(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。なお、
図1から
図5は本発明の一実施形態に係る収容体を示す図であり、
図1は全体構成を示す図、
図2は収容体の注出部に溶着される割り栓の斜視図、
図3は割り栓を構成する栓体を示す図であり、(a)は圧接面側から見た図、(b)はシート状部材の溶着側から見た図、(c)は側面図、
図4は
図3(b)のA−A線に沿った断面図、そして、
図5は割り栓の薄膜部が密着した状態を示す部分断面図である。
【0014】
本実施形態に係る収容体1は、例えば、
図1に示すような形態で構成することができ、シート状部材3a,3bを重ね合わせ、斜線で示す部分をヒートバー等によって熱溶着することによって、その収容体本体が形成される。
【0015】
前記シート状部材3a,3bは、柔軟性を有する合成樹脂製のシート(プラスチックフイルム)、例えば、溶着し易いように、ポリエチレンやポリプロピレンなどによって構成されており、公知のように、その表面側に、収容物に対するバリア性(ガスバリア性および遮光性)を高めるように、ナイロン、アルミホイルなどを積層した、いわゆる複合層で構成されることが好ましい。
【0016】
上記したように、シート状部材3a,3bは、図に示す斜線領域(側縁部5,6、及び下縁部7)をヒートバーによって熱溶着することにより、液体や半流動体のような内容物が収容される収容部4Aを有する収容体本体4が形成される。この場合、本実施形態では、下縁部7に底壁8が溶着されており、自立体として構成されている。
【0017】
重ね合わせたシート状部材3a,3bの一部には、収容部4Aに収容される内容物を注出するための注出部10が形成される。本実施形態の注出部10は、収容体本体4の上端角部に形成されており、この部分に、後述する割り栓20が介在して配設される。また、注出部10は、カットすることで開口する注出口10aを有している(カットラインを符号Cで示しており、注出口10aは未溶着となる)。すなわち、カットラインCを開口することで、注出口10aが開口し、この部分から、割り栓20を介して内容物が注出される。
【0018】
なお、内容物は、収容体本体4の周囲の溶着部の一部、例えば、上縁部9の一部を未溶着にして開口9aを形成しておき、この部分から充填した後、開口9aを溶着することで収容部4Aに収容することが可能である。すなわち、シート状部材3a,3bの周囲を溶着すると共に、上端角部に割り栓20を介在し、開口9aを介して内容物を充填した後、開口9aを溶着することによって、内容物入りの収容体1を製造することが可能である。
【0019】
本実施形態の収容体1は、図示のように、自立体として構成されているが、単にシート状部材3a,3bの外周縁部を溶着しただけの非自立体として構成されていても良い。また、シート状部材3a,3bの溶着する部分や、収容体本体4を構成するシート状部材3a,3bの形状、配置、注出部の位置等については、使用用途などに応じて適宜変形することができ、特に限定されることはない。
【0020】
上記したように、収容体1の注出部10には、内容物を注出するための割り栓20が介在される。具体的に、割り栓20は、
図2および
図3に示されるように、シート状部材3a,3bとの溶着によって互いに対向して圧接される一対の栓体21,31によって構成されている。なお、各栓体21,31は同一形状に構成されるため、以下においては、一方の栓体21について説明する(栓体31については、栓体21と同一の構成要素については同一の参照符号を付してある)。
【0021】
栓体21は、例えば、合成樹脂によって一体形成されており、相手の栓体(相手側部材)31の本体部と密着するように、平坦状に形成される圧接面22aを備えた本体部22を有している。本体部22の形状は特に限定されることはないが、本実施形態では、略直方体形状(平面視した際、略矩形形状)に形成される基部22Aと、基部の上端を拡張して略半円板形状(平面視した際、略半円形状)とした拡張部22Bを備えている。すなわち、基部22Aに対して更に略半円形状の拡張部22Bを形成することにより、圧接面22aの領域を拡大している。
【0022】
前記本体部22の縁部、すなわち、本体部を構成する拡張部22Bの縁部には、外方に移行するに従って薄肉厚化する薄膜部23が形成されている。この薄膜部23は、本体部(拡張部22B)の肉厚に対して次第に薄肉厚化するよう形成されており、
図4に示すように、本体部(拡張部22B)に対して所定角度曲がった状態で縁部の周囲に一体形成されている。このため、同一形状の栓体21,31の圧接面22a同士を密着させると、それぞれの薄膜部23は、互いに接近する方向に曲がっていることから、それぞれ弾性力に抗して互いが密着するようになり、
図5に示すように、圧接面22a部分のみならず、薄膜部23においても密着した状態が得られるようになる。
【0023】
前記薄膜部23は、略半円形状の拡張部22Bの縁部に沿って一体形成されることから、略180°に亘ってこのような縁部による密着領域(略円弧形状の密着領域)が得られるようになる(
図3(a)において、相手側の薄膜部と密着する部分を斜線で示してある)。
【0024】
前記割り栓20の各栓体21,31の表面側(圧接面と反対面側)は、注出部10において、シート状部材3a,3bの内面に溶着されるが、溶着については、各栓体の密着状態が維持され、かつ、内容物を注出する際、各栓体21,31が互いに離反して注出流路が生じる程度に溶着されていれば良い。すなわち、表面の少なくとも一部がシート状部材に溶着されていれば良く、本実施形態では、
図1及び
図6(a)の斜線で示すように、本体部22を構成する基部22Aに、線状に溶着されている。この場合、
図1及び
図6(a)に示すように、各栓体21,31を密着させて溶着すると、薄膜部23の頂部領域に前記注出口10aが位置するように位置付けがされる。
【0025】
前記各栓体21,31は、互いに圧接面同士を密着させた状態で、シート状部材3a,3bの注出部10に介在して溶着することから、栓体同士の位置決めができるように、圧接面部分に凹凸等の位置決め部を形成しておくことが好ましい。また、各栓体21,31には、シート状部材3a,3bが溶着し易いように、本体部(基部22A)の両端に、それぞれ傾斜部25を形成しておくことが好ましい。
【0026】
さらに、本実施形態では、収容部4Aに外力が加わった際、密着した圧接面同士が離間して注出流路が確保され易いように、各栓体21,31の圧接面22aには、収容部4A内の圧力を受けるように、基部22Aの下端で開口する凹陥状の受圧部26が形成されている。すなわち、このような受圧部26を形成しておくことで、収容部4Aに外圧(押圧力)を作用させると、互いに面する受圧部26によって形成される開口26aを通じて直ちに押圧力が作用し、栓体21,31同士を離間させる作用力へと効率的且つ効果的に変換できるため、割り栓20の開栓応答性を高めることができると共に注出流路が確保され易くなる。
【0027】
次に、上記したように構成される収容体1の作用について、
図1から
図6(a)を参照しながら説明する。
内容物が収容された収容体1から内容物を注出する際には、
図1及び
図6(a)に示すカットラインCに沿って開封する。カットラインCの部分をカットすることで、注出口10aが開口状態となる。
【0028】
カットラインCに沿ってカットしたら、今度は、手で収容体1を挟圧するなどして収容部4Aに対して外圧を加えると、その外圧に伴って内容物が押し出され、その際の押圧力により、栓体21,31同士が離間するように押し広げられ、互いに面接した部分に注出流路が確保される(割り栓20が開栓する)。具体的には、外圧に伴う内容物の押圧力(収容部4A内の圧力)は、各栓体21,31の開口26aを通じて凹陥状の受圧部26に作用するため、栓体21,31が互いに拡がる方向に撓み、圧接面22a同士を離間させて注出流路が確保される。
【0029】
また、弾性的に密着状態にある薄膜部23も互いが離反し、注出流路が確保される(
図6(a)では、そのような注出流路を矢印で示すとともに、薄膜部に形成される注出流路を格子部分で示している)。このため、内容物は、各圧接面の間、及び薄膜部23の間の注出流路、及び注出口10aを介して注出される。
なお、このときの内容物の注出量(流出量)については、収容部4A内の内圧(挟圧力)を制御することにより調整可能である。
【0030】
そして、収容体1に対して加えていた外圧を解除すると、受圧部26に作用する押圧力がなくなり、これにより栓体21,31の離反が解消され、圧接面同士は再び密着する。また、離反していた薄膜部23同士も、その弾性力によって密着する。すなわち、圧接面22a同士が再び密着し、かつ、薄膜部23同士も密着することで、外気が収容部内に入り込むことはない。このように収容部4Aに対して外圧を加えることで、内容物は流出するものの、このとき、外気が収容部内に入り込むことはなく、かつ、外圧を解除することで、直ちに注出流路が閉塞されるため、内容物と外気が反応するようなことはない。また、本体部の縁部領域に形成されている薄膜部23同士が弾性的に密着することにより、注出流路は確実に封止されるようになる。
【0031】
上記した構成によれば、圧接部(本体部)の縁部に弾性的に密着可能な薄膜部23を形成しているため、各栓体の成形時における圧接面の反り、歪み、及び割り栓をシート状部材に溶着するときの反り等の影響によって圧接面同士の密着効果が十分に維持できなくても、薄膜部23同士が弾性的に密着することから、シール性を確実に維持することが可能となる。特に、本実施形態のように、本体部に略半円形状の拡張部を形成したことにより薄膜部の領域を広く確保することができ、かつ、その頂部領域に注出口を配設したことで、効率的にシール効果を高めることが可能となる。
【0032】
なお、上記した実施形態では、割り栓20の栓体21,31は、互いに圧接面22a同士を密着させた状態で、シート状部材3a,3bの注出部10(シート状部材3a,3bの内面同士の間)に介在して溶着されるが、各栓体21,31の圧接面22aが、対応するシート状部材3a,3bの外面に溶着された状態で、シート状部材3a,3bの外側から互いに対向して圧着されても同様の作用効果を奏することができる。すなわち、各栓体は、重ねたシート状部材3a,3bを介在した状態で、相手側の栓体に圧接するような構成であっても同様の作用効果が得られる。
【0033】
また、
図6(b)に示されるように、薄膜部23の外側にその略半円形状に沿って所定幅の未溶着領域(シート状部材3a,3b同士が溶着されない領域)38を設けてもよい。このような未溶着領域38を設けると、収容部4Aに対して加える外圧に伴って押し出される内容物は、離間するように押し広げられる栓体21,31同士の間(押し広げられた薄膜部23間)を通り、未溶着領域38に沿って流れて、注出口10aから注出されるようになる。そして、収容体4Aに対して加えていた外圧を解除すると、各栓体21,31の薄膜部23同士が弾性的に密着し、未溶着領域38には、先の注出時に流れ込んだ内容物が貯留されることとなり、これによりシール効果をより高めることが可能となる。
【0034】
本発明に係る収容体は、上記したような割り栓タイプではなく、単体の栓体を注出部に配設しても同様な作用効果を得ることが可能である。特に、収容体に用いられるシート状部材の厚さが厚い(150μm程度)とき、圧接面との密着性が確保されやすくなるため、
図7に示すように、上記した構成の栓体21を単体で注出部10の部分に介在しても良い。
【0035】
この場合、栓体21の表面側は、例えば
図6(a)に示したような位置で重ねた一方のシート状部材に溶着され、裏面側(圧接面22a側)は、重ねた他方のシート状部材(相手側部材)が密着するように配設される。
このような構成によれば、収容部に押圧力を作用させると、図の矢印で示す領域、及び格子状の部分でシート状部材と圧接面22aとの間で注出流路が確保され、押圧力を解除すると圧接面22aがシート状部材に密着するとともに、薄膜部23が弾性的にシート状部材に密着するため、より簡単な構成で確実なシール効果を発揮する収容体が得られるようになる。なお、本構成においても、
図6(b)に示されるような未溶着領域38を薄膜部23の外側に設けてもよい。
【0036】
図8は、栓体21が単体で注出部10の部分に介在されて成る
図7の構成の変形例を示している。
この変形例では、栓体21の本体部22の圧接面22aが、これと対向する相手側部材であるシート状部材3aに対して溶着される溶着部39を有する。この溶着部39は、薄膜部23と受圧部26との間に位置されており、具体的には、薄膜部23に沿うように延びる円弧状の外周部位39aと、受圧部26に対向するとともに、受圧部26から離れるように円弧状に延びる外周部位39bとで囲まれる領域が溶着されて溶着部39を構成する。このため、受圧部26から注出口10aへと至る略円環状の流路42が確保される。
【0037】
これにより、手で収容体1を挟圧するなどして収容部4Aに対して外圧を加えると、その外圧に伴って内容物が押し出され、その際の押圧力により、シート状部材3aが、溶着部39を除く栓体21の圧接面22aおよび薄膜部23から離間するように押し広げられ、溶着部39の周囲に内容物を注出するための流路42が生じる。すなわち、受圧部26を通じて注出部10へと流れ込む内容物は、
図8の矢印で示されるように、溶着部39の外周部位39bに沿って溶着部39の両側へと分配されて流れ、溶着部39と薄膜部23との間の流路42を通って(押し開かれた薄膜部23に沿って流れて)注出口10aで合流して注出されるようになる。
【0038】
このように、栓体21の本体部22の圧接面22aに、一方のシート状部材3aに溶着される溶着部39を設けておくと、シール性が更に向上し、収容部4A内への外気の流入を確実に防止できる(外気遮断効果が更に向上する)。
【0039】
図9および
図10は本発明の第3の実施形態を示している。図示のように、本実施形態の収容体も、
図7および
図8に示す第2の実施形態と同様に、栓体が単体として構成され、重ねたシート状部材の注出領域に介在される。また、本実施形態の栓体40は口栓60を一体に備えた構成となっている。
【0040】
具体的に、本実施形態の栓体40は、例えばポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂によって形成されており、一方のシート状部材3aが密着される平坦状の圧接面42aを有する略直方体形状(平面視した際、略矩形形状)の本体部42と、本体部42と一体に形成されて収容物を注出できる注出孔61(
図10参照)を有する口栓60とを有している。なお、口栓60には、収容部4Aを閉塞するキャップ(栓)41が着脱可能に取着されており、このキャップ41は、
図10に示されるように、口栓60の外周に形成された雄ネジ60aに螺合することで、収容部4Aを閉塞するようになっている。このため、使用時において、キャップ41を口栓60から外し、注出口10aを露出させた状態で内容物を注出した後は、キャップ41を再び口栓60に螺合することで、内容物を再び閉塞することが可能となっている。
【0041】
前記口栓60の下方側には、シート状部材3a,3b間に介在されて溶着される溶着体43が本体部42と一体形成されている。前記溶着体43は、重ねた状態のシート状部材3a,3bの内面と溶着し易いように、断面が楕円形状(断面舟型形状であり、円形状のようなものを含む)に形成されており、本体部42の上縁で本体部42から側方に膨出している。なお、溶着体43には、注出口10aが形成されており、この注出口10aは口栓60の注出孔部61に連通している(
図10参照)。また、本体部42の下端縁には、前述した実施形態と同様、収容部4A内の圧力を受ける凹陥状の受圧部26が形成されている。
【0042】
また、栓体40には、シート状部材(相手側部材)3aと密着される圧接面42aの側に、溶着体43の側面から本体部42の圧接面42aへ向かってテーパ状に延びるテーパ面47が形成され、このテーパ面47により、注出口10aを圧接面42a側に開口させる湾曲面51が注出口10aの下方に形成される。そして、本実施形態では、この湾曲面51に連接して、溶着体43の注出口10aの下方に、圧接面42aを正面から見て略半円状(三日月状)に延びる貫通開口50が圧接面42aに形成されており、この貫通開口50の略半円形状に沿うように延びる舌片状の薄膜部48が本体部42と一体形成されている。
【0043】
前記薄膜部48は、本体部42から切り出されるように形成されており、本体部42の表面(圧接面42aと反対側の本体部42の外面)上の例えば円弧状を成す起点ライン52を発端として先端側へ先細るように延びる(先端に移行するに従って薄肉厚化している)テーパ面48aを本体部42の表面側に有する。すなわち、薄膜部48は、本体部42に対して所定角度曲がった状態で湾曲状に延びて、その先端側が圧接面42aから略円弧状に突出した状態になっている。そして、この薄膜部48は、貫通開口50の存在により、シート状部材3aから受ける圧接力または注出時に内容物から受ける押圧力によって圧接面42aと反対側の表面へ向けて逃げることができるようになっている。なお、この薄膜部48の略円弧状の頂部領域は注出口10aと対向して位置される。
【0044】
このような構成の栓体40は、注出部10におけるシート状部材3a,3b間に介在して配設され、シート状部材3a,3bに対して以下のように溶着される。なお、シート状部材3a,3bと栓体40との溶着部分が
図9(a)に斜線で示されるとともに、
図9(d)に黒色で塗りつぶして示されている。
【0045】
具体的に、栓体40は、本体部42の圧接面42a側が、重ねたシート状部材の一方3aと弾性的に密着されると共に、溶着体43の側面部位からテーパ面47にわたって注出口10aの手前までシート状部材3aに溶着される。その溶着部が
図9(a)(d)にW1で示されている。また、圧接面42aは、三日月状の貫通開口50と、受圧部26の両側と、受圧部26および薄膜部48を含むこれらの間の領域とを残すように溶着される(前述した第1の実施形態の栓体21とほぼ同様な形状の未溶着領域を内側に残すように、溶着部W4でシート状部材3aと溶着される)。
【0046】
更に、圧接面42aは、
図8に示された実施形態と同様にシート状部材3aに対して溶着される。そのような溶着部が
図9(a)(d)にW2で示されている。前述したように、この溶着部W2は、薄膜部48と受圧部26との間に位置しており、その外周部の一部が薄膜部48と対向するように薄膜部48の略円弧形状に沿って延びている。具体的には、溶着部W2は、薄膜部48と対向する外周部位が薄膜部48の略円弧形状に沿って延びるとともに、受圧部26と対向する外周部位が受圧部26に沿って略円弧状に延びており、受圧部26から注出口10aへと至る略円環状の流路を確保できるようにシート状部材3aに対して溶着される。
【0047】
また、圧接面42aと反対側の栓体40の表面は、その少なくとも一部が他方のシート状部材3bに溶着される。本実施形態では、溶着体43の側面部位とシート状部材3bとが溶着部W5で溶着されるとともに、本体部42の下側部位が溶接部W3でシート状部材3bと線状に溶着される。
【0048】
なお、このような溶着をする場合、栓体40とシート状部材3a,3bとの密着状態が維持され、かつ、内容物を注出する際にシート状部材3aが栓体40から離間して注出流路が確保される程度に溶着がされていれば良い。このような溶着状態では、栓体40の薄膜部48がシート状部材3aと弾性的に密着するように変形し(
図9(d)参照)、そのような弾性的に密着した領域が三日月状の貫通開口50に沿って略180°に亘り得られるようになる。
【0049】
上記した構成によれば、手で収容体1を挟圧するなどして収容部4Aに対して外圧を加えると、その外圧に伴って内容物が押し出され、その際の押圧力により、シート状部材3aが、溶着部W2,W4を除く栓体40の圧接面42aおよび薄膜部48から離間するように押し広げられ、溶着部W2の周囲に内容物を注出するための流路が確保される。そのため、受圧部26を通じて注出部10へと流れ込む内容物は、
図10の矢印で示されるように、溶着部W2の両側へと分配されて流れるとともに、押し広げられた薄膜部48を通って三日月状の貫通開口50に沿って流れ、注出口10aで合流して口栓60を通じて注出されるようになる。
【0050】
一方、収容体1に対して加えていた外圧を解除すると、受圧部26に作用する押圧力がなくなり、これによりシート状部材3aと栓体40との離間状態が解消され、シート状部材3aと圧接面42aおよび薄膜部48とが再び弾性的に密着する。したがって、外気が収容部内に入り込むことはなく、前述した第1および第2の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。なお、薄膜部48とシート状部材3aとが弾性的に密着した状態では、貫通開口50に、先の注出時にこの貫通開口50に流れ込んだ内容物が貯留されてシール効果が高められる。
【0051】
図11〜
図13は本発明の第4の実施形態を示している。図示のように、本実施形態の収容体は、前述した第1の実施形態と同様に、一対の栓体70,80から成る割り栓40Aが注出部10の部分に介在されて成る。
【0052】
具体的に、本実施形態の割り栓40Aは、第3の実施形態の栓体40と類似した形態を成す第1の栓体70と、第2の栓体80とを備えている。なお、以下、第3の実施形態の栓体40と同様の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0053】
図11に示されるように、第1の栓体70は、第3の実施形態と同様に、第2の栓体80の圧接面42aと密着される平坦状の圧接面42aを有する略直方体形状の本体部42と、本体部42と一体に形成される口栓60とを備えている。また、口栓60の下方側には、シート状部材3a,3b間に介在されて溶着される断面舟型形状の溶着体43が本体部42と一体形成される。また、溶着体43の注出口10aの下方には、圧接面42aを正面から見て略半円状(三日月状)に延びる貫通開口75が圧接面42aに形成され、この貫通開口75の略半円形状に沿うように延びる舌片状の薄膜部72が本体部42と一体形成されている。
【0054】
前記薄膜部72は、第3の実施形態と同様、本体部42から切り出されるように形成されており、本体部42の表面(圧接面42aと反対側の本体部42の外面)上の例えば円弧状を成す起点ライン52を発端として先端側へ先細るように延びる(先端に移行するに従って薄肉厚化している)テーパ面72aを本体部42の表面側に有する。すなわち、薄膜部72は、本体部42に対して所定角度曲がった状態で湾曲状に延びて、その先端側(外方側)が圧接面42aから円弧状に突出している。そして、この薄膜部72は、貫通開口75の存在により、後述する第2の栓体80の薄膜部82から受ける圧接力または注出時に内容物から受ける押圧力によって圧接面42aと反対側の表面へ向けて逃げることができるようになっている。
【0055】
なお、この薄膜部72は、前述した実施形態と同様、外方(先端)に移行するに従って薄肉厚化している。また、前述した実施形態と同様、薄膜部72の略半円形状の頂部領域は注出口10aと対向して位置される。
【0056】
一方、第1の栓体70と対向して配設される第2の栓体80は、第1の栓体70から口栓60および溶着体43を省いた構造にほぼ相当している。すなわち、
図11に示されるように、第2の栓体80は、第1の栓体70の圧接面42aと密着される平坦状の圧接面42aを有する略直方体形状の本体部42を備えている。この本体部42の上端には、第1の栓体70に第2の栓体80が対向して嵌め付けられる
図13の状態で、第1の栓体70と協働して注出口10aの下端部位を形成する半円状の凹部59が形成される。また、第2の栓体80の本体部42の圧接面42aには、凹部59の下方に、圧接面42aを正面から見て略半円状(三日月状)に延びる貫通開口85が形成され、この貫通開口85の略半円形状に沿うように延びる舌片状の薄膜部82が本体部42と一体に形成されている。
【0057】
略半円形状の薄膜部82は、本体部42から切り出されるように形成されており、本体部42の表面(圧接面42aと反対側の本体部42の外面)上の例えば円弧状を成す起点ライン52を発端として先端側へ先細るように延びる(先端に移行するに従って薄肉厚化している)テーパ面82aを本体部42の表面側に有する。すなわち、薄膜部82は、本体部42に対して所定角度曲がった状態で湾曲状に延びて、その先端側(外方側)が圧接面42aから円弧状に突出している。そして、この薄膜部82は、貫通開口85の存在により、第1の栓体70の薄膜部72から受ける圧接力または注出時に内容物から受ける押圧力によって圧接面42aと反対側の表面へ向けて逃げることができるようになっている。
【0058】
なお、この薄膜部82は、外方(先端)に移行するに従って薄肉厚化しており、この頂部領域も
図13に示す嵌合状態で注出口10aと対向して位置するようになっている。このため、第1の栓体70に第2の栓体80を組み付けると、貫通開口75,85が一致し、一致した貫通開口に沿って薄膜部72,82同士が弾性的に密着するようになる。
【0059】
このような構成の割り栓40Aは、注出部10におけるシート状部材3a,3b間に介在して配設され、シート状部材3a,3bに対して溶着される。具体的には、第1の栓体70に第2の栓体80が
図13に示されるように嵌め付けられた状態でシート状部材3a,3b間に介在して溶着される。この状態では、各栓体70,80の圧接面42a同士が密着するとともに、各栓体70,80の薄膜部72,82同士は弾性力に抗して互いに密着される(弾性的に密着して押圧変形する)。なお、一致した貫通開口75,85の上縁部位79,89同士についても、変形して互いに密着するように構成されていることが好ましい。また、このような割り栓40Aは、第1および第2の栓体70,80の表面(圧接面42aと反対側の面)が、第3の実施形態の栓体40の外表面(圧接面42aと反対側の面)と同様な形態でシート状部材3a,3bに対して溶着される。
【0060】
このような構成では、手で収容体1を挟圧するなどして収容部4Aに対して外圧を加えると、その外圧に伴って内容物が押し出され、その際の押圧力により、栓体70,80同士が離間するように押し広げられ、互いに面接した部分に注出流路が確保される(割り栓40Aが開栓する)。具体的には、外圧に伴う内容物の押圧力(収容部4A内の圧力)は、各栓体70,80の受圧部26に作用するため、栓体70,80が互いに拡がる方向に撓み、圧接面42a同士を離間させて注出流路が確保される。
【0061】
また、弾性的に密着状態にある薄膜部72,82も互いが離反し、注出流路が確保される。このため、受圧部26を通じて注出部10へと流れ込む内容物は、
図12,13に矢印で示されるように、各圧接面42a,42a間および薄膜部72,82間の注出流路を通じて流れるとともに、貫通開口75,85に沿って流れ、注出口10aで合流して口栓60を通じて注出されるようになる。
【0062】
そして、収容体1に対して加えていた外圧を解除すると、受圧部26に作用する押圧力がなくなり、これにより栓体70,80の離反が解消され、圧接面42a同士は再び密着する。また、離反していた薄膜部72,82同士も、その弾性力によって密着する。すなわち、圧接面42a同士が再び密着し、かつ、薄膜部72,82同士も密着することで、外気が収容部4A内に入り込むことはない。したがって、前述した第1ないし第3の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。なお、薄膜部72,82同士が弾性的に密着した状態では、貫通開口75,85に、先の注出時にこの貫通開口75,85に流れ込んだ内容物が貯留されるため、シール効果が高められる。
【0063】
図14〜
図16は本発明の第5の実施形態を示している。図示のように、本実施形態の収容体90は、前述した第3の実施形態の変形例であり、第3の実施形態における栓体40の本体部42が内容物の収容部を形成している。
【0064】
具体的に、本実施形態の収容体90は、第3の実施形態とほぼ同じ構造を成す栓体本体部42を有し、この栓体本体部42の圧接面42aには、第3の実施形態の溶着部W2と同様の形態の溶着部W2が同様の配置状態で設けられている。また、略半円形状に沿うように延びる薄膜部92が本体部42と一体形成されている。この略円弧状の薄膜部92は、本体部42の表面上の例えば円弧状を成す起点ラインを発端として圧接面42aから起立して離れるように突出して延びている。また、薄膜部92は、本体部42に対して所定角度曲がった状態で湾曲状に延びて、外方(先端)に移行するに従って薄肉厚化している(
図14の(c)参照)。また、本体部42は、シート状部材3aと共に内容物の収容部Sを形成するように注出部から延在する延在部42Aを有しており、この延在部42Aは、収容部Sを形作るように、栓体側から凹状に窪む凹陥膨出部91を有する。
【0065】
そして、本体部42は、その延在部42Aも含めてシート状部材3aと重ね合わされて周囲が(溶着部W2も含めて)溶着されることにより、注出部と収容部Sとを形成する(溶着部が
図14の(a)に斜線で示されている)。
図15に示される溶着状態では、薄膜部92が相手側部材となるシート状部材3aと弾性的に密着して反り返るように変形する。
【0066】
前記圧接面42a上には、薄膜部92の頂部領域に対応して注出口97が形成されており、この注出口97は、本体部42と一体の口栓60の注出孔部の出口63と連通している。なお、それ以外の構成については、第3の実施形態と同一であるため、第3の実施形態と同じ参照符号を付してその説明を省略する。
【0067】
このような収容体90では、手でシート状部材3aを収容部Sの内側へ押し込むなどして収容部Sに対して外圧を加えると、その外圧に伴って内容物が押し出され、その際の押圧力により、本体部42ではシート状部材3aが溶着部分を除く圧接面42aおよび薄膜部48から離間するように押し広げられ、溶着部W2の周囲に内容物を注出するための流路が確保される。そのため、受圧部26を通じて注出部へと流れ込む内容物は、
図16の矢印で示されるように、溶着部W2の両側へと分配されて流れるとともに、溶着部W2と薄膜部92との間の半円環状の滞留領域93を通じて流れ、押し広げられた薄膜部92を通る。そして、その内容物は、シート状部材3aと本体部42との略円弧状の内側溶着端縁に沿って流れて、注出口97で合流し、口栓60を通じて注出されるようになる。
【0068】
一方、収容体90に対して加えていた外圧を解除すると、受圧部26に作用する押圧力がなくなり、これによりシート状部材3aと栓体本体部42との離間状態が解消され、シート状部材3aと圧接面42aおよび薄膜部92とが再び弾性的に密着する。したがって、外気が収容部内に入り込むことはなく、上述した第1および第2の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。なお、薄膜部92とシート状部材3aとが弾性的に密着した状態では、シート状部材3aと本体部42との略円弧状の内側溶着端縁と薄膜部92との間の領域99に、先の注出時に流れ込んだ内容物が貯留されることから、シール効果が高められる。
【0069】
図17は、第5の実施形態の収容体90の変形例を示しており、収容体90の両側にホースを取り付けられるようになっている。具体的には、本変形例の収容体100において、薄膜部92の略円弧状の頂部領域は、本体部42に形成された注出口120と対応して位置される。また、本体部42には、収容部Sを形成する凹陥膨出部91の底面に注入口121が注出口120と反対側の位置に形成される。
【0070】
また、本体部42の両側からは、注出口120および注入口121と連通するように口部102,104が延びている。これらの口部102,104には、例えば管150,152が着脱自在に取り付けられるようになっている(管150,152間に収容体100を介挿できるようになっている)。なお、各口部102,104の外周面には、各管150,152の口部の雌ネジ(図示せず)と螺合できる雄ネジ102a,104aが形成されていてもよい。
【0071】
このような構成によれば、何らかの管路系内で一時的に流体物を貯留できる収容体を実現することができる。
【0072】
図18は、先に説明した収容体(特に第5の実施形態の収容体90)の栓体構造を利用した注出装置200の一例を示している。この注出装置200は、第3の実施形態の栓体40の本体部42(第5の実施形態の栓体本体部42)と同様の構造を成す本体部42を有する。すなわち、注出装置200の本体部42の圧接面42aには、第3の実施形態の溶着部W2および薄膜部48と同様の形態の溶着部W2および薄膜部92が同様の配置状態で形成されている。この略円弧状の薄膜部92は、本体部42の表面上の例えば円弧状を成す起点ラインを発端として圧接面42aから起立して離れるように突出して延びている(本体部42と一体形成される)。また、薄膜部92は、本体部42に対して所定角度曲がった状態で湾曲状に延びて、外方(先端)に移行するに従って薄肉厚化している(
図18(b)参照(薄膜部92のみ断面で示す))。
【0073】
なお、この薄膜部92の略半円弧状の頂部領域は、本体部42に形成された注出口120と対応して位置される。また、この注出装置200の本体部42には、第3の実施形態の本体部42の受圧部26の代わりに注入口121が溶着部W2と対向し、注出口120と反対側の位置に形成されている。
【0074】
また、本体部42の両側からは、注出口120および注入口121と連通するように口部102,104が形成されている。これらの口部102,104には、例えば管150,152が着脱自在に取り付けられるようになっている(管150,152間に注出装置200を介挿できるようになっている)。なお、各口部102,104の外周面には、各管150,152の口部の雌ネジ(図示せず)と螺合できる雄ネジ102a,104aが形成されていてもよい。
【0075】
また、第3の実施形態と同様に、本体部42には、シート状部材3aが重ね合わされて圧接面42aに密着して配置され、第3の実施形態の圧接面42aと同様な形態で溶着部W2も含めて溶着される(溶着状態が
図18(a)に斜線で示されている)。この溶着状態では、第3の実施形態と同様、
図18(c)に示されるように、薄膜部92がシート状部材3aと弾性的に密着して反り返るように変形する。
【0076】
このような構成の注出装置200においては、管152を通じて流体を注入口121から本体部42内に流入させると、その流体の圧力によって注入口121から注出口120への流路が開かれる。すなわち、注入口121から流入する流体の圧力によって、シート状部材3aが溶着部を除く本体部42の圧接面42aおよび薄膜部92から離間するように押し広げられ、溶着部W2の周囲に流体を注出するための流路が確保される。そのため、注入口121を通じて本体部42内へと流れ込む流体は、
図18に矢印で示されるように、溶着部W2の両側へと分配されて流れると共に、押し広げられた薄膜部92を通り、シート状部材3aと本体部42との略半円状の内側溶着端縁に沿って流れて、注出口120で合流し、口部102を通じて管150側へと注出されるようになる。
【0077】
一方、管152を通じた流体の流れを停止させる(注入口121に流体圧が作用しなくなる)と、シート状部材3aと本体部42との離間状態が解消され、シート状部材3aと圧接面42aおよび薄膜部92とが再び弾性的に密着する。したがって、管152側から管150側への流体の流れが注出装置200によって遮断される。このように、注出装置200は、管150,152間に介在されて管150,152を通じた流体の流れを一方向のみで許容する弁の機能を有する。
【0078】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態の構成に限定されることはなく、種々変形して実施することが可能である。
例えば、栓体21,31,40,70,80の形状については特に限定されることはなく、注出流路が効果的に生じるように、部分的に薄肉厚部を形成したり、圧接面に溝や凹部等が形成されていても良い。また、割り栓や栓体を取着する位置については、収容体の側部、上縁中央部に配設する等、適宜変形することが可能であり、これにより注出時にカットする部分についても適宜変形することが可能である。また、本発明の収容体は、上述した割り栓や栓体に加え、注出口10の部分に、従来のような各種形態のスパウトを溶着した構成でも良い。