(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記流体容器が、IVバッグであり、前記第1のデバイスが、前記IVバッグ上または前記IVバッグ内で結合される音響タグであり、前記第2のデバイスが、患者への前記流体の投与を円滑化するように構成された医用ポンプである、請求項1に記載の方法。
前記流体容器が、飲料シロップバッグであり、前記第1のデバイスが、前記飲料シロップバッグ上または前記飲料シロップバッグ内で結合される音響タグであり、前記第2のデバイスが、飲料を分配するように構成された飲料ディスペンサである、請求項1に記載の方法。
前記流体容器が、静注(IV)輸液バッグおよび飲料シロップバッグの一方であり、前記流体ディスペンサデバイスが、患者への前記流体の投与を円滑化するように構成された医用ポンプおよび飲料を分配するように構成された飲料ディスペンサの一方である、請求項9に記載のシステム。
前記流体容器が、IVバッグであり、前記第1のデバイスが、前記IVバッグ上または前記IVバッグ内で結合される音響タグであり、前記第2のデバイスが、患者への前記流体の投与を円滑化するように構成された医用ポンプである、請求項14に記載のシステム。
前記流体容器が、飲料シロップバッグであり、前記第1のデバイスが、前記飲料シロップバッグ上または前記飲料シロップバッグ内で結合される音響タグであり、前記第2のデバイスが、飲料を分配するように構成された飲料ディスペンサである、請求項14に記載のシステム。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】IV輸液の実施形態において使用するのに適した輸液通信システムの図である。
【
図2】第1の実施形態による、音響タグの構成要素ブロック図である。
【
図3】一実施形態による、音響タグの構成要素ブロック図である。
【
図4】第3の実施形態による、音響タグの構成要素ブロック図である。
【
図5】第4の実施形態による、音響タグの構成要素ブロック図である。
【
図6】第5の実施形態による、音響タグの構成要素ブロック図である。
【
図7A】第6の実施形態による、音響タグの構成要素ブロック図である。
【
図7B】第7の実施形態による、音響タグの構成要素ブロック図である。
【
図8A】第8の実施形態による、音響タグの構成要素ブロック図である。
【
図8B】第9の実施形態による、音響タグの構成要素ブロック図である。
【
図9】音響波伝搬を含む、音響タグが流体容器の外側表面上に配置される第1の実施形態の構成を示す図である。
【
図10】音響波伝搬を含む、音響タグが流体容器の構造内部に配置される第2の実施形態の構成を示す図である。
【
図11】音響波伝搬を含む、音響タグが流体容器の内側表面上に配置される第3の実施形態の構成を示す図である。
【
図12】音響波伝搬を含む、音響タグが流体容器内の流体の中に配置される第4の実施形態の構成を示す図である。
【
図13】第1の実施形態による、音響モデムユニットの構成要素ブロック図である。
【
図14】第2の実施形態による、音響モデムユニットの構成要素ブロック図である。
【
図15】第3の実施形態による、音響モデムユニットの構成要素ブロック図である。
【
図16】第4の実施形態による、音響モデムユニットの構成要素ブロック図である。
【
図17】第5の実施形態による、音響モデムユニットの構成要素ブロック図である。
【
図18】第1の実施形態による、受動音響タグの構成要素ブロック図である。
【
図19】第2の実施形態による、受動音響タグの構成要素ブロック図である。
【
図20】第3の実施形態による、受動音響タグの構成要素ブロック図である。
【
図21】一実施形態における使用に適した輸液ポンピングユニットの構成要素ブロック図である。
【
図22】IV輸液ポンピングユニットの一実施形態の切り欠き斜視図である。
【
図23】音響タグのメモリ内に記憶できる流体情報の例示的な要素のデータ構造図である。
【
図24】輸液を介する音響通信を使用する輸液識別のための方法の第1の実施形態を示すプロセスフロー図である。
【
図25】輸液を介する音響通信を使用する輸液識別のための方法の第2の実施形態を示す別のプロセスフロー図である。
【
図26】輸液を介する音響通信を使用する輸液識別のための方法の第3の実施形態を示す別のプロセスフロー図である。
【
図27】輸液を介する音響通信を使用する輸液識別のための方法の第4の実施形態を示す別のプロセスフロー図である。
【
図28】輸液を介する音響通信を使用する輸液識別のための方法の第5の実施形態を示す別のプロセスフロー図である。
【
図29】輸液を介する音響通信を使用する輸液識別のための方法の第6の実施形態を示す別のプロセスフロー図である。
【
図30】輸液を介する音響通信を使用する輸液識別のための方法の第7の実施形態を示す別のプロセスフロー図である。
【
図31】輸液を介する音響通信を使用する輸液識別のための方法の第8の実施形態を示す別のプロセスフロー図である。
【
図32】輸液を介する音響通信を使用する輸液識別のための方法の第9の実施形態を示す別のプロセスフロー図である。
【
図33】輸液を介する音響通信を使用する輸液識別のための方法の第10の実施形態を示す別のプロセスフロー図である。
【
図34】輸液を介する音響通信を使用する輸液識別のための方法の第11の実施形態を示す別のプロセスフロー図である。
【
図35】音響信号に応答してデバイス動作を制御するための方法の第1の実施形態を示すプロセスフロー図である。
【
図36】音響信号に応答してデバイス動作を制御するための方法の第2の実施形態を示すプロセスフロー図である。
【
図37】例示的なデバイス動作条件のデータ構造図である。
【
図38】患者情報データベース内の例示的な要素のデータ構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
様々な実施形態が、添付の図面を参照して詳細に説明される。可能な場合はどこでも、同一または同様の部分を参照するために、同じ参照番号がどの図面においても使用される。特定の例および実施に対して行われる言及は、例示を目的としており、本発明の範囲または特許請求の範囲を限定する意図はない。
【0015】
本明細書では、「例示的」という語は、「例、実例、または説明として役立つ」という意味で使用される。本明細書で「例示的」として説明されるいかなる実施であれ、必ずしも他の実施よりも好ましい、または有利であると解釈すべきわけではない。
【0016】
本明細書では、メイン音響タグがIVバッグ上またはIVバッグ内に含まれ、音響モデムがIVポンプまたはIVメータ内に含まれる、医学的応用の例を使用して、様々な実施形態が説明される。この例は、実施形態のデバイス、システム、および方法の様々な構成要素および機能を説明するのに役立つ。しかし、特段の言及がなされない限り、実施形態および特許請求の範囲は、そのような構成に限定されない。他の可能な応用に関して実施形態を説明することは、不必要であり、繰り返しになる。したがって、「IVバッグ」という用語は、本明細書では、実施形態が適用され得る任意の形態の流体容器を全般的に指すために使用され、特段の言及がなされない限り、特許請求の範囲を限定する意図はない。同様に、「ポンプ」および「IVポンプ」という用語は、本明細書では、実施形態が適用され得る任意の形態の流体ディスペンサを全般的に指すために使用され、特段の言及がなされない限り、特許請求の範囲を限定する意図はない。特に、「IVバッグ」という用語は、特許請求の範囲を特定の輸液または投与形態に限定する意図はなく、したがって、静脈内投与、皮下投与、動脈内投与、硬膜外投与、または医学的応用における他のタイプの投与を包含できる。
【0017】
同様に、「IVポンプ」という用語は、本明細書では、流体のフローを制御し、ポンピングし、または測定するための、ありとあらゆる流体ポンプまたは流体測定デバイスを全般的に指すために使用される。一例として、医学的応用において、「IVポンプ」は、輸液ポンプ(infusion pump)、シリンジポンプ(syringe pump)、大容量ポンプ、または小容量ポンプとすることができる。
【0018】
様々な実施形態は、流体のフローをポンピングし、測定し、またはさもなければ制御するデバイスが、流体内を流れる音響信号を使用することによって、流体または流体の源泉を高い信頼性で識別することを可能にする、システム、デバイス、および方法を提供する。流体は、識別情報を伝達するための直接接触媒体を提供し、それによって、RFIDおよび他の電磁気シグナリング技術に関連する問題が回避される。
【0019】
アイテム識別および確認は、製造業から食品サービスまで、広範な産業において重要である。アイテムの識別が生死に係わる重要性をもつ1つの特定の産業は、ヘルスケアである。効果的で安全なケアを提供するには、錠剤、輸液、薬物、および機器の適切な識別ばかりか、患者本人の適切な識別さえも必須である。人的エラー、特に静注(「IV」)薬物および他のIV物質を投与する際の人的エラーを減少させ得るシステムは、不適切な輸液を誤って投与することを防止できる。
【0020】
ヘルスケアアイテムの識別に対する1つの従来の解決策は、病院環境において無線周波数識別(「RFID」)技術を使用することである。IVの投与を確認/管理する問題に対する1つの提案される解決策は、IV輸液バッグにRFIDタグを、患者に投与する輸液を測定するのに使用されるIV輸液ポンプにRFID送受信機を追加することである。そのようなシステムでは、IV輸液ポンプは、RFIDタグからワイヤレス信号を介して受け取った情報に基づいて、IV輸液バッグ内の輸液を識別でき、看護士が輸液についての情報を入力する必要なしに、患者への輸液の投与を自動的に制御できる。この解決策は、輸液ポンプがIV輸液の識別情報を自律的に確認できるので、看護士の負担を軽減し、人的エラーが起きる可能性を低減させる。
【0021】
病室の狭い区画内においてRFID技術を使用することの難点は、室内の多くのアイテムを識別する必要があることがあり、またはそれらにRFIDが備えられていることがあることである。患者は、複数のIVバッグから複数のIV輸液を受けていることがあり、複数の患者が、1つの病室を共有していることがある。雑然とした環境では、RFID送受信機が、IVポンプに接続されたIVバッグ上のRFIDタグを同じ室内の他のIVバッグ上のタグから区別するなど、複数のRFIDタグから受信した信号を区別することは困難であり得る。一例として、室内で2人の患者に使用されているIVポンプの場合、IVポンプ上のRFID送受信機は、2人の患者のIVバッグ上のRFIDタグからだけでなく、室内に貯蔵またはごみ容器に廃棄されていることがあるいずれかのIVバッグ上のRFIDタグからも信号を受信しているので、どの輸液バッグがどちらの患者に関連付けられているかを区別し得ないことがある。この潜在的な関連付けエラーは、2人の患者の安全に関する問題を提示し、病院ワークフローのさらなる自動化のために求められる能力を損ない、それによって、この応用におけるRFID技術の使用を制限する。
【0022】
様々な実施形態は、音響信号として接触媒体中を伝わる識別情報を送信する音響モデムを使用して、情報の接触送信を可能にすることによって、関連付け問題を解決する。IVバッグおよびポンプの実施形態を例に使用すると、IV輸液およびIV点滴チューブは、音がそれを介して伝送され得る、ポンピングまたは測定デバイスとIVバッグとの間の輸液およびプラスチック音響接続を提供できる。ポンプとIVバッグとの間のこの音響接続を介して伝わる音を変調することによって、バッグ上の音響放射器とポンプ上の音響受信機との間で情報を送信できる。この物理的な音響接続を介する識別情報の送信は、ポンピングまたは測定デバイスが、ポンプに実際に結合されたIVバッグだけと通信することを可能にし得る。
【0023】
様々な実施形態は、ポンプ上の音響モデムとIVバッグとの間の音響リンクを形成する、輸液およびIVチューブなどの輸液管を介して伝わる音を使用して、情報を送信できる。音響信号は、音響タグの一部である音響モデムを介してIVバッグ内の輸液に印加され得る。一実施形態では、IVバッグ上またはIVバッグ内の能動音響タグは、音響信号を輸液の中に送信できる。そのような音響信号は、輸液を介してチューブを下り、ポンピングまたは測定デバイス上の音響トランスデューサに伝達され得る。ポンピングまたは測定デバイスは、音響信号内の情報を受け取り、投与されている輸液のタイプを決定できる。
【0024】
別の実施形態では、輸液容器上の音響タグは、受動的とすることができる。そのような一実施形態では、ポンピングデバイス上の音響トランスデューサは、輸液を介して音響タグに音響信号を送ることができ、音響タグは、認識可能なパターンまたは周波数を有するエコーまたは再送信される音響信号を返す。受動音響タグは、2つの機構の一方を使用して機能できる。第1の機構では、タグは、(たとえば、ポンプ上の音響モデムによって発生させ得る)入射音の一定の周波数または調波を反射する一方で、他の周波数を吸収するなどして、一意的なエコーを生成する構造を有するように構成できる。その後、この一意的なエコー信号は、輸液および輸液管によって提供される音響接続を介して、ポンプ上のトランスデューサに返すことができる。ポンプ上のトランスデューサは、一意的なエコーを受信し、反射された周波数を認識して、投与されている輸液の識別情報を決定できる。第2の機構では、音響タグは、入射音内のエネルギーを使用して、識別情報を符号化した信号を放射できる音響放射器に給電するのに使用される電力を発生させる、回路を有するように構成できる。電力は、インダクタまたはダイオード/キャパシタ素子に結合された圧電性結晶を使用することによって、入射音から獲得できる。そのような回路では、圧電性結晶が入射音波によって変形されたときに発生された電力は、変調信号を同じまたは異なる圧電トランスデューサに印加して、情報(たとえば、ID番号)が変調された音を発生させる回路に給電するのに十分になるまで、インダクタまたはダイオード/キャパシタ素子内に蓄積できる。
【0025】
例示的な一実施形態では、音響送受信機は、IVポンプに取り付けることができ、IVバッグは、音響タグを有するように構成できる。音響タグは、バッグに貼付されたラベルの一部とすることができ、またはIVバッグ自体に組み込むことができる。音響タグは、圧電性結晶(または他の音響放射構造)に結合された変調器またはプロセッサ回路に接続された電源を含むことができる。給電された場合、音響タグは、認識可能な音響信号をIV輸液の中に送信できる。IVバッグがIVポンプに取り付けられている場合、符号化された音響信号は、IVバッグから、IVライン内に含まれる輸液を介して、IVポンプまで伝わることができる。IVポンプ上のトランスデューサは、輸液内の音響信号を受信し、その信号を、ポンピングされている輸液のタイプ、およびロット番号、供給者、使用期限などの他の情報を決定するためにプロセッサが使用できる、デジタル情報に変換できる。音響信号内に含まれる情報に基づいて、IVポンプは、輸液の適切な投与量に適合するようにポンピング流量を調整すること、または受信した音響信号内に符号化された情報において、誤った、期限切れの、もしくはリコールされた輸液が示されている場合に、輸液フローを終了もしくは阻止し、アラームを鳴らすことなど、適切なアクションを自動的に取ることができる。
【0026】
図1は、様々な実施形態による、IV輸液を送り届けるためのシステム100の構成要素
を示している。IVバッグ102は、輸液を含むことができる。一例として、輸液は、患者110に投与することが意図された食塩水または薬物とすることができる。IVバッグ102は、輸液がIVバッグ102から患者110に流れることを可能にするように構成された、輸液ライン106に接続できる。輸液ライン106は、IVポンプ108を通過できる。IVポンプ108は、IVバッグ102から輸液ライン106を介して患者110に達する輸液のフローを制御するように構成できる。音響タグ104が、IVバッグ102に存在できる。音響タグ104は、以下でより詳細に説明するように、能動(すなわち独自の電源を含む)タグ、または受動(すなわち電源を含まない)タグとすることができる。一実施形態では、音響タグ104とIVバッグとの間の通信は、輸液ライン106を介して行われる。輸液を介して音波を送信することによって、輸液および輸液ライン106によって形成される、タグとポンプとの間の物理的な音響接続を介して音が伝わるので、音響タグ104とIVポンプ108とは、混同のリスクなしに情報を共有できる。
【0027】
図2は、IVバッグ102とともに使用できる、能動音響タグ202の第1の実施形態を示している。
図9〜
図12を参照して以下でより詳細に説明するように、能動音響タグ202は、IVバッグ102に結合でき、その外側表面上、容器壁の一部の内部、内側表面上、または輸液自体の中に配置される。
【0028】
図2に示された実施形態では、能動音響タグ202は、バッテリ212に結合できる起動スイッチ204を含む。閉じられたとき、起動スイッチ204は、能動音響タグ202を起動するために、バッテリ212からの電力を印加する電気回路を完成できる。この起動スイッチ204は、多くの異なるタイプの作動によって閉じることができる。一例として、起動スイッチ204は、スイッチ上のタブを引くことによって、IVバッグ102を圧迫する、もしくは他の方法で操作することによって、またはIVバッグ102の他の何らかの物理的な操作によって閉じることができる。起動スイッチ204は、IVバッグ102が貯蔵されているときに、バッテリへの音響タグ202の接続を防止するために使用でき、それによって、IVバッグが使用されるときに、バッテリ電力が利用可能であることを保証する。一代替実施形態(図示されず)では、起動スイッチ204が含まれないことがあり、その場合、能動音響タグ202は、バッテリ212に永続的に結合できる。低電力電子部品を使用することによって、そのような実施形態は、IV輸液の貯蔵寿命に等しい長いバッテリ寿命を可能にし得る。使用時に能動音響タグ202を起動し損なうという潜在的なユーザエラーを排除するには、この代替実施形態が好ましいことがある。
【0029】
能動音響タグ202は、タグの音響放射を制御するためのプロセッサまたは論理機能を提供する、集積回路(IC)チップ206も含むことができる。ICチップ206は、本明細書で説明するように、符号化された音響信号を能動音響タグ202に放射させるために、信号を発生させるように構成された、カスタム回路とすることができる。ICチップ206は、特定の1組の情報(たとえば、識別子)を符号化した信号を発生させるように構成でき、またはIVバッグの識別子、およびロット番号、輸液タイプ、使用期限などの他の情報を記憶できる、メモリを含むことができる。代替として、音響タグ202は、ICチップ206に結合された別個のメモリチップ(図示されず)を含むことができる。本明細書では、どちらの構成のメモリも、単純に音響タグ202内のメモリと呼ばれる。ICチップは、電気パルス発生器208に結合でき、電気パルス発生器208は、圧電トランスデューサ210に結合できる。バッテリ212は、ICチップ206、パルス発生器208、および圧電トランスデューサ210に結合できる。
【0030】
動作面では、
図2に示される実施形態は、次のように機能できる。起動スイッチ204が閉じられたとき、バッテリ電力がICチップ206に供給される。ICチップ206は、ICチップのメモリ内に記憶できる、IVバッグの識別子などの識別情報および他の情報を変調し、または他の方法で符号化した電気信号を発生させるように構成できる。ICチップ206によって発生された電気信号は、パルス発生器208に印加されて、パルス発生器208に圧電トランスデューサ210に向けて電気パルスを出力させることができ、電気パルスは、圧電トランスデューサ210に形状をめまぐるしく変化させ、それによって、音波を発生させる。圧電トランスデューサ210は、発生された音がIVバッグ102の構造および/またはIVバッグ102内の輸液に音響的に結合されることを保証する構造を含むこと、または構造に結合することができる。このようにして、能動音響タグ202は、タグのメモリ内に記憶できる識別子コードなどの情報を符号化した音響信号を送信するように構成される。
【0031】
図3は、
図2に示された能動タグ202に類似しているが、圧電トランスデューサ210、ICチップ206、およびバッテリ212に結合された、信号変更回路314が追加された、能動タグ202の第2の実施形態を示している。信号変更回路は、増幅器、受信機、アナログデジタル変換器、デジタル信号プロセッサ(DSP)、またはそのような回路素子の組合わせとすることができる。信号変更回路314を追加することで、能動タグ202が、音響信号の送信と受信をともに行うことを可能にし得る。
【0032】
図3に示される実施形態では、圧電トランスデューサ210は、輸液内の音響波に応答して、電気信号を発生させるようにも構成できる。よく知られているように、圧電性結晶は、入射音などによって変形された場合、電気信号を発生させるばかりでなく、電気信号が結晶に印加された場合、変形を起こし、それによって、音を発生させる。
図3に示される実施形態は、圧電トランスデューサ210を使用することによって、この特性を利用し、音信号の送信と受信をともに行う。輸液からIVバッグ102の構造を介して伝播する音波を含む、圧電トランスデューサ210を通過する輸液からの音響波は、圧電トランスデューサ210に電気パルスを発生させ、電気パルスは、信号変更回路314によって受け取られる。信号変更回路314は、これらの電気信号を、コントローラが処理できる形式に増幅および/または変換し、変更された信号をICチップ206に提供する。一実施形態では、信号変更回路314は、アナログデジタル変換器回路またはDSPを含むことができ、アナログデジタル変換器回路またはDSPは、圧電トランスデューサ210から受け取ったアナログ信号を、ICチップ206が処理できるデジタル形式に変換する。代替として、ICチップ206は、チップ自体の内部にアナログデジタル変換器回路および/またはDSPを含むことができる。ICチップ206は、信号変更回路314から受け取った信号を処理して、それらが音響モデムから送信された問合わせ信号を含むかどうかを判定するのに、実行可能命令または回路ロジックを用いるように構成できる。これは、信号認識アルゴリズムを実行して、音響モデムからの予想される特定のコード、シンボル、またはパターンを認識することを含むことができる。IVバッグまたは類似の輸液容器は、ノイズのある環境であることが予想され、そのため、特定のコード、シンボル、またはパターンを認識するためのアルゴリズムは、統計的方法を利用できる。予想されるコード、シンボル、またはパターンが、受信した信号内において認識された場合、ICチップは、
図2を参照して上で説明されたのと同様の方法で、音響タグ202のメモリ内に記憶された情報を符号化した信号をパルス発生器208に送ることができる。このように、識別情報を符号化した音響信号を送信することによって、音響タグ202は、音響モデムに
よって送信された問合わせ信号に応答する。したがって、
図3に示される実施形態は、問合わせ信号および応答信号が音響的に送信されることを除いて、RFIDと同様に機能する。音響問合わせ信号を認識する能力は、能動音響タグ202が、音響信号を流体の中に送信する前に、起動信号を待つことを可能にする。音響タグ202は、もっぱら音響問合わせ信号を認識したのに応答して、音響信号を発生させるので、バッテリ212を消耗させるおそれなしに、この実施形態からスイッチ204を除去できる。
【0033】
図4は、
図3に示された能動音響タグ202に類似しているが、第2の圧電トランスデューサ416が追加された、能動音響タグ202の第3の実施形態を示している。この実施形態では、第2の圧電トランスデューサ416は、音響問合わせ信号を受信するために使用され、一方、第1の圧電トランスデューサ210は、符号化された音響信号を放射するために使用される。したがって、この実施形態では、第2の圧電トランスデューサ416は、信号変更回路314およびバッテリ212に結合され、第1の圧電トランスデューサ210は、信号変更回路314に結合されない。第2の圧電トランスデューサ416を追加することで、能動音響タグ202による音響信号の同時送受信を可能にし得る。この実施形態は、第1の圧電トランスデューサ210を音響信号の送信に専従させ、第2の圧電トランスデューサ416を音響信号の受信に専従させることによって、能動音響タグ202の動作および/または製作を簡素化することもできる。動作面では、
図4に示される能動音響タグ202は、2つの圧電トランスデューサ(210、416)が使用されるのを除いて、
図3を参照して上で説明された能動音響タグ202の実施形態と同様に機能できる。
図3を参照して上で説明された実施形態と同様に、音響タグ202は、もっぱら音響問合わせ信号を認識したのに応答して、音響信号を発生させるので、バッテリ212を消耗させるおそれなしに、この実施形態からスイッチ204を除去できる。
【0034】
図5は、ICチップ206がプログラム可能プロセッサまたはコントローラ518とメモリ520とで置き換えられたことを除いて、上で説明された実施形態に類似している、能動音響タグ202の第4の実施形態を示している。プログラム可能コントローラ518およびメモリ520を追加することで、メモリ520内に記憶された特定の情報を符号化した音響信号を送信することと、特定の事前定義された音響モデム信号を認識するために、受信した音響信号をメモリ520内に記憶された信号特性と比較することとをともに行うために、能動音響タグ202が論理動作を実行することが可能になる。能動メモリ520内に記憶できる情報の性質は、
図23を参照して以下でさらに説明される。
【0035】
動作面では、
図5に示される音響タグ202の実施形態は、次のように機能できる。圧電トランスデューサ210を通過する輸液からの音響波または輸液からIVバッグ102の構造を介して伝播する波は、圧電トランスデューサ210に電気信号を発生させ、電気信号は、信号変更回路314によって変更(たとえば、増幅および/またはデジタル形式に変換)され、プログラム可能コントローラ518に渡される。上で説明したように、信号変更回路314またはプログラム可能コントローラ518は、受け取った電気信号を、プログラム可能コントローラが処理できるデジタル形式に変換するために、アナログデジタル変換器回路および/またはDSPを含むことができる。プログラム可能コントローラ518は、受け取った信号の特性をメモリ520内に記憶された信号特性と比較して、一致しているかどうかを判定できる。
受け取った信号はメモリ内に記憶された信号と一致するとプログラム可能コントローラ518が判定した場合、プロセッサは、その記憶された信号パターンに関連付けられた機能を実行できる。
【0036】
この実施形態は、様々な異なる起動信号を様々な異なる動作に関連付けることを可能にする。たとえば、音響タグ202は、第1のタイプの音響問合わせ信号に応答して、識別子のみを提供し、第2のタイプの音響問合わせ信号に応答して、輸液ストック番号、使用期限、およびシリアル番号からなる完全なリストを提供するように構成できる。さらに、特定のタイプのポンプまたはメータの音響問合わせ信号をメモリ520内にプログラムでき、音響タグ202が異なるタイプのデバイスに異なる応答を返すことを可能にする。メモリ520はプログラム可能であるので、起動信号および対応する応答は、タグが製品に貼付されるときに設定できる。受信した信号は起動信号または音響問合わせ信号であるとプログラム可能コントローラ518が判定した場合、コントローラは、やはりメモリ520内に記憶された情報を符号化した信号をパルス発生器208に出力して、パルス発生器208に圧電トランスデューサ210を駆動させ、情報を符号化した音響信号を発生させることができる。
【0037】
図5に示される実施形態は、プログラム可能コントローラ518が、音響信号に応答して、他のタイプの動作を実行することも可能にする。たとえば、プログラム可能コントローラ518は、特定のタイプの音響信号を認識して、タグをプログラミングモードに入れるのに、実行可能命令を用いるように構成でき、プログラミングモードでは、タグにデータを音響的に送信でき、そのデータをメモリ520内に記憶するようにプログラム可能コントローラ518が構成される。このようにすることで、IVバッグの製造中に、音響タグ202をバッグに貼付し、バッグに輸液が満たされるときに、シリアル番号(または他の識別子番号)、ロット番号、輸液情報、使用期限などで音響タグ202をプログラムすることができる。別の動作の一例として、プログラム可能コントローラ518は、接触トランスデューサリーダデバイスによってIVバッグ(または他のタイプの輸液容器)の内容詳細(inventory)を読み取ることを可能にする、内容詳細問合わせ信号を認識するように構成できる。
【0038】
図3を参照して上で説明された実施形態と同様に、音響タグ202は、もっぱら音響問合わせ信号を認識したのに応答して、音響信号を発生させるので、バッテリ212を消耗させるおそれなしに、この実施形態からスイッチ204を除去できる。
【0039】
図6は、
図5に示された能動音響タグ202に類似しているが、
図4を参照して上で説明された実施形態と同様に、第2の圧電トランスデューサ416が追加された、能動音響タグ202の第5の実施形態を示している。
図4に示された実施形態について上で説明したように、第2の圧電トランスデューサ416は、信号変更回路314およびバッテリ212に結合でき、第1の圧電トランスデューサ210は、信号変更回路314に結合しなくてよい。動作面では、
図6に示される能動音響タグ202は、2つの圧電トランスデューサ(210、416)が使用されるのを除いて、
図5に示された能動音響タグ202の実施形態と同様に機能できる。
【0040】
図7Aおよび
図7Bは、上で説明された能動音響タグ202に類似しているが、RF送信機722およびアンテナ724が追加された、能動音響タグ202の第6および第7の実施形態を示している。RF送信機722が存在することで、能動音響タグ202が、音響的に起動されるばかりでなく、その後、RF送信を行うことも可能にし得る。したがって、この実施形態では、音響タグは、ポンプ、メータ、またはディスペンサに関連付けられた音響モデムに物理的に結合された輸液容器のみからリーダが応答を受信することを保証するために、問合わせ信号が内容媒体を介して送信されることを除いて、従来のRFIDタグと同じようにも機能できる。この通信媒体構成は、リーダに物理的に接続されたRFIDデバイスのみがRF信号を送信するので、あまりにも多くのRFIDデバイスが存在することによって混同が生じる可能性を排除する。
【0041】
示されるように、
図7Aは、RF送信機722がICチップ206およびバッテリ212に結合された、能動音響タグ202の第6の実施形態を示している。RF送信機722は、能動音響タグ202がRF信号を送信することを可能にし得るアンテナ724にも結合できる。一例として、RF送信機は、RFID送信機またはBluetooth送受信機とすることができる。
【0042】
動作面では、
図7Aに示される音響タグ202の実施形態は、
図3を参照して上で説明された第2の実施形態の方法と同様の方法で、音響信号を受信し、認識できる。受信した音響信号は起動または問合わせ信号であるとICチップ206が認識した場合、ICチップ206は、情報を符号化した信号をRF送信機722に送ることができ、RF送信機722は、アンテナ724を介してRF信号を送信する。情報は、RFID送信機のRF送信技法を含む、よく知られた任意のRF送信技法を使用して、RF信号内に符号化できる。
【0043】
図7Bは、
図5を参照して上で説明された第4の実施形態と同様に、ICチップ206がプログラム可能コントローラ518とメモリ520とで置き換えられたことを除いて、
図7Aに示された能動音響タグ202に類似している、能動音響タグ202の第7の実施形態を示している。動作面では、
図7Bに示される能動音響タグ202の実施形態は、
図5を参照して上で説明したように、音響信号を受信し、認識できる。信号をメモリ520内に存在する信号特性と比較するなどして、特定の音響信号を認識した場合、プログラム可能コントローラ518は、メモリ520内に記憶された情報を符号化した信号をRF送信機722に送ることができる。代替として、プログラム可能コントローラ518は、送信すべき情報を格納したメモリ520内のアドレスを示す起動信号をRF送信機722に送ることができる。そのような制御信号に応答して、RF送信機722は、アンテナ724を介して送信されるRF信号を発生させ得る。発生される特定のRF送信は、受信した特定の音響起動信号に、メモリ520内に記憶された信号特性に応じて依存し得る。
【0044】
問合わせ信号は、無線周波数信号、光信号(たとえば、IrDAリンクなどの赤外線データリンクとともに使用され得る赤外線信号)、および音響信号を含む、音響放射器が受信できる任意のタイプの信号とすることができる。
図8Aおよび
図8Bは、RF受信機824およびアンテナ826を含む、能動音響タグ202の第8および第9の実施形態を示している。RF受信機824が存在することで、能動音響タグ202が、RF送信を介して起動される一方で、応答が音響信号の形態を取ることを可能にし得る。したがって、この実施形態では、音響タグは、ポンプ、メータ、またはディスペンサに関連付けられた音響モデムに物理的に結合された輸液容器のみからリーダが応答を受信することを保証するために、応答信号が内容媒体を介して送信されることを除いて、従来のRFIDタグと同様に機能できる。この通信媒体構成は、リーダに物理的に接続された音響タグのみから音響信号が受信されるので、あまりにも多くのRFIDデバイスが存在することによって混同が生じる可能性を排除する。
【0045】
図8Aに示される第8の実施形態は、ICチップ206およびバッテリ212に結合されたRF受信機824を含む。RF受信機824は、能動音響タグ202がRF信号を受信することを可能にするように構成された、アンテナ826にも結合できる。一例として、RF受信機は、RFIDまたはBluetooth受信機とすることができる。
【0046】
動作面では、
図8Aに示される能動音響タグ202は、アンテナ826およびRF受信機824を介してRF問合わせ信号を受信できる。受信したRF信号は、RF受信機824によって処理され、RF受信機824は、信号、または受信したRF信号内に符号化された情報をICチップ206に送ることができる。それに応答して、ICチップ206は、
図2を参照して上で説明された第1の実施形態と同様に、音響信号を発生させ得る。
【0047】
図8Bは、
図5を参照して上で説明された第4の実施形態と同様に、能動音響タグ202がプログラム可能コントローラ518およびメモリ520を含むことを除いて、
図8Aに示された第8の実施形態に類似している、能動音響タグ202の第9の実施形態を示している。動作面では、
図8Bに示される実施形態は、アンテナ826およびRF受信機824を介してRF信号を受信できる。受信したRF信号は、RF受信機824によって処理され、RF受信機824は、信号、または受信したRF信号内に符号化された情報をプログラム可能コントローラ518に送ることができる。それに応答して、プログラム可能コントローラ518は、
図5を参照して上で説明された第4の実施形態と同様に、音響信号を発生させ得る。
【0048】
能動音響タグ202の第10の実施形態は、RF送信機722および受信機824が送受信機(すなわち、送信と受信をともに行える回路)で置き換えられることを除いて、
図7A〜
図8Bに示された構成要素と同様の構成要素を含む。この実施形態は、基本的に、RFID送受信機を音響タグ202と組合わせて、音響的にまたはRF信号を介して機能できる識別子タグに、音響信号またはRF信号を介して達成される起動を提供する。この実施形態は、RF信号を介して識別子および他の情報でタグをプログラムすることを可能にし得る一方で、タグは、上で説明したように、音響信号を介して、ポンプ、メータ、またはディスペンサと連携して機能する。
【0049】
図9〜
図12は、流体容器上または流体容器内に音響タグを配置するための代替構成を示している。
図9〜
図12は、音響タグへの、および音響タグからの音響波伝搬も示している。
【0050】
図9は、音響送信機/受信機902が流体包含構造904の外表面908に結合された、一実施形態を示している。流体包含構造904は、流体容器または流体管とすることができる。流体包含構造904の流体側の面(すなわち内表面)910に入射する流体906内の音響波912は、
流体包含構造904を通過して(音響波914)、音響送信機/受信機902と相互作用する。音響送信機/受信機902によって発生された音響波916は、流体包含構造904を通過して、流体906の中に入る(音響波918)。
【0051】
図10は、音響送信機/受信機902が流体包含構造904の内部に埋め込まれた、一実施形態を示している。音響送信機/受信機902を流体包含構造904の内部に埋め込んだ場合、音響波914および916は流体包含構造904の外表面908を横断する必要がないので、音響送信機/受信機902の、構造904の中を伝わる音響波914および916への/との音響結合を改善できる。
【0052】
図11は、音響送信機/受信機902が流体包含構造904の内表面910上に配置された、一実施形態を示している。
図12は、音響送信機/受信機902が流体906の中で自由に浮動および/または浮遊する、一実施形態を示している。
図11および
図12に示される実施形態では、音は、音響送信機/受信機902と相互作用するために、流体包含構造904の中を伝わる必要がない。音響送信機/受信機902を流体906の中に配置した場合、流体内の音響波912は、音響送信機/受信機902と直接的に相互作用することが可能であり、音響送信機/受信機は、音響波918を流体の中に直接的に発生させることが可能である。したがって、音響送信機/受信機902を流体906の中に配置した場合、音は容器構造904を通過する必要がないので、音響送信機/受信機902と流体との間の音響結合を改善できる。
【0053】
図13〜
図17は、能動音響タグと受動音響タグの両方と通信するのに適し得る、音響モデム1316の様々な実施形態を示している。一実施形態では、音響モデム1316は、ポンプ、メータ、またはバルブに結合され得る、スタンドアロンデバイスとすることができる。別の実施形態では、音響モデムは、ポンプ、メータ、またはバルブなどの別のデバイスに結合される、または別のデバイス内で実施されるモジュールとすることができる。別の実施形態では、音響モデム1316のハードウェア要素は、別のデバイスの要素を含むことができる。音響モデム1316は、任意の数の流体媒体および流体応用とともに動作するのに適し得る。しかし、説明を容易にするため、
図13〜
図17は、音響モデム1316がIVバッグから投与される輸液1314を含む輸液ライン1312を用いて音響通信を行う、IVポンプの実施形態を参照して以下では説明される。
【0054】
図13は、音がそれを介して送信および/または受信される輸液ライン1312に接触して配置され得る、または他の方法で結合され得る、圧電トランスデューサ1302を含む、音響モデム1316の第1の実施形態を示している。圧電トランスデューサ1302は、信号変更回路1304に結合でき、信号変更回路1304は、コントローラ1308および電源1306に結合される。コントローラ1308は、電源1306に結合でき、メモリ1310を含むことができる。
【0055】
動作面では、
図13に示される音響モデム1316の実施形態は、次のように機能できる。輸液1314の中の音響波は、輸液ライン1312を通過し、圧電トランスデューサ1302に入ることができる。圧電トランスデューサ1302は、機械的振動を電気信号に変換し、電気信号は、信号変更回路1304によって変更(たとえば、増幅、および/またはデジタル形式に変換)され、コントローラ1308に渡される。信号変更回路1304またはコントローラ1308のどちらかが、アナログデジタル変換器および/またはDSPを含むことができ、アナログデジタル変換器および/またはDSPは、受け取った電気信号を、コントローラ1308が処理できるデジタル形式に変換する。コントローラ1308は、信号に対する適切な応答を決定する一環として、受け取った信号を、メモリ1310内に記憶された信号特性、識別子、シンボル、または他の情報と比較できる。たとえば、受信した音響信号内に符号化された情報が、輸液または輸液容器の識別子(たとえば、シリアル番号または輸液コード)を含む場合、コントローラ1308は、受け取った識別子が予想されたものかどうか、または容認可能であるかどうかを判定できる。この動作は、コントローラが、受信した信号内に符号化された情報を使用して、モリ1310内に記憶されたデータまたは論理テーブル内で適切なアクションを検索する、簡単なテーブル検索動作を含むことができる。受信した音響信号に応答して自動的に実行される動作を識別するために、そのようなデータもしくは論理テーブル、または他の実行可能命令が、コントローラ1308によって使用され得る。多くの次世代病院構想では、IVポンプは、そのような判定を自ら行うことはせず、代わりに、データを病院コンピュータに転送し、病院コンピュータが、判定を行い、起動またはアラームコマンドをポンプに送信する。たとえば、受信した音響信号内に含まれる識別子が、予想されたコードまたは値と一致し、適切な輸液容器が輸液ポンプ、メータ、またはディスペンサに接続されていることを示す場合、決定される動作は、輸液のポンピングまたは測定を開始することとすることができる。しかし、受信した音響信号内に含まれる識別子が、予想されたコードまたは値と一致しない場合、決定される動作は、ポンピングの中断またはバルブの閉鎖を行い、不適
切な輸液容器が接続されたことを操作者に警告するためにアラームを鳴らすこととすることができる。
図13に示される実施形態は、音響信号を受信することのみでき、同様に音響信号を発生させるようには構成されていない。
【0056】
図14は、
図13に示された第1の実施形態に類似しているが、コントローラ1308、電源1306、および圧電トランスデューサ1302に結合できるパルス発生器1418が追加された、音響モデム1316の第2の実施形態を示している。パルス発生器1418を追加することで、音響モデム1316が、輸液ライン1312および輸液1314の中に音響信号を送信することが可能になる。動作面では、コントローラ1308は、パルス発生器1418に信号を出力でき、パルス発生器1418は、圧電トランスデューサ1302に輸液ライン1312および輸液1314の中への音響波の発生を行わせる、電気信号を発生させる。コントローラ1308によって提供される信号は、受信側の音響タグ202が起動コードであると解釈できる、問合わせコードなどの情報を符号化できる。代替として、圧電トランスデューサ1302が発生させる音響信号は、受信側の音響タグ202が起動コードであると認識できる、特定の1つまたは複数の周波数を有することができる。
【0057】
図15は、
図14に示された第2の実施形態に類似しているが、パルス発生器1418および輸液ライン1312に結合できる第2の圧電トランスデューサ1520が追加された、音響モデム1316の第3の実施形態を示している。この実施形態では、パルス発生器1418は、第1の圧電トランスデューサ1302に結合されなくてよい。2つの圧電トランスデューサ1302および1520を含むことで、一方の圧電トランスデューサが、音響信号の受信に専従することが可能になり、一方、他方の圧電トランスデューサは、音響波を発生させる。この実施形態は、音響信号の同時送受信を可能にし得る。
【0058】
図16は、
図13に示された第1の実施形態に類似しているが、アンテナ1624、コントローラ1308、および電源1306に結合されたRF送信機1622が追加された、音響モデム1316の第4の実施形態を示している。RF送信機1622を追加することで、音響モデム1316が、無線周波数を使用して問合わせを送信することを可能にし得る。一例として、音響モデム1316は、BluetoothまたはRFIDを使用して、輸液ライン1312を介して輸液1314を提供するIVバッグに問合わせを行うことができる。このように、音響モデム1316から送信されたRF問合わせ信号は、音響信号を発生させるように音響タグをトリガでき、音響信号は、上で説明したように、IVバッグ内の輸液1314および輸液ライン1312を介して伝達される。音響モデム1316は、上で説明したように、受信した音響信号に基づいて、輸液1314を識別し、適切なアクションを取ることができる。
【0059】
図17は、
図14に示された第2の実施形態に類似しているが、アンテナ1728およびコントローラ1308に結合されたRF受信機1726が追加され、信号変更回路1304が除去された、音響モデム1316の第5の実施形態を示している。RF受信機1726を追加することで、音響モデム1316が、適切に構成された音響タグからBluetoothまたはRFID信号などのRF信号を受信することを可能にし得る。動作面では、音響モデム1316は、IVバッグに結合された輸液ライン1312および輸液1314の中に音響問合わせ信号を送信できる。
図8Aおよび
図8Bを参照して上で説明したように、適切に構成された音響タグは、音響問合わせ信号イベントを認識し、それに応答して、アンテナ1728およびRF受信機1726によって受信できる、識別情報(および/または他の情報)を符号化したRF信号を送信できる。受信したRF信号は、RF受信機1726によって処理され、コントローラ1308に渡すことができ、コントローラ1308は、信号内に含まれる情報を使用して、適切なアクションを取ることができる。
【0060】
図18〜
図20は、受動音響タグの様々な実施形態を示している。受動音響タグという用語は、電源を有さず、したがって、励振された音響信号を発生させるために入射音響信号を必要とする、音響タグを指す。受動音響タグは、より安価に製造でき、バッテリを必要としないのでより長い貯蔵寿命を有することができる。受動音響タグは、バッテリを含まず、バッテリの液漏れによる汚染のリスクが排除されるので、ある種の流体応用により適し得る。また、電流を発生させない受動タグは、流体の引火性または導電性が高い応用において好ましいことがある。
【0061】
図18は、受信した音響信号内のエネルギーを獲得して、音響送信機に給電する、受動音響タグ1802の第1の実施形態を示している。受動音響タグ1802は、エネルギー獲得回路に結合された、第1の圧電トランスデューサ1804を含むことができる。一実施形態では、エネルギー獲得回路は、キャパシタ1808に結合された、ダイオード1806を含むことができる。一代替実施形態(図示されず)では、エネルギー獲得回路は、インダクタを含むことができる。キャパシタ1808などのエネルギー獲得回路は、第2の圧電トランスデューサ1812に結合された、パルス発生器1810に結合できる。動作面では、第1の圧電トランスデューサ1804上に入射した音響信号のエネルギーは、受信音響波に応答して第1の圧電トランスデューサ1804が発生させた電流を、ダイオード1806およびキャパシタ1808素子などのエネルギー獲得回路内に蓄えることによって獲得される。圧電トランスデューサ1804が発生させる電流パルスは、一般には交流電流であり、そのため、ダイオード1806は、正の電流のみがキャパシタ1808に流れることを保証して、それによって、キャパシタ1808が充電されることを可能にする。キャパシタ1808に蓄えられる電荷は、パルス発生器1810によって使用されて、第2の圧電トランスデューサ1812に印加されるパルスを発生させることができ、パルスは、第2の圧電トランスデューサ1812に輸液の中への音響信号の発生を行わせる。一実施形態では、パルス発生器1810は、本明細書で説明するように、特定の周波数のパルス、または音響モデムが認識できる情報を符号化したパルスを発生させるための回路を含むことができる。
【0062】
図19は、2つの直立ポスト1904aおよび1904bと、その間に張られた緊張したフィラメント1906とを備える基台1902など、単純な音響発振器を含む、受動音響タグ1901の第2の実施形態を示している。基台1902、直立ポスト1904a、1904b、および緊張したフィラメント1906は、音響反射機構と見なすことができる。緊張したフィラメント1906は、サイズおよび張力に関して、所定の周波数で共鳴するように構成できる。受動音響タグ1901は、輸液容器内の輸液の中に配置できる。動作面では、緊張したフィラメント1906の基本周波数が、輸液中の音響波の調波の周波数と一致する場合、緊張したフィラメント1906は、共鳴を起こし、それによって、所定の周波数で輸液の中に音響波を発生させる。所定の周波数のこれらの共鳴音響波は、音響モデムによって認識でき、受動音響タグ1901または輸液容器を識別するために使用できる。緊張したフィラメントの代わりに、音響発振器は、同様に機能する、音叉またはベルなどの、固体構造とすることができる。
【0063】
図20は、所望の周波数を除去または増幅するために、ヘルムホルツ共鳴器(Helmholtz resonator)同様に動作するように構成された、一端が開き、他端が閉じた円筒の形状を取る、受動音響タグ2002の一実施形態を示している。音響タグ2002は、音響反射機構と見なすことができる。動作面では、音響周波数の広いスペクトルを、輸液容器内の輸液の中に送信できる。音響タグ2002は、特定の周波数を除去するように構成できる。特定の周波数は、消去され、輸液容器から反射されない。輸液容器から受信する反射された周波数を監視している音響モデムは、受信した音響信号のスペクトルから、特定の周波数が他の周波数よりも低い強度で存在することを認識でき、それによって、受動音響タグ2002または輸液容器を識別できる。
【0064】
図21は、IVポンプ108の一実施形態内に存在し得る、例示的な構成要素を示している。IVポンプ108は、プロセッサ2104およびバッテリ2114に結合された、輸液をポンピングするように構成されたポンピングユニット2126を含むことができる。プロセッサ2104は、ポンピングユニット2126の動作を制御するように構成できる。音響モデムユニット2124は、プロセッサ2104およびバッテリ2114に結合できる。加えて、IVポンプ108は、プロセッサ2104に結合されたメモリ2106も含むことができる。音響モデムユニット2124は、プロセッサ2104によって制御でき、受信した音響信号から獲得した情報をコントローラ2104に伝達できる。キーボード2112、ディスプレイ2110、およびスピーカ2108は、プロセッサ2104に結合でき、IVポンプ108に入力/出力機能を提供するように構成できる。IVポンプ108は、IVポンプ108がデータネットワークに接続することを可能にする、ネットワーク接続2118も含むことができる。IVポンプ108は、IVポンプ108が他のデバイスとワイヤレスで通信することを可能にするように構成された、RF送受信機2120および/またはBluetooth送受信機2122も含むことができる。IVポンプ108は、IVポンプ108が外部電力によって動作することを可能にする、外部電源2116のための入力を含むことができる。
【0065】
図22は、追加の態様および構成要素を示した、IVポンプ108の一実施形態を示している。IVポンプ108は、プロセッサ2204に結合されたメモリ2212を含むことができ、プロセッサ2204は、ポンプの動作を制御するように構成される。IVポンプ108のポンピングユニット2218は、音響モデムを含むことができ、音響モデムは、メモリ2214に結合されたプロセッサ2216を含むことができる。ポンピングされる輸液ラインは、ポンピングユニット2218に結合でき、それによって、音響モデムに結合できる。加えて、IVポンプ108は、オン/オフボタン2210、ディスプレイ2202、バッテリパック2208、およびネットワーク接続2206も含むことができる。
【0066】
図23は、様々な実施形態において、音響タグ内に存在するメモリ2302内に記憶できる、流体情報の可能な要素を示すデータ構造図である。メモリ2302は、流体容器内に貯蔵される流体タイプ2304、流体、音響タグ、および/または流体容器の製造業者2306、流体の使用期限2308、流体容器のロット番号2310、ならびに流体容器内に貯蔵される流体の量2312に関する情報といった要素を含むことができる。様々な実施形態では、より多くの情報またはより少ない情報を、音響タグのメモリ内に記憶できる。メモリ2302において入手可能な情報のすべてまたは一部は、放射される音響信号内に音響タグによって符号化できる。
【0067】
図24は、音響タグを利用するIVバッグ102と音響モデムを利用するIVポンプ108との間で輸液識別情報(または他の情報)を伝達するための一実施形態の方法2400を示している。ブロック2402において、ユーザがボタンを押すこと、タグを引くこと、または他のアクションなどによって、音響タグ上の起動スイッチを閉じることができる。ブロック2404において、音響タグが、IVバッグ102内の輸液の中に音響信号を送信し始める。ブロック2406において、IVポンプ108の音響モデムが、音響信号を受信する。ブロック2408において、IVポンプ108のモデムは、受信した音響信号を変調して、信号内に含まれる情報を獲得し、またはメモリ内に記憶された情報もしくは信号特性と比較されるデジタル情報に信号を変換する。メモリは、音響モデム内に存在することも、または別個のメモリとすることもできる。一例として、信号特性は、音響タグの特定のタイプまたはモデルの周波数特性または振幅特性を含むことができる。それらの周波数特性または振幅特性は、メモリ内に記憶された特定のタイプの輸液容器、輸液、または輸液設定に関連付けることができる。
【0068】
判定ブロック2410において、IVポンプ108は、識別された輸液が輸液設定と一致するかどうかを判定できる。識別された輸液が一致しない場合(すなわち、判定ブロック2410=「No」)、IVポンプ108は、ブロック2412において、アラームを起動して、輸液が現在の輸液設定と一致しないことをIVポンプ108の操作者に警告でき、ブロック2414において、ポンピング動作を終了できる。判定ブロック2410の一部として、輸液が禁止された輸液または薬剤(すなわち、患者がアレルギーを起こす輸液または薬剤)と一致する場合、ポンプが、ブロック2414において、ポンピング動作を終了できるように、IVポンプ108は、加えてまたは代替として、識別された輸液を患者のアレルゲンまたは承認された薬剤のリストと比較できる。IVポンプ108は、ブロック2412において、アラームを起動して、アレルギー条件についても操作者に警告できる。患者のアレルゲン、禁止された薬剤、および/または承認された薬剤のリストは、(たとえば、ワイヤレス通信リンクを介して)IVポンプ108のコントローラによってアクセス可能な病院データベース内に記憶でき、またはポンプコントローラによってアクセス可能なローカルメモリ内に記憶できる。
【0069】
識別された輸液が一致する場合(すなわち、判定ブロック2410=「Yes」)、IVポンプ108は、ブロック2416において、識別された輸液をポンピングユニットが投与するための動作条件を設定でき、ブロック2418において、輸液のポンピングを開始する。
【0070】
一例として、メモリ内のテーブルは、生理食塩水を周波数100Hzの音響信号に関連付けることができる。IVポンプ108が食塩水をポンピングするように操作者によって設定されており、音響モデムが周波数100Hzの信号を検出した場合、IVポンプ108は、ポンピング動作を開始できる。しかし、周波数100Hzの信号が検出されない場合、IVポンプ108は、ポンピング動作を停止し、アラームを鳴らすことができる。
【0071】
図25は、ブロック2502において、IVバッグ102の音響タグが、輸液情報を音響信号内に符号化することを除いて、
図24に関連して上で説明された方法に類似している、別の実施形態の方法2500を示している。一例として、音響タグは、輸液を生理食塩水と識別する信号など、IVバッグ102内に含まれる輸液を直接的に識別する情報で信号を符号化できる。
【0072】
ブロック2504において、IVポンプ108は、受信した音響信号を復調して、音響信号内に符号化された輸液情報を獲得する。ブロック2506において、受信した音響信号から獲得された輸液情報は、メモリ内に記憶された輸液情報と比較できる。方法2500は、その後、ブロック2410からは、
図24を参照して上で説明したように続行できる。
【0073】
図26は、ブロック2602において、IVポンプ108が、音響信号を輸液ラインを介してIVバッグ102に送信することによって、IVバッグ102との通信を開始することを除いて、
図24で説明された方法に類似している、別の実施形態の方法2600を示している。ブロック2604において、IVバッグ102の音響タグは、音響信号をリスンする。ブロック2606において、音響タグは、音響信号を受信する。ブロック2608において、音響タグは、受信した音響信号を認識し、解釈するために、受信した音響信号を音響タグ上のメモリと比較できる。一例として、音響タグは、受信した信号の周波数を、メモリ内に記憶された問合わせ信号の周波数と比較できる。判定ブロック2610において、音響タグは、受信した信号が問合わせ信号であるかどうかを判定できる。受信した信号が問合わせ信号でない場合(すなわち、判定ブロック2610=「No」)、音響タグは、ブロック2604に戻り、音響信号のリスンを継続する。受信した信号は問合わせ信号であると音響タグが判定した場合(すなわち、判定ブロック2610=「Yes」)、音響タグは、ブロック2404からは、
図24および方法2400を参照して上で説明したように続行できる。
【0074】
図27は、問合わせ信号が受信された場合(すなわち、判定ブロック2610=「Yes」)、音響タグが、
図25および方法2500を参照して上で説明したように、ブロック2502に進むことができることを除いて、
図26で説明された方法に類似している、別の実施形態の方法2700を示している。
【0075】
図28は、ブロック2602において、IVポンプ108が、音響信号を輸液ラインを介してIVバッグ102に送信することによって、通信を開始することを除いて、
図24を参照して上で説明された方法に類似している、別の実施形態の方法2800を示している。ブロック2604において、IVバッグ102の音響タグは、音響信号をリスンする。音響信号が受信された場合、方法2800は、
図24および方法2400を参照して上で説明したように、ブロック2404に進む。このように、方法2800は、メモリを必要としない音響タグを使用して実行できる。
【0076】
図29は、ブロック2602において、IVポンプ108が、音響信号を輸液ラインを介してIVバッグ102に送信することによって、ブロック2602において通信を開始することを除いて、
図25を参照して上で説明された方法に類似している、別の実施形態の方法2900を示している。ブロック2604において、IVバッグ102の音響タグは、音響信号をリスンする。音響信号が受信された場合、方法2900は、
図25および方法2500を参照して上で説明したように、ブロック2502に進む。このようにすれば、問合わせ信号特性を記憶する必要がないので、方法2900を実行するために使用される音響タグのメモリは、他の実施形態におけるメモリよりも小さな記憶容量しか必要としなくてよい。
【0077】
図30は、
図24を参照して上で説明された方法に類似しているが、受動音響タグ向けに適合された、別の実施形態の方法3000を示している。ブロック2602において、IVポンプ108は、音響信号を輸液ラインを介してIVバッグ102に送信することによって通信を開始する。ブロック3002において、IVバッグ102上またはIVバッグ102内の受動音響タグは、認識可能な方法で音響信号を反射する。たとえば、反射された音響信号は、最初に送信された音響信号とは異なる周波数にあることができる。ブロック3004において、IVポンプ108は、反射された音響信号を受信できる。ブロック3006において、IVポンプ108は、反射された信号を、メモリ内に記憶された信号特性と比較できる。一例として、IVポンプ108は、IVバッグ102内の輸液を識別するために、反射された信号を、輸液に関連付けられたタグ周波数のテーブルと比較できる。その後、IVポンプ108は、
図24および方法2400を参照して上で説明したように、判定ブロック2410に進むことができる。
【0078】
図31は、ブロック3102において、IVポンプ108がRF信号を送信することによって通信を開始することを除いて、
図24を参照して上で説明された方法に類似している、別の実施形態の方法3100を示している。ブロック3104において、音響タグは、RF信号をリスンする。ブロック3106において、音響タグは、RF信号を受信し、
図24および方法2400を参照して上で説明したように、ブロック2404に進む。
【0079】
図32は、ブロック3102において、IVポンプ108がRF信号を送信することによって通信を開始することを除いて、
図25を参照して上で説明された方法に類似している、別の実施形態の方法3200を示している。ブロック3104において、音響タグは、RF信号をリスンする。ブロック3106において、音響タグは、RF信号を受信し、
図25および方法2500を参照して上で説明したように、ブロック2502に進む。
【0080】
図33は、ブロック2602において、IVポンプ108が、音響信号を輸液ラインを介してIVバッグ102に送信することによって、通信を開始することを除いて、
図25で説明された方法に類似している、別の実施形態の方法3300を示している。ブロック2604において、IVバッグ102の音響タグは、音響信号をリスンする。ブロック2606において、音響タグは、音響信号を受信する。ブロック3302において、音響タグは、輸液情報をRF信号の中に符号化する。ブロック3304において、音響タグは、RF信号を送信する。ブロック3306において、RF信号が、IVポンプにおいて受信される。ブロック3306の一部として、ポンプコントローラは、受信したRF信号が、音響起動信号に応答して送信されたものかどうかを判定できる。これは、受信したメッセージのタイミング、RF信号内に埋め込まれたコード、または他の機構に基づくことができる。ブロック3308において、IVポンプは、RF信号から輸液情報を復号し、
図25を参照して先に説明したように、ブロック2506に進む。ブロック3308におけるRF信号に対する応答は、受信したRF信号が音響起動信号に応答して送信されたものであるとコントローラが判定したかどうかに依存し得る。
【0081】
図34は、
図33を参照して上で説明された方法に類似しているが、問合わせ信号ループが追加されている、別の実施形態の方法3400を示している。ブロック2602において、IVポンプ108は、音響信号を輸液ラインを介してIVバッグ102に送信することによって、通信を開始できる。ブロック2604において、IVバッグ102の音響タグは、音響信号をリスンする。ブロック2606において、音響タグは、音響信号を受信する。ブロック2608において、音響タグは、受信した音響信号を音響タグ上のメモリ内に記憶された信号特性と比較する。一例として、音響タグは、受信した信号の周波数を、メモリ内に記憶された問合わせ信号の周波数と比較できる。判定ブロック2610において、音響タグは、受信した信号が問合わせ信号であるかどうかを判定できる。受信した信号が問合わせ信号でない場合(すなわち、判定ブロック2610=「No」)、音響タグは、ブロック2604に戻り、音響信号のリスンを継続する。受信した信号が問合わせ信号である場合(すなわち、判定ブロック2610=「Yes」)、音響タグは、
図33および方法3300を参照して上で説明したように、ブロック3302に進むことができる。
【0082】
図35は、
図24を参照して上で説明された方法2400、および
図25を参照して上で説明された方法2500に類似している、IVポンプ上に輸液情報を表示するための一実施形態の方法3500を示している。方法2400のブロック2408、または代替として、方法2500のブロック2506の後、IVポンプ108は、ブロック3502に進み、ブロック2408またはブロック2506における比較に基づいて、IVポンプ108のディスプレイに輸液情報を表示する。このように、方法3500は、輸液情報がIVポンプ上に視覚的に表示されるので、患者に対するさらなる保護を提供できるこれは、人手による安全確認を行うように操作者に警告できる。
【0083】
図36は、
図35を参照して上で説明された方法3500に類似しているが、ブロック3602において輸液確認要求が追加されている、一実施形態の方法3600を示している。ブロック3602において、IVポンプ108は、ポンピングされる輸液の確認を要求できる。たとえば、要求は、操作者が応答できる表示メッセージまたは点滅光を介することができる。加えて、ブロック3602における輸液確認要求は、
図35のブロック2414に示されたポンピング動作の終了に取って代わる。このようにして、方法3600は、現在の輸液設定に関連付けられていない輸液のポンピングを可能にし得る。判定ブロック3604において、IVポンプ108は、輸液確認を受け取ったかどうかを判定する。受け取っていない場合(すなわち、判定ブロック3604=「No」)、IVポンプ108は、ブロック3602に進んで、輸液確認を要求する。輸液確認を受け取った場合(すなわち、判定ブロック3604=「Yes」)、IVポンプ108は、ブロック3606において動作条件を要求する。判定ブロック3608において、IVポンプ108は、動作条件を受け取ったかどうかを判定する。動作条件を受け取っていない場合(すなわち、判定ブロック3608=「No」)、IVポンプ108は、ブロック3606に進む。動作条件を受け取った場合(すなわち、判定ブロック3608=「Yes」)、ブロック2416において、受け取った動作条件を使用して、IVポンプ108のための動作条件を設定でき、ブロック2418において、IVポンプは、輸液のポンピングを開始できる。
【0084】
図37は、流体ポンピングデバイスについての、メモリ内に記憶できる、および/または設定できる、可能な動作条件3702のデータ構造図である。動作条件3702は、流量3704、ポンプ時間3706、流体圧力3708、および量3710を含むことができる。
【0085】
図38は、患者情報データベース内の可能なデータベース要素3802のデータ構造図である。例示的なデータベース要素3802は、患者ID3804、投与量3806、薬物相互作用3808、処方3810、最後に投薬した時刻3812、および患者情報3814を含むことができる。これらのデータベース要素は、IVポンプのメモリ内にロードでき、ネットワークを介してIVポンプから利用可能な外部データベース内に記憶でき、または音響モデムのメモリ内にロードできる。加えて、データベース要素は、IVポンプの輸液設定を定義できる。
【0086】
代替実施形態では、音響タグは、流体接続などの直接的な音響経路を介して2つのデバイスの間で情報を伝達することが有益な、任意の応用において使用できる。より具体的には、流体容器から流体を分配するための任意のシステムにおいて、様々な実施形態を使用できる。概略的に言えば、流体容器上、流体容器の内部、または流体容器の内側の音響タグは、流体容器と流体ディスペンサとの間に配置された流体管(たとえば、チューブまたはパイプ)によって形成される音響チャネルを介して、流体ディスペンサ(たとえばポンプ)に情報を伝達できる。
【0087】
特に、様々な実施形態は、様々な産業的(すなわち非医学的)応用においても実施され得る。製造業の応用では、音響送信を使用して、製造プロセス中に加えられる化学薬品を識別できる。代替として、食品サービス店舗では、実施形態を使用して、ソフトドリンクシロップおよび他の添加される液体を識別できる。たとえば、流体容器を飲料シロップバッグ、タンク、またはキャニスタとすることができ、流体管を飲料シロップバッグに接続されたチューブとすることができ、ポンプ、メータ、またはディスペンサをシロップを炭酸水と混合する飲料ディスペンサとすることができる、飲料ディスペンサ内で、実施形態が実施され得る。この例示的な実施形態では、音響モデムは、飲料ディスペンサ内に含むことができ、音響モデムおよび/または飲料ディスペンサのプロセッサは、飲料シロップバッグ内の音響放射器によって放射された、チューブ内の流体および/またはチューブ自体を介して伝達される音響信号を認識または処理して、符号化された情報を獲得し、符号化された情報に基づいて飲料流体フローを開始または中断するように構成できる。
【0088】
上述の方法の説明およびプロセスフロー図は、単に説明的な例として提供されており、様々な実施形態のステップを提示された順序で実行しなければならないことを要求または暗示する意図はない。当業者であれば理解されるように、上述の実施形態におけるステップの順序は、任意の順序で実行できる。「その後」、「次いで」、「次に」などの語は、ステップの順序を限定する意図はなく、これらの語は、読者が方法の説明を読み進めやすいように使用されているにすぎない。さらに、たとえば、冠詞「a」、「an」、または「the」を使用して、請求項の要素を単数形で言及している場合はいずれも、要素を単数に限定していると解釈すべきではない。
【0089】
本明細書で開示される実施形態に関連して説明される、様々な説明的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップは、電子的ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または両方の組合わせとして実施され得る。ハードウェアとソフトウェアのこの交換可能性を明瞭に示すために、様々な説明的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびステップは、一般にそれらの機能に関して上では説明された。そのような機能をハードウェアとして実施するか、それともソフトウェアとして実施するかは、特定の応用、およびシステム全体に課される設計上の制約に依存する。当業者は、説明された機能を特定の各応用のために様々な方法で実施できるが、そのような実施上の決定は、本発明の範囲からの逸脱を引き起こすと解釈すべきではない。
【0090】
本明細書で開示される態様に関連して説明される、様々な説明的なロジック、論理ブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)もしくは他のプログラム可能論理デバイス、個別ゲートもしくはトランジスタロジック、個別ハードウェア構成要素、または本明細書で説明される機能を実行するように構成されたそれらの任意の組合わせを用いて実施または実行され得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサとすることができるが、代替として、プロセッサは、任意の従来型プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械とすることができる。プロセッサは、コンピューティングデバイスの組合わせ、たとえば、DSPとマイクロプロセッサの組合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携する1つもしくは複数のマイクロプロセッサ、または他の任意のそのような構成としても実施され得る。代替として、いくつかのステップまたは方法は、与えられた機能に固有の回路によって実行され得る。
【0091】
1つまたは複数の例示的な態様では、説明される機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組合わせで実施され得る。ソフトウェアで実施される場合、機能は、1つまたは複数の命令またはコードとして、コンピュータ可読媒体上に記憶でき、またはコンピュータ可読媒体を介して送信できる。本明細書で開示される方法またはアルゴリズムのステップは、有形な非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に存在できる、プロセッサ実行可能ソフトウェアモジュールで具体化できる。有形な非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータによってアクセスできる任意の利用可能な媒体とすることができる。例として、限定することなく、そのような非一時的コンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMもしくは他の光ディスク記憶、磁気ディスク記憶もしくは他の磁気記憶デバイス、または命令もしくはデータ構造の形式で所望のプログラムコードを記憶するために使用でき、コンピュータによってアクセスできる他の任意の媒体を含むことができる。本明細書で使用される場合、ディスク(diskおよびdisc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピディスク、およびblu-rayディスクを含み、通常、diskは磁気的にデータを再生し、一方、discはレーザを用いて光学的にデータを再生する。上述のものの組合わせも、非一時的コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。加えて、方法またはアルゴリズムの動作は、コンピュータプログラム製品内に組み込むことができる、コードおよび/または命令の1つまたは任意の組み合わせもしくは組として、有形な非一時的機械可読媒体および/またはコンピュータ可読媒体上に存在できる。
【0092】
開示される実施形態の上述の説明は、当業者が本発明を作成または使用することを可能にするために提供された。これらの実施形態に対する様々な変更は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義された汎用的な原理は、本発明の主旨または範囲から逸脱することなく、他の実施形態に適用できる。したがって、本発明は、本明細書で示された実施形態に限定されることを意図しておらず、以下の請求項ならびに本明細書で開示される原理および新規な特徴に矛盾しない最も広い範囲が認められるべきである。