(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
使い捨て流体回路部分は、第1の採集容器と連通する白血球フィルターと、そして白血球減少赤血球の受領のための白血球フィルターと連通する第3の採集容器をさらに含んでいる請求項1または2の自動血液採集システム。
血液分離装置は、外側ハウジングと、その中に回転可能に取り付けられ、そして全血が流入する隙間によってハウジングの内表面から離間した内側部材を含んでいる請求項1ないし7のいずれかの自動血液採集システム。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示に従った回転膜セパレーターおよび種々の自動化システムにおけるその使用のもっと詳細な説明が以下に述べられる。特定の装置および方法の以下の説明は例示であり、すべての可能な変形または応用を網羅するものでないことを理解すべきである。このため開示の範囲は限定を意図せず、そして当業者に発生するであろう変形また具体例を包含することを理解すべきである。
【0024】
図1および2へ転ずると、一般に10で指定した回転膜血液分離もしくは分画システムが示されている。そのようなシステム10は、個々のヒドドナーから得た全血から血漿を抽出するために典型的に使用される。理解を容易にするため、血液分離装置および付属する駆動ユニットのみを示すが、そのようなセパレーターは採集バッグ、食塩水またはACDのような添加剤のバッグ、返還バッグ、チューブ等を含んでいる使い捨てシステムの一部を形成すること、および装置の作動のための関連する制御および編成システムが存在することを理解すべきである。
【0025】
システム10は、縦の垂直中心軸のまわりに同心的に配置された一般に円筒形のハウジング12を含んでいる。内側部材14は中心軸と同心に取り付けられる。ハウジングと内側部材は相対的に回転可能である。図示した好ましい具体例では、ハウジングは静止し、そして内側部材は円筒形のハウジング12内で同心的に回転可能な回転スピナーである。血液流路の境界は一般にハウジング12の内表面と回転スピナー14の外表面の間の隙間16によって区切られる。ハウジングとスピナーの間の間隔はしばしばせん断隙間と称される。典型的なせん断隙間は約0.025〜0.050インチ(0.067〜0.127cm)であることができ、そして例えばスピナーとハウジングの軸が一致している場合、軸に沿って均一な寸法であり得る。
【0026】
せん断隙間は軸方向に沿って変化することもでき、例えば溶血を制限するため好ましくは流れ方向に増大する隙間幅になっている。そのような隙間幅は、約0.025ないし約0.075インチ(0.06〜0.19cm)の範囲であることができる。例えば、ハウジングとローターの軸を一致させ、ハウジングの内表面の直径を一定に保ちながらローターの直径を軸方向(流れ方向)に減少させるか、またはローターの直径を一定に保ちながらハウジングの直径を増大させるか、または両方の表面の直径を変化させることができる。例えば、隙間幅は隙間の上流または入口端において約0.035インチ(約0.088cm)とし、そして隙間の下流端または末端において約0.059インチ(約0.15cm)とすることができる。隙間幅はローターの外径および/または対面するハウジング表面の内径を変えることによって変化させることもできる。隙間幅は直線的にまたは段階的に、または望んだ他の態様で変化させることができる。いずれの場合でも、隙間の幅寸法は、好ましくは所望の相対的回転速度となるように選ばれる。テイラー渦のようなテイラー・クエット流が隙間の中に創出され、そして溶血が制限される。
【0027】
全血は入口導管20から、スピナー14の上端のまわりの円周に対して接線方向の流路中の血液流入口区域中へ全血を導く入口オリフィス22を通って導入される。円筒形ハウジングの底端において、ハウジングの内壁は出口オリフィス34を含んでいる。
【0028】
円筒形ハウジング12は端部ボス42を有する上端キャップ40と、そして中心軸と同心の血漿出口オリフィス46で終わっている底端ハウジング44で完成されており、該ボス42の壁は非磁性である。
【0029】
スピナー14は上端キャップと底端ハウジングの間に回転自在に装荷される。スピナー14は成形されたマンドレルもしくはローター50を含み、その外表面は環状ランド54によって分離されている離間した円周方向溝52の列を形成するように成形されている。円周方向溝52によって区切られた表面チャンネルは縦方向の溝56によって相互接続されている。マンドレル50の各端部において、これら溝56は中央オリフィスもしくはマニホールド58と連通している。
【0030】
図示した具体例においては、回転スピナー14の表面は、少なくとも部分的に、そして好ましくは実質上もしくは全体に、円筒形の多孔質膜62によって覆われている。膜62は典型的には公称6ミクロンのポアサイズを有するが、しかし代って他のポアサイズを使用することができる。ここで記載する洗浄方法に有用な膜は、繊維状メッシュ膜、キャスト膜、トラックエッチド膜または当業者に知られているであろう他のタイプの膜である。例えば一具体例において、膜はナイロン粒子がその上で固化したポリエステルメッシュ(基材)を有し、それによりあるサイズの成分のみが通過する曲りくねった流路が創出された膜であることができる。他の具体例においては、膜は、例えば、ポリカーボネートの薄い膜(約15ミクロン厚さ)で作成することができる。この具体例では、ポア(孔)は上に記載したものより大きくすることができる。例えばポアは3ないし5ミクロンであり得る。ポアは小さい成分(例えば血小板、微粒子等)は通過するが、所望の血球(例えば白血球)を捕獲することを許容するように寸法決めすることができる。
【0031】
回転スピナーは、片方では端部キャップ40中に押し込まれ、そして回転スピナー14の一部を形成する端部シリンダー66中の円筒形軸受表面65中に座着されたピン64のまわりを回転するように上端キャップ中に装荷される。内側スピナーまたは外側ハウジングは任意の適当な回転駆動器具もしくはシステムによって回転させることができる。図示するように、端部シリンダー66はスピナー14の間接駆動に使用される磁性材料のリング68によって部分的に囲まれている。ハウジング12の外部の駆動モーター70は、少なくとも一対の内側永久磁石74を含んでいる環状磁気駆動部材72を回転させるように連結される。環状駆動部材72が回転するとき、ハウジング内側のリング68とハウジング外側の磁石74の間の磁気誘引がスピナー14を外部駆動へロックし、スピナー14を回転せしめる。
【0032】
回転スピナー14の下端において、中央出口オリフィス58は中心軸と同心の端部軸受78中の中央ポア76と連通している。中央開口82の下縁を形成する内側ショルダー80によって端部軸受座が形成される。中央開口82は血漿出口オリフィス46と連通している。もしハウジングの内側対面表面が膜によって完全にまたは部分的に覆われていれば、流体採集もしくはマニホールドを膜の下に設置し、血漿を採集し、そしてハウジング出口(図示せず)を通ってそれを誘導することができる。
【0033】
I.膜セパレーター設計
本出願の一局面に従って、保留した血液の溶血の許容できる低いレベルを有する改善された血漿流量を提供する回転膜セパレーターが提供される。回転速度、回転膜とシエルの間の隙間の寸法、膜の有効面積、赤血球の濃度(またはヘマトクリット)および血液の粘度を含む、種々のファクターが回転膜セパレーターを通る濾過流量に影響することが知られている。回転膜装置の設計における以前のプラクティスは、性能および溶血に対する種々の設計パラメータの効果の漠然として現象学的記述によってある程度助けられた大部分経験的なものであった。このことは費やされた開発時間および技術的資源に関して非効果的であることを証明している。
【0034】
対照的に本出願の回転膜セパレーターのパラメータは、膜を通る局部的血漿速度および局部的ヘモグロビン濃度を考慮した定量的微分モデルに基づいて決定された。これら微分モデルは、全体の血漿流量および装置の出口における血漿ヘモグロビン濃度を提供するように装置の長さに亘って積分された。
【0035】
この方法は、ドナーヘマトクリット、入口血液流量、回転速度、および有効膜面積を含む、既存のPlasmacell−Cの構造および作動条件に基づいた作動入力を含んでいた。またローターの半径の幾何学的入力、環状隙間の幅、および積分が行われる長さもファクターに取り入れられた。以下の表1を見よ。
【0036】
仮想セパレーターのための予見される値を得るため、ローターの半径および濾過長さは、0.05増分において現在のPlasmacell−C値の約1.0倍から約2.0倍まで変えられ、関心である各出力変数に対して21×21設計スペースグリッドが提供された。すべての装置について、ハウジングのテーパーおよび出口の隙間はコンスタントに保たれ、そして入口隙間および回転速度がそれに従って変えられた。ヘマトクリット、濃度および抗凝固剤濃度に関係した血液粘度と密度に関するモデルも開発された。
【表1】
【0037】
この方法の一つの実行において、ローター半径、回転速度および積分長の種々の値に対する血漿流量の出力およびヘモグロビン濃度が得られた。出力ヘマトクリットと出口壁せん断応力(
図3)、出口ヘマトクリットと出口血漿ヘモグロビン濃度(
図4)および出口ヘマトクリットと、テイラー数(
図5)の輪郭プロットに重ねたモデルの結果を示す。これらはすべて相対的濾過長およびスピナー半径の関数と示してある。ここで使用する“濾過長”とは、溝もしくはリブ52の始めから終わりまでの中央マンドレルもしくはローター50の軸方向長さであると理解すべきである。これは一般に濾過に利用される膜の長さを代表する。“スピナー半径”または“スピナー直径”とは、膜を装着したローターの半径または直径と理解すべきである。
図6は、より大きい装置におけるヘモグロビンの増加を示している、濾過長およびスピナー半径の関数として三次元プロットにおける血漿ヘモグロビン結果を示している。次にこれらの結果は、許容し得るように低い溶血レベルを有する高い血漿流量の最良バランスを提供するために評価された。
【0038】
モデルは、膜の有効面積が性能に対して最も強い正の影響を有することを示した。さらに、ローターの直径を増すことによる膜面積の増加は、ローターの長さを増すことによる膜面積の増加よりも一層正にインパクトするけれども、それは膜の増加した速度のため、そしてそのために隙間中のせん断力の増加により溶血の可能性を増加させる。
【0039】
従ってモデルは、増加した膜面積をもたらし、その使用が溶血の許容し得る低いレベルを有するローターの長さおよび直径を予見させた。プロトタイプのセパレーター(モデルの結果に基づいた)が作成され、そしてモデルによって予見された結果を確認するためにテストされた。以下の表2は、現在のPlasmacell−Cの血漿搬出装置とモデルに基づいた二つの可能性ある代替装置を比較する。
【0041】
表2および
図7に関し、回転膜セパレーター10は回転直径D、濾過長FL、および全体長さLOAを有する回転スピナー14を含んでいる。Plasmacell−Cのような典型的な血漿搬出装置においては、ローターは約1.1インチの直径Dと、約3インチの濾過長FLと、そして約5.0インチの全体長さLOAを持っている。
【0042】
本出願に従えば、膜の直径は典型的な血漿搬出装置の膜の直径の約2.0倍まで増加することができ、長さは典型的な血漿搬出装置の約2.5倍まで増加することができることが見出された。これらの限界内のローター寸法の増加は高い血漿流量と、同時に溶血の許容し得る低いレベルを提供するのに充分な濾過膜面積を増加する。特定実施例において、本出願に従った回転膜セパレーターは、1.65インチの直径Dと、5.52インチの濾過長FLと、そして7.7インチの全長LOAを有利に持つことができる。
【0043】
プロトタイプ回転膜セパレーターは、この方法によって予見された結果を確認するためにウシおよびヒト血液でテストされた。100ml/minの血液流量が、1000から3500rpmまで変化するスピナー速度で得られた。80%およびそれより高い出口ヘマトクリットは、膜汚染の高いレベルを経験する前に得られた。血漿880mlの採集時間は約18分と20分の間の範囲であった。
【0044】
上で認めたように、せん断隙間中の赤血球の滞留時間は溶血の量に対し直接の関係を有する。回転膜分離装置においては、流れ区域はローターの軸長に沿って存在し、そこでは流体流が比較的停滞し、溶血のポケットが形成される。高い溶血区域からの赤血球が低い溶血区域中の流れと相互に混じり合う限り、採集された赤血球の品質が低下する。
【0045】
それ故本出願の他の局面に従い、シールを使用することなく、回転膜セパレーターの隙間内に別々の流体流区域を創出するための方法が提供される。別々の流れ区域は、二つの流れ区域の間の流体の混合の影響を減らし、または最小化する。別々の流れ区域は、スピナーと外側シリンダーの間の隙間を減らしまたは最小化するための隙間内を盛り上がったリブもしくは隆起を持つことによって得られる。好ましくは、隆起もしくはリブは回転膜が取り付けられる位置を越えたローターの表面に設けられる。
【0046】
隆起は好ましくは高い灌流流れ区域の境界を形成するように配置される。隆起の放射方向寸法は隆起によって区切られた二つの区域間に許容される混合に反比例し、隆起の大きい放射方向寸法はより少ない混合を許容する。隆起の軸方法寸法も許容される混合の程度に反比例し、より大きい軸方向寸法はより少ない混合を許容する。隆起の軸方向寸法は、好ましくは望まない混合を発生させる隣接するテイラー渦の生成を最小にするため、少なくとも1隙間寸法の長さである。
【0047】
図8を参照すると、回転膜分離装置10の概略的断面が示されている。装置は固定外側シリンダー12と、担持された濾過膜を有する回転する内側シリンダー14を含んでいる。この隆起はスピナーと外側ハウジングの間の隙間を二つの流れ区域に分割する役目を果たす。第1の流体区域92は典型的には濾過膜を越えて広がるスピナーの部分において流れの停滞した灌流されない区域を有する。第2の流体区域94、典型的には濾過膜と接触し、流れの高度の灌流される区域を有する。
【0048】
第1の流体区域92は灌流されないため、そこに滞在する血液は第2の流体区域94にある血液よりも長い期間増加したせん断応力へ曝露される。このため第1の流体区域92はしばしば溶血を受け、そして遊離ヘモグロビン(Hb)の高い濃度を有する。隆起90は二つの流れ区域の間の流体の流れを阻止し、このため第1の区域92中のHb汚染血液が第2の区域94中の低いHb血液と混合する程度を最小にする。
【0049】
隆起はローターと一体であるように示されているが、同じ効果を得るため外側シリンダーの内側に形成することもできる。上で記載したように、隆起の軸方向寸法は少なくとも隙間一つの長さでなければならない。血漿搬出法を実施するための典型的な回転膜分離装置は、典型的には0.023インチないし0.265インチのスピナーと収容壁間の隙間を持っており、本出願に従った隆起は同じ一般的範囲内の軸方向寸法を持つことができる。しかしながら、より大きい隆起の軸方向寸法は減少した混合をもたらし、そして一実施例においては、軸方向寸法0.092インチを有する放射方向に延びる隆起を有するローターが効果的であることが見出された。
【0050】
II.前もって採集された全血の処理のためのシステムおよび寸法
上に記載した回転膜分離装置は、先行技術装置が一般に適しなかった種々の血液処理システムおよび方法に、特に赤血球を得るためのシステムおよびプロセスに有利に使用することができる。システムおよび方法の一タイプにおいて、スピナーは
図9ないし15Aに示すように、前もって採集した全血の“バックラブ”処理に使用することができる。
【0051】
図9へ転ずると、使い捨て流体流回路もしくはモジュールAと、流体回路Aと協力し、そしてそれを通る流れを制御するように構築された再使用耐久性コントローラもしくはモジュールBが概略的に図示されている。
図9に示された流体回路Aは、部分間の流路を形成する可撓性プラスチックチューブによって相互接続された種々の部品を含んでいる。好ましくは回路は、全血容器と血球保存容器のユニットを除くことが可能であるが、完全にあらかじめ組み立てられ、あらかじめ減菌される。もっと詳しくは、
図9に図示した使い捨て回路は全血容器101、血球保存溶液容器102、血液成分セパレーター108、血漿採集容器112、任意の白血球減少フィルター113、および赤血球採集容器115を含んでいる。
図9には示していないが、再使用可能なモジュールBは容器101、102、112および115のどれかまたは全部を支持するためのハンガーと付属する重量計を持つことができる。ここで論ずる種々の具体例において、そのようなハンガー/重量計は図示されないであろうが、しかし記載したシステムの一部であることが理解される。
【0052】
全血採集容器101は任意の適当な容器でよいが、しかし典型的には全血約450mlがその中に前もって採集されている可撓性プラスチックパウチもしくはバッグである。容器101は採集の間の別のシステムの一部でよく、そしてその後流体回路Aの残りへ合体することができ、または採集の時点で回路Aの実際の一部であることもできる。採集の時点において、慣例的な操作に従い、全血は早期凝固を防止するため一次容器内に所在する抗凝固剤と混合される。従ってここで使用する全血の用語は、抗凝固剤と混合した血液を含む。
【0053】
可撓性プラスチックチューブ105は無菌接続器具または他の適当なメカニズムによって全血採集容器101へ取り付けられ、そして全血容器101と、そして血球保存液容器102から流路合流点まで延びる血球保存液流路との合流点の間の全血流路を形成する。全血流路とをすべての保存液流路の間の流路合流点は入口クランプ116に配置される。この合流点から流路はチューブ107を通ってセパレーター108の入口ポートへ延びている。
【0054】
図9に示すように、セパレーターハウジングは、ハウジングとローターの間の隙間、およびセパレーター隙間から濃縮赤血球を引き出すための濃縮赤血球流路チューブ110と連通する出口を持っている。加えてハウジングは、隙間から遠方へ向いている膜の側(例えばローターの内側)と連通している出口を含み、そして血漿流路チューブ111と連通している。
【0055】
赤血球中に存在し得る白血球の数を減らすため、使い捨て流体流回路Aは任意に、赤血球の溶血を過度に生ずることなしに、または採集した製品の赤血球の数を過度に減らすことなしに濃縮赤血球から白血球を除去するための任意の適した良く知られた構成で良い白血球減少フィルター113を含んでいる。濃縮赤血球は、白血球減少フィルター113から濃縮赤血球流路の延長部114を通って赤血球貯蔵に耐えられる任意の適したプラスチック材料製の貯蔵容器115中へ流入する。
【0056】
図9に概略的に示した再使用可能または耐久性コントローラモジュールBは、好ましくは全血容器101から流れる全血のヘマトクリットを検知するためのヘマトクリットセンサー104を含んでいる。ヘマトクリット検知器は任意の好適は設計または構成でよいが、しかし好ましくはここに参照として取り入れる米国特許第6,419,822号に記載されている検知器である。
【0057】
耐久性再使用可能コントローラまたはコントロールモジュールBは、全血容器101または血球保存容器102または任意に同時にそして比例的に容器101と102の両方からの流れを制御するように作動し得る入口クランプ116を含んでいる。セパレーターへの血液の流れをコントロールするため、再使用可能なモジュールは入口ポンプ106を含んでおり、このポンプは任意の適当な構造でよく、そして例えばセパレーター中への入口流路を形成するチューブ107を漸進的に圧縮または絞ることによって作動するぜん動ポンプか、可撓性ダイアフラムポンプか、または他の適当なポンプでよい。圧力センサー117がポンプ106とセパレーター108の間の入口流路と連通し、入口ポンピング圧力を決定する。このセンサーは過圧力条件または低圧力条件の場合に警告機能を提供するように制御システムへ出力することができる。
【0058】
セパレーター108から濃縮赤血球の流量を制御するため、再使用可能モジュールは、出口流路110に付属し、そして入口ポンプ106について記載したのと類似の態様で機能する出口ポンプ109を含んでいる。このポンプもぜん動ポンプ、可撓性ダイアフラムポンプまたは他の適当なポンピング構造のような任意の適当な構造でよい。セパレーターから出て行く血漿流路111は、好ましくはポンプによって制御されず、そして血漿流路チューブを通る体積流量は、ポンプ106からの入口体積流量とポンプ109からの出口体積流量の間の差である。再使用可能なモジュールBは、血漿流路チューブ111を通る血漿の流れをコントロールするためのクランプ118を含んでいる。
【0059】
使い捨てモジュールAは、セパレーター108によって分離された血漿を収容するため、血漿流路と流体接続にある血漿採集容器112を含むことができる。血漿はセパレーター108中の多孔質膜を通過するため、容器112に採集される血漿は大部分血球不含血漿であり、そして患者への投与、貯蔵のため凍結、または後からの処理に適している。
【0060】
図10は一般に
図9に図示したシステムを通る流路を図示する。詳しくは、一単位全血容器101から全血ヘマトクリット検知器104を通って二元クランプ116に配置された流路の合流点への全血の流れを示している。赤血球保存液のような血球保存液も赤血球保存液容器102から二元クランプ116にある合流点へ流れる。処理段階に応じて二元クランプは全血または血球保存液がシステムの残部中へ下流へ流れるのを許容する。任意にクランプ116は、全血と赤血球保存液の選択した比例流を同時に許容する比例クランプとすることができる。
【0061】
二元クランプ116から赤血球または血球保存液は入口ポンプ106を通って分離装置108中へ流れる。前に説明したように、この分離装置は相対的に回転するハウジングとローターを使用し、少なくともその一方が血漿の通過を許容する膜を担持している。一具体例において、膜はローターの表面に担持され、血漿は膜を通り、そしてローター内の内部通路ラビリンスを通って最終的に血漿採集容器112へ出て行く。膜をローター上に取り付ける時、装置は
図10に示した回転膜セパレーターと普通呼ばれる。しかしながら、膜はハウジング壁の内側表面と膜の外側表面の間の隙間に面する。ハウジングの内側表面に装着するか、または膜は血漿が両方の膜を同時に通って流れ、それ故多分セパレーター108の分離速度または性能を増加させるように、ローターの外表面とハウジングの内表面の両方に担持させることができるかも知れない。セパレーター108から濃縮赤血球は、ローターとハウジングの間の隙間と連通しているハウジング出口と、そして赤血球流路110および濃縮赤血球の体積流量をコントロールする出口ポンプ109を通って流れる。
【0062】
セパレーター108から除去される濃縮赤血球のヘマトクリットは変化し得るけれども、濃縮赤血球のヘマトクリットは約80〜85%であることが予想される。出口ポンプ109は、任意にポンプ109を採集容器の間の赤血球流路に配置された白血球減少フィルターを通って、濃縮赤血球を赤血球採集容器115中へポンプする。濃縮赤血球を白血球減少フィルターを通って押し出すポンプの力は、例えば濃縮赤血球が白血球減少フィルターを通るマニュアルセッティングの重力流に要する時間と比較して、処理時間を合理的範囲に維持するのを助ける。
【0063】
図10に示すように、セパレーター108によって分離された血漿は、セパレーター装置から、例えば、ローター内の通路のラビリンスと連通している出口から単一制御クランプ118を通って血漿採集容器112へ流れる。前に述べたように、血漿は膜を通過するから、それは大きく血球不含であり、そして後で患者への投与、凍結および/または他の治療製品に使用のための血漿成分を得るための分画のような処理に適している。このシステムは、もし望むならば、血漿流れライン111中に白血球減少フィルターのようなフィルターを含むことができる。
【0064】
図11は、使い捨て流体流回路モジュールAと再使用可能もしくは耐久性コントロールモジュールBの両方を使用する可能性あるシステムの一つのバージョンを図示する。組み立てられて示されているが、流体回路モジュールAと耐久性モジュールBは別々の独立した有用性を有し、そして他のシステムと共に使用することができる。
図11に見られるように、使い捨てモジュールAは、再使用可能なモジュールBの前面に都合良く装荷される。モジュールBは、一部が重量計と関連させることができる、使い捨てシステムの各種容器を支持するための関連するハンガーもしくは支持具を持っている。使い捨てモジュールは、前に示したように、好ましくは事前に組み立てられ、事前に滅菌される。血球保存液容器は使い捨てシステムの一部として事前に取り付けることができ、または例えば無菌接続器具または他の適当な取付具によって後で追加することができる。前もって採集された全血の一単位を収容する全血容器も事前に組み立てられた流体回路へ事前に接続することができ、または無菌の接続器具もしくは他の適当な接続機構によって接続することができる。
【0065】
再使用可能なモジュールモジュールBの前面は、この具体例では、高い溶液支持ポールから懸架されている容器102からの血球保存液の流れをコントロールするための別体の溶液クランプ116aを含んでいる。全血容器101は重量計から懸架される。重量計は慣用構造のもので良く、そして容器に残っている全血の量および/またはシステムを通って処理された全血の量を感知するため、モジュールBの制御システムによって使用することができる重量測定信号を提供し得る。使い捨てシステムは、全血容器からヘマトクリット検知器104を通り、そして容器からシステム中へ全血の流れを制御するための別の全血クランプ116を通って延びる全血流路105を含んでいる。血球保存液流路103と全血流路105とは入口ポンプ106の上流でV部位もしくはY部位のような合流点で結合される。結合した流路は入口ポンプを通ってセパレーター装置108の入口まで延びる。
図11に見られるように、再使用可能なモジュールBは、ハウジングを通って物理的に延びる駆動部材もしくは部品を必要とすることなく、セパレーターハウジング内でローターを回転させるための磁気駆動ユニットのような駆動ユニットを含んでいる。この構成において、ローターは再使用可能なモジュールに関連した磁気駆動ユニットによって回転させられる磁気連結駆動エレメントを含んでいる。このシステムはここに参照として取り入れるSchoendorferの米国特許第5,194,145号に詳細に記載されている。
【0066】
セパレーター108からの濃縮赤血球出口は、出口ポンプ109を通って任意の白血球減少フィルター113へ延びている赤血球流路110へ接続される。白血球減少フィルターの入口と出口の間に所存する濾過媒体は、赤血球から実質上白血球を除去する。フィルター出口から赤血球流路チューブ114は赤血球を赤血球採集容器へ運ぶ。
【0067】
血漿はセパレーターの血漿出口から血漿流制御クランプ118を通って血漿採集容器112へ導かれる。全血容器に類似の態様で、濃縮赤血球容器115と血漿採集容器112は、全血から採集された濃縮赤血球および/または血漿の量または採集量に関する情報を提供するため、耐久性もしくは再使用可能なモジュールBの制御システムと電子的に通信することができる重量計から吊り下げられている。
【0068】
このシステムは上に記載したいくつかの基本的部品および特徴で例証されたが、この説明は、所望によりセンサー、ポンプ、フィルター等のような他の部品の追加を禁止することを意図するものではない。例えば、血漿が血漿採集容器へ入る前に血漿を濾過すること、または赤血球の白血球濾過を省略することを任意に望むことができる。セパレーター108から除去された血漿は大部分血球不含であるが、後での投与または処理のため血漿を濾過するさらなる要望が存在し得る。この説明は、さらなる部品の可能性ある追加または上に記載した一以上の部品の削除を禁止することを意図しない。
【0069】
今や例証したシステムの全血の処理へ転ずると、分離プロセスはシステムをプライミングすることから始まる。“プライミング”とは、フィルター膜が使用前準備される(すなわち濡らされる)ことを指す。流体での濡れは、膜を通る圧力で誘発された流体の流れの前に膜のマトリックス中に存在する空気を置換することを助ける。典型的には赤血球保存液(Adsol溶液のような赤血球保存液)のような低粘度非生物学的流体が空気の最も効果的な追い出しを許容するため濡らすのに使用される。プライミングの間、流体は、溶液ライン103、全血ライン105、入口ライン107、そして回転膜装置108が完全に溶液で満たされるまで、入口ポンプ106によって血球保存液バッグ102から除去される。適切なプライミングを確実にするため、入口ポンプ106はプライミングの間時計方向と反時計方向の両方に動くことができる。溶液プライミングの目的は、溶液一血液界面をつくることによって空気一血液界面が形成されるのを防止すること、および分離装置内の膜を濡らすことである。どれも赤血球の溶血を減らすために取られる対策である。
【0070】
システムが首尾よくプライミングされた後、血球保存液流路103は入口クランプ116によって閉じられるであろう。図示した入口クランプは、血球保存液流路103または全血流路105のどちらかを閉鎖することができる二元クランプである。次に全血は入口ポンプ106によって全血流路105と入口流路107を通ってセパレーター108中へポンプされる。入口ポンプ106のポンプ流量は、特定の操作のための所望の製品結果に応じて約10ml/minから150ml/minまで変化することができる。全血が全血容器101を離れる時、それはIR LED反射率測定によって全血ヘマトクリットの推定値を発生する全血ヘマトクリット検知器104を通過するであろう。このヘマトクリット検知器の詳細は、ここに参照として取り入れる米国特許第6,419、822号(題名 赤血球ヘマトクリットを感知するためのシステムおよび方法)に説明されている。全血ヘマトクリット値は例示したシステムの初期コントロールアルゴリズムのために必要であるが、しかし他のシステムにおいては必須ではないこともある。
【0071】
全血がセパレーター108を満たした後、システムは回転膜装置へ流入する全血を赤血球濃縮物と実質上血球不含血漿とに分離するセパレーターからの血漿の引き出しを開始するであろう。約80〜85%ヘマトクリットにあるパックされた赤血球は、出口ポンプ109によって赤血球流路110を通って赤血球の白血球フィルター113中へポンプされるであろう。出口ポンプはパック赤血球が白血球フィルター113を通ることを強制し、そして白血球フィルター113を出て赤血球ライン114を通って赤血球採集バッグ115中へ流れる赤血球濃縮物は首尾よく白血球が除去され、そして血小板も除去されるであろう。白血球フィルター113を使用することなく全血自動分離を終了することも可能である。この場合は白血球フィルター114はシステムから取り除かれ、そして赤血球製品から白血球または血小板が涸渇されない。
【0072】
この操作を通じ、血漿は血漿流路110を通って血漿バッグ112中へ、入口ポンプ106の流量と出口ポンプ109の流量の差に等しい流量で流れるであろう。これはFenwall,Inc.によって販売されているAutopheresis−C機器に適用されているような他の回転膜分離用途において現在行われている。流量の差によって発生した膜を横切る圧力は圧力センサー117によってモニターされる。この圧力測定は、参照としてここに取り入れる2011年4月27日出願の米国出願番号13/095,633(題名:濾過操作の間汚染をコントロールするシステムおよび方法)に記載されたアルゴリズムを使用する血漿流量のコントロールに使用される。
【0073】
図9−11のシステムは、空気が全血ヘマトクリット検知器104を通過することによって検知され、全血バッグ101が空になるまでパック赤血球と血漿とに分離し続けるであろう。この時点で全血ライン105が閉じられ、そして溶液リンスもしくは洗浄を開始するため入口ポンプ116によって血球保存液ラインが開かれるであろう。溶液リンスの間、保存液は溶液バッグ102から除去され、そして入口ポンプ106によってセパレーター108中へポンプされる。溶液リンスの間は血漿流路111は血漿クランプによって閉じられる。溶液リンスはシステムに残っている血液を赤血球製品容器115中へ洗い流すために使用される。溶液リンスはまた、適切な赤血球貯蔵のための所望のレベルへ赤血球製品容器115の体積を増加するであろう。溶液リンスが終了した後、全血単位の分離が終了する。
【0074】
図12へ転ずると、さらなる代替2ポンプシステムが示されている。この具体例は、血球保存液が全血から赤血球が分離された後に添加される点で主に
図9の具体例と相違する。さらに詳しくは、前もって採集された全血(好ましくは既に抗凝固剤と混合された)を収容している容器/バッグ101は血液セパレーター108へ延びているチューブセグメント107を通って使い捨てシステムAへ接続される。ポンプ106はチューブ107と協力し、全血をセパレーター108へポンプする。赤血球保存液を収容している容器102は、分離された赤血球が白血球フィルター114を通って分離された赤血球もそれを通って誘導されるチューブ114を通って、分離された赤血球のための採集容器115へ接続される。
【0075】
使い捨てシステムへの容器101,102の無菌接続は多数の異なる方法で達成し得る。添加剤溶液のための容器102は使い捨てシステムAの一部として供給することができ、そして使い捨てシステムの残りが滅菌(例えば水蒸気処理)された後の最終包装の間に使い捨てシステムの残り(例えばガンマ線または電子線処理により滅菌された後)へ合体される。代って、容器102は使い捨てシステムの残りと一体に形成することもできる。さらなる代替具体例においては、容器102と全血容器101の両方が使い捨てシステムの残りから別体であることができ、そして使用時例えば
図12に概略的に示した無菌スパイクコネクター170を通って接続することができる。そのようなスパイクコネクターは無菌性を保つため好ましくは0.2ミクロンフィルターを含んでいる。
【0076】
この具体例の他の局面において、添加剤溶液容器102を白血球フィルター113へ接続するチューブ103は、ポンプ9によって協力的に係合されることができる。詳しくは、ポンプ109は各自チューブ103と110の内径に基づいて各自の流量を制御する、添加剤溶液とセパレーター108を出る赤血球の両方を流す二重ポンプヘッドとすることができる。
【0077】
図12の具体例は、白血球フィルター113からの背圧をモニターするための追加の圧力検知器117bを使用する。フィルター詰まり時のように、背圧が過剰になった時、使い捨てシステムが破損しないことを確実にするため流量を制御するように作用するであろう。
【0078】
III.膜プライミング
この開示の他の局面に従って、フィルター膜の表面積の最大量が濡らされ、このため濾過/分離に利用し得る膜面積を最大にする、膜フィルターのプライミング方法が提供される。詳しくは、回転軸が実質上垂直となるように回転膜を配向して回転膜フィルターシステムを前述のようにプライミングする時、濡らし溶液は回転セパレーターの入口ポンプのトップにおいて入り、重力が流体をセパレーターの底の出口は向かって引く。そのような状況のもとで、プライミング流体の表面張力は膜表面を横切って不均等に動き、中断を作り出す空気一流体界面を形成する。この結果は、フィルター膜のいくらかの面積がプライミングの間に濡れず、このため空気が膜マトリックス中に捕捉される可能性を増すことになる。膜の濡れなかった区域は分離に利用されず、空気が追い出されるのに十分な圧力が発生するまで膜の分離効率に悪影響する。
【0079】
それ故、プライミングの間もっと均一な空気一流体界面を提供することによって膜をもっと均一に濡らす膜セパレーターをプライミングする方法が提供される。このためプライミング流体は、流体一空気界面が膜の表面を横切って上方向に進むように重力に逆らって働くようにセパレーター中へ導入される。このことは、空気一流体界面が膜を横切って進む時プライミングの間置換された空気が捕捉されることなく一方向へ動くことができるから、膜の一層均一な濡れを確実にする。
【0080】
このようにこの代替プライミング方法に従えば、プライミング流体はセパレーターの底のポートを通って導入される。プライミング溶液は重力に逆らってセパレーターのハウジングの中を上向きに進み、膜の表面を濡らす。空気はセパレーターの頂部にあるポートを通ってセパレーターから追い出される。この底からトップへのプライミングは回転膜セパレーターの文脈において記載されるが、使用前流体プライミングを必要とする膜セパレーターのどんなタイプにも適用可能である。
【0081】
図9および12に関し、セパレーター108は垂直に配向され、膜セパレーターとハウジングは一般に垂直な軸のまわりを互いに相対的に回転することができ、全血を受け取るためのポートはセパレーターのトップにあり、そして分離されたWBCおよび血漿が出て行くポートはセパレーターの底にある。このため代替プライミング方法を実施する一方法に従い、そして
図1および2に関し、プライミング溶液は出口オリフィス34または血漿出口オリフィス46の一方から導入することができ、空気は入口オリフィス22を通って追い出される。代替プライミング方法を実施するための他の方法に従えば、セパレーター10は、出口オリフィス34と血漿出口オリフィス46がセパレーター10のトップにあり、そして入口オリフィス22がセパレーター10の底にあるように、プライミングのため逆転させることができる。その時プライミング溶液は入口22を通って導入され、流体一空気界面は上方へ進み、そして空気は出口オリフィス34と血漿出口オリフィスの一方または両方を通って追い出される。プライミング後、セパレーター10は元の配向へ復帰させることができ、入口オリフィス22がトップに、そして出口オリフィス24と血漿出口オリフィス46とが底になる。
【0082】
上に記載した血液セパレーター108の底をトップにしたプライミングを使用することができる、さらなる代替法が
図12Aに示されている。
図12とは対照的に、全血のための入口ライン107はセパレーター108の下方のポート(
図12の具体例ではそこへ出口ライン110が接続されていた)へ接続され、出口ライン110はセパレーター108のトップにあるポート(
図12の具体例ではそこへ入口ライン107が接続されていた)へ接続される。
図12Aのシステムをプライミングするため、クランプ116Bが開かれそしてポンプ106は、全血(好ましくは添加した抗凝固剤とともに)を入口ライン107を通って流し、そのためそれはハウジングの下端にあるポートを通ってセパレーター108に入るように運転される。全血がセパレーターハウジングを満たすにつれ、空気は頂部ポートを通って追い出され、すべての空気が装置から実質上排除され、そしてフィルター膜が濡らされる。
【0083】
プライミングの終了後、
図12Aに示すようにシステムは全血を容器112に収容される血漿と、容器115に収容される赤血球に分離するために作動し続ける。分離操作の終わりに、セパレーターを容器102からの添加剤溶液でリンスすることができる。
【0084】
図14および15へ転ずると、本開示に従ったさらなる代替血液分離システムが示されている。
図14および15のシステムは、耐久性モジュールBがプライミングフェーズの間添加剤溶液をセパレーター108へ(
図14に示すように)、または分離フェーズの間分離した赤血球へ(
図15に示すように)選択的に流すための第3のポンプ119を含んでいることを除いて、
図9,11および12のシステムに類似である。
図14および15のシステムは、白血球フィルター113を通ってそして赤血球容器115中への流体(分離した赤血球および添加剤溶液)の流れを選択的に許容または阻止するためさらなるクランプ120を含んでいる。プライミング前、クランプ120を短時間開いたままとし、そして容器115とフィルター113をから残存空気をポンプし、操作の終わりに容器115中に残っている空気の量を最小にすることができる。
図12Aと同様に、
図14および15のシステムは、全血の代りに添加剤溶液をプライミング流体のために使用することを除いて、セパレーター108の底からトップへのプライミングを採用する。
図14に示すようにシステムのプライミングの間、使い捨てシステムAからの空気は全血容器101へ押し出される。
【0085】
分離フェーズの間、システムは
図15に示すように運転される。分離フェーズの終了時、添加剤溶液はセパレーターをリンスするためセパレーター108へポンプされる(
図14に示したプライミングフェーズに示したように)。
【0086】
図15Aへ転ずると、さらなる代替具体例が示されている。
図15Aのシステムは、再使用可能な部品Bが3台のポンプ106,109および119を含む点で
図14および15のシステムと同様である。しかしながら、
図15Aのシステムは、全血のための入口ライン107がセパレーター108の底のポートへ接続され、分離された赤血球のための出口ラインがセパレーターのトップにあるポートへ接続されている点で、
図12Aのシステムと似ている。このため
図15Aのシステムでは、
図12Aのシステムと同様に、全血がプライミングのために使用される。
【0087】
IV.データ管理システムおよび方法
ここに記載したシステムはデータ管理解決手段を組み込むことができる。重量計およびシステムへのラベル印刷器の追加は、操作の終了時、ユーザーが分離システムから直接製品重量ラベルを得ることを許容する。これは現在の処理方法に使用されているマニュアル計量およびデータ記録をなくす。モジュールBは、ユーザーおよびドナー同定番号、血液銀号同定、流体回路キット番号、ロット番号等のような情報をユーザーが入力することを許容し、血液製剤センターにおいてデータ管理効率を改善するタッチスクリーン、キーパッドもしくはキーボード、それにスキャナーのような適当なユーザーインターフェースを含むことができる。
【0088】
さらに詳しくは、そして本開示の局面に従って、全血採集容器に関連したデータおよび他の適当な情報を後の全血の分離のために使用される処理回路と、そしてそのような分離された血液成分のための最終貯蔵容器への伝送を自動化するための方法が提供される。この方法は
図29のフローチャートに概略的に示されており、そこでは典型的には前に採集された一単位の全血を収容するソース容器が提供される(ステップ122)。しかしソース容器は前に処理された血液製品を収容することもできる。ソース容器は、典型的にはドナーの同定および採集時間および場所等に関して関連するデータを持っており、そのようなデータは好ましくはバーコードまたはRFIDタグのような機械読み取り可能なフォーマットにある。このデータは次に検索されそして伝送され(ステップ124)、そして次に処理回路および最終貯蔵容器と関連付けられる(ステップ126)。
【0089】
図30へ転ずると、本開示に従ったデータ管理システムの使用のための一つの可能なシステムが示されている。血液採集容器128と、3個の最終貯蔵容器132、134および136を有する分離処理回路130が提供される。全血の採集の間、ドナー同定情報が符号化され、採集した全血のための容器に関連させられる。これはドナー同定のためのバーコードラベルを容器ラベル、容器ピン、またはチューブに人手で貼ることによって実施することができる。これは採集時点でRFIDライターを使用してドナーIDを採集スケールまたは手持ち器具から採集容器へ付けられるRFIDタグへ伝送することによって行うこともできる。RFIDの使用は、容器タイプ、期限消滅日、採集時間、採集体積、看護師同定、採集場所等のようなデータを含む大量の情報を管理することを許容する。
【0090】
採集容器128と処理キット130/貯蔵容器132,134,136間の自動データ伝送は、処理キット130への採集容器128の無菌接続の環境において発生し得る。例えば、処理キットへの全血採集容器無菌接続を達成するエレクトロメカニカルシステムを使用することができる。そのようなシステムは、ここに参照として取り入れるそれぞれ2011年12月21日と2012年11月11日に出願され、アメリカ仮特許出願61/578,690号および61/585,467号に記載されている。無菌接続装置は上の仮出願に示されているように自立していることができ、または上に記載した再使用可能モジュールBと一体であってもよい。代ってデータ管理システムは、それに関連した無菌接続装置なしに再使用可能なモジュールBと単に関連されることができる。どの場合でも、無菌接続装置または再使用可能なモジュールBは、以下に詳しく記載するデータ管理方法の種々のステップを自動的に実行するか、またはユーザーに実行することを催促するように構成されたプログラム可能なコントローラを含んでいる。
【0091】
データ管理システム138は、処理ユニット、ユーザーへ情報を提供するためのスクリーン140(催促または確認のような)、ユーザーが情報を入力することを許容するタッチパッド142、そして採集容器128と処理キット130の間で情報を検索し、そして伝送するためのスキャナー/リーダー144を含んでいる。システム138は、バーコードラベルの印刷または処理キットに関連した一以上のRFIDへデータの伝送を提供する。
【0092】
図31へ転ずると、データ管理方法を一般的に例証するフローチャートが示されている。この方法は、採集バッグと処理キットを再使用可能なモジュールおよび/または無菌接続装置へ装荷することを含む(ステップ140)。処理キットに関連したデータおよび採集容器に関連したデータが検索される(ステップ142および144)。認められるように、これらステップが実施される順序は重要でない。上で記したように、このデータはバーコード、RFIDタグまたは他の形を取ることができる。処理キットおよび関連する採集容器はそれに関連した採取容器からの適切なデータを持っている。これはバーコードラベルの印刷またはRFIDタグへデータの書き込みの形を取ることができる。(ステップ146および148)。採集容器と処理キットは好ましくは無菌接続操作において接続され(ステップ150)、そのような接続は上で記載した実行シーキンスの間に起こる。
【0093】
次に採集容器中の全血が処理される(ステップ152)。処理キット/貯蔵容器情報が次に検索され、採集容器データに対して検証される(ステップ154および156)。そのような検証の後、貯蔵容器を採集容器から取り外すことができる(ステップ158)。
【0094】
本開示のシステムは、種々のステップに対して催促および確認を提供することでユーザーが上に記載したステップを実行するのを助ける。例えば、同定する情報がバーコードの形であれば、システムはユーザーに処理キットのバーコードIDと採集容器のドナーIDを走査するように催促する。次にシステムは、システムと一体のまたはそれへ取り付けたプリンター上の繰り返すバーコードラベルを印刷するであろう。ラベルのタイプおよび品質は装荷した処理キットのタイプによって決定される。次にシステムはユーザーにバーコードラベルを最終貯蔵容器へ貼るように催促する。システムが血液をその成分へ処理した後、貯蔵容器が採集容器と処理キットから取り外される前にシステムが正しいバーコード情報を検証できるように、システムはユーザーに成分容器バーコードIDを走査するように催促する。
【0095】
もし同定情報がRFIDタグに関連しているならば、システムは採集容器上のRFIDタグを自動的に走査し、次に処理キット上に含まれたRFID上の情報を自動的に読み取る。次にシステムは採集容器情報を処理キット貯蔵容器に関連するRFIDタグへ繰り返す。システムが血液をその成分へ処理した後、機器によって検知された処理キットのタイプに従って、システムは血液貯蔵容器を処理キットおよび採集容器から取り外す前に同定情報の検証を許容するため最終貯蔵容器上のRFIDタグを読み取るであろう。
【0096】
システムは、冗長システムとしてバーコードとRFIDの両方を採用し、上に記載したステップの一部または全部が適用可能として含むことが意図される。バーコードスキャナー/RFIDリーダーが再使用可能なモジュールBと関連しているとして記載したが、それは、データ管理ソフトウェアを通じてリンクされているが、処理マシン自体から物理的に分離した専用のステーションであることができる。
【0097】
処理キットおよび貯蔵容器から別体の容器に全血を採集することに関し記載したが、採集容器が処理キットおよびその貯蔵容器と一体のシステムに関しても等しく良く使用することができる。さらにこの方法は、ドナー同定データが採集容器ではなくドナーによって提供される以下に記載されるドナーから直接引き出される全血の処理、または同定データがソース容器に関連する血球洗浄操作にも使用することができる。
【0098】
V.ドナーからの全血の処理システムおよび方法
本開示の他の局面に従い、上に記載した回転膜セパレーターは、全血の血液成分への単一ステップもしくはチェアサイド採集に有益に使用することができる。後で記載するように、ドナーからの全血の採集と同時に全血を一単位の赤血球と血漿に分離する自動血液採集システムが提供される。このシステムは血液成分のドナーへの再注入戻しなしの1回通過システムであることが意図される。システムは好ましくは、使い捨て流体流回路と、該回路とインターフェースし、そしてそれを通る流体流を制御する耐久性の再使用可能なコントローラを含んでいる。流体回路は好ましくは一回使用のあらかじめ滅菌された使い捨て流体流回路であり、好ましくは赤血球および血漿採集容器、抗凝固剤および赤血球添加剤容器、セパレーターと、そしてドナーから流体回路中への全血のための通路を提供する瘻管を含んでいる。耐久性コントローラは、好ましくは回路を通る流れを制御するように構成されたバルビング、ポンピングおよびセンシングメカニズムを備えたエレクトロメカニカルデバイスと、全血採集操作のために適した安全システムおよび警報機能を含んでいる。
【0099】
このシステムを使用する血液採集方法は、ドナーに静脈穿刺を行い、そしてドナーから使い捨て回路中へ全血を引き出すことを含み、使い捨て回路では流体回路の機器および部品によって全血が所望の赤血球と血漿成分との分離されるように操作される。ドナーは操作を通じシステムへ接続され続けられ、そしてすべての流体は操作が終了するまで一回使用キットの流路内に存在し続ける。一回通過のため、全血は好ましくは1回だけ流れ回路を通過し、血液成分がドナーへ返還されることはない。
【0100】
採集によって得られた赤血球は白血球減少処理される必要はない。しかしながら、濾過による白血球減少は、好ましくは一回使用回路と一体の白血球減少フィルターにより、または赤血球採集容器へ無菌接続される別体の処理回路によって達成することができる。
【0101】
機器は好ましくは、タッチスクリーン、キーパッド、マウス、キーボード等のような、情報を入力し、および/または情報をディスプレーするためのオペレーターインターフェースを含む。メッセージディスプレーは、オペレーターが操作をコントロールし、その状態の情報を集め、そして発生し得るエラー状態の場所を特定することを許容する。
【0102】
図面に転ずると、
図16ないし19に、作業の異なる段階における本開示に従った一般に210で指定した全血自動採集システムの概略図が見られる。システムは、好ましくは流体流を制御するためのポンプ、クランプおよび圧力センサーを含む再使用可能なハードウェア部品212と、そしてハードウェア部品へ装着することができ、そして可撓性プラスチックチューブのような無菌流体通路によってすべての相互接続された、種々の容器/パウチ、ドナーアクセス器具もしくは瘻管、および血液分離チャンバーを含む一回使用予め組み立てられた無菌使い捨て流体流回路部品214を含んでいる。容器/パウチは典型的には潰れることができ、そしてこの分野で良く知られた適当なプラスチック材料製である。容器の材料は用途に応じて異なることができ、そして特に専用でなく赤血球貯蔵のためのDEHP不含ポリマーのような可塑剤不含材料であることができる。
【0103】
さらに詳しくは、図示した流体回路もしくはモジュール214は、全血がドナーからそれを通って引かれ、そして流体回路214へ導入される第1のチューブ218を含んでいる。ドナーアクセス器具216は好ましくは針、そして好ましくはもし望むならば不注意な針刺しを防止するための針ガードを備えた、増強したドナー快適性のためのゲージ針(18〜21ゲージ)を含む。チューブ218は一般に220で指定した血液分離装置と連通し、そして前記のように全血をセパレーターへ導入する。
【0104】
第2のチューブ長さ222は、セパレーター220と、分離された濃縮赤血球を受け取るための第1の容器/パウチ224の間の流体連通を提供するために提供され、第3のチューブ長さ226は、セパレーター220と血漿を受け取るための第2の容器/パウチ228の間の流体連通を提供するために提供される。
【0105】
流体導管214は、第1の長さのチューブ218と例えばY−コネクターによって合流する第4の長さのチューブ232によって第1の長さのチューブ218と連通する第3の容器230中に収容された抗凝固剤(例えばCPD)の源を含んでいる。流体回路214はまた、容器/パウチ224へ送るべき赤血球のための保存液の源を含むことができる。保存液は容器224と連通する別体のパウチに収容することができる。代って容器の224は採集操作の間、その中に受け入れられる赤血球の量に適切な量の保存液であらかじめ満たされても良い。
【0106】
流体回路214は、献血プロセスの前および間に血液サンプルの無菌採集のための一体のサンプリングシステム234を含むことができる。サンプリングシステム234は、チューブ218と抗凝固剤がそれを通って導入されるチューブ232の間の接続点の上流で第5の長さのチューブ236と通ってドナーアクセス器具の第1の長さのチューブ218と連通するパウチを含んでいる。チューブ236は好ましくはY−コネクターまたは同様の器具を通ってチューブ218と連通する。
【0107】
耐久性ハードウェアコンポーネント212は、好ましくは全血を分離装置220へポンプするためチューブ218と協力する第1のポンプ238と、そして実質上濃縮された赤血球を分離チャンバー222から第1の採集容器224へ輸送するためチューブ222と協力する第2のポンプを含んでいる。ポンプ238および240は、好ましくは流体がそれを通って動くことを強制するようにチューブを圧縮するための一以上のローラー備えたローターを含んでいるぜん動もしくはローラーポンプであるが、可撓性ダイアフラムポンプのような他の適したポンプ設計も使用することができる。ハードウェアコンポーネントは、好ましくは全血がそれを通ってセパレーター220へ輸送される吸引ラインチューブ218へ抗凝固剤を輸送するためチューブ232と協力する第3のポンプ242を含んでいる。第3のポンプ242は抗凝固剤の計量を提供し、そして後で記載するように、システムのプライミングおよび洗浄を容易化する。しかしながら、第3のポンプ242は任意で、そして抗凝固剤は、採集操作の間適切な流量を提供するようにチューブ232を寸法決めし、重力流によって全血吸収ライン216へ抗凝固剤を計量することができる。
【0108】
ハードウェアコンポーネント212はまた、好ましくはそれぞれチューブセグメント218,232,22および226を選択的に閉塞および解放するためのクランプ244,246、248および250を含んでいる。用語「クランプ」はここでは広義に使用され、そして流体回路を通る流体の流れを選択的に許容または禁止するため流体回路の流路、例えばチューブセグメントと協力するあらゆる機構を含む。ハードウェアコンポーネント212はまた、好ましくは静脈圧潰のような入口圧力をモニターするための針に近接もしくは隣接した(圧力センサー252)、そしてセパレーター220内入口に接近もしくは隣接した(圧力センサー254)、吸引ラインチューブ218中の圧力センサー252,254を含んでいる。好ましくは採集された赤血球体積のフィードバックを提供するため少なくとも第1の容器224のための重量計(図示しない)も提供される。
【0109】
この開示の他の局面に従って、再使用可能なハードウェアコンポーネントは好ましくは、全血採集操作を実質自動化することができるようにポンプおよびクランプを作動し、そして圧力センサーおよび重量計を監視するためのプログラム可能なコントローラ256を含んでいる。コントローラ256は、プログラム可能なマイクロプロセッサーを含み、そしてオペレーターがデータを入力し、そして目視し、操作をコントロールし、状態の情報を収集し、そして発生し得るエラー状態を突き止めることと許容するためタッチスクリーンおよびメッセージディスプレーのようなオペレーターインターフェースを含んでいる。
【0110】
これまで開示した自動血液採集システム210により、自動採集および分離操作を実施するため、使い捨て流体流回路214が
図16に示したように再使用可能なハードウェアコンポーネント212の作業位置に装着される。
図16に示したフェーズもしくは段階において、システムは実質的に空気を除去し、フィルター膜を濡らすために流体でプライミングされる。プライミング段階において、ドナーアクセス器具216と、血液分離チャンバー220の間の流体連通を阻止するように第1のクランプ244が閉じられ、そしてシステムをプライミングするため抗凝固剤がポンプ240および242によってチューブ218とセパレーター212とチューブ222を通ってポンプされる。次にドナーアクセス器具の針でドナーに静脈穿刺が行われ、全血をチューブ218へ受け入れる。この時点で全血をサンプリングパウチ234によってサンプリングすることができる。
【0111】
図17へ転ずると、プライミング後第1のクランプ244が開かれ、採集操作の採集/分離フェーズを始めるためポンプ238によりチューブ218を通って血液セパレーター220へ全血を流す。抗凝固剤は第3のポンプ242によってチューブセグメント232を通って吸引ラインチューブセグメント218中へ計量され続ける。赤血球はチューブ222を通ってセパレーター220を出る。血漿がセパレーター220を出てチューブ226を通って第2の採集容器228へ流れるのを許容するため第4のクランプ250が開かれる。第1のポンプ238はセパレーター220へ全血流を提供し、入口圧力はセンサー254によってモニターされ、他方赤血球はセパレーターチャンバー220から第2のポンプ240によってポンプされる。第1のポンプ238と第2のポンプ240の流量差が分離された血漿がセパレーター220から第2の採集容器228中へ出て行くことを強制する。
【0112】
図18に関し、第1の採集容器224中の赤血球の体積があらかじめ定めた体積に達する時(重量計によって検出された第1の採集容器224の重さによって測定された)、重量計はコントローラが第1のクランプ244を閉じ、吸引ライン216を閉塞することによって採集操作を終了させるようにコントローラを催促する。この時ドナーアクセス器具216をドナーから引き抜くことができる。もしシステムを洗浄すべきならば、血漿のための第2の採集容器228への流れライン226を閉塞するように第4のクランプ250が閉じられる。第1のポンプ238は停止され、第3のポンプ242はセパレーター220へ抗凝固剤を送り続ける。抗凝固剤はチューブセグメント222を通って第1の採集容器224へ排出される。
【0113】
図19へ転ずると、洗浄サイクルの終了時、第2のクランプ246および第3のクランプ248が閉じられ、そして第2のポンプ240および第3のポンプ242が停止される。
【0114】
この時点で実質的に濃縮された赤血球を収容する第1の採集容器224が貯蔵または白血球濾過を容易にするため、使い捨て流体流回路214から切離されることができる。これは単に採集容器224を吊り下げ、赤血球が白血球減少フィルターを通って最終貯蔵容器中へ重力流濾過されるのを許容することによって実行し得る。しかしながら、開示の他の局面に従い、そして
図20に示すように、第1の採集容器224とチューブセグメント260を通って流体連通にある第3の採集容器258を提供することができ、チューブセグメント260はセパレーター220の出口と第2のポンプ240の間のチューブセグメント222上に配置されたY−コネクターによってチューブセグメント222と流体連通とすることができる。次に第3のクランプ248を開き、濃縮赤血球の流れが採集容器224を出て行くことを許容することができる。この時第2のポンプ240が作動化され、濃縮赤血球の流れを白血球減少フィルター262を通って採集容器258中へ強制するように逆方向にポンプする。ポンプ240によって発生した圧力は赤血球の重力供給白血球濾過に比較して濾過プロセスを有意義に早める。
【0115】
さらなる代替として、白血球減少は作業の引き出しフェーズの間全血に関して実施することができる。
図21および22へ転ずると、引き出しラインチューブ218はチューブ218と一直線の白血球減少フィルター264を含むことができる。フィルター264は第1のポンプ238の上流に配置され、そのためポンプは採集の間フィルター264を通って引くように血流へ十分な吸引力を加えるであろう。白血球フィルター264は、チューブセグメント218上で抗凝固剤がシステムへ導入される場所の上流に(
図21に示すように)、または抗凝固剤が引き出しライン218中へ導入される場所の下流に(
図22に示すように)配置することができる。抗凝固剤合流の下流への配置は、ドナーからの吸引が終了した後残っている全血をフィルター264から残っている全血を洗い流すために抗凝固剤の使用を許容する。引き出しラインチューブ218に白血球フィルターの設置はまた、別の下流白血球減少濾過の必要性をなくし、このため血液採集プロセスをさらに能率的にする。
【0116】
ここに記載した自動一回通過全血採集システムおよび方法は、全血の赤血球と血漿成分への分離を後からの人手による作業の必要なしで達成することにより、血液採集センターの効率を改善し、作業コストを低減することが期待される。さらにこのシステムと共に使用される小さいゲージの針の使用はドナーの快適さを増進し、吸引ポンプの使用はシステムが典型的な全血採集と同様な献血時間を達成するのを許容する。加えてマイクロプロセッサーによって制御される全血採集を持つことにより、上で記載した集積したバーコードリーダーおよび/またはRFIDの使用を含む、現在の人手による全血採集方法には見られないデータ管理のためのより多くの機会が提供される。
【0117】
この開示の他の局面に従い、血球または他の血液または生物学的成分のような生物学的細胞の洗浄に有用な方法、システムおよび装置が以下に記載される。
【0118】
VI.細胞洗浄のためのシステムおよび方法
生物学的細胞の洗浄はいくつかの目的に役立つ。例えば、細胞洗浄は生物学的細胞が懸濁している液体媒体を置換するために使用し得る。この場合、第2の液体媒体が元の液体媒体を置換および/または希釈するために加えられる。元の液体媒体および置換液体媒体の一部分が細胞から分離される。元の液体媒体の濃度があるパーセント以下になるまで追加の置換液体媒体を加えることができる。その後細胞は、例えば置換液体媒体中に懸濁されることができる。
【0119】
細胞洗浄は液体媒体中の細胞を濃縮またはさらに濃縮するためにも使用することができる。液体媒体中に懸濁している細胞は、液体媒体の一部が分離され、そして細胞から除去されるように洗浄される。
【0120】
さらに細胞洗浄は、特定のサイズの細胞懸濁液から巨大粒子または望まない細胞物質のような望まない粒子を除去するために、または所望の細胞懸濁液もしくは他の液体を精製するためにも使用することができる。
【0121】
以下に記載する方法、システムおよび装置は細胞を前記の理由のどれかのために洗浄するのに使用することができる。もっと詳しくは、しかし限定なしに、以下に記載する方法、システムおよび装置は、赤血球または白血球または血小板のような血球を洗浄するために使用することができる。
【0122】
特定の一具体例において、液体培養培地中に白血球を含んでいる懸濁液をさらなる処理の前に食塩水のような他の媒体で液体培養培地を置換するために洗浄することができる。液体培養培地中に白血球を含んでいる血球懸濁液が交付され、そして回転膜セパレーターのようなセパレーター中に導入される。回転膜セパレーターは白血球より小さいポア寸法を持った膜フィルターを持っている。一具体例において、食塩水のような置換液体媒体を含んでいる液体洗浄媒体も液体培養培地を希釈するためにセパレーターへ加えられる。セパレーターは、液体が膜のポアを通過し、廃棄物として抽出されるように運転される。この具体例においては、液体が抽出されるにつれ、得られる血球懸濁液が置換液体媒体(例えば食塩水)中に懸濁した白血球を含むように洗浄媒体が加えられる。
【0123】
他の具体例においては、細胞懸濁液が濃縮され(上清を除去することによって)、そして濃縮された細胞懸濁液が処理セットの容器へ採集されることができる。置換流体は該容器中の濃縮細胞と混合してセパレーター中へ導入することができ、そして細胞は次に置換流体で再懸濁されることができる。もし必要ならば、再懸濁された細胞/置換流体は、細胞をさらに濃縮し、上清を除去し、そして濃縮した細胞を追加の置換流体で再懸濁するためにセパレーターへ導入することができる。このサイクルは必要なだけ繰り返すことができる。
【0124】
同様なプロセスは液体貯蔵媒体中に懸濁した赤血球を洗浄するために使用することができる。液体貯蔵媒体中に懸濁している赤血球を含んでいる細胞懸濁液は、使用またはさらなる処理前に、液体貯蔵媒体を食塩水のような他の媒体で置換するために洗浄することができる。細胞懸濁液が交付され、そして回転膜セパレーターのようなセパレーターに導入される。回転膜セパレーターは赤血球より小さいポア寸法を有する膜フィルターを有する。一具体例においては、洗浄媒体、すなわち食塩水のような置換液体媒体も液体貯蔵媒体を希釈するためにセパレーターへ加えることができる。セパレーターは、液体が膜のポアを通過し、そして廃液として抽出されるように運転される。液体が抽出されるにつれ、得られる細胞懸濁液が置換液体媒体(すなわち食塩水)中に懸濁した赤血球を含むように洗浄媒体が加えられる。洗浄および/または置換液体は細胞の長期貯蔵を許容する栄養素および他の成分を含んでいる貯蔵媒体でも良い。代って他の具体例においては、赤血球は最初濃縮され、そして上で一般的に記載した容器へ除去することができる。置換流体が次に容器中の赤血球と混合することができる。置換流体は容器へ直接導入するか、またはセパレーターを通ってそして次に容器へ導入することができる。
【0125】
ここに記載した細胞洗浄のためのシステム,方法および装置は回転膜セパレーターのようなセパレーターを含んでいる使い捨てセットを利用する。回転膜セパレーターを備えた使い捨てセットはシステムのハードウェアコンポーネント、すなわち分離装置に取り付けられる。分離装置は、クランプ、ポンプ、モーター、空気検知センサー、圧力トランスジューサーセンサー、Hb検知器、重量計、およびマイクロプロセッサーに含まれている制御論理/マイクロプロセッサーを含んでいる。制御論理/マイクロプロセッサーはオペレーターおよび/または種々のセンサーからの入力データおよび信号を受領し、そしてクランプ、ポンプおよびモーターの運転を制御する。
【0126】
洗浄すべき細胞懸濁液、すなわち媒体中に懸濁している細胞は、使い捨てセットへ無菌態様で接続された無菌の使い捨てソース容器中に提供することができる。食塩水または他の適切な液体のような洗浄媒体も無菌態様で使い捨てセットへ接続されるか、またはあらかじめ接続される。装置の制御論理は、細胞懸濁液が使い捨てセットのチューブを通ってセパレーター(回転膜)へ循環するようにクランプとポンプを作動させる。分離装置は、その制御システムを通じて洗浄液を使い捨てセットのチューブを通って回転膜セパレーターへ指向させる。細胞懸濁液と洗浄液とは回転膜セパレーター中で混合されるか、回転膜セパレーターに入る前に混合されるか、または細胞懸濁液が濃縮された後容器内で混合されることができる。回転膜セパレーター内で懸濁媒体はその中に懸濁している細胞から分離される。懸濁媒体と残っている洗浄媒体(もし懸濁媒体と洗浄媒体とが混合されたならば)は廃液ポートを通って出て行き、一方細胞は別の出口ポートを通過する。
【0127】
もしさらなる洗浄または希釈が必要であれば、洗浄した細胞は洗浄液の追加体積と共にセパレーターを通って再循環させることができる。一具体例において、再洗浄すべき細胞は、以後記載されるであろう一以上のプロセス途中容器(中間容器)へ移されることができる。装置の制御論理は、細胞懸濁液を中間容器からチューブを通って回転膜セパレーターの入口へ、または第2の回転膜セパレーターの入口へ循環させるようにクランプとポンプを操作する。さらなる洗浄媒体が加えられ、そして細胞の許容し得る量または濃度が得られるまでのこのプロセスが繰り返される。細胞を含有している最終細胞懸濁液は好ましくは最終製品容器に採集される。
【0128】
この開示に従って、
図23−25は、限定でなく赤血球および白血球のような生物学的細胞の洗浄に有用な例示的システムを図示する。前記したように、開示した特定具体例は例示であって限定を意図しない。このため一具体例において、ここに記載したシステムは使い捨てセット300(
図23ないし24)と、ハードウェアコンポーネントもしくは装置400(
図25)を含んでいる。
図23と
図24に示した使い捨て処理セット300は多数の点において同じであり、そして使い捨て処理セットの同じまたは類似のエレメントを同定するため
図23と24の両方で共通の参照数字が使用されていることが認められるであろう。使い捨て処理セットが構造またはその使用において異なる範囲内において、そのような相違は以下で論議される。使い捨てセット300は、後で詳しく記載される装置400(
図25)上に装着される。
【0129】
図23−24に示されているようにセパレーター301は例示的使い捨てセット300へ一体化される。加えて、後で詳しく記載されるように、使い捨てセット300はチューブ、Y−コネクター、中間バッグ、サンプルパウチ、最終製品バッグ、廃液バッグ、および無菌フィルターを含んでいる。
【0130】
洗浄すべき細胞懸濁液は典型的には使い捨てセットから取り外した
図23と24に示したソース容器に302中に提供される。上で認めたように、ソース容器302は使用時(無菌態様で)取り付けることができる。ソース容器302は一以上の受け入れポート303,305を有し、その一つは使い捨てセット300のスパイクコネクター304(
図23)を受け入れるのに適合させ得る。詳しくは、ソース容器302は、アクセスポート303へ接続されるスパイクコネクター304を介して使い捨てセット300へ接続される。しかしながら、もっと好ましくは、ソース容器(およびその中の流体)はスパイクコネクターなしで(
図24に示すように)、そしてSartorius AGから提供されるBioWelder,またはTerumo Medical Corporationから提供されるSCD IIBチューブウェルダーのような無菌ドッキング装置を使用することによって無菌的にアクセスされる。第2のアクセスポート305はソースバッグ302から
流体を抽出するために提供することができる。
【0131】
図23−24にさらに示すように、チューブセグメント306は任意に分岐コネクター308においてサンプリングユニットを含むことができる。分岐コネクター308の一方の枝は、サンプルパウチもしくは部位312へ延びる流路310を含むことができる。サンプルパウチもしくは部位312は入って来るソース流体のサンプルの採取を許容する。サンプルパウチもしくは部位312への流れは典型的にはクランプ314によって制御される。チューブ316はさらなる下流分岐コネクター318へ接続される。分岐コネクター318はチューブ316と、そして後で詳しく記載するプロセス途中バッグ322からの流体流を提供するチューブ320と連通する。チューブセグメント324は分岐コネクター318のポートの一つからさらに下流の分岐コネクター326のポートの一つへ合体する。チューブ328によって形成された別の流路も分岐コネクター326のポートへ接続される。チューブ328は、流体が第2の分岐コネクター326へ、そして最終的にはセパレーター301へ入る前に流体から粒状物を濾過するためのインライン無菌バリヤーフィルター330を含むことができる。
【0132】
ここに記載したシステムに従えば、洗浄液をセット300へ接続(またはあらかじめ接続)することができる。
図23および24に示すように、チューブ332(流路を形成する)は、好ましくはその末端にスパイクコネクター334を含んでいる。スパイクコネクター334は、食塩水または他の溶液を収容している使い捨てバッグ(図示せず)のような洗浄流体の容器との流れ連通を確立するために提供される。洗浄媒体もしくは流体は、洗浄流体ソースから第2のスパイクコネクター334を通り、上に記載した無菌バリヤーフィルター330によって濾過されるチューブセグメント332を通り、次にチューブ328を通って上に記載した分岐コネクター326の入力へ通過する。
【0133】
チューブセグメント336は、分岐コネクター326のポートの一端とそしてセパレーター301の入口ポートへ接続された流路を区切る。好ましくは本開示に従って、セパレーター301は、上に記載した回転膜セパレーターである。
【0134】
図23,24および25に示すように、回転膜セパレーター301は少なくとも二つの出口ポートを持っている。セパレーター301の出口646は洗浄物(すなわち希釈された懸濁媒体)から廃物を受け取り、そして廃棄物容器340への流路を形成するチューブ338へ接続される。廃棄物容器はそこから廃棄物をサンプリングまたは引き出すためのさらなる接続ポート341を含んでいる。
【0135】
セパレーター301は、好ましくはチューブセグメント342へ接続された第2の出口648を含んでいる。チューブセグメント342の他端は分岐コネクター344へ接続され、分岐コネクター344は一以上のプロセス途中容器322への流路と、そして最終製品容器350への流路とに分岐する。最終製品容器350はサンプルパウチ(
図23を見よ)と、そしてアクセスポートもしくはルーアコネクター354を含むことができる。
図23に示したあらかじめ接続したチューブホルダーを有するサンプルパウチ352は最終製品のサンプル採取を許容する。サンプルパウチ352への流れコントロールは、好ましくはクランプ356によってコントロールされる。アクセスポート354を通る流路はクランプ358によってコントロールされる。
【0136】
今や
図23および24のキット300を使用する洗浄方法へ転ずると、使い捨てセット300は最初に
図25に示した分離装置(すなわちハードウェア)400のコントロールパネル401上に装着される。装置400は、ぜん動ポンプ、クランプおよび使い捨てセットを通る流れを制御するセンサーを含んでいる。もっと詳しくは、ポンプ、クランプ等の制御は、装置400のソフトウェア駆動マイクロプロセッサー/コントローラによって提供される。チューブセグメント362、366および368(
図23に示した)は、ぜん動ポンプ402、404または406(
図25に示した)と選択的に組み合わされる。(もし望むならば廃棄物ラインポンプセグメント368はセパレーター出口ライン342へ再配置することができる。)一旦使い捨てセット300が装置400のコントロールパネル上に装着されれば、製品バッグ302中の細胞懸濁液が、前に記載したように、スパイクコネクター304により、または無菌接続により接続される。容器(図示せず)中に提供される洗浄媒体も同様に接続される。装置400の作動に従い、クランプ360が開かれ、細胞懸濁液が製品容器302から流れることが許容される。
【0137】
細胞懸濁液の流れは、ポンプセグメント362によって指定されたチューブ324を通って回転膜セパレーター301中へぜん動ポンプの作用によって進められる。同様に洗浄媒体は、ポンプセグメント366によって指定されたチューブ328の長さを通って開位置の弁362と364と共にぜん動ポンプの作用によって進められる。洗浄媒体はチューブ332、無菌バリヤーフィルター330、チューブ328、Y−コネクター326を通り、そして回転膜セパレーター301中へ流入する。洗浄媒体および細胞懸濁液を回転膜セパレーター301へ逐次的に導入し、懸濁液と洗液の混合はセパレーターのチャンバー(隙間)内で、または後で詳しく記載するようにプロセス途中容器322中で起こることを許容することができる。代って、洗浄媒体および細胞懸濁液は、(例えば)第2の分岐コネクター326においてセパレーター301へ導入の前に混合されても良い。
【0138】
なおさらなる代替例として、細胞懸濁液は、上で一般的に記載したように、最初ソース容器302からセパレーター301へ導入されることができる。細胞懸濁液はセパレーター301内で濃縮され、上清が膜を通り、出口ポート382を通って廃棄物容器340へ通過することを許容する。濃縮された赤血球はポート384を通ってセパレーターから出て行き、そして中間容器322へ導かれる。
【0139】
細胞懸濁液の上清から濃縮赤血球の分離が終了した時、置換流体が置換流体容器(図示せず)からセパレーター301中へ導入され(残存細胞を洗い流すため)、そして同様にポート384を通って中間容器322へ指向される。濃縮赤血球は、
図23に示した中間容器322中で置換流体中に再懸濁される。もし追加の洗浄が望ましいかまたは必要であれば、システムは再懸濁した細胞/置換流体をセパレーター301へ(再)導入し、そこで濃縮赤血球の上清からの分離が繰り返されるように、システムを事前にプログラムするか、または他のようにコントロールすることができる。最終細胞製品は最終製品容器350中に採集され、そこでは追加の置換流体で再懸濁されることができる。
【0140】
細胞懸濁/洗浄液導入の順序または使用する使い捨てセットに関係なく、装置の回転作用は、細胞のそれが懸濁している流体の残りおよび/または洗浄液からの分離を生じさせる。好ましくは上清および洗浄液は膜を通過し、他方所望の細胞はセパレーターのチャンバー内で濃縮される。洗浄媒体および上清を含んでいる分離によって生じた廃液はポート382を出てチューブ338を通って廃棄物容器340へ流れる。廃液の流れは、ポンプセグメント368と指定されたチューブ338の一部を通るぜん動ポンプによってコントロールされる。
【0141】
上に記載したように、濃縮され、分離された細胞懸濁液は回転膜セパレーター301の第2の出口384を出る。もしさらなる洗浄が必要なければ、制御システムはクランプ370を閉じ、そしてクランプ372を開く。クランプ370の閉鎖は洗浄した細胞懸濁液がチューブ346を通って流れるのを防止し、そしてそれをチューブ348を通って最終製品バッグ350へ導く。最終製品容器350は分離され、濃縮された細胞懸濁液のための入力を有する。分離装置は、最終製品容器350中の採集した細胞の体積が許容し得る範囲内か否か、従って洗浄サイクルが終了したか否かを決定するため、この容器の重量374を測定する。
【0142】
もし分離された細胞懸濁液のさらなる洗浄が望ましいかまたは必要であるならば、分離装置の制御システムはクランプ372を閉じ、クランプ370を開く。クランプ372の閉鎖は細胞懸濁液がチューブ348を通って流れるのを防止し、それをチューブ346を通って中間バッグ322へ導く。中間バッグ322は分離された細胞懸濁液のための入口を有する。中間バッグ322は重量センサー378へ接続される。分離装置の制御システムは、重量センサーによって感知することにより重量を決定し、他の洗浄サイクルを実施するのに十分な分離した細胞懸濁液が中間容器中に存在するか否かを決定する。もし十分な細胞懸濁液が存在すると決定され、そしてさらなる洗浄が望ましいと決定されたならば、セパレーター装置の制御システムはクランプ376を開き、そして希釈され、分離された細胞懸濁液を中間バッグの出力を通り、チューブ320を通って分岐コネクター318へ、そして空気検出センサー380を通るように導く。空気検出センサー380はチューブ384を通過する細胞懸濁液中の空気を検出する。制御および作動装置は、空気検出センサー380からの読みを測定し、取るべきさらなる処理を決定する。
【0143】
希釈された懸濁媒体中に懸濁された細胞を含んでいる分離された細胞懸濁液は、次に上に記載した洗浄プロセスを再び通過する。洗浄プロセスは所望の回数そして好ましくは希釈され、分離された細胞懸濁液が懸濁媒の許容し得る残りの濃度を持つまで繰り返すことができる。最終の希釈され、分離された細胞懸濁液は最終製品バッグ350中に採集される。
【0144】
代って1個の中間容器を通って流体を繰り返して処理するのではなく、2個またはそれより多い中間容器322(採集容器350と組み合わせて)の使用によるバッチ式処理操作を続けることができる。
【0145】
図24の使い捨て処理セット300はそのようなバッチ式処理に特に良く適している。
図24の使い捨てセット300を使用する細胞洗浄操作に従えば、元の懸濁媒から最初に分離された細胞はセパレーター301から除かれ、そして中間容器の一つ322aへ導入される。置換流体が容器322aへ導入され、そして細胞が懸濁される。容器322a中の再懸濁された細胞は次にセパレーター301へ導入することができ、そこで細胞は上清から分離される。濃縮された細胞はセパレーター301の出口648を通って出て行き、そして新しい(第2の)中間容器322b中へ導入される。追加の置換流体を中間容器322bへ導入することができ、そしてもし必要ならば、さらなる(第3の)中間容器(図示せず)で上のプロセスが繰り返される。最終細胞製品は、上に記載した最終製品容器350に採集される。
【0146】
上に記載したバッチ式細胞洗浄方法に従えば、チューブセグメント370a、370b、320a、320bは多数の中間容器322aおよび322bへのまたはそれからの流れの制御するためクランプ(図示せず)と関連させることができる。このため例えばライン370a上のクランプが開かれ、ライン370b上のクランプは閉じられ、そのためセパレーター301を出て行く細胞は(第1の)中間容器322a中へ導かれるであろう。
【0147】
追加の洗浄のため、容器322aからの新しい置換流体に再懸濁された細胞はセパレーター301へ導入され、そこで細胞は、以前記載したように、上清から分離される。装置の制御システムはチューブセグメント370a上のクランプ(
図24には示されていない)を閉じ、チューブセグメント370b上のクランプ(
図24には示されていない)を開き、細胞が新しい(第2の)中間容器322b中へ流入することを許容する。最終洗浄の後、セグメント370a、370b上のクランプ(図示せず)が閉じられ、そしてクランプ372(例えば
図23に示した)が開かれ、容器350中に最終製品の採集を許容する。
【0148】
図25は、ぜん動ポンプ402,404および406を含んでいる分離装置400、すなわちハードウェアを図示する。上で記載したように、使い捨てセットからのポンプセグメント362,364および366が選択的にぜん動ポンプ402,404および406と協力する。ぜん動ポンプは、
図23の流体セットをポンプセグメント362,364および366において圧縮し、当業者によって理解されるように、使い捨てセット中の細胞懸濁液を前進させる。制御および作動装置400はクランプ410、414,416をも含む。クランプ410,412,414および416は、上で記載したように、使い捨てセットの異なるセグメントを通る細胞懸濁液の流れを制御するために使用される。
【0149】
装置400は種々の状態を測定するためいくつかのセンサーも含んでいる。センサーの出力は洗浄サイクルを作業するために装置400によって利用される。一以上の圧力トランスジューサーセンサー426を装置400に設けることができ、そして操作の間圧力をモニターするためどこかの点で使い捨てセット300と協力させることができる。圧力トランスジューサーセンサー426は、セパレーター301内の圧力をモニターするためインライン圧力をモニター部位(例えばチューブセグメント336)中へ一体化することができる。空気検出器438センサーも必要に応じ使い捨てセット300に関連させることができる。空気検知器438は任意であり、そして液体/空気界面を検出するために備えることができる。
【0150】
装置400は重量計440,442,444および446を含むことができ、それらから最終バッグ、中間バッグ、細胞懸濁液バッグ、および任意の追加のバッグをそれぞれ吊り下げることができ、そして重量を測ることができる。バッグの重量は重量センサーでモニターされ、そして洗浄操作の間記録される。重量センサーの測定から、装置は各バッグが空、部分的に充満また充満しているかを決定し、そしてぜん動ポンプおよびクランプ410,412,414,416,418,420,422および424のような、制御および作動装置400の構成部品を制御する。
【0151】
装置400は、回転膜セパレーター301の間接駆動を行う少なくとも一つの駆動ユニットまたはスピナー448を含んでいる。スピナー448は、少なくとも一対の永久磁石を含んでいる環状の磁気駆動部材を回転させるように連結され、そして装置400によって作動される駆動モーターよりなることができる。環状の駆動部材が回転すると、回転膜セパレーターのハウジング内の対応する磁石との磁気誘引が回転膜セパレーターのハウジング内のスピナーを回転させる。
【0152】
図26−28は、ここに開示した細胞洗浄方法を図解する。以下に記載するステップは、装置400のソフトウェア駆動マイクロプロセッサーによって実施され、一部のステップは記載したようにオペレーターによって実施される。最初に
図26へ転ずると、ステップ500において装置がスイッチオンされる。装置は、ぜん動ポンプ、クランプおよびセンサーのチェックを含む自己較正チェック502を行う。装置400は次に、実施すべき洗浄操作、洗浄すべき細胞懸濁液の量、行うべき洗浄回数等のような、選択した操作パラメータを入力するようにユーザーを催促する(ステップ504)。オペレーターは次に洗浄プロセスのための操作パラメータを選択し、入力することができる(ステップ506)。
【0153】
装置(コントローラを通じて)はパラメータ入力506を確認し、次にオペレーターに使い捨てセットを装着するように催促する(ステップ510)。オペレーターは次に使い捨てセットを装置400のパネル上に装着する(ステップ512)。使い捨てセットの装着後、装置は示した装着を確認する(ステップ514)。
【0154】
使い捨てセットが取り付けられた後、装置は、使い捨てセットが適切に装着されたかどうかを決定するため自動的にチェックする(ステップ516)。使い捨てセットが正しく装着されたことを装置が決定した後、コントローラはオペレーターに細胞懸濁液および洗浄媒体を接続するように催促する(ステップ518)。オペレーターはその後、洗浄媒体(限定しないが食塩水のような)を、以前記載したように、スパイクコネクターを介して使い捨てセットへ接続する(ステップ520)。オペレーターは次に製品バッグ中の細胞懸濁液をスパイクコネクターを介して使い捨てセットへ接続する(ステップ522)。
【0155】
図27に示すように、細胞懸濁液および洗浄媒体が使い捨てセットへ接続された後、オペレーターは溶液が接続されたことを確認する(ステップ524)。装置はオペレーターに細胞懸濁液サンプルを採取するように催促する(ステップ526)。オペレーターまたは装置は、流体をサンプルパウチ中に導入するためサンプルパウチクランプ528を開く(ステップ528)。サンプルパウチが満たされた時、それはシールされそして使い捨てセットから除去される(ステップ542)。オペレーターはサンプルが採取されたことを確認する(ステップ)。サンプルパウチ除去の後、洗浄プロセスのため使い捨てセットがプライミングされる(ステップ546)。
【0156】
分離装置のコントローラは、次に洗浄プロセスを開始させる。洗浄すべき細胞懸濁液がその容器(例えば
図23の302)から使い捨てセットを通って回転膜セパレーター301へ移される。同様に洗浄媒体はそのソースから使い捨てセットを通って回転膜セパレーター301へ移される。好ましい具体例においては、細胞懸濁液の元の細胞は、中間容器中に濃縮および/または採集されるか、または後で使い捨てセットから除去される最終製品バッグ中に採取される。もし細胞懸濁液の(さらなる)洗浄または希釈が必要ならば、中間バッグ中の細胞懸濁液は、上で述べたプロセスに続いて、同じもしくは異なる洗浄媒体で洗浄(2回目)することができる。各洗浄サイクルの終了前、細胞懸濁液の体積または重量が測定され、記録される(ステップ550)。洗浄媒体に対する細胞の濃度が許容レベルに達した時、最終製品バッグが充填される。
【0157】
図28に示すように、最終製品の所望の体積が採集された時、制御および作動装置はオペレーターに最終製品バッグをサンプルし、シールすることを催促する(ステップ552)。サンプルパウチが最終製品バッグへ取り付けられる。オペレーターは次に最終製品バッグ中の洗浄した細胞懸濁液をシールし、そして使い捨てセットから除去する(ステップ554)。最終製品バッグは、次に撹拌される(ステップ556)。オペレーターはクランプを除去することによってサンプルパウチを開く(ステップ558)。サンプルパウチが充填されることが許容される(ステップ560)。サンプルパウチが充填された時、クランプが閉じられ、そしてサンプルパウチがシールされ、除去される(ステップ562)。オペレーターは次に使い捨てセットラインをシールし(ステップ564)、そして製品バッグがシールされ、除去されたこと、サンプルパウチが充填され、除去されたこと、および使い捨てセットラインがシールされたことを確認する(ステップ566)。次に制御および作動装置は、オペレーターに、ステップ568に示すように、使い捨てセットを除去するように催促する。オペレーターはその後、ステップ570に示すように、使い捨てセットを除去し、廃棄する。
【0158】
このように、改良された回転膜セパレーターと、そのような回転膜を使用するための方法およびシステムが開示される。上に提供された説明は例証目的のためのみを意図し、この開示をここに記載した特定の方法、システム、装置または器具に限定することを意図しない。