特許第5917672号(P5917672)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5917672-半導体装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5917672
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20160428BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20160428BHJP
   H01L 29/423 20060101ALI20160428BHJP
   H01L 29/49 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
   H01L29/78 301X
   H01L29/58 G
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-255450(P2014-255450)
(22)【出願日】2014年12月17日
(62)【分割の表示】特願2014-527412(P2014-527412)の分割
【原出願日】2013年1月25日
(65)【公開番号】特開2015-84441(P2015-84441A)
(43)【公開日】2015年4月30日
【審査請求日】2014年12月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】311014428
【氏名又は名称】ユニサンティス エレクトロニクス シンガポール プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Unisantis Electronics Singapore Pte Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(72)【発明者】
【氏名】舛岡 富士雄
(72)【発明者】
【氏名】中村 広記
【審査官】 市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−172164(JP,A)
【文献】 特開2004−356314(JP,A)
【文献】 特開平09−252125(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0251825(US,A1)
【文献】 特開2012−004473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 29/423
H01L 29/49
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1017cm-3以下の不純物濃度である柱状半導体と、
前記柱状半導体を取り囲む第1の絶縁物と、
前記柱状半導体の一端の前記第1絶縁物を取り囲む第1の金属と、
前記柱状半導体の他方の一端の前記第1の絶縁物を取り囲む第2の金属と、
前記第1の金属と前記第2の金属とに挟まれた領域で前記第1の絶縁物を取り囲む第3の金属と、
前記第1の金属と前記第3の金属との間に形成された第2の絶縁物と、
前記第2の金属と前記第3の金属との間に形成された第3の絶縁物と、
前記第1の金属と前記柱状半導体の一端とは電気的に接続されるのであって、
前記第2の金属と前記柱状半導体の他方の一端とは電気的に接続されるのであって、
前記第3の金属の仕事関数は4.2eVから5.0eVの間であることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記柱状半導体は、シリコンであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の金属と前記第2の金属の仕事関数は4.0eVから4.2eVの間であることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1の金属と前記第2の金属の仕事関数は5.0eVから5.2eVの間であることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置の製造方法、及び、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路、特にMOSトランジスタを用いた集積回路は、高集積化の一途を辿っている。この高集積化に伴って、その中で用いられているMOSトランジスタはナノ領域まで微細化が進んでいる。このようなMOSトランジスタの微細化が進むと、リーク電流の抑制が困難であり、必要な電流量確保の要請から回路の占有面積をなかなか小さくできない、といった問題があった。このような問題を解決するために、基板に対してソース、ゲート、ドレインが垂直方向に配置され、ゲート電極が柱状半導体層を取り囲む構造のSurrounding Gate Transistor(以下、「SGT」という。)が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3を参照)。
【0003】
シリコン柱が細くなると、シリコンの密度は5×1022個/cm3であるから、シリコン柱内に不純物を存在させることが難しくなってくる。
【0004】
従来のSGTでは、チャネル濃度を1017cm-3以下と低不純物濃度とし、ゲート材料の仕事関数を変えることによってしきい値電圧を決定することが提案されている(例えば、特許文献4を参照)。
【0005】
平面型MOSトランジスタにおいて、LDD領域のサイドウォールが低濃度層と同一の導電型を有する多結晶シリコンにより形成され、LDD領域の表面キャリアがその仕事関数差によって誘起され、酸化膜サイドウォールLDD型MOSトランジスタに比してLDD領域のインピーダンスが低減できることが示されている(例えば、特許文献5を参照)。その多結晶シリコンサイドウォールは電気的にゲート電極と絶縁されていることが示されている。また図中には多結晶シリコンサイドウォールとソース・ドレインとは層間絶縁膜により絶縁していることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−71556号公報
【特許文献2】特開平2−188966号公報
【特許文献3】特開平3−145761号公報
【特許文献4】特開2004−356314号公報
【特許文献5】特開平11−297984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、トランジスタを金属と半導体との仕事関数差によって形成する構造を持つSGTを提供することを目的とする。
【0008】
本発明の半導体装置は、1017cm-3以下の不純物濃度の柱状半導体と、前記柱状半導体を囲む第1の絶縁物と、前記柱状半導体の一端の前記第1の絶縁物を取り囲む第1の金属と、前記柱状半導体の他方の一端の前記第1の絶縁物を取り囲む第2の金属と、前記第1の金属と前記第2の金属とに挟まれた領域で前記第1の絶縁物を取り囲む第3の金属と、前記第1の金属と前記第3の金属との間に形成された第2の絶縁物と、前記第2の金属と前記第3の金属との間に形成された第3の絶縁物と、前記第1の金属と前記柱状半導体の一端とを接続する第4の金属と、前記第2の金属と前記柱状半導体の他方の一端とを接続する第5の金属を有し、前記第3の金属の仕事関数は4.2eVから5.0eVの間であることを特徴とする。
【0009】
また、前記半導体は、シリコンであることを特徴とする。
【0010】
また、前記第1の金属と前記第2の金属の仕事関数は4.0eVから4.2eVの間であることを特徴とする。
【0011】
また、前記第1の金属と前記第2の金属の仕事関数は5.0eVから5.2eVの間であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、トランジスタを金属とシリコンとの仕事関数差によって形成する構造を持つSGTを提供することができる。
【0013】
前記柱状シリコンの一端の前記第1の絶縁物を取り囲む第1の金属と、前記柱状シリコンの他方の一端の前記第1の絶縁物を取り囲む第2の金属と、によって、金属とシリコンとの仕事関数差によってキャリアが誘起されるため、第1の金属と前記第2の金属の仕事関数が4.0eVから4.2eVの間であればn型トランジスタとなり、前記第1の金属と前記第2の金属の仕事関数が5.0eVから5.2eVの間であればp型トランジスタとなる。不純物が柱状シリコン内に存在しない状態でトランジスタ動作が可能となる。従って、拡散層を形成するための不純物注入が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)は本発明に係る半導体装置の鳥瞰図である。(b)は(a)のX−X’面での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る、SGTの構造を有する半導体装置を、図1を参照しながら説明する。
【0016】
基板110上に、1017cm-3以下の不純物濃度の柱状シリコン101と、前記柱状シリコン101を囲む第1の絶縁物102と、前記柱状シリコン101の一端の前記第1の絶縁物102を取り囲む第1の金属104と、前記柱状シリコン101の他方の一端の前記第1の絶縁物102を取り囲む第2の金属105と、前記第1の金属104と前記第2の金属105とに挟まれた領域で前記第1の絶縁物102を取り囲む第3の金属103と、前記第1の金属104と前記第3の金属103との間に形成された第2の絶縁物107と、前記第2の金属105と前記第3の金属103との間に形成された第3の絶縁物106と、前記第1の金属104と前記柱状シリコン101の一端とを接続する第4の金属108と、前記第2の金属105と前記柱状シリコン101の他方の一端とを接続する第5の金属109を有し、前記第3の金属103の仕事関数は4.2eVから5.0eVの間であることを特徴とする。
【0017】
第4の金属108により、前記第1の金属104と前記柱状シリコン101の一端とは同電位が印加される。
【0018】
第5の金属109により、前記第2の金属105と前記柱状シリコン101の他方の一端とは同電位が印加される。
【0019】
従って、柱状シリコン101の一端と他方の一端は、金属とシリコンとの仕事関数差によってキャリアが誘起されることとなる。
【0020】
前記第1の金属104と前記第2の金属105の仕事関数が4.0eVから4.2eVの間であるとき、n型シリコンの仕事関数4.05eVの近傍であるため、柱状シリコン101の一端と他方の一端は、n型シリコンとして機能する。前記第1の金属104と前記第2の金属105は、例えば、タンタルとチタンの化合物(TaTi)や窒化タンタル(TaN)が好ましい。
【0021】
前記第1の金属104と前記第2の金属105の仕事関数が5.0eVから5.2eVの間であるとき、p型シリコンの仕事関数5.15eVの近傍であるため、柱状シリコン101の一端と他方の一端は、p型シリコンとして機能する。前記第1の金属104と前記第2の金属105は、例えば、ルテニウム(Ru)や窒化チタン(TiN)が好ましい。
【0022】
このとき、前記第3の金属103の仕事関数は4.2eVから5.0eVの間であると、エンハンスメント型として動作することができる。
【0023】
上記により、前記第1の金属104と前記第2の金属105の仕事関数が4.0eVから4.2eVの間であるとき、n型シリコンの仕事関数4.05eVの近傍であるため、柱状シリコン101の一端と他方の一端は、n型シリコンのソースドレインとして機能し、柱状シリコン101の第3の金属103に取り囲まれる部分は、i型シリコン、もしくは薄い濃度のn型シリコン、もしくは薄い濃度のp型シリコンとして機能する。従って、n型トランジスタとして機能する。
【0024】
また、前記第1の金属104と前記第2の金属105の仕事関数が5.0eVから5.2eVの間であるとき、p型シリコンの仕事関数5.15eVの近傍であるため、柱状シリコン101の一端と他方の一端は、p型シリコンのソースドレインとして機能し、柱状シリコン101の第3の金属103に取り囲まれる部分は、i型シリコン、もしくは薄い濃度のn型シリコン、もしくは薄い濃度のp型シリコンとして機能する。従って、p型トランジスタとして機能する。
【0025】
以上により、不純物が柱状シリコン内に存在しない状態でトランジスタ動作が可能となる。従って、拡散層を形成するための不純物注入が不要となる。
【0026】
なお、本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明の一実施例を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0027】
101.柱状シリコン
102.第1の絶縁物
103.第3の金属
104.第1の金属
105.第2の金属
106.第3の絶縁物
107.第2の絶縁物
108.第4の金属
109.第5の金属
110.基板
図1