(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5917457
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】エンジン発電機用DPFシステム
(51)【国際特許分類】
F01N 3/023 20060101AFI20160428BHJP
F01N 3/033 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
F01N3/023 A
F01N3/033 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-159627(P2013-159627)
(22)【出願日】2013年7月31日
(65)【公開番号】特開2015-31178(P2015-31178A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2015年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109819
【氏名又は名称】デンヨー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100103263
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 康
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100077609
【弁理士】
【氏名又は名称】玉真 正美
(72)【発明者】
【氏名】松 尾 清 二
(72)【発明者】
【氏名】小 林 泰 浩
(72)【発明者】
【氏名】松 田 真 次
(72)【発明者】
【氏名】藤 田 忠 宏
【審査官】
今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−132836(JP,A)
【文献】
特開2002−195024(JP,A)
【文献】
特開2007−112331(JP,A)
【文献】
特開2011−149365(JP,A)
【文献】
特開2011−247133(JP,A)
【文献】
特開2006−274844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/02−3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機を駆動するエンジンにおける、燃料燃焼で生じる微粒子を排気ガスから除去するためのDPFに付着した微粒子の量を検出する微粒子量計測手段、および前記エンジンの排気ガス温度を検出する排気ガス温度計測手段をそなえ、前記微粒子の量が所定値を超えたら、前記排気ガス温度を上昇させて前記微粒子を燃焼させることにより前記DPFの再生処理を行う発電機用エンジンのDPF再生システムであって、
前記発電機に接続されるダミー負荷と、
前記微粒子量計測手段および前記排気ガス温度計測手段の検出信号に基づき、前記エンジンおよび前記ダミー負荷を、協働して制御するエンジン制御ユニットおよびエンジン制御付加ユニットを含んだ制御手段とをそなえ、
前記制御手段は、前記微粒子の量が所定値を超えたとき、前記排気ガス温度が自動再生基準温度に達していれば直ちに自動再生運転を行い、達していなければ前記発電機に前記ダミー負荷を接続して前記排気ガス温度を上昇させた後に自動再生運転を行うべく前記エンジンを運転するようにしたDPF再生システムにおいて、
前記制御手段は、ダミー負荷を接続してから前記排気ガス温度が前記自動再生基準温度まで上昇するのに必要な時間が設定される第1のタイマをそなえており、
前記排気ガス温度が自動再生基準温度以上であるか否かを判定し、
前記自動再生基準温度以上であれば直ちに自動再生運転を行い、以上でなければ前記ダミー負荷を接続し、
前記第1のタイマに設定された時間の経過後に、前記排気ガス温度が自動再生基準温度以上であるか否かを判定し、
前記排気ガス温度が前記自動再生基準温度以上であれば自動再生運転を行い、以上でなければ前記ダミー負荷を遮断して、前記微粒子の量が手動再生基準以上か否かを判定し、
前記微粒子の量が手動再生基準以上であれば手動再生要求を発し、以上でなければ前記エンジンを通常運転するようにしたことを特徴とする発電機用エンジンのDPF再生システム。
【請求項2】
請求項1記載の発電機用エンジンのDPF再生システムにおいて、
前記制御手段は、
前記ダミー負荷を遮断するために設定された時間が経過すると出力を生じる第2のタイマをそなえており、
前記発電機の負荷の大きさを検出して前記発電機の負荷の大きさが基準以上か否かを判定し、
前記第1のタイマの保留時間中に発電機の負荷が基準未満でも急激に増加したときは前記ダミー負荷を直ちに遮断し、
前記発電機の負荷が基準以上でも増加が急激でないときは前記ダミー負荷を前記第2のタイマの設定時間が経過した後に遮断するようにしたうえ、前記第2のタイマの保留時間中に前記発電機の負荷が基準以下に減少した場合には前記ダミー負荷を遮断せず前記ダミー負荷の投入直後の段階に戻るようにしたことを特徴とする発電機用エンジンのDPF再生システム。
【請求項3】
請求項1記載の発電機用エンジンのDPF再生システムにおいて、
前記制御手段は、前記発電機の負荷の大きさを検出し、前記発電機の負荷の大きさが基準以上か否かを判定し、
自動再生運転を行っていて前記ダミー負荷が接続されている場合、
前記発電機の負荷の大きさが基準以上になったとき、又は基準以上でなくても急激に増加したときには前記ダミー負荷を遮断し、
自動再生運転を行っていて前記ダミー負荷が接続されていない場合、
前記発電機の負荷の大きさが基準以上でなくなったときには前記ダミー負荷を接続して、前記微粒子の量を判定し、自動再生終了基準を満たす場合は自動再生運転を終了し、満たさない場合は前記温度計測手段により検出された排気ガス温度を測定し、
前記排気ガス温度が自動再生基準温度以上であれば自動再生運転を継続して行い、前記排気ガス温度が自動再生基準温度以上でなければ自動再生運転を一旦中止し、
前記ダミー負荷が接続されているか否かを判定して、接続されていれば前記ダミー負荷を遮断して前記微粒子の量が手動再生基準以上か否かの判定に進み、
接続されていなければ前記ダミー負荷を接続し、自動再生運転の準備を再開するようにしたことを特徴とする発電機用エンジンのDPF再生システム。
【請求項4】
請求項1記載の発電機用エンジンのDPF再生システムにおいて、
前記制御手段は、自動再生運転の終了後に、前記ダミー負荷が接続されているか否かを判定して、接続されていれば前記ダミー負荷を遮断するようにしたことを特徴とする発電機用エンジンのDPF再生システム。
【請求項5】
請求項1記載の発電機用エンジンのDPF再生システムにおいて、
前記ダミー負荷は、前記発電機の出力電圧の高低に応じて切り換え接続するようにしたことを特徴とする発電機用エンジンのDPF再生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン発電機の排気ガス処理用フィルタに係り、とくに発電機用ディーゼルエンジンの運転で発生し捕集用フィルタ(DPF:ディーゼル パティキュレート フィルタ)に溜まる微粒子(PM)を除去してDPFを再生するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンは、特性上、燃料の燃焼によりNOxとともに微粒子を発生する。この微粒子の大気排出を防止するため、DPFを装備し排気ガス中の微粒子(PM)を捕集するようにする事例が増えており、エンジン駆動発電機でも然りである。
【0003】
DPFを装備したエンジン駆動発電機は、
図5に示すように、発電機GがディーゼルエンジンEで駆動され、出力端子OUTから負荷(図示せず)に給電し、ディーゼルエンジンEの排気ガスはDPFを通って大気中に排出される。
【0004】
ただし、DPFはPM捕集量に限度があるため、ある程度微粒子が溜まると何らかの方法で燃焼させる等して除去し、DPFを再生させる必要がある。そのために、微粒子量および排気ガス温度を計測してエンジンEを制御することにより微粒子を燃焼することが行われている。
【0005】
すなわち、DPFに設けた微粒子量計測手段PMDにより微粒子量を計測するとともに、同じく温度検出手段TDにより排気ガス温度を計測し、これら計測手段の計測結果に基づいてエンジン制御ユニットECUがエンジンEとの信号授受によりエンジンEの制御を行い、適時に微粒子を燃焼させてDPFの再生を行うこととしている。
【0006】
また、DPFを再生する他の方法としては、DPFに電気ヒータを組み込んで微粒子を燃焼させるものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009-216075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記目的達成のため、本発明では、
発電機を駆動するエンジン
における、燃料燃焼で生じる微粒子を
排気ガスから除去するため
のDPFに付着した微粒子の量
を検出する微粒子量計測手段、および前記エンジンの排気ガス温度を検出する排気ガス温度計測手段をそなえ、前記微粒子の量が所定値を超えたら、
前記排気ガス温度を上昇させて前記微粒子を燃焼させることにより前記DPFの再生処理を行う
発電機用エンジンのDPF再生システムであって、
前記発電機に接続されるダミー負荷と、
前記微粒子量計測手段および前記排気ガス温度計測手段の検出信号に基づき、前記エンジンおよび前記ダミー負荷を、協働して制御するエンジン制御ユニットおよびエンジン制御付加ユニットを含んだ制御手段とをそなえ
、
前記制御手段は、前記微粒子の量が所定値を超えたとき、前記排気ガス温度が自動再生基準温度に達していれば
直ちに自動再生運転を行い、達していなければ前記発電機に前記ダミー負荷を接続して前記排気ガス温度を上昇させ
た後に自動再生運転を行うべく前記エンジンを
運転するようにした
DPF再生システムにおいて、
前記制御手段は、ダミー負荷を接続してから前記排気ガス温度が前記自動再生基準温度まで上昇するのに必要な時間が設定される第1のタイマをそなえており、
前記排気ガス温度が自動再生基準温度以上であるか否かを判定し、
前記自動再生基準温度以上であれば直ちに自動再生運転を行い、
以上でなければ前記ダミー負荷を接続し、
前記第1のタイマに設定された時間の経過後に、前記排気ガス温度が自動再生基準温度以上であるか否かを判定し、
前記排気ガス温度が前記自動再生基準温度以上であれば自動再生運転を行い、以上でなければ前記ダミー負荷を遮断して、前記微粒子の量が手動再生基準以上か否かを判定し、
前記微粒子の量が手動再生基準以上であれば手動再生要求を発し、以上でなければ前記エンジンを通常運転するようにしたことを特徴とする発電機用エンジンのDPF再生システム、
を提供するものである。
【0009】
DPF再生、つまり微粒子を燃焼させるためには、排気ガス温度が一定以上の高温であることが必要となるが、ここで考慮すべきは、急に大きな始動電流が流れる電動機始動などに対応できるように、エンジン発電機は負荷の定格入力電力の3倍程度の容量のものを設置するのが通例である点である。
【0010】
そのため、定常時にはエンジンは軽負荷運転となり、排気ガス温度は低い状態が続く。そして、エンジンの負荷が発電機であるため定速運転することになり、自動車のように排気ガス温度を上昇させるために昇速する手法は採れない。
【0011】
したがって、エンジン発電機におけるDPF再生は、特許文献1に示すようなヒータを用いて微粒子を燃焼させる手法を採ることもある。
【0012】
しかしながら、微粒子を燃焼させるためにヒータを設ける手法は、燃費効率的観点からは必ずしも満足できるものではなく、またヒータを組み込んだ特殊なDPFとなるのも好ましくない。これを避けて汎用(例えば自動車用)のDPFを利用したいところであるが、エンジン発電機に採用するには、前述したように適当ではない。
【0013】
本発明は上述の点を考慮してなされたもので、電力供給を停止することなく微粒子の蓄積を防止しかつ燃費効率よくDPF再生を行い得るエンジン発電機用DPFシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的達成のため、本発明では、
エンジンの燃料燃焼で生じる微粒子を除去するために設けられるフィルタ(DPF)に付着した微粒子の量が所定値を超えたら、前記エンジンの排気ガス温度を上昇させて前記微粒子を燃焼させることにより前記DPFの再生処理を行うエンジン発電機用DPFシステムにおいて、
所要時に前記エンジン発電機に接続されるダミー負荷と、
前記微粒子量が所定値を超えたとき、前記排気ガス温度が自動再生基準温度に達していれば自動再生動作を行い、達していなければ前記発電機に前記ダミー負荷を接続して排気ガス温度を昇温させるように前記エンジンを自動再生準備運転する制御手段と
をそなえたことを特徴とするエンジン発電機用DPFシステム、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上述のように、エンジンに微粒子量が増えたとき排気ガス温度に基づき発電機にダミー負荷を接続し排気ガス温度を高めて微粒子を燃焼させDPFを再生することとしたため、微粒子を過度に蓄積することがなく、しかも燃費効率の良好なエンジン発電機用DPFシステムを提供することができる。この結果、電力供給を止めてDPFを再生させるような事態を招くことなく、エンジン発電機を運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係るエンジン発電機用DPFシステムの構成を示すブロック図。
【
図2】エンジン発電機に装着されるDPFの構成を示す説明図。
【
図3】エンジン発電機におけるDPF再生のための基本的制御動作を示すフローチャート。
【
図4】本発明の一実施例におけるDPF再生制御動作を示すフローチャート。
【
図5】従来のエンジン発電機におけるDPFシステムの構成を示すブロック図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の一実施例の構成を示すブロック図である。この
図1に示すように、発電機Gの出力側にダミー負荷L、ならびにその投入および解除を行う接触器MCを設け、接触器MCのオン、オフによって所要時に発電機Gに抵抗器等のダミー負荷Lを接続してエンジンEの出力を増すように運転させる。
【0019】
接触器MCは、微粒子量計測手段PMDおよび温度計測手段TDの計測結果に基づき、エンジン制御ユニットECUにCAN(Controller Area Network)を介して接続されたエンジン制御付加ユニットG−ECUにより制御される。すなわち、エンジン制御ユニットECUによるエンジン制御に合わせて、エンジン制御付加ユニットG−ECUが接触器MCをオン、オフしてダミー負荷Lの投入、遮断を制御する。
【0020】
すなわち、所要時に、発電機Gにダミー負荷Lを接続しエンジンEの出力を増して排気ガス温度を上昇させ、DPF内の微粒子を燃焼させて除去し、DPFを再生するようにしている。
【0021】
ここで、エンジン制御ユニットECUは、例えば自動車用ディーゼルエンジンEに付属する制御装置であり、エンジン制御付加ユニットG−ECUは、エンジンEの運転に合わせてダミー負荷の投入、遮断を行うために接触器MCを制御する目的で付加した制御装置である。
【0022】
図2は、DPFの構造を示したもので、広義のDPFは、酸化触媒DOCと狭義のDPFであるDPF本体とにより構成され、DOCおよびDPF本体が一体的に作動して排気ガスINを処理し排気ガスOUTを生成する。そして、微粒子量計測手段PMDは、例えばDPFの入、出力間の圧力差によって微粒子量の多少を検出する。
【0023】
図3は、
図5に示すエンジン発電機におけるDPF再生制御の基本的動作、すなわち本発明の前提となる動作を示すフローチャートである。まずこの
図3に基づき、DPFシステムを装備したエンジン発電機の通常運転およびDPF再生運転を説明する。
【0024】
「DPFシステムを装備したエンジン発電機の通常運転およびDPF再生運転」
まず操作員が、エンジンEを始動して(S1)、定格回転にさせ(S2)、負荷を投入(S3)するまで、を手動操作で行う。これにより、エンジン発電機は通常運転となる(S4)。
【0025】
エンジンEの運転に伴い、排気ガス中に微粒子が発生し、DPFに微粒子が溜まっていく(S5)。このとき、エンジンEの排気ガス温度がDPF再生可能温度、つまり微粒子が燃焼する温度以上であれば(S6)、DPF内の微粒子は自然に燃焼する(S7)。つまり、エンジンEは通常運転を続けながらDPFの自然再生が行われる。
【0026】
一方、排気ガス温度がDPF再生可能温度未満であると、ステップS8に移行してPM量が自動再生基準量以上か否かの判断がされる。PM量が基準量未満であれば、ステップS4に戻ってエンジンEは通常運転を続ける。
【0027】
ステップS8でPM量が基準量以上溜まった状態、すなわちDPFを再生させるべき状態になっていると判断されると、ステップS9に移行し、排気ガス温度が自動再生基準温度以上であれば、自動再生を開始する(S10)。
【0028】
ここで、自動再生基準温度とは、
自動再生基準温度=再生可能温度―通常運転と同等に使用できる範囲内でエンジンを制御して上昇できる温度
を指す。
【0029】
自動再生運転は、エンジンEに設けられた微粒子量計測手段PMDの計測する微粒子量(PM量)、同じく温度計測手段TDの計測する排気ガス温度に基づいて、発電機Gが通常運転と同様に使用できる範囲でエンジンEがエンジン制御ユニットECUによって制御される。
【0030】
そして、ステップS11に移行しエンジンEを制御してDPF内の微粒子を燃焼させる(自動再生)。エンジン制御とは、ポスト噴射(ピストン排気時の燃料噴射)、吸気制限等であり、自動再生においては発電機が通常運転と同等に使用できる範囲内でエンジンEを制御する。
【0031】
自動再生は、PM量が自動再生終了基準量に低下するまで、排気ガス温度が自動再生基準温度以上であるか否かを確認しながら続けられる(S11→S12→S13→S11→…)。自動再生によりPM量が減少して自動再生終了基準量を下回ると、自動再生を終了してエンジンEは通常運転に戻る(S15→S4)。
【0032】
一方、自動再生動作中に、負荷が減少して排気ガス温度が自動再生基準温度未満に低下することがある。このとき、つまりPM量が自動再生終了基準まで減少していないのに排気ガス温度が自動再生基準温度未満に低下したとき(S13)は、自動再生を中止(S14)した上で、ステップS16に移行し、PM量が手動再生を行う基準量以上か否かの判断がされる。
【0033】
そして、PM量が手動再生を行う基準量未満であれば、ステップS4に戻ってエンジンEの通常運転を行うが、PM量が手動再生基準以上であるとステップS17に移行し、手動再生要求を発する。手動再生要求が発
せられると、ステップS18に移行し、操作員の判断および必要な手動操作が行われる。
【0034】
手動再生は、エンジン制御で行うことのできる最後のDPF再生であって、PM量の手動再生基準はDPFを安全に再生できる限界量に近く、再生には自動再生時におけるエンジン制御の範囲を超えた領域にまで拡大して出力や回転速度等を調整、制御しなくてはならない。
【0035】
そのため、発電機の通常運転ができなくなるので送電を止める必要がある。しかし、突然の停電は危険でもあり、負荷の使用状況や作業の進捗状況等を考慮して給電を停止させるために操作員の判断、手動操作を介入させている。そこで、この段階の再生を「手動再生」と呼ぶが、再生動作そのものはエンジン制御装置ECUにより自動的に行われる。
【0036】
まず、ステップS18において、手動再生要求に応じるか否かの判断が操作員によってなされ、応じる場合は手動でステップS19に移行し、発電機Gは負荷が遮断された状態、エンジンEはアイドリング状態とされる。そして、操作員が手動再生ボタン(スイッチ)を押す(S20)。
【0037】
これにより、手動再生動作が開始され(S21)、エンジンEが微粒子を燃やすように制御される(S22)。これが、PM量が手動再生終了基準量に低下するまで行われ(S23)、手動再生終了基準量に達したところで終了し(S24)、ステップS2に戻る。
【0038】
他方、ステップS18で手動再生要求に応じないと操作員が決定したとき、または手動再生要求を操作員が見落としたときは、ステップS25に移行してエンジン制御ユニットECUによりPM量が非常停止基準量以上か否かが判断される。そして、非常停止基準量未満であればステップS4に移行してエンジンEが通常運転され、非常停止基準量に達していれば、微粒子が異常燃焼して事故となる恐れがあるため、エンジンEを非常停止させる(S26)。
【0039】
「本発明のDPFシステムによる自動再生運転」
図4は、
図3におけるステップS8とS17との間に、S9ないしS16に替わって挿入されるべき本発明システムの再生動作を、アクティビティ図的な表現を交えて示したフローチャートである。
【0040】
このフローチャートでは、ステップS101ないしS125により動作内容を示しており、このステップ順序にしたがって説明する。
【0041】
まず
図3のフローチャートにおけるステップS8で、PM量が自動再生基準量以上であるとき、ステップS101に移行する。ステップS101では、排気ガス温度が自動再生基準温度以上か否かが判断され、基準温度以上であるとステップS108に移行して自動再生動作を開始し、基準温度未満であるとステップS102に移行してダミー負荷Lが投入される。
【0042】
ダミー負荷Lが投入されると、エンジンEの制御ユニットECUは、燃料噴射量を増やして定速運転を維持するように、エンジンEを制御する。その結果、排気ガス温度は上昇するが、ガスの温度上昇に時間遅れがあって制御機器の動作結果が時間遅れを伴って現れるから、ステップS103によりタイマ(保留時間1)を用いて時間的対応を行う。
【0043】
すなわち保留時間1を経過したとき、排気ガス温度が、自動再生基準温度以上か否かが判断され(S107)、自動再生基準温度以上と判断されれば、ステップS108に移行してステップS109以降の自動再生動作を開始する。
【0044】
一方、自動再生基準温度未満であれば、ステップS124に移行しダミー負荷Lを遮断して、ステップS125でPM量が手動再生基準量以上か否かを判断し、手動再生基準量未満であればステップS4に戻ってエンジンEの通常運転を行い、PM量が手動再生基準量以上であればステップS17に移行して手動再生要求を発することとなる。
【0045】
動作説明を、再びステップS103に戻す。ステップ103におけるタイマの設定時間中に負荷が急増すると(S104a)、直ちにステップS105に移行してダミー負荷Lが遮断され、ステップS101に戻る。ここで、負荷が急増するとダミー負荷Lを遮断するのは、負荷急増を電動機始動などがあったものとして、エンジン発電機の給電能力のすべてを負荷に供給するためであって、後述する自動再生動作中においても同様である。
【0046】
また、タイマの設定時間中に負荷が基準値以上になると(S104b)、ステップS106に移行しもう一つのタイマ(保留時間2)を用いてダミー負荷Lの遮断を行い(S105)、ステップS101に戻る。また、もう一つのタイマの設定時間中に負荷が基準値未満になれば、ダミー負荷Lを投入したままステップS103に戻る。
【0047】
「本発明の自動再生動作中のダミー負荷制御」
前述のようにステップS108で自動再生動作を開始すると、ステップS109でエンジンEの制御を行うことによって微粒子を燃焼(自動再生)させ、ステップS110に移行する。
【0048】
ステップS110では、その時点でダミー負荷Lが投入されているか否かが判断され、投入されていれば負荷が急増するとき(S111)あるいは負荷が基準値以上であるとき(S113)、ステップS112でダミー負荷Lの遮断が行われる。
【0049】
また、ステップS113で負荷が基準値未満であれば、ステップS114に移行してPM量が自動再生終了基準量に達しているか否かが判断され、自動再生終了基準量に達しているときは自動再生を終了し(S118)、一方、PM量が自動再生終了基準量未満であればステップ121に移行する。ステップ121では、排気ガス温度が自動再生基準温度以上であるか否かにつき判断され、移動再生基準温度以上であればステップS109に戻って自動再生動作を継続する。
【0050】
そして、ステップS110でダミー負荷Lが投入されていなければ、負荷が急増するとき(S115)あるいは負荷が基準値以上であるとき(S116)は、ステップS114に移行し、また負荷が基準値未満であればダミー負荷Lを投入した(S117)上で、ステップS114に移行してPM量が自動再生終了基準を満たすか否かが判断される。
【0051】
ステップS114でPM量が自動再生終了基準量に達しているとステップS118に移行して自動再生が終了し、次いでステップS119に移行してダミー負荷Lが投入されているか否かを見る。投入されていればステップS120に移行してダミー負荷Lを遮断し、ダミー負荷Lが投入されていなければステップS4に戻ってエンジン発電機が通常運転される。
【0052】
他方、ステップS114での判断でPM量が自動再生終了基準を満たしていない場合、ステップS121で排気ガス温度が自動再生基準温度以上か否かが判断される。そして、自動再生基準温度未満であると、自動再生を一旦中止して(S122)、ステップS123に移行しダミー負荷Lが投入されているか否かが判断され、投入されていなければ投入し(S102)、投入されていれば(最早自動再生は効果なしとして)ダミー負荷Lを遮断し(S124)、ステップS125を経てステップS17に移行し、手動再生要求を発する。
【0053】
ステップS121で排気ガス温度が自動再生基準温度以上であると、ステップS109に移行して自動再生が継続して行われ、ステップS110以降の動作に繋がっていく。
【0054】
ここにおいて、本発明では、技術的前提として、ダミー負荷Lを投入して(S102)エンジンEの負荷を増しても排気ガス温度が上昇せずに自動再生基準未満であるという事態は、基本的に生じないこととしている。生じるとすれば、外気温が想定外まで極度に低下したとか、機器要素が故障した等の、極めて異常な状況下のことである。
【実施例2】
【0055】
上記実施例1では、発電機の出力電圧が固定のものとして説明したが、市場にある発電機の多くは、三相400V級/三相200V級の切換可能なものが多いことを考慮すると、ダミー負荷Lを電圧切換に対応して切換え可能としておくことが望ましい。
【0056】
それには、例えばダミー負荷Lの入力部に電圧検出リレーを設け、発電機電圧に応じてダミー負荷Lの自動切換を行うとよい。ダミー負荷Lは、抵抗を直列/並列またはスター/デルタに接続替えできるように接続しておき、発電機出力電圧が高いときは前者、低いときは後者に切換を行えばよい。
【符号の説明】
【0057】
E エンジン、G 発電機、DPF ディーゼルパティキュレートフィルタ、
DOC 酸化触媒、TD 温度計測手段、PMD 微粒子量計測手段、
ECU エンジン制御ユニット、G−ECU エンジン制御付加ユニット、
MC 接触器、L ダミー負荷。