特許第5917557号(P5917557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5917557
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】複合材料の改良
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/24 20060101AFI20160428BHJP
   B32B 27/12 20060101ALI20160428BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
   C08J5/24CER
   C08J5/24CEZ
   B32B27/12
   B32B27/18 J
【請求項の数】19
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-545101(P2013-545101)
(86)(22)【出願日】2011年12月20日
(65)【公表番号】特表2014-505133(P2014-505133A)
(43)【公表日】2014年2月27日
(86)【国際出願番号】EP2011006433
(87)【国際公開番号】WO2012084197
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2014年12月19日
(31)【優先権主張番号】10196345.2
(32)【優先日】2010年12月21日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504132032
【氏名又は名称】ヘクセル コンポジッツ、リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シモンズ、マーティン
(72)【発明者】
【氏名】エリス、ジョン
【審査官】 佐藤 玲奈
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/018421(WO,A1)
【文献】 特開平08−300467(JP,A)
【文献】 特開昭63−170427(JP,A)
【文献】 特開平06−240024(JP,A)
【文献】 特表2010−508416(JP,A)
【文献】 特表2012−530838(JP,A)
【文献】 特開2010−280904(JP,A)
【文献】 特開2009−074075(JP,A)
【文献】 特開2011−219766(JP,A)
【文献】 特開2005−105152(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0295955(US,A1)
【文献】 特開2004−162055(JP,A)
【文献】 特表2012−530839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00 − B32B 43/00
B29B 11/16
B29B 15/08 − B29B 15/14
C08J 5/04 − C08J 5/10
C08J 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気伝導性一方向繊維の単一構造層と、構造繊維を実質的に含まない硬化性樹脂の第1の外側層及び/又は構造繊維を実質的に含まない硬化性樹脂の第2の外側層とを含み、所与の点における第1の外側樹脂層と第2の外側樹脂層の厚さの合計は平均で少なくとも10ミクロンであり、かつ、平均値の少なくとも0%から200%の範囲で異なり、第1の外側層及び/又は第2の外側層が電気伝導性粒子を含ここでの第1の外側樹脂層と第2の外側樹脂層の厚さの合計の平均値は、プリプレグを通じて少なくとも5枚の切片の画像を撮影し、300ミクロン間隔で56箇所で厚さの値を測定し、次いでそれらの値を平均して平均厚さとすることで、プリプレグを通じた断面の画像を解析することによって得られる平均値であり、測定された厚さの最低値及び厚さの最大値は、第1の外側樹脂層と第2の外側樹脂層の厚さの合計が変動する範囲を与える、プリプレグ。
【請求項2】
第1の外側樹脂層と第2の外側樹脂層の厚さの合計の平均値が、プリプレグを通じて6枚の切片の画像を撮影し、300ミクロン間隔で56箇所で厚さの値を測定し、次いでそれらの値を平均して平均厚さとすることで、プリプレグを通じた断面の画像を解析することによって得られる平均値であり、測定された厚さの最低値及び厚さの最大値が、第1の外側樹脂層と第2の外側樹脂層の厚さの合計が変動する範囲を与える、請求項1に記載のプリプレグ。
【請求項3】
電気伝導性一方向繊維の第1の構造層と電気伝導性一方向繊維の第2の構造層とを含み、第1の構造層と第2の構造層とは硬化性樹脂を含む平均厚さが少なくとも10ミクロンのインターリーフ層によって分離されており、インターリーフ層の厚さが平均インターリーフ層厚さの少なくとも0%から200%の範囲で異なり、インターリーフ層が電気伝導性粒子を含み、ここでのインターリーフ層の厚さの平均値は、プリプレグを通じて少なくとも5枚の切片の画像を撮影し、300ミクロン間隔で56箇所で厚さの値を測定し、次いでそれらの値を平均して平均厚さとすることで、プリプレグを通じた断面の画像を解析することによって得られる平均値であり、測定された厚さの最低値及び厚さの最大値は、インターリーフ層の厚さが変動する範囲を与える、複合材料。
【請求項4】
インターリーフ層の厚さの平均値が、プリプレグを通じて6枚の切片の画像を撮影し、300ミクロン間隔で56箇所で厚さの値を測定し、次いでそれらの値を平均して平均厚さとすることで、プリプレグを通じた断面の画像を解析することによって得られる平均値であり、測定された厚さの最低値及び厚さの最大値が、インターリーフ層の厚さが変動する範囲を与える、請求項3に記載の複合材料。
【請求項5】
一方向構造繊維層とインターリーフ樹脂層を更に含み、インターリーフ層のうちの少なくとも半数のインターリーフ層が請求項3又は4に記載のインターリーフ層である、請求項3又は4に記載の複合材料。
【請求項6】
一方向構造層のうちの少なくとも半数が電気伝導性である、請求項5に記載の複合材料。
【請求項7】
請求項3又は4に記載のインターリーフ層の平均インターリーフ厚さが、15から60ミクロンの範囲である、請求項3又は4に記載の複合材料。
【請求項8】
電気伝導性粒子のd50平均粒子径が、平均インターリーフ層厚さの10%から80%である、請求項3又は4に記載の複合材料。
【請求項9】
電気伝導性粒子のd50平均粒子径が、10から30ミクロンである、請求項3又は4に記載の複合材料。
【請求項10】
電気伝導性粒子のd90が40ミクロン以下である、請求項3又は4に記載の複合材料。
【請求項11】
電気伝導性粒子が複合材料の樹脂基体の量に対して0.2から5.0wt%のレベルで存在する、請求項3又は4に記載の複合材料。
【請求項12】
電気伝導性粒子が炭素粒子である、請求項3又は4に記載の複合材料。
【請求項13】
電気伝導性一方向繊維層を連続供給することと、繊維の第1の面を硬化性樹脂と電気伝導性粒子を含む第1の樹脂層と接触させることと、樹脂が繊維の間隙に入り込むのに十分、樹脂、電気伝導性粒子及び繊維を共に圧縮することを含み、樹脂が、電気伝導性一方向繊維を本質的に含まず電気伝導性粒子を含む第1の外側樹脂層を残すのに十分な量である、請求項1又は2に記載のプリプレグを製造する方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法に続いてプリプレグを別のプリプレグと接触させて配置して複合材料を製造する、請求項3又は4に記載の複合材料を製造する方法。
【請求項15】
第1の樹脂層と同時に硬化性樹脂を含む第2の樹脂層を繊維の第2の面と接触させ、樹脂が繊維の間隙に入り込むように、第1の樹脂層と第2の樹脂層を繊維と共に圧縮する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
樹脂と繊維を1つ又は複数の含浸ローラー上を通過させることによって樹脂の含浸を実施し、電気伝導性一方向繊維と樹脂に加えられる圧力が電気伝導性一方向繊維層の幅1センチメートル当たり40kgを超えない、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
含浸ローラーが少なくとも1つの「Sラップ」配置を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項3又は4に記載の複合材料を、硬化させる方法によって得られる硬化複合材料。
【請求項19】
航空宇宙構造部材として使用される、請求項18に記載の硬化複合材料の積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維と樹脂基体を含む、落雷による損傷に対する耐性を向上させた複合材料に関する。
【背景技術】
【0002】
複合材料は、非常に低い物質密度で優れた機械的性質を実現するという点で特に、従来の構成材料に勝る利点を有することが十分に裏付けられている。その結果、こうした材料の使用は拡大を続けており、その応用分野は、「産業」や「スポーツ、レジャー」から高性能航空宇宙用材料まで、多岐にわたっている。
【0003】
こうした複合材料の生産においては、エポキシ樹脂等の樹脂を含浸させた繊維配置を含むプリプレグが広く使用されている。通常、所望に応じてこのようなプリプレグを何層にも「重ね合わせ」、得られた積層体を通常は高温にさらすことによって硬化させて硬化複合積層体を製造する。
【0004】
一般的な複合材料は、樹脂層が層間に挿入(インターリーフ)された複数のプリプレグ繊維層、例えば炭素繊維の積層体でできている。炭素繊維はある程度の電気伝導性を有するものの、インターリーフ層が存在するため、複合材料においては、電気伝導性は主として積層体の平面のみに現れる。積層体の表面に対して直角方向、いわゆるZ方向の電気伝導性は低い。
【0005】
当業者は、均一な層構造積層体を製造するためには、明確に画成された樹脂層によって分離された明確に画成された繊維層を有するこのようなインターリーフ積層体を強く嗜好する。このような明瞭に画成された層は、機械的性質、特に耐衝撃性を向上させると考えられている。
【0006】
Z方向における導電性の欠如は、落雷等の電磁的危険に対する複合積層体の脆弱性の一因であると一般に認識されている。落雷は複合材料に広範囲にわたって損傷を及ぼす場合があり、飛行中の航空機構造に発生した場合には、大惨事となるおそれがある。つまり、これは、このような複合材料で構成された航空宇宙構造物にとっては特に問題である。
【0007】
こうした複合材料を落雷から保護するために先行技術において様々な技術や方法が提案されてきたが、通常は、複合材料の重量の増加を犠牲にして導電性元素を添加することを伴うものである。
【0008】
1つの方法は、導電性元素、例えば微粒子を樹脂に添加して樹脂の電気伝導性を向上させることである。しかし、この方法は困難で時間を要する場合がある混合工程が必要である。
【0009】
WO2008/056123では、導電性粒子が隣接する繊維層に接触して電気伝導性を有する局所領域をZ方向に創出するように、樹脂インターリーフ層に低レベルの導電性粒子を添加することによって耐落雷性を向上させている。しかしながら、十分な靱性を得るには、中間層の厚さが一定の最小値を上回る必要がある。従って、電気伝導性粒子がインターリーフ層に匹敵する粒径を有する必要もある。
【0010】
このアプローチは、他の加工上の問題、例えば加工機械の摩耗促進を引き起こすような粒径の粒子を要することが判明している。
【0011】
従って、当技術分野においては、軽量で機械的性質に優れ、上記の問題を引き起こすことなく加工が可能な導電性複合材料に対する要求が依然として存在する。
【発明の概要】
【0012】
本発明者らは、厚さが異なる樹脂インターリーフ層を有する複合材料であれば、電気伝導性微小粒子を用いてインターリーフ全体に電気伝導性を有する局所領域を創出しつつ良好な靱性性能を実現可能であることを見出した。
【0013】
従って、第1の態様において、本発明は、電気伝導性一方向繊維の単一構造層と、構造繊維を実質的に含まない硬化性樹脂の第1の外側層と、任意選択的に、構造繊維を実質的に含まない硬化性樹脂の第2の外側層を含み、所与の点における第1の外側樹脂層と第2の外側樹脂層の厚さの合計が平均で少なくとも10ミクロンであり、かつ、少なくとも平均値の50%から120%の範囲で異なり、第1の外側層が電気伝導性粒子を含むプリプレグに関する。
【0014】
こうしたプリプレグを2枚重ね合わせる場合、一方のプリプレグの第1の外側樹脂層が、他方のプリプレグの第2の外側層が存在する場合には一方のプリプレグの第1の外側樹脂層と他方のプリプレグの第2の外側層とが、電気伝導性一方向繊維の二つの層の間に樹脂インターリーフ層を形成する。
【0015】
従って、第2の態様において、電気伝導性一方向繊維の第1の構造層と電気伝導性一方向繊維の第2の構造層とを含み、第1の構造層と第2の構造層とは硬化性樹脂を含む平均厚さが少なくとも10ミクロンのインターリーフ層によって分離されており、インターリーフ層の厚さが少なくとも平均インターリーフ層厚さの50%から120%の範囲で異なり、インターリーフ層が電気伝導性粒子を含む複合材料に関する
【0016】
従って、本明細書において使用する場合、本発明による複合材料の文脈においては、用語「インターリーフ層」とは、本発明によるプリプレグの所与の点における第1の外側樹脂層と第2の外側樹脂層の厚さの合計を意味するものと解釈することができる。同様に、用語「平均インターリーフ層厚さ」とは、本発明によるプリプレグの所与の点における第1の外側樹脂層と第2の外側樹脂層の厚さの合計の平均を意味するものと解釈することができる。
【0017】
よって、インターリーフ層(又は第1の外側樹脂層と第2の外側樹脂層の厚さの合計)の厚さは、場所によっては平均厚さの50%未満であり、場所によっては平均厚さの120%を超えている。例えば、平均インターリーフ厚さが30ミクロンの場合、インターリーフ厚さは、少なくとも15から36ミクロンの範囲で異なる。
【0018】
従って、複数の外側樹脂層を有するプリプレグ、及びインターリーフ層を有する複合材料が提供され、外側樹脂層及びインターリーフ層は厚さが一定ではなく、先行技術と比較すると厚さが広い厚さ範囲で異なっている。
【0019】
上述のように、本発明による複合材料は、他の複合材料と重ね合わせて硬化性複合材料積層物を形成することを意図したものである。
【0020】
従って、本発明による複合材料は、通常はインターリーフ樹脂層によって分離された一方向構造繊維の層を更に含んでもよい。このような積層物は、ほとんど又は全てが硬化性熱硬化性樹脂インターリーフ層によって分離された一方向構造繊維の層を4から200層含んでもよい。好適なインターリーフ配置は、EP0274899に開示されている。
【0021】
本発明によると、通常、インターリーフ層のうちの複数が厚さが異なるものである。好ましい実施形態においては、インターリーフ層の少なくとも半数がこのように厚さが異なっている。インターリーフ層の少なくとも75%、又は更には実質的に全てのインターリーフ層がこのように厚さが異なるものであることがより望ましい。
【0022】
加えて、通常、構造層のうちの複数が電気伝導性を有し、好ましくは少なくとも半数が電気伝導性を有し、より好ましくは少なくとも75%が電気伝導性を有し、最も好ましくは実質的に全ての構造層が電気伝導性を有する。
【0023】
このように厚さが異なることによって、より均一な厚さのインターリーフ層を有する複合材料に匹敵する靱性特性が複合材料に付与されると考えられる。更に、厚さの小さい領域が、粒径の小さい導電性粒子であっても隣接する二つの電気伝導性繊維層の間に電気的接続をかなり又は完全に形成することを可能とすると考えられる。
【0024】
好ましい実施形態において、インターリーフ層の厚さは少なくとも平均厚さの30%から150%の範囲で、より好ましくは少なくとも平均厚さの15%から175%の範囲で、最も好ましくは少なくとも平均厚さの0%から200%の範囲で異なる。
【0025】
誤解を避けるため、本明細書全体にわたり、対象を付加することなく或る範囲の任意の低値を或る範囲の任意の高値と組み合わせてもよいものとする。
【0026】
電気伝導性を有すると考えられる材料については、体積抵抗率が3×10−5Ωm未満であり、より好ましくは1×10−7Ωm未満であり、最も好ましくは3×10−8Ωm未満である。
【0027】
平均インターリーフ層厚さは、複合材料の断面の画像解析によって得ることができる。インターリーフ厚さのサンプルを生成するためには、複合材料の少なくとも5枚の切片の画像を撮影し、等間隔に少なくとも20のインターリーフ厚さ値を得るべきである。平均を取ることによって全値の平均を求めれば平均インターリーフ層厚さが得られる。抽出された最大値及び最小値を取れば、インターリーフ厚さが変動する範囲が求められ得る。6枚の切片を取り、300ミクロン間隔で56箇所で測定することが好ましい。本発明によるプリプレグに対しても同様の解析をすることが可能である。
【0028】
プリプレグ又は複合材料の構造への適用を目的とする場合、優れた機械的性能を実現するには、平均インターリーフ厚さが15から60ミクロンの範囲であることが望ましいと判明している。例えば、平均インターリーフ厚さは、20から40ミクロンの範囲であってもよい。
【0029】
上述のように、インターリーフ厚さが異なるため、小径の粒子であっても電気伝導性を有する局所領域を実現することが可能である。従って、電気伝導性粒子は、d50平均粒子径が平均インターリーフ層厚さの10%から80%であることが好ましく、平均インターリーフ層厚さの20%から70%であることが好ましい。
【0030】
電気伝導性粒子は、d50平均粒子径が10から50ミクロンであってもよく、10から25ミクロンであることがより好ましく、10から20ミクロンであることが最も好ましい。
【0031】
大径の電気伝導性粒子は加工上の問題を生じさせることが判明しているため、どの分布においても最大粒子を最低限度に抑えることが好ましい。従って、電気伝導性粒子のd90は、好ましくは40ミクロン以下、より好ましくは30ミクロン以下、最も好ましくは25ミクロン以下である。
【0032】
また、上述のように、粒子は、電気伝導性を有する局所領域をインターリーフ内に創出することによって複合材料に電気伝導性を付与することが可能であるため、インターリーフ層全体の電気伝導性を向上させるのに必要なほど高いレベルで存在する必要はない。従って、電気伝導性粒子は、プリプレグ又は複合材料における樹脂基体の量に対して0.2から5.0wt%のレベルで存在することが好ましい。好ましくは、粒子は0.3から2.0wt%、より好ましくは0.4から1.5wt%存在する。
【0033】
電気伝導性粒子は、多様な導電性材料から作られてよく、多様な形態を取ってよい。例えば、電気伝導性粒子は、金属粒子、金属被覆粒子、導電性ポリマー又は炭素粒子としてもよい。好適な金属としては、例えば銀、ニッケル及び銅が挙げられる。しかし、腐食効果や爆発の危険、及び材料の熱膨張係数の差が生じる可能性があるため、金属を複合材料に導入することは望ましくない場合があることが判明していることから、電気伝導性粒子は炭素粒子であることが好ましい。
【0034】
炭素は、片状黒鉛、黒鉛粉末、黒鉛粒子、グラフェンシート、フラーレン、カーボンブラック、並びに炭素ナノ繊維及びカーボンナノチューブ等、様々な形態がある。しかし、本発明における使用にはガラス状(又はガラス質)炭素粒子のみが好適である。ガラス状炭素は通常難黒鉛化性であり、少なくとも70%sp2結合し、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくはほぼ100%sp2結合している。
【0035】
ガラス状炭素粒子は非常に固く、樹脂との混合操作中に崩壊することがない。ガラス状炭素粒子は空隙率が非常に低いか又はゼロであり、全体が中実であって非中空である。中空粒子は軽量であるが、空隙を導入することによって複合材料の機械的性質を損なう可能性がある。
【0036】
プリプレグ又は複合材料は、熱可塑性強靭化剤粒子を更に含むことが好ましい。
【0037】
熱可塑性粒子は、得られる積層体に靱性を付与するものであり、ポリアミド類、コポリアミド類、ポリイミド類、アラミド類、ポリケトン類、ポリエーテルエーテルケトン類、ポリアリーレンエーテル類、ポリエステル類、ポリウレタン類、ポリスルホン類等の広範囲の材料で作ることができる。好ましい材料としては、ポリアミド6、ポリアミド6/12、ポリアミド11及びポリアミド12が挙げられる。
【0038】
熱可塑性粒子は、広範囲のレベルで存在してよいが、複合材料の全樹脂に対して5から20%、好ましくは10から20%のレベルが好ましいことが判明している。
【0039】
熱可塑性粒子は、平均粒子径が5から50ミクロン、好ましくは10から30ミクロンであることが好ましい。
【0040】
本発明のプリプレグ及び複合材料は、大部分が樹脂と構造繊維で構成されている。通常、これらは硬化性樹脂を25から50wt%含む。加えて、通常これらは構造繊維を45から75wt%含む。
【0041】
通常、一方向繊維の向きは、例えば、隣り合う繊維層間の角度を示すいわゆる0/90配置として隣り合う層において互いに対して直角になるように一方向繊維を配置することにより、複合材料全体として異なるものとする。その他多くの配置の中で、0/+45/−45/90のような他の配置も当然可能である。
【0042】
構造繊維は、亀裂を生じさせた(すなわち、延伸破断させた)選択的に不連続又は連続の繊維としてもよい。
【0043】
構造繊維は、炭素、グラファイト、含金属ポリマー、金属被覆繊維及びこれらの混合物等、広範囲の材料から作ることができる。炭素繊維が好ましい。
【0044】
通常、構造層の繊維は一般に、直径が2から20μm、好ましくは3から12μmの範囲の円形又はほぼ円形の断面を有する。
【0045】
硬化性樹脂は、例えばエポキシ、イソシアネート及び酸無水物、シアネートエステル類、ビニルエステル類並びにベンズオキサジン類から選択してよい。好ましくは、硬化性樹脂はエポキシ樹脂である。
【0046】
好適なエポキシ樹脂は、単官能性、二官能性、三官能性、及び/又は四官能性、エポキシ樹脂であってもよい。
【0047】
好適な二官能性エポキシ樹脂の例としては、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(必要に応じて臭素化したもの)、フェノール及びクレゾールエポキシノボラック、フェノール−アルデヒド付加物のグリシジルエーテル類、脂肪族ジオールのグリシジルエーテル類、ジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、芳香族エポキシ樹脂類、脂肪族ポリグリシジルエーテル類、エポキシ化オレフィン類、臭素化樹脂類、芳香族グリシジルアミン類、複素環式グリシジルイミジン及びアミド類,グリシジルエーテル類、フッ素化エポキシ樹脂類、グリシジルエステル類又はこれらの任意の組合せをベースとする樹脂が挙げられる。
【0048】
二官能性エポキシ樹脂は、好ましくはビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ジグリシジルジヒドロキシナフタレン、又はこれらの任意の組合せから選択してよい。
【0049】
好適な三官能性エポキシ樹脂の例としては、フェノール及びクレゾールエポキシノボラック類、フェノール−アルデヒド付加物のグリシジルエーテル類、芳香族エポキシ樹脂類、脂肪族トリグリシジルエーテル類、二脂肪族トリグリシジルエーテル類、脂肪族ポリグリシジルエーテル類、エポキシ化オレフィン類、臭素化樹脂類、トリグリシジルアミノフェニル類、芳香族グリシジルアミン類、複素環式グリシジルイミジン及びアミド類、グリシジルエーテル類、フッ素化エポキシ樹脂類、又はこれらの任意の組合せをベースとする樹脂を挙げることができる。
【0050】
好適な四官能性エポキシ樹脂としては、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(三菱ガス化学株式会社よりTetrad−Xという商品名で、また、CVC ChemicalsよりErisys GA−240として市販されている)、及びN,N,N’,N’−テトラグリシジルメチレンジアニリン(例えばHuntsman Advanced Materials製のMY721)が挙げられる。
【0051】
硬化性樹脂は、1つ又は複数の硬化剤を更に含んでもよい。好適な硬化剤としては、無水物類、特にポリカルボン酸無水物類;アミン類、特に芳香族アミン類、例えば、1,3−ジアミノベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、並びに特にスルホン類及びメチレンビスアニリン類、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(4,4’DDS)及び3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(3,3’DDS)、4,4’−メチレンビス(2−メチル−6−イソプロピルアニリン)(M−MIPA)、4,4’−メチレンビス(3−クロロ−2,6−ジエチレンアニリン)(M−CDEA)、4,4’−メチレンビス(2,6ジエチレンアニリン)(M−DEA)、並びにフェノール−ホルムアルデヒド樹脂類が挙げられる。好ましい硬化剤は、メチレンビスアニリン類及びアミノスルホン類、特に4,4’DDS及び3,3’DDSである。
【0052】
本発明による複合材料は、上述のように、複数のプリプレグ繊維層の積層体を形成することによって通常作られる。各プリプレグは、硬化性樹脂基体を含浸させた電気伝導性繊維の構造層を含む。
【0053】
従って、プリプレグを製造する場合、積層すると本発明による複合材料が確実に得られるように複数の工程を経る必要がある。
【0054】
異なるインターリーフ厚さを達成する効果的な方法は、一方向構造繊維の制御破壊を生じるように設定された条件下で樹脂と電気伝導性粒子を同時に構造繊維に含浸させるプリプレグ製造方法を採用することであることが判明している。
【0055】
従って、別の態様において、本発明は、一方向導電性繊維層を連続供給することと、繊維の第1の面を硬化性樹脂と電気伝導性粒子を含む第1の樹脂層と接触させることと、樹脂が繊維の間隙に入り込むのに十分、樹脂、導電性粒子及び繊維を共に圧縮することを含み、樹脂が、一方向導電性繊維を本質的に含まず電気伝導性粒子を含む第1の外側樹脂層を残すのに十分な量である、本明細書において定義するプ
リプレグ又は複合材料の製造方法に関する。
【0056】
得られたプリプレグは、別のプリプレグと接触するように配置して本発明による複合材料を製造することができる。
【0057】
好ましくは、硬化性樹脂を含む第2の樹脂層を、通常は第1の層と同時に繊維の第2の面と接触させ、樹脂が繊維の間隙に入り込むように、第1の樹脂層と第2の樹脂層を繊維と共に圧縮する。この場合、第2の樹脂層は、任意選択で、電気伝導性粒子を含んでもよく、含まなくてもよい。しかし、好ましくは、第2の樹脂層は、電気伝導性粒子を含まない。こうしたプロセスは、繊維のそれぞれの面を1つの樹脂層と接触させるものの、最終的なプリプレグ内の樹脂は全て一段階で含浸させることから、一段階プロセスであると考えられる。二つの樹脂層を採用する場合、2フィルムプロセスと呼ばれることがある。
【0058】
圧縮すると、樹脂は間隙に押し込まれ、構造繊維の層が部分的に破壊されるような圧縮力によって電気伝導性粒子のろ過が起こる。
【0059】
周知のインターリーフプリプレグは、通常二段階プロセスで製造される。繊維を間隙に入り込む樹脂と接触させる第1の段階に続いて粒状物質、通常は強靭化剤粒子を含む別の樹脂と接触させる。この第2の工程は、単に粒状物質を含む樹脂を配置して均一な層構造のプリプレグを製造することを意図している。この二段階プロセスは、明確に画成された繊維層及び樹脂層を含む秩序だった積層体を製造することができるため、先行技術においては望ましいと考えられている。多くの場合、各工程において樹脂を二層に担持させ、全体として四つの樹脂フィルムを形成する。従って、このプロセスを4フィルムプロセスと呼ぶことがある。
【0060】
導電性繊維と樹脂に加えられる圧力が導電性繊維層の幅1センチメートル当たり40kgを超えない場合、樹脂と繊維とを1つ又は複数の含浸ローラー上を通過させることによって樹脂の含浸を実施すると優れた結果が得られることが判明している。
【0061】
当技術分野で慣行の高い含浸圧力は、一段階プロセスに応用した場合、高すぎる程度の破壊を誘発すると考えられる。従って、一段階含浸プロセスとそれに伴う低圧との組合せによって望ましい制御破壊が生じ得る。
【0062】
樹脂含浸は通常樹脂と繊維とをローラー上を通過させることが必要であるが、ローラーは様々な形に配置することができる。二つの主な配置は、単純な「ニップ」配置と「Sラップ」配置である。
【0063】
Sラップ段階では、シート形状の樹脂と繊維がSラップローラーとして知られる二つの分離した回転ローラーに沿って「S」字状に通過する。もう1つのローラー配置は、広く使用されている「ニップ」を含み、繊維と樹脂が二つの隣接する回転ローラーの間のピンチポイントを通過する際に共に挟み付けられる、すなわちニップされる。
【0064】
Sラップは、確実且つ再現可能な繊維間隙への樹脂の含浸のための理想的な条件を実現する一方で、十分な破壊も実現することがわかる。
【0065】
ただし、例えば、隣接するローラー間の隙間を制御することによって圧力を低く保つならば、ニップ段階も可能である。
【0066】
理論上は高圧が優れた樹脂含浸を実現するが、高圧は本発明による一段階プロセスにおいてはプリプレグの出来にとって悪影響を及ぼす可能性があることが判明している。樹脂含浸は不確実であり、求められる許容誤差の範囲外となる場合があることが判明している。
【0067】
従って、導電性繊維と樹脂に加えられる圧力は、導電性繊維層の幅1センチメートル当たり40kgを超えないことが好ましく、より好ましくは1センチメートル当たり35kgを超えず、更に好ましくは1センチメートル当たり30kgを超えない。
【0068】
樹脂の繊維への含浸に続き、多くの場合冷却段階及び積層、切断、分離等の更なる処理段階が存在する。
【0069】
繊維への樹脂の含浸を容易にするため、樹脂粘度が低下するように高温、例えば、60から150℃、好ましくは100から130℃で樹脂の含浸を実施することが慣行である。これは、含浸前に例えば、赤外線ヒーターに通して樹脂と繊維を所望の温度に加熱することによって最も好都合に達成される。上記のように、含浸に続き、形成したプリプレグの粘着性を低下させるために通常は冷却工程が存在する。この冷却工程は、含浸段階の終了を示すために利用することもできる。
【0070】
含浸ローラーは、様々な方法で回転してもよい。含浸ローラーは自由に回転してもよく、又は駆動してもよい。
【0071】
含浸ローラーは、通常は金属外装を有するが、様々な材料で作られてよい。クロム仕上げローラーが好ましいことが判明している。
【0072】
樹脂の取り扱いを容易にするため、樹脂を紙等の裏当て材に担持させることが慣行である。次いで、樹脂が繊維と接触し、裏当て材が樹脂と繊維の接触領域の外側の所定位置に留まるように通常は樹脂をロールから供給する。それに続く含浸プロセス時には、裏当て材が均一な樹脂の含浸を達成するために圧力を加えるのに有用な外装材となる。
【0073】
裏当て材が圧縮性である場合、繊維層に対する含浸プロセスによって生じる力を低下させることが判明している。これは、圧縮性の紙は含浸時に最初に圧縮され、その後含浸プロセスに由来する力が繊維に伝達されるためであると考えられる。従って、含浸時に樹脂と繊維に作用する力を増大させ、繊維のより大幅な破壊とより良好な樹脂の含浸をもたらすことから、非圧縮性の紙が好ましい。圧縮性の好適な尺度は、圧縮率と呼ばれる紙の物質密度に対する厚さの比である。圧縮率が0.001kg−1−2未満の裏当て紙が好ましいことが判明している。
【0074】
例えば、カレンダー処理又はスーパーカレンダー処理を施し、シリコーンのディファレンシャルコーティングを施した圧縮係数が0.00083のグラシン系の剥離紙が、カレンダー処理又はスーパーカレンダー処理を施していない圧縮係数が0.00127の他の紙と比べて有効に機能する。スーパーカレンダー処理を施したグラシン系の紙は、Mondi及びLaufenberg等の多くの供給元から市販されている。
【0075】
こうしたプリプレグは、形成後、複数枚重ね合わせて本発明による複合材料を形成することができる。
【0076】
次に、本発明による複合材料は、通常高温及び任意選択的に高圧にさらすことによって硬化させ、硬化複合積層体を形成する。例えば、硬化は、真空バッグ技術のオートクレーブプロセスにおいて実施されてもよい。
【0077】
こうした硬化複合積層体は、良好な機械的性能と電気伝導性が必要な用途、例えば航空宇宙産業における用途に最適である。特に、航空機用の一次又は二次構造部材や、ロケット又は衛星のケーシング等としての使用に最適である。
【0078】
実施例により、以下の図面を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0079】
図1】先行後術によるインターリーフ硬化積層体の断面画像である。
図2】本発明による硬化積層体の断面画像である。
図3】本発明による硬化積層体の断面画像である。
【実施例】
【0080】
いわゆる2フィルムプロセスにおいて、一方向炭素繊維の連続層を供給し、電気伝導性粒子と熱可塑性強靭化剤粒子(Arkema製のOrgasol)を含有する硬化性樹脂層2層と接触させることにより、炭素微小球の量が異なる複数のプリプレグ(10m×0.3m)を製造した。
【0081】
炭素微小球(CMS:carbon microspheres)は、Sigradur Gと呼ばれる、ドイツのHTW製である。銀被覆中空ガラスビーズ(Agビーズ)は、オランダのEcka Granulesから供給されたものである。樹脂配合物は、Orgasolの添加と同時に実施した導電性粒子の添加を除いてWO2008/040963のバッチ1349及び1351で使用されたものと同じである。
【0082】
プリプレグは、目付が268gsmのIMA炭素繊維を用いて製造した。抵抗パネルとして、0/90積層を用いて12層の積層体を製造し、圧力3バールのオートクレーブにおいて180℃で2時間硬化させた。樹脂含浸時に誘発させた制御破壊のため、インターリーフ厚さは平均値が約25ミクロンであり、0から60ミクロンまで異なっていた。こうした積層体の断面のサンプル画像を図2及び3に示す。
【0083】
比較のため、4フィルムプロセスによって作ったプリプレグも用意した。この場合、平均厚さが約40ミクロンであり、35から45ミクロンまで異なる均一なインターリーフ厚さが得られた。こうした積層体の断面のサンプル画像を図1に示す。
【0084】
複合積層体の抵抗試験方法
オートクレーブで硬化させることによりサイズが300mm×300mm×3mmのパネルを作製する。パネルの積層方向は0/90である。次に、40mm×40mmの試験用試料(通常4から8個)をパネルから切り取る。試料の正方形面は研磨して(例えば、リニッシャー装置で)炭素繊維を露出させる必要がある。これは、硬化時に剥離層を用いる場合には必要ない。過剰な研磨は、最初の層を超えて侵入するため避けるべきである。次に、スパッタリング装置を用いて正方形の面を電気伝導性金属、通常は金の薄層で被覆する。試料の側面の金又は金属は試験前に全て研磨によって除去する必要がある。この金属被覆は、接触抵抗を低くするために必要である。
【0085】
抵抗を判定するため、電圧と電流の両方を変化させることができる電源(TTi EL302Pプログラム可能30V/2A電源ユニット、Thurlby Thandar Instruments、英国ケンブリッジ)を使用する。試料を電源の電極(スズめっき銅編組)と接触させ、クランプを用いて所定位置に保持する(誤った結果を示すので電極が互いに接触したり他の金属表面に接触したりしないことを確認すること)。一方の編組から他方の編組につながる電気経路を防ぐため、クランプが非導電性被膜又は層を有することを確認すること。1アンペアの電流を流し、電圧を記録する。次いで、オームの法則を用いて抵抗(V/I)を計算することができる。切断した試料それぞれについて試験を実施し、値の範囲を得る。試験の信頼性を保証するため、各試料は2回ずつ試験を行う。
【0086】
以下の表1は、炭素と銀導電性粒子を異なる充填率(複合材料における全樹脂含有量に対する%として)で含む複合材料の抵抗測定結果を示す。
【表1】
【0087】
特筆すべきは、10〜20ミクロンの導電性粒子を添加してもインターリーフ厚さが35から45ミクロンの場合は4フィルムプリプレグの電気伝導性に大きな影響を及ぼすことはないという点である。
【0088】
しかし、インターリーフ厚さが0から60ミクロンの場合、10〜20ミクロンの導電性粒子を添加すると2フィルムプリプレグの電気伝導性が著しく向上する。
【0089】
導電性添加剤は全て2フィルムの抵抗値を低下させ、銀被覆中空ガラスビーズが1.5wt%の場合に最良の結果が得られている。CMS(10〜20μm)を用いた場合でも許容範囲の結果が得られるが、充填率が1wt%を超えるとそれ以上抵抗は低下しない。
【0090】
更に、この効果は、導電性粒子レベルが樹脂量に対して0.5wt%という非常に低い場合でも観察される。
【0091】
機械的性能
更に、CMS0.5%、10〜20μm及び20〜50μmのプリプレグ100メートルを製造ライン上で製造し、抵抗及び機械的性質を判定した。機械的性質は、導電性粒子を含まない標準的な積層体に匹敵するものであった。硬化層厚さ0.25mmが繊維目付(faw:fibre areal weight)268gsmの繊維に適するものと推定された。硬化層厚さ0.184mmが繊維目付(faw)194gsmの繊維に適するものと推定された。
【表2】

【表3】
【0092】
インターリーフ厚さにおける異なる厚さは、機械的性質にマイナスの影響を与えないことがわかる。加えて、電気伝導性の炭素粒子の存在も、機械的性能には影響しない。
【0093】
インターリーフ厚さ計算
上記の実施例で得られた硬化パネルから6つの試料を切り取り、各試料について、300ミクロン間隔でインターリーフ厚さを測定した(ミクロン単位)。各試料の測定は、1つのインターリーフに沿って実施した。以下の表は、測定した個々のインターリーフ層厚さの一覧である。
【表4】
【0094】
その結果、複合材料は平均インターリーフ層厚さが24.5ミクロンであり、厚さは0から67.7ミクロンの範囲、すなわち平均インターリーフ層厚さの0%から276%の範囲で異なっていた。
本発明に包含され得る諸態様は、以下のとおり要約される。
[態様1]
電気伝導性一方向繊維の単一構造層と、構造繊維を実質的に含まない硬化性樹脂の第1の外側層と、任意選択的に、構造繊維を実質的に含まない硬化性樹脂の第2の外側層を含み、所与の点における第1の外側樹脂層と第2の外側樹脂層の厚さの合計は平均で少なくとも10ミクロンであり、かつ、少なくとも平均値の50%から120%の範囲で異なり、第1の外側層が電気伝導性粒子を含む、プリプレグ。
[態様2]
電気伝導性一方向繊維の第1の構造層と電気伝導性一方向繊維の第2の構造層とを含み、第1の構造層と第2の構造層とは硬化性樹脂を含む平均厚さが少なくとも10ミクロンのインターリーフ層によって分離されており、インターリーフ層の厚さが少なくとも平均インターリーフ層厚さの50%から120%の範囲で異なり、インターリーフ層が電気伝導性粒子を含む複合材料。
[態様3]
一方向構造繊維層とインターリーフ樹脂層を更に含み、インターリーフ層のうちの複数、好ましくは少なくとも半数、より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは実質的に全てのインターリーフ層が上記態様2に記載のインターリーフ層である、上記態様2に記載の複合材料。
[態様4]
一方向構造層のうちの複数、好ましくは少なくとも半数、より好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは実質的に全ての一方向構造層が電気伝導性である、上記態様3に記載の複合材料。
[態様5]
上記態様1に記載の所与の点における第1の外側樹脂層と第2の外側樹脂層の厚さの合計、又は上記態様2に記載のインターリーフ層が、平均厚さの少なくとも30%から150%の範囲、好ましくは平均厚さの少なくとも15%から175%の範囲、より好ましくは平均厚さの少なくとも0%から200%の範囲で異なる厚さを有する、上記態様1から4までのいずれか一項に記載のプリプレグ又は複合材料。
[態様6]
上記態様1に記載の所与の点における第1の外側樹脂層と第2の外側樹脂層の厚さの合計の平均、又は上記態様2に記載のインターリーフ層の平均インターリーフ厚さが、15から60ミクロンの範囲、好ましくは20から40ミクロンの範囲である、上記態様1から5までのいずれか一項に記載のプリプレグ又は複合材料。
[態様7]
導電性粒子のd50平均粒子径が、所与の点における第1の外側樹脂層と第2の外側樹脂層の厚さの合計の平均又は平均インターリーフ層厚さの10%から80%、好ましくは20%から70%である、上記態様1から6までのいずれか一項に記載のプリプレグ又は複合材料。
[態様8]
電気伝導性粒子のd50平均粒子径が、10から30ミクロン、好ましくは10から25ミクロン、より好ましくは10から20ミクロンであってもよい、上記態様1から7までのいずれか一項に記載のプリプレグ又は複合材料。
[態様9]
電気伝導性粒子のd90が40ミクロン以下、より好ましくは30ミクロン以下である、上記態様1から8までのいずれか一項に記載のプリプレグ又は複合材料。
[態様10]
電気伝導性粒子がプリプレグ又は複合材料の樹脂基体の量に対して0.2から5.0wt%のレベルで存在し、好ましくは0.3から2.0wt%、より好ましくは0.4から1.5wt%存在する、上記態様1から9までのいずれか一項に記載のプリプレグ又は複合材料。
[態様11]
電気伝導性粒子が炭素粒子である、上記態様1から10までのいずれか一項に記載のプリプレグ又は複合材料。
[態様12]
一方向導電性繊維層を連続供給することと、繊維の第1の面を硬化性樹脂と電気伝導性粒子を含む第1の樹脂層と接触させることと、樹脂が繊維の間隙に入り込むのに十分、樹脂、導電性粒子及び繊維を共に圧縮することを含み、樹脂が、一方向導電性繊維を本質的に含まず電気伝導性粒子を含む第1の外側樹脂層を残すのに十分な量である、上記態様1及び3から11までのいずれか一項に記載のプリプレグを製造する方法。
[態様13]
上記態様12に記載の方法に続いてプリプレグを別のプリプレグと接触させて配置して複合材料を製造する、上記態様2から11までのいずれか一項に記載の複合材料を製造する方法。
[態様14]
第1の層と同時に硬化性樹脂を含む第2の樹脂層を繊維の第2の面と接触させ、樹脂が繊維の間隙に入り込むように、第1の樹脂層と第2の樹脂層を繊維と共に圧縮する、上記態様12又は13に記載の方法。
[態様15]
樹脂と繊維を1つ又は複数の含浸ローラー上を通過させることによって樹脂の含浸を実施し、導電性繊維と樹脂に加えられる圧力が導電性繊維層の幅1センチメートル当たり40kgを超えない、上記態様12から14までのいずれか一項に記載の方法。
[態様16]
含浸ローラーが、少なくとも1つの「Sラップ」配置を含む、上記態様15に記載の方法。
[態様17]
圧縮率が0.001kg−1−2未満の裏当て紙に樹脂が担持される、上記態様12から16までのいずれか一項に記載の方法。
[態様18]
上記態様2から11までのいずれか一項に記載の複合材料又は上記態様13から17までのいずれか一項に記載の方法によって得られる複合材料を、高温、そして任意選択的に高圧にさらすことによって硬化させる方法によって得られる硬化複合材料。
[態様19]
航空宇宙構造部材として使用される、上記態様18に記載の硬化複合積層体。
図1
図2
図3