(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フレームの副走査方向の前記集光体に遠い側の端部に設けられる前記粘着材の副走査方向寸法は、前記フレームの前記集光体に近い側の外周面から前記集光体の光軸までの距離よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載のイメージセンサユニット。
前記フレームの副走査方向の前記集光体に近い側の端部に設けられる前記粘着材は、前記フレームの副走査方向の前記集光体に遠い側の端部に設けられる前記粘着材よりも、副走査方向寸法が小さいことを特徴とする請求項4に記載のイメージセンサユニット。
2組の前記イメージセンサユニットの副走査方向寸法は同じであり、2組の前記イメージセンサユニットは副走査方向については同じ位置に配置されることを特徴とする請求項11に記載の画像読取装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本発明の実施形態は、等倍光学系を有する密着型のイメージセンサユニットと、このイメージセンサユニットを有する画像読取装置である。各図においては、三次元の各方向を、X,Y,Zの各矢印で示す。X方向は、イメージセンサユニットの主走査方向である。Y方向は、イメージセンサユニットの副走査方向である。Z方向は、イメージセンサユニットの上下方向である。副走査方向が、イメージセンサユニットと紙葉類との相対的な移動の方向であり、かつ、イメージセンサユニットの幅方向である。
なお、本発明の実施形態において、「光」とは、可視光線のみならず、可視光線の以外の波長域の電磁波(たとえば赤外線の波長域や紫外線の波長域の波長の電磁波)も含むものとする。
【0012】
(イメージセンサユニット)
イメージセンサユニット1の全体的な構成について、
図1と
図2を参照して説明する。
図1は、イメージセンサユニット1の構成例を模式的に示す分解斜視図である。
図2は、イメージセンサユニット1の構造を模式的に示す断面図であり、主走査方向に直角な面で切断した断面を示す。
図1と
図2に示すように、イメージセンサユニット1は、フレーム11と、カバー部材12と、光源13と、導光体14と、集光体15と、センサ基板16とを含んで構成される。
【0013】
フレーム11は、イメージセンサユニット1の筺体である。フレーム11は、たとえば、主走査方向に長い棒状に構成される。また、フレーム11は、黒色に着色されて遮光性を有する樹脂素材により形成される。樹脂素材としては、たとえば、ポリカーボネートが適用できる。フレーム11は、イメージセンサユニット1の外殻となる側壁111を有する。側壁111に囲まれる領域のZ方向上部には、導光体14を収容可能な導光体収容室113と、集光体15を収容可能な集光体収容室114とが形成される。側壁111に囲まれる領域のZ方向下部には、センサ基板16を収容可能な基板収容室115が形成される。なお、集光体収容室114と基板収容室115とは、光が通過可能な開口部によって繋がっている。さらに、側壁111に囲まれる領域の主走査方向(長手方向)の端部には、光源13を収容可能な光源収容室112が形成される。
【0014】
カバー部材12は、フレーム11の上側を覆うように設けられる。そして、カバー部材12は、導光体14や集光体15を保護する機能や、紙葉類Sに接することにより紙葉類Sを平面に維持する機能を有する。カバー部材12は、平板状の部材である。カバー部材12には、例えば、ガラス板や、ガラス板と同等な強度を有する透明な樹脂板などが適用できる。
なお、カバー部材12は、フレーム11の上側に、粘着材2によって接合される。粘着材2および接合構造については後述する。
【0015】
光源13は、導光体14の主走査方向の端面である入射面141(後述)と間隔をあけて配設され、導光体14の入射面141に向けて光を照射する。光源13は、たとえば、順次点灯する赤(R)と緑(G)と青(B)の各波長の光を発する発光素子を有する。また、光源13は、前記各色の発光素子に加え、赤外線(Ir)を発する発光素子や紫外線(UV)を発する発光素子のいずれかまたは両方を有していてもよい。各発光素子には、公知の各種LEDが適用できる。そして、光源13には、前述のLEDとセンサ基板16に接続するためのピン状の端子を有するLEDパッケージや、表面実装型のLEDパッケージが適用できる。
【0016】
導光体14は、光源13が発する光を線状化する光学部材であり、全体として主走査方向に細長い棒状の構成を有する。導光体14は、たとえばアクリル系の樹脂などといった透明の樹脂素材からなり、射出成形などによって一体に形成される。
導光体14の主走査方向(長手方向)の端面には、光源13が発する光が入射する入射面141が設けられる。イメージセンサユニット1が1組の光源13を有し、この1組の光源13が導光体14の一方の端部にのみ設けられる構成であれば、当該一方の端面に入射面141が設けられ、反対側の端面には光を反射する反射面144が設けられる。イメージセンサユニット1が2組の光源13を有し、2組の光源13のそれぞれが導光体14の両端に設けられる構成であれば、導光体14の主走査方向の両端面に入射面141が設けられる。なお、各図においては、イメージセンサユニット1が、1組の光源13を有する構成の例を示すが、2組の光源13を有する構成であってもよい。
さらに、導光体14の側面には、出射面142と拡散面143(
図2参照)とが設けられる。
出射面142は、入射面141から入射した光や反射面で反射した光を紙葉類Sに向けて出射する面である。出射面142は、主走査方向に延伸する細長い帯状に設けられる。出射面142は、紙葉類Sの読取ラインO(
図2参照)に向けて光を出射するため、たとえば、紙葉類Sの読取ラインOの方向に向けて凸となる曲面に形成される。
出射面142の主走査方向の寸法は、読取り対象となる紙葉類Sの寸法に応じて設定される。たとえば、紙葉類Sとして紙幣をその長手方向に搬送しながら読取る場合には、出射面142の主走査方向の寸法は、紙幣の短辺寸法に応じた寸法に設定される。
拡散面143は、入射面141から入射した光を反射・拡散する面である。拡散面143は、出射面142に対向するように設けられる。拡散面143には、たとえば、複数のプリズム状の拡散部が、所要の間隔で設けられる。これらの複数の拡散部の間隔は、入射面141から離れるにしたがって小さくなる。
なお、拡散部として、たとえば、シルク印刷などによる光反射性の塗料からなる印刷パターンが適用される構成であってもよい。この場合には、印刷パターンの密度が、入射面141に近づくにしたがって低くなり、遠くなるにしたがって高くなる。このような構成によれば、出射面142から出射する光の照度分布が不均一になること、特に、入射面141から遠くなるにしたがって光の出射強度が低くなり、導光体14の全体に亘って光の照度分布が不均一になることを防止または抑制できる。
なお、導光体14の外周面のその他の面は、それぞれ、光を反射する反射面として作用する。
【0017】
そして、光源13と導光体14とは光源モジュール17を構成し、イメージセンサユニット1のフレーム11に組み込まれた状態で、紙葉類Sの読取ラインOに対して所定の波長域の光を照射する。読取ラインOは、紙葉類Sの搬送経路A上において、集光体15の光軸L
O上に設定される。
【0018】
集光体15は、紙葉類Sからの光をイメージセンサ161(後述)の表面に結像する光学部材である。集光体15には、たとえば、ロッドレンズアレイが適用される。ロッドレンズアレイは、例えば、複数の正立等倍結像型の結像素子(ロッドレンズ)が主走査方向に直線状に配列された構成を有する。なお、集光体15は、結像素子が直線状に配列される構成であればよく、具体的な構成は限定されない。たとえば、集光体15は、結像素子が複数列配列される構成であってもよい。なお、集光体15には、公知の各種マイクロレンズアレイなど、集光機能を有する公知の各種光学部材が適用できる。そして、集光体15に等倍結像型の結像素子を適用することによって、イメージセンサユニット1には等倍光学系が設けられる。
【0019】
センサ基板16は、主走査方向に長い矩形状の回路基板である。そして、センサ基板16の上面(Z方向上側の面)には、イメージセンサ161と光源13とが実装される。光源13は、センサ基板16の主走査方向の一方または両方の端部近傍に、導光体14の入射面141に向かって光を照射できるように実装される。なお、光源13が表面実装型のLEDパッケージである場合には、この表面実装型のLEDパッケージが実装された小型の他の回路基板が、センサ基板16に起立するように接続される。イメージセンサ161は、集光体15からの光を受光できるように、受光面をZ方向上側に向けて実装される。このほか、センサ基板16には、外部との配線を接続するためのコネクタ類などが実装される。
【0020】
イメージセンサ161は、集光体15により結像した光を電気信号に変換する。イメージセンサ161には、たとえば、イメージセンサICアレイが適用される。イメージセンサICアレイは、複数のイメージセンサICがセンサ基板16の表面に主走査方向に直線状に実装されることによって構成される。イメージセンサICは、イメージセンサユニット1の読取りの解像度に応じた複数の受光素子(光電変換素子と称することもある)から構成される。このように、イメージセンサ161は、複数のイメージセンサIC(受光素子)が、主走査方向に直線状に配列されて構成される。なお、イメージセンサ161は、複数のイメージセンサICが直線状に配列される構成のものであればよく、それ以外の構成は特に限定されない。たとえば、イメージセンサICが千鳥配列のように複数列配列される構成であってもよい。なお、イメージセンサ161としてのイメージセンサICアレイを構成するイメージセンサICには、可視光線や赤外線に感度を有する従来公知の各種イメージセンサICが適用できる。
【0021】
このほか、イメージセンサユニット1には、画像読取装置(後述)に取り付けるための取付部や、画像読取装置に電気接続するためのコネクタなどが設けられる。なお、取付部やコネクタの構成は、特に限定されるものではない。取付部は、イメージセンサユニット1を画像読取装置に取り付けることができる構成であればよい。また、コネクタは、イメージセンサユニット1と画像読取装置の所定の機器とを、電力や電気信号を送受信可能に接続できる構成であればよい。
【0022】
イメージセンサユニット1の組付け構造は、次のとおりである。
導光体14は、フレーム11の導光体収容室113に収容される。集光体15は、フレーム11の集光体収容室114に収容される。さらに、光源13とイメージセンサ161とが実装されたセンサ基板16は、基板収容室115に収容される。導光体14が導光体収容室113に収容され、光源13が実装されたセンサ基板16が基板収容室115に収容されると、光源13は光源収容室112に収容され、導光体14の主走査方向の端面に設けられる入射面141に距離をおいて対向する。したがって、光源13が発する光を、導光体14の端面に設けられる入射面141に入射させることができる。そして、フレーム11の上側には、カバー部材12が粘着材2によって接合される。粘着材2は、カバー部材12とフレーム11とを接合する接着剤としての機能を有するとともに、カバー部材12とフレーム11との間を接着するシーリング材としての機能を有する。すなわち、粘着材2によって、カバー部材12とフレーム11との隙間が塞がれ、イメージセンサユニット1の内部に異物が侵入することが防止または抑制される。
なお、
図2に示すように、集光体15と導光体14とは、副走査方向に並べて配設される。そして、集光体15は、副走査方向(短尺方向)について、中心から一側寄りに偏倚した位置に設けられる。
【0023】
ここで、イメージセンサユニット1の動作について説明する。実際に紙葉類Sの読取りを行う前に、イメージセンサユニット1は、白基準として機能する第1の粘着材2aからの反射光を検出し、検出した反射光の照度とあらかじめ格納されている白基準値とを比較する。そして、比較結果に基づいて白補正値を算出し、算出した白補正値を用いて光源13の照射強度を補正する。なお、白基準を用いた光源13の照射強度の具体的な補正方法には、従来公知の方法が適用できる。したがって、説明を省略する。
【0024】
実際の紙葉類Sの読取りにおいて、光源13は、各発光素子を順次点灯する。光源13が発する光は、導光体14の入射面141からその内部に入射し、拡散面143やその他の反射面において反射するなどして内部を伝搬する。そして、導光体14の内部を伝搬した光は、出射面142から紙葉類Sの読取ラインOに向けて出射する。紙葉類Sの読取ラインOからの反射光は、集光体15によってイメージセンサ161の表面に結像する。イメージセンサ161は、集光体15によって結像した光学像を電気信号に変換する。なお、前述のとおり、光源13が発する光には、赤(R)と緑(G)と青(B)の各色の可視光が含まれる。さらに光源13が赤外線を発する素子と紫外線を発する素子のいずれかまたは両方を有する場合には、光源13が発する光には、可視光に加えて、赤外線と紫外線のいずれかまたは両方が含まれる。
イメージセンサユニット1は、紙葉類Sに各波長域の光を照射して反射光を検出する動作を、短時間で周期的に繰り返す。イメージセンサユニット1は、このような動作によって、紙葉類Sに設けられる所定のパターン(たとえば、ホログラム)を可視光画像として読取る。さらに、紙葉類Sを赤外画像や紫外画像として読取る。
【0025】
なお、イメージセンサユニット1のうち、図示および説明を省略した部分については、従来公知のイメージセンサユニット1と同じ構成が適用できる。
【0026】
(粘着材の構成)
次に、粘着材2の構成について説明する。
フレーム11の側壁111の上面と、カバー部材12の下面の周縁部との間に、粘着材2が介在する。これにより、カバー部材12は、粘着材2によってフレーム11の上側に接合される。粘着材2は、カバー部材12をフレーム11に接合する接着剤としての機能と、イメージセンサユニット1の内部に異物が侵入することを防止または抑制するシーリング材としての機能を有する。さらに、粘着材2の一部は、光源モジュール17の照射強度の補正のための白基準としての機能を有する。
【0027】
粘着材2は、白基準としての機能を実現するため、略白色の材料が適用される。そして粘着材2は、カバー部材12がフレーム11に接合された状態で、カバー部材12の法線方向の光学濃度(OD値:optical density)が0.1以上の値を有する。このような構成であれば、粘着材2からの反射光を用いて光源13の照射強度の補正を行うことが容易となる。なお、前述の光学濃度の値は一例であり、この値に限定されるものではない。光学濃度は所定値以上であればよく、補正の精度などに応じて適宜設定されるものである。このような粘着材2としては、例えば、白色のシリコーン樹脂が適用される。シリコーン樹脂は対候性が高いため、OD値などの経年変化が小さい。このため、光源13の照射強度の経年変化の補正に好適である。また、シリコーン樹脂は弾性を有するため、フレーム11とカバー部材12とが熱変形(熱膨張)した場合であっても、熱膨張量の相違に応じて変形する。このため、カバー部材12がフレーム11の側壁111の上面から剥離することを抑制できる。このほか、粘着材2として、白色のシート状の基材の両面に接着剤が塗布された両面粘着テープが適用できる。この場合、白色のシート状の基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)のシートが適用でき、接着剤としてはアクリル系の接着剤が適用できる。
【0028】
なお、粘着材2は、入射した波長域の光とは異なる波長域の光を発する構成であってもよい。このような作用を得るために、粘着材2に蛍光体を含ませる構成が適用できる。例えば、紫外線によって励起して可視光や赤外線を発する蛍光体や、赤外線によって励起して可視光を発する蛍光体が、粘着材2に含まれていてもよい。このような蛍光体としては、特開平06−25660号公報や、特開2005−82770号公報に記載の蛍光体などが適用できる。そして、このような粘着材2を用いることによって、可視光のみならず、赤外線や紫外線の照射強度も補正できる。
【0029】
図2に示すように、粘着材2は、フレーム11およびカバー部材12の副走査方向(短尺方向)の両端部(すなわち、長辺の側壁111の上面)に設けられる。なお、前述のとおり、集光体15は、フレーム11の副走査方向の一側に偏倚した位置に配置される。説明の便宜上、フレーム11の側壁111のうち、集光体15から遠い側の側壁111を『第1の側壁111a』と記し、集光体15に近い側の側壁111を『第2の側壁111b』と記す。また、第1の側壁111aの上側に設けられる粘着材2を『第1の粘着材2a』と記し、第2の側壁111bの上側に設けられる粘着材2を『第2の粘着材2b』と記す。
【0030】
同じ構成を有する2組のイメージセンサユニット1を副走査方向の位置を揃えて対向させると、それぞれのイメージセンサユニット1の第1の粘着材2aは、対向するイメージセンサユニット1の集光体15の光軸L
O上に位置する。具体的には、第1の粘着材2aが、第1の側壁111aの外周面から長さLaの範囲にわたって形成されているものとする。また、第2の側壁111bの外周面から集光体15の光軸L
Oまでの距離をLcとする。この場合において、La>Lcであれば、第1の粘着材2aと集光体15とが上述の位置関係を充足する。このように、第1の粘着材2aの副走査方向寸法Laは、第2の側壁111bの外周面から集光体15の光軸L
Oまでの距離Lcよりも大きい寸法に設定される。このような構成であれば、それぞれのイメージセンサユニット1において、光源モジュール17から出射した光は、対向するイメージセンサユニット1の第1の粘着材2aで反射し、集光体15に入射する。したがって、イメージセンサユニット1は、光源13の照射強度の補正に、他方のイメージセンサユニット1の第1の粘着材2aで反射した光を用いることができる。
【0031】
第2の粘着材2bは、前述のような光学特性を有していなくてもよい。例えば、第2の粘着材2bは、その内周面(集光体15に近い側の側面)が黒色に着色されている構成が適用できる。このような構成であれば、第2の粘着材2bの表面での光の反射を抑制できるから、不要な光が集光体15に入射することを抑制できる。このほか、第2の粘着材2bは、全体が黒色に着色されていてもよい。なお、第2の粘着材2bの副走査方向寸法Lbは、第1の粘着材2aの副走査方向寸法Laよりも小さい寸法に設定される。
【0032】
ここで、第1の粘着材2aと第1の側壁111aとの関係について説明する。
図2に示すように、第1の粘着材2aの副走査方向寸法Laは、第1の側壁111aの副走査方向寸法(すなわち、厚さ)よりも大きく、第1の粘着材2aの塗布領域が第1の側壁111aの内周面からフレーム11の内部に延出していてもよい。
ただし、第1の粘着材2aと第1の側壁111aとの関係は、
図2に示す構成に限定されるものではない。
図3(a)(b)は、第1の粘着材2aと第1の側壁111aとの関係の他の例を模式的に示す断面図である。
図3(a)に示すように、第1の側壁111aの上端部に副走査方向に延出する庇状の構造物(以下、『接合部116』と記す)が第1の側壁111aに一体に形成され、この接合部116の上面に第1の粘着材2aが設けられる(上面が塗布領域となる)構成であってもよい。この場合には、この接合部116の上面の副走査方向寸法が、第1の粘着材2aの副走査方向と略同じである構成が適用できる。なお、
図3(a)においては、庇状の接合部116が副走査方向の内周側に延出する構成を示したが、接合部116はこのような構成に限定されるものではない。例えば、庇状の接合部116は、副走査方向の外周側に延出する構成であってもよく、副走査方向の外周側と内周側の両方に延出する構成であってもよい。また、
図3(b)に示すように、第1の粘着材2aの副走査方向寸法と第1の側壁111aの厚さとが略同じであってもよい。この場合には、第1の側壁111aの上面と第1の粘着材2aの塗布領域とが一致している。
このように、第1の粘着材2aの副走査方向寸法は、第1の側壁111aの厚さと同じか、または第1の側壁111aの厚さよりも大きい寸法が適用される。
【0033】
次に、第1の粘着材2aが設けられる範囲について説明する。
図4(a)〜(c)は、第1の粘着材2aが設けられる範囲の例を模式的に示すZ軸方向視の平面図である。図中において、格子状のハッチングを施した領域が、第1の粘着材2aが設けられる領域(塗布領域)である。具体的には、
図4(a)〜(c)は、2組のイメージセンサユニット1が対向している状態において、一方のイメージセンサユニット1の第1の粘着材2aと、これに対向する他方のイメージセンサユニット1の集光体15(図中では破線で示す)とを重ねて示す図である。なお、
図4においては、カバー部材12を省略してある。
図4(a)は、第1の粘着材2aが、他方のイメージセンサユニット1の集光体15の全体に対向するように設けられる構成の例を示す。すなわち、
図4(a)に示す例は、第1の粘着材2aが、第1の側壁111aの上面または接合部116の上面の全体(主走査方向の全長)にわたって設けられる例である。
図4(a)に示す構成によれば、読取り領域の全域に第1の粘着材2aが設けられるため、参照データと比較することで、走査ごとに全領域の照射強度の補正ができる。また、LEDの劣化などによる照射強度の低下の補正ができる。
図4(b)は、第1の粘着材2aが、他方のイメージセンサユニット1の集光体15の主走査方向の一方の端部に対向するように設けられる構成を示す。
図4(b)に示す構成によれば、一方の端部のみに第1の粘着材2aが設けられるため、参照データと比較することで、LEDの劣化などによる照射強度の低下を補正できる。なお、光源13に近い側に第1の粘着材2aが設けられる構成であっても同様に照射強度の補正が可能である。
図4(c)は、第1の粘着材2aが、他方のイメージセンサユニット1の集光体15の両端部に対向するように設けられる構成を示す。
図4(c)に示す構成によれば、両端部の第1の粘着材2aのそれぞれについて補正データを生成し、生成した補正データを例えば直線状に補完することで、第1の粘着材2aが設けられていない領域を含めて照射強度の低下を補正できる。
このように、第1の粘着材2aは、他方のイメージセンサユニット1の集光体15の全体に対向するように設けられていてもよく、一部に対向するように設けられていてもよい。すなわち、第1の粘着材2aが、他方のイメージセンサユニット1の集光体15の少なくとも一部に対向するように設けられる構成であれば、2組のイメージセンサユニット1は、それぞれ、対向するイメージセンサユニット1の第1の粘着材2aからの光を集光し、光源13の照射強度を補正できる。
【0034】
なお、
図4(a)〜(c)は、第1の粘着材2aの範囲の例示であり、本発明はこれらの構成に限定されるものではない。例えば、第1の粘着材2a(すなわち、上述の所定の光学特性を有する粘着材)が、フレーム11の側壁111の上面(接合部116が設けられる構成であれば、その上面を含む)の全周にわたって設けられる構成であってもよい。
【0035】
(画像読取装置)
イメージセンサユニット1が適用される画像読取装置について、
図5を参照して説明する。
図5は、画像読取装置の要部の構成を模式的に示す断面図であり、主走査方向に直角な面での断面を示す図である。ここでは、読取り対象の紙葉類Sとして紙幣を例に示す。そして、画像読取装置の例として、紙幣を読取って種類や真贋を判定する紙葉類識別装置5を例に示す。紙葉類識別装置5は、紙葉類Sに光を照射すると共に、紙葉類Sからの光を読取り、読取った光を用いて紙葉類Sの種類や真贋の識別を行う。
【0036】
図5に示すように、紙葉類識別装置5は、2組のイメージセンサユニット1と、紙幣を搬送する搬送ローラ51とを備える。2組のイメージセンサユニット1は、副走査方向寸法(すなわち幅方向寸法)が略同じである。そして、搬送ローラ51どうしの間および2組のイメージセンサユニット1どうしの間には、紙幣の搬送経路Aが設定される。2組のイメージセンサユニット1は、紙幣の両面の読取りができるように、紙幣の搬送経路Aを挟んで対向するように配置される。なお、2組のイメージセンサユニット1の集光体15の焦点は、紙幣の搬送経路Aの厚さ方向の中央に設定される。また、2組のイメージセンサユニット1は、それぞれのイメージセンサユニット1の第1の粘着材2aが、対向する他方のイメージセンサユニット1の集光体15の光軸L
O上に位置するように配置される。たとえば、2組のイメージセンサユニット1は、略同じ副走査方向寸法を有するものであれば、フレーム11の副走査方向位置が揃うように配置される。
【0037】
このような構成の紙葉類識別装置5の動作は、次のとおりである。2組のイメージセンサユニット1の光源13は、各色の可視光線の発光素子を順次点灯する。光源13がさらに赤外線を発する発光素子と紫外線を発する発光素子のいずれかまたは両方を有する場合には、光源13は、それらの発光素子を含めて順次点灯する。一方のイメージセンサユニット1の光源モジュール17から紙葉類に照射された可視光線などは、紙葉類Sの一方の表面で反射して当該一方のイメージセンサユニット1の集光体15に入射し、当該一方のイメージセンサユニット1のイメージセンサ161の表面に結像する。当該一方のイメージセンサユニット1のイメージセンサ161は、結像した光学像を電気信号に変換することによって、紙幣の一方の表面からの反射光による可視光画像を取得する。光源13の構成によっては、可視光画像に加えて、赤外画像と紫外画像のいずれかまたは両方を取得する。同様にして、他方のイメージセンサユニット1は、紙幣の他方の表面からの反射光による可視光画像などを取得する。このようにして、2組のイメージセンサユニット1は、紙幣の両面の読取りを行う。
その後、紙葉類識別装置5は、予め用意された真券紙幣画像と、真贋判定時に判定対象となる紙幣の可視光画像などとを比較することで、紙幣の真贋判定を行う。これは、真券である紙幣には、可視光下と、赤外光下と、紫外光下から得られる画像がそれぞれ異なるような領域が設けられているためである。真券紙幣画像は、真券である紙幣に可視光線などを照射することで得られた紙幣画像であり、あらかじめ紙葉類識別装置5に格納されている。
【0038】
なお、説明および図示を省略した部分については、従来の紙葉類識別装置と同じ構成が適用できる。
【0039】
本発明の実施形態によれば、粘着材に、接着剤の機能と、シーリング材の機能と、白基準の機能を持たせることにより、それぞれを別個に配置しなくてもよい。したがって、イメージセンサユニットの幅方向寸法(紙葉類との相対的な移動方向の寸法)の小型化と、シーリング材の塗布領域および白基準の大型化との両立を図ることができる。また、接着剤と、シーリング材と、白基準に用いる部材とをそれぞれ別途用いる構成と比較して、部品点数や組み付け構成の削減を図ることができる。
【0040】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。本発明は、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変が可能である。