特許第5917462号(P5917462)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 黒田 暢夫の特許一覧 ▶ 桑原 英二の特許一覧

特許5917462熱可塑性合成樹脂製立体装飾片とその製造方法
<>
  • 特許5917462-熱可塑性合成樹脂製立体装飾片とその製造方法 図000002
  • 特許5917462-熱可塑性合成樹脂製立体装飾片とその製造方法 図000003
  • 特許5917462-熱可塑性合成樹脂製立体装飾片とその製造方法 図000004
  • 特許5917462-熱可塑性合成樹脂製立体装飾片とその製造方法 図000005
  • 特許5917462-熱可塑性合成樹脂製立体装飾片とその製造方法 図000006
  • 特許5917462-熱可塑性合成樹脂製立体装飾片とその製造方法 図000007
  • 特許5917462-熱可塑性合成樹脂製立体装飾片とその製造方法 図000008
  • 特許5917462-熱可塑性合成樹脂製立体装飾片とその製造方法 図000009
  • 特許5917462-熱可塑性合成樹脂製立体装飾片とその製造方法 図000010
  • 特許5917462-熱可塑性合成樹脂製立体装飾片とその製造方法 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5917462
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】熱可塑性合成樹脂製立体装飾片とその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20160428BHJP
   B32B 3/30 20060101ALI20160428BHJP
   B44C 1/20 20060101ALI20160428BHJP
   B44C 1/24 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
   B32B27/00 101
   B32B3/30
   B44C1/20 A
   B44C1/24 A
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-167403(P2013-167403)
(22)【出願日】2013年8月12日
(65)【公開番号】特開2015-36201(P2015-36201A)
(43)【公開日】2015年2月23日
【審査請求日】2015年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】592077682
【氏名又は名称】黒田 暢夫
(73)【特許権者】
【識別番号】592077693
【氏名又は名称】桑原 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100089990
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 誠
(72)【発明者】
【氏名】桑原 英二
【審査官】 平井 裕彰
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/125173(WO,A1)
【文献】 特開2002−055215(JP,A)
【文献】 特開平11−293573(JP,A)
【文献】 特開2002−254897(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00〜43/00
D06M13/00〜15/715
D04D 1/00〜11/00
D06Q 1/00〜 1/14
B44B 1/00〜11/04
B44C 1/00〜 1/14
1/18〜 7/08
B44D 2/00〜 7/00
B44F 1/00〜99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性合成樹脂よりなり、外輪郭線を有し、立体模様が形成された上層3と、
下層5とよりなり、
上層3の上面に、プライマー層13が配置され、該プライマー層13の上面に透明耐熱シリコーン樹脂層7が配置されていることを特徴とする、合成樹脂製立体装飾片。
【請求項2】
前記透明耐熱シリコーン樹脂層7の厚さが、20〜50ミクロンである、請求項1に記載の合成樹脂製立体装飾片。
【請求項3】
上層3と下層5との間に、合成樹脂製発泡体よりなる中間層9が配置されている、請求項1〜2のいずれか1項に記載の合成樹脂製立体装飾片。
【請求項4】
前記透明耐熱シリコーン樹脂層7の下面に位置する、上層3の表面には、模様が印刷されており、前記中間層9が、前記上層3と前記下層7との双方に溶着可能な移染防止フィルムよりなる、請求項3に記載の合成樹脂製立体装飾片。
【請求項5】
前記上層3の下面に、金属蒸着膜層11が配置されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の合成樹脂製立体装飾片。
【請求項6】
熱可塑性合成樹脂よりなり、外輪郭線を有し、立体模様が形成された上層(3、103)と、下層(5、105)よりなる合成樹脂製立体装飾片の製造方法であって、
(a) 熱可塑性合成樹脂よりなる上層材料(3a、103a)の上面に、プライマー(13a、113a)をスクリーン印刷し、
(b) プライマー(13a、113a)が塗布された上層材料(3a、103a)の上面に、シリコーン樹脂(7a、107a)をスクリーン印刷して、シリコーン樹脂層(7、107)を形成し、
(c) 高周波誘電加熱の一方の電極たる金型台(31、131)に、下層材料(5a、105a)を載置し、該下層材料(5a、105a)の上に上層材料(3a、103a)を載置し、
(d) 上層材料(3a、103a)の上方より、高周波誘電加熱の他方の電極たる彫金型(33、133)により、上層材料(3a、103a)及び下層材料(5a、105a)を押圧し、
(e) シリコーン樹脂層(7、107)が形成された上層材料(3a、103a)と、下層材料(5a、105a)とを高周波誘電加熱して、上層材料(3a、103a)に模様を賦形すると共に、上層材料(3a、103a)を溶融して下層材料(5a、105a)に融着させ、
(f) その後、不要部分を取り除く、合成樹脂製立体装飾片の製造方法。
【請求項7】
前記合成樹脂製立体装飾片には、前記上層(103)と前記下層(105)との間に、熱可塑性合成樹脂のシート又は発泡体よりなる中間層(109)が配置されており、
前記(c)工程において、前記金型台(131)に、下層材料(105a)を載置し、該下層材料(105a)の上に中間層材料(109a)を載置し、該中間層材料(109a)の上に上層材料(103a)を載置し、
前記(e)工程において、上層材料(103a)及び中間層材料(109a)に模様を賦形すると共に、上層材料(103a)及び中間層材料(109a)を溶融して、上層材料(103a)と中間層材料(109a)とを互いに融着させると共に、中間層材料(109a)と下層材料(105a)とを融着させる、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記(a)工程に先立ち、上層材料(3a、103a)の上面に模様を印刷し、その後、(a)模様が印刷された上層材料(3a、103a)の表面に、プライマー(13a、113a)をスクリーン印刷する、請求項6〜7のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等に装着されるエンブレム、ワッペン、アップリケ、ステッカー、リボン、飾り紐等の、熱可塑性合成樹脂製立体装飾片、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性合成樹脂フィルムを原材料とし、高周波誘電加熱を行って、エンブレム、アップリケ、ステッカー等の装飾片を製造する方法、及び該方法により製造された装飾片としては、例えば、下記特許文献1、2、3に開示のものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1によれば、該装飾片は、下層(塩化ビニルフィルム11)と、熱可塑性合成樹脂製の上層(ポリエステルシート1)とよりなる。上層の材料としては、熱可塑性合成樹脂のフィルム又はシートが挙げられる。下層としては、織布、編布、合成樹脂(特許文献1では塩化ビニルフィルム11)、合成皮革等任意のものを用いることができ、また、装飾片を熱転写装飾片とする場合には、熱接着フィルムを下層として用いることもできる。
【0004】
このように、熱可塑性合成樹脂製の上層と下層とよりなる装飾片を製造するには、高周波誘電加熱により製造することが可能である。
高周波誘電加熱により装飾片を製造する場合、高周波誘電加熱用の一方の電極たる金型台(特許文献1では下部電極16’)と、高周波誘電加熱用の他方の電極たる彫金型(特許文献1では上部電極16)とを用いる。
前記彫金型は、溶断刃(特許文献1では刃部17)と押圧刃(特許文献1では突出部14’)とを有する。該溶断刃は、成形すべき模様の外輪郭線に沿った尖鋭刃先を有し、模様片の材料たる熱可塑性合成樹脂フィルムを溶断する。一方、前記押圧刃の刃先は、前記尖鋭刃先が存する水平面よりも上方の面に位置しており、前記溶断刃の尖鋭刃先程鋭くはなく、熱可塑性合成樹脂フィルムに立体模様を賦形する。
【0005】
製造にあたっては、必要な場合には、先ず、上層材料たる熱可塑性合成樹脂フィルムに模様を印刷する。そして、金型台の上に下層材料を載置し、その上に、上層材料たる熱可塑性合成樹脂フィルムを載置する。そして、該上層材料たるフィルムの上から、彫金型によりフィルム及び下層材料を押圧し、高周波誘電加熱を行う。彫金型の彫刻形状及び押圧刃により、熱可塑性合成樹脂フィルムには、立体模様が形成される。また、溶断刃により、熱可塑性合成樹脂フィルムは、溶断され、模様片の外輪郭線が形成される。
また、高周波誘電加熱を行うことにより、熱可塑性合成樹脂フィルムは溶融し、下層と一体となった装飾片が形成される。その後、不要部分を除去し、装飾片が完成する。
尚、製造しようとする装飾片が、熱接着フィルムタイプの装飾片(下層が熱接着性を有する材料よりなり、アイロン等によって衣服等被装着物に熱接着可能なもの)である場合には、成形された下層の下面に離型紙を配しても良く、また、模様片の上面に透明なキャリアフィルムを配しても良い。また、下層材料が布帛等である場合には、下層材料を高周波誘電加熱による溶断ではなく、他の公知手段により切断しても良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭61−016608号公報
【特許文献2】特公平06−033040号公報
【特許文献3】特許第2542551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述のような従来の熱可塑性合成樹脂製立体装飾片では、高周波誘電加熱によって成形することができる熱可塑性合成樹脂を使用するため、衣服等の被装着物に装着後、アイロン、熱プレス等の加熱、加圧により、形状が潰されたり、崩れたりするという問題があった。装飾片に対するアイロン禁止の表示をすることで、この問題に対応したが、それでもアイロンを当ててしまうことがあり、問題となっていた。また、熱可塑性合成樹脂製の上層に印刷をした場合、該印刷面が熱により変色すると言う問題も生じた。更に、ドライクリーニングをした場合に、ドライクリーニングにおいて使用する薬品によって、上層が変形したり、変色すると言う問題も生じていた。
従って、本発明は、高周波誘電加熱で製造できると共に、耐熱性、耐薬品性を有する装飾片を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、熱可塑性合成樹脂よりなり、外輪郭線を有し、立体模様が形成された上層と、下層とよりなり、上層の上面に、透明耐熱シリコーン樹脂層が配置されていることを特徴とする、合成樹脂製立体装飾片が得られる。
【0009】
前記上層の上面には、プライマー層が配置され、該プライマー層の上面に前記透明耐熱シリコーン樹脂層が配置されている。
好ましくは、前記透明耐熱シリコーン樹脂層の厚さが、20〜50ミクロンである。
また、好ましくは、上層と下層との間に、合成樹脂シート又は合成樹脂製発泡体よりなる中間層が配置されている。
更に好ましくは、前記透明耐熱シリコーン樹脂の下面であって、上層の表面には、模様が印刷されており、前記中間層が、前記上層と前記下層との双方に溶着可能な移染防止フィルムよりなる。
また、前記上層の下面に、金属蒸着膜層が配置されていても良い。
【0010】
また、本発明によれば、熱可塑性合成樹脂よりなり、外輪郭線を有し、立体模様が形成された上層と、下層よりなる合成樹脂製立体装飾片の製造方法であって、
(a) 熱可塑性合成樹脂よりなる上層材料の上面に、プライマーをスクリーン印刷し、
(b) プライマーが塗布された上層材料の上面に、シリコーン樹脂をスクリーン印刷し、
(c) 高周波誘電加熱の一方の電極たる金型台に、下層材料を載置し、該下層材料の上に上層材料を載置し、
(d) 上層材料の上方より、高周波誘電加熱の他方の電極たる彫金型により、上層材料及び下層材料を押圧し、
(e) シリコーン樹脂がスクリーン印刷された上層材料と、下層材料とを高周波誘電加熱して、上層材料に模様を賦形すると共に、上層材料を溶融して下層材料に融着させ、
(f) その後、不要部分を取り除く、合成樹脂製立体装飾片の製造方法が得られる。
【0011】
好ましくは、前記合成樹脂製立体装飾片には、前記上層と前記下層との間に、熱可塑性合成樹脂のシート又は発泡体よりなる中間層が配置されており、
前記(c)工程において、前記金型台に、下層材料を載置し、該下層材料の上に中間層材料を載置し、該中間層材料の上に上層材料を載置し、
前記(e)工程において、上層材料及び中間層材料に模様を賦形すると共に、上層材料及び中間層材料を溶融して、上層材料と中間層材料とを互いに融着させると共に、中間層材料と下層材料とを融着させてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、上層の表面に透明耐熱シリコーン樹脂層が配置されているので、一般的に使用する温度、時間でアイロンがけ、熱プレスをしたとしても、立体模様片が変形しないと言う効果を奏する。
【0013】
透明耐熱シリコーン樹脂層の厚さを20〜50ミクロンとすれば、十分な耐熱性を有すると共に、シャープに成形された立体模様片が提供される。
中間層が配置されることにより、嵩高の立体模様片が提供される。
中間層を移染防止フィルムとすることにより、被装着物の染料が、昇華等の現象で装飾片に移行する事を防止すると言う効果を奏する。
上層の下面に金属蒸着膜層が配置されると、金属光沢を有する立体模様片を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第一実施形態による立体模様片1の平面図である。
図2】本発明の第一実施形態による立体模様片1を製造する際に用いられる彫金型の底面図である。
図3】高周波誘電加熱工程において高周波誘電加熱された上層材料3aの、図2中B−B線縦断面と彫金型の縦断面とを表す。
図4】高周波誘電加熱工程において高周波誘電加熱された上層材料3aの、図2中C−C線横断面図と彫金型33の横断面とを表す。
図5】本発明の第一実施形態による立体模様片1の、図1中A−A線横断面の拡大模式図である。
図6】本発明の第一実施形態の立体模様片1を製造する際に用いられるカッター又は第二彫金型の底面図である。
図7】本発明の第一実施形態の立体模様片1を製造する際に用いられるカッター又は第二彫金型の、図6中D−D線横断面図である。
図8】本発明の第二実施形態の立体模様片101の平面図及び側面図である。
図9】本発明の第二実施形態の立体模様片101の製造工程を模式的に示す。
図10】本発明の第二実施形態の立体模様片101の製造工程を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜7は、本発明の第1実施形態及びその製造方法を示す。図1は、本発明の第1実施形態による装飾片1の正面図である。図5は、図1中、A−A’線の横断面を模式的に示したものであり、プライマー層及びシリコーン樹脂層の厚みは、強調して示されている。
本発明の第1実施形態による立体装飾片1は、制服に用いられるエンブレムである。図5より明らかなように、立体装飾片1は、熱可塑性合成樹脂製の上層3と、下層5とよりなる。上層3の上面には、プライマー層13が形成されており、プライマー層13の上面にシリコーン樹脂層7が形成されている。
プライマー層13は、シリコーン樹脂層7が上層3に接着するのを確実ならしめるものである。
最上層(最表層)に、耐熱性を有するシリコーン樹脂層7が配置されているので、表面から(図5において上方から)アイロン等をかけた場合、アイロン等の熱がシリコーン樹脂層7によって上層3に伝わりにくくなるので、熱可塑性合成樹脂製の上層3が熱により変形することを防ぐことが可能となる。
【0016】
上層3の材料3aとしては、高周波誘電加熱により成形することができる、熱可塑性合成樹脂であり、フィルム形状のものであっても、シート形状のものであっても良い。熱可塑性合成樹脂としては、公知のものを用いることが可能であり、軟質の熱可塑性合成樹脂が挙げられる。
【0017】
下層7の材料は、立体模様片の目的に応じて適宜選択される。立体模様片が、ワッペン、エンブレム等の場合には、布帛であって良い。一方、シール状のものであって、制服等の被装着物に熱転写で接着するタイプのものとする場合には、熱可塑性合成樹脂フィルムと、該熱可塑性合成樹脂フィルムの下面に設けた熱接着ホットメルトフィルムであっても良い。下層7は、従来技術に基づき適宜選択される。
【0018】
図5に示すように、上層3のみで、立体的な模様を形成することは可能である。しかしながら、嵩高な模様(高さのある模様)が求められる場合には、中間層を配置しても良い。中間層の材料としては、熱可塑性合成樹脂が可能であり、後述のような製造方法により、該中間層材料を発泡体にして、嵩高にしたものが用いられる。
【0019】
また、透明な上層材料3aを用い、透明な上層3の下面に金属蒸着膜層を配置すれば、金属光沢を有する模様片を得ることが可能となる。
【0020】
本発明のシリコーン樹脂層7には、(1)硬化後、透明であること、(2)硬化後の熱伝導率が低いこと、(3)耐薬品、耐溶剤性を有することが求められる。
上層3に賦形された模様、必要な場合には上層3の上面に印刷された模様の可視性を担保するため、硬化後のシリコーン樹脂は、透明であることが求められる。
また、シリコーン樹脂層7は、硬化後の熱伝導率が低いことが求められる。熱伝導率が低いことにより、アイロン等の熱がシリコーン樹脂層7の上から付与されたとしても、上層3に熱が伝わりにくいこととなり、もって、アイロン、熱プレス時の立体模様片の変形を防ぐことが可能となる。
更に、例えば、シンナー、ベンジン、アルコール、ガソリン等の薬品や有機溶剤に対して反応しないことが求められる。耐薬品、耐溶剤性を有することより、ドライクリーニング等をしても、上層3に印刷された模様が剥がれないこととなる。
以上のような特性を有するシリコーン樹脂であれば、公知のものを用いることができ、例えば、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のTSE3450、TSE3032が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。上記特性を有するシリコーン樹脂であれば、印刷用のシリコーンであっても、成型用のシリコーンであっても良い。
【0021】
透明耐熱シリコーン樹脂層7の厚さは、20〜50ミクロンが好ましい。20ミクロン未満だと、耐熱性を十分発揮できない。また、50ミクロンを越えると、成形が甘くなり、シャープな立体模様片とならない。また、50ミクロンを越えると、たとえ透明であっても、シリコーン樹脂層の存在が視認されてしまい、装飾片の外観上、好ましくない。
【0022】
上層3の上面に透明耐熱シリコーン樹脂層7を施す前に、上層材料3aの上面にプライマー13aをスクリーン印刷し、シリコーン樹脂7aが上層3に接着するのを確実にする。本発明において用いられるプライマーとしては、例えば、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のXE15A4274が挙げられるが、本発明は、これに限定されるものではない。透明耐熱シリコーン樹脂7aを上層材料3aに確実に接着できるような機能を有するものであれば、使用することが可能である。
【0023】
本発明の立体装飾片を製造するに際しては、図3図4に示した、高周波誘電加熱の一方の電極たる金型台31と、高周波誘電加熱の他方の電極たる彫金型33とを用いる。尚、図3、4に示した彫金型33において、押圧刃は図示を省略する。
金型台31の表面は、平坦とされている。金型台31は、高周波誘電加熱の一方の電極として機能すればよく、この分野で公知のものを用いることができる。
彫金型33は、上層材料に立体模様を賦形するための押圧刃を有する。彫金型33は、高周波誘電加熱の他方の電極となるものであって、この分野で公知のものを用いることができる。彫金型33は、溶断刃を有していても良い。溶断刃は、成形すべき模様の外輪郭線に沿った尖鋭刃先を有し、上層材料、中間層材料、下層材料を溶断することができるものである。一方、押圧刃の刃先は、上層材料に立体模様を賦形するためのものであって、溶断刃の尖鋭刃先ほど鋭くない。また、押圧刃の刃先は、溶断刃の刃先よりも、上方に位置する。
プライマーのスクリーン印刷、シリコーン樹脂のスクリーン印刷を行う装置は、公知のものを用いることができ、図示を省略する。
【0024】
本発明の第1実施形態の立体装飾辺の製造方法を以下説明する。
先ず、必要ならば、上層材料3aの上面に、公知の方法で、ベタ印刷又は模様を印刷するが、これは必須ではなく、必要に応じて行う。
【0025】
次に、上層材料3aの上面に、プライマー13aをスクリーン印刷する。上述のように、プライマーをスクリーン印刷する装置としては、公知のものを用いることができる。
プライマーを塗布することにより、シリコーン樹脂を上層材料の上面に確実に装着することができることとなる。
【0026】
次に、プライマー13aが塗布され、上面にプライマー層13が形成された上層材料3aの上面に、シリコーン樹脂7aをスクリーン印刷し、公知の加熱炉に入れて、60〜120℃の温度で40〜60分間加熱して、焼き付けを行う。温度が高すぎたり、加熱時間が長すぎると、熱可塑性合成樹脂フィルムが収縮してしまう。尚、上記温度及び時間は、一例であって、材料によって適宜変更できるものである。
上述のように、シリコーン樹脂をスクリーン印刷する装置としては、公知のものを用いることができる。
【0027】
シリコーン樹脂、プライマーをスクリーン印刷することにより、シリコーン樹脂の均一な厚みを確保できる。吹き付けやコーティングでは、均一な厚みを得ることが難しく、グラビア印刷法は、ロール材料が必要で、枚葉での塗布が難しい。また、スクリーン印刷とすることで、表面印刷からシリコーン塗布まで一貫した流れ作業が可能となり、製造コストの低減にも繋がる。シリコーンの焼き付けも、印刷を乾燥させる加熱炉でできることより効率的である。
【0028】
以上のように、上層材料3aの上面にシリコーン樹脂層7を形成した後、前記金型台31と彫金型33とにより、高周波誘電加熱を行い、上層材料3aに立体模様を賦形して上層3とし、また、上層材料3aと中間層材料9aと下層5aとを溶着する。高周波誘電加熱としては、公知の方法を用いることが可能である。
【0029】
その後、公知技術により、下層材料の溶断、又はトムソン刃により外周カットを行い、装飾片1を形成する。この場合、図柄の外側は、ベタ押えやライン押え、エンボス押え等をすれば良い。
下層材料が布帛の場合には、トムソン刃により下層材料をカットする。
【0030】
図8〜10は、本発明の第2実施形態により製造された立体装飾片101及びその製造方法を示す。本発明の第2実施形態の立体装飾編は、例えば、警備会社、鉄道会社等の制服に装着される飾り紐(金モール)であって、図8は、その平面図及び側面図である。図示実施形態の飾り紐は、底面が平面とされ、平面(上面)に立体的模様が賦形されており、底面を被服等の被装着物に接して、被装着物に縫い付けるか、或いは接着剤により接着させることにより、被装着物に装着される。
図8においては、図8の左右方向は、飾り紐の長さ方向、同図の上下方向は飾り紐の幅方向である。図8に示す飾り紐は、幅方向中央に、長さ方向に延びる中心線があり、該中心線に向かって斜め方向に立体模様が形成されている。
【0031】
本発明の第2実施形態の立体装飾片101は、上層103と、中間層109と、下層105とよりなる。
上層103の材料103aは、上述の第1実施形態のものと同じく、高周波誘電加熱により成形することができる、熱可塑性合成樹脂であり、フィルム形状のものであっても、シート形状のものであっても良い。
下層105の材料105aは、上述の第1実施形態のものと同じく、立体模様片の目的に応じて適宜選択される。
【0032】
本発明の第2実施形態にあっては、上層103と下層105との間に、中間層109が配置されている。中間層109の材料109aは、上述の第1実施形態のものと同じく、熱可塑性合成樹脂が可能であり、該中間層材料を発泡体として、嵩高にしたものが用いられる。
該中間層109を配置することにより、嵩高な立体装飾片を得ることができる。
【0033】
また、本発明の第2実施形態にあっては、上層103の下面に、金属蒸着膜層115が配置されている。上層103が透明ならば、上層103を通して金属蒸着膜層115の金属光沢を視認することができ、金モールの如き外観とすることができる。
【0034】
本発明の第2実施形態の立体装飾片101は、図9に示した金型台131と、押圧刃135を有する彫金型133とを用いて製造される。
本発明の第1実施形態と同じく、先ずは、上層材料103aの上面にプライマー13aをスクリーン印刷して、プライマー層13を形成し、その後、プライマー層13の上面にシリコーン樹脂107aをスクリーン印刷し、シリコーン樹脂の焼き付けを行って、シリコーン樹脂層107を形成する。
【0035】
金型台131上に、中間層材料109aを載置し、該中間層材料109aの上に金属蒸着膜層115を載置し、該金属蒸着膜層115の上に、プライマー層13及びシリコーン樹脂層107が形成された上層材料103aを載置する。
上方から彫金型133を下降させ、押圧刃135により上層材料103a及び中間層材料109aを押圧すると共に、高周波誘電加熱し、上層材料103aに立体模様を賦形する。
高周波誘電加熱することにより、上層材料103aと中間層材料109aとは互いに溶着する。
【0036】
上層材料103aと中間層材料109aとが溶着された半製品に、下層を装着する。半製品への下層の装着は、公知の方法により行われる。下層が熱可塑性樹脂製ならば、半製品と下層材料とを溶着する。
尚、この装飾片を、熱接着により被服に装着する場合には、下層105の下面に、更に熱接着フィルム117(図10)を配置しても良い。
【0037】
下層を装着後、不要部分を取り除く。不要部分の取り除きは、公知の方法により、不要部分をカットすることにより行われ、立体装飾片の外形に合わせた溶断刃143を有するカッターを用いることができる。代わりに、下層材料が溶断可能である場合(即ち、下層材料が熱可塑性合成樹脂製である場合)には、立体装飾片の外形に合わせた溶断刃143を有する第二彫金型141であっても良い。
尚、図示実施例の飾り紐(金モール)は、幅方向中央の溝部分において、布に縫いつけることにより、被服に装着することができる。
【実施例】
【0038】
上述の方法により製造した本発明の第一実施形態の装飾片を、JIS−L− 0850−1944 A−3号の乾燥試験(加熱温度:200℃±2℃、加熱温度:15秒、加圧力:4±1キロパスカル)に基づき、多織交織布を隣接してホットプレッシングしたところ、変退色、汚染共に5級をクリアしており、透明耐熱シリコーン樹脂層の存在により、ホットプレスに耐えることが分かった。
また、JIS−L− 0860−2008 A−1法の耐ドライクリーニング性について試験をしたところ、変退色、汚染に関して、いずれも5級をクリアした。更に、JIS−L−1096 J−1法によって、外形変化(変退色)についても試験をしたが、50回後で5級、80回後でも5級をクリアした。以上より、透明耐熱シリコーン樹脂層の存在により、ドライクリーニングによっても、変退色や汚染が生じないことが分かった。
【符号の説明】
【0039】
1:装飾片、
3:上層、
3a:上層材料、
5:下層、
5a:下層材料
7:シリコーン樹脂層、
7a:シリコーン樹脂、
9:中間層、
9a:中間層材料、
13:プライマー層、
13a:プライマー、
31:金型台、
33:彫金型、
41:第二金型、
43:溶断刃、
101:装飾片、
103:上層、
103a:上層材料、
105:下層、
105a:下層材料
107:シリコーン樹脂層、
109a:中間層材料、
115:金属蒸着膜層、
131:金型台、
133:彫金型、
135:押圧刃、
141:第二金型、
143:溶断刃、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10