(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
ケモカインは、炎症の際、白血球動員および移動を調整するという重要な役割を果たし、したがって、抗炎症療法のための重要な標的を呈する、7〜14kdのペプチド群である(Wells et al.,2006)。これらは、7回膜貫通型Gタンパク質共役受容体、すなわち、ケモカイン受容体に結合することによって作用する。ケモカイン系は、複雑であって、約50個のケモカインおよび20個のケモカイン受容体が、ヒトにおいて同定されており、多くの場合、冗長性を伴って作用し、特異的拮抗薬の選択を困難にする(Gerard and Rollins,2001)。遺伝子ノックアウト法において、免疫機能の調節遺伝子としてのケモカインの重要性が確認されているが、特異的ケモカインの欠失は、炎症性応答における特異的かつ比較的に軽度の欠陥のみにつながり、系の複雑な冗長性をさらに強調している。選択性は、マクロファージ/単球系が、免疫機能の細微かつ特異的制御を可能にするために、重要な役割を担う、アテローム硬化症等の単一ケモカイン−受容体系が関与する、全身性疾患におけるケモカイン受容体拮抗薬の使用にとって重大である(Weisberg et al.,2006;Feria and Diaz Gonzalez et al.,2006)。
【0004】
多くの眼の病状は、眼の構造への悪影響を伴う、眼内への白血球および内皮細胞等の細胞の不適切な移動および浸潤によって特徴付けられる(Wallace et al.,2004)。ケモカインが、そのような疾患において同定されており、ケモカイン系の誤制御が、角膜移植後拒絶反応、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性(ARMD)、ブドウ膜炎等の慢性炎症性疾患、ドライアイ等において明白である。CCR2またはMCP−1が欠如したマウスは、加齢に伴って、ドルーゼ沈着、脈絡膜新生血管、および光受容体萎縮を含む、ARMDの特徴を発症しており、本ケモカインおよびその受容体シグナル伝達のための重大な役割を示す(Amabati et al.,2003)。したがって、CCR2受容体特異的阻害剤は、ARMDのような眼の疾患において、潜在的治療上の利点を有する場合がある。対照的に、種々のヒトおよび動物研究では、常在性および浸潤細胞両方によって産生された異なる形態のブドウ膜炎において、いくつかのケモカインが同定されており、これは、その病原体中のこれらの分子に対して、重要な役割を強く示唆する。ブドウ膜炎のラットおよびマウスモデルの研究では、単球およびT細胞に対する強力な化学誘引物質である、単球化学誘引物質タンパク質−1(MCP−1)、マクロファージ炎症性タンパク質−1(MIP−1)、RANTES、ストロマ細胞由来因子−1(SDF−1)の発現増加が実証されている(Fang et al.,2004;Keino et al.,2003)。類似の見解が、最も一般的形態のヒトブドウ膜炎である、急性前部ブドウ膜炎(AAU)を伴う患者における末梢血単核球において報告されている(Klitgaard et al.,2004)。AAUに対する動物モデルである、MCP−1ノックアウトマウスおよびCCR5ノックアウトマウスは、エンドトキシン誘発ブドウ膜炎の軽減を示している(Takeuchi et al.,2005;Tuallion et al.,2002)。また、NF−κB遮断薬の使用による、上流におけるケモカイン系の遮断は、ラットにおける実験AAUを有意に減衰させることが実証されている(Yang et al.,2005)。NF−κBの遮断は、複数のケモカインの転写阻害をもたらす。ブドウ膜炎における病原体の複雑性を考慮すると、単一療法におけるケモカイン受容体の精選された阻害が、治療上の利点をもたらすであろう可能性は低い。複数のケモカインの類似の役割が、糖尿病性網膜症およびドライアイにおける疾患の臨床段階と相関することが示されている(Meleth et al.,2005;Yamagami et al.,2005)。これらの眼の疾患では、広範囲のケモカインの機能を阻害する、薬効範囲が広いケモカイン受容体阻害剤の使用が、有益であり得る。
【0005】
報告されるべき第1の薬効範囲が広いケモカイン阻害剤(BSCI)は、ペプチド3と称されるものであって、これは、ヒトケモカインMCP−1の配列から誘導され、MCP−1、MIP−1、RANTES、およびSDF−1に応答して、単球の移動を遮断することが示された(Reckless and Grainger.1999)。NR58−3.14.3と呼ばれる、逆配列におけるDアミノ酸から構築される、ペプチド3の逆配列の環状同族体は、より効能のあるケモカイン阻害剤であることが観察された(Beech et al.,2001)。NR58−3.14.3は、アテローム性動脈硬化症、肺炎症、過敏性腸症候群等の動物モデルにおける抗炎症活性を試験するために使用された(Beech et al.,2001;Grainger and Reckless.2003;Tokuyama et al.,2005)。しかしながら、これらのBSCIを長期治療戦略として使用するには、いくつかの不利点がある。公知のBSCIは、比較的に低効能、不良薬物動態を有し、生体内で不安定である、ペプチドである。加えて、薬効範囲が広いケモカイン受容体阻害剤の全身投与は、潜在的に、その全身性抗炎症活性のため、有害な副作用につながり得る。しかしながら、眼の疾患では、局所または局部適用は、薬効範囲が広い阻害剤が、全身に取り込まれないように防止するであろう。いくつかのケモカイン受容体の小分子阻害剤の同定は、炎症性眼の疾患の治療に非常に有用であり得る。いくつかの眼の疾患における複数のケモカインの役割に対する証拠およびこれらの結果を考慮して、我々は、小および大分子の薬効範囲が広いケモカイン受容体阻害剤の使用が、限定されないが、ブドウ膜炎、ドライアイ、糖尿病性網膜症、アレルギー性眼疾患、および増殖網膜症を含む、眼の炎症性疾患の局所治療に有用性を有するであろうと提案する。複数のケモカインの操作は、したがって、眼の疾患の治療の際、新規の治療上のアプローチを呈する。
【0006】
WO2008008374号は、CCR2阻害剤およびその使用方法を開示する。
【0007】
WO03/099773号は、CCR9阻害剤およびその使用方法を開示する。
【0008】
US7622583号は、CCR2受容体の拮抗薬として、ヘテロアリールスルホンアミドを開示する。
【0009】
US2008/0293720号は、ケモカイン受容体のピリジニルスルホンアミド調節因子を開示する。
【0010】
US7393873号は、アリールスルホンアミド誘導体を開示する。
【発明の概要】
【0011】
現在、有力かつ精選されたケモカイン受容体調節因子である、新規リン酸誘導体群が、発見されている。したがって、本明細書に説明される化合物は、ケモカイン受容体の調節と関連する、多種多様の疾患を治療することにおいて有用である。用語「調節因子」は、本明細書で使用される場合、受容体作動薬、拮抗薬、逆作動薬、逆拮抗薬、部分的作動薬、部分的拮抗薬を含むが、これに限定されない。
【0012】
本発明は、ケモカイン受容体の生物学的活性を有する式Iの化合物について説明する。本発明による化合物は、したがって、例えば、CCR調節によって軽減される疾患および病状を伴うヒトの治療等、医療に有用である。
【0013】
一態様では、本発明は、式I、またはその薬学的に許容される塩、またはその立体異性体、または個々の幾何異性体、光学異性体、ジアステレオ異性体、互変異性体、両性イオン、およびその薬学的に許容される塩を有する化合物であって、
【化1】
式I
式中、
R
1は、Hあるいは置換または非置換C
1-6アルキルであり、
R
2は、置換または非置換C
1-6アルキル、置換または非置換OC
1-6アルキル、置換または非置換複素環、置換または非置換C
3-8シクロアルキル、置換または非置換C
3-8シクロアルケニル、あるいは置換または非置換C
6-10アリールであり、
R
3は、C−R
7であり、
R
4は、C−R
8であり、
R
5は、−P(O)R
10であり、
R
6は、置換または非置換C
1-6アルキル、置換または非置換複素環、置換または非置換C
3-8シクロアルキル、置換または非置換C
3-8シクロアルケニル、あるいは置換または非置換C
6-10アリールであり、
R
7は、H、置換または非置換C
1-6アルキル、置換または非置換複素環、置換または非置換C
3-8シクロアルキル、置換または非置換C
3-8シクロアルケニル、置換または非置換C
6-10アリール、ハロゲン、置換または非置換−OC
1-6アルキル、CN、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C(O)R
12、NR
13R
14、あるいはヒドロキシルであり、
R
8は、H、置換または非置換C
1-6アルキル、ハロゲン、−OC
1-6アルキル、CN、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、あるいはC(O)R
12であり、
R
10は、H、置換または非置換C
1-6アルキル、OH、置換または非置換OC
1-6アルキル、あるいは置換または非置換HNC
1-3アルキルであり、
R
12は、Hあるいは置換または非置換C
1-6アルキルであり、
R
13は、Hあるいは置換または非置換C
1-6アルキルであり、
R
14は、Hあるいは置換または非置換C
1-6アルキルであり、
R
15は、H、置換または非置換C
1-6アルキル、ハロゲン、−OC
1-6アルキル、CN、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C(O)R
12、NR
13R
14、あるいはヒドロキシルであり、
R
16は、H、置換または非置換C
1-6アルキル、ハロゲン、−OC
1-6アルキル、CN、C
2-6アルケニル、C
2-6アルキニル、C(O)R
12、NR
13R
14、あるいはヒドロキシルである、
化合物を提供する。
【0014】
別の態様では、本発明は、式Iを有する化合物であって、
式中、
R
1は、Hであり、
R
2は、置換または非置換C
1-6アルキル、置換または非置換OC
1-6アルキル、置換または非置換複素環、あるいは置換または非置換フェニルであり、
R
3は、C−R
7であり、
R
4は、C−R
8であり、
R
5は、−P(O)R
10であり、
R
6は、置換または非置換フェニルであり、
R
7は、H、置換または非置換C
1-6アルキル、あるいはハロゲンであり、
R
8は、H、置換または非置換C
1-6アルキル、あるいはハロゲンであり、
R
10は、置換または非置換C
1-6アルキル、OH、あるいは置換または非置換OC
1-6アルキルであり、
R
15は、Hであり、
R
16は、Hである、
化合物を提供する。
【0015】
別の態様では、本発明は、式Iを有する化合物であって、
式中、
R
1は、Hであり、
R
2は、置換または非置換C
1-6アルキル、置換または非置換OC
1-6アルキル、置換または非置換複素環、あるいは置換または非置換フェニルであり、
R
3は、C−R
7であり、
R
4は、C−R
8であり、
R
5は、−P(O)R
10であり、
R
6は、置換または非置換フェニルであり、
R
7は、Hまたはハロゲンであり、
R
8は、Hであり、
R
10は、置換または非置換C
1-6アルキル、OH、あるいは置換または非置換OC
1-6アルキルであり、
R
15は、Hであり、
R
16は、Hである、
化合物を提供する。
【0016】
別の態様では、本発明は、式Iを有する化合物であって、
式中、
R
1は、Hであり、
R
2は、置換または非置換C
1-6アルキル、置換または非置換OC
1-6アルキル、置換または非置換複素環、あるいは置換または非置換フェニルであり、
R
3は、C−R
7であり、
R
4は、C−R
8であり、
R
5は、−P(O)R
10であり、
R
6は、置換または非置換フェニルであり、
R
7は、ハロゲンであり、
R
8は、Hであり、
R
10は、置換または非置換C
1-6アルキル、OH、あるいは置換または非置換OC
1-6アルキルであり、
R
15は、Hであり、
R
16は、Hである、
化合物を提供する。
【0017】
別の態様では、本発明は、式Iを有する化合物であって、
式中、
R
1は、Hであり、
R
2は、n−ブトキシ、4−オキソピペリジン−1−イル、モルホリン−4−イル、フェニル、メチル、2,5−ジメチルフェニルまたはメトキシであり、
R
3は、C−R
7であり、
R
4は、C−R
8であり、
R
5は、−P(O)R
10であり、
R
6は、4−クロロ−3−トリフルオロメチルフェニルであり、
R
7は、塩素であり、
R
8は、Hであり、
R
10は、n−ブトキシ、OH、エトキシ、またはメチルであり、
R
15は、Hであり、
R
16は、Hである、
化合物を提供する。
【0018】
用語「アルキル」は、本明細書で使用される場合、直鎖状もしくは分岐状の部分、またはそれらの組み合わせを有し、かつ1から6個の炭素原子を含有する、飽和した一価または二価の炭化水素部分を指す。アルキルのあるメチレン(−CH
2−)基は、酸素、硫黄、スルホキシド、窒素、カルボニル、カルボキシル、スルホニルによって、または二価C
3-6シクロアルキルによって、置き換えることができる。アルキル基上の水素原子は、限定されないが、ハロゲン、−OH、C
3-8シクロアルキル、非芳香族複素環、芳香族複素環、−OC
1-6アルキル、−NH
2、−NO
2、アミド、カルボン酸、ケトン、エーテル、エステル、アルデヒド、スルホンアミド基を含む、基によって置換されることができる。
【0019】
用語「シクロアルキル」は、本明細書で使用される場合、飽和した環状炭化水素から誘導された、3から8個の炭素原子の一価または二価の基を指す。シクロアルキル基は、単環または多環であることができる。シクロアルキルは、限定されないが、ハロゲン、−OH、C
3-8シクロアルキル、非芳香族複素環、芳香族複素環、−OC
1-6アルキル、−NH
2、−NO
2、アミド、エーテル、エステル、カルボン酸、アルデヒド、ケトン、スルホンアミド基を含む、基によって置換されることができる。
【0020】
用語「シクロアルケニル」は、本明細書で使用される場合、1つ以上の二重結合を有する、飽和したシクロアルキルから誘導された、3から8個の炭素原子の一価または多価の基を指す。シクロアルケニル基は、単環または多環であることができる。シクロアルケニル基は、限定されないが、ハロゲン、−OH、C
3-8シクロアルキル、非芳香族複素環、芳香族複素環、−OC
1-6アルキル、−NH
2、−NO
2、アミド、エーテル、エステル、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、スルホンアミド基を含む、基によって置換されることができる。
【0021】
用語「ハロゲン」は、本明細書で使用される場合、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素の原子を指す。
【0022】
用語「アルケニル」は、本明細書で使用される場合、2から6個の炭素原子を有し、飽和したアルキルから誘導された、少なくとも1つの二重結合を有する、一価または二価の炭化水素ラジカルを指す。C
2-6アルケニルは、EまたはZ構成であることができる。アルケニル基は、C
1-6アルキルによって、置換されることができる。
【0023】
用語「アルキニル」は、本明細書で使用される場合、2から6個の炭素原子を有し、飽和したアルキルから誘導された、少なくとも1つの三重結合を有する、一価または二価の炭化水素ラジカルを指す。
【0024】
用語「複素環」は、本明細書で使用される場合、芳香族または非芳香族、飽和または非飽和であって、OまたはNまたはS、またはそのうち少なくとも2つの組み合わせから(form)選択された、少なくとも1つのヘテロ原子を含有し、炭素環構造を中断する、3から10員環を指す。複素環は、C=Oによって中断されることができ、Sヘテロ原子は、酸化されることができる。複素環は、単環または多環であることができる。複素環部分は、限定されないが、ハロゲン、−OH、C
3-8シクロアルキル、非芳香族複素環、芳香族複素環、−OC
1-6アルキル、−NH
2、−NO
2、アミド、エーテル、エステル、アルデヒド、カルボン酸、ケトン、スルホンアミド基を含む、基によって置換されることができる。
【0025】
通常、この場合、複素環基は、ピリジン、フラン、アゼチジン、チアゾール、チオフェン、オキサゾール、ピラゾール、ベンゾフラン、イソオキサゾール、2−オキソインドリン、2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール、2−オキソ−2H−クロメン、イミダゾール[2,1−b]チアゾール1−H−ピラゾール、インドール、イミダゾール、キノリン、モルホリン、ピペリジン−4−オンである。
【0026】
用語「アリール」は、本明細書で使用される場合、1個の水素の除去によって、6から10個の炭素原子を含有する環から成る芳香族炭化水素から誘導される有機部分を指す。アリールは、限定されないが、ハロゲン、−OH、C
3-8シクロアルキル、非芳香族複素環、芳香族複素環、−OC
1-6アルキル、−NH
2、−NO
2、アミド、エーテル、エステル、カルボン酸、ケトン、アルデヒド、スルホンアミド基を含む、基によって置換され得る、単環または多環アリールであることができる。
【0027】
用語「アミド」は、本明細書で使用される場合、式「−C(O)NR
XR
Y」の基を表し、式中、R
XおよびR
Yは、同一または独立して、HまたはC
1-6アルキルである。
【0028】
用語「ケトン」は、本明細書で使用される場合、式「−C(O)R
X」の基を表し、式中、R
Xは、C
1-6アルキルである。
【0029】
用語「エステル」は、本明細書で使用される場合、式「−C(O)OR
X」の基を表し、式中、R
Xは、C
1-6アルキルである。
【0030】
用語「エーテル」は、本明細書で使用される場合、式「−OR
X」の基を表し、式中、R
Xは、C
1-6アルキルである。
【0031】
用語「アルデヒド」は、本明細書で使用される場合、式「−C(O)H」の基を表す。
【0032】
用語「スルホンアミド」は、本明細書で使用される場合、式「−S(O)
2NR
XR
Y」の基を表し、式中、R
XおよびR
Yは、同一または独立して、HまたはC
1-6アルキルである。
【0033】
用語「ヒドロキシル」は、本明細書で使用される場合、式「−OH」の基を表す。
【0034】
用語「アミノ」は、本明細書で使用される場合、式「−NH
2」の基を表す。
【0035】
用語「カルボニル」は、本明細書で使用される場合、式「−C(O)」の基を表す。
【0036】
用語「カルボキシル」は、本明細書で使用される場合、式「−C(O)O−」の基を表す。
【0037】
用語「スルホニル」は、本明細書で使用される場合、式「−SO
2−」の基を表す。
【0038】
用語「硫酸塩」は、本明細書で使用される場合、式「−O−S(O)
2−O−」を表す。
【0039】
用語「カルボン酸」は、本明細書で使用される場合、式「−C(O)OH」の基を表す。
【0040】
用語「スルホキシド」は、本明細書で使用される場合、式「−S(O)−」の基を表す。
【0041】
用語「ホスホン酸」は、本明細書で使用される場合、式「−P(O)(OH)
2」の基を表す。
【0042】
用語「リン酸」は、本明細書で使用される場合、式「−(O)−P(O)(OH)
2」の基を表す。
【0043】
用語「スルホン酸」は、本明細書で使用される場合、式「−S(O)
2OH」の基を表す。
【0044】
式「H」は、本明細書で使用される場合、水素原子を表す。
【0045】
式「O」は、本明細書で使用される場合、酸素原子を表す。
【0046】
式「N」は、本明細書で使用される場合、窒素原子を表す。
【0047】
式「S」は、本明細書で使用される場合、硫黄原子を表す。
【0048】
本発明のいくつかの化合物は、
エチル[4−クロロ−2−({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}アミノ)フェニル]メチルホスフィナート、
ジブチル[4−クロロ−2−({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}アミノ)フェニル]ホスホナート、
ジエチル(4−クロロ−2−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル、
スルホンアミド}フェニル}ホスホナート、
メチル水素[4−クロロ−2−({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}アミノ)フェニル]ホスホナート、
[4−クロロ−2−({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}アミノ)フェニル]メチルホスフィン酸、
4−クロロ−N−{5−クロロ−2−[メチル(モルホリン−4−イル)ホスホリル]フェニル}−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド、
4−クロロ−N−{5−クロロ−2−[メチル(4−オキソピペリジン−1−イル)ホスホリル]フェニル}−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド、
ブチル水素[4−クロロ−2({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}アミノ)フェニル]ホスフォネート、
エチル水素(4−クロロ−2−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニルスルホンアミド)フェニル)ホスホナート、
ブチル[4−クロロ−2−({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}アミノ)フェニル](4−オキソピペリジン−1−イル)ホスフィナート、
エチル[4−クロロ−2−({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}アミノ)フェニル]モルホリン−4−イルホスフィナート、
メチル[4−クロロ−2−({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}アミノ)フェニル](4−オキソピペリジン−1−イル)ホスフィナート、
エチル(4−クロロ−2−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニルスルホンアミド)フェニル)(フェニル)ホスフィナート、
エチル[4−クロロ−2−({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}アミノ)フェニル](2,5−ジメチルフェニル)ホスフィナート、
4−クロロ−N−[5−クロロ−2−(ジメチルホスホリル)フェニル]−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド、
[4−クロロ−2−({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}アミノ)フェニル]フェニルホスフィン酸、
[4−クロロ−2−({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}アミノ)フェニル](2,5−ジメチルフェニル)ホスフィン酸である。
【0049】
式Iのいくつかの化合物およびいくつかのその中間体は、その構造内に少なくとも1つの立体中心を有する。本立体中心は、RまたはS構成内に存在してもよく、RおよびS表記は、Pure Appli.Chem.(1976),45.11−13に説明される規則に対応して使用される。
【0050】
用語「薬学的に許容される塩」は、前述の同定された化合物の所望の生物学的活性を維持し、かつ望ましくない毒性効果が最小であるかもしくはないことを明示する、塩または錯体を指す。本発明による、「薬学的に許容される塩」は、式Iの化合物が形成できる、治療活性の非毒性塩基性塩または酸性塩形態を含む。
【0051】
塩基としてその遊離塩基において生じる、式Iの化合物の酸付加塩形態は、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸等、または有機酸、例えば、酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロピオン酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモン酸、クエン酸、メチルスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ギ酸等、適切な酸を用いて遊離塩基を処理することによって得ることができる(Handbook of Pharmaceutical Salts,P.Heinrich Stahal& Camille G.Wermuth(Eds)、Verlag Helvetica Chemica Acta−Zurich,2002、329−345)。
【0052】
その酸形態において生じる、式Iの化合物の塩基付加塩形態は、無機塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等であり、または有機塩基、例えば、L−アルギニン、エタノールアミン、ベタイン、ベンザチン、モルホリン等、適切な塩基を用いて遊離塩基を処理することによって得ることができる。(Handbook of Pharamaceutical Salts,P.Heinrich Stahal& Camille G.Wermuth(Eds),Verlag Helvetica Chemica Acta−Zurich,2002,329−345)。
【0053】
式Iの化合物およびその塩は、本発明の範囲内に含まれる溶媒和物の形態内であることができる。そのような溶媒和物には、例えば、水和物、アルコラート等がある。
【0054】
本発明に関して、化合物または複数の化合物の参照は、特定の異性体が特異的に参照されない限り、その可能な異性体およびそれらの混合物の各形態の化合物を網羅することが意図される。
【0055】
本発明による化合物は、さまざまな多形相で存在し得る。前述の化学式に明示されてはいないが、そのような形態は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0056】
本発明の化合物は、ケモカイン受容体に係る成分が存在する可能性の高い病状を治療または防止する際の使用に適応される。
【0057】
別の実施形態では、薬学的に許容される担体内に、本発明の少なくとも1つの化合物を含む、医薬組成物が提供される。
【0058】
本発明のさらなる実施形態では、ケモカイン受容体の調節に関連する疾患を治療するための方法が提供される。そのような方法は、例えば、本発明の少なくとも1つの化合物の治療的有効量を含有する医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することによって、実施することができる。
【0059】
これらの化合物は、CCR調節によって緩和される、一定範囲の病状および疾患を伴うヒトを含む、哺乳類の治療のために有用である。CCR調節因子の治療上の有用性として、限定されないが、酒さ(皮膚直下の血管の拡張)、日焼け、慢性日光障害、離散性紅斑、乾癬、アトピー性皮膚炎、月経関連顔面潮紅、精巣摘出術後アトピー性皮膚炎から生じる顔面潮紅、光老化、脂漏性皮膚炎、座瘡、アレルギー性皮膚炎、刺激性皮膚炎、顔面の毛細血管拡張症(以前から存在していた小血管の拡張)、鼻瘤(濾胞拡張を伴う、鼻の肥大)、赤色団子鼻、座瘡様皮疹(滲出または痂皮化し得る)、顔面の熱傷または打診痛知覚、刺激性、充血性、および流涙性眼、皮膚の血管の拡張を伴う、皮膚の機能亢進、Lyell症候群、Stevens−Johnson症候群、多形性紅斑(軽症型)、多形性紅斑(重症型)、および他の炎症性皮膚疾患、日光角化症、ヒ素角化症、炎症性および非炎症性座瘡、魚鱗癬、ならびに皮膚の他の角化および過増殖性疾患、湿疹、創傷治癒を含む、皮膚の炎症性疾患および病状が挙げられる。
【0060】
CCR調節因子の治療上の有用性として、限定されないが、ブドウ膜炎、ドライアイ、角膜炎、眼の後部に影響を及ぼす、アレルギー性眼疾患および病状、例えば、非滲出性加齢黄斑変性、滲出性加齢黄斑変性、脈絡膜新生血管、糖尿病性網膜症、急性黄斑神経網膜症、中心性漿液性網膜脈絡膜症、嚢胞様黄斑浮腫、および糖尿病性黄斑浮腫を含む、黄斑症および網膜変性;ブドウ膜炎、網膜炎、および脈絡膜炎、例えば、急性多発性小板状色素上皮症、Behcet病、散弾状脈絡網膜炎、感染症(梅毒、ライム病、結核、トキソプラズマ病)、中間部ブドウ膜炎(扁平部炎)、多病巣性脈絡膜炎、複数の多発性消失性白点症症候群(mewds)、眼サルコイドーシス、後強膜炎、匍行性脈絡膜炎、網膜下線維症およびブドウ膜炎症候群、Vogt−Koyanagi−Harada症候群;血管性疾患/滲出性疾患、例えば、網膜動脈閉塞疾患、網膜中心静脈閉塞症、播種性血管内凝固症候群、網膜分枝静脈閉塞症、高圧性眼底変化、眼虚血症候群、網膜動脈毛細血管瘤、Coat病、傍中心窩毛細血管拡張症、半側網膜静脈閉塞症、乳頭静脈炎、網膜中心動脈閉塞症、網膜動脈分枝閉塞症、頚動脈疾患(CAD)、霜状分枝血管炎、鎌状赤血球網膜症および他の異常ヘモグロビン症、網膜色素線条症、家族性滲出性硝子体網膜症、および病;外傷性/外科的病状、例えば、交感性眼炎、ブドウ膜網膜疾患、網膜剥離、外傷、レーザによって引き起こされる病状、光線力学的治療法によって引き起こされる病状、光凝固、外科術中の低灌流、放射線網膜症、および骨髄移植網膜症;増殖性障害、例えば、増殖性硝子体網膜症および網膜上膜、ならびに増殖性糖尿病性網膜症;感染性障害、例えば、眼ヒストプラズマ症、眼トキソカラ症、推定眼ヒストプラズマ症候群(POHS)、眼内炎、トキソプラズマ症、HIV感染に関連する網膜疾患、HIV感染に関連する脈絡膜疾患、HIV感染に関連するブドウ膜疾患、ウイルス性網膜炎、急性網膜壊死、進行性網膜外層壊死、真菌性網膜疾患、眼梅毒、眼結核症、片側性瀰漫性亜急性視神経網膜炎、およびハエ幼虫症;遺伝障害、例えば、網膜色素変性症、網膜ジストロフィーに関連する全身性疾患、先天停止性夜盲、錐体ジストロフィー、Stargardt病および黄色斑眼底、Best病、網膜色素上皮の模様ジストロフィー、X連鎖性網膜分離症、Sorsby眼底変性症、良性中心性黄斑症、Bietti結晶性ジストロフィー、および弾力線維性仮性黄色腫;網膜裂孔/円孔、例えば、網膜剥離、黄斑円孔、巨大網膜裂孔;腫瘍、例えば、腫瘍に関連する網膜疾患、網膜色素上皮の先天性肥大、後部ブドウ膜黒色腫、脈絡膜血管腫、脈絡膜骨腫、脈絡膜転移、網膜および網膜色素上皮の混合性過誤腫、網膜芽細胞腫、眼底の血管増殖性腫瘍、網膜星状細胞腫、眼内リンパ系腫瘍;ならびに眼の後部に影響を及ぼす、その他の疾患、例えば、点状脈絡膜内層症、急性後部多発性小板状色素上皮症、近視性網膜変性症、および急性網膜色素上皮炎を含む、眼の炎症性疾患が挙げられる。
【0061】
本発明のなおも別の実施形態では、ケモカイン受容体の調節と関連する疾患の治療のための方法が提供される。そのような方法は、例えば、それを必要とする対象に、治療的有効量の本発明の少なくとも1つの化合物、またはその任意の組み合わせ、または薬学的に許容されるその塩、水和物、溶媒和物、結晶形、ならびに個々の異性体、光学異性体、およびジアステレオマを投与することによって実施することができる。
【0062】
本発明は、限定されないが、ブドウ膜炎、ドライアイ、角膜炎、眼の後部に影響を及ぼす、アレルギー性眼疾患および病状、例えば、非滲出性加齢黄斑変性、滲出性加齢黄斑変性、脈絡膜新生血管、糖尿病性網膜症、急性黄斑神経網膜症、中心性漿液性網膜脈絡膜症、嚢胞様黄斑浮腫、および糖尿病性黄斑浮腫を含む、黄斑症および網膜変性;ブドウ膜炎、網膜炎、および脈絡膜炎、例えば、急性多発性小板状色素上皮症、Behcet病、散弾状脈絡網膜炎、感染症(梅毒、ライム病、結核、トキソプラズマ病)、中間部ブドウ膜炎(扁平部炎)、多病巣性脈絡膜炎、複数の多発性消失性白点症症候群(mewds)、眼サルコイドーシス、後強膜炎、匍行性脈絡膜炎、網膜下線維症およびブドウ膜炎症候群、Vogt−Koyanagi−Harada症候群;血管性疾患/滲出性疾患、例えば、網膜動脈閉塞疾患、網膜中心静脈閉塞症、播種性血管内凝固症候群、網膜分枝静脈閉塞症、高圧性眼底変化、眼虚血症候群、網膜動脈毛細血管瘤、Coat病、傍中心窩毛細血管拡張症、半側網膜静脈閉塞症、乳頭静脈炎、網膜中心動脈閉塞症、網膜動脈分枝閉塞症、頚動脈疾患(CAD)、霜状分枝血管炎、鎌状赤血球網膜症および他の異常ヘモグロビン症、網膜色素線条症、家族性滲出性硝子体網膜症、および病;外傷性/外科的病状、例えば、交感性眼炎、ブドウ膜網膜疾患、網膜剥離、外傷、レーザによって引き起こされる病状、光線力学的治療法によって引き起こされる病状、光凝固、外科術中の低灌流、放射線網膜症、および骨髄移植網膜症;増殖性障害、例えば、増殖性硝子体網膜症および網膜上膜、ならびに増殖性糖尿病性網膜症;感染性障害、例えば、眼ヒストプラズマ症、眼トキソカラ症、推定眼ヒストプラズマ症候群(POHS)、眼内炎、トキソプラズマ症、HIV感染に関連する網膜疾患、HIV感染に関連する脈絡膜疾患、HIV感染に関連するブドウ膜疾患、ウイルス性網膜炎、急性網膜壊死、進行性網膜外層壊死、真菌性網膜疾患、眼梅毒、眼結核症、片側性瀰漫性亜急性視神経網膜炎、およびハエ幼虫症;遺伝障害、例えば、網膜色素変性症、網膜ジストロフィーに関連する全身性疾患、先天停止性夜盲、錐体ジストロフィー、Stargardt病および黄色斑眼底、Best病、網膜色素上皮の模様ジストロフィー、X連鎖性網膜分離症、Sorsby眼底変性症、良性中心性黄斑症、Bietti結晶性ジストロフィー、および弾力線維性仮性黄色腫;網膜裂孔/円孔、例えば、網膜剥離、黄斑円孔、巨大網膜裂孔;腫瘍、例えば、腫瘍に関連する網膜疾患、網膜色素上皮の先天性肥大、後部ブドウ膜黒色腫、脈絡膜血管腫、脈絡膜骨腫、脈絡膜転移、網膜および網膜色素上皮の混合性過誤腫、網膜芽細胞腫、眼底の血管増殖性腫瘍、網膜星状細胞腫、眼内リンパ系腫瘍;ならびに眼の後部に影響を及ぼす、その他の疾患、例えば、点状脈絡膜内層症、急性後部多発性小板状色素上皮症、近視性網膜変性症、および急性網膜色素上皮炎を含む、眼の炎症性疾患の治療のための薬剤の製造のための化Iの化合物またはその薬学的に容認可能塩の使用に関する。
【0063】
任意の所与の症例において投与される実際の化合物の量は、病状の重症度、患者の年齢および体重、患者の全身的な身体状態、病状の原因、および薬の投与経路等、関連の状況を考慮して、医師によって判定されることになる。
【0064】
患者は、錠剤、液体、カプセル、粉末等、任意の許容される形態で、化合物を経口投与されるか、または、特に患者が吐き気を催している場合には、他の経路の方が望ましい、または必要であり得る。そのような他の投与経路には、例外なく、移植ステント、くも膜下腔、硝子体内、眼の局所、眼の奥、筋肉内、静脈内、および直腸内送達様式を介した、経皮的、非経口、皮下、鼻腔内経路が含まれてもよい。加えて、製剤は、所与の期間にわたって活性化合物の放出を遅らせるか、または療法の過程の間、所与の時間に放出される薬物の量を慎重に制御するように設計されてもよい。
【0065】
本発明の別の実施形態では、その薬学的に許容される担体中に本発明の少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物が、提供される。語句「薬学的に許容される」は、担体、希釈剤または賦形剤が、製剤の他の成分と相溶性であり、かつその受容者に対して有害であってはならないことを意味する。
【0066】
本発明の医薬組成物は、固体、溶液、乳剤、分散剤、パッチ、ミセル、リポソーム等の形態で使用されることができ、結果として生じる組成物は、腸内または非経口適用に好適な有機または無機の担体または賦形剤と混合して、本発明の1つ以上の化合物を、活性成分として含有する。発明の化合物は、例えば、錠剤、小粒、カプセル、座薬、溶液、乳剤、懸濁液、および他の使用に好適な任意の形態のために、通常の非毒性の、薬学的に許容される担体と組み合わされてもよい。使用され得る担体は、グルコース、乳糖、アカシアゴム、ゼラチン、マンニトール、でんぷん糊、三ケイ酸マグネシウム、タルク、コーンスターチ、ケラチン、コロイドシリカ、ジャガイモ澱粉、尿素、中鎖トリグリセルド、デキストラン、および製剤の製造における使用に好適な他の担体を、固体、半固体、または液体形態で含む。加えて、助剤、安定化剤、増粘剤、および着色剤、ならびに香料が、使用され得る。発明の化合物は、過程または病状に応じて、所望の効果を生じさせるのに十分な量で、医薬組成物に含まれる。
【0067】
発明の化合物を含有する医薬組成物は、例えば、錠剤、トローチ、菓子錠剤、水性もしくは油性懸濁液、散性粉末もしくは顆粒、乳剤、硬もしくは軟カプセル、またはシロップもしくはエリキシル剤として、経口使用に好適な形態であってもよい。経口使用を意図される組成物は、医薬組成物の製造に対して当技術分野において公知の任意の方法に従って調製されてもよく、かつそのような組成物は、薬学的に洗練され、かつ口に合う調製剤を提供するために、ショ糖、乳糖、またはサッカリン等の甘味料、はっか油、冬緑油、またはサクランボ等の着香料、着色料、および保存料から成る群から選択される1つ以上の化学物質を含有してもよい。非毒性の薬学的に許容される賦形剤と混合して発明の化合物を含有する錠剤はまた、公知の方法によって製造され得る。使用される賦形剤は、例えば、(1)カルシウム炭酸塩、乳糖、リン酸カルシウム、またはリン酸ナトリウム等の不活性希釈剤、(2)コーンスターチ、ジャガイモ澱粉、またはアルギン酸等の造粒剤および崩壊剤、(3)トラガカントゴム、コーンスターチ、ゼラチン、またはアカシア等の結合剤、および(4)ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルク等の潤滑剤であってもよい。錠剤は、コーティングされていなくてもよく、または胃腸内での分解および吸収を遅らせるための公知の技法によってコーティングされ、それによって、長時間にわたって継続する作用を提供してもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリル等の時間遅延材料が採用され得る。
【0068】
ある場合には、経口使用のための製剤は、硬質ゼラチンカプセルの形態であってもよく、本発明の化合物は、例えば、カルシウム炭酸塩、リン酸カルシウム、またはカオリン等の不活性固体希釈剤と混合される。それらはまた、軟質ゼラチンカプセルの形態であってもよく、本発明の化合物は、水、または、例えば、落花生油、液体パラフィン、またはオリーブ油等の油媒体と混合されてもよい。
【0069】
医薬組成物は、滅菌の注入可能な懸濁液の形態であってもよい。この懸濁液は、好適な分散剤または湿潤剤、および懸濁化剤を使用する公知の方法に従って調合されてもよい。滅菌の注入可能な製剤はまた、例えば1,3−ブタンジオール中溶液として等、非毒性で非経口的に許容される希釈剤または溶剤中の、滅菌した注入可能な溶液または懸濁液であってもよい。滅菌の固定油が、溶剤または懸濁化剤として従来採用されている。この目的のために、合成のモノグリセリドまたはジグリセリド、脂肪酸(オレイン酸を含む)、天然のごま油、ココナツオイル、落花生油、綿実油等のような植物油、またはオレイン酸エチル等のような合成脂肪媒体をはじめ、任意の無刺激の固定油が、採用されてもよい。緩衝剤、防腐剤、抗酸化物質等が、必要に応じて組み込まれ得る。
【0070】
本発明の化合物およびその薬学的に容認可能な塩は、局部点眼薬、直接注入、眼の後部への点眼、あるいは長時間の作用をさらに向上させ得る、製剤、例えば、徐放性丸薬、懸濁液、ゲル、または持続的送達デバイス、例えば、当技術分野において公知の任意の好適な薬物送達システム(DDS)を含むが、それらに限定されない、異なる経路を通して投与されてもよい。局部投与が好ましいが、本化合物はまた、米国特許第7,931,909号に説明されるような眼内レンズにおいて使用されてもよい。
【0071】
本発明の化合物はまた、薬物の直腸投与のための座薬の形態で投与されてもよい。これらの組成物は、常温では固体だが、薬物を放出するための直腸腔内では液化および/または溶解する、ココアバター、ポリエチレングリコールの合成グリセリドエステル等の好適な刺激性のない賦形剤と、本発明の化合物を混合して調製されてもよい。
【0072】
個々の対象が重症度において多様な症状を示し得るため、かつ各薬物が、その独特な治療的特性を有するため、各対象に対して採用される正確な投与方法および投薬量は、施術者の裁量に委ねられる。
【0073】
本明細書に説明される化合物および医薬組成物は、ケモカイン受容体の作動薬または機能的拮抗薬による治療に反応する、疾患の治療および/または病状の軽減のために、ヒトを含む哺乳類における薬剤として有用である。したがって、本発明のさらなる実施形態では、ケモカイン受容体の調節に関連する疾患の治療のための方法が提供される。そのような方法は、例えば、それを必要とする対象に、治療的有効量の少なくとも1つの発明の化合物を含有する医薬組成物を投与することによって、実施することができる。本明細書で使用される場合、用語「治療的有効量」は、研究者、獣医、医師、または他の臨床医によって求められている、それを必要とする対象の生物学的または医学的反応を引き起こす医薬組成物の量を意味する。いくつかの実施形態では、それを必要とする対象は、哺乳類である。いくつかの実施形態では、哺乳類は、ヒトである。
【0074】
本発明はまた、式Iの化合物の調製のためのプロセスに関する。本発明による式Iの化合物は、有機合成化学の当業者によって理解されるような従来の方法に類似した方法で、調製されることができる。説明されるリン酸誘導体は、方式1に示されるような方法によって調製された。当業者は、式Iによって網羅される本発明の任意の化合物を合成するための方式1を日常的に修正し、かつ/または適合させることができるであろう。
ある経路では、適切に置換された2−アニリンが、芳香族スルホニルクロリドと反応し、対応するスルホンアミドを調製することができる。スルホンアミドは、エチルメチルホスフィナートと反応し、本発明のリン酸化合物を形成する。
方式1
【化2】
【発明を実施するための形態】
【0075】
前述の概要および以下の発明を実施するための形態は両方とも、単に例示的および注釈的なものであって、請求される本発明を制限するものではないことを理解されたい。本明細書で使用される場合、単数形の使用は、特異的に別の方法で規定されていない限り、複数形を含む。
【0076】
化合物がエナンチオマ型ならびにジアステレオマ型において存在し得るように、本発明のいくつかの化合物は、1つ以上の不斉中心を含有してもよいことが、当業者には容易にわかることであろう。特異的にそうでないことが言及されない限り、本発明の範囲は、全光学異性体、ジアステレオマ、およびラセミ混合物を含む。本発明のいくつかの化合物は、薬学的に許容される酸または塩基とともに塩を形成してもよく、本明細書に説明される化合物のそのような薬学的に許容される塩もまた、発明の範囲内である。
【0077】
本発明は、全ての薬学的に許容される同位体的に濃縮された化合物を含む。本発明の任意の化合物は、プロチウム
1H(または、H)の代わりに、重水素
2H(または、D)、または
12Cの代わりに、
13C濃縮物質の使用等、濃縮された、あるいは天然の比率と異なる、1つ以上の同位体の原子を含有してもよい。類似の置換を、N、O、およびSに対して採用することができる。アイソトープの使用は、本発明の分析的ならびに療法的態様を助け得る。例えば、重水素の使用は、本発明の化合物の代謝(速度)を改変することによって、生体内半減期を増加させ得る。これらの化合物は、同位体的に濃縮された試薬の使用によって、説明される調製と一致して調製されることができる。
【0078】
当業者には明白であろうが、個々の異性体は、従来の方法でそれらの混合物の分離によって得ることができる。例えば、ジアステレオ(diasteroisomeric)異性体の場合、クロマトグラフ分離が採用され得る。
【0079】
化合物の名称は、ACD version 8を用いて生成され、実施例で使用されるいくつかの中間体および試薬の名称は、Chem Bio Draw Ultra version 12.0またはMDL ISIS Draw 2.5 SP1製Auto Nom 2000等のソフトウェアを用いて生成された。一般に、化合物の特性評価は、以下の方法に従って行われる。
NMRスペクトルは、Varian600またはVarian300上で、化学シフト[ppm]、結合定数[Hz]として、周囲温度時の記載された溶媒において記録される。
【0080】
合成が説明されない全ての試薬、溶媒、触媒は、Sigma Aldrich、Fluka、Bio−Blocks、Combi−Blocks、TCI、VWR、Lancaster、Oakwood、Trans World Chemical、Alfa、Fisher、Maybridge、Frontier、Matrix、Ukrorgsynth、Toronto、Ryan Scientific、SiliCycle、Anaspec、Syn Chem、Chem−Impex、MIC−scientific,Ltd等の化学物質販売会社から購入される。しかしながら、いくつかの公知の中間体は、公開手順に従って調製された。溶媒は、適切な量において、販売元から購入し、受け取ったままの状態で使用された。感気性および/または感湿性反応は、Ar−またはN
2−大気下で実行された。
【0081】
通常、本発明の化合物は、クロマトグラフィ:CombiFlash CompanionおよびRediSep Rfシリカゲル60(0.04〜0.063mm);分取薄層クロマトグラフィ(PTLC):Analtech(シリカゲル60F
254、500、または1000μm)によって精製された。
【0082】
以下の略語が、実施例において使用される。
【0083】
以下の実施例は、単なる例証的目的のためであって、いかなる方法であれ、本発明を制限するものとして意図されず、またそのように解釈されるべきでもない。当業者は、以下の実施例の変形例および修正が、発明の精神または範囲を超えることなく、実施できることを理解するであろう。
【0084】
実施例1
中間体1
4−クロロ−N−(5−クロロ−2−イオドフェニル)−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド
【化3】
ピリジン(10ml)中、5−クロロ−2−イオドアニリン(CAS 6828−35−9)(1.1g、4.33mmol)および4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホニルクロリド(CAS 32333−53−2)(1.21g、4.33mmol)の溶液が、一晩、100℃で撹拌された。溶媒が、真空で除去され、残留物が、フラッシュカラムクロマトグラフィによって、シリカゲル上で精製され、淡黄色固体として、中間体1(1.3g、60%)を得た。
1H NMR(300MHz,CD
3OD)δ8.03(s,1H)、7.84−7.93(m,1H)、7.68−7.84(m,2H)、7.47(d,J=2.34Hz,1H)、7.04(dd,1H)。
【0085】
一般手順A
実施例2
化合物1
エチル[4−クロロ−2−({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}アミノ)フェニル]メチルホスフィナート
【化4】
密閉された管内において、トルエン(3ml)中、中間体1(500mg、1.01mmol)、エチルメチルホスフィナート(CAS#16391−07−4)(0.3ml、過剰量)、CuI(10mg、0.050mmol)、Cs
2CO
3(657mg、2.02mmol)、およびN,N′−ジメチルエチルエネジアミン(27mg、0.30mmol)の混合物が、一晩、110℃まで加熱された。溶媒が、除去され、残留物が、フラッシュカラムクロマトグラフィによって、シリカゲル(ヘキサン中30%酢酸エチル)上で精製され、化合物1(279mg、57%)を得た。
1H NMR(600MHz,アセトン−d
6)δ11.70(br.s.,1H)、8.19(d,J=2.05Hz,1H)、8.14(dd,J=2.35,8.51Hz,1H)、7.93(d,J=8.51Hz,1H)、7.75(dd,J=2.05,4.11Hz,1H)、7.57(dd,J=8.36,13.06Hz,1H)、7.26(dt,J=1.76,8.22Hz,1H)、3.77−3.91(m,1H)、3.52−3.67(m,1H)、1.63(d,J=15.26Hz,3H)、1.16(t,3H)。
化合物2、3および4は、実施例2に説明されるように、手順Aに従って調製された。
【0086】
化合物2
ジブチル[4−クロロ−2−({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}アミノ)フェニル]ホスホナート
【化5】
化合物2(412mg、86%)が、トルエン(3ml)中、中間体1(423mg、0.85mmol)、ジブチルホスファイト(248mg、1.28mmol)、CuI(8mg、0.043mmol)、N,N′−ジメチルエチルエネジアミミン(23mg、0.26mmol)、およびCs
2CO
3(556mg、1.71mmol)から調製された。
1H NMR(300MHz,CD
3OD)δ7.92−8.29(m,2H)、7.83(d,J=8.20Hz,2H)、7.39−7.62(m,1H)、7.17−7.39(m,1H)、3.64−4.03(m,4H)、1.44−1.65(m,4H)、1.17−1.40(m,4H)、0.88(t,J=7.33Hz,6H)。
【0087】
化合物3
ジエチル(4−クロロ−2−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル
スルホンアミド)フェニル)ホスホナート
【化6】
化合物3(184mg、50%)が、トルエン(3ml)中、中間体1(359mg、0.72mmol)、ジエチルホスファイト(150mg、1.08mmol)、CuI(7mg、0.036mmol)、N,N′−ジメチルエチルエネジアミミン(23mg、0.26mmol)、およびCs
2CO
3(460mg、1.44mmol)から調製された。
1H NMR(300MHz,CDCl
3)δ10.59(br.s.,1H)、8.17(d,J=1.76Hz,1H)、7.97(dd,J=2.05,8.50Hz,1H)、7.79(dd,J=1.47,5.57Hz,1H)、7.60(d,J=8.50Hz,1H)、7.39(dd,J=8.35,13.92Hz,1H)、7.12(dt,J=2.01,8.28Hz,1H)、3.67−4.14(m,4H)、1.23(t,J=7.03Hz,6H)。
【0088】
化合物4
メチル水素[4−クロロ−2−({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}アミノ)フェニル]ホスホナート
【化7】
化合物4(336mg、47%)が、トルエン(5ml)中、中間体1(758mg、1.53mmol)、ジメチルホスホナート(253mg、2.29mmol)、CuI(15mg、0.076mmol)、N,N′−ジメチルエチルエネジアミミン(40mg、0.46mmol)、およびCs
2CO
3(996mg、3.06mmol)から調製された。
1H NMR(600MHz,CD
3OD)δ8.13(d,1H)、8.04(dd,J=2.20,8.36Hz,1H)、7.77(d,J=8.51Hz,1H)、7.69(dd,J=1.76,4.11Hz,1H)、7.57(dd,J=8.07,12.77Hz,1H)、7.03−7.19(m,1H)、3.12(d,J=11.15Hz,3H)。
【0089】
一般手順B
実施例3
化合物5
[4−クロロ−2−({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}アミノ)フェニル]メチルホスフィン酸
【化8】
CHCl
3中、化合物1(250mg、0.525mmol)の溶液に対して、TMSI(525mg、2.63mmol)が添加され、混合物は30分間、室温で撹拌された。反応物が、水で急冷され、ジクロロメタン(2×10ml)で抽出された。結合された有機層が、水、すなわち、水性NaHSO
3で洗浄され、凝縮された。粗生成物が、フラッシュカラムクロマトグラフィによって、シリカゲル(CH
2Cl
2中10%MeOH)上で精製され、化合物5(210mg、89%)を得た。
1H NMR(600MHz,CD
3OD)δ8.16(d,J=2.35Hz,1H)、8.05(dd,J=2.35,8.51Hz,1H)、7.81(d,J=8.51Hz,1H)、7.71(dd,J=1.76,4.11Hz,1H)、7.54(dd,J=8.22,13.21Hz,1H)、7.23(dt,J=1.87,8.29Hz,1H)、1.44(d,J=15.0Hz,3H)。
【0090】
一般手順C
実施例4
化合物6
4−クロロ−N−{5−クロロ−2−[メチル(モルホリン−4−イル)ホスホリル]フェニル}−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド
【化9】
DMF(2ml)中、化合物5(56mg、0.13mmol)、モルホリン(11mg、0.13mmol)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムヘクサフルオロホスファート(HBTU)(47mg、0.13mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(48mg、0.38mmol)の混合物が、2日間、室温で撹拌された。水が、添加され、混合物が、酢酸エチル(2×10ml)で抽出された。結合された有機層が、塩水で洗浄され、Na
2SO
4上で乾燥され、真空で凝縮された。粗生成物が、フラッシュカラムクロマトグラフィによって、シリカゲル(CH
2Cl
2中10%MeOH)上で精製され、化合物6(38mg、59%)を得た。
1H NMR(600MHz,CDCl
3)δ11.76(s,1H)、8.21(d,J=1.47Hz,1H)、8.03(dd,J=1.91,8.36Hz,1H)、7.77(dd,J=1.76,3.81Hz,1H)、7.63(d,J=8.22Hz,1H)、7.21(dd,J=8.36,13.35Hz,1H)、7.11(d,J=8.22Hz,1H)、3.54−3.70(m,4H)、2.85−3.05(m,4H)、1.60(d,J=14.09Hz,3H)。
化合物7が、実施例4に説明されるように、手順Cに従って調製された。
【0091】
化合物7
4−クロロ−N−{5−クロロ−2−[メチル(4−オキソピペリジン−1−イル)ホスホリル]フェニル}−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド
【化10】
化合物7(29mg)が、DMF(2ml)中、化合物5(50mg、0.11mmol)、ピペリジン−4−オン一水和物塩酸塩(17mg、0.11mmol)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムヘクサフルオロホスファート(HBTU)(42mg、0.11mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(43mg、0.34mmol)から調製された。
1H NMR(600MHz,CDCl
3)δ11.72(br.s.,1H)、8.22(d,J=1.76Hz,1H)、8.04(dd,J=1.91,8.36Hz,1H)、7.74−7.85(m,1H)、7.64(d,J=8.22Hz,1H)、7.19−7.31(m,1H)、7.12(d,J=8.22Hz,1H)、3.22−3.40(m,4H)、2.34−2.58(m,J=6.16,6.16,17.90Hz,4H)、1.70(d,J=14.09Hz,3H)。
【0092】
一般手順D
実施例5
化合物8
ブチル水素[4−クロロ−2({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}アミノ)フェニル]ホスフォネート
【化11】
NaOH(5M、1ml)中、化合物2(170mg、0.30mmol)の溶液が、一晩、還流された。混合物が、室温まで冷却され、10%HCl(水溶液)でpH約1まで酸性化され、次いで、EtOAc(2×50ml)で抽出された。有機層が、塩水で洗浄され、Na
2SO
4上で乾燥され、真空で凝縮された。化合物8が、フラッシュカラムクロマトグラフィによって、シリカゲル(EtOAc中0〜5%MeOH)上で精製された。
1H NMR(300MHz,CD
3OD)δ7.89−8.24(m,2H)、7.66−7.87(m,2H)、7.53(dd,J=8.35,13.63Hz,1H)、7.13−7.27(m,1H)、3.51−3.73(m,2H)、1.34−1.53(m,2H)、1.12−1.33(m,2H)、0.83(t,J=7.33Hz,3H)。
化合物9は、実施例5に説明されるように、手順Dに従って調製された。
【0093】
化合物9
エチル水素(4−クロロ−2−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニルスルホンアミド)フェニル)ホスホナート
【化12】
化合物9(161mg、92%)が、化合物3から調製された。
1H NMR(300MHz,CD
3OD)δ8.21(d,J=1.76Hz,1H)、8.02(dd,J=2.05,8.50Hz,1H)、7.48−7.72(m,3H)、7.05(dt,J=1.87,8.28Hz,1H)、3.47(quin,J=7.03Hz,2H)、1.00(t,J=7.03Hz,3H)。
【0094】
一般手順E
実施例6
化合物10
ブチル[4−クロロ−2−({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}アミノ)フェニル](4−オキソピペリジン−1−イル)ホスフィナート
【化13】
CH
2Cl
2(1ml)中、化合物8(65mg、0.13mmol)、SOCl
2(1ml)の溶液が、2時間、環流された。溶媒が、除去され、残留物が、真空で乾燥された。Et
3N(39mg、0.39mmol)およびCH
2Cl
2(1ml)中、粗生成物およびピペリジン−4−オンが、一晩、室温で撹拌された。溶媒が、除去され、化合物10が、フラッシュカラムクロマトグラフィによって、シリカゲル(EtOAc中5%MeOH)上で精製された。
1H NMR(600MHz,アセトン−d
6)δ11.4(s,1H)、8.21(s,1H)、8.18(d,J=8.5Hz,1H)、7.95(d,J=8.5Hz,1H)、7.77(dd,J=1.8,5.1Hz,1H)、7.60(dd,J=8.2,13.6Hz,1H)、7.24(d,J=8.3Hz,1H)、3.86−4.05(m,2H)、3.34−3.40(m,4H)、2.32(t,J=6.0Hz,4H)、1.59−1.65(m,2H)、1.31−1.39(m,2H)、0.88(t,J=7.33Hz,3H)。
化合物11および12は、実施例6に説明されるように、手順Eに従って調製された。
【0095】
化合物11
エチル[4−クロロ−2−({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}アミノ)フェニル]モルホリン−4−イルホスフィナート
【化14】
化合物11(21mg)が、化合物9から調製された。
1H NMR(600MHz,CDCl
3):δ(ppm)10.98(br.s.,1H)、8.23(s,1H)、8.03(d,J=8.5Hz,1H)、7.75(d,J=5.0Hz,1H)、7.63(d,J=8.5Hz,1H)、7.18−7.40(m,2H)、7.10(d,J=8.2Hz,1H)、3.77−4.09(m,2H)、3.41−3.71(m,4H)、2.78−3.18(m,4H)、1.12−1.45(m,J=7.0,7.0Hz,3H)。
【0096】
化合物12
メチル[4−クロロ−2−({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}アミノ)フェニル](4−オキソピペリジン−1−イル)ホスフィナート
【化15】
化合物12(8mg、4%)が、化合物4から調製された。
1H NMR(600MHz,CDCl
3)δ8.22(d,1H)、8.03(dd,J=2.05,8.51Hz,1H)、7.71(dd,J=1.91,5.14Hz,1H)、7.63(d,J=8.51Hz,1H)、7.32(dd,J=8.22,13.50Hz,1H)、7.11(dt,J=2.05,8.22Hz,1H)、3.63(d,J=11.44Hz,3H)、3.27−3.40(m,4H)、2.38(t,J=6.02Hz,4H)。
【0097】
一般手順F
実施例7
化合物13
エチル(4−クロロ−2−(4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニルスルホンアミド)フェニル)(フェニル)ホスフィナート
【化16】
密閉された管内において、トルエン(3ml)中、中間体1(214mg、0.43mmol)、エチルフェニルホスフィナート(73mg、0.43mmol)、Pd(PPh
3)
4(50mg、0.043mmol)、Et
3N(131mg、1.29mmol)の溶液が、一晩、100℃で加熱された。溶媒が、除去され、残留物が、フラッシュカラムクロマトグラフィによって、シリカゲル上で精製され、化合物13(81mg、35%)を得た。
1H NMR(600MHz,CDCl
3)d11.23(br.s.,1H)、8.14(d,J=2.05Hz,1H)、7.74−7.96(m,2H)、7.59−7.73(m,1H)、7.33−7.57(m,5H)、7.29(dd,J=8.22,12.91Hz,1H)、7.08(d,J=8.22Hz,1H)、3.98−4.08(m,1H)、3.80−3.93(m,1H)、1.30(t,J=7.04Hz,3H)。
化合物14および15は、実施例7に説明されるように、手順Fに従って調製された。
【0098】
化合物14
エチル[4−クロロ−2−({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}アミノ)フェニル](2,5−ジメチルフェニル)ホスフィナート
【化17】
化合物14(78mg、34%)が、中間体1(200mg、0.403mmol)およびエチル(2,5−ジメチルフェニル)ホスフィナート(CAS16391−16−5)(80mg、0.403mmol)から調製された。
1H NMR(600MHz,CDCl
3)δ:11.54(s,1H)、8.21(d,J=2.05Hz,1H)、7.98(dd,J=2.20,8.36Hz,1H)、7.84(dd,J=1.76,4.40Hz,1H)、7.51(d,J=8.22Hz,1H)、7.17−7.35(m,2H)、6.92−7.14(m,3H)、4.00−4.10(m,1H)、3.62−3.85(m,1H)、2.28(s,3H)、2.23(s,3H)、1.29(t,J=7.04Hz,3H)。
【0099】
化合物15
4−クロロ−N−[5−クロロ−2−(ジメチルホスホリル)フェニル]−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド
【化18】
化合物15(34mg、18%)が、中間体1(210mg、0.423mmol)およびジメチルホスフィンオキシド(CAS7211−39−4)(過剰量)から調製された。
1H NMR(300MHz,CD
3OD)δ8.15(s,1H)、8.04(dd,J=1.76,8.50Hz,1H)、7.83(d,J=8.50Hz,1H)、7.64(br.s.,1H)、7.47(dd,J=8.35,13.33Hz,1H)、7.22(br.s.,1H)、1.68(d,J=13.77Hz,6H)。
【0100】
一般手順G
実施例8
化合物16
[4−クロロ−2−({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}アミノ)フェニル]フェニルホスフィン酸
【化19】
CHCl
3(3ml)中、化合物13(32mg、0.059mmol)の溶液に対して、TMSBr(1.5ml)が室温で添加された。混合物が、2時間、70℃で加熱された後、反応物が、水溶液Na
2SO
3で急冷され、CH
2Cl
2(2×5ml)で抽出された。結合された有機層が、塩水で洗浄され、Na
2SO
4上で乾燥され、真空で凝縮された。粗残留物が、フラッシュカラムクロマトグラフィによって、シリカゲル(CH
2Cl
2中10%MeOH)上で精製され、白色固体として、化合物16(25mg、83%)を得た。
1H NMR(600MHz,アセトン−d
6)δ8.13(d,J=1.76Hz,1H)、8.05(dd,J=1.91,8.36Hz,1H)、7.67(d,J=8.22Hz,1H)、7.52−7.63(m,2H)、7.40−7.50(m,2H)、7.24−7.34(m,1H)、7.17(d,J=5.28Hz,2H)、6.92(d,J=7.63Hz,1H)。
化合物17が、実施例8に説明されるように、手順Gに従って調製された。
【0101】
化合物17
[4−クロロ−2−({[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]スルホニル}アミノ)フェニル](2,5−ジメチルフェニル)ホスフィン酸
【化20】
化合物17(38mg、100%)が、化合物14から調製された。
1H NMR(600MHz,CD
3OD)δ8.09(br.s.,1H)、7.96(br.s.,1H)、7.77(br.s.,1H)、7.67(d,J=8.22Hz,1H)、7.40(d,J=12.91Hz,1H)、7.24−7.34(m,1H)、7.21(d,J=7.34Hz,1H)、6.98−7.14(m,2H)、2.26(s,3H)、2.15(s.,3H)。
【0102】
生物学的データ
CCR
2を安定して発現するHEK−Gqi5細胞が、DMEM(高グルコース)、10%FBS、1%PSA、400μg/mlジェネティシン、および50μg/mlハイグロマイシン中で培養された。適切な陽性対照ケモカイン(MCP−1、MIP1A、またはRANTES)が、FLIPR
Tetra上でアッセイされた化合物誘発カルシウム活性をスクリーニングするために、陽性対照作動薬として使用された。薬物プレートが、EP3およびMultiPROBEロボット液体処理システムを使用して、384ウェルのマイクロプレート内で調製された。化合物は、合成され、CCR
2活性のために試験された。
表1は、活性、すなわち、CCR
2受容体(IC
50)nMを示す。
【表1】