(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の現像剤供給部材に印加する電圧絶対値は、前記第2の現像剤供給部材に印加する電圧絶対値と同じか或いは前記第2の現像剤供給部材に印加する電圧絶対値より大きく、前記第2の現像剤供給部材に印加する電圧絶対値は、前記現像剤担持体に印加する電圧絶対値より大きいことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の現像装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、本発明による現像ユニットを備えたプリンタの要部構成を概略的に示す要部構成図である。
【0009】
図1に示すように、画像形成装置としてのプリンタ1は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色の現像ユニット2K,2C,2M,2Y(特に区別する必要がない場合には単に現像ユニット2と称す場合がある)、各色のトナーカートリッジ3K,3C,3M,3Y(特に区別する必要がない場合には単にトナーカートリッジ3と称す場合がある)、転写ユニット14、露光ユニット5K,5C,5M,5Y(特に区別する必要がない場合には単に露光ユニット5と称す場合がある)、記録媒体としての記録用紙10を収納・供給する給紙カセット6、記録用紙10にトナー像を定着させる定着ユニット7等を備える。
【0010】
現像装置としての現像ユニット2は、転写ユニット14による記録用紙10の搬送路に沿って、供給側(用紙搬送方向の上流側)から排出側(用紙搬送方向の下流側)に向かって、現像ユニット2K、現像ユニット2C、現像ユニット2M、現像ユニット2Yの順に配列され、各々がプリンタ1本体に対して着脱自在に構成されている。尚、プリンタ1の現像ユニット2のように、着脱可能な或いは可動な構成要素の個々に対して、その構成要素を除いた部分をプリンタ1本体と称す場合がある。
【0011】
トナーカートリッジ3K,3C,3M,3Y(
図14参照)は、未使用のトナー40K,40C,40M,40Y(特に区別する必要がない場合には単にトナー40と称す場合がある)を収容するトナー貯蔵部31K,31C,31M,31Y(特に区別する必要がない場合には単にトナー貯蔵部31と称す場合がある)を備えている。そして、対応する各現像ユニット2K,2C,2M,2Yの上部において各々が着脱自在に構成され、装着された状態で、未使用のトナー40を対応する現像ユニット2に供給する。尚、トナー貯蔵部31内には、図示しない攪拌供給機構を備えている。
【0012】
現像ユニット2K,2C,2M,2Yは、いずれも同じ構造であり、静電潜像担持体としての感光ドラム21K,21C,21M,21Y(特に区別する必要がない場合には単に感光ドラム21と称す場合がある)、帯電ローラ22K,22C,22M,22Y(特に区別する必要がない場合には単に帯電ローラ22と称す場合がある)、現像剤担持体としての現像ローラ23K,23C,23M,23Y(特に区別する必要がない場合には単に現像ローラ23と称す場合がある)、現像ブレード24K,24C,24M,24Y(特に区別する必要がない場合には単に現像ブレード24と称す場合がある)、第1の現像剤供給部材としての第1供給ローラ25K,25C,25M,25Y(特に区別する必要がない場合には単に第1供給ローラ25と称す場合がある)、第2の現像剤供給部材としての第2供給ローラ26K,26C,26M,26Y(特に区別する必要がない場合には単に第2供給ローラ26と称す場合がある)、クリーニングブレード27K,27C,27M,27Y(特に区別する必要がない場合には単にクリーニングブレード27と称す場合がある)、及び第1搬送部28K,28C,28M,28Y(特に区別する必要がない場合には単に第1搬送部28と称す場合がある)等を備える。
【0013】
各第1搬送部28は、後述するように、対応するクリーニングブレード27によって除去された廃棄トナーを感光ドラム21の軸方向である
図1の紙面上方(後述するY軸のプラス方向)に向けて搬送する。第2搬送部29は、各第1搬送部28より送られてきた廃棄トナーを、一括して現像ユニット2Kより用紙搬送方向の上流側に配置された廃棄トナー収容器32まで搬送する。廃棄トナー収容器32は、第2搬送部29により搬送された廃棄トナーを収容し、プリンタ1本体に対して着脱自在に設けられている。
【0014】
尚、
図1中のX、Y、Zの各軸は、記録用紙10が4つの現像ユニット2を通過する際の搬送方向にX軸をとり、各感光ドラム21の回転軸方向にY軸をとり、これら両軸と直交する方向にZ軸をとっている。また、後述する他の図においてX、Y、Zの各軸が示される場合、これらの軸方向は、共通する方向を示すものとする。即ち、各図のXYZ軸は、各図の描写部分が、
図1に示す画像形成装置1を構成する際の配置方向を示している。またここでは、Z軸が略鉛直方向となるように配置されるものとする。
【0015】
図2は、現像ユニット2の内部構成を模式的に示す概略構成図である。同図を参照しながら現像ユニット2の構成について更に説明する。
【0016】
現像ユニット2は、感光ドラム21、感光ドラム21の表面を均一に帯電させる帯電ローラ22、露光ユニット5(
図1)によって感光ドラム21の表面に形成された静電潜像にトナー40(
図1)を付着させて現像する現像ローラ23、現像ローラ23に供給されたトナー40の層厚を規制する現像ブレード24、現像ローラ23にトナー40を供給し、更に現像ローラ23上の未現像トナーを掻き取る第1と第2の供給ローラ25,26、記録用紙10(
図1)に転写されずに感光ドラム21上に残留するトナー40を除去するクリーニングブレード27、クリーニングブレード27により除去されたトナー40を廃棄トナーとして搬送する第1搬送部28とを備える。
【0017】
感光ドラム21は、導電性支持体と光導電層とによって構成され、導電性支持体としてのアルミニウム等の金属パイプに、ブロッキング層、光導電層としての電荷発生層及び電荷輸送層を順次積層した構成の有機系感光体であり、記録用紙10をX軸のプラス方向に搬送する方向(同図の矢印方向)に回転する。
【0018】
帯電ローラ22は、トナー40と同極性のバイアス電圧を印加する帯電ローラ電圧電源122(
図3)が接続されており、金属シャフトとエピクロルヒドリンゴム等の半導電性ゴム層によって構成されて感光ドラム21に所定の圧接量で当接する位置に配置され、感光ドラム21の回転により同図の矢印方向に従動回転して、印加されたバイアス電圧により感光ドラム21の表面を一様均一に帯電する。
【0019】
現像ローラ23は、トナー40と同極性、又は逆極性の何れかのバイアス電圧を印加する現像ローラ電圧電源123(
図3)が接続されており、金属シャフトと半導電性ウレタンゴム層とによって構成されて感光ドラム21に所定の圧接量で当接する位置に配置され、感光ドラム21の回転に対して逆方向(同図の矢印方向)に所定の周速比を持って回転し、印加されたバイアス電圧によって、帯電したトナー40を感光ドラム21上の静電潜像部に付着させて現像する。
【0020】
現像ブレード24は、トナー40と同極性、又は逆極性の何れかのバイアス電圧を印加する現像ローラ電圧電源123、或いは供給ローラ電圧電源124(
図3)が接続されており、現像ローラ23の長手方向の幅と略同じ幅を有する例えば厚さ0.08[mm]の金属薄板部材である。更に、一端側が固定され、他端側における、その先端部から僅かに内側の面が現像ローラ23の周面と当接するように配置され、印加されたバイアス電圧及び当接圧によって現像ローラ23の周面に形成されるトナー40を帯電し、層厚を規制する。
【0021】
第1供給ローラ25及び第2供給ローラ26は、トナー40と同極性、又は逆極性の何れかのバイアス電圧を印加する供給ローラ電圧電源124(
図3)が接続されており、共に、金属製シャフトと半導電性発泡シリコーンスポンジ層とによって構成され、各軸が現像ローラ23の軸と平行に、現像ローラ23に所定の圧接量で当接する位置に隣り合って配置され、同図に矢印で示すように、現像ローラ23の回転に対して同方向(現像ローラ23との接面に対して逆向き)に所定の周速比を持って回転して、印加されたバイアス電圧によって、トナーカートリッジ3が備えるトナー貯蔵部31から補充されたトナー40を現像ローラ23に供給する。また、現像ローラ23との当接摩擦力によりトナー40を帯電し、且つ現像ローラ23上の未現像トナーを掻きとる。
【0022】
クリーニングブレード27は、その一端が感光ドラム21に所定の圧接量で当接する位置に配置されたウレタンゴム部材である。第1搬送部28は、クリーニングブレード27により除去されたトナー40及び付着物を廃棄トナーとして、感光ドラム21の軸方向である
図2の紙面上方(Y軸のプラス方向)に向けて搬送する。
【0023】
トナー供給口35は、トナーカートリッジ3及び現像ユニット2の長手方向(Y軸方向)における略中央の領域に設けられており(
図7参照)、現像ユニット2に装着されるトナーカートリッジ3(
図1)から現像ユニット2内のトナー収容部38へ未使用のトナー40を供給する連結口で、所定の寸法をもって開口している。トナー受け部36(
図7参照)は、後述するようにトナー収容部38の壁上部で、長手方向の略中央の領域においてトナー供給口35よりも広い領域に延在して形成され、トナー供給口35から供給されたトナー40の一部を受け、トナー攪拌機構37は、スパイラル形状を施した回転部材で、トナー受け部36で受けたトナー40を攪拌しつつ両端部に搬送する。
【0024】
現像ユニット2、トナーカートリッジ3、及び廃棄トナー収容器32等は何れも交換ユニットであり、トナーが消費されたり構成部品が劣化したりして寿命がきたときにいずれも交換することができる。
【0025】
図1において、露光ユニット5K、5C、5M、5Yは、例えばLED(Light Emitting Diode)等の発光素子とレンズアレイとを備えたLEDヘッドであり、プリンタ1が入力する印刷データに基づいて対応する感光ドラム21K、21C、21M、21Yの表面にそれぞれ光を照射し、露光部分の電位を光減衰させて静電潜像を形成する。
【0026】
給紙カセット6は、内部に記録用紙10を積層した状態で収容し、プリンタ1の下部に着脱自在に装着されている。給紙カセット6の用紙繰り出し側の上部には記録用紙10を1枚ずつ捌いて用紙搬送経路8(図中に一点鎖線で示す)に繰り出すホッピングローラ等を備えた図示せぬ用紙給紙部が配設されている。用紙搬送経路8の要所には図示しない搬送ローラが配置され、記録用紙10を順次下流側に搬送する。
【0027】
転写ユニット14は、記録用紙10を静電吸着して下流側に搬送する転写ベルト9、図示せぬ駆動部により矢印方向に回転されて転写ベルト9を駆動するドライブローラ11、ドライブローラと対を成して転写ベルト9を張架するテンションローラ12、及び感光ドラム21K、21C、21M、21Yにそれぞれ転写ベルト9を介して対向圧接するように配置され矢印方向に回転し、トナー像を記録用紙10に転写する転写ローラ4K、4C、4M、4Y(特に区別する必要がない場合には単に転写ローラ4と称す場合がある)を備える。
【0028】
各転写ローラ4には、トナー40と逆極性のバイアス電圧を印加する転写ローラ電圧電源114(
図3)が接続されており、印加されたバイアス電圧により、それぞれ対応する感光ドラム21に形成されたトナー像を順次重ねて記録用紙10に転写する。
【0029】
定着ユニット7は、用紙搬送経路8において現像ユニット2の下流側に配設され、加熱ローラ7a、加圧ローラ7b、図示せぬサーミスタ及び加熱ヒータを備える。加熱ローラ7aは、例えばアルミニウム等からなる中空円筒状の芯金にシリコーンゴムの耐熱弾性層を被覆し、その上にPFA(テトラフルオロエチレン‐パーフルオロルアルキルビニルエーテル共重合体)チューブを被覆する事によって形成されている。そして、その芯金内には例えば、ハロゲンランプ等の加熱ヒータが設けられている。加圧ローラ7bは、例えばアルミニウム等からなる芯金にシリコーンゴムの耐熱弾性層を被覆し、その上にPFAチューブを被覆した構成であり、加熱ローラ7aとの間に圧接部が形成されるように配設されている。サーミスタは、加熱ローラ7aの表面温度検出手段であり、加熱ローラ7aの近傍に非接触で配設される。
【0030】
加熱ローラ7aは、サーミスタが検出したその表面温度に基づいて温度制御される加熱ヒータによってその表面温度が所定の温度となるように維持され、トナー像が転写された記録用紙10が、温度管理された加熱ローラ7aと加圧ローラ7bとによって形成される圧接部を通過することにより加えられる熱及び圧力によって、記録用紙10上のトナー像が定着する。
【0031】
図3は、プリンタ1の制御系のうち、本発明とかかわる部分の要部構成を示すブロック図である。以下、
図1、
図2を参照しながらこの制御系について説明する。
【0032】
同図において、制御部101は、図示しないマイクロプロセッサ、ROM、RAM、入出力ポート、タイマ等によって構成され、図示しない上位装置から印刷データ及び制御コマンドを受信して画像形成装置全体をシーケンス制御し、印刷動作を行う。
【0033】
帯電ローラ電源制御部102は、制御部101の指示により、帯電ローラ22に直流バイアス電圧を印加して感光ドラム21(
図2)の表面を帯電させるための印加電圧制御を行う。尚、帯電ローラ電源制御部102は、各色の画像形成ユニット毎に個別に制御を行うため、(K)帯電ローラ電源制御部、(C)帯電ローラ電源制御部、(M)帯電ローラ電源制御部、及び(Y)帯電ローラ電源制御部を有するものであるが、ここでは、特に区別して説明する必要がないのでまとめて説明する。
【0034】
露光ユニット制御部115は、制御部101の指示により、印刷データに従って、帯電された感光ドラム21(
図2)表面に、露光ユニット5(
図1)により光を照射して露光し、静電潜像を生成するための制御を行う。尚、露光ユニット制御部115は、各色のLEDヘッド毎に個別に制御を行うため、(K)露光ユニット制御部、(C)露光ユニット制御部、(M)露光ユニット制御部、及び(Y)露光ユニット制御部を有するものであるが、ここでは、特に区別して説明する必要がないのでまとめて説明する。
【0035】
現像ローラ電源制御部103は、制御部101の指示により、感光ドラム21(
図1)の表面に露光ユニット5により生成された静電潜像にトナーを付着させるため、現像ローラ23に対し直流バイアス電圧を印加するための印加電圧制御を行う。尚、現像ローラ電源制御部103は、各色の画像形成ユニット毎に個別に制御を行うため、(K)現像ローラ電源制御部、(C)現像ローラ電源制御部、(M)現像ローラ電源制御部、及び(Y)現像ローラ電源制御部を有するものであるが、ここでは、特に区別して説明する必要がないのでまとめて説明する。
【0036】
供給ローラ電源制御部104は、制御部101の指示により、現像ローラ23(
図2)にトナーを供給するため、第1供給ローラ25及び第2供給ローラ26に対し直流バイアス電圧を印加するための印加電圧制御を行う。尚、供給ローラ電源制御部104は、各色の画像形成ユニット毎に個別に制御を行うため、(K)供給ローラ電源制御部、(C)供給ローラ電源制御部、(M)供給ローラ電源制御部、及び(Y)供給ローラ電源制御部を有するものであるが、ここでは、特に区別して説明する必要がないのでまとめて説明する。
【0037】
転写ローラ電源制御部105は、制御部101の指示により、感光ドラム21の表面に生成されたトナー現像を順次重ねて記録用紙10に転写するため、転写ローラ4(
図1)に対し直流バイアス電圧を印加するための印加電圧制御を行う。尚、転写ローラ電源制御部105は、各色の転写ローラ色毎に個別に制御を行うため、(K)転写ローラ電源制御部、(C)転写ローラ電源制御部、(M)転写ローラ電源制御部、及び(Y)転写ローラ電源制御部を有するものであるが、ここでは、特に区別して説明する必要がないのでまとめて説明する。
【0038】
帯電ローラ電圧電源122は、帯電ローラ電源制御部102の印加電圧制御により帯電ローラ22に直流バイアス電圧を印加し、現像ローラ電圧電源123は、現像ローラ電源制御部103の印加電圧制御により現像ローラ23に直流バイアス電圧を印加し、供給ローラ電圧電源124は、供給ローラ電源制御部104の印加電圧制御により第1供給ローラ25及び第2供給ローラ26に直流バイアス電圧を印加し、転写ローラ電圧電源114は、転写ローラ電源制御部105の印加電圧制御により転写ローラ4に直流バイアス電圧を印加する。
【0039】
ここで、プリンタ1の印刷動作の概略について、
図1、
図2を参照しながら説明する。
【0040】
印刷が起動されると、プリンタ1は、図示しない用紙給紙部によって、給紙カセット6から記録用紙10を用紙搬送経路8に繰り出し、更に転写ユニット14の転写ベルト9によって下流側に搬送する。この搬送過程で、現像ユニット2K,2C,2M,2Yによって個々に形成したトナー画像を、転写ローラ4K,4C,4M,4Yにより記録用紙10の記録面上に順次重ねて転写し、更に定着ユニット7によって記録面上に転写されたトナー画像の定着を行った後、印刷済みの記録用紙10をプリンタ1外に排出する。
【0041】
この時現像ユニット2では、感光ドラム21の表面を帯電ローラ22によって均一に帯電し、露光ユニット5によって印刷データに基づいて露光した露光部に静電潜像を形成すると共に、トナーカートリッジ3から供給したトナー40を第1及び第2のトナー供給ローラ25,26により現像ローラ23に供給し、現像ローラ23に供給したトナー40を現像ブレード24により均一な厚さに均す。
【0042】
そして、感光ドラム21上に形成された静電潜像を、現像ローラ23に形成された均一化されたトナー40によって顕像化、即ち現像する。現像されたトナー40は、転写ローラ4によって記録用紙10に電気的に転写される。記録用紙10上に転写されず、感光ドラム21の表面に残った残留トナー40は、クリーニングブレード27により掻き取られ、最終的に廃棄トナー収容器32内に収容される。
【0043】
現像ユニット2の構成について更に説明する。
図4は、第1供給ローラ25と第2供給ローラ26の構成図であり、四角形吹き出し部は指示位置近傍の部分拡大図である。
【0044】
第1供給ローラ25は、芯金(シャフト)25aの周囲に導電性発泡層25bを備えており、導電性発泡層25bには無数のセル25cが存在する。
【0045】
導電性発泡層25bのゴム材料としては、シリコーンゴム或いはシリコーン変性ゴム、天然ゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、EPDM、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ポリエーテルゴム等のゴム材料、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリブタジエンブロック重合体、ポリオレフィン、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のエラストマーなどが挙げられ、これら一種又は二種以上の混合ゴム又は変性ゴムを用いることが可能である。また、上記ゴム材料は、ミラブルタイプ又は液状タイプの材料を任意に選択することが可能であり、特にはミラブルタイプの材料が好ましい。
【0046】
シャフト25aは、所定の剛性を有すると共に十分な導電性を有する金属であればよく、例えば鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等が用いられる。また、金属以外の材料でも導電性と適度な剛性を有する材料であれば用いる事が出来、例えば導電性粒子を分散した樹脂成型品や、セラミックス等を使用する事も可能である。さらにロール形状のほか、空中のパイプ形状としても良い。また、シャフト25aの両端には、ギア装着段差を設けたり、ピン穴が存在する形状としたり、同図に示すようにシャフト25aの先端軸受け部が導電性発泡層を有する部分より径が細くなっている場合もある。第2供給ローラ26においても同様に、芯金26a、導電性発泡層26b、及びセル(図示せず)が形成さている。
【0047】
第1供給ローラ25の製造方法としては、上記したゴム材料に補強性充填剤、加硫硬化に必要な加硫剤及び発泡剤、導電性付与剤を添加し、加圧ニーダーやミキシングロール等により十分に混錬した後、シャフト25a上に、未加硫の状態でゴムパウンドを押しだし等の方法で形成し、加熱による加硫発泡を行うのが一般的である。また、予めゴムパウンドをチューブ状に押し出すとともに加熱して加硫発泡させ、スポンジゴムチューブを成形し、これをシャフト25aに被せて第1供給ローラ25を形成することも可能である。この時、必要に応じてシャフト25aと導電性発泡層25bとの間を接着剤で固定しても良い。その後、成形された第1供給ローラ25は、所定の外径に切削加工されている。第2供給ローラ26における芯金26a及び導電性発泡層26bにおいても、同様の方法で製造される。
【0048】
図2に示すように、現像ローラ23の回転方向の下流側に配置される第1供給ローラ25は、
図4に示すように、回転軸方向(Y軸方向)における中央部の外径D12が両端部の外径D11,D13より小さい逆クラウン形状に形成され、同じく現像ローラ23の回転方向の上流側に配置される第2供給ローラ26は、
図4に示すように、回転軸方向における中央部の外径D22が両端部の外径D21,D23と同じか、或いはより大きい正クラウン形状に形成されている。従って、一般的な研磨方法で形成される導電性発泡層25b,26bの外周面の輪郭は、
図4に示すような湾曲線や直線となるが、段階的に研磨しても構わない。
【0049】
尚、各外径D11,D12,D13の測定位置は、
図4に示すように、導電性発泡層25bの一方の端部から距離W1(5.0mm),W2(110.0mm),W3(215.0mm)の位置であり、各外径D21,D22,D23の測定位置は、同じく、導電性発泡層26bの一方の端部から距離W1(5.0mm),W2(110.0mm),W3(215.0mm)の位置である。但し、導電性発泡層25b,2bの幅Wはここでは220mmである。
【0050】
従って、第1供給ローラ25と現像ローラ23の当接ニップ量N1は、中央部の中央部ニップ量N12が端部NIP量N11、N13より小さく、第2供給ローラ26と現像ローラ23の当接ニップ量N2は、中央部の中央部ニップ量N22が端部ニップ量N21、N23と同じかより大きくなる。
【0051】
図5は、ここでいうニップ量N1,N2の説明に供する図である。同図に示すように、ここでいうニップ量N1とは、現像ローラ23と第1供給ローラ25とが互いに接する位置から圧接する位置まで互いに接近する方向に押し込んだときの押し込み量であり、同じくニップ量N2とは、現像ローラ23と第2供給ローラ26とが互いに接する位置から圧接する位置まで互いに接近する方向に押し込んだときの押し込み量である。実際には、この押し込みによって現像ローラ23と第1供給ローラ25、現像ローラ23と第2供給ローラ26とが互いに面接触することになるが、以後この面接触部をニップ部と称す場合がある。
【0052】
ここで、印刷時に発生する縦スジを抑制するため、第1供給ローラ25の各外径D11,D12,D13、及び第2供給ローラ26の各外径D21,D22,D23を適切に設定するために行なった印刷試験1について以下に説明する。
【0053】
印刷試験1は、第1供給ローラ25の外径D12、及び第2供給ローラの外径D22の異なる複数の供給ローラを試験試料として用意し、以下の試験条件で行なった。
(1)第1供給ローラ25及び第2供給ローラ26には、シリコーンゴムパウンドをベースとして発泡させた物を用いた。
(2)導電性発泡層25bのセル25cは、各々が個々に独立した独泡であり、硬さがAskerF硬度計で45〜65°の範囲とするが、本試験では58°のものを用いた。導電性発泡層26bも同様である。
(3)セル25cの大きさは、一般的には100μm〜1000μmであるが、本試験では導電性発泡層25bの表面で200〜400μmである。導電性発泡層26bも同様である。
(4)第1供給ローラ25の抵抗値は、幅2.0mm、直径6.0mmのSUS材ボールベアリングを20gfの力で接触させ、供給ローラ25を回転させながら芯金(シャフト)25aから300Vを印加した時、0.1MΩ〜100MΩになる様に調整した物が良好であるが、本試験では1MΩの抵抗値とした。第2供給ローラ26も同様である。
(5)導電性発泡層25bの幅Wは220.0mmであり、第1供給ローラ25の各外径D11,D12,D13の測定位置は、
図4で説明した通りであり、ニップ量N11,N12,N13も、
図4で説明した各測定位置での、現像ローラ23との当接ニップ量である。第2供給ローラ26も同様である。
(6)評価用の試験機として、プリンタ1と同様の要部構成を有するものを使用した。
(7)寿命72000ドラムカウント仕様の現像ユニット2を用いて連続耐久印刷を行う。ドラムカウントは、感光ドラム21が1回転で1カウントアップするよう定めている。
(8)現像ローラ23への印加バイアス電圧Vd=−250V、第1供給ローラ25への印加バイアス電圧Vs1=−300V、第2供給ローラ26への印加バイアス電圧Vs2=−300Vとした。
(9)評価用媒体にはXEROX製、Xerox 4200 LT 201b New92を用い、印刷可能領域に対して1.25%印字のパターンを1ページ毎の間欠印刷でドラムカウント72000まで印刷した。その画像結果について、縦スジの発生状態を目視及び顕微鏡にて観察し、それぞれ◎、○、×で評価した。
【0054】
表1は、上記印刷試験1の結果を表すもので、同表中の試験結果の判定では、
◎・・・画像上に縦スジの発生が無い場合、
○・・・画像上に縦スジが発生するものの、目視レベルでは問題とならない場合、
×・・・画像上問題がある場合、
とした。
【0056】
同表に示すように、試験(1)〜(4)は、第2供給ローラ26(上流側)の各外径D21,D22,D23、及び第1供給ローラ25(下流側)の各外径D11,D13を14.0mmとし、第1供給ローラ25(下流側)の外径D12のみを14.2mm〜13.6mmまで、0.2mmずつ4段階に小さく形成した供給ローラ(下流側)を用いて行なった。
【0057】
ここで、評価結果が×となった、試験(2)(D12=14.0mm)と評価結果が
○となった試験(4)(D12=13.6mm)の場合を例にして、縦スジが発生する要因について考察する。
【0058】
縦スジは、連続耐久印刷を行うことでトナー40が熱や圧力により凝集し、凝集したトナー40が、現像ローラ23と現像ブレード24との圧接部に詰まり、その部分でトナー40が感光ドラム21に付着されない為発生する。
図6は、試験(2)(D12=14.0mm)において縦スジが発生する過程の説明に供する図である。同図を参照しながら、試験(2)における縦スジ発生の過程について以下に説明する。
【0059】
図6は、現像ユニット2のトナー収容部38全体のトナー40の流れを示し、ここでは、一般的な現像プロセスで行われるトナー40の帯電、供給、掻き取り等は常に行っているものとする。トナー供給口35から補充されたトナー40は、矢印で示す経路aを経由して垂直方向下に補充される。垂直方向下に補充されたトナー40の約半量が、トナー受け部36上にあるトナー攪拌機構37によって、矢印で示す経路bを経由してトナー収容部38の長手方向(Y軸方向)両端部へ移動する。
【0060】
その後、各部に分散されて第1供給ローラ25及び第2供給ローラ26に至ったトナー40は、第1供給ローラ25及び第2供給ローラ26の回転に伴って、それぞれ分散された領域での矢印で示す経路cでの旋回移動を繰り返し、各領域での現像によって消費される。連続耐久印刷を行うと、トナー40は、上記の流れでトナー収容部38内を移動するが、徐々に両端部38a,38b(図中の点線円部)に溜まり出し、最終的には凝集して両端部から縦スジが発生する。
【0061】
トナー40の流れは両端部へ集約しやすく、トナー収容部38の両端は壁で仕切られているため両端部においてトナー40へかかる圧力が増加する。また一般的に画像形成されるパターンが中央部に多いため、現像によるトナー消費は、中央部が多く、媒体両端余白部に対応する両端部38a,38bではごくわずかしか消費されない。従って、両端部38a,38bではトナー40へのストレスが大きくなり、ここでトナー40が凝集する要因となる。この試験では、縦スジが発生した箇所のドラムカウント72000時のトナー40の凝集度は60%を超えて初期状態から3割以上増加し、後述するように縦スジが発生して画像上問題となるレベルに達している。
【0062】
図7は、評価結果が○となった試験(4)(D12=13.6mm)における、現像ユニット2のトナー収容部38全体のトナー40の流れを示す。ここでは、一般的な現像プロセスで行われるトナー40の帯電、供給、掻き取り等は常に行っているものとする。
【0063】
トナー40の移動経路a,b,cに関しては、試験(2)について説明した
図6の場合と同様に生じるが、試験(4)における、外径D12を13.6mmとした第1の供給ローラ25を用いることによって、新たにトナー収容部38内にトナー40の移動経路dで示すような全体的に流動するトナーの動きが発生する。
【0064】
即ち、粉体は圧力の弱い方へ移動する為、第1供給ローラ25(下流側)近傍では、ニップ量の大きい軸方向両端部から中央部へ移動し、これに伴って、第2供給ローラ26(上流側)近傍では、軸方中央部から両端部へ移動するトナー40の流れ(経路d)が生じる。その結果、両端部38a,38bに留まるトナー40が減少し、縦スジ発生までの寿命を延ばすことが可能となる。
【0065】
この試験では、ドラムカウント72000時のトナー40凝集度は54%程度であり、初期状態より2割程増加しているが、後述するように画像上問題となるレベルには達していない。
【0066】
図8は、ドラムカウントと、トナー凝集度及び縦スジの一般的な関係を示すグラフである。同グラフにおいて、縦軸は、縦スジの発生がないレベル10からその発生量に応じて数値が低下する縦スジレベル及び凝集度を示し、横軸はドラムカウントを、パーセント表示(100%=72000カウント)で示している。
【0067】
同グラフに示すように、トナー収容部38内のトナー40は、印刷動作を繰り返すことにより凝集度が増加する。
図8の例では、トナー40の初期状態の凝集度は45%であるが、ドラムカウントが進み、凝集度が50%前後となると縦スジの予兆が現れ、凝集度が57%を超えると画像上問題となる縦スジが発生する。従って、前記した表1の試験結果の判定では、凝集度50%未満を画像上に縦スジの発生がない◎の領域とし、50%以上57%未満を画像上に縦スジが発生するものの目視レベルでは問題ないレベルの○の領域とし、凝集度57%以上を画像上問題となる縦スジが発生する×の領域として判定した。尚、これらの判定は、現像ユニット2寿命72000ドラムカウント時の結果である。
【0068】
表1の試験結果について以下に説明する。
尚、試験の説明では、便宜上、試料として採用した全ての下側供給ローラを第1供給ローラ25(下流側)とし、試料として採用した全ての上側供給ローラを第2供給ローラ26(下流側)として説明したが、本発明の第1供給ローラ25及び第2供給ローラ26に相当するのは、スジ判定がO或いは◎となった組み合わせの下側供給ローラ及び上側供給ローラである。
【0069】
・試験(2)の結果について
第1供給ローラ25(下流側)の各外径D11,D12,D13と、第2供給ローラ26(上流側)の各外径D21,D22,D23が同一(14.0mm)であり、このため現像ローラ23との当接ニップ量N11,N12,N13,N21,N22,N23も全て同一(0.5mm)とした。この場合、前記したように、ドラムカウント72000では画像上問題となる縦スジが発生する。
・試験(1)の結果について
試験(2)の設定に対して、第1供給ローラ25(下流側)の外径D12を14.2mmとし、そのニップ量N12を0.6mmとした。この場合、ドラムカウント72000では画像上問題となる縦スジが発生しており、試験(2)より早いカウント数で縦スジが発生した。これは第1供給ローラ25(下流側)の中央部の外径D12及びニップ量N12が増加したことで、両端部38a,38b(
図6)に、よりトナー40が集約されたためと考えられる。
・試験(3)の結果について
試験(2)の設定に対して、第1供給ローラ25(下流側)の外径D12を13.8mmとし、そのニップ量N12を0.4mmとした。この場合、ドラムカウント72000で画像上問題となりえる縦スジまでは発生しなかった。しかしながら凝集度は56%まで上昇しており連続耐久印刷におけるマージンは小さい。
・試験(4)の結果について
試験(3)の設定に対して、第1供給ローラ25(下流側)の外径D12を更に0.2mm小さくして13.6mmとし、そのニップ量N12を0.3mmとした。この場合、試験(3)と同様に画像上問題となる縦スジは発生しなかった。更に凝集度も54%となり、試験(3)より連続耐久印刷におけるマージンも少し向上した。
【0070】
第1供給ローラ25(下流側)の中央部外径D12を13.6mmより小さく、ニップ量N12を0.3mmより小さくすると画像上問題となる縦スジは発生しなくなるが、今度は画像上問題となる汚れが発生しやすくなり、0.2mm以下になると汚れが発生してしまう。第1供給ローラ25及び第2供給ローラ26は、現像ローラ23と逆目方向(現像ローラ23との接面に対して逆向き)に当接回転することでトナー40を現像ローラ23上へ供給し、トナー40を摩擦帯電し、更に現像ローラ23上の余剰トナー40を掻き取るという3つの基本特性をもっているが、現像ローラ23との当接ニップ量が0.3mm未満になると現像ローラ23上の余剰トナー40を掻き落としにくくなり、0.2mm以下になると掻き落とす事が出来なくなる。このため、余剰分がそのまま感光ドラム21上へ付着して画像上汚れとなる。従って、第1供給ローラ25(下流側)は試験(4)で採用した形状が最も適切な形状と考えられる。
【0071】
同表に示すように、試験(13)〜試験(16)は、試験(4)で採用した第1供給ローラ25(下流側)(外径D11=14.0mm、外径D12=13.6mm、外径D13=14.0mm)を用い、第2供給ローラ26(上流側)の中央部外径D22のみを14.2mm〜14.8mmまで、0.2mmずつ4段階に大きく形成した供給ローラ(上流側)を用いて行なった。第2供給ローラ26(上流側)の外径D21、D23は、何れも14.0mmである。
【0072】
・試験(13)の結果について
試験(4)の設定に対して、第2供給ローラ26(上流側)の外径D22を14.2mmとし、そのニップ量N22を0.6mmとした。この場合、ドラムカウント72000時において画像上問題となる縦スジは発生せず良好な印字を得られた。
・試験(14)〜試験(16)の結果について
更に第2供給ローラ26(上流側)の外径D22、ニップ量N22を増やした結果、何れにおいても画像上問題となる縦スジは発生しなかった。しかしながら試験(15)及び試験(16)では、中央部ニップ量N22が、他のニップ量N21及びN23より5割以上増しており、大きくなる現像ユニット2の駆動負荷トルクに注意が必要となる。従って、一般的には負荷バランスのとれた試験(13)及び試験(14)の構成とする事が望ましい。
【0073】
以上の結果より、第1供給ローラ25(下流側)は、ニップ量において、中央部が端部より小さくなる形状がよい。縦スジの発生を考慮すると、端部ニップ量N11,N13と中央部ニップ量N12との差(NIP差)を0.1mm以上とするのが好ましい。またこのときの端部の外径D11,D13と中央部外径との径差は、0.2mm以上とするのが好ましい。また、NIP差及び径差を大きくすると縦スジは低減されるものの、端部ニップ量N11,N13と中央部ニップ量N12との差が0.3mmよりも大きくなると汚れが生じやすくなる。また、このときの端部の外径D11,D13と中央部外径D12との径差は、0.6mm以下とするのが好ましい。
【0074】
また、第2供給ローラ26(上流側)は、ニップ量において、中央部が端部と同等か大きくなる形状がよい。ここで、同等とは、端部のニップ量N21,N23に対して中央部のニップ量N22が90%〜110%の範囲にあることをいい、端部の外径D21,D23に対して中央部の外径D22が90%から110%の範囲にあることをいう。また、過大な、駆動トルク負荷の発生の低減を考慮すると、端部ニップ量N21,N23と中央部ニップ量N22との差(NIP差)を0.0mm以上0.5mm以下とするのが好ましい。NIP差が0.5mmを超えると過大な負荷が発生しやすくなるからである。また、NIP差は0.1mm以上0.4mm以下とするのがより好ましい。また、このときの端部の外径D21,D23と中央部外径D22との径差は0.0mm以上1.0mm以下とするのが好ましい。径差が1.0mmを超えると過大な負荷が発生しやすくなるからである。また、径差は0.2mm以上0.8mm以下とするのがより好ましい。
【0075】
且つ、第1供給ローラ25(下流側)と第2供給ローラ26(上流側)の外径差及びニップ差の関係は、第1供給ローラ25(下流側)の外径差絶対値及びニップ差絶対値が、第2供給ローラ26(上流側)より大きい方が効果的であり、ここでは、外径差絶対値が0.2mm、NIP差絶対値が0.1mmの場合が最も良好な関係となる。
【0076】
尚、供給ローラの外径及びニップ量は、使用する現像ユニット2のサイズ、寿命、速度、構成、及び現像ユニット2内の各種材料により異なるので、具体的な数値は、前述のように試験によって適宜求めるのが好ましい。
【0077】
また、本実施の形態では、第1供給ローラ25を逆クラウン形状、第2供給ローラ26を正クラウン形状としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1供給ローラ25を正クラウン形状、第2供給ローラ26を逆クラウン形状とすることも可能である。
更に、本実施の形態では、第1供給ローラ25と第2供給ローラ26とが、共に現像ローラ23と所定のニップ量を形成するように配置したが、本発明はこれに限定されるものではなく、トナー収容部38内に、
図7にトナー40の移動経路dで示すような全体的に流動するトナーの動きが発生する範囲で、第1供給ローラ25及び/又は第2供給ローラ26を現像ローラ23から離間することも可能であるなど、種々の態様を取りえるものである。
【0078】
以上のように、第1供給ローラ25(下流側)の中央部外径D12及びニップ量N12を端部より小さくし、第2供給ローラ26(上流側)の中央部外径D22及びニップ量N22を端部と同等かより大きくし、且つ第1供給ローラ25(下流側)の外径差絶対値及びニップ差絶対値が上第2供給ローラ26(上流側)より大きくした、本実施の形態の現像ユニットによれば、これを採用する画像形成装置において、長期にわたり縦スジ発生のない良好な印刷画像を得る事が出来る。
【0079】
実施の形態2.
印刷時に発生する縦スジを抑制するため、現像ローラ電圧電源123(
図3)により現像ローラ23へ印加する直流の現像バイアス電圧Vd、供給ローラ電圧電源124により、第1供給ローラ25(下流側)へ印加する直流の第1供給バイアス電圧Vs1及び第2供給ローラ26(上流側)へ印加する直流の第2供給バイアス電圧Vs2を、より効果的に設定するために行なった印刷試験2について以下に説明する。
【0080】
現像バイアス電圧Vd、第1供給バイアス電圧Vs1及び第2供給バイアス電圧Vs2を種々設定して行なった印刷試験2の結果を表2に示す。尚、印刷試験2の試験条件は、実施の形態1で説明した印刷試験1の試験条件と同じなので、ここでの説明は省略する。
尚、印刷試験2で採用した第1供給ローラ25(下流側)及び第2供給ローラ(上流側)26は、印刷試験1で最良の結果を得た試験(13)で組み合わせた仕様のものである。
【0083】
・試験(21)の結果について
ここでの印加バイアス電圧は、印刷試験1でも採用した、現像バイアス電圧Vd=−250V、第2供給バイアス電圧Vs2(上流側)=−300V、第1供給バイアス電圧Vs1(下流側)=−300Vであり、この時、連続耐久印刷で画像上問題となる縦スジが発生したドラムカウントは80000だった。
・試験(22)の結果について
試験(21)の設定に対して、第2供給バイアス電圧(上流側)を絶対値で25V小さくしてVs2=−275Vとした。この時の縦スジ発生時のドラムカウントは、1000カウント向上して81000だった。
・試験(23)の結果について
試験(22)の設定に対して、第2供給バイアス電圧(上流側)を絶対値で更に25V小さくしてVs2=−250Vとしたが、この時の縦スジ発生時のドラムカウントは、試験(22)と変わらずに81000だった。
・試験(24)の結果について
試験(21)の設定に対して、第1供給バイアス電圧(下流側)を絶対値で25V大きくしてVs1=−325Vとした。この時の縦スジ発生時のドラムカウントは、3000カウント向上して83000だった。上流下流のバイアス電圧差が同等でも下流側バイアス電圧を絶対値で大きくした方が縦スジ発生までの寿命がのびる結果となる。これは、第1供給ローラ25(下流側)のバイアス電圧絶対値を大きくする事で、現像ローラ23とのバイアス差も大きくなり、第1供給ローラ25(下流側)から現像ローラ23へ供給するトナー40の送量が多くなる為、トナー収容部38の端部38a,38b(
図7)でのトナー40の動きが更に活性化する為である。
・試験(25)及び試験(26)の結果について
試験(24)の設定に対して、第1供給バイアス電圧(下流側)Vs1を絶対値で25Vずつ大きくしていくと、縦スジ発生までのドラムガウントは88000までのびる結果となり、試験(21)のときより、最大8000ドラムカウントも寿命が延びた。
【0084】
以上のように、第1供給ローラ25(下流側)に印加する第1供給バイアス電圧Vs1の絶対値が、第2供給ローラ26(上流側)に印加する第2供給バイアス電圧Vs2の絶対値より大きい方が良い結果が得られた。従って、現像ローラ23に印加する現像バイアス電圧Vdを含めたバイアス電圧絶対値の関係は、
|Vs1(下流側)|≧|Vs2(上流側)|>|現像バイアス電圧Vd|
とするのが望ましい。
【0085】
尚、印加するバイアスは、使用する現像ユニット2のプロセス方式、サイズ、寿命、速度、構成、及び現像ユニット2内の各種材料により異なるので、具体的な数値は、前述のように試験によって適宜求めるのが好ましい。
【0086】
以上のように、第1供給ローラ25(下流側)に印加する第1供給バイアス電圧Vs1、第2供給ローラ26(上流側)に印加する第2供給バイアス電圧Vs2、及び現像ローラ23に印加する現像バイアス電圧Vdの絶対値の関係を
Vs1(下流側)≧Vs2(上流側)>現像バイアス電圧Vd
とする本実施の形態の現像ユニットによれば、これを採用する画像形成装置において、長期にわたり縦スジが発生しない良好な印刷画像を得る事が出来る。