(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、水バッグが密封状態で提供されても、一旦開封されて飲料水サーバに設置されると、設置時間が長くなれば、また保存状態によっては雑菌の繁殖は否定できない。また、水バッグから飲料水サーバ内に取り込んで冷却する構成では、冷水保管部での殺菌や洗浄は不可欠である。飲料水や器具の殺菌には飲料水サーバ内に紫外線ランプなどの滅菌のための装備や、殺菌作業が不可欠である。
【0007】
また、温水と冷水とを別個の水バッグで構成し、冷水側の水バッグを直に冷却する飲料水サーバでは、温水と冷水との使用頻度が異なるのが一般的である。温水タンクでは、80〔℃〕を超えて高温化しているが、温水用の水バック内の水は長期保存状態で劣化するおそれがある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、雑菌などの繁殖から飲料水を防護し、冷水や温水の飲料水を提供する装備の簡略化にある。
【0009】
本発明の他の目的は、メンテナンスの容易化および簡略化を図ることにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、飲料水サーバおよび飲料水供給方法に適する水バッグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の飲料水サーバおよび飲料水供給方法は、
第1および第2の水取出口を備える水バッグ内にある水を冷水化し、その冷水を水バッグ
の第1および第2の水取出口の一方から直接飲料水として供給し、また、水バッグ
の他方の水取出口から取り出した冷水を
加熱手段で加熱し、高温化し
た温水として
加熱手段に備えた温水取出口から供給する。
【0012】
また、本発明の水バッグは、バッグ本体に第1および第2の水取出口を備え、
飲料水サーバに設置されて、飲料水サーバが備える冷却手段によって水が入れられたバッグ本体を直冷することにより、たとえば、第1の水取出口から冷水を取り出し、第2の水取出口から温水生成用の冷水を取り出
して飲料水サーバ内に導入することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の飲料水サーバ、飲料水供給方法または水バッグによれば、次の何れかの効果が得られる。
【0014】
(1) 水バッグ内で冷水化された水を水バッグから飲料水として提供できる。
【0015】
(2) 水バッグ内で冷却されるとともに、水バッグ内で冷水保存されている冷水から温水を生成し、飲料水として提供できる。つまり、水バッグ内で低温保存状態にある冷水を加熱するので、劣化が抑制された冷水から生成した温水を提供できる。
【0016】
(3) 冷水は、水バッグから直接供給するので、飲料水サーバ内に冷水のための滅菌装置などの装備を省略化でき、装備の簡略化を図ることができる。
【0017】
(4) 冷水は、水バッグから直接供給するので、冷水の供給経路を単純化でき、飲料水サーバ内のメンテナンスの容易化および簡略化を図ることができる。
【0018】
(5) 水バッグは、第1の水取出口により冷水取出し、第2の水取出口により水供給を可能とする。
【発明を実施するための形態】
【0021】
第1の実施の形態について、
図1を参照する。
図1は飲料水サーバおよび水バッグの一例を示している。
図1に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0022】
この飲料水サーバ2は本発明の飲料水サーバおよび飲料水供給方法の一例であり、単一の水バッグ4を用いて冷水CW、冷水CWから生成した温水HWとを供給する。
【0023】
水バッグ4には第1および第2の水取出口の一例としてコック6Aとコック6Bとが設けられ、これら6A、6Bは共通の管路から分岐され、いずれのコック6A、6Bからも水バッグ4内の水8を独立して取り出すことができる。この実施の形態では、コック6Aが冷水CWの供給のみ、コック6Bが温水生成のための冷水供給に用いられ、このコック6Bに接続された管路10(
図3)が筐体12内に引き込まれている。すなわち、水バッグ4で得られる冷水CWが管路10を通して筐体12内に導入され温水生成に用いられている。
【0024】
筐体12の頂部には水バッグ4を冷却する冷却手段として冷却部14(
図3)を備える冷却庫15が設置されている。この冷却部14に置かれた水バッグ4内の水8は冷却庫15内で直に冷却され、冷却保存される。冷却庫15には開閉蓋17が設けられ、この開閉蓋17を開いて水バッグ4が収納される。冷却庫15内で冷却された水8は、コック6Aを開くことにより、水バッグ4から冷水CWとして提供できる。
【0025】
筐体12の前面上部には操作パネル部16が設置され、この操作パネル部16には温水供給開始ボタン18、表示部20、温度設定ボタン22(
図5)などが配置されている。温水供給開始ボタン18を操作すれば、温水供給を開始することができる。表示部20には、冷水温度、温水温度、設定温度などが表示される。温度設定ボタン22を操作すれば、冷水温度や温水温度を設定することができる。
【0026】
筐体12の前面に形成された温水供給窓部24には温水供給口26が設けられている。既述の温水供給開始ボタン18を操作すれば、温水供給口26から温水HWを供給することができる。
【0027】
斯かる構成では、飲料水サーバ2の冷却部14で冷却され、コック6Aから冷水CWが得られるとともに、コック6Bから飲料水サーバ2内に導入した冷水CWから温水HWが生成されている。つまり、この飲料水サーバ2には冷却庫15で冷水保存されている水バッグ4から供給された冷水CWを加熱装置38で加熱して温水HWを供給する温水供給手段が構成され、冷水CWから温水化された飲料水を供給できる。
【0028】
つぎに、水バッグ4について
図2を参照する。
図2の(A)は水バッグ4の一部を切り欠いて示し、
図2の(B)は外装箱を除いた水バッグを示している。
【0029】
この水バッグ4は、
図2に示すように、立方体で形成された外装箱28の内部にバッグ本体30が収容されている。外装箱28はたとえば、ダンボール製や合成樹脂製の筐体であり、内容物であるバッグ本体30を防護するとともに、一定の保形性を有する。この外装箱28は水バック4の輸送用であり、使用時にはバッグ本体30を取り出せばよい。バッグ本体30はたとえば、収縮性を持つ合成樹脂フィルムの成形体であり、収容された水8の残量に応じた容積に収縮される。これにより、バッグ本体30内への空気の流入が回避される。
【0030】
この実施の形態では、バッグ本体30の側面に第1および第2のコック6A、6Bがバッグ本体30と一体に形成され、外装箱28の窓部32から突出している。各コック6A、6Bは操作つまみ34を図面表示の状態から直交方向に操作すれば、開状態にでき、水バッグ4内の水8を取り出すことができる。
【0031】
また、外装箱28から取り出したバッグ本体30を既述の冷却部14に設置すれば、バッグ本体30を冷却部14に密着させて設置でき、バッグ本体30内の水8を冷却部14によって直に冷却することができる。
【0032】
この場合、外装箱28の底面のみを除き、外装箱28の底面から露出させたバッグ本体30の底面を冷却部14に密着させてもよい。
【0033】
つぎに、飲料水サーバ2の冷却装置36および加熱装置38について、
図3を参照する。
図3は飲料水サーバ2の構成例を示している。
【0034】
冷却装置36は冷却手段の一例であって、筐体12の頂部にある冷却部14により、水バッグ4内の水8を直接冷却する構成である。この冷却装置36には、エバポレータ40、コンプレッサ42、ドライヤ44およびコンデンサ46が冷媒管48によって連結され、冷媒管48の中途部にはキャピラリーチューブ50が設置されている。エバポレータ40は既述の冷却部14の表面に設置されて平坦面を成し、その上面が水バッグ4の載置面となっている。この冷却装置36では、コンプレッサ42で加圧した冷媒52を冷媒管48に流してエバポレータ40に導き、水バッグ4側から熱を奪い、ドライヤ44を経て乾燥させた後、コンデンサ46で凝縮させ、コンプレッサ42に戻す冷凍サイクルを構成している。エバポレータ40内で冷媒52が蒸発してエバポレータ40の表面温度が低下し、これにより水バッグ4内の水8が冷却され、冷水化される。
【0035】
水バック4の表面温度は冷水温度センサ54により検出され、その検出出力が冷却温度の制御情報として制御装置56に入力される。制御装置56では、設定された冷却基準温度と検出温度とを比較し、検出温度が冷却基準温度になるようにコンプレッサ42の駆動を制御する。これにより、エバポレータ40を通して冷却される水バッグ4の冷却温度は一定温度に制御される。冷水温度は使用目的に応じて異なるが、たとえば、5〔℃〕に設定される。
【0036】
冷水CWから温水HWを生成する加熱装置38は、筐体12の内部に温水タンク60を備え、この温水タンク60に電熱ヒータ62を備えている。温水タンク60には、コック6Bに接続された管路10の他端が調整部64に接続されている。調整部64に接続された管路66は温水タンク60に挿入されている。調整部64は、温水タンク60の温水HWのレベルに応じてコック6Bから冷水CWを温水タンク60に導く調整弁の機能と、気泡排出機能とを有する。温水タンク60に発生した気泡は管路66を通じて調整部64に導かれ、通気孔68から外気に放出される。
【0037】
加熱装置38は加熱手段の一例であって、温水タンク60が備えられている。この温水タンク60には温水温度センサ70と、空焚き防止スイッチ72とが設置され、温水タンク60内の温水温度が監視されている。温水温度センサ70の検出温度は加熱制御情報として制御装置56に入力されている。制御装置56では設定された温水基準温度と温水温度センサ70の検出温度とを比較し、検出温度が温水基準温度になるように電熱ヒータ62の加熱電流を制御するので、温水タンク60内の温水温度は一定温度に制御される。温水温度は使用目的に応じて異なり、たとえば、高温設定では90〔℃〕以上、通常使用の低温設定では85〔℃〕である。
【0038】
空焚き防止スイッチ72は温度検出機能と給電遮断機能を備えたたとえば、バイメタルセンサで構成され、空焚き防止スイッチ72が異常温度、つまり空焚き状態を表す高温度を検出したとき、電熱ヒータ62の通電を解除し、空焚き状態の継続を阻止する。したがって、温水タンク60内の温水温度は基準温度以下に制御されるとともに、空焚き防止が図られている。
【0039】
温水タンク60には給湯管74が接続され、操作パネル部16(
図1)にある温水供給開始ボタン18の押下により、給湯管74にある電磁弁76が開かれるとともに、ポンプ78の駆動により、温水HWが温水供給口26(
図1)から供給される。なお、温水供給口26が調整部64より下に設置される場合には、ポンプ78がなくても、温水HWを供給できるので、ポンプ78を省いてもよい。
【0040】
温水タンク60の底面には排水管80が接続され、排水栓82を開くことにより、排水管80から温水タンク60内の残留水を排出することができる。この排水管80は、温水タンク60の内の洗浄などに用いられる。
【0041】
このように、エバポレータ40は水バッグ4の載置面を構成しているので、水バッグ4の底面を密着させることができ、水バッグ4内の水8を迅速に冷却することができる。水バッグ4内で冷却された水8つまり、冷水CWはコック6Aの操作により、水バッグ4から直接、供給することができる。
【0042】
水バッグ4内の水8は水バッグ4内で直に冷却されるので、水8は水バッグ4内で冷却保存状態に維持され、その劣化を抑制できる。
【0043】
また、温水HWは、冷却保存状態から温水タンク60に導かれて高温度に加熱されるので、常温で維持ないし放置されることがなく、つまり冷水保存された水8を劣化させることなく加熱した温水を提供できる。
【0044】
つぎに、調整部64について、
図4を参照する。
図4は調整部の一例を示し、(A)は開閉弁の開状態、(B)は開閉弁の閉状態を示している。
【0045】
調整部64には、
図4の(A)に示すように、管路10の終端にレベル検出タンク86が備えられている。このレベル検出タンク86には管路66を通じ、温水タンク60の温水レベルに応じて温水HWが溜まる。このレベル検出タンク86内に設置されたフロート88は、溜まる温水HWから浮力を受け、温水HWのレベルに応じて上下動する。このフロート88には、回動支点90に回動可能に支持されたレバー92が支持軸91を介して取り付けられ、管路10の先端部にある開閉弁94がレバー92の移動により開閉する。
【0046】
フロート88が下降している場合には、
図4の(A)に示すように、開閉弁94が開かれ、管路10から冷水CWがレベル検出タンク86に流れ込み、管路66を通じて温水タンク60に供給される。
【0047】
この冷水CWの供給により、温水タンク60のレベルが上昇すると、
図4の(B)に示すように、フロート88が上昇し、開閉弁94が閉じられる。この開閉弁94の閉成で冷水CWの通過が阻止される。すなわち、冷水CWの供給停止となる。
【0048】
このような温水タンク60の温水レベルに応じたフロート88の上下動により開閉弁94が開閉され、これにより、温水タンク60に対する水8の供給が制御される。したがって、温水タンク60内の温水レベルは常に一定に保持される。
【0049】
そして、レベル検出タンク86には外気に通じる通気孔68が備えられ、この通気孔68によってレベル検出タンク86は外気圧に保持されるとともに、温水HWに生じた蒸気HAが通気孔68を通じて外気に放出される。
【0050】
つぎに、制御装置56の構成について、
図5を参照する。
図5は制御装置56の一例を示している。
【0051】
この制御装置56はたとえば、マイクロコンピュータで構成された制御部96が備えられ、この制御部96には入力部98が接続されている。この入力部98にある既述の温水供給開始ボタン18から温水供給開始入力や、温度設定ボタン22からの温度設定入力が加えられる。また、制御部96には冷水温度センサ54、温水温度センサ70から検出温度が入力される。
【0052】
制御部96には、メモリ100が接続され、このメモリ100には冷水供給や温水供給を制御する制御プログラムや、設定情報などが格納される。
【0053】
制御部96では、既述の冷却制御や温度制御が実行され、冷却制御ではコンプレッサ42の駆動制御が行われ、温水制御では電熱ヒータ62の給電制御が行われる。タイマー102は、動作時間の設定などの計時に用いられる。
【0054】
給湯制御では、温水供給開始ボタン18を押下すると、ポンプ78が駆動されるとともに、電磁弁76が開かれる。これにより、温水HWが供給される。
【0055】
既述の空焚き防止スイッチ72は、温水タンク60の温度が空焚き防止温度に到達したとき、加熱装置38に対する給電を解除する。
【0056】
つぎに、既述した第1の実施の形態の特徴事項や利点を列挙する。
【0057】
(1) 水バッグ4で直に冷却された冷水CWを水バッグ4にある冷水取出口としてのコック6Aから飲料水として提供できる。
【0058】
(2) 水バッグ4で冷却した冷水CWを加熱した温水HWを飲料水として提供できる。水バッグ4内で低温保存状態にある冷水CWを加熱するので、水バッグ4内で劣化を抑制された水8を温水化することができる。新鮮で美味な温水HWを提供できる。
【0059】
(3) 冷水CWは、水バッグ4から直接供給するので、飲料水サーバ2内から冷水CWのための滅菌装置などの装備を省略化でき、装備の簡略化を図ることができる。
【0060】
(4) 冷水CWは、水バッグ4から直に供給するので、冷水CWの供給経路が単純化されたことにより、冷水供給のための飲料水サーバ2内のメンテナンスの容易化および簡略化を図ることができる。
【0061】
(5) 水バッグ4によれば、第1のコック6Aを冷水取出しに、また、第2のコック6Bを温水生成に利用でき、水バッグ4内の水8の劣化を防止できる。
【0063】
第2の実施の形態について、
図6を参照する。
図6は水バッグ4の変形例を示している。
【0064】
第1の実施の形態では、立方体の水バッグ4の同一の側面に第1および第2の水取出口としてコック6A、6Bを分岐した構成としたが、
図6の(A)に示すように、同一の側面にコック6A、6Bを設置してもよい。
【0065】
また、
図6の(B)に示すように、水バッグ4に単一の取出口104を設け、この取出口104から分岐して二つのコック6A、6Bを設けてもよい。
【0066】
また、
図6の(C)に示すように、水バッグ4の異なるの側面にコック6A、6Bを設置してもよい。
【0068】
(1) 上記実施の形態では、水バッグ4に冷水温度センサ54を設置し、水バッグ4内の冷水の温度を検出し、その検出情報に基づいてコンプレッサ42の駆動を制御しているが、これに限定されない。冷却庫15の内部温度の検出、エバポレータ40の表面温度の検出、第1または第2のコック6A、6Bから取り出される冷水温度の検出の何れかに基づき、コンプレッサ42の駆動を制御し、冷却温度を制御してもよい。
【0069】
(2) 上記実施の形態では、冷却庫15から筐体12に管路10を導入しているが、管路10を冷却庫15から冷却部14を通過することなく、たとえば、冷却部14の外部から筐体12に管路10を導入してもよい。
【0070】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。