特許第5917610号(P5917610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 芝浦メカトロニクス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5917610-基板処理装置 図000002
  • 特許5917610-基板処理装置 図000003
  • 特許5917610-基板処理装置 図000004
  • 特許5917610-基板処理装置 図000005
  • 特許5917610-基板処理装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5917610
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 1/02 20060101AFI20160428BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
   B08B1/02
   B08B3/02 C
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-129595(P2014-129595)
(22)【出願日】2014年6月24日
(65)【公開番号】特開2015-127043(P2015-127043A)
(43)【公開日】2015年7月9日
【審査請求日】2014年10月17日
(31)【優先権主張番号】特願2013-246413(P2013-246413)
(32)【優先日】2013年11月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】手島 理恵
(72)【発明者】
【氏名】磯 明典
(72)【発明者】
【氏名】濱田 崇広
(72)【発明者】
【氏名】坂下 健司
(72)【発明者】
【氏名】西部 幸伸
(72)【発明者】
【氏名】高原 竜平
【審査官】 村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−112131(JP,A)
【文献】 特開2010−102020(JP,A)
【文献】 特表2013−523575(JP,A)
【文献】 実開昭48−036658(JP,U)
【文献】 特開昭52−138934(JP,A)
【文献】 米国特許第06589357(US,B1)
【文献】 特開平10−323632(JP,A)
【文献】 特表平02−500689(JP,A)
【文献】 特開2005−199299(JP,A)
【文献】 特開2001−009389(JP,A)
【文献】 特開平07−281231(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 1/02
B08B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の帯電防止膜の表面に接触して相対移動し、その帯電防止膜の表面を払拭するワイプ部材を備え、
前記ワイプ部材は、
基体となる弾性体と、
前記弾性体の表面に設けられ、前記相対移動する前記帯電防止膜の表面に接触する布と、
を具備し、
前記弾性体は、
前記帯電防止膜の前記相対移動方向の上流側に倒されて前記帯電防止膜の表面に対して傾斜する傾斜部と、
前記帯電防止膜の前記相対移動方向に沿って伸びる延伸部と、
を有しており、
前記基板上の前記帯電防止膜と、前記傾斜部および前記延伸部を有する前記弾性体とは、両者が一方向に相対移動するにつれ、前記傾斜部に設けられた前記布に前記帯電防止膜がまず接触し、さらに前記基板が前記一方向に相対移動することに伴い前記弾性体が変形することにより前記傾斜部に設けられた前記布が前記帯電防止膜に押しつけられ、この状態で前記基板がさらに前記一方向に相対移動することにより前記帯電防止膜が前記延伸部に設けられた前記布に接触して前記帯電防止膜を払拭する位置関係にあることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記帯電防止膜の表面に対する前記ワイプ部材の荷重は、前記ワイプ部材が前記基板から前記帯電防止膜を剥離せずに前記帯電防止膜の表面上のパーティクルを除去することが可能となる荷重であることを特徴とする請求項に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記布は、前記帯電防止膜の表面と接触する部分を含み前記帯電防止膜の相対移動方向の上流側の領域が処理液により濡れており、前記帯電防止膜の相対移動方向の下流側の領域が乾燥している状態であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記布に処理液を供給する液供給部をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記処理液はアルコールであることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記弾性体の少なくとも前記延伸部に、その厚さ方向に延び、かつ厚さ方向両端部に開口する複数の微細孔が設けられ、
前記延伸部における前記布が設けられる表面と反対の表面に設けられ、前記布に前記複数の微細孔を通してエアを供給するエア供給機構をさらに備えることを特徴とする請求項乃至記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記基板の搬送方向において前記帯電防止膜の相対移動方向の下流側に設けられ、前記布の前記帯電防止膜の表面と接する部分に対してエアを供給することによって前記布の表面に付着したパーティクルを除去するエア供給機構をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記帯電防止膜の表面を液体の一流体、又は、液体及び気体の二流体により洗浄する洗浄部と、
前記帯電防止膜の表面に向けて気体を放出する乾燥部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置としては、タッチパネルなどの製造工程において、ガラスなどの基板表面を処理液(例えば薬液や機能水など)によって処理し、その後、基板表面を乾燥する基板処理装置が開発されている。タッチパネルなどで用いるガラスなどの基板表面には、指紋やその他の汚れが付着することを防止する目的で、帯電を防止する帯電防止膜(ASコート)が形成されていることがある。この膜厚は、例えば数nm〜数百nmである。
【0003】
前述の基板処理前には、基板上の帯電防止膜からパーティクル(異物)、例えばフッ素イオンをまとうパーティクルを除去するため、人による手洗浄(一例として、液体を含む布によって基板上の帯電防止膜の表面を拭く作業など)が行われている。なお、フッ素イオンをまとうパーティクルは、前述の基板処理より前の工程(例えば成膜工程)で、基板表面に帯電防止膜を形成する際に帯電防止膜に付着したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−202960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述のように基板上の帯電防止膜からパーティクルを除去する場合、人による手洗浄が必要となるため、生産速度が低下してしまい、加えてコストも上昇してしまう。また、人による手洗浄でも、フッ素イオンをまとうパーティクルを完全に除去することは難しく、パーティクルが靄状(もや状)の膜となって残ってしまうことがある。このため、生産速度の向上及びコストの削減、さらに、確実なパーティクル除去の実現が求められている。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、生産速度の向上及びコストの削減、さらに、確実なパーティクル除去を実現することができる基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る基板処理装置は、基板上の帯電防止膜の表面に接触して相対移動し、その帯電防止膜の表面を払拭するワイプ部材を備え、前記ワイプ部材は、基体となる弾性体と、前記弾性体の表面に設けられ、前記相対移動する前記帯電防止膜の表面に接触する布と、具備し、前記弾性体は、前記帯電防止膜の前記相対移動方向の上流側に倒されて前記帯電防止膜の表面に対して傾斜する傾斜部と、前記帯電防止膜の前記相対移動方向に沿って伸びる延伸部と、を有しており、前記基板上の前記帯電防止膜と、前記傾斜部および前記延伸部を有する前記弾性体とは、両者が一方向に相対移動するにつれ、前記傾斜部に設けられた前記布に前記帯電防止膜がまず接触し、さらに前記基板が前記一方向に相対移動することに伴い前記弾性体が変形することにより前記傾斜部に設けられた前記布が前記帯電防止膜に押しつけられ、この状態で前記基板がさらに前記一方向に相対移動することにより前記帯電防止膜が前記延伸部に設けられた前記布に接触して前記帯電防止膜を払拭する位置関係にあることを特徴とする
【発明の効果】
【0008】
上記の実施形態に係る基板処理装置によれば、生産速度の向上及びコストの削減、さらに、確実なパーティクル除去を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す図である。
図2】第1の実施形態に係るワイプ部の概略構成を示す図である。
図3】第2の実施形態に係るワイプ部の概略構成を示す図である。
図4】第3の実施形態に係るワイプ部の概略構成を示す図である。
図5】第1および第2の実施形態に係るワイプ部における処理条件と結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の実施形態について図1及び図2を参照して説明する。
【0011】
図1に示すように、第1の実施形態に係る基板処理装置1は、基板Wを搬送する搬送部2と、搬送部2によって搬送される基板Wを処理する処理部3と、搬送部2によって搬送される基板Wを洗浄する洗浄部4と、搬送部2によって搬送される基板Wを乾燥する乾燥部5とを備えている。
【0012】
搬送部2は、基板Wを支持するステージ2aと、そのステージ2aを所定の搬送方向A1(図1中の右方向)に搬送する搬送機構2bにより構成されている。基板Wはステージ2aの載置面上に置かれ、搬送機構2bによってステージ2aと共に水平面内の所定方向に搬送される。なお、搬送機構2bとしては、例えば、サーボモータを駆動源とする送りねじ式の移動機構やリニアモータを駆動源とするリニアモータ式の移動機構などを用いることが可能である。
【0013】
ここで、基板Wは、例えばガラスなどの矩形状の基板であり、その基板Wの表面には、帯電を防止する帯電防止膜(ASコート)Waが形成されている。この帯電防止膜Waには、フッ素イオンをまとうパーティクル(異物)が付着していることがある。このパーティクルは、例えば、基板Wの表面に帯電防止膜Waを形成する工程(例えば成膜工程)でフッ素イオンをまとって付着したものである。
【0014】
処理部3は、搬送されるステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面を払拭(ワイプ)するワイプ部3aと、搬送されるステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面にリンス液を供給するリンス部3bと、搬送されるステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面をブラッシングするブラシ部3cと、搬送されるステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面にリンス液を供給するリンス部3dとを備えている。
【0015】
ワイプ部3aは、図2に示すように、搬送されるステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面を払拭するワイプ部材11と、そのワイプ部材11を保持する保持部材12と、その保持部材12を支持する支持アーム13とを有している。
【0016】
ワイプ部材11は、基体となる弾性体11aと、その弾性体11aの表面、すなわち基板Wの搬送方向A1(図2中の右方向)の上流側(以下、単に基板Wの搬送方向上流側という)の表面に設けられた布11bとにより構成されている。
【0017】
弾性体11aは、例えば長方形の板形状に形成されており、その長辺は基板Wの幅(搬送方向A1と直交する幅)以上になっている。この弾性体11aは、その長辺が基板Wの搬送方向A1と直交するように、さらに、基板Wの搬送方向上流側に倒されてステージ2a上の基板Wの表面に対して所定角度で傾斜するように設けられている。弾性体11aとしては、例えばゴムなどの各種弾性体を用いることが可能である。
【0018】
布11bは、弾性体11aにおける基板Wの搬送方向上流側の表面全体を覆うように設けられている。この布11bとしては、例えば綿などの液体を吸い込むことができる各種布を用いることが可能である。
【0019】
保持部材12は、弾性体11aと同じ板形状に形成されており、その保持部材12の表面、すなわち基板Wの搬送方向上流側の表面に弾性体11aが取り付けられている。この保持部材12は、弾性体11aと同じように傾けられた状態で支持アーム13により支持されている。保持部材12の材料としては、例えばステンレスなどの金属材料を用いることが可能である。
【0020】
支持アーム13は、例えば長方形の板形状に形成されており、その支持アーム13の端部に保持部材12が取り付けられている。この支持アーム13は、ステージ2aの移動を妨げない位置に設けられたコラムなどの支柱に固定されている。支持アーム13の材料としては、例えばステンレスなどの金属材料を用いることが可能である。
【0021】
また、ワイプ部3aには、前述のワイプ部材11の布11bの一部分に処理液を供給する液供給部14が設けられている。この液供給対象となる布11bの一部分としては、例えば上端部が挙げられるが、これに限るものではない。処理液が液供給部14によって布11bに供給され、布11bは処理液により濡れた状態(処理液を含んだ状態)に維持されている。
【0022】
液供給部14の処理液としては、例えば、フッ素イオンをまとうパーティクルを除去することが可能である薬液や機能水(一例としてアルコールを含む液体)などを用いる。この処理液温度は、例えば40〜80℃の範囲内(範囲以内)に維持されていることが望ましい。
【0023】
このようなワイプ部3aでは、ワイプ部材11が、ステージ2aの移動に応じ、そのステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面に所定圧力で接触して相対的に移動(相対移動)し、処理液を含む布11bによってステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面を払拭する。このとき、ワイプ部材11は、布11bがステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面に接触している状態で、ステージ2aの移動(ステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの相対移動)に応じて弾性体11aが変形する。
【0024】
ここで、ステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面に対するワイプ部材11の荷重は、ワイプ部材11が基板Wから帯電防止膜Waを剥離せずに帯電防止膜Waの表面上のパーティクルを除去することが可能となる荷重であり、一例として、5〜30kgの範囲内である。また、例えば、弾性体11aの硬度は10〜50°(JIS規格K6253タイプAデュロメータによる測定)の範囲内であり、保持部材12の下端と帯電防止膜Waの表面との垂直離間距離aは3mmであり、保持部材12の下端とワイプ部材11の下端との垂直離間距離bは10mmであり、帯電防止膜Waの表面に対する保持部材12の角度cは10〜80°の範囲内である。
【0025】
図1に戻り、リンス部3bは、下方に向けてリンス液(例えば超純水など)を放出するシャワーノズル21を有しており、そのシャワーノズル21からリンス液を搬送機構2bによって搬送されているステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面に供給する。
【0026】
ブラシ部3cは、搬送されるステージ2a上の基板Wをブラッシングする回転ブラシ31と、その回転ブラシ31に処理液を供給するシャワーノズル32とを有している。このブラシ部3cは、シャワーノズル32から回転ブラシ31に処理液を供給しながら、搬送機構2bによって搬送されているステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面を回転ブラシ31によってブラッシングする。
【0027】
シャワーノズル32の処理液としては、例えば、フッ素イオンをまとうパーティクルを除去することが可能である薬液や機能水(一例としてアルコールを含む液体)などを用いる。この処理液温度は、例えば40〜80℃の範囲内に維持されていることが望ましい。
【0028】
リンス部3dは、前述のリンス部3bと同じ構造であり、下方に向けてリンス液(例えば超純水など)を放出するシャワーノズル41を有しており、そのシャワーノズル41からリンス液を搬送機構2bによって搬送されているステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面に供給する。
【0029】
洗浄部4は、搬送されるステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面に洗浄液を高圧で供給する高圧部4aと、搬送されるステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面に洗浄液を供給するシャワー部4bとにより構成されている。
【0030】
高圧部4aは、下方に向けて洗浄液(例えば超純水など)を高圧で噴射する高圧シャワーノズル51と、気体と液体を混合して下方に向けて噴射する二流体スリットノズル52とを有している。この高圧部4aは、高圧シャワーノズル51から洗浄液(一流体)を、さらに、二流体スリットノズル52から気液混合体(二流体)を搬送機構2bによって搬送されているステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面に向けて噴射する。
【0031】
高圧シャワーノズル51及び二流体スリットノズル52は、処理部3による処理後、基板Wの帯電防止膜Waの表面に浮上(析出)したパーティクルを除去するための部材である。この高圧シャワーノズル51及び二流体スリットノズル52は、それらの先端の噴射口が下方に向けられ、搬送されるステージ2a上の基板Wの表面に対して垂直になるように設けられている。高圧シャワーノズル51から洗浄液を噴射するためのポンプ圧は10Mpa以上である。
【0032】
二流体スリットノズル52の気体としては、例えば空気、酸素又は窒素、ヘリウム、水素などを用いることが可能であり、二流体スリットノズル52の液体としては、例えば炭酸水や、アンモニア水溶液又は純水などを用いることが可能であり、気体及び液体を自由に組み合わせることができる。
【0033】
シャワー部4bは、下方に向けて洗浄液(例えば超純水など)を放出するシャワーノズル61を有しており、そのシャワーノズル61から洗浄液を搬送機構2bによって搬送されているステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面に供給する。
【0034】
乾燥部5は、下方に向けて乾燥用の気体(例えば空気や窒素ガスなど)を噴射するエアーナイフ5aを有しており、そのエアーナイフ5aから乾燥用の気体を搬送機構2bによって搬送されているステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面に向けて放出する。なお、エアーナイフ5aは、その先端の噴射口が下方に向けられて基板Wの搬送方向下流側に倒され、ステージ2a上の基板Wの表面に対して所定角度で傾斜するように設けられている。
【0035】
次に、前述の基板処理装置1が行う基板処理について説明する。
【0036】
基板Wが置かれたステージ2aが搬送機構2bにより所定の搬送方向A1に沿って搬送される。ステージ2a上の基板Wがワイプ部3aに到達すると、ステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面がワイプ部材11の布11bに接触する。その後、ステージ2aの移動に伴い、ワイプ部材11の弾性体11aの先端部は徐々に曲がって基板Wの搬送方向に沿うように変形していく。この弾性体11aにより布11bはステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面に対して所定荷重で押し付けられることになり、ステージ2aの移動に伴って帯電防止膜Waの表面を払拭する。このとき、布11bは、液供給部14による処理液の供給によって濡れた状態になっている。この処理液を含む布11bによってステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面が払拭され、その帯電防止膜Waからフッ素イオンをまとうパーティクルが除去される。ステージ2a上の基板Wがワイプ部材11を通り過ぎると、ワイプ部材11は元の形状に戻る。
【0037】
ステージ2a上の基板Wがリンス部3bに到達すると、ステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面に向けてシャワーノズル21からリンス液が放出され、ステージ2aの移動に伴って帯電防止膜Waの表面が洗浄されていく。次いで、ステージ2a上の基板Wがブラシ部3cに到達すると、回転している回転ブラシ31にシャワーノズル32から処理液が供給され、処理液によって濡れた状態の回転ブラシ31によってステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面がブラッシングされていく。これにより、ステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waからフッ素イオンをまとうパーティクルが除去される。そして、ステージ2a上の基板Wがリンス部3dに到達すると、ステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面に向けてシャワーノズル41からリンス液が放出され、ステージ2aの移動に伴って帯電防止膜Waの表面が洗浄されていく。
【0038】
このように、ワイプ部3aよりも下流側にリンス部3bとブラシ部3cとを設けることによって、ワイプ部3aで発生した帯電防止膜Waの表面のパーティクルを除去することができるようになっている。
【0039】
ステージ2a上の基板Wが高圧部4aに到達すると、ステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面に向けて高圧シャワーノズル51から所定圧力(例えば10Mpa以上の高圧)で洗浄液が放出され、次いで、ステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面に向けて二流体スリットノズル52から所定圧力で気液混合体(二流体)が噴射され、ステージ2aの移動に伴って帯電防止膜Waの表面が洗浄されていく。これにより、ステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waから、その帯電防止膜Waの表面に浮上(析出)したパーティクルが除去される。
【0040】
ステージ2a上の基板Wがシャワー部4bに到達すると、ステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面に向けてシャワーノズル61から洗浄液が放出され、ステージ2aの移動に伴って帯電防止膜Waの表面が洗浄されていく。そして、ステージ2a上の基板Wが乾燥部5に到達すると、ステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面に向けてエアーナイフ5aから乾燥用の気体が放出され、ステージ2aの移動に伴って帯電防止膜Waの表面が乾燥されていく。
【0041】
このような基板処理工程によれば、処理液を含む布11bがステージ2aの移動に伴って弾性体11aによりステージ2a上の帯電防止膜Waの表面に押し付けられながら、基板W上の帯電防止膜Waの表面を払拭する。これにより、ステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waからフッ素イオンをまとうパーティクルを除去することができる。さらに、処理液により濡れた状態の回転ブラシは回転しながら基板W上の帯電防止膜Waの表面をブラッシングするため、ステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waからフッ素イオンをまとうパーティクルを確実に除去することができる。また、ステージ2aの移動に伴って高圧シャワーノズル51がステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面に向けて洗浄液を放出し、次いで、二流体スリットノズル52がステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面に向けて気液混合体を噴射する。これにより、ステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waから、その帯電防止膜Waの表面に浮上(析出)したパーティクルを除去することができる。
【0042】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、基板W上の帯電防止膜Waの表面に接触して相対移動し、その帯電防止膜Waの表面を払拭するワイプ部材11を設けることによって、基板W上の帯電防止膜Waからパーティクルを除去することが可能となる。これにより、人による手洗浄が不要となるため、生産速度を向上させることができ、加えてコストも抑えることができる。さらに、フッ素イオンをまとうパーティクルが靄状(もや状)の膜となって残ってしまうことを抑えることが可能となるので、確実なパーティクル除去を実現することができる。
【0043】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について図3を参照して説明する。
【0044】
第2の実施形態は基本的に第1の実施形態と同様である。このため、第2の実施形態では、第1の実施形態との相違点(ワイプ部3a1)について説明し、第1の実施形態で説明した部分と同一部分は同一符号で示し、その説明も省略する。
【0045】
図3に示すように、第2の実施形態に係るワイプ部3a1において、ワイプ部材11の弾性体11aは、基板Wの搬送方向A1(図3中の右方向)の上流側に倒されてステージ2a上の基板Wの表面に対して所定角度で傾斜する傾斜部B1と、その傾斜部B1につながって基板Wの搬送方向A1に沿って所定距離(例えば基板Wの搬送方向A1の長さ以上の距離)だけ伸びる延伸部B2とを有している。また、布11bは、傾斜部B1及び延伸部B2における搬送機構2b側の表面(図3中の下側の面)に設けられている。
【0046】
このワイプ部材11を保持するため、保持部材12と協力してワイプ部材11を保持する保持フレーム15が設けられている。この保持フレーム15は保持部材12と一緒に支持アーム13により支持されている。
【0047】
図3に示すように、延伸部B2の基板Wの搬送方向A1の長さは、基板Wの搬送方向A1の長さ(基板Wの長手方向長さ)以上でなくても良いが、基板Wの長手方向長さ以上であることが好ましい。この場合、基板が延伸部B2の下を通過するときに、基板Wの長手方向長さ全体が延伸部B2に覆われることになる。これによって延伸部B2に均等に力が加わることになるため、基板Wの表面全体がワイプ部材11に均一な力で押し付けられ、均等なワイピングが行われる。
【0048】
このワイプ部材11の布11bには、液供給部14によって処理液が供給されているが、第2の実施形態では、布11bの一部分だけが処理液を含んで濡れた状態に維持されている。詳述すると、布11bは、帯電防止膜Waの表面と接触する部分を含み基板Wの搬送方向上流側の領域(上流領域)が処理液によって濡れており、その基板Wの搬送方向下流側の領域(下流領域)が乾燥している状態である。この状態を得るために、液供給部14から布11bに供給される処理液は、たとえばアルコールであればそれが揮発性であることも考慮し、弾性体11aの延伸部B2を覆う布11bの、例えば基板Wの搬送方向下流側半分の領域が乾燥した状態に保たれるようにその量が調整される。
【0049】
このようなワイプ部3a1では、ステージ2a上の基板Wがワイプ部3a1に到達すると、ステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面がワイプ部材11の布11bに接触する。その後、ステージ2aの移動に伴い、ワイプ部材11の弾性体11aは基板Wの搬送方向上流側から徐々に厚さが薄くなるように変形していく。この弾性体11aによって布11bはステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面に対して所定荷重で押し付けられ、ステージ2aの移動に伴って帯電防止膜Waの表面を払拭する。このとき、布11bは、その上流領域が液供給部14による処理液の供給によって処理液を含んだ状態になり、その下流領域が乾燥した状態になっている。
【0050】
この処理液を含む上流領域の布11bによってステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面が払拭され、さらにその後、乾燥した下流領域の布11bによってステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面が払拭される。これにより、処理液により濡れた状態の布による一段目のワイプと、乾燥した状態の布による二段目のワイプとが実行される。二段目のワイプでは、ステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面に存在する処理液が拭き取られることになる。このような連続したワイプにより、ステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waからフッ素イオンをまとうパーティクルが確実に除去される。なお、ステージ2a上の基板Wがワイプ部材11を通り過ぎると、ワイプ部材11は元の形状に戻る。
【0051】
以上説明したように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、処理液を含む上流領域の布11bによってステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面を払拭し、その後、乾燥した下流領域の布11bによってステージ2a上の基板Wの帯電防止膜Waの表面を払拭することによって、フッ素イオンをまとうパーティクルをより確実に除去することが可能となるため、より確実なパーティクル除去を実現することができる。
【0052】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について図4を参照して説明する。
【0053】
第3の実施形態は基本的に第2の実施形態と同様である。このため、第3の実施形態では、第2実施形態との相違点(ワイプ部3a2)について説明し、第2の実施形態で説明した部分と同一部分は同一符号で示し、その説明も省略する。
【0054】
図4に示すように、第3の実施形態に係るワイプ部3a2は、第2の実施形態と同様、ワイプ部材11の弾性体11a1が、傾斜部B1と延伸部B2とを有し、布11bは傾斜部B1及び延伸部B2における搬送機構2b側の表面に設けられている。また、先に述べた下流領域に対応する延伸部B2の上面に接するように、第1のエア供給機構20が設けられる。さらに弾性体11a1の延伸部B2には、その厚さ方向に延び、かつ厚さ方向両端部に開口する図示しない複数の微細孔が設けられており、第1のエア供給機構20からのエアが微細孔を通って布11bに供給されるようになっている。さらに、ワイプ部3a2の下流側には、第2のエア供給機構30が設けられ、この第2のエア供給機構30は、ワイプ部3a2の延伸部B2の布11b表面に対してエアを供給することが可能なように設けられている。第2の実施形態と同様、布11bはその上流領域が液供給部14による処理液の供給によって処理液を含んだ状態となり、その下流領域が乾燥した状態となっている。布11bには帯電防止膜Waの表面を払拭することによって、帯電防止膜Waの表面に付着していたパーティクルが付着する。特に、下流側ほど上流側で払拭されたパーティクルが押し寄せられ、多数のパーティクルが付着しやすくなる。第1のエア供給機構20および第2のエア供給機構30は、このパーティクルを吹き飛ばすための機構であって、基板Wが搬送されていないときに、布11bに向かってエアを吹き付けることによって布11bの表面に付着したパーティクルが除去される。さらに、布11bの下流側を常に乾燥させることができるので、処理液に濡れた状態の布11bによる一段目ワイプと乾燥した状態の布11bでの二段目のワイプとを連続して実行できる。さらに、このように、濡れた状態の布11bでのワイプと乾燥した状態の布11bでのワイプとの間の時間が少ない方が、パーティクルの除去が効果的に行える。これは、濡れた状態の布11bでワイプされることによって布11bに供給された処理液が基板Wの表面に付着して基板Wの表面が濡れた状態となり、さらにこの処理液中に基板W表面に付着しているパーティクルが浮き出た状態となって、基板Wの表面が乾燥してしまう前に、乾燥した状態の布11bで二段目のワイプを連続的に行うことによって、浮き出たパーティクルを除去することができるためである。
【0055】
(他の実施形態)
前述の第1乃至第3の実施形態においては、搬送部2として、ステージ2a及び搬送機構2bを用いているが、これに限るものではなく、例えば、複数の搬送ローラを所定間隔で平行に並べて用いるようにしても良い。
【0056】
また、前述の第1乃至第3の実施形態においては、基板Wの上面(図1中)に対して処理、洗浄及び乾燥を行っているが(片面処理)、これに限るものではなく、例えば、基板Wの上下面(図1中)の両面に対して処理、洗浄及び乾燥を行うようにしても良く(両面処理)、基板Wの上面側に加え、基板Wの下面側にシャワーノズル21や回転ブラシ31、各シャワーノズル32、41及び61、エアーナイフ5aなどを設けるようにしても良い。この場合には、搬送部2として、例えば、前述の複数の搬送ローラを用いることで、基板Wの下面への処理を可能とすることができる。
【0057】
また、前述の第1又は第2の実施形態においては、基板Wの帯電防止膜Waの表面に浮上(析出)したパーティクルを除去するため、高圧シャワーノズル51及び二流体スリットノズル52の両方を設けているが、これに限るものではなく、どちらか一方のみでも良い。また、リンス部3b、ブラシ部3c、リンス部3d、洗浄部4は、基板Wを液体に浸漬させて超音波を印加する超音波洗浄など、その他の公知の洗浄方法を採用したり、またそれらを組み合わせたりするようにしても良い。
【0058】
さらに、上記実施形態において、ワイプ部3a(3a1、3a2)における液供給部14は、図3に示すような、二股に分岐したノズルNを採用することが好ましく、この二股に分岐したノズルNをいくつも連結させた形状が好ましい。この連結されたノズルNが、ワイプ部材11(第2の実施形態、第3の実施形態においては傾斜部B1)の基板Wの搬送方向A1と直交する方向に沿って複数設けられている。複数のノズルそれぞれの配置位置は、布11bの搬送方向A1と直交する方向において、隙間なく処理液が供給されるように配置され、それぞれのノズルから同時に吐出される。ノズルからの供給圧、ノズル内径は、図5に示すように最適な条件があり、供給圧とノズル内径を調整することによって、布11bに供給される処理液の量を制御している。なお、前述の通り、液供給部14から供給される処理液はアルコールを含む液体であることが好ましい。アルコールを含む処理液は揮発性を有するため、布11bに供給された直後から蒸発が始まる。この蒸発の速度との兼ね合いからノズルからの処理液吐出量、ひいてはノズルからの供給圧、ノズル内径が決定される。さらに、第2の実施形態および第3の実施形態においては、フレーム15の基板W搬送方向A1の上流側一端の真下まで、布11bに処理液を含ませるように処理液を供給することが好ましい。
【0059】
図5は、ワイプ部3a(3a1、3a2)における液供給部14からの供給圧、液供給部14の液吐出口の内径と、その処理結果を表している。○は、処理が良好である(清浄な基板が得られる)ことを表し、△はある程度処理が良好、×は処理が不良であることを表す(目視にて確認)。また、この測定の条件は、液供給部14から供給される液体がアルコールを含む液体であり、液供給部14の液吐出口から布11bまでの距離が0.3〜3.0mmであり、布11bにおける塗布領域は、幅(基板Wの搬送方向A1と直交する方向の長さ)が15〜40mm、高さ(幅方向と直交する方向の長さ)が15〜70mmであり、液供給部14からの液吐出タイミングがワイプ部材11に基板Wの表面が接触する0.3〜5秒前に行われる場合である。
【0060】
ワイプ部3a(3a1、3a2)における液供給部14からの液供給の圧は、0.05〜0.8MPaであることが好ましく、0.5MPaであることが最も好ましい。液供給部14の液吐出口の内径は、0.5〜1.0mmまでであることが好ましく、さらに、0.8mmであることが最も好ましい。
【0061】
さらに、上記実施の形態においては、ステージ2aに基板Wを支持し、搬送することによって処理を行うが、これに限らず、固定設置された基板Wに対してワイプ部3a(3a1、3a2)側が移動しても良く、基板Wとワイプ部3a(3a1、3a2)とが相対的に移動可能であれば良い。
【0062】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1 基板処理装置
11 ワイプ部材
11a 弾性体
11b 布
14 液供給部
4 洗浄部
5 乾燥部
B1 傾斜部
B2 延伸部
W 基板
Wa 帯電防止膜
図1
図2
図3
図4
図5