(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パネル端面において、前記表面保護層の一部が、前記基材と前記外側成形体との隙間ならびに前記基材と前記内側成形体との隙間の少なくとも一方に浸透している請求項1に記載の検知機能を有する表面パネル。
前記基材がPETフィルムであり、前記外側成形体と前記内側成形体が、アクリル系樹脂で形成されている請求項4または請求項5に記載の検知機能を有する表面パネル。
【背景技術】
【0002】
携帯用機器やその他の電子機器の筐体の一部として使用される表面パネルは、中央部に、液晶表示装置などの表示画面を透視できるとともに指によるタッチ操作が行われる透光領域が形成され、この透光領域の周囲に、枠状に着色された加飾領域が設けられている。
【0003】
特許文献1の
図6以下に、透明タッチパネルを備えたタッチパネルモジュールが開示されている。
【0004】
このタッチパネルモジュールは、インジェクション成型によって透明パネルが成型される。透明パネルに窪みが形成され、この窪みの内部に、透明タッチパネルが挿入されて保持されている。そして、透明タッチパネルを保持した透明パネルが二次成形型の内部に保持され、IMD(in-mold decoration)インジェクション成型によって、透明タッチパネルを保持するハウジングが成型される。
【0005】
特許文献2には、センサとカバーとを有するデバイスが開示されている。
図8に示されているデバイスは、タッチセンサとカバーとが接着剤を介して接着されて構成されている。
図9に示されているデバイスは、タッチセンサが、トップカバーとボトムカバーとの間に挟まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の
図6以下に開示されているタッチパネルモジュールは、透明パネルに保持された透明タッチパネルの配線層などが外部から見えないようにするために、着色されたハウジングの一部で、透明タッチパネルの前方が覆われた構造となっている。そのため、タッチパネルモジュールの構造が複雑で厚さ寸法が必要以上に大きくなる。
【0008】
特許文献2の
図8に記載されているデバイスは、タッチセンサとカバーとの2層が積層された構造であるため、この2つの層の接着時の応力の差や熱応力の差などにより歪みや反りが発生しやすい。
【0009】
特許文献2の
図9に記載されているデバイスは、タッチセンサが、トップカバーとボトムカバーとの間に挟まれているため、
図8に記載されたものに比べて歪みや反りが発生しにくい。しかし、このデバイスを使用するときには、タッチセンサの配線などを隠すための加飾部を有するフィルムを表面側に積層することが必要である。このフィルムを積層して接着することにより、接着時の応力の差や熱応力の差などにより歪みや反りが発生しやすくなる。
【0010】
また、特許文献2に記載されたデバイスは、その端面に、タッチセンサとカバーとの接合部が現れているため、タッチセンサの電極部に水分や腐食ガスなどが浸透しやすくなり、耐環境性に劣り、寿命が低下しやすい。
【0011】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、薄型に構成できて、歪が発生しにくく、しかも耐環境性に優れた検知機能を有する表面パネルを提供すことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、透光領域と前記透光領域を囲む加飾領域とを有する表面パネルにおいて、
外表面および内表面を有する透光性の基材と、
前記基材の前記外表面に設けられて前記加飾領域を形成する加飾層ならびに前記内表面に設けられて前記透光領域内に位置する透光性の検知電極層と、
それぞれが透光性の合成樹脂材料で形成されて前記基材の前記外表面を覆う外側成形体ならびに前記基材の前記内表面を覆う内側成形体と、を有し、
前記外側成形体の表面と前記内側成形体の表面の双方が表面保護層で覆われており、
前記外側成形体の端部と前記内側成形体の端部ならびに前記基材の端部とを有す
るパネル端面が、前記表面保護層で覆われており、
前記基材の一部が前記パネル端面から外部に延び出ており、前記基材が延び出ている部分を除いて、前記パネル端面が前記表面保護層で覆われていることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の検知機能を有する表面パネルは、加飾層と検知電極層とを有する基材が外側成形体と内側成形体とで挟まれた構造である。さらに、外側成形体の表面にハードコート層である表面保護層が設けられて、外側成形体の表面が傷つきにくく指などを直接触れて操作しやすいようになっているが、この表面保護層は、外側成形体の表面と内側成形体の表面の双方に設けられている。
【0014】
その結果、基材の中心を挟んで外側と内側とで基本的な積層構造が対称となり、各層の積層工程における応力差や熱変化による応力の差が、外側と内側とでバランスしやすくなり、パネルに歪みや反りが発生しにくくなる。
【0015】
外側成形体と内側成形体は、同じ材料で同じ厚さで形成することが可能であるが、厚さを互いに相違させ、または材質を相違させて、基材を基準とする外側と内側とで応力差をさらに小さくすることも可能である。
【0016】
なお、基材と外側成形体、および基材と内側成形体は、モールド工程で一体化することが可能であるが、予め成型された外側成形体ならびに内側成形体と、基材とが透光性の接着剤を介して接着されたものであってもよい。
【0019】
さらに、本発明は、前記パネル端面において、前記表面保護層の一部が、前記基材と前記外側成形体との隙間ならびに前記基材と前記内側成形体との隙間の少なくとも一方に浸透しているものとすることが可能である。
【0020】
上記のようにパネル端面を表面保護層で覆うことにより、パネル端面に現れている基材と外側成形体との隙間や、基材と内側成形体との隙間に水分や腐食ガスが侵入しにくくなり、耐環境性に優れたものとなる。
【0021】
本発明は、前記基材は合成樹脂フィルムである。例えば、前記基材がPETフィルムであり、前記外側成形体と前記内側成形体が、アクリル系樹脂で形成されている。
【0022】
この場合に、前記基材と前記外側成形体との境界部と、前記基材と前記内側成形体との境界部の双方に、接合層が設けられている。
【0023】
また、前記加飾層が、前記接合層の表面に形成されている構造とすることが可能である。
さらにまた、前記基材がアクリル系の樹脂フィルムであり、前記外側成形体と前記内側成形体が、PMMAで形成されており、前記基材と前記
外側成形体と前記内側成形体とが直接接合されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の表面パネルは、基材を中心として外側と表側とで積層構造がほぼ対称となるため、歪みや反りが発生しにくくなる。また、外側成形体の表面は、表面保護層で覆われているため、傷がつきにくく、指などで操作しやすい。
【0025】
さらに、パネル端面に表面保護層を設けることで、基材の表面を水分や腐食ガスなどから保護できるようになり、耐環境性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1と
図2に示す第1の実施の形態の表面パネル1は、携帯電話、携帯情報端末などの携帯機器または電子機器の筐体の一部として使用される。
【0028】
第1の実施の形態の表面パネル1は、平坦な構造であり平面形状は長方形状である。表面パネル1は、携帯機器または電子機器の筐体2の表面2aに設置される。筐体2の内部には、各種電子回路を実装した回路基板と共に表示装置が内蔵されている。この表示装置は、カラー液晶表示装置または有機エレクトロルミネッセンス表示装置などである。
【0029】
表面パネル1は、光を透過できる透光領域3と、前記透光領域3を囲む加飾領域4を有している。表示装置の画面の表示内容は、透光領域3を透過して外部から目視可能である。
【0030】
図2に、表面パネル1の積層構造が示されている。
表面パネル1は、基材フィルム11を有している。基材フィルム11は透光性である。本明細書での透光性とは、表示装置の表示内容を透視できる程度の光透過率を有していることを意味し、例えば全光線透過率が80%以上であり、好ましくは90%以上である。
【0031】
基材フィルム11は、タッチセンサを形成するのに適した強度と耐熱性を有する合成樹脂であるPET(ポリエチレンテレフタレート)で形成される。またはCOP(環状ポリオレフィン)なども使用可能である。
【0032】
基材フィルム11は、筐体2の外側に向けられた外表面11aと、筐体2の内部に向けられた内表面11bを有している。
図2に示すように、基材フィルム11の外表面11aに外側成形体12が接合され、内表面11bに内側成形体13が接合されている。
【0033】
外側成形体12と内側成形体13は、透光性のアクリル系などの合成樹脂材料であり、例えばPMMA(ポリメタクリル酸メチル)で形成されている。
【0034】
基材フィルム11が、PETまたはCOPで形成され、外側成形体12と内側成形体13がPMMAで形成される材料の組み合わせでは、基材フィルム11と外側成形体12ならびに内側成形体13との接合性がよくない。そのため、表面パネル1では、基材フィルム11の外表面11aと外側成形体12とが外側接合層14を介して接合されており、内表面11bと内側成形体13とが内側接合層15を介して接合されている。外側接合層14と内側接合層15は、透光性であるアクリル系の樹脂層である。この樹脂層は、外表面11aと内表面11bに溶融樹脂が塗工され、熱硬化や紫外線硬化などにより硬化させられている。
【0035】
図2に示すように、基材フィルム11の内表面11bに、検知電極層21と複数の配線層22が形成されている。
【0036】
図3では、基材フィルム11の内表面11bに形成された検知電極層21と配線層22が、外表面11a側から透視して示されている。
【0037】
検知電極層21は、表面パネル1の透光領域3に配置されている。
図3に示すように、検知電極層21は右側電極21aと左側電極21bとに区分されている。右側電極21aと左側電極21bはそれぞれ複数設けられ、表面パネル1の長さ方向(
図3の図示上下方向)に、交互に配列して形成されている。検知電極層21は、ITO(酸化インジウム・スズ)で形成されている。検知電極層21は、PETなどの基材フィルム11の内表面11bに成膜された後に、エッチングによって右側電極21aと左側電極21bに分離される。
【0038】
図3に示すように、配線層22は、それぞれが右側電極21aと連続する右側配線層22aと、それぞれが左側電極21bと連続する左側配線層22bを有している。右側配線層22aと左側配線層22bは、加飾領域4の内側を通過して引き回されている。
図3に示すように、右側配線層22aと左側配線層22bは、加飾領域4の上方領域まで延びて、それぞれが平行に配置されて引出し配線層24となっている。
【0039】
前記内側接合層15は、検知電極層21と配線層22を覆うようにして形成されている。
【0040】
図1と
図2に示すように、基材フィルム11には、その上端から帯状に連続する配線帯16が一体に形成されており、前記引出し配線層24が、配線帯16に沿って形成されている。
【0041】
右側配線層22aと右側配線層22bならびに引出し配線層24は、バインダ樹脂に低抵抗の導電体が含まれた有機導電層であり、例えば銀ペースト、銅ペーストあるいはカーボンペーストなどである。右側配線層22aと左側配線層22bならびに引出し配線層24を形成している有機導電層は、検知電極層21を形成しているITOよりも柔軟性に富んでいる。すなわち、同じ荷重に対する延伸率や湾曲率がITOよりも高くなっている。
【0042】
右側配線層22aと左側配線層22bならびに引出し配線層24の形成工程では、基材フィルム11の内表面11bに形成されているITO層の上に有機導電層が成膜され、エッチング工程によって検知電極層21と右側配線層22aと左側配線層22bならびに引出し配線層24のパターンが形成される。その後に、検知電極層21の表面の有機導電層がエッチング工程で除去される。
【0043】
または、右側配線層22aと左側配線層22bならびに引出し配線層24が有機導電層によって印刷工程で形成されてもよい。
【0044】
図2に示すように、基材フィルム11の外表面11aでは、前記外側接合層14の表面に加飾層23が形成されている。加飾層23は、印刷工程で形成されるものであり、着色塗膜が多層に塗られて形成されている。
図1と
図2に示すように、加飾層23によって透光領域3を囲む加飾領域4が形成されている。
【0045】
図1に示すように、加飾領域4の一部にロゴ表示部30が設けられている。
図2に示すように、ロゴ表示部30では、基材フィルム11の内表面11bに、反射層31が設けられている。この反射層31は、前記内表面11bに、金属粉を含む塗膜を印刷により形成し、または金属層をスパッタすることなどで形成されている。反射層31が形成されている部分は有機絶縁層32で覆われており、この部分では、前記引出し配線層24が有機絶縁層32の表面に形成されている。
【0046】
ロゴ表示部30では、加飾層23の一部に透過部33が形成されている。この透過部33は、加飾層23の一部を除去することで形成され、または多層に塗られる着色塗膜の層の数を部分的に削減することで形成されている。透過部33は、製品名や製造者名あるいは型番などを示す文字や記号あるいはその組み合わせのロゴパターンとなるように形成されている。ロゴ表示部30では、加飾領域4の一部に金属色のロゴパターンが立体的な表示として目視できるようになる。
【0047】
図2に示すように、複数の配線パターンを有する引出し配線層24は、配線帯16の内表面16bに沿って延び、配線帯16の先部に、引出し配線層24のそれぞれの配線パターンに個別に導通するコネクタ電極25が形成されている。また、配線帯16の内表面16bに形成されている引出し配線層24は有機絶縁層26で覆われている。
【0048】
図2に示すように、表面パネル1は、パネル外面1aにおいて、外側成形体12の表面が表面保護層28で覆われ、パネル内面1bにおいて、内側成形体13の表面が表面保護層28で覆われている。さらに、表面パネル1の4辺のパネル端面1cの全てが表面保護層28で覆われている。4辺のパネル端面1cのうちの1辺から基材フィルム11の一部である配線帯16が延び出ているが、このパネル端面1cでは、配線帯16が延び出ている部分を除いて、表面保護層28で覆われている。
【0049】
表面保護層28は、ハードコート層と呼ばれているものであり、基材フィルム11ならびに外側成形体12と内側成形体13よりも表面硬度が高く、例えば鉛筆硬度で3H〜5H程度である。表面保護層28は、アクリル系、シリコーン系、フッ素系などを主体とする紫外線硬化型樹脂材料で形成されている。
【0050】
ハードコート層である表面保護層28は、本来は表面パネル1のパネル外面1aにのみ形成されていればよいが、本発明では、パネル外面1aのみならずパネル内面1bとパネル端面1cの全ての表面が表面保護層28で覆われている。
【0051】
図4には、前記表面パネル1の製造方法の一例が示されている。
製造工程では、PETフィルムなどの基材フィルム11の内表面11bに、検知電極層21、反射層31、有機絶縁層32、配線層22ならびに引出し配線層24が形成され、さらに内側接合層15が形成される。また、基材フィルム11の外表面11aに、外側接合層14と加飾層23が形成される。
【0052】
図4(A)に示すように、前記各層が形成された基材フィルム11が、一次成形型41a,41bの内部に設置されて、基材フィルム11の内表面11b側にキャビティ42が形成される。このキャビティ42内にPMMAなどの光学特性が良好な合成樹脂材料が溶融状態で射出されて、内側成形体13が形成される。PETなどの基材フィルム11とPMMAなどの内側成形体13は、内側接合層15を介することで互いに強固に固着される。
【0053】
図4(B)に示すように、各層を有する基材フィルム11と内側成形体13とが一体となったものが、二次成形型43a,43bの内部に設置されて、基材フィルム11の外表面11a側にキャビティ44が形成される。このキャビティ44内にPMMAなどの光学特性が良好な合成樹脂材料が溶融状態で射出され、外側成形体12が形成される。PETなどの基材フィルム11とPMMAなどの外側成形体12は、外側接合層14を介することで互いに強固に固着される。
【0054】
その後に、パネル外面1aとパネル内面1bならびにパネル端面1cに、ハードコート層である表面保護層28が形成される。表面保護層28の塗布工程は、各層を有する基材フィルム11と外側成形体12ならびに内側成形体13とが一体に形成されたものが、紫外線硬化性の溶融樹脂の内部に浸漬されて、配線帯16の突出部以外の表面に溶融樹脂が塗布される。その後に紫外線が照射され溶融樹脂が硬化されて、表面保護層28が形成される。
【0055】
なお、
図4の工程とは逆に、各層を有する基材フィルム11に対して先に外側成形体12を成型し、その後に、内側成形体13を成型して、基材フィルム11と外側成形体12ならびに内側成形体13を一体化してもよい。
【0056】
また、表面パネル1の製造方法として、外側成形体12と内側成形体13とが予め形成されており、各層を有する基材フィルム11と外側成形体12ならびに内側成形体13とが互いに接着剤などで接着され、その後に、パネル外面1aとパネル内面1bならびにパネル端面1cが表面保護層28で覆われてもよい。
【0057】
図2に示す表面パネル1は、基材フィルム11を中心として、外側に、外側接合層14と外側成形体12ならびに表面保護層28が積層されており、内側に、内側接合層15と内側成形体13ならびに表面保護層28が積層されており、外側と内側とで、積層構造が対称である。したがって、外側と内側とで接合時に作用する応力の差や温度変化による応力の差がきわめて小さくなる。そのため、歪や反りが発生しにくくなる。
【0058】
なお、検知電極層21や加飾層23は、接合層14,15や成形体12,13に比べて薄い膜であり、歪みや反りへの影響はきわめてわずかである。
【0059】
この表面パネル1では、基材フィルム11の外側と内側のそれぞれに成形体12,13が接合されており、しかも従来はパネル外面1aのみにしか形成されないハードコート層である表面保護層28が、パネル外面1aとパネル内面1bの双方に形成されているため、接合応力や熱応力による歪みや反りを防止しやすい構造となる。
【0060】
なお、外側成形体12と内側成形体13に厚さ寸法の差を持たせ、厚さ寸法の差を調整することにより、さらに基材フィルム11を中心とする外側と内側での応力の差を相殺しあるいは低減させることが可能である。
【0061】
図2に示すように、表面パネル1の4辺の全てのパネル端面1cがハードコート層である表面保護層28で覆われている。パネル端面1cには、基材フィルム11と外側成形体12との接合部の端部、ならびに基材フィルム11と内側成形体13との接合部の端部が現れているが、これら接合部の端部が表面保護層28で覆われているため、基材フィルム11の外表面11aや内表面11bに沿って、水分が侵入したり、腐食ガスが侵入するのを効果的に防止できる。
【0062】
また、
図4に示す成型工程において、基材フィルム11と外側成形体12との接合部の端部、ならびに基材フィルム11と内側成形体13との接合部の端部に成型不良による微細な隙間が形成されていても、この隙間内に表面保護層28を浸透させて硬化させることにより、基材フィルム11に沿って水分などが侵入するのを効果的に防止できる。
【0063】
そのため、検知電極層21や配線層22を常に保護することができ、耐水性と耐環境性が良好になり、長寿命の表面パネル1を構成することが可能である。
【0064】
図1に示すように、この表面パネル1が使用される携帯機器では、筐体2の内部に設けられた表示装置の表示画面が透光領域3の内側に対向し、表面パネル1の透光性の透光領域3を透過して表示内容を目視することができる。
【0065】
また、表示画面を目視できる透光領域3において外側成形体12の表面の表面保護層28に指を触れると、指といずれかの検知電極層21との間の静電容量に応じて検知出力が変化し、指が透光領域3のどの位置に触れられているかを検出することが可能になる。
【0066】
図5に、本発明の第2の実施の形態の表面パネル101が示されている。この表面パネル101は、
図2に示す第1の実施の形態の変形例である。
【0067】
図5に示す表面パネル101は、基材フィルム11が例えばアクリル系の樹脂フィルムであり、PMMAの外側成形体12ならびに内側成形体13との接合性が良好である。そのため、
図2に示す外側接合層14と内側接合層15が設けられていない。したがって、加飾層23は、基材フィルム11の外表面11aに直接に印刷工程などで形成されている。
【0068】
図5に示す表面パネル101も、基材フィルム11を中心として外側と内側とで積層構造が対称であり、歪みや反りが発生しにくい構造である。またパネル外面101aとパネル内面101bならびに全てのパネル端面101cが表面保護層28で覆われており、耐環境性に優れている。
【0069】
図6に本発明の第2の実施の形態の表面パネル201が示されている。この実施の形態では、第1の実施の形態の表面パネル1の構成要素と同じ機能を発揮する部材には同じ符号を付して説明する。
【0070】
図6に示す表面パネル201は、基材フィルム11の内表面11bに検知電極層21と配線層などが形成され、その上に内側接合層15が形成されている。基材フィルム11の外表面11aに、外側接合層14が形成され、その表面に加飾層23が形成されている。
【0071】
そして、
図4に示したのと同じ工程で外側成形体12と内側成形体13が形成される。この成型工程で、表面パネル201にパネル外面201aとパネル内面201bが形成され、さらに4つの側辺または2つの側辺にパネル湾曲部201dが形成されて、表面パネル201が立体形状になる。その結果、パネル端面201cは図示下向きにとなる。前記加飾層23は、パネル外面201aの周囲からパネル湾曲部201dに渡って設けられている。
【0072】
そして、パネル外面201a、パネル内面201b、パネル湾曲部201dならびにパネル端面201cの前面が表面保護層28で覆われる。この表面パネル201は携帯用電子機器などの筐体の表側の一部として使用される。
【0073】
なお、
図6に示すように、パネル湾曲部201dの内側に、さらに検知電極層51を設け、側部で指の接触を検知する側部センサを構成することも可能である。
【0074】
また、本発明の表面パネルは、上記実施の形態の携帯機器用のケースに使用されるものに限られず、各種電気製品を操作するリモートコントローラやその他の電子機器のケースの一部として使用することが可能である。