(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5917898
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】電磁気干渉ノイズ低減回路
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20160428BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
H01L27/04 H
H01L27/04 B
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-259416(P2011-259416)
(22)【出願日】2011年11月28日
(65)【公開番号】特開2012-114447(P2012-114447A)
(43)【公開日】2012年6月14日
【審査請求日】2014年11月27日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0119107
(32)【優先日】2010年11月26日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513276101
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】リ ジンソプ
【審査官】
宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−232606(JP,A)
【文献】
特開2006−303377(JP,A)
【文献】
特開平04−030567(JP,A)
【文献】
特開2008−147338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の入力ポートと、複数の出力ポートとを備えるドライバ集積回路(IC)での電磁気干渉(EMI)ノイズを低減するための回路であって、
前記複数の入力ポートのいずれか一つに接続され、電流を前記ドライバICに入力する電源部、
前記複数の入力ポートのうち少なくとも2つの入力ポートに接続され、前記電源部から入力される電流のオシレーティングを防止するデカプリングキャパシタ部、及び
前記ドライバICの出力ポートと、前記ドライバICが駆動する外部機器を接続する出力端との間に、それぞれ直列に配置される、複数の抵抗、を含んで構成され、
前記電源部は、
電源入力部、
前記電源入力部から入力される電流の低周波ノイズ成分をフィルタリングするために、前記電源入力部と接地との間に接続される第1キャパシタ部、及び
前記電源入力部から入力される電流の高周波ノイズ成分をフィルタリングするために、前記電源入力部と接地との間に接続される第2キャパシタ部、を含むことを特徴とする回路。
【請求項2】
前記デカプリングキャパシタ部は、前記電源部と接地との間に接続された第3キャパシタ、及び前記ドライブICの2つの入力ポート相互間に接続された第4キャパシタを含んで構成され、
前記第3キャパシタは、前記第4キャパシタが接続されている2つの入力ポートのうちいずれか一つの入力ポートにも接続されていることを特徴とする請求項1に記載の回路。
【請求項3】
前記複数の抵抗は、いずれも同一の値を有することを特徴とする請求項1に記載の回路。
【請求項4】
前記複数の抵抗は、それぞれ、異なる値を有することを特徴とする請求項1に記載の回路。
【請求項5】
前記複数の抵抗は、20Ωであることを特徴とする請求項1に記載の回路。
【請求項6】
前記複数の抵抗は、36Ωであることを特徴とする請求項1に記載の回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノイズ低減回路に関するものであって、より具体的には、ドライバ集積回路(Integrated Circuit、IC)の電源部などに用いるための電磁気干渉(ElectroMagnetic Interference、EMI)ノイズ低減用電源回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
EMIノイズとは、いずれか一つの電子回路、素子、部品などから発生する電磁波(EM wave)が、他の回路、素子、部品などに伝達されることにより、干渉によるノイズの問題を発生させる原因となるノイズをいう。
【0003】
EMIの問題は、電子機器の動作周波数が高くなるにつれて、慢性的なノイズの問題として認識されてきた。特に、最近になって、電子機器の動作周波数が数十MHz〜数GHzの帯域になり、このようなEMIの問題は一層深刻化し、解決策が切実に必要な状況である。
【0004】
図1は、従来のドライバICと、それに電力を供給するための電源部、及び出力部の回路図である。
【0005】
図1に示したように、ドライバIC30に電力を供給するための電源部10は、複数のデカプリング(decoupling)用途のコンデンサC1〜C4が電源入力部11と接地(GND)との間に接続されている。デカプリングのためのコンデンサC1〜C4は、電源入力部11から供給される電流に発生する低周波または高周波の交流成分を充放電するものである。
【0006】
ドライバIC30の出力端は、
図1でAであり、電源部10から入力される信号は、ドライバIC30を経て出力端Aに出力される。
しかし、前記のような構成を有するドライバIC30は、出力端にAに、パルス幅変調(pulse width modulation、PWM)ノイズ、及びコンデンサの容量による低周波帯域のノイズなどのEMIノイズが流入する問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする技術的課題は、ドライバICの出力端に抵抗を直列にそれぞれ配置することによって、ドライバICの出力回路のEMIノイズを低減するためのEMIノイズ低減用電源回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような技術的課題を達成するために、本発明の一態様(one aspect)によるEMIノイズを低減するための回路は、少なくとも1つの入力ポートと、少なくとも1つの出力ポートとを備えるドライバ集積回路(IC)での電磁気干渉(EMI)ノイズを低減するために、前記入力ポートのいずれか一つに接続され、電流を前記ドライバICに入力する電源部、及び前記ドライバICの前記少なくとも1つの出力ポートと、前記ドライバICが駆動する外部機器を接続する出力端との間に、それぞれ直列に配置される、少なくとも1つの抵抗を含む。
【0009】
また、本発明の一態様によるEMIノイズを低減するための回路は、入力ポートと、少なくとも1つの出力ポートとを備えて外部機器を駆動するドライバ集積回路(IC)で、前記出力ポートに流入する電磁気干渉(EMI)ノイズを低減するために、前記ドライバICの前記少なくとも1つの出力ポートと、前記外部機器を接続する出力端との間に、それぞれ直列に配置される、少なくとも1つの抵抗を含む。
【発明の効果】
【0010】
上記のような構成により、本発明の回路は、ドライバICの出力端のポートに、それぞれ、抵抗を直列接続することにより、高周波帯域(30MHz〜108MHz)で、全体的なノイズレベルを下げ、ノイズによる信号のマージンを十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】従来のドライバICと、それに電力を供給するための電源部及びその出力部の回路図である。
【
図2】本発明の一実施例によるEMIノイズ低減回路図である。
【
図3】
図1における回路の出力ノイズを測定した図である。
【
図4】本発明の一実施例によるEMIノイズ低減回路を取り付けた
図2における回路の出力ノイズを測定した一例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、様々な変更を加えることができ、いくつかの実施例を有することができることから、特定の実施例を図面に例示し、詳細な説明において詳細に説明する。
しかし、これは、本発明を特定の実施形態に限定しようとすることではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物ないし代替物を含むことと理解すべきである。
【0013】
第1、第2などのように序数が含まれている用語は、様々な構成要素を説明するために使用できるが、構成要素は、用語によって限定されない。
用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲を脱することなく、第2の構成要素は、第1の構成要素と命名することができ、同様に第1の構成要素も、第2の構成要素と命名することができる。
【0014】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるとか、または「接続されて」いると述べられた場合は、その他の構成要素に直接に連結されているか、または接続されている場合もあるが、その間に他の構成要素が存在する場合もあると理解すべきである。その一方で、ある構成要素が他の構成要素に、「直接連結されて」いるとか、「直接接続されて」いると述べられた場合は、その間に他の構成要素が存在しないことと理解すべきである。
【0015】
本出願で使用する用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数形の表現は、文脈上明らかに異なる意味を表さないかぎり、複数の表現を含む。
本出願で、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しているのであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しているのではないと理解すべきである。
【0016】
また、本出願に添付した図面は、説明の便宜のために拡大または縮小して示したものと理解すべきである。
これで、本発明について図面を参照しながら詳細に説明し、図面の符号に関係なく、同一または対応する構成要素は同じ参照番号を付与し、これに関する重複説明は省略することにする。
【実施例】
【0017】
図2は、本発明の一実施例によるEMIノイズ低減回路図である。
図に示したように、本発明のEMIノイズ低減回路は、電源部10とドライバIC30とで構成され、ドライバIC30のポートAは、ヌル(null)ポートであり、ポートB〜ポートDは、入力ポートを示しており、ポートE〜ポートHは、出力ポートを示す。つまり、ドライバIC30は、電源部10から入力される信号を直接にポートBで受信して、モータなどを駆動する信号を、それぞれ、ポートE〜ポートHに出力する。
【0018】
電源部10は、多数のデカプリング(decoupling)用途のコンデンサC1〜C4が電源入力部11と接地(GND)との間に接続されている。デカプリングのためのコンデンサC1〜C4は、電源入力部11から供給される電流に発生する低周波または高周波の交流成分を充放電するものであって、詳細には、電源入力部11を介して入力される電流は、コンデンサC2を通過して低周波ノイズがフィルタリングされ、C3とC4を通過して高周波フィルタリングされる。好ましくは、C2は、10nF/25Vの値を有し、C3及びC4は、それぞれ、220nF/50V及び10nF/25Vの値を有する。
【0019】
ドライバIC30の残りの入力ポートに接続されているC5とC6は、入力電流のオシレーティング(oscillating)を防止するためのものであって、好ましくは、10nF及び220nFの値を有する。詳細には、C5は、電源部と接地との間に接続され、C6はC5とポートDとに接続される。また、C5は、ポートCとも接続されている。
【0020】
また、本発明のEMIノイズ低減回路は、ドライバIC30の出力ポート(ポートE〜ポートH)と、出力ポートから出力される信号をそれぞれ外部機器に接続する出力端(出力端e〜出力端h)との間には、それぞれ抵抗が接続されており、ポートEと出力端eとの間に接続されている抵抗R1、ポートFと出力端fとの間に接続されている抵抗R2、ポートGと出力端gとの間に接続されている抵抗R3、及びポートHと出力端hとの間に接続されている抵抗R4を総称して、抵抗部20という。
【0021】
抵抗部20の各抵抗R1〜R4は、好ましくは、それぞれ、36Ωであってもよく、20Ωであってもよい。また、いずれも同一の値を有してもよく、それぞれ異なる値を有してもよい。ただし、これは、好ましい一実施例であって、本発明は、この値に限定されるのではない。
【0022】
本発明の好ましい一実施例では、ドライバIC30の出力端の数を4つに限定したが、これに限定されるのではない。従って、出力端に接続される抵抗の数も、本発明の一実施例である4つに限定されるのではない。
【0023】
上記のように構成される本発明のEMIノイズ低減回路により、出力端e〜出力端hを介して流入するノイズを遮断することができる。
【0024】
図3は、
図1における回路の出力ノイズを測定した図である。
図に示したように、全体的にノイズが多く、一部の帯域でリミットオーバ(limit over)が発生することを確認することができる。
【0025】
図3において、赤色の線(上から1番目の線)は、該当帯域でのピーク値に対するリミットライン(limit line)であり、ピンク色の線(上から2番目の線)は、該当帯域での平均値(average)に対するリミットラインである。この時、ピーク値に対するリミットラインからピーク値を引いた値を「マージン(margin)」というが、
図3では、リミットラインよりもピーク値が大きくて、リミットオーバが発生する周波数帯域が存在し、これは、深刻なEMIノイズに該当するものである。
また、全帯域での一般的な基準のマージンの確保ができなくなる。
【0026】
図4は、本発明のEMIノイズ低減回路を取り付けた
図2における回路の出力ノイズを測定した一例示図であって、抵抗部20の抵抗をそれぞれ20Ωとした場合の出力を測定した図である。
【0027】
図4に示したように、
図3に比べて、本発明の一実施例によるノイズ低減回路によれば、リミットオーバが発生する周波数帯域がなく、全周波数帯域でリミットイン(limit in)であることを確認することができる。つまり、
図3では、マージンが約2dBで、十分なマージンの確保が不可能であるが、
図4の本発明の低減回路によると、約10dB程度の十分なマージンを有することが分かる。
【0028】
このように、本発明のEMIノイズ低減回路により、高周波帯域(30MHz〜108MHz)で全体的なノイズレベルを下げて、ノイズによる信号のマージンを十分に確保することができる。
【0029】
上述した本発明の好ましい実施例は、例示の目的のために開示されたものであり、本発明に関する通常の知識を有する当業者であれば、本発明の思想及び範囲内で様々な修正、変更、付加が可能であり、このような修正、変更及び付加は、下記の特許請求の範囲に属するものと理解すべきである。
【符号の説明】
【0030】
10 電源部
20 抵抗部
30 ドライバIC