(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一方の前記接続端子は、一方の前記対となる固定接点及び可動接点の前記固定接点と接続され、他方の前記接続端子は、他方の前記対となる固定接点及び可動接点の前記可動接点と接続されるもの、
または、一方の前記接続端子は、一方の前記対となる固定接点及び可動接点の前記可動接点と接続され、他方の前記接続端子は、他方の前記対となる固定接点及び可動接点の前記固定接点と接続されるもの、
であることを特徴とする請求項7に記載のコネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
また、スイッチを組み込んだ構成のコネクタでは、電源から供給される電圧が100V以上の場合、または、高電圧で直流である場合、現在使用されているスイッチをそのまま用いることはできない。例えば、電源から供給される電力が直流400Vの場合では、現在の交流100Vに用いられているスイッチでは、十分な安全性や信頼性が確保されていないため、そのまま使用することは危険である。
【0008】
よって、本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、現状の商用電源の電圧よりも高い電圧の電源、または、直流電源に対応したスイッチであって、信頼性又は安全性の高いスイッチを提供することを目的とするものであり、更には、高電圧の電力を安全に供給することが可能なコネクタを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、2つの対となる固定接点及び可動接点と、前記対となる固定接点及び可動接点の各々に対応して設けられた2つの磁石と、を有し、前記固定接点と前記可動接点との間に流れる電流の向きは、ともに同じ方向であって、前記対となる前記固定接点及び前記可動接点が設けられている側に向かう磁石の磁極面は、一方の前記磁石と他方の前記磁石との極性が逆となるように設置されているものであって、一方の前記磁石及び他方の前記磁石は、一方の前記対となる固定接点と可動接点との間で生じたアークと、他方の前記対となる固定接点と可動接点との間で生じたアークとが、互いに離れる方向に吹飛ばされるように配置されて
おり、前記可動接点は、可動板部の一方の端部に取り付けられており、前記可動板部の他方の端部は、可動バネに取り付けられており、前記固定接点は、固定バネに取り付けられており、前記可動板部は、前記固定バネよりも熱的容量が大きいことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、一方の前記磁石は、一方の前記対となる固定接点と可動接点との間で生じたアークが、他方の前記対となる固定接点及び可動接点が設けられていない側に吹飛ばされるように配置されており、他方の前記磁石は、他方の前記対となる固定接点と可動接点との間で生じたアークが、一方の前記対となる固定接点及び可動接点が設けられていない側に吹飛ばされるように配置されているものであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、2つの対となる固定接点及び可動接点と、前記対となる固定接点及び可動接点の近傍に設けられた磁石と、を有し、前記固定接点と前記可動接点との間に流れる電流の向きは、ともに同じ方向であって、前記磁石は、一方の前記対となる固定接点及び可動接点の側の極性と、他方の前記対となる固定接点及び可動接点の側の極性とが逆となるように設置されており、前記磁石は、一方の前記対となる固定接点と可動接点との間で生じたアークと、他方の前記対となる固定接点と可動接点との間で生じたアークとが、互いに離れる方向に吹飛ばされるように配置されて
おり、前記可動接点は、可動板部の一方の端部に取り付けられており、前記可動板部の他方の端部は、可動バネに取り付けられており、前記固定接点は、固定バネに取り付けられており、前記可動板部は、前記固定バネよりも熱的容量が大きいことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、電流は前記固定接点から前記可動接点へ流れ
ることを特徴とする。
また、本発明は、一方の端部に前記固定接点が設けられ、他方の端部がベースブロックに固定されている固定バネと、一方の端部に前記可動接点が設けられ、他方の端部が前記ベースブロックに固定されている可動バネと、を有し、前記固定バネは、前記ベースブロックに固定されている他方の端部と前記固定接点との間に、屈曲部を有し、前記可動バネは、前記ベースブロックに固定されている他方の端部と前記可動接点との間に、屈曲部を有し、前記ベースブロックに固定されている前記固定バネの他方の端部と前記可動バネの他方の端部との間には、前記固定バネの屈曲部よりも高い位置まで絶縁壁が設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記可動接点は、前記固定接点よりも上部に配置されているものであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、電源と電子機器との間に設けられており、一方の前記対となる固定接点及び可動接点における前記固定接点は前記電源の一方の極と接続され、前記可動接点は前記電子機器の一方の端子と接続され、他方の前記対となる固定接点及び可動接点における前記固定接点は前記電子機器の他方の端子と接続され、前記可動接点は前記電源の他方の極と接続されるものであることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記電流は、前記可動接点から前記固定接点に向かって流れるものであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記電流は、前記固定接点から前記可動接点に向かって流れるものであることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、前記固定接点は固定バネに接続されており、前記可動接点は可動バネに接続されており、前記固定バネと前記可動バネの間に絶縁体材料により形成された絶縁体カバーが設けられていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、前記絶縁体カバーは前記固定バネを覆うように形成されているものであることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、前記記載のスイッチと、他のコネクタにおける2つの他の接続端子と各々電気的に接続される2つの接続端子と、を有していることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、一方の前記接続端子は、一方の前記対となる固定接点及び可動接点の前記固定接点と接続され、他方の前記接続端子は、他方の前記対となる固定接点及び可動接点の前記可動接点と接続されるもの、または、一方の前記接続端子は、一方の前記対となる固定接点及び可動接点の前記可動接点と接続され、他方の前記接続端子は、他方の前記対となる固定接点及び可動接点の前記固定接点と接続されるもの、であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、現状の商用電源の電圧よりも高い電圧の電源、または、直流電源に対応したスイッチであって、安全性及び信頼性の高いスイッチを提供することができる。また、現状の商用電源の電圧よりも高い電圧の電源、または、直流電源に対応したコネクタであって、これらの電源からの電力を安全に供給することが可能なコネクタを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。また、本実施の形態において説明するスイッチ及びコネクタは、高電圧に対応しているものであるが、本実施の形態においては、高電圧とは、電気設備技術基準に定められている「直流750V超」や、国際電気標準会議(IEC:International Electrotechnical Commission)による国際規定である「直流1500V以上」を意味するものではなく、安全低電圧(直流60V未満)を超える電圧、即ち、60V以上を意味するものとする。
【0024】
〔第1の実施の形態〕
(コネクタの構造)
第1の実施の形態におけるコネクタの構造について説明する。本実施の形態におけるコネクタは、
図1から
図5に示される他のコネクタであるプラグコネクタと接続されるものであって、
図6から
図8に示される構造のジャックコネクタに相当するコネクタである。尚、
図1から
図5に示されるプラグコネクタと、
図6から
図8に示されるジャックコネクタに相当するコネクタとをあわせてコネクタと称する場合もある。
【0025】
最初に、
図1から
図5に基づきプラグコネクタ200について説明する。尚、
図1は、プラグコネクタ200の斜視図であり、
図2は上面図であり、
図3は側面図であり、
図4は底面図であり、
図5は正面図である。このプラグコネクタ200は、絶縁体等により形成されたカバー210と、他の接続端子である3本のプラグ端子221、222、223を有しており、3本のプラグ端子221、222、223が設けられている側と反対側には、電源ケーブル230が接続されている。プラグ端子221はGND端子であり、プラグ端子222、223よりも長く形成されている。プラグ端子222、223は、電気的に接続されることにより電力が供給される端子である。尚、このプラグコネクタ200には、プラグ端子221、222、223の設けられている側のカバー210部分において、プラグ端子221、222、223の一部を覆うような形状で形成された保護部211が設けられており、更には、本実施の形態におけるコネクタと接続された後に、コネクタ接続がはずれることのないようにコネクタ接続開口部212が設けられている。
【0026】
次に、
図6から
図8に基づき本実施の形態におけるコネクタについて説明する。尚、
図6は、本実施の形態におけるコネクタの斜視図であり、
図7は正面図であり、
図8は側面図である。本実施の形態におけるコネクタは、全体が筐体50に覆われており、プラグコネクタ200におけるプラグ端子221、222、223が挿入されるジャック開口部21、22、23と、プラグコネクタ200における保護部211が挿入される溝部31と、プラグコネクタ200と本実施の形態におけるコネクタとが接続されている状態で、電力を供給するか否かの制御を行なうためのスライド操作部40が設けられている。スライド操作部40は、「ON」の位置または「OFF」の位置となるように、スライドさせることが可能であり、スライド操作部40をスライドさせることにより、コネクタを介し、電力を供給するか否かの制御を行なうことができる。
【0027】
より詳細に
図9に基づき本実施の形態におけるコネクタの内部構造について説明する。
図9は、本実施の形態におけるコネクタの内部構造を示す断面図である。本実施の形態におけるコネクタは、スライド操作部40におけるスライド操作上部40aが筐体50に設けられた開口より外側に飛び出た形状となっており、筐体50の外側よりスライド操作上部40aを矢印Aで示されるスライド方向に移動させることにより、筐体50の内部におけるスイッチ部100において、電気的な接続を行なうか否かの操作を行なうことができる。
【0028】
スライド操作部40は筐体50にスライド操作本体部40bを有しており、スライド操作本体部40bは、スライドリンク部41と接続されている。スライドリンク部41は、矢印Aで示されるスライド方向と略平行に動作するものであって、L字状の形成されており、L字状の一方の端は、コンタクトスライド部42のコンタクトスライド開口部42a内に入り込んだ構造となっている。このコンタクトスライド開口部42aは、スライドリンク部41の移動方向、即ち、矢印Aで示されるスライド方向に沿った細長い形状で形成されている。また、後述するように、コンタクトスライド部42には、矢印Aで示されるスライド方向に対し略垂直方向に伸びるコンタクトスライド接触部が設けられており、コンタクトスライド接触部の先端は、スイッチ部100におけるボタン160の上面に接触している。
【0029】
(スイッチ部)
次に、スイッチ部100について説明する。本実施の形態におけるコネクタのスイッチ部100は、電力の供給の制御を行なうためのスイッチであって、電源スイッチとも称される。
図10にスイッチ部100の斜視図を示し、
図11にスイッチ部100の内部構造図を示す。
図11に示されるように、スイッチ部100は、固定部110における固定接点111と可動部120における可動接点121とが接触するか否かにより、電源の供給のオン、オフの制御を行なうことができるものである。
【0030】
固定部110は、全体が金属等の導電性材料により形成されており、可動部120における可動接点121と接触する固定接点111が、固定バネ112の一方の端部に設けられている構造のものである。尚、固定バネ112は、銅又は銅を含む合金等からなる金属板等を折曲げることにより形成されており、固定接点111は銀と銅の合金により形成されている。固定バネ112の他方の端部はベースブロック130におけるベースブロック本体部131において固定されるとともに、固定バネ112の中程において固定部支持部132において支持され固定されている。
【0031】
可動部120は、全体が金属等の導電性材料により形成されており、固定部110における固定接点111と接触する可動接点121が、可動板部122の一方の端部に設けられ、可動板部122の他方の端部と可動バネ123の一方の端部とが接続された構造のものである。尚、可動板部122及び可動バネ123は、銅又は銅を含む合金等からなる金属板等を折曲げることにより形成されており、可動接点121は銀と銅の合金により形成されている。可動バネ123の他方の端部はベースブロック130におけるベースブロック本体部131において固定されているが、可動バネ123は金属板等を折曲げることにより形成されているものであるため柔軟性を有しており、可動板部122の一方の端部に設けられた可動接点121を上下方向に動かすことが可能である。また、ベースブロック130には、固定バネ112の他方が接続されている部分と、可動バネ123の他方が接続されている部分との間には、難燃性の樹脂材料等からなる絶縁壁133が設けられており、可動バネ123は、他方の端部より絶縁壁133の周囲の一部を回り込むような形状で曲げられている。
【0032】
可動部120における可動板部122の一方の面となる上面は、カード140における第1の接触部となる上部接触部141と接触しており、可動板部122の他方の面となる下面は、カード140における第2の接触部となる下部接触部142と接触している。この状態において、カード140を、回転軸143を中心に回転させることにより、可動板部122が上部接触部141または下部接触部142と接触し力が加わり、可動接点121を上下方向に移動させることができる。尚、上部接触部141及び下部接触部142は、可動板部122において摺動するものであるため、摩擦抵抗を低減させるために上部接触部141及び下部接触部142の表面には、フッ素樹脂等により形成された表面層を設けてもよい。
【0033】
尚、固定部110及び可動部120は、ベースブロック130とスイッチ部ケース150に囲まれた領域の内部に設置されており、カード140は、スイッチ部ケース150に設けられたスイッチ部開口部151より外部に飛び出した形状の突起部144と、ベースブロック130とスイッチ部ケース150に囲まれた領域の内部に位置するカード本体部145とを有している。従って、スイッチ部100においては、上部接触部141または下部接触部142は、ベースブロック130とスイッチ部ケース150に囲まれた領域の内部に設けられている。また、カード140、ベースブロック130及びスイッチ部ケース150は樹脂材料等からなる絶縁体材料により形成されている。
【0034】
スイッチ部ケース150の外部には、回転軸143を中心にカード140を回転させるために、押下されるボタン160が設けられており、カード140は、カード140における突起部144の上部に設けられた接触部144aにおいて、ボタン160の内壁部161と接触している。尚、接触部144aは、内壁部161の表面を摺動するものであるため、摩擦抵抗を低減させるために内壁部161の表面には、フッ素樹脂等により形成された表面層を設けてもよい。また、スイッチ部ケース150の外部には、一方の端部がスイッチ部ケース150に接続され、他方の端部がボタン160に接続された開離バネ170が設けられている。
【0035】
(スイッチ部におけるオン、オフ動作)
スイッチ部100において、スイッチをオンにする場合には、後述するように、コンタクトスライド部42におけるコンタクトスライド接触部を移動させることにより、ボタン160を押下し、ボタン160の内壁部161において接触部141が接触しているカード140が回転軸143を中心に回転する。これにより、上部接触部141を介し可動部120における可動板部122に下方向に力が加えられ、可動接点121と固定接点111とが接触する。この状態を
図12に示す。尚、後述するように、スイッチ部100において、この状態はコンタクトスライド部42におけるコンタクトスライド接触部により維持されるため、可動接点121と固定接点111との接触が維持され、電源から電力が供給される。
【0036】
また、スイッチ部100において、スイッチをオフにする場合には、後述するように、コンタクトスライド部42におけるコンタクトスライド接触部を移動させることにより、開離バネ170のバネ性による復元力により、ボタン160がオフの状態に戻る。即ち、
図11に示されるように、ボタン160の内壁部161において接触部141が接触しているカード140が回転軸143を中心に回転し、下部接触部142を介し可動部120における可動板部122に上方向に力が加わる。このように可動板部122に加えられた上方向の力により可動接点121と固定接点111との接触を離すことができ、電源からの電力の供給を停止することができる。この際、可動接点121と固定接点111との間でアークが発生する場合があるため、磁界の力によりアークを飛ばすことができるように、可動接点121と固定接点111との接触位置の近傍には、アークの発生する方向に対して略垂直方向の磁界を発生させる永久磁石180が設けられている。
【0037】
スイッチ部100では、電源からの電力の供給を遮断する際には、可動部120における可動バネ123等のバネの復元力を用いるのではなく、スイッチ部ケース150の外部に設けられた開離バネ170のバネの復元力によりオフ状態にするものである。このため、可動部120における可動バネ123等において復元力を有していない場合においても、電源をオフにすることができる。また、熱により可動バネ123等の一部が溶けてしまい、バネとしての機能が失われている場合においても、可動バネ123等の復元力を用いることなく、開離バネ170のバネ性により電源をオフ状態にすることができ、電源からの電力の供給を確実に遮断することができる。また、開離バネ170は、スイッチ部ケース150の外部に設置されているため、スイッチ部ケース150内部において固定部110及び可動部120が受ける可能性のある熱等の影響を受けることはない。
【0038】
また、スイッチ部100では、ベースブロック130において、固定バネ112の他方が接続されている部分と、可動バネ123の他方が接続されている部分との間には、絶縁壁133が設けられている。これにより、固定部110と可動部120との熱による溶解等が進行した場合においても、固定部110の溶解された部分と、可動部120の溶解された部分とが絶縁壁133により分離される。よって、固定部110と可動部120とが溶解し、くっついた状態のまま電流が流れ続けてしまうことを防ぐことができる。
【0039】
(コネクタにおけるオン、オフ動作)
次に、本実施の形態におけるコネクタにおけるオン、オフ動作について説明する。本実施の形態におけるコネクタとプラグコネクタ200とが接続されている状態において、本実施の形態におけるコネクタにおけるオン、オフの制御を行なうことにより、スイッチ部100のオン、オフを行なうことができ、これにより電源等からの電力の供給の制御を行なうことができる。この際、スイッチ部100がオンとなることにより、本実施の形態におけるコネクタに設けられた不図示のフックがプラグコネクタ200のコネクタ接続開口部212に入り込み、本実施の形態におけるコネクタとプラグコネクタ200との嵌合状態が維持される。また、スイッチ部100がオフとなると、本実施の形態におけるコネクタに設けられた不図示のフックがプラグコネクタ200のコネクタ接続開口部212からはずれ、本実施の形態におけるコネクタからプラグコネクタ200を外すことができる。
【0040】
(電源の接続及び磁石の配置)
ところで、このようなスイッチ部100としては、
図13及び
図14に示すように、2つの固定部110a及び110bと、2つの可動部120a及び120bとを有しており、固定部110aと可動部120aとが接触し、固定部110bと可動部120bとが接触することにより、電源190からの電力を電子機器191に供給するものである。尚、固定部110aは、固定接点111a及び固定バネ112aを有しており、固定部外部端子113aが接続されている。固定部110bは、固定接点111b及び固定バネ112bを有しており、固定部外部端子113bが接続されている。可動部120aは、可動接点121a、可動板部122a及び可動バネ123aを有しており、可動部外部端子124aが接続されている。可動部120bは、可動接点121b、可動板部122b及び可動バネ123bを有しており、可動部外部端子124bが接続されている。具体的には、固定部110aにおける固定接点111aと可動部120aにおける可動接点121aとが対となり、固定部110bにおける固定接点111bと可動部120bにおける可動接点121bとが対となるものであり、2つの対となる固定接点及び可動接点を有する構造のものである。
【0041】
図13及び
図14に示す場合では、電源190の正極が可動部120aの可動部外部端子124aに接続され、負極が可動部120bの可動部外部端子124bに接続され、電力が供給される電子機器191の一方に固定部110aの固定部外部端子113aが接続され、他方に固定部110bの固定部外部端子113bが接続されている。また、2つの永久磁石180a及び180bが、ともに同じ向きに磁界を発生させるように設けられている。即ち、永久磁石180aは、固定接点111a及び可動接点121aが設けられている側がS極となるように配置されており、永久磁石180bは、固定接点111b及び可動接点121bが設けられている側がS極となるように配置されている。尚、本実施の形態においては、永久磁石180a及び180bを用いた場合について説明するが、永久磁石に代えて電磁石を用いてもよい。
【0042】
図13及び
図14に示すように、オン状態では、電源190より供給された電流は、電源190の正極より、可動部外部端子124a、可動部120a、可動接点121a及び固定接点111aを介し、固定部110a、固定部外部端子113a、電子機器191、固定部外部端子113b、固定部110b、固定接点111b及び可動接点121bを介し、可動部120b、可動部外部端子124bの順に流れ、更に、電極190の負極に流れる。
【0043】
よって、電流は、矢印A1に示すように、可動接点121aから固定接点111aに向かって流れるため、電子は、矢印A1とは反対方向の固定接点111aから可動接点121aに向かって流れる。即ち、固定接点111aから放出された電子は、可動接点121aに衝突するように流れる。また、電流は、矢印B1に示すように、固定接点111bから可動接点121bに向かって流れるため、電子は、矢印B1とは反対方向の可動接点121bから固定接点111bに向かって流れる。即ち、可動接点121bから放出された電子は、固定接点111bに衝突するように流れる。
【0044】
ここで、電子が衝突する側の接点は電子が衝突することにより高温になりやすく、特に、電子が衝突する固定接点111bは、固定バネ112bが薄く形成されているため高温になりやすい。このため、固定接点111b及び固定バネ112bが、電子の衝突により発生した熱により溶けてしまい断線不良やショート不良が生じるおそれがある。このような不良、特にショート不良が生じると、電源190からの電力供給を切断することができなくなってしまう。一方、可動部120a及び120bでは、可動板部122a及び122bは通常厚く形成されており、可動接点121aに電子が衝突することにより熱が発生しても、可動板部122aにおける熱的容量が大きいため、あまり高温となることはなく、よって、可動接点121a、可動板部122a及び可動バネ123aが溶けて、断線不良やショート不良が生じることはない。
【0045】
尚、矢印A2は、可動部120aを流れる電流の向きを示すものであり、矢印B2は、可動部120aを流れる電流の向きを示すものである。また、アーク181a及び181bは、相互に外側となる方向、即ち、固定端子111aと可動端子121aとの間で生じるアーク181aは矢印A3に示す方向に、固定端子111bと可動端子121bとの間で生じるアーク181bは矢印B3に示す方向に吹飛ばすことが好ましい。
【0046】
即ち、永久磁石180aは、固定部110aと可動部120aとに対応して設けられたものであり、固定接点111aと可動接点121aとの間で発生するアーク181aを矢印A3に示す方向に吹飛ばす機能を有している。また、永久磁石180bは、固定部110bと可動部120bとに対応して設けられたものであり、固定接点111bと可動接点121bとの間で発生するアーク181bを矢印B3に示す方向に吹飛ばす機能を有している。
【0047】
(電源の接続及び永久磁石の配置2)
次に、電源190との接続と永久磁石の配置を変更した場合について説明する。具体的には、
図15及び
図16に示すように、電源190の正極が可動部120aの可動部外部端子124aに接続され、負極が固定部110bの固定部外部端子113bに接続され、電力が供給される電子機器191の一方が固定部110aの固定部外部端子113aに接続され、他方が可動部120bの可動部外部端子124bに接続されており、2つの永久磁石180c及び永久磁石180dは相互に逆向きの磁界を発生させるように配置されている。
【0048】
図15及び
図16に示すように、オン状態では、電源190より供給された電流は、電源190の正極より、可動部外部端子124a、可動部120a、可動接点121a及び固定接点111aを介し、固定部110a、固定部外部端子113a、電子機器191、可動部外部端子124b、可動部120b、可動接点121b及び固定接点111bを介し、固定部110b、固定部外部端子113bの順に流れ、更に、電極190の負極に流れる。
【0049】
よって、電流は、矢印C1に示すように、可動接点121aから固定接点111aに向かって流れるため、電子は、矢印C1とは反対方向の固定接点111aから可動接点121aに向かって流れる。即ち、固定接点111aから放出された電子は、可動接点121aに衝突するように流れる。また、電流は、矢印D1に示すように、可動接点121bから固定接点111bに向かって流れるため、電子は、矢印D1とは反対方向の固定接点111bから可動接点121bに向かって流れる。即ち、固定接点111bから放出された電子は、可動接点121bに衝突するように流れる。
【0050】
このように、
図15及び
図16に示す場合では、ともに固定接点111a及び111bから電子が放出され、放出された電子は、可動接点121a及び121bに衝突する。可動部120a及び120bでは、可動板部122a及び122bは固定バネ112aおよび112bと比べて厚く形成されており、可動接点121a及び121bに電子が衝突することにより熱が発生しても、可動板部122a及び122bにおける熱的容量が大きいため高温となることはなく、よって、可動接点121a、可動板部122a及び可動バネ123aや、可動接点121b、可動板部122b及び可動バネ123bが溶けて、断線不良やショート不良が生じることはない。
【0051】
尚、矢印C2は、可動部120aを流れる電流の向きを示すものであり、矢印D2は、可動部120aを流れる電流の向きを示すものである。また、アーク181c及び181dは、相互に外側となる方向、即ち、固定端子111aと可動端子121aとの間で生じるアーク181cは矢印C3に示す方向に、固定端子111bと可動端子121bとの間で生じるアーク181dは矢印D3に示す方向に吹飛ばすことができるように、永久磁石180cと永久磁石180dとは、相互にN極とS極の向きが逆となるように設置されている。
【0052】
即ち、永久磁石180cは、固定部110aと可動部120aとに対応して設けられたものであり、固定接点111a及び可動接点121a側がS極となるように配置されており、固定接点111aと可動接点121aとの間で発生するアーク181cを矢印C3に示す方向に吹飛ばす機能を有している。また、永久磁石180dは、固定部110bと可動部120bとに対応して設けられたものであり、固定接点111a及び可動接点121a側がN極となるように配置されており、固定接点111bと可動接点121bとの間で発生するアーク181dを矢印D3に示す方向に吹飛ばす機能を有している。
【0053】
(磁界強度)
次に、複数の永久磁石を配置する場合の磁界強度について説明する。具体的には、
図13及び
図14に示すように永久磁石を配置した場合と、
図15及び
図16に示すように永久磁石を配置した場合について説明する。
図17は、
図13及び
図14に示すように、可動部120a及び120bが設けられている側が、ともにS極となるように永久磁石180a及び180bを配置した場合において、生じる磁束を破線で示したものである。また、
図18は、
図15及び
図16に示すように、可動部120aが設けられている側がS極となるように永久磁石180cを配置し、可動部120bが設けられている側がN極となるように永久磁石180dを配置した場合において、生じる磁束を破線で示したものである。
【0054】
図18に示す場合は、
図17に示す場合と比べて、永久磁石により生じた磁束がより閉じている状態となっており、固定端子と可動端子との接触部分における磁束密度を高くすることができる。具体的に、永久磁石180aから180dの磁力が同じ所定の値であるものとしてシミュレーションを行なったところ、可動部120a及び120bの可動接点121a及び121bにおける磁束密度は、
図17に示す場合では、Z方向で6.32mT、X方向で73.74mTであるのに対し、
図18に示す場合では、Z方向で17.38mT、X方向で80.54mTであった。このように、
図17に示す場合と比べ
図18に示す場合の配置とすることにより、固定端子と可動端子との接触部分における磁束密度を高くすることができる。このように、複数の永久磁石を配置する場合には、隣接する永久磁石の極性が相互に反対となるように配置することにより、可動接点と固定接点との接触部分における磁束密度を高めることができ、より一層強い力でアークを吹飛ばすことができる。
【0055】
尚、本実施の形態では、2つの永久磁石180c及び180dを用いた場合について説明したが、1つの永久磁石であって、可動部120aが設けられている側がS極となり、可動部120bが設けられている側がN極となるような形状等の永久磁石を配置したものであってもよい。例えば、馬蹄形磁石のような両極が近接した形状のものを用いたものであってもよい。
【0056】
〔第2の実施の形態〕
ところで、スイッチ等においては、可動接点と固定接点との間で生じるアークにより断線不良やショート不良が生じる場合、断線不良よりもショート不良の方が致命的である。即ち、断線不良の場合では、断線不良が生じた後は、電源等から電力が供給されなくなるため安全上問題となることはないが、ショート不良の場合では、ショート不良が生じた後も電源等からの電力の供給が続き、止めることができないため、不良部分が拡大し、安全上の問題となる場合がある。このため、不良となる場合には、できるだけ断線による不良が発生するような構造であることが好ましい。
【0057】
第2の実施の形態は、このような課題に対応するものである。
図19及び
図20は本実施の形態におけるスイッチ部を示すものである。本実施の形態におけるスイッチ部は、第1の実施の形態におけるスイッチ部に対し、電源190及び電子機器191との接続状態が異なるものである。
【0058】
具体的には、
図19及び
図20に示すように、電源190の正極を固定部110aの固定部外部端子113aを接続し、負極を可動部120bの可動部外部端子124bに接続し、電力が供給される電子機器191の一方に固定部110bの固定部外部端子113bを接続し、他方に可動部120aの可動部外部端子124aに接続し、2つの永久磁石180e及び永久磁石180fが相互に逆向きの磁界を発生させるように配置させる。
【0059】
本実施の形態では、オン状態では、電源190より供給された電流は、電源190の正極より、固定部外部端子113a、固定部110a、固定接点111a及び可動接点121aを介し、可動部120a、可動部外部端子124a、電子機器191、固定部外部端子113b、固定部110b、固定接点111b及び可動接点121bを介し、可動部120b、可動部外部端子124bの順に流れ、更に、電極190の負極に流れる。
【0060】
よって、電流は、矢印E1に示すように、固定接点111aから可動接点121aに向かって流れるため、電子は、矢印E1とは反対方向の可動接点121aから固定接点111aに向かって流れる。即ち、可動接点121aから放出された電子は、固定接点111aに衝突するように流れる。また、電流は、矢印F1に示すように、固定接点111bから可動接点121bに向かって流れるため、電子は、矢印F1とは反対方向の可動接点121bから固定接点111bに向かって流れる。即ち、可動接点121bから放出された電子は、固定接点111bに衝突するように流れる。
【0061】
このように、本実施の形態では、ともに可動接点121a及び121bから電子が放出され、放出された電子は、固定接点111a及び111bに衝突する。固定接点111a及び111bでは、可動部120a及び120bにおける可動板部122a及び122bを有しておらず、固定バネ112a及び112bは薄く熱的容量が小さいため、固定接点111a及び111bに電子が衝突することにより発生した熱により溶けやすくなっている。このように固定バネ112a及び112b等が熱により溶けたり軟らかくなった場合、溶けたり軟らかくなった固定バネ112a及び112b等は重力により下方向に変形または流動するため、可動接点121a及び121bとは接触することはなく、不良が生じた場合であっても、ショート不良ではなく、断線不良となる。
【0062】
尚、矢印E2は、可動部120aを流れる電流の向きを示すものであり、矢印F2は、可動部120bを流れる電流の向きを示すものである。また、アーク181e及び181fは、相互に外側となる方向、即ち、固定端子111aと可動端子121aとの間で生じるアーク181eは矢印E3に示す方向、固定端子111bと可動端子121bとの間で生じるアーク181fは矢印F3に示す方向に吹飛ばすことができるように、永久磁石180eと永久磁石180fとはN極とS極の向きが逆となるように設置されている。
【0063】
即ち、永久磁石180eは、固定部110aと可動部120aとに対応して設けられたものであり、固定接点111a及び可動接点121a側がN極となるように配置されており、固定接点111aと可動接点121aとの間で発生するアーク181eを矢印E3に示す方向に吹飛ばす機能を有している。また、永久磁石180fは、固定部110bと可動部120bとに対応して設けられたものであり、固定接点111a及び可動接点121a側がS極となるように配置されており、固定接点111bと可動接点121bとの間で発生するアーク181fを矢印F3に示す方向に吹飛ばす機能を有している。
【0064】
(絶縁体カバー)
更に、
図21及び
図22に示されるように、本実施の形態においては、固定部110aと可動部120aとの間に絶縁体カバー193aを設け、固定部110bと可動部120bとの間に絶縁体カバー193bを設けた構造のものであってもよい。
【0065】
絶縁体カバー193a及び193bは、固定部110a及び110bにおける固定バネ112a及び112bの一部を覆い、固定接点111a及び111bが露出するように形成されている。即ち、絶縁体カバー193aは、固定部110aにおける固定バネ112aと、可動部120aにおける可動バネ123a及び可動板部122aとの間に設けられており、絶縁体カバー193bは、固定部110bにおける固定バネ112bと、可動部120bにおける可動バネ123b及び可動板部122bとの間に設けられている。具体的には、絶縁体カバー193a及び193bは、略直方体の6面のうち、4面に壁面を形成した形状のものであって、前記壁面の形成されない2つの面が隣接するように形成されているものである。
【0066】
尚、絶縁体カバー193aは、固定接点111aと可動接点121aとが接触することができるように、固定接点111aと可動接点121aとの間には空間が設けられており、同様に、絶縁体カバー193bは、固定接点111bと可動接点121bとが接触することができるように、固定接点111bと可動接点121bとの間には空間が設けられている。
【0067】
このような絶縁体カバー193a及び193bを設けることにより、たとえ、固定バネ112aがアーク等により生じた熱により溶けたり軟らかくなったとしても、可動部120aと接触することを防ぐことができ、また、固定バネ112bがアーク等により生じた熱により溶けたり軟らかくなったとしても、可動部120bと接触することを防ぐことができ、ショート不良の発生を防ぐことができる。
【0068】
また、何らかの理由により、可動バネ123a及び可動板部122aがアーク等により生じた熱により溶けたり軟らかくなった場合においても、固定部110aと接触することを防ぐことができ、同様に、可動バネ123b及び可動板部122bがアーク等により生じた熱により溶けたり軟らかくなった場合においても、固定部110bと接触することを防ぐことができ、ショート不良の発生を防ぐことができる。
【0069】
このような絶縁体カバー193a及び193bを構成する材料としては、高融点であって絶縁性を有する材料が好ましく、例えば、融点の高いプラスチック等の樹脂材料、または、酸化アルミニウム等のセラミックス材料が好ましい。尚、本実施の形態では、絶縁体カバー193a及び193bを構成する材料は絶縁体であるものとして説明しているが、固定バネ112a及び112bのみが溶ける場合には、絶縁体に限定されることなく、金属等の材料により形成したものであってもよい。また、絶縁体カバー193a及び193bは、金属等の材料により形成されたものの表面に絶縁体膜等を形成したものであってもよい。即ち、絶縁体カバー193a及び193bは、固定バネ112a及び112b等が熱により溶けたり軟らかくなった場合においても、固定部110a及び110bと、可動部120a及び120bとの間で絶縁が維持されるようなものであればよい。
【0070】
尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。また、本実施の形態のスイッチ部を用いることにより第1の実施の形態と同様のコネクタを作製することができる。
【0071】
以上、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。