(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5917443
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】無人搬送車
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20060101AFI20160422BHJP
【FI】
G05D1/02 A
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-120362(P2013-120362)
(22)【出願日】2013年6月7日
(65)【公開番号】特開2014-238685(P2014-238685A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2015年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】597154483
【氏名又は名称】濱口 栄男
(74)【代理人】
【識別番号】100157107
【弁理士】
【氏名又は名称】岡 健司
(72)【発明者】
【氏名】浜口 栄男
(72)【発明者】
【氏名】矢永 三四郎
(72)【発明者】
【氏名】三原 滋朗
【審査官】
木原 裕二
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−249736(JP,A)
【文献】
実開昭63−164010(JP,U)
【文献】
特公昭57−016001(JP,B1)
【文献】
特公昭55−050830(JP,B1)
【文献】
特表2009−525553(JP,A)
【文献】
特開昭60−211511(JP,A)
【文献】
実開昭63−188706(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 − 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回転体を備えた全方向移動車輪と、
床面に敷設された誘導帯を検知するための誘導帯検知手段と、
制御手段を備え、
前記誘導帯検知手段は、
3つの誘導帯検知センサを等間隔に配置したものを一組とするセンサ群をn組(nは2以上の整数)備え、
前記3つの誘導帯検知センサのうち、中央に位置する誘導帯検知センサは常に前記誘導帯を検知するものであり、
前記3つの誘導帯検知センサのうち、両端に位置する誘導帯検知センサは通常は前記誘導帯を検知しないものであり、
前記制御手段は、
前記両端の誘導帯検知センサが前記誘導帯を検知した場合に、走行経路を外れつつあると判断して、前記誘導帯を前記両端の誘導帯検知センサの間に位置するように前記全方向移動車輪の移動方向および駆動力を制御するものであることを特徴とする無人搬送車。
【請求項2】
前記センサ群が、
5〜60mmの間隔で配置されていることを特徴とする請求項1に記載の無人搬送車。
【請求項3】
前記誘導帯検知センサが、
5〜20mmの間隔で配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の無人搬送車。
【請求項4】
前記センサ群を、
無人搬送車の前後および/または左右に設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の無人搬送車。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の無人搬送車をn種類(nは2以上の整数)用い、
第1の無人搬送車には前記センサ群のうちの第1のセンサ群を用いて前記誘導帯を検知させ、
第n(nは2以上の整数)の無人搬送車には前記センサ群のうちの第n(nは2以上の整数)のセンサ群を用いて前記誘導帯を検知させることによって、
無人搬送車に複数の走行経路を走行させ、全方向移動車輪の回転体による床面の摩耗を低減することを特徴とする無人搬送車の制御方法。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の無人搬送車を4種類用い、
第1の無人搬送車には前記センサ群のうちの第1のセンサ群を用いて前記誘導帯を検知させ、
第2の無人搬送車には前記センサ群のうちの第2のセンサ群を用いて前記誘導帯を検知させ、
第3の無人搬送車には前記センサ群のうちの第3のセンサ群を用いて前記誘導帯を検知させ、
第4の無人搬送車には前記センサ群のうちの第4のセンサ群を用いて前記誘導帯を検知させることによって、
無人搬送車に複数の走行経路を走行させ、全方向移動車輪の回転体による床面の摩耗を低減することを特徴とする無人搬送車の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無人搬送車に係り、さらに詳しくは全方向移動車輪と、誘導帯を検知するため誘導帯検知センサを2つ以上等間隔に配置したものを一組とするセンサ群をn組(nは2以上の整数)備えた誘導帯検知手段とを備えることによって、床面との摩擦力が大きい全方向移動車輪を用いた場合においても床面の磨耗(特に誘導体の磨耗)を低減することができる無人搬送車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工場や倉庫等で部品・半製品・製品等を搬送する無人搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)は広く知られており、各種の技術が開発されている。
その中でもオムニホイールやメカナムホイールといった全方向移動車輪を車輪に用いることで不特定の方向に容易に移動することができる無人搬送車が開示されている(特許文献1、2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−265211号公報
【特許文献2】特開2011−216007号公報
【特許文献3】特公昭57−16001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、このような全方向移動車輪は、オムニホイールを例に取れば特許文献1の[
図2]に記載されているような回転体(オムニ車輪21)が複数設けられた構造に、メカナムホイールを例に取れば特許文献3の[
図1]、[
図2]に記載されているような回転体(ローラ9)が複数設けられた構造になっており、かかる回転体が自転しながら車軸を中心に公転する構造となっている。
そして、このような全方向移動車輪を用いた無人搬送車は、
図5に示す通り、各車輪を異なった方向や速度で回転させることで各車輪に異なる移動方向および駆動力(ベクトル)を発生させ、全車輪の移動方向および駆動力の和(ベクトルの和)によって、車体の向きを変えずに真横や斜め方向など所望する方向に車体を移動させる構造となっている。
よって、回転体と床面との摩擦力はタイヤ等の通常の車輪を用いたものよりも大きくなることとなる。
【0005】
また、一般的に無人搬送車は、走行させたい経路に沿って床面に敷設または埋設した磁気テープなどの誘導帯を無人搬送車に設けた誘導帯検知センサが検知しながら走行することで常に同一の経路を走行させる機構となっている。
【0006】
従って、全方向移動車輪を用いた無人搬送車において上記した従来の無人搬送車と同じような走行機構(常に同一の経路を走行させる機構)を採用してしまうと、全方向移動車輪の回転体と床面との摩擦力が大きいために、通常の車輪を用いた無人搬送車に比べて全方向移動車輪が通過する床面部分が磨耗しやすくなってしまうという問題がある。特に、無人搬送車は通常、工場や倉庫内で複数台を同時に稼動させることが一般的であることから、全方向移動車輪を用いた無人搬送車においては床面がより磨耗しやすくなってしまうことになる。
【0007】
また、無人搬送車は一般的に前後方向への移動が多いことから、全方向移動車輪を用いた無人搬送車を用いると前後方向の車輪通過部分の床面が磨耗しやすくなってしまうという問題がある。
【0008】
さらに、全方向移動車輪を用いた無人搬送車は、前後方向の移動から車体の向きを変えずに真横や斜め方向などへ車体を移動させることを特徴とするものであることから、常に同一の経路を走行させることによって全方向移動車輪が通過する床面部分が磨耗してしまうと、全方向移動車輪の特徴を生かしたスムースな方向移動ができなくなってしまうという問題がある。
具体的には、前後方向の走行経路から離脱して、真横や斜め方向など全く別の走行経路に移動するような走行をするような場合には、前後方向の走行経路の床面部分が磨耗してしまっていわゆる轍ができてしまうと、無人搬送車はかかる轍を乗り越えて別の走行経路に移動しなければならないことになり、スムースな方向移動ができなくなってしまうのである。
【0009】
加えて、無人搬送車が走行方向を変化させる際には敷設された誘導帯の上または誘導帯が埋設された床面の上を全方向移動車輪が通過する場合があり、このような場合には常に同一の経路を走行させてしまうと誘導帯を損傷させてしまうという問題もある。
【0010】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、床面との摩擦力が大きい全方向移動車輪を用いた場合においても床面の磨耗(特に誘導体の磨耗)を低減することができる無人搬送車の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る無人搬送車は、複数の回転体を備えた全方向移動車輪と、床面に敷設された誘導帯を検知するための誘導帯検知手段
と、制御手段を備え、誘導帯検知手段は、
3つの誘導帯検知センサを等間隔に配置したものを一組とするセンサ群をn組(nは2以上の整数)備え
、3つの誘導帯検知センサのうち、中央に位置する誘導帯検知センサは常に誘導帯を検知するものであり、3つの誘導帯検知センサのうち、両端に位置する誘導帯検知センサは通常は誘導帯を検知しないものであり、制御手段は、両端の誘導帯検知センサが誘導帯を検知した場合に、走行経路を外れつつあると判断して、誘導帯を両端の誘導帯検知センサの間に位置するように全方向移動車輪の移動方向および駆動力を制御するものであることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項2に係る無人搬送車は、センサ群が、5〜60mmの間隔で配置されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項3に係る無人搬送車は、誘導帯検知センサが、5〜20mmの間隔で配置されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項4に係る無人搬送車は、センサ群を、無人搬送車の前後および/または左右に設けたことを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項5に係る無人搬送車の制御方法は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の無人搬送車をn種類(nは2以上の整数)用い、第1の無人搬送車にはセンサ群のうちの第1のセンサ群を用いて誘導帯を検知させ、第n(nは2以上の整数)の無人搬送車にはセンサ群のうちの第n(nは2以上の整数)のセンサ群を用いて誘導帯を検知させることによって、無人搬送車に複数の走行経路を走行させ、全方向移動車輪の回転体による床面の摩耗を低減することを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項6に係る無人搬送車の制御方法は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の無人搬送車を4種類用い、第1の無人搬送車にはセンサ群のうちの第1のセンサ群を用いて誘導帯を検知させ、第2の無人搬送車にはセンサ群のうちの第2のセンサ群を用いて誘導帯を検知させ、第3の無人搬送車にはセンサ群のうちの第3のセンサ群を用いて誘導帯を検知させ、第4の無人搬送車にはセンサ群のうちの第4のセンサ群を用いて誘導帯を検知させることによって、無人搬送車に複数の走行経路を走行させ、全方向移動車輪の回転体による床面の摩耗を低減することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る無人搬送車および無人搬送車の制御方法によれば、2つ以上の誘導帯検知センサを等間隔に配置したものを一組とするセンサ群とするとともに、かかるセンサ群を複数組設けることによって、全方向移動車輪を用いた無人搬送車の走行経路を少しずつずらして走行させることができる。従って、従来の無人搬送車のように常に同一の経路を走行させることを回避することができ、その結果、床面との摩擦力が大きい全方向移動車輪を用いた無人搬送車においても、回転体による床面の摩耗を低減することができる。
【0018】
また、本発明に係る無人搬送車によれば、センサ群および誘導帯検知センサを特定の間隔で配置したり、センサ群を車体の前後および/または左右に設けたりすることによって、上記の効果をより顕著なものとすることができる。
【0019】
さらに、本発明の請求項6に係る無人搬送車の制御方法によれば、無人搬送車を3種類用いることによって、無人搬送車が走行する走行帯(無人搬送車の走行のために占拠されるスペース)の幅を最小にしつつ、全方向移動車輪の回転体による床面の摩耗を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る無人搬送車を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係る無人搬送車を示す平面模式図である。
【
図3】本発明に係る無人搬送車に用いられる誘導帯検知手段を示す模式図である。
【
図4】本発明に係る無人搬送車の動きを示す模式図である。
【
図5】全方向移動車輪を用いた無人搬送車における移動時の全方向移動車輪の動きを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に述べる実施形態は本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでない。
図1は本発明に係る無人搬送車を示す斜視図であり、
図2は本発明に係る無人搬送車を示す平面模式図であり、
図3は本発明に係る無人搬送車に用いられる誘導帯検知手段を示す模式図であり、
図4は本発明に係る無人搬送車の動きを示す模式図である。
【0022】
まず、本発明にかかる無人搬送車1の構成を
図1〜
図4に基づいて説明する。
本発明にかかる無人搬送車1は、車体2、全方向移動車輪3と車体2に設けられた誘導帯検知手段4を主要部品として構成されている。
【0023】
車体2には非接触の受電コイル、バッテリ、全方向移動車輪を駆動させるためのモータ、誘導帯検知手段4を用いて無人搬送車1を走行経路上で走行させるための制御手段(ともに図示せず)などが設けられている。
【0024】
全方向移動車輪3は、本実施形態においてはメカナムホイールを用いた形態のものとなっているが、これに限定されるものではなく、オムニホイールなど各種の全方向移動車輪を用いることができる。
【0025】
誘導帯検知手段4は、
図3に示す通り8つの誘導帯検知センサ5を1ユニットとして構成されているものであり、かかるユニットが
図2に示す通り車体2の前後および左右にそれぞれ1対ずつ合計4つ設けられている構造となっている。
なお、本実施形態においては8つの誘導帯検知センサ5を7mm間隔(L1)で配置したものを1ユニットとしているが、これに限定されるものではなく、必要に応じて2つ以上の任意のn個の誘導帯検知センサ5を1ユニットとすることができる。また、誘導帯検知センサ5間の間隔(L1)についても必要に応じて任意の間隔とすることができるが、一般的に使用される誘導体の幅等を考慮すると5〜60mmの間隔で配置することが好ましい。
さらに、本実施形態においてはかかるユニットを車体2の前後および左右に設けたものとなっているが、これに限定されるものではなく、必要に応じて車体の前後または左右のいずれかにのみ設けることもできる。
【0026】
さらに誘導帯検知手段4は、任意の誘導帯検知センサ5を一組とするセンサ群6から構成されている。具体的には、本実施形態の誘導帯検知手段4は、
図4に示す通り誘導帯検知センサ5うちの、5a、5c、5eを一組とするセンサ群6aと、5b、5d、5fを一組とするセンサ群6bと、5c、5e、5gを一組とするセンサ群6cと、5d、5f、5hを一組とするセンサ群6dから構成されている。
なお、本実施形態においてはセンサ群6aとセンサ群6b、センサ群6bとセンサ群6c、センサ群6cとセンサ群6dを7mmずらして配置(L2)し、センサ群6aとセンサ群6c、センサ群6bとセンサ群6dを14mmずらして配置(L3)し、センサ群6aとセンサ群6dを21mmずらして配置(L4)した四組のセンサ群6から誘導帯検知手段4を構成しているが、これに限定されるものでなく、必要に応じて二組以上の任意のn組のセンサ群によって誘導帯検知手段4を構成することができる。また、センサ群の間隔(L2、L3)についても必要に応じて任意の間隔とすることができるが、誘導体の幅や使用する無人搬送車の種類等を考慮すると5〜60mmの間隔で配置することが好ましい。
【0027】
次に、上記のように構成された無人搬送車1の動作および作用を次に説明する。
図4は本発明に係る無人搬送車の動きを示す模式図である。なお、
図4においては説明を容易にするために車体2の前方に設けた誘導帯検知手段4のみを記載しているが、車体2の後方に設けた誘導帯検知手段4も後記する動作と同様の動作を行うことになる。また、車体2の左右に設けた誘導帯検知手段4は前後方向の移動から横方向の移動に移行した際に使用されることになり、後記する動作と同種の動作を行うことになる。
【0028】
また、本実施形態では3種類の無人搬送車1a、1b、1c、1dを稼働させる際の動作を示しているが、これに限定されるものでなく、必要に応じて2種類以上の任意のn種類の無人搬送車を稼働させる構成とすることもできる。さらに、
図4においては簡略化するために、4種類の無人搬送車1a、1b、1c、1dを各1台ずつ記載しているが実際に工場や倉庫等で使用する場合にはそれぞれの種類の無人搬送車を複数台稼働させることが一般的である。
【0029】
まず、第1の無人搬送車1aについては、制御手段が誘導帯検知センサ5うちの5a、5c、5eを一組とするセンサ群6aを用いて床面8に敷設された誘導帯7を検知するように制御する。具体的には、誘導帯検知センサ5cが常に誘導体7を認識するように制御する。そして、両端の誘導帯検知センサ5aおよび5eが誘導体7を認識した場合には第1の無人搬送車1aが走行経路から外れつつあると判断して、誘導帯検知センサ5aおよび5eの間に誘導体7が位置するように全方向移動車輪3aの移動方向および駆動力を制御する。
従って、第1の無人搬送車1aについては、走行を重ねると床面8の中でも第1の無人搬送車1aの全方向移動車輪3aが通過する部分9aが摩耗していくことになる。
【0030】
次に、第2の無人搬送車1bについては、制御手段が誘導帯検知センサ5うちの5b、5d、5fを一組とするセンサ群6bを用いて床面8に敷設された誘導帯7を検知するように制御する。具体的には、誘導帯検知センサ5dが常に誘導体7を認識するように制御する。そして、両端の誘導帯検知センサ5bおよび5fが誘導体7を認識した場合には第2の無人搬送車1bが走行経路から外れつつあると判断して、誘導帯検知センサ5bおよび5fの間に誘導体7が位置するように全方向移動車輪3bの移動方向および駆動力を制御する。
従って、第2の無人搬送車1bについては、走行を重ねると床面8の中でも第2の無人搬送車1bの全方向移動車輪3bが通過する部分9bが摩耗していくことになる。
【0031】
次に、第3の無人搬送車1cについては、制御手段が誘導帯検知センサ5うちの5c、5e、5gを一組とするセンサ群6cを用いて床面8に敷設された誘導帯7を検知するように制御する。具体的には、誘導帯検知センサ5eが常に誘導体7を認識するように制御する。そして、両端の誘導帯検知センサ5cおよび5gが誘導体7を認識した場合には第3の無人搬送車1cが走行経路から外れつつあると判断して、誘導帯検知センサ5cおよび5gの間に誘導体7が位置するように全方向移動車輪3cの移動方向および駆動力を制御する。
従って、第3の無人搬送車1cについては、走行を重ねると床面8の中でも第3の無人搬送車1cの全方向移動車輪3cが通過する部分9cが摩耗していくことになる。
【0032】
最後に、第4の無人搬送車1dについては、制御手段が誘導帯検知センサ5うちの5d、5f、5hを一組とするセンサ群6dを用いて床面8に敷設された誘導帯7を検知するように制御する。具体的には、誘導帯検知センサ5fが常に誘導体7を認識するように制御する。そして、両端の誘導帯検知センサ5dおよび5hが誘導体7を認識した場合には第3の無人搬送車1dが走行経路から外れつつあると判断して、誘導帯検知センサ5dおよび5hの間に誘導体7が位置するように全方向移動車輪3dの移動方向および駆動力を制御する。
従って、第34の無人搬送車1dについては、走行を重ねると床面8の中でも第4の無人搬送車1dの全方向移動車輪3dが通過する部分9dが摩耗していくことになる。
【0033】
そうすると、各無人搬送車の全方向移動車輪の通過部分9a、9b、9c、3dはいずれも重ならないことからその分床面の摩耗が低減されることになる。また、床面にいわゆる轍ができることを防止することができることから、全方向移動車輪の特徴である車体の向きを変えずに真横や斜め方向など所望する方向への車体の移動をスムースに行わせることができることになる。
【0034】
また、床面の摩耗が低減されることから、床面に埋設または敷設された誘導体の磨耗を低減するとともに、損傷を抑制することができることになり、かかる点からも車体の移動をスムースに行わせることができることになる。
【0035】
さらに、
図4のように4種類の無人搬送車1を用いれば、無人搬送車が走行する走行帯(無人搬送車の走行のために占拠されるスペース)の幅を最小にしつつ、上記の技術的効果を得ることができることになる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は工場や倉庫等で部品・半製品・製品等を搬送する無人搬送車に用いることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 無人搬送車
1a 第1の無人搬送車
1b 第2の無人搬送車
1c 第3の無人搬送車
1d 第4の無人搬送車
2 車体
3 全方向移動車輪
3a 全方向移動車輪
3b 全方向移動車輪
3c 全方向移動車輪
3d 全方向移動車輪
4 誘導帯検知手段
5 誘導帯検知センサ
5a 誘導帯検知センサ
5b 誘導帯検知センサ
5c 誘導帯検知センサ
5d 誘導帯検知センサ
5e 誘導帯検知センサ
5f 誘導帯検知センサ
5g 誘導帯検知センサ
5h 誘導帯検知センサ
6 センサ群
6a センサ群
6b センサ群
6c センサ群
6d センサ群
7 誘導帯
8 床面
9 床面の全方向移動車輪の通過部分
9a 第1の無人搬送車の全方向移動車輪の通過部分
9b 第2の無人搬送車の全方向移動車輪の通過部分
9c 第3の無人搬送車の全方向移動車輪の通過部分
9d 第4の無人搬送車の全方向移動車輪の通過部分