(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電力変換器の出力端に伝達される電力量を減少させるステップが、前記電力変換器の帰還電圧入力端での電圧を増加させるステップを含む、請求項21に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面に関連して以下に述べられる詳細な説明は、本発明の例示的実施形態を説明するものであって、本発明を実施することができる唯一の実施形態を表すものではない。この説明の全体にわたって「例示」という用語は「例、事例、または例証、として役立つ」ことを意味し、必ずしも他の例示的実施形態より好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。詳細な説明は、本発明の例示的実施形態の十分な理解を得るために特定の詳細を含む。当業者には本発明の例示的実施形態は、これらの特定の詳細がなくても実施できることが明らかとなるであろう。いくつかの場合では良く知られた構造および装置は、本明細書に示される例示的実施形態の新規性が不明瞭になるのを避けるためにブロック図で示される。
【0012】
本明細書で「無線電力」という用語は、電界、磁界、電磁界、あるいは物理的な電気導体を用いずに送信器と受信器の間で送信される、任意の形のエネルギーを意味するように用いられる。本明細書の以下では、純粋な磁界または純粋な電界は電力を放射しないという理解のもとに、これらの3つすべてを全体的に放射場と呼ぶ。これらは電力伝送を達成するために「受信アンテナ」に結合することができる。
【0013】
図1は本発明の様々な例示的実施形態による無線送信または充電システム100を示す。入力電力102は、エネルギー伝送をもたらすための放射場106を発生するように送信器104に供給される。受信器108は放射場106に結合し、出力電力110に結合された装置(図示せず)によって蓄積または消費されるように出力電力110を発生する。送信器104および受信器108は共に距離112だけ隔てられる。1つの例示的実施形態では、送信器104および受信器108は相互共振関係により構成され、受信器108の共振周波数と送信器104の共振周波数が非常に近いときは、受信器108が放射場106の「近接場」内に位置するときに送信器104と受信器108の間の送電損失は最小となる。
【0014】
送信器104はさらにエネルギー送信の手段をもたらすための送信アンテナ114を含み、受信器108はさらにエネルギーを受け取る手段をもたらすための受信アンテナ118を含む。送信アンテナおよび受信アンテナは、それらに関連する用途および装置に従ってサイズ設定される。上記のように効率的なエネルギー伝送は、電磁波内のエネルギーのほとんどを遠距離場へ伝播させるのではなく、送信アンテナの近接場内のエネルギーの大部分を受信アンテナに結合することによって生じる。この近接場にあるときは、送信アンテナ114と受信アンテナ118の間に結合モードが発生し得る。この近接場結合が生じ得るアンテナ114および118の周囲のエリアは、本明細書では結合モード領域と呼ばれる。
【0015】
図2は無線電力伝送システムの簡略化した概略図を示す。送信器104は、発振器122、電力増幅器124、ならびにフィルタおよび整合回路126を含む。発振器は、468.75KHz、6.78MHz、または13.56MHzなどの所望の周波数を発生するように構成され、これらは調整信号123に応答して調整することができる。発振器信号は、制御信号125に応答する増幅量で電力増幅器124によって増幅することができる。フィルタおよび整合回路126は、高調波または他の不要な周波数をフィルタ除去し、送信器104のインピーダンスを送信アンテナ114に整合するために含めることができる。
【0016】
受信器108は整合回路132と、
図2に示されるような電池136を充電するためにまたは受信器に接続された装置(図示せず)に電力供給するためにDC電力出力を発生するための、整流器およびスイッチング回路134とを含むことができる。整合回路132は、受信器108のインピーダンスを受信アンテナ118に整合するために含めることができる。受信器108と送信器104は、別の通信チャネル119上で(たとえばブルートゥース、ZigBee、セルラなどで)通信することができる。
【0017】
以下でより十分に述べるように、始めに選択的にディスエーブル可能な関連する負荷(たとえば電池136)を有することができる受信器108は、送信器104によって送信され受信器108によって受け取られた電力量が、電池136を充電するのに十分かどうかを判定するように構成することができる。さらに受信器108は、電力量が十分であると判定するとすぐに、負荷(たとえば電池136)をイネーブルするように構成することができる。
【0018】
図3に示されるように例示的実施形態に用いられるアンテナは、「ループ」アンテナ150として構成することができ、これは本明細書では「磁気」アンテナと呼ばれる場合もある。ループアンテナは、空芯またはフェライトコアなどの物理的コアを含むように構成することができる。空芯ループアンテナは、コアの近傍に配置された外部の物理的装置に対してより許容性を有し得る。さらに空芯ループアンテナはコアエリア内に他の構成要素を置くことが可能になる。それに加えて空芯ループでは、送信アンテナ114(
図2)の結合モード領域がより強力になり得る送信アンテナ114(
図2)の平面内に、受信アンテナ118(
図2)を配置することがより容易に可能になる。
【0019】
上記のように送信器104と受信器108の間の効率的なエネルギーの伝送は、送信器104と受信器108の間の一致した共振またはほぼ一致した共振時に生じる。しかし送信器104と受信器108の間の共振が一致しないときでも、効率は影響を受け得るが、エネルギーを伝送することができる。エネルギーの伝送は、送信アンテナから自由空間にエネルギーを伝播させるのではなく、送信アンテナの近接場からのエネルギーを、この近接場が確立された近傍内にある受信アンテナに結合することによって生じる。
【0020】
ループまたは磁気アンテナの共振周波数はインダクタンスおよび静電容量に基づく。ループアンテナにおけるインダクタンスは一般に単にループによって生成されるインダクタンスであり、静電容量は一般に所望の共振周波数にて共振構造を生成するようにループアンテナのインダクタンスに追加される。非限定的な例として、共振信号156を発生する共振回路を生成するために、コンデンサ152およびコンデンサ154をアンテナに追加することができる。したがってより大きな直径のループアンテナの場合は、ループの直径またはインダクタンスが増加するのに従って共振を誘起するために必要な静電容量の大きさは減少する。さらにループまたは磁気アンテナの直径が増加するのに従って、近接場の効率的なエネルギー伝送エリアは増加する。もちろん他の共振回路も可能である。別の非限定的な例として、ループアンテナの2つの端子の間に並列にコンデンサを配置することができる。さらに当業者には送信アンテナの場合は、共振信号156はループアンテナ150への入力となり得ることが理解されよう。
【0021】
図4は本発明の一例示的実施形態による送信器200の簡略化したブロック図である。送信器200は送信回路202および送信アンテナ204を含む。一般に送信回路202は、結果として送信アンテナ204の周りの近接場エネルギーを生じる発振信号を供給することによって、送信アンテナ204にRF電力を供給する。送信器200は任意の適切な周波数で動作できることに留意されたい。例として送信器200は、13.56MHz ISM帯域で動作することができる。
【0022】
例示の送信回路202は、送信回路202のインピーダンス(たとえば50オーム)を送信アンテナ204に整合させるための固定のインピーダンス整合回路206と、受信器108(
図1)に接続された装置の自己妨害を防止するレベルに高調波放射を低減するように構成されたローパスフィルタ(LPF)208とを含む。他の例示的実施形態は非限定的に、他は通過させながら特定の周波数を減衰するノッチフィルタを含む、異なるフィルタトポロジーを含むことができ、アンテナへの出力電力または電力増幅器によって引き出されるDC電流などの測定可能な送信メトリクスに基づいて変化させることができる、適応型インピーダンス整合を含むことができる。送信回路202はさらに、発振器212によって決まるRF信号を駆動するように構成された電力増幅器210を含む。送信回路は、個別デバイスまたは回路から構成することができ、あるいは集積化されたアセンブリから構成することができる。送信アンテナ204からの例示のRF電力出力は、2.5ワット程度とすることができる。
【0023】
送信回路202はさらに、特定の受信器に対する送信フェーズ(またはデューティサイクル)の間に発振器212をイネーブルするため、発振器の周波数または位相を調整するため、およびそれらの付属した受信器を通して隣接する装置と対話するための通信プロトコルを実現するために出力電力レベルを調整するための、コントローラ214を含む。コントローラ214は本明細書ではプロセッサ214と呼ばれる場合もあることに留意されたい。当技術分野では良く知られているように送信経路内の発振器位相および関係する回路を調整することにより、特に1つの周波数から別の周波数への遷移時に、帯域外放射を低減することができる。
【0024】
送信回路202はさらに、送信アンテナ204によって発生された近接場の近傍における活動状態の受信器の有無を検出するための負荷検知回路216を含むことができる。例として負荷検知回路216は、送信アンテナ204によって発生された近接場の近傍における活動状態の受信器の有無によって影響を受ける、電力増幅器210へ流れる電流を監視する。電力増幅器210に対するローディングの変化の検出は、エネルギーを送信するように発振器212をイネーブルし、活動状態の受信器と通信するかどうかを判定するのに用いるための、コントローラ214によって監視される。以下でより詳しく述べるように電力増幅器210にて測定された電流は、送信器200の充電領域内に不正な装置が置かれているかどうかを判定するのに用いることができる。
【0025】
送信アンテナ204はリッツ線、または抵抗損失を低く保つように厚さ、幅、および金属タイプが選択されたアンテナストリップ(antenna strip)によって実装することができる。従来型の実装形態では送信アンテナ204は一般に、台、マット、ランプ、または他の比較的可搬型ではない構成などの、大きな構造体に関連して構成することができる。したがって送信アンテナ204は一般に、実用的な寸法とするために「巻き(turns)」がなくてもよい。送信アンテナ204の一例示的実装形態は、「電気的に小型」(すなわち波長のごく一部分)とすることができ、共振周波数を規定するコンデンサを用いることによって、より低い使用可能な周波数で共振するように同調することができる。
【0026】
送信器200は、送信器200と関連し得る受信器装置の所在およびステータスについての情報を集め追跡することができる。したがって送信器回路202は、コントローラ214(本明細書ではプロセッサとも呼ばれる)に接続された存在検出器280、閉鎖検出器(enclosed detector)260、またはそれらの組み合わせを含むことができる。コントローラ214は、存在検出器280および閉鎖検出器260からの存在信号に応答して、増幅器210によって供給される電力量を調整することができる。送信器はたとえば、建物内にある従来型のAC電力を変換するためのAC-DC変換器(図示せず)、従来型のDC電源を送信器200に適した電圧に変換するためのDC-DC変換器(図示せず)、または直接従来型のDC電源(図示せず)からなど、いくつかの電源を通して電力を受け取ることができる。
【0027】
非限定的な例として存在検出器280は、送信器のカバレージエリア内に挿入された充電されるべき装置の初期の存在を検知するために使用される動作検出器とすることができる。検出の後に送信器はオンになることができ、装置によって受け取られたRF電力は、所定のやり方でRx装置上のスイッチを切り替えるために用いることができ、結果として送信器の駆動点インピーダンスの変化を生じる。
【0028】
別の非限定的な例として存在検出器280は、たとえば赤外線検出、動作検出、または他の適当な手段により、人を検出することが可能な検出器とすることができる。一部の例示的実施形態では、送信アンテナが特定の周波数で送信できる電力量を制限する規制があり得る。一部の場合にはこれらの規制は電磁放射から人を保護することが意図されている。しかしたとえば、車庫、工場フロア、店舗など、人がいない、または人がいる頻度が少ないエリア内に送信アンテナが置かれた環境があり得る。これらの環境が無人である場合は、通常の電力制限規制より送信アンテナの電力出力を増加させることが許容され得る。言い換えればコントローラ214は、人の存在に応答して送信アンテナ204からの電力出力を規制レベル以下に調整することができ、人が送信アンテナ204の電磁界からの規制距離の外側にいるときは規制レベルを超えたレベルまで送信アンテナ204の電力出力を調整することができる。
【0029】
非限定的な例として閉鎖検出器260(本明細書では閉鎖区画検出器または閉鎖空間検出器とも呼ばれる)は、格納域が閉じた状態にあるか開いた状態にあるかを判定するための、検知スイッチなどの装置とすることができる。送信器が、閉鎖された状態の格納域内にあるときは、送信器の電力レベルを増加させることができる。
【0030】
例示的実施形態では、送信器200がいつまでもオンのままにならない方法を用いることができる。この場合は送信器200は、ユーザが規定した時間後に遮断するようにプログラムすることができる。この機能は送信器200、特に電力増幅器210が、その周囲の無線装置が完全に充電されたずっと後まで動作するのを防止する。この事象は装置が完全に充電された旨の中継器または受信コイルからの信号を、回路が検出できないことによって生じ得る。その周囲に別の装置が置かれた場合に送信器200が自動的に停止するのを防止するために、送信器200の自動遮断機能は、その周囲内で動きが検出されない設定された期間後にのみ活動化することができる。ユーザは無活動時間間隔を決定し、望むようにそれを変更することができる。非限定的な例として時間間隔は、装置が始めに完全に放電されているとの仮定のもとに特定のタイプの無線装置を完全に充電するのに必要な時間より長くすることができる。
【0031】
図5は、本発明の一例示的実施形態による受信器300の簡略化したブロック図である。受信器300は受信回路302および受信アンテナ304を含む。受信器300はさらに、受け取った電力をそれに供給するための装置350に接続される。受信器300は装置350の外部として示されるが、装置350に一体化できることに留意されるべきである。一般にエネルギーは受信アンテナ304に無線で伝播され、次いで受信回路302を通して装置350に結合される。
【0032】
受信アンテナ304は、送信アンテナ204(
図4)と同じ周波数、または指定された周波数範囲内で共振するように同調される。受信アンテナ304は、送信アンテナ204と同様に寸法設定することができ、または関連する装置350の寸法に基づいて異なるサイズにすることができる。例として装置350は、送信アンテナ204の長さの直径より小さい、直径または長さ寸法を有する携帯用電子機器とすることができる。このような例では受信アンテナ304は、同調コンデンサ(図示せず)の静電容量値を低減し、受信アンテナのインピーダンスを増加するために、複数の巻数のアンテナとして実装することができる。例として受信アンテナ304は、アンテナ直径を最大化し、受信アンテナのループの巻きの数(すなわち巻線)および巻線間静電容量を低減するために、装置350の外周の周りに配置することができる。
【0033】
受信回路302は、受信アンテナ304に対するインピーダンス整合をもたらす。受信回路302は、受け取ったRFエネルギー源を装置350によって用いられるための充電電力に変換する、電力変換回路306を含む。電力変換回路306はRF-DC変換器308を含み、またDC-DCコンバータ310を含むことができる。RF-DC変換器308は受信アンテナ304にて受け取ったRFエネルギー信号を非交番電力に整流し、DC-DCコンバータ310は整流したRFエネルギー信号を装置350に適合するエネルギーポテンシャル(たとえば電圧)に変換する。部分整流器および全整流器、レギュレータ、ブリッジ、倍電圧器、ならびにリニアおよびスイッチングコンバータを含む、様々なRF-DC変換器が企図される。
【0034】
受信回路302はさらに、受信アンテナ304を電力変換回路306に接続するため、あるいは電力変換回路306を切断するためのスイッチング回路312を含むことができる。受信アンテナ304を電力変換回路306から切断することは、装置350の充電を中断するだけでなく、送信器200(
図2)によって「見られる」「負荷」を変化させる。
【0035】
上記で開示されたように送信器200は、送信器電力増幅器210に供給されるバイアス電流の変動を検出する負荷検知回路216を含む。したがって送信器200は、送信器の近接場内に受信器がある場合を判定するための機構を有する。
【0036】
送信器の近接場内に複数の受信器300があるときは、他の受信器がより効率的に送信器と結合できるように、1つまたは複数の受信器のローディングおよびアンローディングを時分割することが望ましい場合がある。また受信器は他の近くの受信器への結合をなくすため、または近くの送信器に対するローディングを低減するために、隠す(cloak)ことができる。この受信器の「アンローディング」は本明細書では「クローキング(cloaking)」としても知られる。さらに、受信器300によって制御され、送信器200によって検出されるこのアンローディングとローディングの間の切り換えは、以下でより十分に説明するように受信器300から送信器200への通信機構をもたらす。さらにプロトコルを切り換えに関連付けることができ、これにより受信器300から送信器200へのメッセージの送出が可能になる。例として切り換え速度は100μsec程度とすることができる。
【0037】
一例示的実施形態では送信器と受信器の間の通信は、従来型の双方向通信ではなく、装置検知および充電制御機構を指す。言い換えれば送信器は、近接場内でエネルギーが利用可能かどうかを調整するために、送信された信号のオン/オフキーイングを用いることができる。受信器はこれらのエネルギーの変化を送信器からのメッセージとして解釈する。受信器側から受信器は、近接場からどれだけの電力を受け入れているかを調整するために、受信アンテナの同調と離調(de-tuning)を用いることができる。送信器は、この近接場から使用される電力の差を検出し、これらの変化を受信器からのメッセージとして解釈することができる。送信電力および負荷挙動の他の変調形式を用いることもできることに留意されたい。
【0038】
受信回路302はさらに、送信器から受信器への情報シグナリングに対応し得る受け取ったエネルギーの変動を識別するために用いられる、シグナリング検出器およびビーコン回路314を含むことができる。さらにシグナリングおよびビーコン回路314はまた、低減されたRF信号エネルギー(すなわちビーコン信号)の送信を検出し、かつ低減されたRF信号エネルギーを公称電力に整流して、無線充電のために受信回路302を構成するように受信回路302内の電力が供給されていないまたは電力が大きく減少された回路を覚醒させるために用いることもできる。
【0039】
受信回路302はさらに、本明細書で述べられたスイッチング回路312の制御を含む、本明細書で述べられた受信器300のプロセスを協調させるためのプロセッサ316を含む。受信器300のクローキングはまた、充電電力を装置350に供給する外部有線充電源(たとえば壁面/USB電源)の検出を含む、他の事象が生じるとすぐに発生することができる。プロセッサ316はまた受信器のクローキングの制御に加えて、ビーコン回路314を監視することにより、ビーコン状態を判定し、送信器から送られたメッセージを取り出すことができる。プロセッサ316はまた性能を良くするようにDC-DCコンバータ310を調整することができる。
【0040】
RF電力伝送システムでは、無線電力送信器から1つまたは複数の無線電力受信器に電力を伝送するときに、安定性の問題が生じる場合がある。ほとんどの電力伝送システムは、充電される装置からの需要の変化に関わらず、受信器での所与の出力電圧を維持することを試みる。これはスイッチングレギュレータによって達成され、スイッチングレギュレータは出力電圧に基づいて伝送される電力を増加または減少させることができ、それにより出力電圧を限界内に保つ。
【0041】
DC-DCコンバータの特性は、結果として負のDC-DCインピーダンスを生じる。言い換えれば、電圧が増加したときはDC-DCコンバータは、出力電圧を維持するように電流を減少させることができる。さらに、多くの無線電力システムは、DC-DCコンバータの入力端を駆動する特性電源インピーダンス(characteristic source impedance)を有する。このインピーダンスは充電パッド上の装置の数、充電パッドから受信器までの距離、および受信器コイルのサイズなどの要因によって影響を受け得る。
【0042】
DC-DCコンバータの負インピーダンスが信号源の正インピーダンスに等しいときに、最大または最大に近い電力を伝送することができる。負荷が増加、または充電器構成の変化(たとえば受信器が送信器パッドから離された)により信号源インピーダンスが増加した場合は、受信器では電圧の急落を見ることができる。このような事象の間はDC-DCコンバータは、出力電圧の維持を試みるためにその入力インピーダンスを急速に減少させることができるが、入力インピーダンスの継続した減少は、最終的に結果として電力伝送のレベルの減少を生じる。別の言い方をすれば入力インピーダンスが臨界点を超えて減少した場合は、望ましくない準安定状態が生じ得る。この状態は本明細書の以下では「ダークサイド動作(darkside operation)」と呼ばれる場合がある。ダークサイド動作では、DC-DCコンバータへの入力電圧は著しく低下し、電力伝送は大きく減少し、すべての受信器は電力伝送性能の低下を経験し得る。
【0043】
図6を参照してダークサイド動作についてさらに述べる。
図6は、DC-DCコンバータを駆動する15ボルト、10オームのテブナン等価電源を有するシステムの挙動を示すグラフ350である。信号352はDC-DCコンバータの出力電力を表し、信号354は関連する負荷の電圧を表し、信号356は負荷が引き出す電流を表す。DC-DCコンバータは負荷の増加を検知するのに従って、
図6の横軸であるその入力インピーダンスを減少させることができる。負荷が30オームである場合は、出力電力352は約4.2ワットでありシステムは安定である。負荷がわずかに増加した場合は、DC-DCコンバータはその入力インピーダンスを減少させることができ、それにより出力電力350は増加する。しかし負荷が増加し続けた場合は、入力インピーダンスのさらなる減少が結果として出力電力の減少となる点(たとえば入力インピーダンスが10オームに等しくなる点)に達する。この点にてシステムは不安定となり、負荷のさらなる増加は結果として電力の減少を生じる。これはシステムが低電圧、低電力状態(グラフの左側によって表される)に衰退するまで継続し得る。
【0044】
システムは、いずれの装置もダークサイド動作近くに達するのに十分な電力を引き出すことが決してないように設計することができる。これは各装置が受け取る最大電力を制限する場合があり、電力使用が低い間でも高い電力送信を必要とする。これは非効率的であることが分かっている。第2の方法は、能動回路を用いて負荷を検知し、ダークサイド動作が差し迫っていると見られるときに送信器からの電力を増加させるものである。負荷は激しくかつ非常に急速に変化し得るので、これは負荷の変化を検出し電力出力を変更する非常に敏速な方法を必要とする。これはシステムレベルでは難しいものとなり得る。第3の方法は、装置の数および結合モデルを厳しく制限するもので、それにより信号源インピーダンスは常に、ダークサイド動作を避けるのに十分なように低くすることができる。これにより無線製品の用途が制限され得る。たとえばすべての受信器が一定のサイズであることを必要とする場合があり、所与の充電器パッド上で動作できる装置の数が制限され得る。
【0045】
本明細書で述べられる本発明の様々な例示的実施形態は、ダークサイド動作を制限し、場合によっては防止する装置および方法に関する。たとえば一例示的実施形態は、ダークサイド動作を最小化または防止するために受信器側に能動回路を備えることができる。以下で述べられる例示的実施形態は、効率的な電力伝送を達成するために単独で、または上述のシステムの1つと共に実施できることに留意されたい。たとえば本発明の例示的実施形態は、信頼性を向上するために負荷検知回路と組み合わせることができる。
【0046】
本明細書で述べられる様々な例示的実施形態によれば受信器は、電力変換器(たとえばDC-DCコンバータ)の入力電圧を監視することによって、可能性のあるダークサイド動作を検出するように構成できることに留意されたい。さらに、入力電圧が閾値電圧より低下した場合は電力変換器の動作を変更することができる。電力変換器の動作を変更することにより関連する負荷への電力が減少し得るが、ダークサイド動作は回避することができる。より具体的には様々な例示的実施形態によれば、電力変換器(たとえばDC-DC電力変換器)の出力端から引き出すことが許される電力量は、電力変換器への入力電圧が一定の点より低下した後には制限される。これは電力変換器の入力抵抗を増加させ、ダークサイド動作を最小化または防止することができる。
【0047】
さらに様々な例示的実施形態は、変換器(たとえばDC-DCコンバータ)のパルス幅変調デューティサイクルを制限することを含むことができ、これは変換器からの最大電力出力を制限することに繋がり得る。バックモード(buck mode)DC-DCコンバータの場合は、全体の伝達方程式は損失を無視すると、Vout=Vin*PWMとなり、ただしVoutおよびVinはそれぞれ出力端および入力端の電圧であり、PWMは0から100%までのパルス幅である。したがって最大パルス幅を50%に制限することにより、最小入力電圧は調節された出力電圧の2倍に保つことができる。たとえば5ボルト出力の場合は、入力電圧は10ボルトより低下し得ない。5ワット出力(最大5ボルト、1アンペア)と仮定すると、これは最小DC-DC入力インピーダンスを20オームに制限する。
【0048】
多くのDC電力仕様は、一定の条件下での出力電力の減少を許容し、または間接的に結果として電力需要の減少を生じ得る電圧低下を許容し得ることに留意されたい。たとえばUSB2.0電力仕様は、仕様内のままで電圧が4.35ボルトまで低下することを許容する。その出力電圧を4.35ボルトに低下させたシステムは、全体的な電力の減少を見ることができる。
【0049】
図7は、本発明の一例示的実施形態による受信器回路400の回路図である。
図7に示されるように受信器回路400は、入力電圧Vinを受け取り、電圧Voutを出力するように構成される。受信器回路400は、トランジスタM1、ダイオードD1、インダクタL、コンデンサC、ならびに抵抗器R1およびR2を含む。さらに受信器回路400は、誤差増幅器402、デューティサイクル制限器404、およびパルス幅変調(PWM)発生器406を含む、DC-DCコンバータ401を含む。一例としてデューティサイクル制限器404は、電圧源V
LMに結合されたダイオードD2を含むことができる。電圧源V
LMは固定の基準電圧でもよく、構成可能な基準電圧でもよいことに留意されたい。さらに誤差増幅器402の第1の入力端は基準電圧V
REFに接続され、第2の入力端は抵抗器R1と抵抗器R2の間のノードN1の電圧に接続される。誤差増幅器402の出力端は抵抗器R3を通じて、デューティサイクル制限器404およびPWM発生器406のそれぞれに接続される。さらにPWM発生器406の出力端は、トランジスタM1のゲートに接続される。
【0050】
当業者には理解されるように、誤差増幅器402によって発生された誤差信号が正の場合は、PWM発生器406は、トランジスタM1が導通している時間を長くすることを可能にするように出力信号を発生することができる。それにより出力電圧Voutは増加することができる。しかし受信器回路400の企図された動作時にデューティサイクル制限器404は、PWM発生器406のデューティサイクルを制限するように構成することができ、それにより入力電圧Vinが一定の電圧より減少するのを防止することができる。別の言い方をすればダイオードD2および電圧源V
LMは、PWM発生器406によって発生することができるPWMデューティサイクルを制限するように構成することができ、結果として誤差増幅器402の最大出力は閾値電圧より上昇できない。これによりM1のパルス幅、したがってDC/DCコンバータの出力が増加するのを防止することができる。これは負荷への最大電力を制限し、入力インピーダンスを維持または増加することができ、したがってVinが一定の電圧より減少するのを防止する。
【0051】
一例としてデューティサイクル制限器404は、PWM発生器406のデューティサイクルを50%に制限するように構成することができ、したがってこの例では出力電圧Voutは5ボルトに等しい場合、入力電圧Vinは10ボルトより低下することはできない。
図7に示される例示的実施形態の実装形態の場合は、デューティサイクル制限器404は、DC-DCコンバータ401の関連する集積回路に一体化される必要があり得ることに留意されたい。
【0052】
図8は、本発明の別の例示的実施形態による別の受信器回路500の回路図である。受信器回路500は、入力電圧Vinを受け取り、電圧Voutを出力するように構成される。受信器回路400と同様に受信器回路500は、トランジスタM1、ダイオードD1、インダクタL、コンデンサC、ならびに抵抗器R1およびR2を含む。受信器回路500はさらに、抵抗器R4、ツェナーダイオードD3、およびDC-DCコンバータ502を含む。DC-DCコンバータ502は、抵抗器R4とツェナーダイオードD3の間にあるノードN2に結合された第1の入力端を有する。DC-DCコンバータ502の第1の入力端は電圧I
LIMを受け取るように構成され、電圧I
LIMはDC/DCコンバータの最大出力電流を設定する。さらにDC-DCコンバータ502は、抵抗器R1と抵抗器R2の間にあるノードN3で帰還電圧V
FBを受け取るように構成された第2の入力端を有する。DC-DCコンバータ502の出力端はトランジスタM1のゲートに接続される。
【0053】
入力電圧VinがツェナーダイオードD3の導通電圧(V
LIM)より高いままである場合は、受信器回路500の出力電流は許容できる最大値に達することができる。さらに当業者には理解されるように入力電圧Vinが電圧V
LIMより減少するのに従って、ツェナーダイオードD3は導通しなくなり、I
LIMでの電圧、およびその結果として出力電流は減少し得る。したがってI
LIMでの電圧が減少するのに従って、DC-DCコンバータ502のPWMデューティサイクルは減少される。変換器500は、実質的に安定出力電圧(すなわち電圧Vout)が望ましいときに、ダークサイド動作に対する適切な解決策をもたらすことができることに留意されたい。
【0054】
図9は本発明の一例示的実施形態による別の受信器回路600の回路図である。受信器回路600は、入力電圧Vinを受け取り、電圧Voを出力するように構成される。受信器回路500と同様に受信器回路600は、トランジスタM1、ダイオードD1、ツェナーダイオードD3、インダクタL、コンデンサC1、ならびに抵抗器R1、R2、およびR4を含む。さらに受信器回路600は、ツェナーダイオードD3に結合された第1のトランジスタM2、およびに抵抗器R5に接続された第2のトランジスタM3を有するカレントミラー602を含む。さらに受信器回路600は、ノードN4で帰還電圧V
FBを受け取るように構成された入力端と、トランジスタM1のゲートに接続された出力端とを有するDC-DCコンバータ604を含む。
【0055】
当業者には理解されるように、入力電圧Vinが一定の電圧(すなわちツェナー電圧V
LIM)まで増加するのに従って、ツェナーダイオードD3は導通し始めることができ、トランジスタM2を通る電流はトランジスタM3を通る電流に等しくなることができ、許容し得る出力電圧Voが得られる。さらに入力電圧Vinがツェナー電圧V
LIMより低下し始めたときは、プルダウン抵抗器(すなわち抵抗器R5)は徐々に回路から取り除かれ、結果として帰還ピンの電圧は上昇し、したがって出力電圧Voは減少する。これは電力を減少するのに役立ち、DC-DCコントローラ604のPWMデューティサイクルを制限するという目標を達成する。
図9に示される実施形態は、すべてでないにしろほとんどのDC-DCコンバータは電圧帰還ピンを有するので、すべてでないにしろほとんどのDC-DCコンバータに適合できることに留意されたい。さらに
図9に示される回路は極めて制御可能であり(たとえば利得および電圧制限を設定できる)、これはいくつかの用途で重要となり得る。
【0056】
図10は、本発明の一例示的実施形態による受信器704の一部分のブロック図である。受信器704は、受信器回路700に結合されたレギュレータ702を含み、受信器回路700は上述の受信器回路400、受信器回路500、または受信器回路600を備えることができる。受信器回路700は、入力電圧Vinを受け取り、出力電圧Voutputを伝達するように構成される。本発明の様々な例示的実施形態によれば受信器回路700は、入力電圧Vinが閾値電圧より低下するのを防止するために、そのパルス幅変調デューティサイクルを制限するように構成することができる。
【0057】
図11は、1つまたは複数の例示的実施形態による方法700のフローチャートである。方法700は、電力変換器にて入力電圧を受け取るステップを含むことができる(番号702で示される)。さらに方法700は、入力電圧を閾値電圧より高く維持するために、電力変換器のパルス幅変調デューティサイクルを制限するステップを含むことができる(番号704で示される)。
【0058】
図12は1つまたは複数の例示的実施形態による別の方法750のフローチャートである。方法750は、電力変換器にて入力電圧を受け取るステップを含むことができる(番号752で示される)。さらに方法750は、入力電圧が閾値より低下するのを防止するために、電力変換器の出力端に伝達される電力量を減少させるステップを含むことができる(番号754で示される)。
【0059】
当業者には情報および信号は、多種多様な技術および技法の任意のものを用いて表し得ることが理解されよう。たとえば、上記の説明の全体にわたって参照され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、記号、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁界もしくは磁気粒子、光場もしくは光学粒子、またはそれらの任意の組み合わせを用いて表すことができる。
【0060】
当業者ならさらに、本明細書に開示された例示的実施形態に関連して述べられた様々な例示の論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップは、電子的ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または両方の組み合わせとして実施できることが理解されよう。このハードウェアとソフトウェアが互換できることを明らかに示すために、様々な例示の構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびステップは、上記では一般にそれらの機能の観点から説明した。このような機能がハードウェアとして実施されるかまたはソフトウェアとして実施されるかは、特定の用途、およびシステム全体に課される設計上の制約に依存する。当業者なら、説明された機能をそれぞれの特定の用途に対して様々なやり方で実施できるが、このような実装の決定は本発明の例示的実施形態の範囲から逸脱すると解釈されるべきではない。
【0061】
本明細書に開示される例示的実施形態に関連して述べられた様々な例示の論理ブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または他のプログラマブル論理デバイス、個別ゲートまたはトランジスタロジック、個別ハードウェア構成部品、または本明細書で述べられる機能を行うように設計されたそれらの任意の組み合わせを用いて、実装または実行することができる。汎用プロセッサはマイクロプロセッサとすることができるが、代替としてプロセッサは任意の従来型のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械でもよい。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組み合わせ、たとえばDSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと併用される1つまたは複数のマイクロプロセッサ、または任意の他のそのような構成として実施することができる。
【0062】
本明細書に開示された例示的実施形態に関連して述べた方法のステップまたはアルゴリズムは、直接にハードウェアにて、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールにて、または両方の組み合わせにて、具現化することができる。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、リードオンリメモリ(ROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、または当技術分野で知られている任意の他の形の記憶媒体内に配置することができる。例示の記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み出し、記憶媒体に情報を書き込むことができるようにプロセッサに結合される。代替として記憶媒体はプロセッサに統合することができる。プロセッサおよび記憶媒体はASIC内に配置することができる。ASICはユーザ端末内に配置することができる。代替としてプロセッサおよび記憶媒体はユーザ端末内に個別構成部品として配置することができる。
【0063】
1つまたは複数の例示的実施形態では述べられた機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実施することができる。ソフトウェアで実施される場合は機能は、コンピュータ可読媒体上の1つまたは複数の命令またはコードとして、記憶するまたは送出することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体と、1つの場所から他の場所へのコンピュータプログラムの移動を容易にする任意の媒体を含む通信媒体との両方を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスできる任意の利用可能な媒体でよい。例として非限定的に、このようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROM、または他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶装置、または命令またはデータ構造の形での所望のプログラムコードを担うまたは記憶するために用いることができコンピュータによってアクセスできる他の任意の媒体を含むことができる。また任意の接続も適切にコンピュータ可読媒体と呼ばれる。たとえばソフトウェアが、ウェブサイト、サーバまたは他の遠隔供給源から同軸ケーブル、光ファイバケーブル、撚線対、デジタル加入者回線(DSL)、または赤外線、無線およびマイクロ波などの無線技術を用いて伝送される場合は、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、撚線対、DSL、または赤外線、無線およびマイクロ波などの無線技術も、媒体の定義に含まれる。本明細書で用いられる「disk」および「disc」とは、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピディスク、およびブルーレイディスクを含み、「disk」は通常はデータを磁気的に再生し、「disc」はレーザを用いてデータを光学的に再生する。また上記の組み合わせもコンピュータ可読媒体の範囲に含められるべきである。
【0064】
開示された例示的実施形態についての上記の説明は、当業者が本発明を製造しまたは使用するのを可能にするように示した。当業者にはこれらの例示的実施形態に対する様々な変更形態は容易に明らかとなり、本発明の趣旨または範囲を逸脱せずに、本明細書に記載の一般的な原理を他の実施形態に応用することができる。したがって本発明は、本明細書に示された例示的実施形態に限定されるものではなく、本明細書に開示された原理および新規な特徴と一致した最も広い範囲が与えられるべきである。