50上に折り畳み、更にシートクッション50の車両側壁B側のヒンジブラケット52を中心として回動して車両側壁B(本発明の固定側部材に相当する。)に沿って格納可能とされている。図1はシートが着座位置にある状態を示し、図2〜4はシートが格納位置にある状態を示している。図4において、実線で示すシートバック40及びシートクッション50の位置が格納位置であり、二点鎖線で示す格納前の位置から、矢印で示すように、実線で示す格納位置にシートバック40及びシートクッション50が跳ね上げ可能とされている。
シートクッション50の底面には周知のように脚部51が設けられており、脚部51の端部に設けられた一対のラッチ機構が、図4で二点鎖線で示すように、車両フロアFに設けられた一対のストライカ60と係合することにより、シートクッション50が車両フロアFに固定されている。図4で実線で示すように、シートクッション50が跳ね上げられると、脚部51は一対のラッチ機構が設けられた側とは反対側端部をヒンジ中心として回動され、シートクッション50の底面の凹部内に矢印で示すように格納されるように構成されている。
【0010】
シートバック40の背面には、図1〜3に示されるように、鍔付きのピン10が設けられている。ピン10は、図1のように、シートが着座位置にある状態では、シートバック40の背面の左下部に位置し、シートが格納位置にある状態では、図2、3のように、シートバック40の背面で車両側壁Bに対向する位置にある。
図3、5に示されるように、ピン10は、ピン本体11の先端に鍔部12を一体に備えて成り、ピン本体11は、ブラケット13を介してシートバックフレームを成すパイプ41に溶接にて固定されている。このとき、ピン本体11は、シートバック40のクッションパッド42及びシート表皮43を貫通して、先端部がシート表皮43の表面上に突出するように構成されている。
ピン10は、本発明のフックに相当する。
【0011】
図4に示されるように、シートが格納位置にあるとき、シートバック40の背面に設けられたピン10が対向する車両側壁Bには、ピン10とともにロック装置を成す被係合部材20が設けられている。
被係合部材20は、図7に示されるように、四角筒の壁面の一部がカットされた形状のレール21と、このレール21の筒内部に摺動自在に挿入されたスライドレバー22とから成り、スライドレバー22は、レール21の筒内部に挿入される四角筒形状の本体部22Aと、この本体部22Aと一体に形成されレール21から突出して形成された操作部22Dとから成る。スライドレバー22の本体部22Aのうち、レール21のカット部に対応する部分には矢印形状の切欠部22Eが形成されており、この切欠部22Eの一部を形成する縁部22B、22Cは、スライドレバー22がレール21内で摺動して移動する方向(車両前後方向)に対して傾斜して配置されている。縁部22Bが成す第1の傾斜線と縁部22Cが成す第2の傾斜線とは互いに交差する関係とされている。
スライドレバー22の本体部22Aの操作部22Dとは反対側にはばね23が取り付けられており、ばね23は車両側壁Bとの間に張設され、スライドレバー22を常時、車両前方へ付勢している。このため、図8(B)に示されるように、車両乗員が操作部22Dを掴んで車両後方側へ引張ると、ばね23の付勢力に抗してスライドレバー22がレール21内で移動して、スライドレバー22の本体部22Aの切欠部22Eを介して本体部22A内にピン10の先端部を受け入れることができるようになる。その後、車両乗員が操作部22Dを掴んでいた手を放すと、ばね23の付勢力によってスライドレバー22の本体部22Aは、図8(A)で示されるように、レール21内で移動して、スライドレバー22の本体部22A内に挿入されているピン10の先端部の第1の当接部11A及び第2の当接部11Bに縁部22B及び22Cが当接することになる。
このようにピン10の2つの当接部11A、11Bに縁部22B、22Cが当接した状態では、スライドレバー22の本体部22Aの内側面とピン10の鍔部12の裏面とが係合面となって係合し、ピン10とスライドレバー22とによって構成されるロック装置がロック状態とされる。これによりシートを格納位置に保持することができる。
図4〜6に示されるように、被係合部材20はスライドレバー22の操作部22Dの先端部を除いて車両側壁B内に埋設されており、スライドレバー22の操作部22Dの先端部は車両側壁Bに形成された貫通孔B1を介して車室内に露出されている。また、車両側壁Bのピン10に対応する位置には貫通孔B2が形成されており、この貫通孔B2を介してピン10がスライドレバー22の本体部22A内に進入可能とされている。
【0012】
以上のようにピン10がシートバック40に設けられ、ピン10が係合する被係合部材20が車両側壁Bに設けられているため、シートバック40及びシートクッション50を車両側壁Bに沿う格納位置としたとき、図4〜6、図8(A)のように、ピン10の鍔部12を含むピン本体11の先端がスライドレバー22の本体部22A内に挿入され、ピン10の鍔部12の裏面とスライドレバー22の本体部22Aの内側面とが係合される。このとき、図8(B)のように、スライドレバー22の操作部22Dを引張り操作しないとピン本体11の先端がスライドレバー22の本体部22A内に進入することができないため、シートを格納位置へ移動しながらスライドレバー22の操作部22Dを引張り操作することになる。ピン本体11の先端がスライドレバー22の本体部22A内に挿入された後は、スライドレバー22の操作部22Dの引張り操作を解除することにより、ばね23の付勢力によりスライドレバー22は、上述のようにピン10の鍔部12の裏面とスライドレバー22の本体部22Aの内側面とが係合された状態となる。
【0013】
この状態では、スライドレバー22の本体部22A内に挿入されているピン10の先端部の第1の当接部11A及び第2の当接部11Bに、スライドレバー22の本体部22Aの縁部22B及び22Cがばね23の付勢力を受けて当接している。このため、ピン本体11の先端は縁部22Bと縁部22Cとによって挟まれて保持されることになり、ピン10を被係合部材のスライドレバー22に対してがたつくことなく係合させることができる。
この場合、縁部22B、22Cは、スライドレバー22がレール21内で摺動して移動する方向に対して傾斜して配置され、しかも縁部22Bが成す第1の傾斜線と縁部22Cが成す第2の傾斜線とは互いに交差する関係とされているため、縁部22Bと縁部22Cとが互いに離間した側では大きなスペースを確保することができ、シートバック40側のピン本体11の先端を車両側壁B側のスライドレバー22の本体部22A内に進入させるための両者の位置合せの寸法精度を低くすることができる。
【0014】
以上のとおり、第1実施形態によれば、ピン10の鍔部12をスライドレバー22の本体部22A内に進入させるに際して、操作部22Dを引張り操作して、その後は操作部22Dの操作を解除すれば、ピン10の鍔部12の裏面に対してスライドレバー22の本体部22Aの内側面を重合して係合させて、ロック装置をロック状態とすることができる。一方、ロック装置をロック解除状態とする際は、ばね23の付勢力に抗してスライドレバー22の操作部22Dを引張り操作すれば良い。このようにロック装置をロック状態とするときも、ロック装置をロック解除状態とするときも、スライドレバー22の操作部22Dを引張り操作するのみで済み、操作を簡略化することができる。また、車両側壁Bに設けられた被係合部材20のスライドレバー22を車両後方から容易に操作することができ、操作性を良くすることができる。
しかも、ピン10の鍔部12の裏面に対してスライドレバー22の本体部22Aの内側面を重合させるか否かにより、ロック装置のロック状態とロック解除状態とが切り換えられ、この切換をスライドレバー22を車両前後方向に移動させる簡単な構成で実現できる。そのため、ロック装置の構成を簡単にして安価に構成することができる。
【0015】
<第2実施形態>
図9によって本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態が上述の第1実施形態に対して特徴とする点は、ピン10をシートバック40の背面上に突出した状態と突出しない状態とに移動可能とし、シートバック40がシートクッション50上に折り畳まれた状態にあるときにピン10が突出状態とされ、シートバック40が乗員着座位置にあるときに非突出状態とされるように構成された点にある。第2実施形態において、その他の点は、第1実施形態と同一であり、同一部分は図示を省略し、図示されている部分でも同一部分には同一符号を付して再度の説明は省略する。
【0016】
図9において、ピン10は、上記第1実施形態の場合と同様にシートバック40の背面に設けられているが、ピン10のピン本体14は、パイプ41に結合されたブラケット44を貫通して配置されている。ピン本体14のシートバック40内側端は、係合片15に結合され、係合片15は、一端がシートバック40のシートフレーム(不図示)に結合されたばね18の他端に結合されている。そのため、ピン本体14は、ばね18によりシートバック40の背面から突出するように付勢されている。このときのピン本体14の突出量は、ピン本体14の中間部がブラケット44に係合することにより規制されている。
係合片15は連結ピン16を介してリンク17の一端に連結されている。リンク17は、その重心部付近の支持点17Aを中心としてシートバック40のシートフレーム(不図示)に対して揺動自在にされており、リンク17の他端は、アウタケース46内で摺動自在とされたインナケーブル47の一端に連結されている。一方、インナケーブル47の他端は、シートクッション50のシートバック40との連結部付近に設けられたリンク48の一端に連結されている。リンク48は、シートクッション50に対して揺動自在とされており、シートバック40のシートクッション50に対する動きを受けて揺動されるように、シートバック40の下端部がリンク48の他端に結合されている。
【0017】
図9の状態は、シートバック40がシートクッション50上に重なるように折り畳まれた状態を示している。このとき、インナケーブル47はリンク48によってアウタケース46内に押し込まれ、リンク17を揺動させ、連結ピン16及び係合片15を介して、ピン本体14を、シートバック40の背面から突出させている。
図9の状態からシートバック40を二点鎖線で示すようにシートクッション50から引き起こすと、シートバック40の動きに伴って揺動されるリンク48によって、インナケーブル47がアウタケース46内から引き出され、インナケーブル47はリンク17を揺動させ、連結ピン16及び係合片15を介して、ピン本体14を、シートバック40の背面から突出しない状態へ移動させる。
以上のように、第2実施形態によれば、シートバック40がシートクッション50上に折り畳まれた状態にあるときにピン本体14が突出状態とされて、上記第1実施形態において説明したのと同様に、ピン本体14をロック装置として機能させることができる。一方、シートバック40が乗員着座位置にあるときにピン本体14は非突出状態とされ、ピン本体14が邪魔にならないようにすることができる。
【0018】
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、
1.フックは各実施形態における鍔付きピンに限定されず、鉤型のフックでも良い。
2.フックと被係合部材の相対移動は、シートが動くことによりフックが動くようにしても良い。
3.フックと被係合部材の相対移動の方向は、車両前後方向に限定されず、車両上下方向でも、それらの方向の中間の斜め方向でも良い。
4.被係合部材のスライドレバーを付勢するばねはなくても良い。
5.被係合部材のスライドレバーの縁部が成す第1及び第2の傾斜線は、直線に限定されず、曲線によって形成されても良い。
6.上記実施形態では、シートバックにフックを設け、車両側壁に被係合部材を設ける場合について説明したが、車両側壁にフックを設け、シートバックに被係合部材を設けても良い。
7.上記実施形態では、シートが車両側壁に沿って格納されるものについて説明したが、シートバックがシートクッション上に折り畳まれ、更にシートクッションの前側端部をヒンジ中心として回動して格納される所謂タンブルシートに適用しても良い。
【符号の説明】
【0019】
10 ピン(フック)(ロック装置)
11、14 ピン本体
11A、11B 当接部
12 鍔部
13 ブラケット
15 係合片
16 連結ピン
17 リンク
17A 支持点
18 ばね
20 被係合部材(ロック装置)
21 レール
22 スライドレバー
22A 本体部
22B 第1の縁部(第1の傾斜線)
22C 第2の縁部(第2の傾斜線)
22D 操作部
22E 切欠部
23 ばね
40 シートバック
41 パイプ
42 クッションパッド
43 シート表皮
44、45 ブラケット
46 アウタケース
47 インナケーブル
48 リンク
50 シートクッション
51 脚部
52 ヒンジブラケット
60 ストライカ
B 車両側壁(固定側部材)
B1、B2 貫通孔
F 車両フロア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9