特許第5917648号(P5917648)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5917648光ファイバケーブル端末具及び光ファイバケーブル接続方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5917648
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】光ファイバケーブル端末具及び光ファイバケーブル接続方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/46 20060101AFI20160428BHJP
【FI】
   G02B6/46
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-209028(P2014-209028)
(22)【出願日】2014年10月10日
(65)【公開番号】特開2016-80759(P2016-80759A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2014年10月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】399041158
【氏名又は名称】西日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 裕介
【審査官】 里村 利光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−345179(JP,A)
【文献】 特開2003−057013(JP,A)
【文献】 特開2006−201662(JP,A)
【文献】 実用新案登録第3185692(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
G02B 6/00
6/02
6/245−6/25
6/46−6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光回線終端装置に接続されるコネクタ部を有する通信用光ファイバケーブルと、前記光回線終端装置の状態表示灯に対向配置される導光用光ファイバケーブルとを備え、
前記導光用光ファイバケーブルが、前記状態表示灯に向き合う対向端部と、当該対向端部から導波した前記状態表示灯の点灯光を外部に放射する発光部と、前記対向端部及び前記発光部間の途中でループ状に保たれたキンク部とを有し、
前記通信用光ファイバケーブルと前記導光用光ファイバケーブルが前記キンク部よりも発光部側で、結束バンド、テープ等により拘束された、又は、ケーブル同士が接着された一体化部を有し、
前記通信用光ファイバケーブルが、前記コネクタ部と前記光回線終端装置の接続状態時に当該コネクタ部及び前記一体化部間で自由に伸び得る曲線部を形成可能になっており、
前記接続状態時に前記通信用光ファイバケーブルが引っ張られたとき、当該通信用光ファイバケーブルの前記コネクタ部及び前記一体化部間が緊張する前に、当該一体化部を介して引っ張られる前記キンク部のループ径が小さくなることによって前記発光部の減光が生じる光ファイバケーブル端末具。
【請求項2】
前記キンク部が、結び目をもたないループ状に設けられており、
前記キンク部をループ状に保つケーブルホルダをさらに備える請求項1に記載の光ファイバケーブル端末具。
【請求項3】
通信デバイスに装着された光回線終端装置に、通信用光ファイバケーブルのコネクタ部を接続する工程と、
前記光回線終端装置の状態表示灯と導光用光ファイバケーブルの対向端部を向き合わせた状態に維持する工程と、
前記導光用光ファイバケーブルのうち、前記光回線終端装置の状態表示灯と向き合わせる対向端部と、当該対向端部から導波した前記状態表示灯の点灯光を外部に放射する発光部との間の途中でループ状に保たれたキンク部を設ける工程と、
前記通信用光ファイバケーブルと前記導光用光ファイバケーブルを、前記キンク部よりも発光部側で、結束バンド、テープ等により拘束し、又は、ケーブル同士を接着して一体化部を設ける工程と、
前記コネクタ部と前記光回線終端装置の接続状態時に前記通信用光ファイバケーブルが引っ張られたとき、当該通信用光ファイバケーブルの当該コネクタ部及び前記一体化部間が緊張する前に、当該一体化部を介して引っ張られる前記キンク部のループ径が小さくなることによって前記発光部の減光が生じるように、当該通信用光ファイバケーブルの当該コネクタ部及び当該一体化部間で自由に伸び得る曲線部を形成する工程と、を含む光ファイバケーブル接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通信デバイスに直接着脱可能な光回線終端装置に光ファイバケーブルを接続することに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光通信サービスの加入者側の通信デバイスやネットワーク装置の多様化に伴い、加入者側の通信デバイスに直接着脱可能な小型の光回線終端装置の提案・開発がなされている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この種の光回線終端装置の中には、光通信の正常性等を目視で確認可能とするための状態表示灯を備えるものがある。状態表示灯は、光通信用コネクタ部付近に配置されており、状態表示灯に対して、通信用の光ファイバケーブルのコネクタ部を光通信用コネクタ部に接続する方向から目視可能となっている。このような光回線終端装置として、SFP(Small Form factor Pluggable)規格に準じたものが挙げられる。
【0004】
また、一般に、加入者側では、光通信接続後に加入者が通信用の光ファイバケーブルを引っ張って配線位置をずらしたり、通信デバイスの設置位置をずらしたりすることがあり、この際、光回線終端装置に接続された通信用の光ファイバケーブルが異常に引っ張られる可能性がある。これに対して、光通信用コネクタ部を光回線終端装置の筐体内に収納し、かつ光ファイバケーブルを筐体内で固定することで、光ファイバケーブルを確実に固定し、光ファイバの物理的な故障を防止することが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4903812号公報
【特許文献2】特開2008−151994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された光回線終端装置は、任意の通信デバイスに差し込むような使い方を前提として、光ファイバケーブルのコネクタ部及び光通信コネクタ部が通信デバイスから大きく突出する接続構造を採用している。この場合、加入者側の設置環境によっては、物や人がぶつかることなどによる光ファイバケーブルや光回線終端装置の物理的な故障が懸念される。
【0007】
一方、光回線終端装置を通信デバイスの筐体で隠せる内側空間に収納すると、物や人が光回線終端装置にぶつかる事態を防ぐことは可能だが、状態表示灯の点灯光を目視確認することが難しくなる、という問題が生じる。また、その筐体に対して光ファイバケーブルの固定を行うと、光ファイバケーブル及び光回線終端装置の着脱作業性が悪化する、という問題も生じる。
【0008】
上述の背景に鑑み、この発明が解決しようとする課題は、光回線終端装置を通信デバイスの筐体内側に収納した場合であっても状態表示灯の目視確認性が悪化することを抑え、また、光回線終端装置の着脱作業性が悪化しないように、通信用の光ファイバケーブルが引っ張られた際の損傷を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、第1の発明は、光回線終端装置に接続されるコネクタ部を有する通信用光ファイバケーブルと、前記光回線終端装置の状態表示灯に対向配置される導光用光ファイバケーブルとを備え、前記導光用光ファイバケーブルが、前記状態表示灯に向き合う対向端部と、当該対向端部から導波した前記状態表示灯の点灯光を外部に放射する発光部と、前記対向端部及び前記発光部間の途中でループ状に保たれたキンク部とを有し、前記通信用光ファイバケーブルと前記導光用光ファイバケーブルが前記キンク部よりも発光部側でくっ付けられた一体化部を有し、前記通信用光ファイバケーブルが、前記コネクタ部と前記光回線終端装置の接続状態時に当該コネクタ部及び前記一体化部間で自由に伸び得る曲線部を形成可能になっており、前記接続状態時に前記通信用光ファイバケーブルが引っ張られたとき、当該通信用光ファイバケーブルの前記コネクタ部及び前記一体化部間が緊張する前に、当該一体化部を介して引っ張られる前記キンク部のループ径が小さくなることによって前記発光部の減光が生じる光ファイバケーブル端末具、という手段を採用したものである。
【0010】
上記の課題を解決するため、第2の発明は、通信デバイスに装着された光回線終端装置に、通信用光ファイバケーブルのコネクタ部を接続する工程と、前記光回線終端装置の状態表示灯と導光用光ファイバケーブルの対向端部を向き合わせた状態に維持する工程と、前記導光用光ファイバケーブルのうち、前記光回線終端装置の状態表示灯と向き合わせる対向端部と、当該対向端部から導波した前記状態表示灯の点灯光を外部に放射する発光部との間の途中でループ状に保たれたキンク部を設ける工程と、前記通信用光ファイバケーブルと前記導光用光ファイバケーブルを、前記キンク部よりも発光部側でくっ付けて一体化部を設ける工程と、前記コネクタ部と前記光回線終端装置の接続状態時に前記通信用光ファイバケーブルが引っ張られたとき、当該通信用光ファイバケーブルの当該コネクタ部及び前記一体化部間が緊張する前に、当該一体化部を介して引っ張られる前記キンク部のループ径が小さくなることによって前記発光部の減光が生じるように、当該通信用光ファイバケーブルの当該コネクタ部及び当該一体化部間で自由に伸び得る曲線部を形成する工程と、を含む光ファイバケーブル接続方法、という手段を採用した。
【発明の効果】
【0011】
上記第1の発明又は第2の発明によれば、光回線終端装置を通信デバイスの筐体内側に収納した場合であっても、導光用光ファイバケーブルによって状態表示灯の点灯光を発光部まで導ける分、点灯光の放射位置を筐体外側へずらして、状態表示灯の目視確認性が悪化することを抑えることができる。
また、上記第1の発明又は第2の発明によれば、通信用光ファイバケーブルが引っ張られた場合でも、通信用光ファイバケーブルが緊張する前に導光用光ファイバケーブルの発光部の減光現象でケーブル取扱い者に誤取扱いを知らせることができ、これにより、光回線終端装置の着脱作業性が悪化しないように、光ファイバケーブルが引っ張られた際の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(a)は、実施形態に係る光ファイバケーブル端末具を光回線終端装置に接続した時点の通信デバイスの筐体内の状態を示す作用図、(b)は、前記(a)の状態から通信用光ファイバケーブルが引っ張られた状態を示す作用図
図2】実施形態に係る光ファイバケーブル端末具を光回線終端装置に接続した時点の状態を通信デバイスの筐体上方から示す平面図
図3】実施形態に係る光ファイバケーブル端末具を光回線終端装置に接続した時点の状態を通信デバイスの筐体下方から示す斜視図
図4】実施形態に係る光ファイバケーブル端末具のケースホルダを示す斜視図
図5】実施形態に係る光ファイバケーブル端末具のケースホルダの使用状態を示す断面図
図6】実施形態に係る導光用光ファイバケーブルのキンク部の変更例を示す部分拡大正面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図2図3に示すように、実施形態に係る光ファイバケーブル端末具10は、通信デバイスの筐体20内に配置された光回線終端装置30に接続されるものである。筐体20は、通信デバイスの機器類を収容する箱体からなる。通信デバイスは、例えば、IP電話、ネットワーク接続機能を有するパーソナルコンピュータ等である。光回線終端装置30は、筐体20内で通信デバイスに直接に接続可能なプラガブルなものであって、通信用光ファイバケーブル11を接続するコネクタ付近に状態表示灯31を有している。光回線終端装置30は、例えば、SFP規格に準拠したものである。状態表示灯31は、光回線終端装置30の状態を点灯状況の変化で報知するためのものである。状態表示灯31は、例えば、ダイオードからなり、通信用光ファイバケーブル11のコネクタ部11aと通信デバイスのコネクタ部を接続する方向(図中左右)に向けられている(以下、この方向を「接続方向」と呼ぶ。)。
【0014】
光ファイバケーブル端末具10は、コネクタ部11aを有する通信用光ファイバケーブル11と、状態表示灯31に対向配置される導光用光ファイバケーブル12とを備える。
【0015】
通信用光ファイバケーブル11は、光通信網の光信号を導波する伝送媒体になる。通信用光ファイバケーブル11は、光通信サービスの加入者側において任意の通信デバイスを光通信網に接続するために使用され得る。
【0016】
導光用光ファイバケーブル12は、状態表示灯31の点灯光を筐体20の外側へ導く伝送媒体になる。導光用光ファイバケーブル12は、一般的なものでよく、例えば、Φ0.125mm石英ガラス光ファイバの外周に被覆を施した光ファイバ心線を用い、その外周に抗張力繊維と外被を施したものがある。
【0017】
図1(a)、図3に示すように、導光用光ファイバケーブル12は、状態表示灯31に向き合う対向端部12aと、対向端部12aから導波した状態表示灯31の点灯光を外部に放射する発光部12bと、対向端部12a及び発光部12b間の途中でループ状に保たれたキンク部12cとを有する。
【0018】
導光用光ファイバケーブル12の対向端部12aは、導光用光ファイバケーブル12に接続方向の引っ張り力が作用しても、導光用光ファイバケーブル12の光ファイバ端面から状態表示灯31の点灯光を導波可能位置に維持される。この維持を実現するため、対向端部12aは、コネクタ部になっており、状態表示灯31付近に設けられた通信デバイス側のコネクタ部に接続方向に接続される。コネクタ部の構造は、特に限定されず、一般的なものを適宜に採用すればよい。また、対向端部12aは、通信用光ファイバケーブル11のコネクタ部11aと一体のホルダ部で位置を維持するように設けてもよい。
【0019】
導光用光ファイバケーブル12の発光部12bは、対向端部12aと反対側の端部である先端部から状態表示灯31の点灯光を放射するようになっている。発光部12bは、筐体20から接続方向に食み出たところに配置されている。
【0020】
導光用光ファイバケーブル12のキンク部12cは、結び目をもたない一巻きのループ状に設けられている。キンク部12cは、二巻き以上にしてもよいが、ループ状の設定や維持が複雑になるので、一巻きに留めることが好ましい。
【0021】
光ファイバケーブル端末具10は、キンク部12cをループ状に保つケーブルホルダ13をさらに備える。ケーブルホルダ13は、図3図5に示すように、キンク部12cを収容するケース本体13aと、ケース本体13aに対して軸13b周りに開閉可能なケース蓋13cとで箱状体に構成されている。ケース本体13aには、発光部12bを通すケーブル孔13d、13dが形成され、一方のケーブル孔13dに発光部12bを通した状態でキンク部12cを巻き、ケース本体13a内にキンク部12cを収容可能になっている。ケース本体13aにキンク部12cが収容された状態でケース蓋13cが閉じられると、ケース本体13aとケース蓋13cの凹部13eと凸部13fが強制的に嵌合された状態になり、これにより、キンク部12cがケーブルホルダ13内に収容された状態に維持される。ケーブルホルダ13は、自己の内部に収容されたキンク部12cのループ状が解れないように、かつループ状のループ径が許容範囲を超えて大きくならないようにキンク部12cの変形を規制する。ケーブルホルダは、この規制が実現可能な限り、適宜の形状、素材で設ければよい。例えば、フィルムでキンク部12cを挟み、フィルム周囲をケーブル孔を除いて接着等で固着することにより、ケーブルホルダを設けてもよい。
【0022】
図1(a)、図3に示すように、通信用光ファイバケーブル11と導光用光ファイバケーブル12は、キンク部12cよりも発光部12b側でくっ付けられた一体化部14を有する。一体化部14は、通信用光ファイバケーブル11が接続方向に引っ張られたとき、導光用光ファイバケーブル12が共に引っ張られるようにするための引っ張り力伝達部分である。例えば、結束バンド、テープ等によって通信用光ファイバケーブル11と導光用光ファイバケーブル12が拘束されることによって一体化部14が設けられる。なお、図示は、結束バンドを用いたものになっているが、通信用光ファイバケーブル11と導光用光ファイバケーブル12の接着によって一体化部を設けてもよい。
【0023】
通信用光ファイバケーブル11は、コネクタ部11aと光回線終端装置30の接続状態時にコネクタ部11a及び一体化部14間で自由に伸び得る曲線部11bを形成可能になっている。図示例の曲線部11bは、蛇行状に形成されている。その接続状態時に、通信用光ファイバケーブル11に接続方向の引っ張り力が作用したとき、曲線部11bが伸びて直線状になるまで、通信用光ファイバケーブル11が緊張しない。このとき、導光用光ファイバケーブル12の対向端部12aが状態表示灯31の点灯光を導波可能位置に維持されているので、一体化部14を介して導光用光ファイバケーブル12も引っ張られ、図1(b)に示すように、キンク部12cのループ径が小さくなる。キンク部12cのループ径が小さくなるに連れて、キンク部12cでの光損失が増大する。
【0024】
ここで、コネクタ部11aと光回線終端装置30の接続状態時に通信用光ファイバケーブル11が引っ張られたとき、図1(a)に示す曲線部11bが図1(b)に示すように伸びてコネクタ部11a及び一体化部14間が緊張するまでに生じる接続方向の伸び量をL1とする。また、一体化部14を介して導光用光ファイバケーブル12が引っ張られたとき、図1(a)に示すキンク部12cのループ径が図1(b)に示すように小さくなることによって発光部12bへの導波が無くなるまでに対向端部12a及び一体化部14間に生じる接続方向の伸び量をL2とする。通信用光ファイバケーブル11のコネクタ部11a及び一体化部14間の自然長、導光用光ファイバケーブル12の対向端部12a及び一体化部14間の自然長の設定次第で、L1とL2の大小関係を任意に設定することができる。通信用光ファイバケーブル11に許された伸び量L1の方が、導光用光ファイバケーブル12に許された伸び量L2よりも大きく設定されている。このため、コネクタ部11aと光回線終端装置30の接続状態時に通信用光ファイバケーブル11が引っ張られたとき、通信用光ファイバケーブル11のコネクタ部11a及び一体化部14間が緊張する前に、一体化部14を介して引っ張られるキンク部12cのループ径が小さくなることによって(すなわち、キンク部12cでの光損失増大によって)発光部12bの減光が生じ、状態表示灯31の点灯光が発光部12bまで導波しなくなる。
【0025】
光ファイバケーブル端末具10は、一体化部14、キンク部12cを設け、L1、L2を調整済みの状態で出荷してもよいが、通信デバイスが設置された現場で一体化部14、キンク部12cを設け、L1、L2を調整する光ファイバケーブル接続方法を実施することも可能である。すなわち、作業者は、通信デバイスに装着された光回線終端装置30に、通信用光ファイバケーブル11のコネクタ部11aを接続する工程を実施することができる。また、作業者は、導光用光ファイバケーブル12の対向端部12aをコネクタ接続で通信デバイスに接続し、状態表示灯31と対向端部12aを向き合わせた状態に維持する工程を実施することができる。また、作業者は、導光用光ファイバケーブル12の対向端部12aと、発光部12bとの間の途中でループ状を形成し、ケースホルダ13によってループ状に保たれたキンク部12cを設ける工程を実施することができる。また、作業者は、結束バンド等により、通信用光ファイバケーブル11と導光用光ファイバケーブル12を、キンク部12cよりも発光部12b側で部分的にくっ付けて一体化部14を設ける工程を実施することができる。また、作業者は、通信用光ファイバケーブル11のコネクタ部11a及び一体化部14間の自然長や導光用光ファイバケーブル12の対向端部12a及び一体化部14間の自然長を調整し、L1、L2を設定し、曲線部11bを形成する工程を実施することができる。これら工程は、実施順序を問わないが、一体化部14を設ける位置や、L1、L2の設定を容易化するため、調整目安となる目印、目盛等の調整用表示を有する通信用光ファイバケーブル11と導光用光ファイバケーブル12を用いてもよい。
【0026】
実施形態の光ファイバケーブル端末具10、光ファイバケーブル接続方法は、上述のようなものであり、光回線終端装置30を通信デバイスの筐体20の内側に収納した場合であっても、導光用光ファイバケーブル12によって状態表示灯31の点灯光を発光部12bまで導ける分、点灯光の放射位置を筐体20の外側へずらして、状態表示灯31の目視確認性が悪化することを抑えることができる。
【0027】
また、実施形態の光ファイバケーブル端末具10、光ファイバケーブル接続方法は、通信デバイスに対する光回線終端装置30の着脱作業に際し、通信用光ファイバケーブル11、導光用光ファイバケーブル12の固定先が光回線終端装置30以外に存在せず、光回線終端装置の着脱作業性が悪化しない。
【0028】
また、実施形態の光ファイバケーブル端末具10、光ファイバケーブル接続方法は、通信用光ファイバケーブル11が引っ張られた場合でも、通信用光ファイバケーブル11が緊張する前に導光用光ファイバケーブル12の発光部12bの減光現象でケーブル取扱い者に誤取扱いを知らせることができ、これにより、通信用光ファイバケーブル11が引っ張られた際の損傷を防止することができる。
【0029】
なお、実施形態の光ファイバケーブル端末具10、光ファイバケーブル接続方法においては、ケースホルダ13を用い、結び目をもたないキンク部12cを採用したが、図6に示すように、結び目12dを有するキンク部12c’を採用することも可能である。この場合、前述の引っ張りによってキンク部12c’の結び目12dが締まるため、引っ張りがなくなってから、キンク部12c’が弾性反発でループ径の大きさを自己回復せず、人間の手で筐体20外から導光用光ファイバケーブルを接続方向に押して結び目12dを緩めてループ径の大きさを復元しなければならない。
【0030】
一方、結び目をもたないループ状のキンク部12cを設け、キンク部12cをループ状に保つケーブルホルダ13を備える場合、前述の引っ張りがなくなってから、キンク部12cが弾性反発でループ径の大きさを自己回復する点で、前述の復元作業の煩わしさがなく、キンク部12cの無効化を避けることができる。この発明の技術的範囲は、上述の実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載に基く技術的思想の範囲内での全ての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0031】
10 光ファイバケーブル端末具
11 通信用光ファイバケーブル
11a コネクタ部
11b 曲線部
12 導光用光ファイバケーブル
12a 対向端部
12b 発光部
12c 12c’ キンク部
13 ケーブルホルダ
14 一体化部
20 筐体
30 光回線終端装置
31 状態表示灯
図1
図2
図3
図4
図5
図6