特許第5917853号(P5917853)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5917853
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】スイッチ及びコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01H 9/44 20060101AFI20160428BHJP
   H01H 9/16 20060101ALI20160428BHJP
   H01H 27/00 20060101ALI20160428BHJP
   H01R 13/66 20060101ALI20160428BHJP
   H01R 13/70 20060101ALI20160428BHJP
   H01H 15/02 20060101ALN20160428BHJP
【FI】
   H01H9/44 A
   H01H9/16 A
   H01H27/00 B
   H01R13/66
   H01R13/70
   !H01H15/02 J
   !H01H15/02 B
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-176405(P2011-176405)
(22)【出願日】2011年8月11日
(65)【公開番号】特開2013-41691(P2013-41691A)
(43)【公開日】2013年2月28日
【審査請求日】2014年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】富士通コンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】柚場 誉嗣
(72)【発明者】
【氏名】岩本 大栄
(72)【発明者】
【氏名】白 承錫
(72)【発明者】
【氏名】桐生 幸一
(72)【発明者】
【氏名】中村 昭夫
【審査官】 出野 智之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−288830(JP,A)
【文献】 特開2000−299046(JP,A)
【文献】 特開平01−292723(JP,A)
【文献】 特開2008−276983(JP,A)
【文献】 特開2010−056056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/44
H01H 9/16
H01H 27/00
H01R 13/66
H01R 13/70
H01H 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器に接続される固定接点と、ブレーク接点と、電源に接続されるとともに、前記固定接点と前記ブレーク接点とのいずれかに選択的に接触する可動接点と、をそれぞれ有する複数の接点部と、
前記ブレーク接点の一方と前記ブレーク接点の他方との間に接続される発光ダイオードと、
前記固定接点と、前記固定接点に対応する前記可動接点との間に磁界を発生させる磁石と、
を備え
一方の前記接点部における前記ブレーク接点は、抵抗の一方の端子と接続されており、他方の前記接点部における前記ブレーク接点は、前記発光ダイオードの一方の端子と接続されており、前記抵抗の他方の端子と前記発光ダイオードの他方の端子とが接続されているものであることを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
前記可動接点の一方と、前記可動接点の他方との間に接続される他の発光ダイオードを更に備え
一方の前記接点部における前記可動接点は、他の抵抗の一方の端子と接続されており、他方の前記接点部における前記可動接点は、前記他の発光ダイオードの一方の端子と接続されており、前記他の抵抗の他方の端子と前記他の発光ダイオードの他方の端子とが接続されていることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ。
【請求項3】
前記発光ダイオードにおける発光色と前記他の発光ダイオードにおける発光色は、異なるものであることを特徴とする請求項に記載のスイッチ。
【請求項4】
前記発光ダイオード及び前記他の発光ダイオードは、一体で形成されたものであることを特徴とする請求項に記載のスイッチ。
【請求項5】
請求項1からのいずれかに記載のスイッチと、
他のコネクタにおける2つの他の接続端子と各々電気的に接続される2つの接続端子と、
を有していることを特徴とするコネクタ。
【請求項6】
電子機器に接続される固定接点と、ブレーク接点と、電源に接続されるとともに、前記固定接点と前記ブレーク接点とのいずれかに接触可能な可動接点と、をそれぞれ有する複数の接点部と、
それぞれ前記ブレーク接点のいずれか一方に接続される複数の終端抵抗と、
前記固定接点と、前記固定接点に対応する前記可動接点との間に磁界を発生させる磁石と、
コンデンサと抵抗とを直列に接続した複数の終端部と、
を備えることを特徴とするスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ及びコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に電気機器は、電源等より電力の供給を受け動作するものであり、電源より電力の供給を受ける際には、通常コネクタを介し電源より電気機器へ電力が供給される。この際用いられるコネクタは、特許文献1、2に開示されているように、凸状の雄型タイプのコネクタと、凹状の雌型タイプのコネクタを嵌合することにより、電気的に接続を行うものである。
【0003】
一方、近年では、地球温暖化等に対する対策の一つとして、ローカルエリアにおける送電においても、電圧変換や送電等における電力損失が少なく、ケーブルの太さも太くする必要のない、直流で高電圧の電力の供給が検討されている。特に、サーバ等の情報機器においては、大量に電力を消費するためこのような電力供給が望ましいものとされている。
【0004】
ところで、電気機器に供給される電力に関しては、電圧が高いと人体に影響を及ぼす場合や、電子部品の動作に影響を与える場合がある。
【0005】
このような高電圧の電力をサーバ等の情報機器に用いる場合、装置の設置やメンテナンスの際においては、人により作業が行われるため、電気的接続がされている部分であるコネクタは通常の交流の商用電源に用いられるコネクタとは異なるものとする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−82208号公報
【特許文献2】特開2003−31301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
また、スイッチを組み込んだ構成のコネクタでは、電源から供給される電圧が100V以上の場合、または、高電圧で直流である場合、現在使用されているスイッチをそのまま用いることはできない。例えば、電源から供給される電力が直流400Vの場合では、現在の交流100Vに用いられているスイッチでは、十分な安全性や信頼性が確保されていないため、そのまま使用することは危険である。
【0008】
よって、本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、現状の商用電源の電圧よりも高い電圧の電源、または、直流電源に対応したスイッチであって、高性能で信頼性の高いスイッチを提供することを目的とするものであり、更には、高電圧の電力を高い性能で安全に供給することが可能なコネクタを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、電子機器に接続される固定接点と、ブレーク接点と、電源に接続されるとともに、前記固定接点と前記ブレーク接点とのいずれかに選択的に接触する可動接点と、をそれぞれ有する複数の接点部と、前記ブレーク接点の一方と前記ブレーク接点の他方との間に接続される発光ダイオードと、前記固定接点と、前記固定接点に対応する前記可動接点との間に磁界を発生させる磁石と、を備え、一方の前記接点部における前記ブレーク接点は、抵抗の一方の端子と接続されており、他方の前記接点部における前記ブレーク接点は、前記発光ダイオードの一方の端子と接続されており、前記抵抗の他方の端子と前記発光ダイオードの他方の端子とが接続されているものであることを特徴とする
た、本発明は、前記可動接点の一方と、前記可動接点の他方との間に接続される他の発光ダイオードを更に備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、各々の前記可動接点は、各々の前記可動接点に対応して設けられた可動バネに接続されており、前記可動バネは、前記可動接点が前記固定接点から前記ブレーク接点に向かう方向に復元力が働くものであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、一方の前記接点部における前記固定接点は、前記電源の一方の極に接続され、他方の前記接点部における前記固定接点は、前記電源の他方の極に接続され、一方の前記接点部における前記可動接点は、前記電子機器の一方の端子に接続され、他方の前記接点部における前記可動接点は、前記電子機器の他方の端子に接続されるものであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、各々の前記ブレーク接点には、終端部が各々接続されており、前記終端部はコンデンサと抵抗とを直列に接続したものであることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、発光ダイオードと抵抗とを有し、一方の前記接点部における前記固定接点は、前記電源の一方の極に接続され、他方の前記接点部における前記固定接点は、前記電源の他方の極に接続され、一方の前記接点部における前記可動接点は、前記電子機器の一方の端子に接続され、他方の前記接点部における前記可動接点は、前記電子機器の他方の端子に接続され、一方の前記接点部における前記ブレーク接点は、前記抵抗の一方の端子と接続されており、他方の前記接点部における前記ブレーク接点は、前記発光ダイオードの一方の端子と接続されており、前記抵抗の他方の端子と前記発光ダイオードの他方の端子とが接続されているものであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、他の発光ダイオードと他の抵抗とをさらに有し、一方の前記接点部における前記可動接点は、前記他の抵抗の一方の端子と接続されており、他方の前記接点部における前記可動接点は、前記他の発光ダイオードの一方の端子と接続されており、前記他の抵抗の他方の端子と前記他の発光ダイオードの他方の端子とが接続されているものであることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記発光ダイオードにおける発光色と前記他の発光ダイオードにおける発光色は、異なるものであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記発光ダイオード及び前記他の発光ダイオードは、一体で形成されたものであることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、前記記載のスイッチと、他のコネクタにおける2つの他の接続端子と各々電気的に接続される2つの接続端子と、を有していることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、電子機器に接続される固定接点と、ブレーク接点と、電源に接続されるとともに、前記固定接点と前記ブレーク接点とのいずれかに接触可能な可動接点と、をそれぞれ有する複数の接点部と、それぞれ前記ブレーク接点のいずれか一方に接続される複数の終端抵抗と、前記固定接点と、前記固定接点に対応する前記可動接点との間に磁界を発生させる磁石と、コンデンサと抵抗とを直列に接続した複数の終端部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、現状の商用電源の電圧よりも高い電圧の電源、または、直流電源に対応したスイッチであって、高性能で信頼性の高いスイッチを提供することができる。また、現状の商用電源の電圧よりも高い電圧の電源、または、直流電源に対応したコネクタであって、これらの電源からの電力を高い性能で安全に供給することが可能なコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1の実施の形態に用いられるプラグコネクタの斜視図
図2】第1の実施の形態に用いられるプラグコネクタの上面図
図3】第1の実施の形態に用いられるプラグコネクタの側面図
図4】第1の実施の形態に用いられるプラグコネクタの底面図
図5】第1の実施の形態に用いられるプラグコネクタの正面図
図6】第1の実施の形態におけるコネクタの斜視図
図7】第1の実施の形態におけるコネクタの正面図
図8】第1の実施の形態におけるコネクタの側面図
図9】第1の実施の形態におけるコネクタの内部構造図
図10】第1の実施の形態におけるスイッチ部の斜視図
図11】第1の実施の形態におけるスイッチ部の構造図(オフ状態)
図12】第1の実施の形態におけるスイッチ部の構造図(オン状態)
図13】第1の実施の形態におけるスイッチ部の斜視図
図14】第1の実施の形態におけるスイッチ部の正面図
図15】第1の実施の形態におけるスイッチ部の側面図
図16】第1の実施の形態におけるスイッチ部の底面図
図17】第1の実施の形態におけるスイッチ部の説明図
図18】第2の実施の形態におけるスイッチ部の説明図
図19】第2の実施の形態における他のスイッチ部の説明図(1)
図20】第2の実施の形態における他のスイッチ部の説明図(2)
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。また、本実施の形態において説明するスイッチ及びコネクタは、高電圧に対応しているものであるが、本実施の形態においては、高電圧とは、電気設備技術基準に定められている「直流750V超」や、国際電気標準会議(IEC:International Electrotechnical Commission)による国際規定である「直流1500V以上」を意味するものではなく、安全低電圧(直流60V未満)を超える電圧、即ち、60V以上を意味するものとする。
【0022】
〔第1の実施の形態〕
(コネクタの構造)
第1の実施の形態におけるコネクタの構造について説明する。本実施の形態におけるコネクタは、図1から図5に示される他のコネクタであるプラグコネクタと接続されるものであって、図6から図8に示される構造のジャックコネクタに相当するコネクタである。尚、図1から図5に示されるプラグコネクタと、図6から図8に示されるジャックコネクタに相当するコネクタとをあわせてコネクタと称する場合もある。
【0023】
最初に、図1から図5に基づきプラグコネクタ300について説明する。尚、図1は、プラグコネクタ300の斜視図であり、図2は上面図であり、図3は側面図であり、図4は底面図であり、図5は正面図である。このプラグコネクタ300は、絶縁体等により形成されたカバー310と、他の接続端子である3本のプラグ端子321、322、323を有しており、3本のプラグ端子321、322、323が設けられている側と反対側には、電源ケーブル330が接続されている。プラグ端子321はGND端子であり、プラグ端子322、323よりも長く形成されている。プラグ端子322、323は、電気的に接続されることにより電力が供給される端子である。尚、このプラグコネクタ300には、プラグ端子321、322、323の設けられている側のカバー310部分において、プラグ端子321、322、323の一部を覆うような形状で形成された保護部311が設けられており、更には、本実施の形態におけるコネクタと接続された後に、コネクタ接続がはずれることのないようにコネクタ接続開口部312が設けられている。
【0024】
次に、図6から図8に基づき本実施の形態におけるコネクタについて説明する。尚、図6は、本実施の形態におけるコネクタの斜視図であり、図7は正面図であり、図8は側面図である。本実施の形態におけるコネクタは、全体が筐体50に覆われており、プラグコネクタ300におけるプラグ端子321、322、323が挿入されるジャック開口部21、22、23と、プラグコネクタ300における保護部311が挿入される溝部31と、プラグコネクタ300と本実施の形態におけるコネクタとが接続されている状態で、電力を供給するか否かの制御を行なうためのスライド操作部40が設けられている。スライド操作部40は、「ON」の位置または「OFF」の位置となるように、スライドさせることが可能であり、スライド操作部40をスライドさせることにより、コネクタを介し、電力を供給するか否かの制御を行なうことができる。
【0025】
より詳細に図9に基づき本実施の形態におけるコネクタの内部構造について説明する。図9は、本実施の形態におけるコネクタの内部構造を示す断面図である。本実施の形態におけるコネクタは、スライド操作部40におけるスライド操作上部40aが筐体50に設けられた開口より外側に飛び出た形状となっており、筐体50の外側よりスライド操作上部40aを矢印Aで示されるスライド方向に移動させることにより、筐体50の内部におけるスイッチ部100において、電気的な接続を行なうか否かの操作を行なうことができる。
【0026】
スライド操作部40は筐体50にスライド操作本体部40bを有しており、スライド操作本体部40bは、スライドリンク部41と接続されている。スライドリンク部41は、矢印Aで示されるスライド方向と略平行に動作するものであって、L字状の形成されており、L字状の一方の端は、コンタクトスライド部42のコンタクトスライド開口部42a内に入り込んだ構造となっている。このコンタクトスライド開口部42aは、スライドリンク部41の移動方向、即ち、矢印Aで示されるスライド方向に沿った細長い形状で形成されている。また、後述するように、コンタクトスライド部42には、矢印Aで示されるスライド方向に対し略垂直方向に伸びるコンタクトスライド接触部が設けられており、コンタクトスライド接触部の先端は、スイッチ部100におけるボタン160の上面に接触している。
【0027】
(スイッチ部)
次に、スイッチ部100について説明する。本実施の形態におけるコネクタのスイッチ部100は、電力の供給の制御を行なうためのスイッチであって、電源スイッチとも称される。図10にスイッチ部100の斜視図を示し、図11にスイッチ部100の内部構造図を示す。図11に示されるように、スイッチ部100は、固定部110における固定接点111と可動部120における可動接点121とが接触するか否かにより、電源の供給のオン、オフの制御を行なうことができるものである。
【0028】
固定部110は、全体が金属等の導電性材料により形成されており、可動部120における可動接点121と接触する固定接点111が、固定バネ112の一方の端部に設けられている構造のものである。尚、固定バネ112は、銅又は銅を含む合金等からなる金属板等を折曲げることにより形成されており、固定接点111は銀と銅の合金により形成されている。固定バネ112の他方の端部はベースブロック130におけるベースブロック本体部131において固定されるとともに、固定バネ112の中程において固定部支持部132において支持され固定されている。
【0029】
可動部120は、全体が金属等の導電性材料により形成されており、固定部110における固定接点111と接触する可動接点121が、可動板部122の一方の端部に設けられ、可動板部122の他方の端部と可動バネ123の一方の端部とが接続された構造のものである。尚、可動板部122及び可動バネ123は、銅又は銅を含む合金等からなる金属板等を折曲げることにより形成されており、可動接点121は銀と銅の合金により形成されている。可動バネ123の他方の端部はベースブロック130におけるベースブロック本体部131において固定されているが、可動バネ123は金属板等を折曲げることにより形成されているものであるため柔軟性を有しており、可動板部122の一方の端部に設けられた可動接点121を上下方向に動かすことが可能である。また、ベースブロック130には、固定バネ112の他方が接続されている部分と、可動バネ123の他方が接続されている部分との間には、難燃性の樹脂材料等からなる絶縁壁133が設けられており、可動バネ123は、他方の端部より絶縁壁133の周囲の一部を回り込むような形状で曲げられている。
【0030】
可動部120における可動板部122の一方の面となる上面は、カード140における第1の接触部となる上部接触部141と接触しており、可動板部122の他方の面となる下面は、カード140における第2の接触部となる下部接触部142と接触している。この状態において、カード140を、回転軸143を中心に回転させることにより、可動板部122が上部接触部141または下部接触部142と接触し力が加わり、可動接点121を上下方向に移動させることができる。尚、上部接触部141及び下部接触部142は、可動板部122において摺動するものであるため、摩擦抵抗を低減させるために上部接触部141及び下部接触部142の表面には、フッ素樹脂等により形成された表面層を設けてもよい。
【0031】
尚、固定部110及び可動部120は、ベースブロック130とスイッチ部ケース150に囲まれた領域の内部に設置されており、カード140は、スイッチ部ケース150に設けられたスイッチ部開口部151より外部に飛び出した形状の突起部144と、ベースブロック130とスイッチ部ケース150に囲まれた領域の内部に位置するカード本体部145とを有している。従って、スイッチ部100においては、上部接触部141または下部接触部142は、ベースブロック130とスイッチ部ケース150に囲まれた領域の内部に設けられている。また、カード140、ベースブロック130及びスイッチ部ケース150は樹脂材料等からなる絶縁体材料により形成されている。
【0032】
スイッチ部ケース150の外部には、回転軸143を中心にカード140を回転させるために、押下されるボタン160が設けられており、カード140は、カード140における突起部144の上部に設けられた接触部144aにおいて、ボタン160の内壁部161と接触している。尚、接触部144aは、内壁部161の表面を摺動するものであるため、摩擦抵抗を低減させるために内壁部161の表面には、フッ素樹脂等により形成された表面層を設けてもよい。また、スイッチ部ケース150の外部には、一方の端部がスイッチ部ケース150に接続され、他方の端部がボタン160に接続された開離バネ170が設けられている。
【0033】
(スイッチ部におけるオン、オフ動作)
スイッチ部100において、スイッチをオンにする場合には、後述するように、コンタクトスライド部42におけるコンタクトスライド接触部を移動させることにより、ボタン160を押下し、ボタン160の内壁部161において接触部141が接触しているカード140が回転軸143を中心に回転する。これにより、上部接触部141を介し可動部120における可動板部122に下方向に力が加えられ、可動接点121と固定接点111とが接触する。この状態を図12に示す。尚、後述するように、スイッチ部100において、この状態はコンタクトスライド部42におけるコンタクトスライド接触部により維持されるため、可動接点121と固定接点111との接触が維持され、電源から電力が供給される。
【0034】
また、スイッチ部100において、スイッチをオフにする場合には、後述するように、コンタクトスライド部42におけるコンタクトスライド接触部を移動させることにより、開離バネ170のバネ性による復元力により、ボタン160がオフの状態に戻る。即ち、図11に示されるように、ボタン160の内壁部161において接触部141が接触しているカード140が回転軸143を中心に回転し、下部接触部142を介し可動部120における可動板部122に上方向に力が加わる。このように可動板部122に加えられた上方向の力により可動接点121と固定接点111との接触を離すことができ、電源からの電力の供給を停止することができる。この際、可動接点121と固定接点111との間でアークが発生する場合があるため、磁界の力によりアークを飛ばすことができるように、可動接点121と固定接点111との接触位置の近傍には、アークの発生する方向に対して略垂直方向の磁界を発生させる永久磁石180が設けられている。尚、永久磁石180に代えて電磁石を用いてもよい。
【0035】
スイッチ部100では、電源からの電力の供給を遮断する際には、可動部120における可動バネ123等のバネの復元力を用いるのではなく、スイッチ部ケース150の外部に設けられた開離バネ170のバネの復元力によりオフ状態にするものである。このため、可動部120における可動バネ123等において復元力を有していない場合においても、電源をオフにすることができる。また、熱により可動バネ123等の一部が溶けてしまい、バネとしての機能が失われている場合においても、可動バネ123等の復元力を用いることなく、開離バネ170のバネ性により電源をオフ状態にすることができ、電源からの電力の供給を確実に遮断することができる。また、開離バネ170は、スイッチ部ケース150の外部に設置されているため、スイッチ部ケース150内部において固定部110及び可動部120が受ける可能性のある熱等の影響を受けることはない。
【0036】
また、スイッチ部100では、ベースブロック130において、固定バネ112の他方が接続されている部分と、可動バネ123の他方が接続されている部分との間には、絶縁壁133が設けられている。これにより、固定部110と可動部120との熱による溶解等が進行した場合においても、固定部110の溶解された部分と、可動部120の溶解された部分とが絶縁壁133により分離される。よって、固定部110と可動部120とが溶解し、くっついた状態のまま電流が流れ続けてしまうことを防ぐことができる。
【0037】
(コネクタにおけるオン、オフ動作)
次に、本実施の形態におけるコネクタにおけるオン、オフ動作について説明する。本実施の形態におけるコネクタとプラグコネクタ300とが接続されている状態において、本実施の形態におけるコネクタにおけるオン、オフの制御を行なうことにより、スイッチ部100のオン、オフを行なうことができ、これにより電源等からの電力の供給の制御を行なうことができる。この際、スイッチ部100がオンとなることにより、本実施の形態におけるコネクタに設けられた不図示のフックがプラグコネクタ300のコネクタ接続開口部312に入り込み、本実施の形態におけるコネクタとプラグコネクタ300との嵌合状態が維持される。また、スイッチ部100がオフとなると、本実施の形態におけるコネクタに設けられた不図示のフックがプラグコネクタ300のコネクタ接続開口部312からはずれ、本実施の形態におけるコネクタからプラグコネクタ300を外すことができる。
【0038】
(スイッチ部の構造)
次に、本実施の形態におけるスイッチ部100についてより詳細に説明する。本実施の形態におけるスイッチ部100は、図13から図16に示すように、2組の接点部201a、201b、即ち、固定部110a、可動部120a及びブレーク接点部210aからなる接点部201aと、固定部110b、可動部120b及びブレーク接点部210bからなる接点部201bとを有している。この接点部201a及び201bにおいて、固定部110aと可動部120aとが接触し、固定部110bと可動部120bとが接触することにより、電源からの電力を電子機器に供給することができる。
【0039】
固定部110aは、固定接点111a及び固定バネ112aを有しており、固定部外部端子113aが接続されている。固定部110bは、固定接点111b及び固定バネ112bを有しており、固定部外部端子113bが接続されている。可動部120aは、可動接点121a、可動板部122a及び可動バネ123aを有しており、可動部外部端子124aが接続されている。可動部120bは、可動接点121b、可動板部122b及び可動バネ123bを有しており、可動部外部端子124bが接続されている。尚、図13は、本実施の形態におけるスイッチ部100の斜視図、図14は、正面図、図15は、側面図、図16は底面図である。
【0040】
また、本実施の形態におけるスイッチ部100は、トランスファー構造を有しており、ブレーク接点部210a及び210bを有している。ブレーク接点部210aは、ベースブロック130に固定されており、ブレーク接点211a及びブレーク接点バネ212aを有しており、ブレーク部外部端子213aが接続されている。ブレーク接点211aは、可動接点121aを介し固定接点111aに対し対向する位置に設けられており、可動接点121aは固定接点111aまたはブレーク接点211aのどちらか一方に接触し接続される。同様に、ブレーク接点部210bは、ベースブロック130に固定されており、ブレーク接点211b及びブレーク接点バネ212bを有しており、ブレーク部外部端子213bが接続されている。ブレーク接点211bは、可動接点121bを介し固定接点111bに対し対向する位置に設けられており、可動接点121bは固定接点111bまたはブレーク接点211bのどちらか一方に接触し接続される。
【0041】
図17に示すように、電源190の正極が可動部120aの可動部外部端子124aに接続され、負極が可動部120bの可動部外部端子124bに接続され、電力が供給される電子機器191の一方に固定部110aの固定部外部端子113aが接続され、他方に固定部110bの固定部外部端子113bが接続されている。また、2つの永久磁石180a及び180bが、ともに同じ向きに磁界を発生させるように設置されている。即ち、永久磁石180aは、固定接点111a及び可動接点121aが設けられている側がS極となるように配置されており、永久磁石180bは、固定接点111b及び可動接点121bが設けられている側がS極となるように配置されている。これにより、固定接点111aと可動接点121aとの間では、永久磁石180aによる磁界が発生し、固定接点111bと可動接点121bとの間では、永久磁石180bによる磁界が発生している。尚、本実施の形態においては、永久磁石180a及び180bを用いた場合について説明するが、永久磁石に代えて電磁石を用いてもよい。
【0042】
永久磁石180aは、固定部110aと可動部120aとに対応して設けられたものであり、固定接点111aと可動接点121aとの間で発生するアークを吹飛ばす機能を有している。また、永久磁石180bは、固定部110bと可動部120bとに対応して設けられたものであり、固定接点111bと可動接点121bとの間で発生するアークを吹飛ばす機能を有している。尚、永久磁石180a及び180bは、各々のアークが吹飛ばされる方向が相互に逆となるように設置されている。
【0043】
電源190と電子機器191とが電気的に接続されている状態、即ち、固定接点111aと可動接点121aとが接続されており、かつ、固定接点111bと可動接点121bとが接続されている状態では、電源190より供給された電流は、電源190の正極より、可動部外部端子124a、可動部120a、可動接点121a及び固定接点111aを介し、固定部110a、固定部外部端子113a、電子機器191、固定部外部端子113b、固定部110b、固定接点111b及び可動接点121bを介し、可動部120b、可動部外部端子124bの順に流れ、更に、電極190の負極に流れる。
【0044】
次に、電源190と電子機器191との電気的な接続が切断されている状態では、電源190からの電力が電子機器191に供給されることはない。この状態では、ブレーク接点211aと可動接点121aとが接触しており、ブレーク接点211bと可動接点121bとが接触している。
【0045】
本実施の形態におけるスイッチ部100では、ブレーク部外部端子213aには終端部220aが接続されており、ブレーク部外部端子213bには終端部220bが接続されている。終端部220aは、コンデンサ221aと抵抗222aとが直列に接続されたもの、即ち、コンデンサ221aの一方の端部と抵抗222aの一方の端部とが接続されたものであって、コンデンサ221aの他方の端部はブレーク部外部端子213aに接続されており、抵抗222aの他方の端部は接地されている。また、終端部220bは、コンデンサ221bと抵抗222bとが直列に接続されたもの、即ち、コンデンサ221bの一方の端部と抵抗222bの一方の端部とが接続されたものであって、コンデンサ221bの他方の端部はブレーク部外部端子213bに接続されており、抵抗222bの他方の端部は接地されている。
【0046】
このような終端部220a及び220bを設けることにより、例えば、電源190と電子機器191とが接続されていない状態において、高周波信号のエネルギーを消費し、終端からの反射波が生じることを防止することができる。言い換えるならば、現在普及している電力線を通信回線としても用いる電力線搬送通信(Power Line Communication)を本実施の形態のスイッチ部及びコネクタにおいても用いる場合に、電子機器191に電源190が接続されていない状態においても、高周波信号の反射を防ぐことができる。
【0047】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、ブレーク部外部端子213a及び213bとの間に発光ダイオードを設けた構造のものである。このため、第1の実施の形態に示すように、ブレーク部外部端子213a及び213bには、終端部220a及び220bが設けられてはいない。
【0048】
図18に基づき、本実施の形態におけるスイッチ部について説明する。本実施の形態におけるスイッチ部は、ブレーク部外部端子213a及び213bに直列に発光ダイオード231と抵抗232を接続した構造のものである。具体的には、発光ダイオード231と抵抗232とを直列に接続、即ち、発光ダイオード231の一方の端子(アノード端子)と抵抗232の一方の端子とを接続し、抵抗の232の他方の端子をブレーク部外部端子213aと接続し、発光ダイオード231の他方の端子(カソード端子)をブレーク部外部端子213と接続する。

【0049】
このため、第1の実施の形態と同様に、可動接点121aが固定接点111aと接続し、可動接点121bが固定接点111bと接続している状態では、電源190の電力が電子機器191に供給される。この状態では、発光ダイオード231は発光していない。一方、可動接点121aがブレーク接点211aに接触し、かつ、可動接点121bがブレーク接点211bに接触している状態では、発光ダイオード231に電流が流れ発光し、電源190と電子機器191との接続が切断されている状態にある旨、即ち、電源190からの電力が電子機器191に供給がされていない旨を示すことができる。尚、抵抗232は、発光ダイオード231に所定の電流を流すためのものであり、電源190の電圧に対し、所定の電流を流すことができるように所定の抵抗値に設定されている。
【0050】
(スイッチ部の他の構成)
次に、図19に基づき、本実施の形態におけるスイッチ部の他の構成について説明する。図19に示すスイッチ部は、更に、電子機器191に並列に、発光ダイオード241と抵抗242を接続した構造のものである。具体的には、発光ダイオード241と抵抗242とを直列に接続、即ち、発光ダイオード241の一方の端子(例えば、アノード端子)と抵抗242の一方の端子とを接続し、抵抗の242の他方の端子を固定部外部端子113aと接続し、発光ダイオード241の他方の端子(例えば、カソード端子)を固定部外部端子113aと接続する。
【0051】
これにより、電源190からの電力が電子機器191に供給されている場合には、発光ダイオード231は消え、発光ダイオード241が発光し、電源190からの電力が電子機器191に供給されていない場合には、発光ダイオード241は消え、発光ダイオード231が発光する。よって、発光ダイオード231が発光しているか、発光ダイオード241が発光しているか、により電源190から電子機器191に電力が供給されているか否かを示すことができる。また、発光ダイオード231と発光ダイオード241との発光色を変えることにより、即ち、発光する光の波長を変えることにより、電源190と電子機器191とが接続されているか否かをより明確に示すことができる。例えば、発光ダイオード231は発光色を赤色とし、発光ダイオード241は発光色を青色とする等である。
【0052】
また、発光ダイオード231及び241は一体に形成したものでもよく、例えば、図20に示すように、2色LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)250であってもよい。具体的には、2色LED250のうち、一方の発光色の発光ダイオードを発光ダイオード231に相当するものとし、他方の発光色の発光ダイオードを発光ダイオード241に相当するものとしてもよい。
【0053】
尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。また、本実施の形態のスイッチ部を用いることにより第1の実施の形態と同様にコネクタを作製することができる。
【0054】
以上、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0055】
21 ジャック開口部
22 ジャック開口部
23 ジャック開口部
31 溝部
40 スライド操作部
40a スライド操作上部
40b スライド操作本体部
41 スライドリンク部
42 コンタクトスライド部
42a コンタクトスライド開口部
42b コンタクトスライド接触部
50 筐体
61 ジャック端子
62 ジャック端子
63 ジャック端子
70 フック
110、110a、110b 固定部
111、111a、111b 固定接点
112、112a、112b 固定バネ
113a、113b 固定部外部端子
120、120a、120b 可動部
121、121a、121b 可動接点
122、122a、122b 可動板部
123、123a、123b 可動バネ
124a、124b 固定部外部端子
130 ベースブロック
131 ベースブロック本体部
132 固定部支持部
133 絶縁壁
140 カード
141 上部接触部(第1の接触部)
142 下部接触部(第2の接触部)
143 回転軸
144 突起部
144a 接触部
145 カード本体部
150 スイッチ部ケース
151 スイッチ部開口部
160 ボタン
161 内壁部
170 開離バネ
180 永久磁石
180a、180b 永久磁石
190 電源
191 電子機器
210a、210b ブレーク接点部
211a、211b ブレーク接点
212a、212b ブレーク接点バネ
213a、213b ブレーク接点部外部端子
220a、220b 終端部
221a、221b コンデンサ
222a、222b 抵抗
231a、231b 発光ダイオード
232a、232b 抵抗
300 プラグコネクタ
310 カバー
311 保護部
312 コネクタ接続開口部
321 プラグ端子
322 プラグ端子
323 プラグ端子
330 電源ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20