(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本実施の形態について説明する。本実施の形態において同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については、適宜その説明を省略する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るロードロック装置の要部図であり、(a)は、ロードロック装置の全体概要を表す要部断面模式図、(b)は、(a)の部分Aの拡大図である。
図1(a)に示すロードロック装置1は、真空槽21の内外に真空槽21内の減圧状態を維持したまま基板10を搬入出可能なロードロック装置である。ロードロック装置1は、大気圧下の外部から減圧下の真空槽21の内部へ、真空槽21内の減圧状態を維持したまま、被処理体である基板10の搬入出を可能にする。ロードロック装置1は、大気開放が可能であるとともに、真空ポンプおよび真空ライン等の排気機構を備え、大気圧よりも減圧した雰囲気を維持可能にする。
【0012】
ロードロック装置1は、後述する真空処理装置90の真空槽21に内包されている。真空槽21には、ロードロック装置1のほか、基板10に対して例えばスパッタリング等の真空処理を施す成膜装置80も内包されている。成膜装置80を含めた真空処理装置90の構成については、後述する。
【0013】
ロードロック装置1は、支持台20と、蓋部22と、を備える。支持台20と、蓋部22とは、対向している。
【0014】
支持台20は、基板10を載置したトレイ11を支持することができる。トレイ11は、基板10を載置する凹部11hを有する。支持台20は、その下に設置されたプッシャー70によって、上下に昇降される。
【0015】
トレイ11の凹部11hは、壁部11wによって取り囲まれている。正常状態では、基板10は、トレイ11の凹部11h内に載置されている。すなわち、基板10がトレイ11の凹部11h内に載置されている状態は、トレイ11に対する基板10の「位置ずれ」が生じていない状態である。また、本実施形態では、この「位置ずれ」状態を単に「外れる」と称する場合もある。
【0016】
支持台20と、真空槽21の上壁部21uと、蓋部22と、によりロードロック空間26が形成される。ロードロック空間26内に、基板10およびトレイ11が収納される。ロードロック空間26は、大気圧および大気圧よりも減圧した雰囲気を形成する。すなわち、真空槽21の壁の一部、蓋部22、および支持台20が協働して、真空槽21内の空間から遮断された状態で大気開放および減圧した雰囲気が維持可能である。
【0017】
支持台20と、真空槽21の上壁部21uと、蓋部22と、のそれぞれのあいだには、弾性体で構成されたシール部材25が設けられている。シール部材25は、例えば、樹脂製のO−リングである。基板10は、例えば、ガラス基板、石英基板、半導体ウェーハ等である。基板10の厚みは、例えば、0.1mm以下である。
【0018】
蓋部22には、複数のチャック部22cが設けられている。チャック部22cは、爪型チャックであり、基板10が載置されたトレイ11の底面を保持したり、この保持を解除したりする。支持台20には、チャック部22cを収容する凹部20rが設けられている。ロードロック空間26が減圧状態では、チャック部22cによるトレイ11の保持は、解除されている。トレイ11を保持する手段は、チャック部22cに限らず、例えば、バキューム式の吸着機構でもよい。
【0019】
さらに、蓋部22は、基板10を保持することができる。蓋部22には、トレイ11に対する基板10の位置ずれを抑制する複数の保護部材30が設けられている。複数の保護部材30のそれぞれは、トレイ11に接触可能である。保護部材30のそれぞれは、基板10の表面(被処理面)には触れず、基板10の端に接触可能である。保護部材30は、例えば、金属製である。
【0020】
保護部材30の構造について、
図1(b)を参照しながら説明する。
保護部材30は、支柱部31と、支柱部31によって軸支された円状の筒部32と、を有する。支柱部31は、蓋部22に設けられた凹部22rの底面22bに固定されている。
【0021】
筒部32は、支柱部31の長手方向にスライド可能である。例えば、図中の矢印で示すごとく、筒部32は、基板10の主面に対し略垂直な方向に移動可能である。
【0022】
支持台20と、真空槽21と、蓋部22と、を嵌合させた後、ロードロック空間26を大気圧状態から減圧状態にすると、シール部材25が弾性変形して、蓋部22と、基板10との距離が若干縮まる。筒部32の可動距離は、この縮まる距離以上に設定されている。ロードロック空間26が大気圧状態においては、筒部32はトレイ11の凹部11hの底面11bに接触している。ロードロック空間26が減圧状態になると、大気圧状態に比べ蓋部22と、基板10との距離が若干縮まるものの、筒部32が上記縮んだ分だけ上方にスライドして、同じく筒部32はトレイ11の凹部11hの底面11bに接触する。
【0023】
すなわち、ロードロック空間26が形成されているときに、ロードロック空間26が大気圧状態または減圧状態にかかわらず、筒部32は、基板10の外縁の外側においてトレイ11の凹部11hの底面11bに接触している。このように、複数の保護部材30のそれぞれは、トレイ11の凹部11hの底面11bにおいて、トレイ11に接触可能である。
【0024】
ロードロック空間26を大気圧状態から減圧状態にするには、排気口(排気手段)21Vを通じて排気がなされる。ロードロック空間26を減圧状態から大気開放するには、通気口(通気手段)21Lを通じて通気がなされる。通気口21Lおよび排気口21Vは、基板10の主面に対し、略平行に設けられている。このため、ロードロック空間26の通排気において、ロードロック空間26内の風力は、主に基板10に対し略平行な方向に働く。
【0025】
図2は、ロードロック空間を大気開放後、蓋部を開けた状態のロードロック装置の要部断面模式図である。
ロードロック空間26が大気開放された後、蓋部22は、蓋部22に設けられたチャック部22cがトレイ11の底面を保持し、基板10およびトレイ11ごと外部搬送手段によって持ち上げられる。この後、基板10およびトレイ11は、ロードロック装置1とは別の場所に搬送される。蓋部22を搬送する外部搬送手段については後述する。
【0026】
次に、ロードロック装置1を内包する真空処理装置90について説明する。
図3は、真空処理装置の要部斜視図である。
図4は、真空処置装置の要部断面模式図である。
図4には、
図3のX−X’線に沿った位置での断面が示されている。
【0027】
真空処理装置90は、真空槽21と、ロードロック装置1と、成膜装置80と、を備える。
真空槽21は、減圧チャンバであり、真空処理装置90の主容器である。真空槽21の内部は、搬送空間21sになっている。搬送空間21sは、排気機構によって減圧された雰囲気を維持している。搬送空間21sには、搬送アーム75が設置されている。搬送アーム75は、駆動機構76によって回転することができる。
【0028】
真空槽21の上壁部21uには、孔部(開口部)21aが設けている。孔部21aを介して、真空槽21に基板10を搬入出することができる。孔部21aは、蓋部22と、支持台20と、により閉塞される。すなわち、真空槽21は、真空槽21の孔部21aにおいて、真空槽21の外部から蓋部22によって閉塞される。さらに、真空槽21は、真空槽21の内部より支持台20によって閉塞される。真空槽21においては、真空槽21の壁、蓋部22、および支持台20によって真空槽21の外部および内部から遮蔽された閉塞空間が形成される。この閉塞空間をロードロック空間26とする。ロードロック空間26が形成されているとき、蓋部22は、基板10を載置するトレイ11の凹部11hより外側に位置する複数の保護部材30を有している。
【0029】
また、上壁部21uには、孔部21aのほか、孔部21bが設けられている。孔部21bの上方には、ターゲット材であるスパッタ源81が配置されている。
【0030】
ロードロック空間26が大気開放されているときは、孔部21aは、下側から支持台20によって塞がれている。これにより、搬送空間21sの減圧状態が維持される。また、
図2で例示したように、トレイ11を保持した蓋部22を孔部21aの上方に外すことができる。
【0031】
基板10が載置されたトレイ11を外部からロードロック装置1内に搬入する作用を説明する。
先ず、基板10が載置されたトレイ11を保持した蓋部22が外部搬送手段71によって孔部21aに嵌合される。嵌合後においては、支持台20と、上壁部21uと、蓋部22と、によって取り囲まれたロードロック空間26が形成される。ロードロック空間26は、真空処理装置90の外部とも、真空槽21の搬送空間21sとも遮断されている。この際、チャック部22cに保持されていたトレイ11が支持台20に受け渡される。
【0032】
続いて、ロードロック空間26は、排気されて、搬送空間21sのように減圧状態になる。そして、プッシャー70の降下により、支持台20が下降し、基板10が載置されたトレイ11が搬送空間21sに搬入される。
【0033】
基板10が載置されたトレイ11をロードロック装置1から搬出する作用を説明する。 孔部21aは、予め蓋部22によって上側から塞がれている。これにより、真空槽21の搬送空間21sは、減圧状態を維持している。つまり、孔部21aの底がない状態で搬送空間21sは、減圧状態を維持している。この際、支持台20は、基板10が載置されたトレイ11を支持している。
【0034】
続いて、支持台20の上昇によってトレイ11が孔部21aに嵌合する。嵌合後においては、支持台20と、上壁部21uと、蓋部22と、によって取り囲まれたロードロック空間26が再び形成される。ロードロック空間26は、真空処理装置90の外部とも、真空槽21の搬送空間21sとも遮断されている。そして、ロードロック空間26が大気状態にされる。
【0035】
続いて、トレイ11の底面が蓋部22のチャック部22cによって保持される。さらに、外部搬送手段71によって蓋部22がロードロック空間26から持ち上げられる。そして、外部搬送手段71の回転によって、基板10が載置されたトレイ11がロードロック装置1とは別の場所に搬出される。外部搬送手段71の回転、昇降は、駆動機構72によって制御されている。
【0036】
外部搬送手段71によって、蓋部22が孔部21aから持ち上げられたり、孔部21aに置かれることから、蓋部22は、いわゆるピック・アンド・プレイス型の蓋と称されている。
【0037】
基板10が載置されたトレイ11を搬送空間21sで搬送する作用について説明する。搬送アーム75は、その回転動作によって、ロードロック装置1から成膜装置80へ、あるいは、成膜装置80からロードロック装置1へ基板10が載置されたトレイ11を搬送することができる。
【0038】
搬送アーム75の両側には、支持台20を勘合し、支持台20を載置可能にする孔部75hが設けられている。プッシャー70と、成膜装置80の下方に設けられたプッシャー77は、それぞれ孔部75hを通過することができる。
【0039】
ロードロック装置1から搬送された基板10に真空処理を施す成膜装置80の作用について説明する。成膜装置80は、スパッタ源81と、蓋部82と、壁部材83と、防着板84と、排気機構85と、を備える。
【0040】
まず、ロードロック空間26を形成している支持台20は、プッシャー70の降下によって、搬送アーム75の孔部75hに勘合する。この際、支持台20は、基板10が載置されたトレイ11を支持している。トレイ11を搬送アーム75に受け渡した後、搬送アーム75の回転に支障のない位置にまでプッシャー70が降下する。続いて、搬送アーム75の回転によって、スパッタ源81の下方に、基板10、トレイ11、および支持台20が搬送される。
【0041】
次に、プッシャー77が上昇し、基板10、トレイ11、および支持台20が持ち上げられて、トレイ11の上面が防着板84の下面に接近する。これにより、スパッタ源81、トレイ11、壁部材83、および防着板84によって取り囲まれた成膜空間86が形成される。
【0042】
成膜空間86は、排気機構85によって減圧された雰囲気を維持することができる。成膜空間86は、閉塞空間ではなく、スパッタ用ガスが排気機構85によって排気される孔が別途設けられている。そして、スパッタ源81を稼働させて、トレイ11上の基板10にスパッタリング処理を施す。
【0043】
スパッタリング処理が施されると、プッシャー77が降下し、基板10、トレイ11、および支持台20は、再び、搬送アーム75の孔部75hに嵌合される。そして、プッシャー77が搬送アーム75の下側に下がった後、搬送アーム75が回転して、基板10、トレイ11、および支持台20を蓋部22の下方にまで搬送する。
【0044】
次に、蓋部22に設けられた保護部材30と、基板10およびトレイ11との位置関係について説明する。基板10およびトレイ11には、いくつかの具体例がある。以下にそれらを例示する。
【0045】
図5は、第1具体例に係る基板、トレイ、および保護部材の要部図であり、(a)は、要部平面図、(b)は、(a)のA−A’断面図、(c)は、(a)のB−B’断面図であり、(d)は、(a)の変形例である。
【0046】
トレイ11には、凹部11hが設けられている。凹部11hは、四角状の基板10Aを収容する領域11αと、保護部材30が接触可能な領域11βと、を有する。領域11αの底面と、領域11βの底面と、は面一であり、ともに同じ底面11bである。
【0047】
トレイ11の厚みは、例えば、5.0mmである。凹部11hの深さは、例えば、2.0mmである。領域11αにおいて、凹部11hの内壁と、基板10Aの端とのクリアランスは、例えば、1.2mmである。保護部材30の筒部32の側面は、トレイ11の壁部11wの内壁から、例えば、0.3mm外側に位置している。換言すれば、領域11αと、領域11βと、の境界線を
図5(a)で示すP−Q線とした場合、保護部材30の筒部32の側面は、P−Q線から、例えば、0.3mm外側に位置している。これにより、保護部材30によって、基板10Aの表面が踏み付けられることはない。壁部11wの角は、R0.5mmのR加工が施されている。このR加工が施されていることにより、基板10Aの外縁が角に乗り上げた程度では、基板10Aの外縁は角から滑り落ち、基板10Aは、もとの凹部11hに収容される。
【0048】
このように、基板10Aの主面に対して垂直な方向からみて、基板10Aの外縁より外側に、それぞれの筒部32の側面が位置している。
【0049】
保護部材30および領域11βの数は、
図5に例示する数に限らない。5つ以上の保護部材30および領域11βを設けてもよい。複数の保護部材30および領域11βは、基板10の外縁より外側において周期的に設けてもよく、不等間隔で設けてもよい。
【0050】
なお、領域11αと、領域11βと、は繋げて1つの凹部11hとする必要はない。
図5(d)に示すように、領域11αと、領域11βと、を壁によって分割してもよい。
【0051】
図6は、第2具体例に係る基板、トレイ、および保護部材の要部図であり、(a)は、要部平面図、(b)は、(a)のA−A’断面図、(c)は、(a)のB−B’断面図である。
【0052】
トレイ12には、凹部12hが設けられている。凹部12hは、円形状の基板10Bを収容する領域12αと、保護部材30が接触可能な領域12βと、を有する。領域12αの底面と、領域12βの底面と、はともに同じ底面12bである。
【0053】
トレイ12の厚みは、例えば、5.0mmである。凹部12hの深さは、例えば、2.0mmである。領域12αにおいて、凹部12hの内壁と、基板10Bの端とのクリアランスは、例えば、1.2mmである。保護部材30の筒部32の側面は、トレイ12の壁部12wの内壁から、例えば、0.3mm外側に位置している。換言すれば、領域12αと、領域12βと、の境界線を
図6(a)で示すP−Q線とした場合、保護部材30の筒部32の側面は、P−Q線から、例えば、0.3mm外側に位置している。これにより、基板10Bの表面が保護部材30によって踏み付けられることはない。壁部12wの角は、R0.5mmのR加工が施されている。
【0054】
このように、基板10Bの主面に対して垂直な方向からみて、基板10Bの外縁より外側に、それぞれの筒部32の側面が位置している。
【0055】
保護部材30および領域12βの数は、
図6に例示する数に限らない。5つ以上の保護部材30および領域12βを設けてもよい。複数の保護部材30および領域12βは、基板10Bの外縁より外側において周期的に設けてもよく、不等間隔で設けてもよい。
【0056】
図7は、第3具体例に係る基板、トレイ、および保護部材の要部図であり、(a)は、要部平面図、(b)は、(a)のA−A’断面図、(c)は、(a)のB−B’断面図である。
【0057】
トレイ13には、凹部13hが設けられている。凹部13hは、8角形状の基板10Cを収容する領域13αと、保護部材30が接触可能な領域13βと、を有する。領域13αの底面と、領域13βの底面と、はともに同じ底面13bである。
【0058】
トレイ13の厚みは、例えば、5.0mmである。凹部13hの深さは、例えば、2.0mmである。領域13αにおいて、凹部13hの内壁と、基板10Cの端とのクリアランスは、例えば、1.2mmである。領域13αと、領域13βと、の境界線を
図7(a)で示すP−Q線とした場合、保護部材30の筒部32の側面は、P−Q線から、例えば、0.3mm外側に位置している。これにより、保護部材30によって基板10Cの表面が踏み付けられることはない。壁部12wの角は、R0.5mmのR加工が施されている。
【0059】
このように、基板10Cの主面に対して垂直な方向からみて、基板10Cの外縁より外側に、それぞれの筒部32の側面が位置している。
【0060】
保護部材30および領域13βの数は、
図7に例示する数に限らない。5つ以上の保護部材30および領域13βを設けてもよい。複数の保護部材30および領域13βは、基板10Cの外縁より外側において周期的に設けてもよく、不等間隔で設けてもよい。
【0061】
図8は、第4具体例に係る基板、トレイ、および保護部材の要部断面模式図であり、(a)は、要部平面図、(b)は、(a)のA−A’断面図、(c)は、(a)のB−B’断面図である。
【0062】
トレイ14は、上述したトレイ11の変形例である。
トレイ14には、凹部14hが設けられている。凹部14hは、基板10Aを収容する領域14αと、保護部材30が接触可能な領域14βと、を有する。領域14αの底面14αbと、領域14βの底面14βbと、には、段差が設けられている。底面14βbは、底面14αbよりも深い。これにより、保護部材30の筒部32は、底面14αbよりも深い位置にまで挿入することができる。すなわち、複数の保護部材30のそれぞれは、トレイ14の凹部14hの底面14αbより深い位置において、トレイ14に接触可能である。なお、このような基板を載置する領域14αと、保護部材が接触可能な領域14βとに段差を設ける構造は、トレイ12、13に転用してもよい。これにより、基板10は、保護部材30とトレイ12、13、14との間により確実に挟まれ難くなる。
【0063】
次に、ロードロック装置1の作用効果について説明する。
ロードロック装置1の作用効果を説明する前に、参考例に係るロードロック装置100の作用効果について説明する。
【0064】
図9は、参考例に係るロードロック装置の要部図であり、(a)は、ロードロック装置の全体概要を表す要部断面模式図、(b)は、(a)の部分Aの拡大図である。
【0065】
ロードロック装置100においては、上述した保護部材30が設けられていない。タクトタイムを短縮する都合上、ロードロック装置100は、急激に排気したり、通気したりする。
【0066】
上述したように、ロードロック空間26を通排気すると、ロードロック空間26内の風力は、基板10に対し略平行な方向に働く。ロードロック装置100においては、保護部材30が設けられていないため、急激な排気または通気により、基板10がトレイ11の凹部11hから飛び出して、トレイ11に対する基板10の位置がずれたり、基板10に割れ、欠けが生じたりする。例えば、
図9(b)には、基板10がトレイ11から外れ、壁部11w上に乗り上げた状態が例示されている。従って、ロードロック装置100を用いると、製造歩留まりが低下する可能性がある。
【0067】
これに対し、ロードロック装置1においては、基板10の外縁の外側に保護部材30の筒部32が設けられている。このため、ロードロック装置1を急激に排気したり、通気したりしても、基板10の端が保護部材30によってトレイ11の凹部11hから外れることなく保護される。
【0068】
例えば、ロードロック空間26を急激に大気圧状態にしたり、減圧状態にしても、筒部32は常時、トレイ11の凹部11hの底面11bに接しているか、あるいは、底面11bよりも深く挿入されている。このため、基板10の端は、筒部32の側壁に接触可能である。従って、ロードロック空間26を急激に大気圧状態にしたり、減圧状態にして、基板10がトレイ11から外れようとしても、基板10の端が保護部材30によって保護される、これにより、基板10は、トレイ11の凹部11hから外れ難くなる。このように、ロードロック装置1は、基板10を安定して保持することができる。
【0069】
このように、保護部材30をトレイ11の凹部11hの底面11bに接触させるか、あるいは、凹部11hの底面11bよりも深く挿入する構成が望ましい。
【0070】
保護部材30を凹部11hの底面11bよりも深く挿入する場合には、保護部材30と、凹部11hの底面11bとの接触界面が基板10の裏面側よりもさらに下側に位置する。これにより、基板10は、保護部材30とトレイ11との間により確実に挟まれ難くなる。
【0071】
なお、このような保護部材30については、トレイ11側に取り付ける方策も考えられる。しかし、このような構造では、トレイ11に載置された基板10にスパッタリング等の真空処理と施すときに、トレイ11に取り付けられた保護部材30がマスクになって、被膜の膜厚が不均一になる可能性がある。従って、本実施形態のように、蓋部22に保護部材30を取り付ける構造が好ましい。
次に、保護部材の構造の変形例について説明する。
【0072】
(第2実施形態)
図10は、第2実施形態に係るロードロック装置の要部断面模式図である。
図10には、保護部材付近の拡大図が示されている。
図10(a)に示すように、第2実施形態に係るロードロック装置2においては、保護部材40のそれぞれは、蓋部22に設けられた凹部22rの底面22bに固定された弾性体41と、弾性体41に直列状に接続されたピン部42と、を有する。弾性体41は、例えば、バネである。ピン部42は、例えば、金属製である。ピン部42は、弾性体41の伸縮により、ピン部42の長手方向に移動可能である。ピン部42は、突起部42aと、突起部42aに接続された板部42bと、を有する。板部42bは、凹部22rの入り口に設けられた掛止部22sによって掛止される。
【0073】
また、トレイ11の凹部11hは、基板10を収容する領域11αと、保護部材40が接触可能な領域11βと、を有する。領域11αの底面と、領域11βの底面と、は、ともに底面11bである。なお、複数の保護部材40を、基板10の外縁の外側に周期的に設けてもよく、不等間隔で設けてもよい。
【0074】
ロードロック空間26を大気圧状態から減圧状態にすると、シール部材25が弾性変形して、蓋部22と、基板10との距離が若干縮まる。ピン部42の可動距離は、この縮まる距離以上に設定されている。ロードロック空間26が大気圧状態においては、ピン部42はトレイ11に接触している。ロードロック空間26が減圧状態になると、大気圧状態に比べ蓋部22と、基板10との距離が若干縮まるものの、ピン部42が上記縮んだ分だけ上方にスライドして、保護部材40は、距離の変化を吸収できる。また、ロードロック空間26が形成されているときに、ピン部42は、基板10の外縁の外側においてトレイ11に接触可能である。すなわち、ピン部42はトレイ11の凹部11hの底面11bに接触しつつ、確実にロードロック空間26が密閉される。
【0075】
従って、ロードロック装置2においても、ロードロック装置1と同様に、基板10を安定して保持することができる。なお、弾性体41およびピン部42を一体化し、保護部材40全体をゴム、バネ等の弾性体で構成しても、同様の効果を得る。
【0076】
また、ピン部42は、弾性体41によってトレイ11側に付勢されている。このため、ロードロック空間26内を通排気しても、ピン部42が風力により飛び跳ねることはない。その結果、基板10がピン部42と、トレイ11との間に挟まれることはない。
【0077】
また、ピン部42の突起部42aを凹部11hの底面11bよりさらに深く挿入させる構成も、本実施形態に含まれる。
【0078】
例えば、
図10(b)に示すように、トレイ11の凹部11hは、基板10を収容する領域11αと、保護部材40が接触可能な領域11βと、を有する。領域11αの底面11αbと、領域11βの底面11βbと、には、段差が設けられている。底面11βbは、底面11αbよりも深い。これにより、保護部材40の突起部42aは、底面11αbよりも深い位置にまで挿入する。保護部材40を凹部11hの底面11αbよりも深く挿入する場合には、保護部材40と、凹部11hの底面11βbとの接触界面が基板10の裏面側よりもさらに下側に位置する。これにより、基板10は、保護部材40とトレイ11との間により確実に挟まれ難くなる。
【0079】
(第3実施形態)
図11は、第3実施形態に係るロードロック装置の要部断面模式図である。
図11には、保護部材付近の拡大図が示されている。
図11(a)に示すように、第3実施形態に係るロードロック装置3においては、蓋部22に保護部材50が複数設けられている。保護部材50は、棒材または板部材であり、例えば、金属製、弾性体である。保護部材50が金属製の場合には、保護部材50は、単独部材でもよく、蓋部22の一部であってもよい。
【0080】
また、トレイ11の凹部11hは、基板10を収容する領域11αと、保護部材40が接触可能な領域11βと、を有する。領域11αの底面と、領域11βの底面と、は、ともに底面11bである。なお、複数の保護部材50を、基板10の外縁の外側に周期的に設けてもよく、不等間隔で設けてもよい。
【0081】
ロードロック空間26を大気圧状態から減圧状態にすると、シール部材25が弾性変形して、蓋部22と、基板10との距離が若干縮まる。保護部材50がゴム等の弾性体材である場合において、ロードロック空間26が大気圧状態のときは、保護部材50はトレイ11に接触している。ロードロック空間26が減圧状態になると、大気圧状態に比べ蓋部22と、基板10との距離が若干縮まるものの、保護部材50が弾性変形して、保護部材50は、上記距離の変化を吸収できる。これにより、保護部材50はトレイ11の凹部11hの底面11bに接触しつつ、確実にロードロック空間26が密閉される。
【0082】
また、保護部材50を凹部11hの底面11bよりさらに深く挿入させる構成も、本実施形態に含まれる。この場合、複数の保護部材50のそれぞれは、トレイ11の凹部11hの底面11αbより深く挿入可能であり、トレイ11には接触しない。
【0083】
例えば、
図11(b)に示すように、トレイ11の凹部11hは、基板10を収容する領域11αと、保護部材50が挿入可能な領域11βと、を有する。領域11αの底面11αbと、領域11βの底面11βbと、には、段差が設けられている。底面11βbは、底面11αbよりも深い。保護部材50は、底面11αbよりも深い位置にまで挿入する。このような段差を設けることにより、上記距離の変化が吸収される。さらに保護部材50を凹部11hの底面11αbよりも深く挿入する場合には、保護部材50の下端が基板10の裏面側よりもさらに下側に位置する。これにより、基板10は、保護部材50とトレイ11との間により確実に挟まれ難くなる。
【0084】
また、保護部材50は、固定物であるため、ロードロック空間26内を通排気しても、保護部材50は不動である。その結果、保護部材50は風力によって飛び跳ねることはなく、基板10が保護部材と、トレイ11との間に挟まれることはない。
【0085】
従って、ロードロック装置3においても、ロードロック装置1と同様に、基板10を安定して保持することができる。
【0086】
(第4実施形態)
図12は、第4実施形態に係るロードロック装置の要部断面模式図であり、(a)は、基板を載置したトレイおよび保護部材の要部平面図であり、(b)は、(a)のX−X’位置における蓋部、保護部材、およびトレイの要部断面模式図である。
【0087】
第4実施形態に係るロードロック装置4においては、蓋部22に保護部材50が複数設けられている。保護部材50は、基板10Aの外縁の外側に周期的に設けてもよく、不等間隔で設けてもよい。保護部材50は、上述した保護部材30、40に置き換えてもよい。
【0088】
トレイ15の凹部15hは、基板10Aを収容する領域15αと、保護部材50が挿入する領域15βと、を有する。領域15βは、保護部材50に対応するように周期的もしくは不等間隔で設けられている。
【0089】
領域15αの底面と、領域15βの底面と、は、面一にしてもよく、段差を設けてもよい。領域15αの底面と、領域15βの底面とに段差を設けた場合は、上述したように、領域15αの底面よりも深く保護部材50を挿入させることができる。
【0090】
このように複数の保護部材50を基板10Aの外縁の外側に周期的もしくは不等間隔で設けることにより、より安定して基板10Aの位置ずれを防止することができる。
【0091】
(第5実施形態)
図13は、第5実施形態に係るロードロック装置の要部断面模式図である。
第5実施形態のロードロック装置では、
図13(a)に示すロードロック装置5aのように、保護部材30を、トレイ11の壁部11wの上面に接触させている。このような構成でも、ロードロック装置5aを急激に排気したり、通気したりしても、基板10の端が保護部材30によってトレイ11の凹部11hから外れることなく保護される。
【0092】
また、
図13(b)に示すロードロック装置5bのように、保護部材30の筒部32を、壁部11wに設けられた凹部11whに挿入してもよい。筒部32と、トレイ11とは、接触させてもよく、接触させなくてもよい。
【0093】
このような構造であれば、基板10は、保護部材30とトレイ11との間により確実に挟まれ難くなる。また、保護部材30の下端を基板10の裏面側よりもさらに下側に挿入させる構造であってもよい。なお、
図13に示す保護部材30に代えて、保護部材40、50を用いてもよい。
【0094】
以上説明したロードロック装置1〜5a、5bのいずれか1つは、真空処理装置90に組み込まれる。
【0095】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。例えば、保護部材30、40、50を構成する各部材の材質は、金属でもよく、樹脂でもよく、セラミックでもよい。また、保護部材30、40、50の材質はこれらの材料に限られるものではない。
【0096】
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて複合させることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。