(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
成分(a)が少なくとも300g/eqのエポキシ当量を有し、および/または、成分(b)が少なくとも190g/eqのエポキシ当量を有する、請求項1または2に記載の組成物。
成分(b)が、少なくとも3のエポキシ官能価を有するノボラック樹脂を含む、または少なくとも3のエポキシ官能価を有するノボラック樹脂である、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
500g/eqのエポキシ当量を下回るエピクロロヒドリンとビスフェノールAのエポキシ基含有反応生成物を、全組成物に対して最大で3重量%の割合で含む、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
300g/eq未満のエポキシ当量を有するエピクロロヒドリンとポリプロピレングリコールのエポキシ基含有反応生成物を、全組成物に対して最大で3重量%の割合で含む、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
175g/eq未満のエポキシ当量を有するエピクロロヒドリンとノボラックの反応生成物を、全組成物に対して最大で3重量%の割合で含む、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
したがって、本発明の第1の主題は、エポキシ樹脂の全質量に基づいて、
(a)少なくとも10重量%の、少なくとも250g/eqのエポキシ当量を有するエピクロロヒドリンとポリプロピレングリコールのエポキシ基含有反応生成物、および
(b)少なくとも10重量%の、少なくとも175g/eqのエポキシ当量を有するエピクロロヒドリンとノボラック樹脂のエポキシ基含有反応生成物
および少なくとも1つの潜在性硬化剤
を含む反応性エポキシ樹脂の混合物を含んでなる熱硬化性組成物である。
【0011】
本発明によれば、「反応性エポキシ樹脂」は1を超える平均エポキシ官能価を有するプレポリマーとして理解される。反応性エポキシ基の結果、プレポリマーはエポキシ基に対して反応性である他の分子(「硬化剤」と称する)と反応することができ、それにより「硬化」する。
【0012】
本発明の必須第1成分(a)として、本発明の組成物は、少なくとも10重量%の、少なくとも250g/eqのエポキシ当量を有するエピクロロヒドリンとポリプロピレングリコールのエポキシ基含有反応生成物を含む。
【0013】
好ましい実施例において、本発明の組成物は10〜60重量%の成分(a)を含む。25〜45重量%の量が特に好ましい。各場合における量的指標は、他の成分を含まない全反応性エポキシ樹脂の混合物に対する。
【0014】
本発明に基づく実施において、少なくとも300g/eqのエポキシ当量を有するエピクロロヒドリンとポリプロピレングリコールのエポキシ基含有反応生成物が特に有利な特性を示すことを明らかにすることができた。
【0015】
本発明によれば、特に好ましい成分(a)は、Dow社からDER 372(EEW:310〜330g/eq)、DER 732P(EEW:310〜330g/eq)の商品名のもと市販されている反応性エポキシ樹脂である。
【0016】
本発明によれば、300g/eq未満のエポキシ当量を有するエピクロロヒドリンとポリプロピレングリコールの対応するエポキシ基含有反応生成物が、全組成物に対して最大でも3重量%、特に最大でも1重量%である場合が特に有利である。
【0017】
本発明の第2の必須成分(b)として、本発明の組成物は少なくとも10重量%の、少なくとも175g/eqのエポキシ当量を有するエピクロロヒドリンとノボラック樹脂のエポキシ基含有反応生成物を含む。
【0018】
好ましい実施態様において、本発明の組成物は、10〜85重量%の成分(b)を含む。30〜45重量%の数値範囲が特に好ましい。各場合における量的指標は、他の処方成分を含まない全エポキシ樹脂の混合物に対する。
【0019】
本発明に基づく実施において、少なくとも180g/eqの、特に少なくとも190g/eqのエポキシ当量を有するエピクロロヒドリンとノボラックのエポキシ基含有反応生成物が特に有利な特性を示すことを明らかにすることができた。
【0020】
本発明によれば、好適なノボラックはホルムアルデヒドとフェノールおよび/またはクレゾールの重縮合生成物である。
【0021】
さらに、エピクロロヒドリンとノボラックの反応生成物が少なくとも3の、特に少なくとも3.5のエポキシ官能価を有する場合に有利であることが判明した。
【0022】
少なくとも175g/eqのエポキシ当量と同時に少なくとも3のエポキシ官能価を有するエピクロロヒドリンとノボラックの反応生成物が、本発明の課題に関して特に有力であることがわかった。少なくとも180g/eqのエポキシ当量と少なくとも3のエポキシ官能価を有するエピクロロヒドリンとノボラックの反応生成物、特に少なくとも190g/eqのエポキシ当量と少なくとも3.5のエポキシ官能価を有するエピクロロヒドリンとノボラックの反応生成物が特に好ましい。
【0023】
とりわけ、硬化の前の加工性と硬化後の接着強度の所望する特性の組み合わせがこれにより達成される。
【0024】
本発明によると、特に好ましい成分(b)は、DEN 439(EEW:191〜210g/eq、官能価:3.8;Dow製)、Araldite ECN 1299(クレゾール−ホルムアルデヒドノボラック、EEW:235g/eq、官能価:2.5〜5.5;Huntsman製)、Epikote 154(EEW:176〜181g/eq;Hexion製)の商品名のもと市販されている反応性エポキシ樹脂である。
【0025】
本発明によれば、175g/eq未満のエポキシ当量を有するエピクロロヒドリンとノボラックの対応する反応生成物が、全組成物に対して最大でも3重量%、特に最大でも1重量%である場合が特に有利である。
【0026】
本発明の組成物の最適な加工性を確保するために、エポキシ含有組成物が3000Pas以下の粘度を有する場合、特に有利であることがわかった。500Pas以下の粘度を有する調製物がとりわけ好ましいことがわかった。本発明において、粘度測定は25℃で粘度に依存して下記設定のレオメーターを使用して行われる:
− 0.25Pas未満の粘度:測定はせん断速度0〜100/sでコーンおよびプレート(0.04°/25mm)を用いて行う;
− 0.25Pas以上10,000Pas未満の粘度は、平行板(25mm/25mm)を用いて、せん断速度0〜100/sで測定する;
− 10,000Pas以上の粘度は、平行板(25mm/25mm)を用いて、回転速度100rad/sで測定する。
【0027】
本発明によれば、「0〜100/sのせん断速度」での測定は、せん断速度が100秒間に0/s〜100/s増加する測定であると理解される。その後、せん断速度を30秒間一定に保ち、結果を測定する。
【0028】
本発明の剤のさらなる必須特性は、いわゆる引張せん断強度である。引張せん断強度は、下記実験的設定により測定する:
2つのサンドブラストした冷延鋼板試料を、試験を行う接着剤で湿潤し(2.5cm
2の重複領域)、接着する;塗布した接着剤の層厚は0.2mmである。硬化後、接着剤の引張せん断強度をDIN EN 1465に従い、15mm/分の速度で試験する。
【0029】
本発明によれば、接着剤を硬化した後、接着剤が8MPa以上の、特に10MPa以上の引張せん断強度を示す場合が特に有利であることがわかった。硬化工程の速度は、本発明において本質的な役割を果たさない。
【0030】
本発明の好ましい実施態様において、エポキシ樹脂混合物は少なくとも10重量%の、少なくとも500g/eqのエポキシ当量を有するエピクロロヒドリンとビスフェノールAのエポキシ基含有反応生成物をさらに含む。
【0031】
この実施態様において、全エポキシ樹脂の質量に基づいて以下の成分:
(a)少なくとも250g/eqのエポキシ当量を有するエピクロロヒドリンとポリプロピレングリコールのエポキシ基含有反応生成物、10〜60重量%
(b)少なくとも175g/eqのエポキシ当量を有するエピクロロヒドリンとノボラック樹脂のエポキシ基含有反応生成物、15〜85重量%、および
(c)少なくとも500g/eqのエポキシ当量を有するエピクロロヒドリンと少なくとも1つのビスフェノールのエポキシ基含有反応生成物、0〜70重量%
を含む組成物が特に好ましい。
【0032】
この実施態様において、本発明によれば、全エポキシ樹脂の質量に基づいて以下の成分:
(a)少なくとも250g/eqのエポキシ当量を有するエピクロロヒドリンとポリプロピレングリコールのエポキシ基含有反応生成物、10〜60重量%
(b)少なくとも175g/eqのエポキシ当量および少なくとも3のエポキシ官能価を有するエピクロロヒドリンとノボラック樹脂のエポキシ基含有反応生成物、15〜85重量%、および
(c)少なくとも500g/eqのエポキシ当量を有するエピクロロヒドリンと少なくとも1つのビスフェノールのエポキシ基含有反応生成物、0〜70重量%
を含む組成物がとりわけ好ましい。
【0033】
本発明によれば、全エポキシ樹脂の質量に基づいて以下の成分:
(a)少なくとも250g/eqのエポキシ当量を有するエピクロロヒドリンとポリプロピレングリコールのエポキシ基含有反応生成物、30〜45重量%
(b)少なくとも175g/eqのエポキシ当量を有するエピクロロヒドリンとノボラック樹脂のエポキシ基含有反応生成物、30〜45重量%、および
(c)少なくとも500g/eqのエポキシ当量を有するエピクロロヒドリンと少なくとも1つのビスフェノールのエポキシ基含有反応生成物、10〜40重量%
を含む組成物が特に好ましい。
【0034】
本発明によれば、本発明の組成物が少なくとも500g/eqのエポキシ当量を有するエピクロロヒドリンとビスフェノールAのエポキシ基含有反応生成物を0〜70重量%含む場合が特に有利であるとわかった。10〜40重量%の量的範囲が特に好ましい。各場合における量的指標は、他の処方成分を含まない全エポキシ樹脂の混合物に対する。
【0035】
本発明に基づく実施において、少なくとも560g/eqのエポキシ当量を有するエピクロロヒドリンとビスフェノールAのエポキシ基含有反応生成物が特に有利な特性を示すことを明らかにすることができた。
【0036】
本発明において特に好ましい少なくとも500g/eqのエポキシ当量を有するエピクロロヒドリンとビスフェノールAのエポキシ基含有反応生成物は、下記商品名のもと市販されているエポキシ樹脂である:
Epikote(登録商標)1002(EEW:575〜700g/eq;エポキシ官能価:2;Hexion)、
DER(登録商標)662E(EEW:590〜630g/eq;エポキシ官能価:2)、
Epon(登録商標)1002F(EEW:600〜700g/eq;エポキシ官能価:2)、
DER(登録商標)662UH(EEW:675〜750g/eq;エポキシ官能価:2)、
DER(登録商標)663U(EEW:730〜820g/eq;エポキシ官能価:2)、
DER(登録商標)664U(EEW:875〜955g/eq;エポキシ官能価:2)、Epon(登録商標)1009F(EEW:2300〜3800g/eq;エポキシ官能価:2;Hexion)、
Epon(登録商標)1007F(EEW:1700〜2300g/eq;エポキシ官能価:2;Hexion)、
Epon(登録商標)1004F(EEW:800〜950g/eq;エポキシ官能価2;Hexion)、
DER(登録商標)692H(EEW:660〜720g/eq;エポキシ官能価:2;Dow)、
DER(登録商標)692(EEW:660〜720g/eq;エポキシ官能価:2;Dow)。
本発明においては、Epikote(登録商標)1002、DER(登録商標)662E、およびEpon(登録商標)1002Fの商品名で市販されている製品が特に好ましい。本発明によれば、Epon(登録商標)1002Fがとりわけ好ましい。
【0037】
本発明によれば、500g/eqのエポキシ当量を下回るエピクロロヒドリンとビスフェノールAのエポキシ基含有反応生成物が、全組成物に対して最大でも3重量%、特に最大でも1重量%の割合である場合が特に有利である。
【0038】
特に毒物学的関係から、本発明の組成物が本発明の必須成分である前記エポキシ含有反応生成物(a)、(b)および(c)に加えて、それぞれ全調製物に基づいて3重量%未満の、特に1重量%未満のさらなるエポキシ含有反応生成物を含む場合が特に有利であることがわかった。
【0039】
この主題の特に好ましい実施態様において、エポキシ樹脂の混合物は、
(a)少なくとも250g/eqのエポキシ当量を有するエピクロロヒドリンとポリプロピレングリコールのエポキシ基含有反応生成物、10〜60重量%
(b)少なくとも175g/eqのエポキシ当量を有するエピクロロヒドリンとノボラック樹脂のエポキシ基含有反応生成物、15〜85重量%、および
(c)少なくとも500g/eqのエポキシ当量を有するエピクロロヒドリンと少なくとも1つのビスフェノールのエポキシ基含有反応生成物、0〜70重量%
から構成される(成分(a)、(b)および(c)の量の合計は100重量%である)。
【0040】
この主題のとりわけ好ましい実施態様において、エポキシ樹脂の混合物は、
(a)少なくとも250g/eqのエポキシ当量を有するエピクロロヒドリンとポリプロピレングリコールのエポキシ基含有反応生成物、10〜60重量%
(b)少なくとも175g/eqのエポキシ当量および少なくとも3のエポキシ官能価を有するエピクロロヒドリンとノボラック樹脂のエポキシ基含有反応生成物、15〜85重量%、および
(c)少なくとも500g/eqのエポキシ当量を有するエピクロロヒドリンと少なくとも1つのビスフェノールのエポキシ基含有反応生成物、0〜70重量%
から構成される(成分(a)、(b)および(c)の量の合計は100重量%である)。
【0041】
この主題のとりわけ好ましい実施態様において、エポキシ樹脂の混合物は、
(a)少なくとも250g/eqのエポキシ当量を有するエピクロロヒドリンとポリプロピレングリコールのエポキシ基含有反応生成物、30〜45重量%
(b)少なくとも175g/eqのエポキシ当量を有するエピクロロヒドリンとノボラック樹脂のエポキシ基含有反応生成物、30〜45重量%、および
(c)少なくとも500g/eqのエポキシ当量を有するエピクロロヒドリンと少なくとも1つのビスフェノールのエポキシ基含有反応生成物、10〜40重量%
から構成される(成分(a)、(b)および(c)の量の合計は100重量%である)。
【0042】
本発明のさらなる必須成分として、本発明の調製物は少なくとも1つの潜在性硬化剤を含む。
【0043】
対応する量の活性化エネルギーが供給された場合にのみ反応する場合、硬化剤は「潜在性」を意味する。本発明によれば、活性化エネルギーが熱の形態で供給される場合、すなわち、潜在性硬化が好ましくは室温よりもかなり高い温度(例えば80℃以上、または100℃以上)でのみ活性化され、その後エポキシ基と反応する場合が有利であることがわかった。したがって、好ましい実施態様において、接着剤は80〜230℃、特に100〜200℃の温度範囲で硬化する1成分接着剤である。この温度を5〜150分間維持することが好ましい。
【0044】
エポキシ樹脂に対するこのような潜在性硬化剤は、当業者に既知である。例えば、以下の化合物から選択することができる:グアニジン、置換グアニジン、置換尿素、メラミン樹脂、グアナミン誘導体、環状第3級アミン、芳香族アミン、および/またはそれらの混合物。本発明における特に好ましい潜在性硬化剤は、ジシアンアミドである。
【0045】
硬化剤は、化学量論的に硬化反応に組み込むことができるが、それらは、触媒活性であってもよい。
【0046】
置換グアニジンの例は、メチルグアニジン、ジメチルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、メチルイソビグアニジン、ジメチルイソビグアニジン、テトラメチルイソビグアニジン、ヘキサメチルイソビグアニジン、ヘプタメチルイソビグアニジンであり、特に、シアノグアニジン(ジシアンジアミド)である。適当なグアナミン誘導体の代表例は、アルキル化ベンゾグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂またはメトキシメチルエトキシメチルベンゾグアナミンが挙げられる。
【0047】
さらに、触媒活性置換尿素を潜在性硬化剤として使用することができる。それらは、特にp−クロロフェニル−N,N−ジメチルウレア(モニュロン)、3−フェニル−1,1−ジメチルウレア(フェヌロン)または3,4−ジクロロフェニル−N,N−ジメチルウレア(ジウロン)である。原則として、触媒的に活性な第三級アクリルアミン−またはアルキルアミン(例えば、ベンジルジメチルアミン、トリス(ジメチルアミノ)フェノール)、ピペリジンまたはピペリジン誘導体も使用することができる。また、種々のイミダゾール誘導体(好ましくは、固体)イミダゾール誘導体を、触媒的に活性な促進剤として使用することができる。それらの代表例として、2−エチル−2−メチルイミダゾール、N−ブチルイミダゾール、ベンズイミダゾールおよびN−C
1〜C
12−アルキルイミダゾールまたはN−アリールイミダゾールを挙げ得る。アミノ化合物とエポキシ樹脂の付加物も本発明の前記硬化剤に対する促進添加剤として適している。適当なアミノ化合物は、第3級脂肪族、芳香族または環状アミンである。適当なエポキシ化合物は、例えばビスフェノールA若しくはFまたはレゾルシノールのグリシジルエーテルに基づくポリエポキシドである。そのような付加物の具体例は、第3級アミン、例えば2−ジメチルアミノエタノール、N−置換ピペラジン、N−置換ホモピペラジン、N−置換アミノフェノール、とビスフェノールA若しくはFまたはレゾルシノールのジ−若しくはポリグリシジルエーテルの付加物である。
【0048】
置換グアニジンと触媒活性置換尿素の組み合わせを潜在性硬化剤として用いる場合が特に好ましく、ジシアニジンと置換尿素との組み合わせが特に好ましい。
【0049】
1成分接着剤の好ましい実施態様は、接着剤の総質量に対して、50〜99重量%の上述したようなエポキシ樹脂の硬化性混合物、および、1〜20重量%、特に3〜12重量%のエポキシ樹脂に対する1つ以上の潜在性硬化剤を含み、100重量%までの残りを硬化触媒(例えば置換尿素)、フィラー、安定化剤、着色顔料、靱性改善剤および/またはさらなる助剤または活性物質で構成することができる。
【0050】
上述した熱硬化性組成物に発泡剤をさらに加える場合、強化部材、特に中空部材用の構造フォームとして機能し得る発泡性および硬化性調製物が得られる。この調製物は、車両構造、特に自動車構造における部材の強化に有用であり得る。したがって、本発明の別の実施態様は、調製物が物理的または化学的発泡剤をさらに含むという事実からなる。
【0051】
原則的に、いずれの既知の発泡剤、例えば分解により気体を放出する「化学的発泡剤」または「物理的発泡剤」(すなわち、発泡性中空球)も適している。
【0052】
本発明によれば、組成物が0.1〜12重量%の発泡剤を含む場合が有利であることがわかった。
【0053】
発泡剤の例は、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカーボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホン酸ヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホヒドラジド、ベンゼン−1,3−ジスルホヒドラジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジドである。
【0054】
ポリ塩化ビニリデンコポリマーまたはアクリロニトリル−(メタ)アクリレートコポリマーに基づく発泡性中空プラスチック微小球が特に好ましい。これらは、例えば、Pierce & StevensまたはCasco Nobel社から「Dualite(登録商標)」または「Expancel(登録商標)」の名称のもと市販されている。
【0055】
発泡剤の量は、化合物の体積が活性温度(または発泡温度)まで加熱することにより、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、特に50%不可逆的に増加するよう好ましくは選択される。このことは、その熱膨張率による通常の可逆的な熱膨張に加えて、接着剤を活性化温度まで加熱することにより、室温(22℃)における初期体積と比較して不可逆的にその体積が増加し、室温まで冷却した後に、冷却前より大きくなることを意味すると理解されるべきである。したがって、上記の膨張率は、活性化温度への一時的な加熱の前後における、室温での接着剤の体積に関する。膨張率の上限を300%未満、特に200%未満となるように発泡剤の量を選択することにより設定し得る。
【0056】
この実施態様において、熱発泡性および硬化性組成物は、組成物全体に基づいて、好ましくは76〜98.9重量%、特に89〜96重量%の本発明に従うエポキシ樹脂硬化性混合物、1〜12重量%、特に3〜7重量%の潜在性硬化剤、および、0.1〜12重量%、特に1〜4重量%の発泡剤を含み、100重量%までの残りを硬化触媒、フィラー、安定化剤、着色顔料、靱性改善剤および/またはさらなる助剤または活性物質で構成することができる。
【0057】
活性温度は、好ましくは100〜220℃、特に120〜200℃の温度範囲である。この温度を5〜150分間維持することが好ましい。
【0058】
この熱硬化性発泡性組成物は、構造フォームとして使用することができ、これはさらなる本発明の実施態様を構成する。これは、空洞(特に金属構造における空洞)の強化および/または封止に使用することができる。例えば、造船、飛行機構築、特に車両構築のために有用である。
【0059】
破壊挙動、特に0℃以下の温度における破壊挙動を改善するために、本発明の調製物は1種または1種以上の異なるいわゆる靱性改善剤若しくは「強化剤」を含む。このような強化剤はエポキシ接着剤の分野において当業者に既知である。これらは、例えば、熱可塑性イソシアネートまたはポリウレタン、ゴム粒子、特にコアシェル構造を有するゴム粒子、およびブロックコポリマー、特に15℃以下のガラス転移温度を有する第1ポリマーブロックおよび25℃以上のガラス転移温度を有する第2ポリマーブロックを含むものから選択することができる。このようなブロックコポリマーは、好ましくは、第1ポリマーブロックがポリブタジエンまたはポリイソプレンブロックから選択され、第2ポリマーブロックがポリスチレンまたはポリメタクリレートブロックから選択されるブロックコポリマーから選択される。これらの具体例は、以下のブロック構造を有するブロックコポリマーである:スチレン/ブタジエン/(メタ)アクリレート、スチレン/ブタジエン/(メタ)アクリル酸エステル、エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/グリシジル(メタ)アクリル酸エステル、エチレン/(メタ)アクリル酸エステル/無水マレイン酸、メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/メチルメタクリレート。
【0060】
本発明によれば、本発明の組成物がエポキシ樹脂の混合物と潜在性硬化剤に加えて、少なくとも1つの無機および/または有機フィラーを含む場合がさらに有利であることがわかった。
【0061】
本発明の好ましいフィラーは、例えば、種々の粉砕または沈降チョーク、カーボンブラック、炭酸カルシウム−マグネシウム、タルク、バライト、特にケイ酸アルミニウム−マグネシウム−カルシウム型のケイ酸塩フィラー(例えば、珪灰石、緑泥石)である。
【0062】
減量のため、調製物は前記の「通常」フィラーに加えて、いわゆる軽量フィラーを含有し得る。軽量フィラーは、例えば中空鋼鉄球などの中空金属球、中空ガラス球、フライアッシュ(フィライト)、フェノール樹脂、エポキシ樹脂またはポリエステルに基づく中空プラスチック球、(メタ)アクリル酸エステルコポリマー、ポリスチレン、スチレン/(メタ)アクリレートコポリマーでできた壁材を有する膨張中空微小球、特にポリ塩化ビニリデンならびに塩化ビニリデンとアクリロニトリルおよび/または(メタ)アクリル酸エステルのコポリマーでできた壁材を有する膨張中空微小球、セラミック中空球、あるいは粉砕した木の実の殻(例えば、カシューナッツ、ココナッツまたは落花生の殻)およびコルク粉末またはコルクパウダーのような天然物の有機軽量フィラーの群から選択され得る。本発明において特に好ましいものは、硬化した調製物において高い圧縮強度を確保する中空微小球に基づく軽量フィラーである。
【0063】
さらに本発明の硬化性調製物は、他の通常の助剤および添加剤、例えば、可塑剤、レオロジー調整剤、湿潤剤、接着促進剤、老化防止剤、安定化剤および/または着色顔料を含むことができる。
【0064】
本発明の1成分接着剤は、造船、飛行機構築、および車両構築における接合および修復部材用に用いることができる。この接着剤は、一方で良好な加工性および高い強度において注目すべきであり、他方で特に低い健康上のリスクにおいて注目すべきである。本発明の系のさらなる適用分野は、ドゥ・イット・ユアセルフの分野、ならびに車両、機械および航空のメンテナンス、修復および分解修理の分野であるが、他の分野の一般産業の適用分野も本発明に包含される。
【0065】
したがって、本発明の第2の主題は、車両構造、航空機構造または鉄道車両構造における構造用接着剤としての熱硬化性組成物の使用である。本発明において、これらは特に衝撃耐性および高い強度において注目すべきである。
【0066】
本発明の第3の主題は、空洞(特に車両)の内部補強材を形成するための、および薄壁金属板またはプラスチック部材用の補強コーティングの製造のための構造フォームとして、発泡ガスを含む本発明の組成物の使用である。
【0067】
本発明のさらなる主題は、電気産業または電子産業における封入化合物としての、および電子産業における回路基板の製造におけるダイ接着剤としての本発明の組成物の使用である。
【0068】
本発明のさらなる主題は、金属および/または複合材料を接着接合するための方法であって、
(a)第1工程において、必要に応じて接合する部分の表面を清浄および/または前処理し、
(b)第2工程において、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物を、少なくとも1つの接合すべき物質表面に塗布し、
(c)次いで部材を接合し、
(d)寸法安定性となるよう、任意に組成物を前ゲル化し、
(e)最後に、80〜210℃、好ましくは120〜180℃の温度まで部材を加熱することにより接合を硬化させる方法である。
【0069】
金属および/または複合材料を接着接合するための方法であって、
(a)第1工程において、必要に応じて接合する部分の表面を清浄および/または前処理し、
(b)第2工程において、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物を、少なくとも1つの接合すべき物質表面に塗布し、
(c)次いで部材を接合し、
(d)寸法安定性となるよう、任意に組成物を前ゲル化し、
(e)最後に、80〜210℃、好ましくは120〜180℃の温度まで部材を加熱することにより接合を硬化させる方法。
【0070】
「寸法安定性となるよう前ゲル化」は、エポキシ樹脂混合物の完全な硬化をすることなく、外部形状に変化を与えず、任意に液体の組成物を長期間貯蔵できる状態に変換するのに十分な制御された組成物の加熱を意味するものと理解される。この状態に達するために、加熱を正確に監視し、温度および加熱時間を限定する。
【0071】
本発明によれば、本発明の1成分組成物は、好ましくはカートリッジ、ドラムまたは大容量コンテナにより販売される。
【実施例】
【0072】
1.接着剤の製造
1.1 樹脂混合物の調製
各成分を70〜100℃で1時間しっかりと撹拌することにより、下記樹脂混合物を調製した。
【0073】
1.1.1 粘度測定
粘度は、TA Instrument(ニューカッスル、DE19720 米国)のARES機器にて、25℃で測定し、TA―Orchestratorソフトウェアを用いて評価した。0.25Pas未満の粘度では、測定をせん断速度0〜100/s、コーンおよびプレート(0.04°/25mm)を用いて行った。0.25Pas以上10,000Pas未満の粘度は、平行板(25mm/25mm)を用いて、せん断速度0〜100/sで測定した。10,000Pas以上の粘度は、平行板(25mm/25mm)を用いて、回転速度100rad/sで測定した。
【0074】
1.1.2 樹脂混合物の組成
【0075】
【表1】
【0076】
最下段に記載したEEW値は各成分の重み付けされたEEW値から計算した。
【0077】
1.2 接着剤の処方
下記の接着剤組成物を調製した。
【0078】
【表2】
【0079】
第1工程において、成分1〜4を高速ミキサーに投入し、3500rpmで20秒間混合した。次いで、成分5および6を加えて再度混合操作を3500rpmで20秒間行った。最後に、成分7および8を加えた。前記条件でさらに混合した後、得られた混合物を真空下で脱気した。高速ミキサーで生じる最大加熱は、型に依存して50℃であった。
【0080】
1.3 使用した原材料リスト
Aspolit(登録商標)F70:白雲母および石英からなる2成分フィラー(約69重量% SiO
2、14重量% Al
2O
3、5.5重量% K
2O、2重量% CaO、2重量% Fe
2O
3(Aspanger)
Cabosil(登録商標)TS-720:二酸化ケイ素、発熱性非晶質ケイ酸;製造者:Cabot
Cardolite Lite(登録商標)2513 HP:エポキシ化カシュー殻油;純度約99%;EEW 400g/eq(Cardolite Europe)
DEN(登録商標)439:エピクロロヒドリンとフェノール/ホルムアルデヒドノボラックの反応生成物;EEW 200g/eq;エポキシ官能価 ±3.8;製造者:Dow
DER(登録商標)732:エピクロロヒドリンとポリプロピレングリコールの反応生成物;EEW 320g/eq;製造者:Dow
Dyhard(登録商標)100SH:1-シアノグアニジン;純度約94.8%(Evonik Degussa);AHEW 21g/eq
Dyhard(登録商標)URAcc 13:置換尿素に基づく促進剤;高分散非晶質二酸化ケイ素を含む(AlzChem)
Epikote(登録商標)1002:エピクロロヒドリンとビスフェノールAの反応生成物;EEW 638g/eq;製造者:Hexion
Mesamoll(登録商標):C
10―21アルキルスルホン酸フェニルエステル(Lanxess)
【0081】
2.引張強度の測定
引張強度値を測定するために、2つのサンドブラストした冷延鋼板試料に2.5cm
2の重複領域および0.2mmの層厚で接着剤を塗布し、両試料を互いに接合した。その後、試料を180℃で30分間硬化し、次いで室温にて1日間貯蔵した。
【0082】
その後、接着剤の引張せん断強度を、DIN EN 1465に従って15mm/分の速度で試験した。
【0083】
下記値が測定された。
【0084】
【表3】
【0085】
表示要求されない本発明の接着剤は、この分野の一般的な市販製品により得ることのできる値より高い引張せん断強度を示す。