【文献】
J.G.PARK et al.,Ti-SBA-16触媒上での4,6-DMDBT酸化脱硫特性に関する研究,2009年,URL,http://www.chempolicy.or.kr/fileDownload.chem?boardFile.fileId=351381&requiredUriId=35
【文献】
M.GUIDOTTI et al.,Epoxidation of unsaturated FAMEs obtained from vegetable source over Ti(IV)-grafted silica catalysts: A comparison between ordered and non-ordered mesoporous materials ,Journal of Molecular Catalysis A: Chemical,2006年 5月 2日,Vol.250 No.1-2,Pages218-225
【文献】
S.SHEN et al.,Synthesis and characterization of Ti-SBA-16 ordered mesoporous silica composite,Journal of Materials Science,2007年 9月,Vol.42 No.17,Pages7057-7061
【文献】
A.T.SHAH et al.,Direct synthesis of Ti-containing SBA-16-type mesoporous material by the evaporation-induced self-assembly method and its catalytic performance for oxidative desulfurization,Journal of Colloid and Interface Science,2009年 8月15日,Vol.336 No.2,Pages707-711
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
規則性メソポーラスチタノケイ酸塩(Ti−SBA−16)の調製のための方法であって、前記メソポーラスチタノケイ酸塩が、三次元立方晶系の連結ケージ様細孔構造を有し、下記一般式によって表わされる組成を有し、
TixSi1-xO2
式中、xは0.001〜0.05の範囲であり、Tiが四面体配置であり、シリカ骨格中のSiがTiに排他的に置換されており、
a.水および濃HClに298〜313Kで2時間にわたって溶解したトリブロックコポリマー(EO106−PO70−EO106;平均分子量12,600)を、テトラエチルオルソシリケートおよびイソプロパノールに溶解したTi−イソプロポキシドと反応させ、反応混合物を得るステップと、
b.ステップ(a)で得られた反応混合物を20〜24時間撹拌してゲルを形成するステップと、
c.ステップ(b)で得られたゲルを353〜373Kで40〜50時間結晶化させてチタノケイ酸塩(Ti−SBA−16)を得るステップと、
d.ステップ(c)で得られたチタノケイ酸塩を水で洗浄し、373〜423Kで乾燥して、続いて空気中、823Kで6〜12時間焼成してチタノケイ酸塩(Ti−SBA−16)を得るステップと
を含む方法。
ステップ(a)において用いる溶媒が、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、アセトン、水およびアセトニトリルの群から選択される、請求項3に記載の方法。
【発明の概要】
【0001】
技術分野
本発明は、規則性メソポーラスチタノケイ酸塩およびその調製方法に関する。本発明はさらに、選択的触媒酸化およびエポキシドのアミノリシスのための前記チタノケイ酸塩の使用を開示する。
【0002】
背景技術
チタノケイ酸塩は固体酸化触媒のクラスである。結晶性マイクロポーラスチタンシリカライト(TS−1およびTS−2;米国特許第4,410,501号および第1,001,038号ならびにReddyら、Appl.Catal.58巻、L1頁、1990)は、有機分子の酸化に対して高効率の触媒活性を示す。しかし、これらの応用は直径0.5nm未満の有機分子のみに限られている。メソポーラスチタノケイ酸塩は応用におけるこの制限を克服する必要がある。しかし、その後の数年間に発見されたTi置換メソポーラスM41Sファミリーのシリカ材料(Cormaら、J.Chem.Soc.Chem.Commun.147頁、1994;Tanevら、Nature、368巻、321頁、1994)は熱安定性がより低い(873Kにおいて、および水の存在により構造が破壊される)。細孔径の制限に関する課題はこれらの材料によって克服されたが、これらの材料の酸化活性/選択率はマイクロポーラスのTS−1およびTS−2よりも低い。それらの細孔壁が薄いことがそれらの熱安定性が低い理由である。TS−1とは違って、M41S材料中のTiは主として細孔壁に所在し、シリカの骨格の位置には置換されていない。これがその触媒活性/選択率が低い主な理由の1つである。さらに、Ti−MCM−41は二次元細孔材料に過ぎない。Ti−SBA−15の壁厚は厚いが、これも二次元の細孔構造を有している(Moreyら、Chem.Mater.12巻、898頁、2000)。これまでに報告されたチタノケイ酸塩の大部分は後合成法で調製されている。これは構造化されたシリカマトリックスを最初に調製し、次いでチタンをグラフト手法によってシリカ構造上に担持する方法である。これらの材料全てにおいて、Tiは追加的な骨格のナノ酸化チタン相として細孔壁上に所在している。そのようなナノ酸化物相は選択的酸化反応において反応性が低い。インサイチュおよび直接合成法によって調製された材料は四面体配置を有するシリカの骨格中へのTiの置換をもたらし得る。種々の構造および細孔構造を有するいくつかのメソポーラスチタノケイ酸塩が報告され、基本的条件下で直接合成法によって調製された。これらは全て細孔壁が薄く、熱安定性が低い(873Kより低い)。酸性条件下での調製により、特異的な構造および特性を有する材料が得られる。これらの材料へのTiの組み込みはやりがいのある仕事である。いくつかのマイクロ−メソポーラス非晶質材料が知られているが、これらは全て上記の不利な点がある。規則性三次元細孔構造および骨格位置にあるTiを有する材料は、連結した規則性三次元細孔を通しての反応物および生成物の分子の拡散を促進することにより、反応速度を増大させるであろう。このことは、そうでない二次元のチタノケイ酸塩構造においては不可能である。三次元のメソポア構造内における反応物および生成物の分子の拡散が容易であることにより、通常予想され、観察される、マイクロポーラスチタノケイ酸塩材料の不活性化をもたらす細孔の閉塞/ブロッキングを避けることができる。これら全ての有利な特色および薬学的に興味のある嵩高な分子の変換への応用性に鑑みて、三次元細孔構造および骨格の四面体Si位置にあるTiを有する安定な規則性メソポーラスチタノケイ酸塩はより効率的であり、したがって酸化およびエポキシドの酸触媒アミノリシス反応に望ましい。チタノケイ酸塩の合成においては、チタンは骨格中に置換される代わりに、分離したナノ相としてメソポーラス表面に沈殿することが多い。厚い細孔壁を有し、チタンが骨格の四面体位置に単離され置換された三次元メソポーラス材料を調製することはやりがいのある仕事である。
【0003】
Anuj Kumarら(Chem.Commun.6484〜6486頁、2009)はTi−SBA−12の調製およびその酸化反応への応用について報告している。この材料は六方晶の細孔配列のクラスに属している。Tiは四面体構造を有しているが、これはEPRおよびUV−可視スペクトルからわかるように三脚状のTi(OSi)
3OH配置を有し、シクロヘキセンの変換におけるエポキシドの選択率は100%ではない。より嵩高な分子であるシクロオクテンの変換率も61%に過ぎない。この材料の壁厚は薄い。Shenら(J.Mater.Sci.42巻、7057〜7061頁、2007)はTi−SBA−16について報告しているが、この材料中のTiは八面体配置(UVバンド330nm、ラマンバンド144cm
-1)を有しており、主に骨格外のアナターゼ様チタニア相として存在している。Tiは骨格中に置換されておらず、したがって酸化反応において活性ではないことになる。このTi−SBA−16によって触媒される酸化反応がさらに進むと、非選択的酸化および酸化物の分解がもたらされる。また、この材料は表面積および細孔直径がより小さく、そのため活性がより低くなる。Carlosら(Catal.Today、107〜108巻、578〜588頁、2005)は後合成法によるTi−SBA−16の調製について報告している。この場合もTiは格子外アナターゼ相として存在している。Tiは細孔表面に位置しているが、酸化反応のための活性形として骨格中に存在してはいない。Shahらは、「Direct Synthesis of Ti−containing SBA−16−type mesoporous material by the evaporation−induced self−assembly method and its catalytic performance for oxidative desulfurization」(Journal of Colloid and Interface Science、336巻、2号、2009年8月15日、707〜711頁で公開)に、F127コポリマーを鋳型として用いる蒸発誘起自己アセンブリー法によって合成した新規なTi含有SBA−16型メソポーラス材料(5、10および15重量%の種々のTi担持を有する)について記載している。しかしこの材料は拡散および反応速度に対して不利に影響する別の非規則性材料をもたらす。
【0004】
Govindasamy Chandrasekarらによる「Direct Synthesis of Titanium Incorporated SBA−16 Molecular Sieves」と題する論文(Theories and Applications of Chem.Eng.、2008、14巻、1号で公開)には、強酸性条件下における直接合成によって調製された、異なるn
Si/n
Ti比を有する、高規則性三次元(3−D)立方晶系のTiSBA−16モレキュラーシーブが記載されている。材料の構造および組織特性はX線回折、N
2物理吸着、SEM、およびTEM解析によって特徴付けられた。種々のTi含量をもって調製されたSBA−16におけるTi原子の性質および配位はUV−可視スペクトルによって検討された。さらに、Ti原子がよく分散しており、主として四面体配位を占めていることが述べられている。
【0005】
発明の目的
本発明の主な目的は、四面体配置でシリカ骨格のSiに置換されたTiを有し、三次元立方晶系の連結ケージ様細孔構造を有するチタノケイ酸塩であって、1073Kという高温でも熱的に安定な前記チタノケイ酸塩を提供することである。
【0006】
本発明のもう1つの目的は、選択的触媒酸化およびエポキシドのアミノリシスのための規則性メソポーラスチタノケイ酸塩を調製するための方法を提供することである。
【0007】
別の目的は、より嵩高な有機分子の選択的酸化のための高効率なメソポーラスチタノケイ酸塩触媒を調製するための方法であって、触媒が環境条件においてほぼ完全な変換率および100%に近い選択率をもって様々な酸化反応を触媒する方法を提供することである。
【0008】
本発明のさらに別の目的は、298〜313Kにおけるチタノケイ酸塩の調製のための効率的な方法を提供することである。
【0009】
本発明のさらに別の目的は、本発明の触媒上における穏和な条件でのH
2O
2または有機ヒドロペルオキシドによる有機物、たとえば炭化水素の酸化のための方法を提供することである。触媒によって触媒され得る酸化反応としては、エポキシ化、芳香族のヒドロキシル化、C−H結合の酸化、アルコールの酸化、スルフィドの酸化、アモキシメーションおよび関連するそのような反応が挙げられる。
【0010】
本発明のさらに別の目的は、シクロヘキセン、シクロオクテン、シクロデセンおよびナフタレン等のより嵩高な分子の酸化のための方法を提供することである。
【0011】
上記の特性の1つ以上は従来技術のチタノケイ酸塩に存在し得るが、全ての特徴の存在はこれまで知られていなかった。従来技術のチタノケイ酸塩は、中間細孔性および四面体の構造を有し得るが、Im(−3)m空間群のSBA−16構造と同様の三次元立方晶系細孔配列を有さず、Ti(OSi)
4配置を有する骨格の中でチタンに排他的に置換されていない。
【0012】
発明の概要
したがって、本発明は、規則性メソポーラスチタノケイ酸塩(Ti−SBA−16)であって、前記三次元メソポーラスチタノケイ酸塩が一般式によって表わされる組成を有し、Tiが四面体配置であり、Tiが排他的にシリカ骨格中のSiと置換されている、チタノケイ酸塩を提供する。
【0013】
Ti
xSi
1-xO
2
式中、xは0.001〜0.05の範囲である。
【0014】
本発明の1つの態様においては、前記チタノケイ酸塩は、三次元立方晶系の連結ケージ様細孔構造を含む。
【0015】
本発明の別の態様においては、Si/Tiモル比は20〜120の範囲である。
【0016】
本発明の別の態様においては、本発明はチタノケイ酸塩の調製のための方法であって、
a.水および濃HClに溶解したF127トリブロックコポリマー(EO
106−PO
70−EO
106;平均分子量12,600)を、イソプロパノールに溶解したテトラエチルオルソシリケートおよびTi前駆体と298〜313Kで約2時間にわたって反応させるステップと、
b.ステップ(a)で得られた反応混合物を20〜24時間撹拌してゲルを形成するステップと、
c.ステップ(b)で得られたゲルを353〜373Kで40〜50時間結晶化させてチタノケイ酸塩(Ti−SBA−16)を得るステップと、
d.ステップ(c)で得られたチタノケイ酸塩を水で洗浄し、373〜423Kで乾燥して、続いて空気中、823Kで6〜12時間焼成してチタノケイ酸塩(Ti−SBA−16)を得るステップと
を含む方法に関する。
【0017】
本発明の別の態様においては、ステップ(a)において用いる前記Ti前駆体はTi化合物、好ましくはTi−イソプロポキシドから選択される。
【0018】
本発明の別の態様においては、F127トリブロックコポリマーのモル比は0.55〜0.6モルである。
【0019】
本発明の別の態様においては、本発明はチタノケイ酸塩触媒を用いる芳香族の酸化のための改善された方法であって、
a.チタノケイ酸塩触媒、芳香族反応物および芳香族反応物に対するモル比が好ましくは0.5〜2の範囲の酸化剤、溶媒ならびに任意にアンモニアをフラスコに仕込むステップと、
b.ステップ(a)で得られた反応混合物を313〜353Kで6〜24時間加熱して所望の生成物を得るステップと
を含む方法に関する。
【0020】
本発明の別の態様においては、ステップ(a)において用いる芳香族反応物は、シクロヘキセン、シクロオクテン、シクロヘキサノンおよびナフタレンからなる群から選択される。
【0021】
本発明の別の態様においては、ステップ(a)において用いる溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、アセトン、水およびアセトニトリルの群から選択される。
【0022】
本発明の別の態様においては、ステップ(a)において用いる酸化剤は、非水TBHP(tert−ブチルヒドロペルオキシド)、H
2O
2、クメンヒドロペルオキシドおよび70%水性TBHPの群から選択される。
【0023】
本発明の別の態様においては、前記チタノケイ酸塩は芳香族反応物に対して3〜13%の範囲で触媒として用いられる。
【0024】
本発明の別の態様においては、前記チタノケイ酸塩は再使用可能である。
【0025】
本発明の別の態様においては、芳香族反応物の変換率は80〜92.7%の範囲であり、生成物の選択率は93〜100%の範囲である。
【0026】
本発明の別の態様においては、本発明は、本発明の方法によって調製された規則性メソポーラスチタノケイ酸塩の、エポキシ化、ヒドロキシル化、C−H結合の酸化、スルフィドの酸化、エポキシドのアミノリシスおよびアモキシメーションのための使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】Si/Ti=30のチタノケイ酸塩試料のXRDパターンを示す図。
【
図2】チタノケイ酸塩試料(Si/Tiモル比=30)の拡散反射UV−可視スペクトルを示す図で、骨格置換四面体チタンから生じる特徴的な電荷移動バンドを示している。
【
図3】961cm
-1にTi−O−Si振動による特徴的なバンドを示す、種々のSi/Ti比を有するチタノケイ酸塩試料のFT−IRスペクトルを示す図。
【
図4】967cm
-1に骨格置換Ti−O−Siによる特徴的なバンドを示す、メソポーラスチタノケイ酸塩試料(Si/Ti=30)のFT−ラマンスペクトルを示す図。
【
図5】本発明のメソポーラスチタノケイ酸塩(Si/Tiモル比=30)上に生成したスーパーオキソ−TiのEPRスペクトルを示す図で、矢印は四面体−四脚のTi種から生じるシグナルを示す。
【
図6】長距離の三次元メソポーラス規則性および連結ケージ様構造を示す、チタノケイ酸塩(Si/Ti=20)の高分解能透過型電子顕微鏡写真を示す図。
【
図7】Si/Ti=30の代表的なチタノケイ酸塩試料の熱重量分析を示す図で、観察された重量損失はシラノール基のみの縮合による。
【0028】
発明を実施するための形態
本発明は、規則性メソポーラスチタノケイ酸塩、前記チタノケイ酸塩を調製するための方法および選択的触媒酸化のためのそれらの使用に関する。本発明のチタノケイ酸塩は、TiO
2およびSiO
2の無水酸化物に換算したモル組成(Si/Ti比は20〜120の範囲である)、三次元立方晶系の連結ケージ様細孔構造を有し、Tiは四面体配置であり、シリカ骨格のSiがTiに排他的に置換されている。
【0029】
本発明のチタノケイ酸塩の好ましい態様においては、前記三次元メソポーラスチタノケイ酸塩は表1にまとめた物理化学的特徴を有している。
【表1】
【0030】
本発明のチタノケイ酸塩は、
(a)14.3〜15.3nmの範囲の立方晶系ユニットセルパラメータ(a)を有するIm(−3)m結晶空間群と、
(b)0.79〜0.87°、1.14〜1.22°および1.74〜1.89°にあり、(110)、(200)および(211)平面に指標化される小角X線回折ピークと、
(c)8.6〜9.6nmの範囲の細孔壁厚と、
(d)四面体Ti(OSi)
4配置に対応するUVスペクトルにおける208〜212nmの吸収バンドと、
(e)Si−O−Tiリンケージに対応するラマンおよびIRスペクトルにおける960〜965cm
-1の吸収バンド、および
(f)H
2O
2との接触により生成するスーパーオキソ種の2.038〜2.028のEPR(g
zz)シグナルならびに前記触媒が環境条件においてほぼ完全な変換率および100%に近い選択率をもって様々な酸化反応を触媒すること
という特徴を有している。
【0031】
本発明の1つの態様においては、チタノケイ酸塩は粉末形態で、または好ましくは押出し物もしくは球状物として剤形化され成形されて、酸化反応に用いられる。
【0032】
本発明の1つの態様においては、チタノケイ酸塩は厚い細孔壁を有し、それにより熱的により安定である。
【0033】
本発明のさらに別の態様においては、チタノケイ酸塩は1073K以上で熱的により安定である。
【0034】
本発明は、本発明のメソポーラスチタノケイ酸塩の調製のための方法を提供し、前記本発明のチタノケイ酸塩触媒は、
a.蒸留水およびHClに溶解したF127トリブロックコポリマー(EO
106−PO
70−EO
106;平均分子量12,600)をイソプロパノールに溶解したテトラエチルオルソシリケートおよびTi前駆体と298〜313Kで反応させるステップと、
b.ステップ(a)の混合物を20〜24時間撹拌してゲルを形成するステップと、
c.ステップ(b)のゲルを353〜373Kで40〜50時間結晶化させてチタノケイ酸塩(Ti−SBA−16)を得るステップと、
d.水で洗浄し、373〜423Kで乾燥し、空気中、823Kで6〜12時間焼成してチタノケイ酸塩(Ti−SBA−16)を得るステップと
を含む方法によって調製される。
【0035】
本発明はまた、本発明の触媒上における穏和な条件でのH
2O
2または有機ヒドロペルオキシドによる有機物、たとえば炭化水素の酸化のための方法を提供する。触媒によって触媒され得る酸化反応としては、エポキシ化、芳香族のヒドロキシル化、C−H結合の酸化、アルコールの酸化、スルフィドの酸化、アモキシメーションおよび関連するそのような反応が挙げられる。
【0036】
本発明のチタノケイ酸塩は、より嵩高な分子の酸化に効率的である。有機物の酸化は、酸化剤、たとえばH
2O
2、ならびに有機ヒドロペルオキシド、たとえばtert−ブチルヒドロペルオキシドおよびクメンヒドロペルオキシドによって実施される。
【0037】
別の態様においては、チタノケイ酸塩はシクロヘキセン、シクロオクテン、シクロデセン、ナフタレン、アンスラセン、スチレン、スチルベン、ピネン、フェノール、ナフトールおよびそのような分子の酸化に活性である。
【0038】
別の態様においては、チタノケイ酸塩は薬学的に興味のあるより嵩高な有機分子の酸化に効果的である。
【0039】
本発明のさらに別の態様においては、チタノケイ酸塩はエポキシ化、ヒドロキシル化、C−H結合の酸化、スルフィドの酸化、アモキシメーションおよびそのような酸化反応に高活性である。
【0040】
本発明の別の態様においては、チタノケイ酸塩はより嵩高な炭化水素の酸化に高活性である。
【0041】
本発明の別の態様においては、チタノケイ酸塩はエポキシドのアミノリシスに高活性である。
【0042】
本発明の別の態様においては、酸化反応における酸化剤と基質とのモル比は好ましくは0.5〜2の範囲であり、ここで基質は酸化されるべき化合物を意味する。
【0043】
本発明のさらに別の態様においては、酸化反応に用いる触媒の量は好ましくは基質の3〜13重量%の範囲である。
【0044】
さらに別の態様においては、固体触媒は安定で再使用可能である。
【0045】
さらに別の態様においては、触媒合成に用いるF127コポリマーの濃度は好ましくは0.55〜0.60モルの範囲である。
【0046】
本発明の方法の特徴は、触媒が固体で、反応が不均一条件で起こり、固体触媒がさらに再使用するために遠心分離/濾過によって生成物から容易に分離できることである。
【0047】
本発明の方法の別の特徴は、酸化反応が穏和な条件、好ましくは40〜100℃、圧力1barで行なわれることである。
【0048】
さらに別の特徴においては、酸化反応における1回通過あたりの変換率は80〜100%の範囲、選択率は95〜100%である。
【0049】
本発明の方法は高度に環境に優しく経済的であり、そのメソ多孔性および三次元細孔構造のため、従来技術のチタノケイ酸塩触媒と異なり、反応物および生成物分子による細孔の閉塞に関連する課題を克服している。本発明の触媒が関与する方法は、酸化反応における所望の生成物の変換率および選択率が100%に近いので、持続可能性がより高く、廃棄物の生成がほとんどない。
【0050】
本明細書において以下に例をもって本発明を説明するが、これらは説明のためのみであり、いかなる方法でも本発明の範囲を限定すると解釈すべきではない。
【0051】
例1
本例はSi/Tiモル比が80の、本発明のメソポーラスチタノケイ酸塩(Ti−SBA−16)の調製を説明するものである。7.391gのF127トリブロックコポリマー(EO
106−PO
70−EO
106;平均分子量12,600)を315.6gの蒸留水および68.7gの濃HClに313Kで2時間撹拌しながら溶解した。これに28.34gのテトラエチルオルソシリケート(98%)を30分かけて加えた。次いで10mlのイソプロパノールに溶解した0.48gのTi−イソプロポキシド(98%)を加えた。撹拌を20時間継続した。形成したゲルを、テフロン(登録商標)ライニングしたステンレススチールのオートクレーブに移した。これを353K、48時間で結晶化した。形成した固体を回収し、水で洗浄し、373Kで12時間乾燥し、空気中、823Kで8時間焼成した。
【0052】
例2
本例はSi/Tiモル比が50の、本発明のメソポーラスチタノケイ酸塩(Ti−SBA−16)の調製を説明するものである。7.391gのF127トリブロックコポリマー(EO
106−PO
70−EO
106;平均分子量12,600)を315.6gの蒸留水および68.7gの濃HClに313Kで2時間撹拌しながら溶解した。これに28.34gのテトラエチルオルソシリケート(98%)を30分かけて加えた。次いで10mlのイソプロパノールに溶解した0.773gのTi−イソプロポキシド(98%)を加えた。撹拌を20時間継続した。形成したゲルを、テフロンライニングしたステンレススチールのオートクレーブに移した。これを353K、48時間で結晶化した。形成した固体を回収し、水で洗浄し、373Kで12時間乾燥し、空気中、823Kで8時間焼成した。
【0053】
例3
本例はSi/Tiモル比が40の、本発明のメソポーラスチタノケイ酸塩(Ti−SBA−16)の調製を説明するものである。7.391gのF127トリブロックコポリマー(EO
106−PO
70−EO
106;平均分子量12,600)を315.6gの蒸留水および68.7gの濃HClに313Kで2時間撹拌しながら溶解した。これに28.34gのテトラエチルオルソシリケート(98%)を30分かけて加えた。次いで10mlのイソプロパノールに溶解した0.966gのTi−イソプロポキシド(98%)を加えた。撹拌を20時間継続した。形成したゲルを、テフロンライニングしたステンレススチールのオートクレーブに移した。これを353K、48時間で結晶化した。形成した固体を回収し、水で洗浄し、373Kで12時間乾燥し、空気中、823Kで8時間焼成した。
【0054】
例4
本例はSi/Tiモル比が30の、本発明のメソポーラスチタノケイ酸塩(Ti−SBA−16)の調製を説明するものである。7.391gのF127トリブロックコポリマー(EO
106−PO
70−EO
106;平均分子量12,600)を315.6gの蒸留水および68.7gの濃HClに313Kで2時間撹拌しながら溶解した。これに28.34gのテトラエチルオルソシリケート(98%)を30分かけて加えた。次いで10mlのイソプロパノールに溶解した1.288gのTi−イソプロポキシド(98%)を加えた。撹拌を20時間継続した。形成したゲルを、テフロンライニングしたステンレススチールのオートクレーブに移した。これを353K、48時間で結晶化した。形成した固体を回収し、水で洗浄し、373Kで12時間乾燥し、空気中、823Kで8時間焼成した。
【0055】
例5
本例はSi/Tiモル比が20の、本発明のメソポーラスチタノケイ酸塩(Ti−SBA−16)の調製を説明するものである。7.391gのF127トリブロックコポリマー(EO
106−PO
70−EO
106;平均分子量12,600)を315.6gの蒸留水および68.7gの濃HClに313Kで2時間撹拌しながら溶解した。これに28.34gのテトラエチルオルソシリケート(98%)を30分かけて加えた。次いで10mlのイソプロパノールに溶解した1.932gのTi−イソプロポキシド(98%)を加えた。撹拌を20時間継続した。形成したゲルを、テフロンライニングしたステンレススチールのオートクレーブに移した。これを353K、48時間で結晶化した。形成した固体を回収し、水で洗浄し、373Kで12時間乾燥し、空気中、823Kで8時間焼成した。
【0056】
例1〜5で調製したメソポーラスチタノケイ酸塩の構造および組織特性を表2にまとめる。
【表2】
【0057】
例6
本例はTi−SBA−16(Si/Ti=30、例4)触媒上、ジクロロメタン媒体中における70%水性tert−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)によるシクロヘキセンのエポキシ化を説明するものである。反応は水冷凝縮器および酸化剤を注入するためのゴムセプタムを取り付けたガラス製の二口丸底フラスコ中で行なった。0.1gの触媒、0.82gのシクロヘキセンおよび0.45gの70%水性TBHPならびに5mlのジクロロメタンを丸底フラスコに仕込んだ。反応は313K、12時間で行なった。生成物はガスクロマトグラフィー(Varian 3400、CP−SIL8CBカラム、長さ30m、内径0.53mm)で分析し、GC−MS(島津QP−5000、長さ30m、内径0.25mm、厚み0.25μmのキャピラリーカラムDB−1)で同定した。シクロヘキセンの変換率=92.1%、シクロヘキセンエポキシドの選択率=100%。
【0058】
例7
本例はTi−SBA−16(Si/Ti=30、例4)触媒上、ジクロロ
エタン中における70%水性tert−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)によるシクロヘキセンのエポキシ化を説明するものである。反応は水冷凝縮器および酸化剤を注入するためのゴムセプタムを取り付けたガラス製の二口丸底フラスコ中で行なった。0.1gの触媒、0.82gのシクロヘキセンおよび0.45gの70%水性TBHPならびに5mlのジクロロ
エタンを丸底フラスコに仕込んだ。反応は333K、12時間で行なった。生成物はガスクロマトグラフィー(Varian 3400、CP−SIL8CBカラム、長さ30m、内径0.53mm)で分析し、GC−MS(島津QP−5000、長さ30m、内径0.25mm、厚み0.25μmのキャピラリーカラムDB−1)で同定した。シクロヘキセンの変換率=85%、シクロヘキセンエポキシドの選択率=100%。
【0059】
例8
本例はTi−SBA−16(Si/Ti=30、例4)触媒上、クロロホルム中における70%水性tert−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)によるシクロヘキセンのエポキシ化を説明するものである。反応は水冷凝縮器および酸化剤を注入するためのゴムセプタムを取り付けたガラス製の二口丸底フラスコ中で行なった。0.1gの触媒、0.82gのシクロヘキセンおよび0.45gの70%水性TBHPならびに5mlのクロロホルムを丸底フラスコに仕込んだ。反応は333K、12時間で行なった。生成物はガスクロマトグラフィー(Varian 3400、CP−SIL8CBカラム、長さ30m、内径0.53mm)で分析し、GC−MS(島津QP−5000、長さ30m、内径0.25mm、厚み0.25μmのキャピラリーカラムDB−1)で同定した。シクロヘキセンの変換率=90.0%、シクロヘキセンエポキシドの選択率=100%。
【0060】
例9
本例はTi−SBA−16(Si/Ti=30、例4)触媒上、デカン中における5.5M.tert−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)によるシクロヘキセンのエポキシ化を説明するものである。反応は水冷凝縮器および酸化剤を注入するためのゴムセプタムを取り付けたガラス製の二口丸底フラスコ中で行なった。0.1gの触媒、0.82gのシクロヘキセンおよび0.90gの非水性TBHPならびに5mlのジクロロメタンを丸底フラスコに仕込んだ。反応は313K、12時間で行なった。生成物はガスクロマトグラフィー(Varian 3400、CP−SIL8CBカラム、長さ30m、内径0.53mm)で分析し、GC−MS(島津QP−5000、長さ30m、内径0.25mm、厚み0.25μmのキャピラリーカラムDB−1)で同定した。シクロヘキセンの変換率=92.7%、シクロヘキセンエポキシドの選択率=100%。
【0061】
例10
本例はTi−SBA−16(Si/Ti=80、例1)触媒上、デカン中における5.5M.tert−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)によるシクロヘキセンのエポキシ化を説明するものである。反応は水冷凝縮器および酸化剤を注入するためのゴムセプタムを取り付けたガラス製の二口丸底フラスコ中で行なった。0.1gの触媒、0.82gのシクロヘキセンおよび0.90gの非水性TBHPならびに5mlのジクロロメタンを丸底フラスコに仕込んだ。反応は313K、12時間で行なった。生成物はガスクロマトグラフィー(Varian 3400、CP−SIL8CBカラム、長さ30m、内径0.53mm)で分析し、GC−MS(島津QP−5000、長さ30m、内径0.25mm、厚み0.25μmのキャピラリーカラムDB−1)で同定した。シクロヘキセンの変換率=48.9%、シクロヘキセンエポキシドの選択率=100%。
【0062】
例11
本例はTi−SBA−16(Si/Ti=50、例2)触媒上、デカン中における5.5M.tert−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)によるシクロヘキセンのエポキシ化を説明するものである。反応は水冷凝縮器および酸化剤を注入するためのゴムセプタムを取り付けたガラス製の二口丸底フラスコ中で行なった。0.1gの触媒、0.82gのシクロヘキセンおよび0.90gの非水性TBHPならびに5mlのジクロロメタンを丸底フラスコに仕込んだ。反応は313K、12時間で行なった。生成物はガスクロマトグラフィー(Varian 3400、CP−SIL8CBカラム、長さ30m、内径0.53mm)で分析し、GC−MS(島津QP−5000、長さ30m、内径0.25mm、厚み0.25μmのキャピラリーカラムDB−1)で同定した。シクロヘキセンの変換率=56%、シクロヘキセンエポキシドの選択率=100%。
【0063】
例12
本例はTi−SBA−16(Si/Ti=30、例4)触媒上、デカン中における5.5M.tert−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)によるジクロロエタン中のシクロヘキセンのエポキシ化を説明するものである。反応は水冷凝縮器および酸化剤を注入するためのゴムセプタムを取り付けたガラス製の二口丸底フラスコ中で行なった。0.1gの触媒、0.82gのシクロヘキセンおよび0.90gの非水性TBHPならびに5mlのジクロロエタンを丸底フラスコに仕込んだ。反応は333K、12時間で行なった。生成物はガスクロマトグラフィー(Varian 3400、CP−SIL8CBカラム、長さ30m、内径0.53mm)で分析し、GC−MS(島津QP−5000、長さ30m、内径0.25mm、厚み0.25μmのキャピラリーカラムDB−1)で同定した。シクロヘキセンの変換率=90.0%、シクロヘキセンエポキシドの選択率=100%。
【0064】
例13
本例はTi−SBA−16(Si/Ti=30、例4)触媒上、デカン中における5.5M.tert−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)によるジクロロ
メタン中のシクロオクテンのエポキシ化を説明するものである。反応は水冷凝縮器および酸化剤を注入するためのゴムセプタムを取り付けたガラス製の二口丸底フラスコ中で行なった。0.1gの触媒、1.15gのシクロオクテン(98%、Aldrich)および0.90gの非水性TBHPならびに10mlのジクロロメタンを丸底フラスコに仕込んだ。反応は313K、24時間で行なった。生成物はガスクロマトグラフィー(Varian 3400、CP−SIL8CBカラム、長さ30m、内径0.53mm)で分析し、GC−MS(島津QP−5000、長さ30m、内径0.25mm、厚み0.25μmのキャピラリーカラムDB−1)で同定した。シクロオクテンの変換率=92.1%、シクロオクテンエポキシドの選択率=100%。
【0065】
例14
本例はTi−SBA−16(Si/Ti=30、例4)触媒上、デカン中における5.5M.tert−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)によるアセトン媒体中のシクロオクテンのエポキシ化を説明するものである。反応は水冷凝縮器および酸化剤を注入するためのゴムセプタムを取り付けたガラス製の二口丸底フラスコ中で行なった。0.1gの触媒、1.15gのシクロオクテン(98%、Aldrich)および0.90gの非水性TBHPならびに10mlのアセトンを丸底フラスコに仕込んだ。反応は333K、24時間で行なった。生成物はガスクロマトグラフィー(Varian 3400、CP−SIL8CBカラム、長さ30m、内径0.53mm)で分析し、GC−MS(島津QP−5000、長さ30m、内径0.25mm、厚み0.25μmのキャピラリーカラムDB−1)で同定した。シクロオクテンの変換率=79.6%、シクロオクテンエポキシドの選択率=100%。
【0066】
例15
本例はTi−SBA−16(Si/Ti=30、例4)触媒上、アセトニトリル媒体中における水性H2O2によるナフタレンのヒドロキシル化を説明するものである。反応は水冷凝縮器および酸化剤を注入するためのゴムセプタムを取り付けたガラス製の二口丸底フラスコ中で行なった。0.1gの触媒、1gのナフタレンおよび0.6gの30%水性H
2O
2ならびに10mlのアセトニトリルを丸底フラスコに仕込んだ。反応は353K、24時間で行なった。生成物はガスクロマトグラフィー(Varian 3400、CP−SIL8CBカラム、長さ30m、内径0.53mm)で分析し、GC−MS(島津QP−5000、長さ30m、内径0.25mm、厚み0.25μmのキャピラリーカラムDB−1)で同定した。ナフタレンの変換率=50%、1−ナフトールおよび2−ナフトールの選択率はそれぞれ90%および10%である。
【0067】
例16
本例はTi−SBA−16(Si/Ti=30、例4)触媒上におけるシクロヘキサノンのアモキシメーションを説明するものである。反応は水冷凝縮器および酸化剤を注入するためのゴムセプタムを取り付けたガラス製の二口丸底フラスコ中で行なった。0.1gの触媒、0.98gのシクロヘキサノンおよび1.14gの30%水性H
2O
2、1.02gの25%水性アンモニア溶液ならびに5mlの水を丸底フラスコに仕込んだ。反応は353K、6時間で行なった。生成物はガスクロマトグラフィー(Varian 3400、CP−SIL8CBカラム、長さ30m、内径0.53mm)で分析し、GC−MS(島津QP−5000、長さ30m、内径0.25mm、厚み0.25μmのキャピラリーカラムDB−1)で同定した。シクロヘキサノンの変換率=98%、オキシムの選択率=94%。
【0068】
例17
本例は例9で用いた触媒の再使用性を説明するものである。反応の最後に遠心分離/濾過によって触媒を分離し、デカン、続いてアセトンで洗浄した。373Kで2時間乾燥し、次いでリサイクル研究に用いた。実験は例9に記載したものと同様な方法で行ない、分析した。シクロヘキセンの変換率=92%、シクロヘキセンエポキシドの選択率=100%。
【0069】
例18
本例はアミンによるエポキシドの開環のためのルイス酸触媒としてのTi−SBA−16(Si/Ti=20、例5)の応用を説明するものである。50mgのTi−SBA−16、20mmolのスチレンオキシドおよび20mmolのアニリンを、水冷凝縮器を取り付け、温度制御された油浴に入れた二口丸底フラスコ(50ml)に仕込んだ。反応は308K、6時間で行なった。次いで試料の分割量を取り出し、ジクロロメタンで4倍に希釈した。これを遠心分離して触媒を分離した。液体をガスクロマトグラフィー分析(Varian 3400、CP−SIL8CBカラム、長さ30m、内径0.53mm)に供した。生成物はGC−MS(Varian CP−3800、長さ30m、内径0.25mm、厚み0.25μmのCP−Sil8CBキャピラリーカラム)を用いて同定した。これらはカラムクロマトグラフィー(溶離液:石油エーテル−酢酸エチル混合物)でも単離し、
1H NMRの研究によって特徴付けた。2つの異なったアミノアルコール異性体(A=2−フェニル−(2−フェニルアミノ)エタノールおよびB=1−フェニル−(2−フェニルアミノ)エタノール)が形成された。その一方がより優勢である。
【0070】
例19
本例はアニリンによるシクロヘキセンオキシドのアミノリシスのためのルイス酸触媒としてのTi−SBA−16(Si/Ti=20、例5)の応用を説明するものである。50mgのTi−SBA−16、20mmolのシクロヘキセンオキシドおよび20mmolのアニリンを、水冷凝縮器を取り付け、温度制御された油浴に入れた二口丸底フラスコ(50ml)に仕込んだ。反応は308K、6時間で行なった。次いで試料の分割量を取り出し、ジクロロメタンで4倍に希釈した。これを遠心分離して触媒を分離した。液体をガスクロマトグラフィー分析(Varian 3400、CP−SIL8CBカラム、長さ30m、内径0.53mm)に供した。生成物はGC−MS(Varian CP−3800、長さ30m、内径0.25mm、厚み0.25μmのCP−Sil8CBキャピラリーカラム)を用いて同定した。これらはカラムクロマトグラフィー(溶離液:石油エーテル−酢酸エチル混合物)でも単離し、
1H NMRの研究によって特徴付けた。2つの異なったアミノアルコール異性体(A=trans−2−(フェニルアミノ)シクロヘキサノールおよびB=cis−2−(フェニルアミノ)シクロヘキサノール)が形成された。その一方がより優勢である。
【0071】
例20
本例はo−トルイジンによるスチレンオキシドの開環のためのルイス酸触媒としてのTi−SBA−16(Si/Ti=20、例5)の応用を説明するものである。50mgのTi−SBA−16、20mmolのスチレンオキシドおよび20mmolのo−トルイジンを、水冷凝縮器を取り付け、温度制御された油浴に入れた二口丸底フラスコ(50ml)に仕込んだ。反応は308K、6時間で行なった。生成物をカラムクロマトグラフィー(溶離液:石油エーテル−酢酸エチル混合物)で単離した。2つの異なったアミノアルコール異性体(A=2−フェニル−(2−パラ−トリルアミノ)エタノールおよびB=1−フェニル−(2−パラ−トリルアミノ)エタノール)が形成された。その一方がより優勢である。
【0072】
例21
本例はモルホリンによるスチレンオキシドの開環のための触媒としてのTi−SBA−16(Si/Ti=20、例5)の応用を説明するものである。50mgのTi−SBA−16、20mmolのスチレンオキシドおよび20mmolのモルホリンを、水冷凝縮器を取り付け、温度制御された油浴に入れた二口丸底フラスコ(50ml)に仕込んだ。反応は308K、6時間で行なった。生成物をカラムクロマトグラフィー(溶離液:石油エーテル−酢酸エチル混合物)で単離した。2つの異なったアミノアルコール異性体(A=2−フェニルプロパン−1−オールとモルホリンの化合物およびB=1−フェニルプロパン−1−オールとモルホリンの化合物)が形成された。その一方がより優勢である。
【0073】
例22
本例はアニリンによるスチレンオキシドの開環のための触媒としてのTi−SBA−16(Si/Ti=30、例4)の応用を説明するものである。50mgのTi−SBA−16、20mmolのスチレンオキシドおよび20mmolのアニリンを、水冷凝縮器を取り付け、温度制御された油浴に入れた二口丸底フラスコ(50ml)に仕込んだ。反応は308K、6時間で行なった。生成物をカラムクロマトグラフィー(溶離液:石油エーテル−酢酸エチル混合物)で単離した。2つの異なったアミノアルコール異性体(A=2−フェニル−(2−フェニルアミノ)エタノールおよびB=1−フェニル−(2−フェニルアミノ)エタノール)が形成された。その一方がより優勢である。
【0074】
例18〜22の結果を表2にまとめる。
【表3】
【0075】
本発明の多くの改変、置換および変形が可能であり、当業者には明白である。本発明は例に具体的に記載した以外に実施することができ、範囲および幅においては添付した特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
【0076】
本発明の利点は以下の通りである。
【0077】
1.Tiが四面体骨格位置にあるチタノケイ酸塩を製造する方法
2.高効率で選択的な不均一固体状チタノケイ酸塩触媒
3.再使用できる触媒および方法
4.より嵩高な環状オレフィンの酸化における100%のエポキシド選択率
以
下に、本発明の実施態様を付記する。
1. 規則性メソポーラスチタノケイ酸塩(Ti−SBA−16)であって、前記三次元メソポーラスチタノケイ酸塩が一般式によって表わされる組成を有し、Tiが四面体配置であり、シリカ骨格中のSiがTiに排他的に置換されている、チタノケイ酸塩。
TixSi1-xO2
式中、xは0.001〜0.05の範囲である。
2. 三次元立方晶系の連結ケージ様細孔構造を含む、1に記載のチタノケイ酸塩。
3. チタノケイ酸塩におけるSi/Tiモル比が20〜120の範囲である、1に記載のチタノケイ酸塩。
4. 1に記載のチタノケイ酸塩の調製のための方法であって、
a.水および濃HClに溶解したF127トリブロックコポリマー(EO106−PO70−EO106;平均分子量12,600)を、イソプロパノールに溶解したテトラエチルオルソシリケートおよびTi前駆体と298〜313Kで約2時間にわたって反応させるステップと、
b.ステップ(a)で得られた反応混合物を20〜24時間撹拌してゲルを形成するステップと、
c.ステップ(b)で得られたゲルを353〜373Kで40〜50時間結晶化させてチタノケイ酸塩(Ti−SBA−16)を得るステップと、
d.ステップ(c)で得られたチタノケイ酸塩を水で洗浄し、373〜423Kで乾燥して、続いて空気中、823Kで6〜12時間焼成してチタノケイ酸塩(Ti−SBA−16)を得るステップと
を含む方法。
5. ステップ(a)において用いる前記Ti前駆体がTi化合物、好ましくはTi−イソプロポキシドから選択される、4に記載の方法。
6. 前記F127トリブロックコポリマーのモル比が0.55〜0.6モルの範囲である、4に記載の方法。
7. 1に記載のチタノケイ酸塩触媒を用いる芳香族化合物の酸化のための改善された方法であって、
a.チタノケイ酸塩触媒、芳香族反応物および芳香族反応物に対するモル比が好ましくは0.5〜2の範囲の酸化剤、溶媒ならびに任意にアンモニアをフラスコに仕込むステップと、
b.ステップ(a)で得られた反応混合物を313〜353Kで6〜24時間加熱して所望の生成物を得るステップと
を含む方法。
8. ステップ(a)において用いる芳香族反応物が、シクロヘキセン、シクロオクテン、シクロヘキサノンおよびナフタレンからなる群から選択される、7に記載の方法。
9. ステップ(a)において用いる溶媒が、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、アセトン、水およびアセトニトリルの群から選択される、7に記載の方法。
10. ステップ(a)において用いる酸化剤が、非水性TBHP(tert−ブチルヒドロペルオキシド)、H2O2、クメンヒドロペルオキシドおよび70%水性TBHPの群から選択される、7に記載の方法。
11. 前記チタノケイ酸塩が、芳香族反応物に対して3〜13%の範囲で触媒として用いられる、7に記載の方法。
12. 前記チタノケイ酸塩が再使用可能である、7に記載の方法。
13. 前記芳香族反応物の変換率が80〜92.7%の範囲であり、生成物の選択率が93〜100%の範囲である、7に記載の方法。
14. エポキシ化、ヒドロキシル化、C−H結合の酸化、スルフィドの酸化、エポキシドのアミノリシスおよびアモキシメーションのための、規則性メソポーラスチタノケイ酸塩の使用。
15. 本明細書に付随する例および図面を参照して実質的に本明細書に記載された規則性メソポーラスチタノケイ酸塩(Ti−SBA−16)、その調製のための方法および前記チタノケイ酸塩を用いる酸化の方法。