(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2〜7に示すヒューズ機能付きセラミックコンデンサは、電極や端子間を、1つのヒューズ電極にて直列接続した形態となっているため、ヒューズ電極の抵抗値やインダクタンス値が高くなり、その結果、損失が多くなり、発熱し易いおそれがある。
【0009】
特許文献1、8及び9に示すヒューズ機能付きセラミックコンデンサは、セラミックコンデンサが実装された基板上にヒューズや金属ワイヤを配設するようにしているため、小型化に限界があり、また、はんだ付けや溶接等が必要であることから、製造コストが高くなるという問題もある。
【0010】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、ヒューズの部分の抵抗値やインダクタンス値を低減することができ、損失(発熱)の増加を抑えることができ、しかも、小型化、製造コストの低減を図ることができるコンデンサモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[1] 第1の本発明に係るコンデンサモジュールは、セラミック基板と、前記セラミック基板の互いに対向する第1側面及び第2側面にそれぞれ形成された第1端子電極及び第2端子電極と、前記セラミック基板内に形成され、前記第1端子電極に接続された1以上の第1コンデンサ電極と、前記セラミック基板内に形成され、前記第2端子電極に接続された1以上の第2コンデンサ電極と、を有し、前記第1コンデンサ電極及び前記第2コンデンサ電極のうち、少なくとも一方のコンデンサ電極はヒューズパターンを有し、前記ヒューズパターンは、前記少なくとも一方のコンデンサ電極の端子電極寄りの位置に形成され、さらに、前記一方のコンデンサ電極の幅よりも狭い幅を有する複数のヒューズ電極が並列に配列されて構成されていることを特徴とする。
【0012】
[2] 第1の本発明において、前記第1コンデンサ電極は第1ヒューズパターンを有し、前記第2コンデンサ電極は第2ヒューズパターンを有し、前記第1ヒューズパターンは、前記第1コンデンサ電極のうち、前記第1端子電極寄りの位置に形成され、さらに、前記第1コンデンサ電極の幅よりも狭い幅を有する複数の第1ヒューズ電極が並列に配列されて構成され、前記第2ヒューズパターンは、前記第2コンデンサ電極のうち、前記第2端子電極寄りの位置に形成され、さらに、前記第2コンデンサ電極の幅よりも狭い幅を有する複数の第2ヒューズ電極が並列に配列されて構成されていてもよい。
【0013】
[3] 第1の本発明において、前記セラミック基板の表面に形成され、前記第1端子電極と前記第2端子電極間に接続された1以上の抵抗体とを有するようにしてもよい。
【0014】
[4] 第1の本発明において、前記セラミック基板の表面に形成され、且つ、前記第1端子電極及び前記第2端子電極のいずれか一方の端子電極に接続された表面電極とを有し、前記表面電極は第3ヒューズパターンを有し、前記第3ヒューズパターンは、前記表面電極の幅よりも狭い幅を有する1以上の第3ヒューズ電極を有するようにしてもよい。
【0015】
[5] この場合、前記第3ヒューズパターンは、複数の前記第3ヒューズ電極が並列に配列されて構成されていてもよい。
【0016】
[6] さらに、前記複数の第3ヒューズ電極は、長さと幅がそれぞれ異なるようにしてもよい。
【0017】
[7] [4]において、前記セラミック基板の表面に形成され、前記表面電極と、前記第1端子電極及び前記第2端子電極のいずれか他方の端子電極との間に接続された1以上の抵抗体を有するようにしてもよい。
【0018】
[8] [4]において、さらに、前記セラミック基板の前記第1側面及び前記第2側面とは異なる第3側面に形成され、且つ、他の電子部品と電気的に接続される第3端子電極を有し、前記表面電極は、前記第1端子電極及び前記第2端子電極のいずれか一方の端子電極と、前記第3端子電極とに接続されていてもよい。
【0019】
[9] [4]において、前記セラミック基板の表面上であって、且つ、前記表面電極と、前記第1端子電極及び前記第2端子電極のいずれか他方の端子電極との間に、他の電子部品が実装可能とされていてもよい。
【0020】
[10] 第2の本発明に係るコンデンサモジュールは、セラミック基板と、前記セラミック基板の互いに対向する第1側面及び第2側面にそれぞれ形成された第1端子電極及び第2端子電極と、前記セラミック基板内に形成され、前記第1端子電極に接続された1以上の第1コンデンサ電極と、前記セラミック基板内に形成され、前記第2端子電極に接続された1以上の第2コンデンサ電極と、を有し、前記セラミック基板の表面に形成され、且つ、前記第1端子電極及び前記第2端子電極のいずれか一方の端子電極に接続された表面電極とを有し、前記表面電極は、ヒューズパターンを有し、前記ヒューズパターンは、前記表面電極の幅よりも狭い幅を有する複数のヒューズ電極が並列に配列されて構成されていることを特徴とする。
【0021】
[11] 第2の本発明において、前記複数のヒューズ電極は、長さと幅がそれぞれ異なるようにしてもよい。
【0022】
[12] 第2の本発明において、前記セラミック基板の表面に形成され、前記表面電極と、前記第1端子電極及び前記第2端子電極のいずれか他方の端子電極との間に接続された1以上の抵抗体を有するようにしてもよい。
【0023】
[13] 第2の本発明において、さらに、前記セラミック基板の前記第1側面及び前記第2側面とは異なる第3側面に形成され、且つ、他の電子部品と電気的に接続される第3端子電極を有し、前記表面電極は、前記第1端子電極及び前記第2端子電極のいずれか一方の端子電極と、前記第3端子電極とに接続されていてもよい。
【0024】
[14] 第2の本発明において、前記セラミック基板の表面上であって、且つ、前記表面電極と、前記第1端子電極及び前記第2端子電極のいずれか他方の端子電極との間に、他の電子部品が実装可能とされていてもよい。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明に係るコンデンサモジュールによれば、ヒューズの部分の抵抗値やインダクタンス値を低減することができ、損失(発熱)の増加を抑えることができ、しかも、小型化、製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本実施の形態に係るコンデンサモジュールが適用されるインバータを示す回路図である。
【
図2】
図2Aは第1の実施の形態に係るコンデンサモジュール(第1コンデンサモジュール)の外観を示す斜視図であり、
図2Bは第1コンデンサモジュールを示す等価回路図である。
【
図3】
図3Aは第1コンデンサモジュールを一部省略して示す分解斜視図であり、
図3Bは第1コンデンサ電極と第1ヒューズパターンのパターン形状の一例を示す平面図であり、
図3Cは第2コンデンサ電極と第2ヒューズパターンのパターン形状の一例を示す平面図である。
【
図4】
図4Aは第2の実施の形態に係るコンデンサモジュール(第2コンデンサモジュール)の外観を示す斜視図であり、
図4Bは第2コンデンサモジュールを示す等価回路図である。
【
図5】
図5Aは第3及び第8の実施の形態に係るコンデンサモジュール(第3コンデンサモジュール及び第8コンデンサモジュール)の外観を示す斜視図であり、
図5Bは第3コンデンサモジュールを示す等価回路図である。
【
図6】
図6Aは第3コンデンサモジュールを一部省略して示す分解斜視図であり、
図6Bは表面電極と第3ヒューズパターンのパターン形状の一例を示す平面図である。
【
図7】
図7Aは第4及び第9の実施の形態に係るコンデンサモジュール(第4コンデンサモジュール及び第9コンデンサモジュール)の外観を示す斜視図であり、
図7Bは第4コンデンサモジュールを示す等価回路図である。
【
図8】
図8Aは第4コンデンサモジュールを一部省略して示す分解斜視図であり、
図8Bは表面電極と第3ヒューズパターンのパターン形状の一例を示す平面図である。
【
図9】
図9Aは第5の実施の形態に係るコンデンサモジュール(第5コンデンサモジュール)の外観を示す斜視図であり、
図9Bは第5コンデンサモジュールを示す等価回路図である。
【
図10】第6の実施の形態に係るコンデンサモジュール(第6コンデンサモジュール)の外観を示す斜視図である。
【
図11】
図11Aは第7の実施の形態に係るコンデンサモジュール(第7コンデンサモジュール)の外観を示す斜視図であり、
図11Bは第7コンデンサモジュールを示す等価回路図である。
【
図12】
図12Aは第8の実施の形態に係るコンデンサモジュール(第8コンデンサモジュール)を一部省略して示す分解斜視図であり、
図12Bは第8コンデンサモジュールを示す等価回路図である。
【
図13】
図13Aは第9の実施の形態に係るコンデンサモジュール(第9コンデンサモジュール)を一部省略して示す分解斜視図であり、
図13Bは第9コンデンサモジュールを示す等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係るコンデンサモジュールの実施の形態例を
図1〜
図13Bを参照しながら説明する。
【0028】
先ず、本実施の形態に係るコンデンサモジュールが適用される例えばインバータ100について
図1を参照しながら簡単に説明すると、このインバータ100は、バッテリ102とモータ104間に、アクロス・ザ・ライン・コンデンサ(Xコンデンサ)及びラインバイパスコンデンサ(Yコンデンサ)等を有するEMIフィルタ106と、例えば2個のスイッチング素子等を有する整流回路108と、放電用の抵抗(放電抵抗Ra)と平滑コンデンサCaとが並列に接続された平滑フィルタ部110と、例えば6個のスイッチング素子を有する三相出力のインバータ回路112とを有する。
【0029】
そして、第1の実施の形態に係るコンデンサモジュール(以下、第1コンデンサモジュール10Aと記す)は、
図2Aに示すように、複数の誘電体層(
図3Aの誘電体層S1〜S8参照)を積層して構成されたセラミック基板12と、セラミック基板12の互いに対向する第1側面12a及び第2側面12bにそれぞれ形成された第1端子電極14a及び第2端子電極14bとを有する。
【0030】
セラミック基板12は、
図3Aに示すように、下から順に、第1誘電体層S1〜第8誘電体層S8が積み重ねられて構成されている。これらの第1誘電体層S1〜第8誘電体層S8は、1枚あるいは複数枚の層にて構成される。
【0031】
第2誘電体層S2、第4誘電体層S4及び第6誘電体層S6の各主面には、一端が第1端子電極14aに接続された第1コンデンサ電極16aがそれぞれ形成されている。各第1コンデンサ電極16aは、それぞれ第1ヒューズパターン18aを有する。
【0032】
第1ヒューズパターン18aは、第1コンデンサ電極16aのうち、第1端子電極14a寄りの位置に形成され、第1コンデンサ電極16aの幅W1よりも狭い幅Waを有する複数の第1ヒューズ電極20aが並列に配列されて構成されている。
【0033】
第1ヒューズ電極20aの幅Waは、第1コンデンサ電極16aの幅W1の例えば1/20〜1/10が選択可能であり、第1ヒューズ電極20aの長さLaは、第1コンデンサ電極16aの長さL1の例えば1/20〜1/5が選択可能である。各寸法は同じであってもよいし、違っていてもよい。
図3A及び
図3Bでは、各第1ヒューズ電極20aの幅Waが第1コンデンサ電極16aの幅W1の約1/18、第1ヒューズ電極20aの長さLaが第1コンデンサ電極16aの長さL1の約1/10である例を示す。また、
図3A及び
図3Bの例では、8つの第1ヒューズ電極20aが配列されており、従来のように1つのヒューズ電極が直列接続した形態と比して、抵抗値及びインダクタンス値が約1/8になる。
【0034】
同様に、第3誘電体層S3及び第5誘電体層S5の各主面には、一端が第2端子電極14bに接続された第2コンデンサ電極16bがそれぞれ形成されている。各第2コンデンサ電極16bは、第2ヒューズパターン18bを有する。
【0035】
第2ヒューズパターン18bは、第2コンデンサ電極16bのうち、第2端子電極14b寄りの位置に形成され、第2コンデンサ電極16bの幅W2よりも狭い幅Wbを有する複数の第2ヒューズ電極20bが並列に配列されて構成されている。
【0036】
第2ヒューズ電極20bの幅Wbは、第2コンデンサ電極16bの幅W2の例えば1/20〜1/10が選択可能であり、第2ヒューズ電極20bの長さLbは、第2コンデンサ電極16bの長さL2の例えば1/20〜1/5が選択可能である。各寸法は同じであってもよいし、違っていてもよい。
図3A及び
図3Cの例では、8つの第2ヒューズ電極20bが配列され、各第2ヒューズ電極20bの幅Wbが第2コンデンサ電極16bの幅W2の約1/18、第2ヒューズ電極20bの長さLbが第2コンデンサ電極16bの長さL2の約1/10である例を示す。もちろん、長さL1=L2、La=Lb、幅W1=W2、Wa=Wbの関係でもよい。
【0037】
第1ヒューズ電極20a及び第2ヒューズ電極20bは、幅Wa及びWbがそれぞれ一定とされ、さらに、長さLa及びLbがそれぞれ一定とされて、予め設定された電流で溶断するように設定されている。第1ヒューズ電極20a間の距離Da及び第2ヒューズ電極20b間の距離Dbは、第1ヒューズ電極20a及び第2ヒューズ電極20bの数と、幅Wa及びWbの寸法から適宜設定することができ、損失を低減したい場合は、距離Da及びDbを短くして、第1ヒューズ電極20a及び第2ヒューズ電極20bの個数を増やすことが挙げられる。この場合、距離Da=Dbの関係でもよいし、幅Wa=距離Da、幅Wb=距離Dbでもよい。さらには、幅Wa=Wb=距離Da=Dbの関係でもよい。
【0038】
そして、第1コンデンサ電極16aと第2コンデンサ電極16bとこれら各電極16a及び16b間の誘電体によって、
図2Bに示す平滑コンデンサCaが構成され、第1コンデンサ電極16aに形成された複数の第1ヒューズ電極20aによる第1ヒューズパターン18aによって、平滑コンデンサCaと第1端子電極14a間に接続された第1内層ヒューズ22aが構成され、第2コンデンサ電極16bに形成された複数の第2ヒューズ電極20bによる第2ヒューズパターン18bによって、平滑コンデンサCaと第2端子電極14b間に接続された第2内層ヒューズ22bが構成されている。
【0039】
つまり、第1コンデンサモジュール10Aは、
図2Bに示すように、平滑フィルタ部110における平滑コンデンサCaに加えて第1内層ヒューズ22aと第2内層ヒューズ22bとが1つのセラミック基板12に一体化されて構成されている。
【0040】
このように、第1コンデンサモジュール10Aにおいては、平滑コンデンサCaと第1内層ヒューズ22a及び第2内層ヒューズ22bとを有する平滑フィルタ部110をセラミック基板12に一体化して1チップとして構成することができるため、耐熱性が良好で、ショートモードを防止することができると共に、インバータ100のサイズの小型化、コストの低廉化、実装スペースの省スペース化を実現することができる。
【0041】
しかも、第1内層ヒューズ22aを、第1コンデンサ電極16aに形成された複数の第1ヒューズ電極20aによる第1ヒューズパターン18aにて構成し、第2内層ヒューズ22bを、第2コンデンサ電極16bに形成された複数の第2ヒューズ電極20bによる第2ヒューズパターン18bにて構成するようにしたので、第1内層ヒューズ22a及び第2内層ヒューズ22bの抵抗値及びインダクタンス値を低減することができ、損失(発熱)の増加を抑えることができる。これは、信頼性の向上にもつながる。
【0042】
なお、内層ヒューズとしては、平滑コンデンサCaと第1端子電極14aとの間に接続された第1内層ヒューズ22a(第1コンデンサ電極16aに形成された第1ヒューズパターン18a)のみでもよいし、あるいは、平滑コンデンサCaと第2端子電極14bとの間に接続された第2内層ヒューズ22b(第2コンデンサ電極16bに形成された第2ヒューズパターン18b)のみでもよい。
【0043】
次に、第2の実施の形態に係るコンデンサモジュール(以下、第2コンデンサモジュール10Bと記す)について
図4A及び
図4Bを参照しながら説明する。
【0044】
第2コンデンサモジュール10Bは、上述した第1コンデンサモジュール10Aとほぼ同様の構成を有するが、
図4Aに示すように、セラミック基板12の上面12uに形成され、第1端子電極14aと第2端子電極14b間に接続された1つの抵抗体24を有する点で異なる。この抵抗体24は、
図4Bに示すように、平滑フィルタ部110における放電抵抗Raを構成する。なお、第1端子電極14a及び第2端子電極14b間には、電子部品26(例えば
図1に示す整流回路108あるいはインバータ回路112の一部又は全部)が接続される。
【0045】
つまり、第2コンデンサモジュール10Bは、
図4Bに示すように、平滑フィルタ部110における平滑コンデンサCaと放電抵抗Raとに加えて第1内層ヒューズ22aと第2内層ヒューズ22bとが1つのセラミック基板12に一体化されて構成されている。
【0046】
この第2コンデンサモジュール10Bにおいては、平滑コンデンサCaと放電抵抗Raとが並列に接続され、さらに第1内層ヒューズ22a及び第2内層ヒューズ22bを有する平滑フィルタ部110を1つのセラミック基板12に一体化して1チップとして構成することができるため、耐熱性が良好で、ショートモードを防止することができると共に、インバータ100のサイズの小型化、コストの低廉化、実装スペースの省スペース化を実現することができ、しかも、損失(発熱)の増加を抑えることができる。
【0047】
次に、第3の実施の形態に係るコンデンサモジュール(以下、第3コンデンサモジュール10Cと記す)について
図5A〜
図6Bを参照しながら説明する。
【0048】
第3コンデンサモジュール10Cは、上述した第1コンデンサモジュール10Aとほぼ同様の構成を有するが、
図5Aに示すように、セラミック基板12の第1側面12a及び第2側面12bとは異なる第3側面12cに形成され、且つ、電子部品26(
図5B参照)と電気的に接続される第3端子電極14cと、セラミック基板12の上面12uに形成され、且つ、第1端子電極14aと第3端子電極14cとに接続された表面電極28とを有する点で異なる。
【0049】
表面電極28は第3ヒューズパターン18cを有する。第3ヒューズパターン18cは、表面電極28のうち、第1端子電極14a寄りの位置に形成され、
図6Bに示すように、表面電極28の幅W3よりも狭い幅Wcを有する1以上の第3ヒューズ電極20cが並列に配列されて構成されている。
【0050】
第3ヒューズ電極20cの幅Wcは、表面電極28の幅W3の1/20〜1/10が選択可能であり、第3ヒューズ電極20cの長さLcは、表面電極28の長さL3の1/25〜1/2が選択可能である。第3ヒューズ電極20cは1つでもよいが、複数の第3ヒューズ電極20cを有することが好ましい。
図6Bの例では、8つの第3ヒューズ電極20cが配列され、各第3ヒューズ電極20cの幅Wcが表面電極28の幅W3の約1/20、第3ヒューズ電極20cの長さLcが表面電極28の長さL3の約1/3である例を示す。もちろん、長さLa=Lb=Lc、幅Wa=Wb=Wcの関係でもよい。
【0051】
この表面電極28に形成された複数の第3ヒューズ電極20cによる第3ヒューズパターン18cによって、
図5Bに示すように、第1端子電極14aと第3端子電極14c間に接続された外層ヒューズ30が構成される。
【0052】
つまり、第3コンデンサモジュール10Cは、平滑フィルタ部110における平滑コンデンサCaに加えて第1内層ヒューズ22a及び第2内層ヒューズ22b並びに外層ヒューズ30とが1つのセラミック基板12に一体化されて構成されている。なお、セラミック基板12の第3側面12cに対向する第4側面12dに、図示しない第4端子電極(
図11Aの第4端子電極14d参照)を有していてもよい。これにより、実装バランスが良好となる。
【0053】
この第3コンデンサモジュール10Cにおいては、平滑コンデンサCaと第1内層ヒューズ22a及び第2内層ヒューズ22bと外層ヒューズ30とを有する平滑フィルタ部110を1つのセラミック基板12に一体化して1チップとして構成することができるため、耐熱性が良好で、ショートモードを防止することができると共に、インバータ100のサイズの小型化、コストの低廉化、実装スペースの省スペース化を実現することができ、しかも、損失(発熱)の増加を抑えることができる。
【0054】
各第3ヒューズ電極20cの幅Wcは一定でもよいが、各第3ヒューズ電極20cの幅Wc及び長さLcにそれぞれ違いを持たせてもよい。この場合、各第3ヒューズ電極20cの溶断特性が同じになるように、幅Wcと長さLcとが比例関係となることが好ましい。これにより、種々の異常電流に対応させることができ、電子部品26への異常電流の流入を阻止することができる。なお、第3ヒューズ電極20c間の距離Dcは第3ヒューズ電極20cの幅Wcに応じて一定でもよいし、違っていてもよい。
【0055】
次に、第4の実施の形態に係るコンデンサモジュール(以下、第4コンデンサモジュール10Dと記す)について
図7A〜
図8Bを参照しながら説明する。
【0056】
この第4コンデンサモジュール10Dは、上述した第3コンデンサモジュール10Cとほぼ同様の構成を有するが、
図7Aに示すように、表面電極28に形成された第3ヒューズパターン18cを構成する複数の第3ヒューズ電極20cの形状が異なる。
【0057】
すなわち、複数の第3ヒューズ電極20cは、長さ(第1端子電極14aから第3端子電極14cまでの長さ)と幅がそれぞれ異なる。
【0058】
図8A及び
図8Bでは、6本の第3ヒューズ電極20cを形成し、そのうち、1本目の第3ヒューズ電極20cを直線状に形成し、他の5本(2本目〜6本目)の第3ヒューズ電極20cをL字状に形成した例を示している。ここで、1本目〜6本目の第3ヒューズ電極20cの長さをLc1〜Lc6、幅をWc1〜Wc6としたとき、以下の大小関係を有する。
Lc1<Lc2<Lc3<Lc4<Lc5<Lc6
Wc1<Wc2<Wc3<Wc4<Wc5<Wc6
【0059】
この場合、各第3ヒューズ電極20cの溶断特性が同じになるように、長さLc1〜Lc6と幅Wc1〜Wc6とが比例関係となることが好ましい。これにより、種々の異常電流に対応させることができ、電子部品への異常電流の流入を阻止することができる。
【0060】
この第4コンデンサモジュール10Dにおいても、上述した第2コンデンサモジュール10Bと同様に、耐熱性が良好で、ショートモードを防止することができると共に、インバータ100のサイズの小型化、コストの低廉化、実装スペースの省スペース化を実現することができ、しかも、損失(発熱)の増加を抑えることができる。
【0061】
図8A及び
図8Bの例では、6本の第3ヒューズ電極20cを形成した例を示したが、その他、2本〜5本、あるいは7本以上の第3ヒューズ電極20cを形成してもよい。また、第3ヒューズパターン18cとして、直線状の第3ヒューズ電極20cとL字状の第3ヒューズ電極20cとを組み合わせた例を示したが、L字状の代わりに、直線状、あるいは斜線状、あるいは曲線状でもよく、これらの組み合わせでもよい。
【0062】
次に、第5の実施の形態に係るコンデンサモジュール(以下、第5コンデンサモジュール10Eと記す)について
図9A及び
図9Bを参照しながら説明する。
【0063】
この第5コンデンサモジュール10Eは、
図9Aに示すように、上述した第3コンデンサモジュール10C(
図5A参照)とほぼ同様の構成を有するが、セラミック基板12の上面12uに形成され、表面電極28(実質的には第1端子電極14a)と第2端子電極14b間に接続された1つの抵抗体24を有する点で異なる。この抵抗体24は、
図9Bに示すように、平滑フィルタ部110における放電抵抗Raを構成する。
【0064】
つまり、第5コンデンサモジュール10Eは、
図9Bに示すように、平滑フィルタ部110における平滑コンデンサCaと放電抵抗Raとに加えて第1内層ヒューズ22aと第2内層ヒューズ22bと外層ヒューズ30とが1つのセラミック基板12に一体化されて構成されている。
【0065】
この第5コンデンサモジュール10Eにおいては、平滑コンデンサCaと放電抵抗Raとが並列に接続され、さらに第1内層ヒューズ22a及び第2内層ヒューズ22bと外層ヒューズ30とを有する平滑フィルタ部110を1つのセラミック基板12に一体化して1チップとして構成することができるため、耐熱性が良好で、ショートモードを防止することができると共に、インバータ100のサイズの小型化、コストの低廉化、実装スペースの省スペース化を実現することができ、しかも、損失(発熱)の増加を抑えることができる。
【0066】
次に、第6の実施の形態に係るコンデンサモジュール(以下、第6コンデンサモジュール10Fと記す)について
図10を参照しながら説明する。
【0067】
この第6コンデンサモジュール10Fは、
図10に示すように、上述した第4コンデンサモジュール10D(
図7A参照)とほぼ同様の構成を有するが、セラミック基板12の上面12uに形成され、第1端子電極14aと第2端子電極14b間に接続された1つの抵抗体24を有する点で異なる。この抵抗体24は、上述のように、平滑フィルタ部110の放電抵抗Raを構成する。
【0068】
この第6コンデンサモジュール10Fにおいても、第5コンデンサモジュール10Eと同様に、平滑コンデンサCaと放電抵抗Raとが並列に接続され、さらに第1内層ヒューズ22a及び第2内層ヒューズ22bと外層ヒューズ30とを有する平滑フィルタ部110を1つのセラミック基板12に一体化して1チップとして構成することができるため、耐熱性が良好で、ショートモードを防止することができると共に、インバータ100のサイズの小型化、コストの低廉化、実装スペースの省スペース化を実現することができ、しかも、損失(発熱)の増加を抑えることができる。
【0069】
次に、第7の実施の形態に係るコンデンサモジュール(以下、第7コンデンサモジュール10Gと記す)について
図11A及び
図11Bを参照しながら説明する。
【0070】
第7コンデンサモジュール10Gは、
図11Aに示すように、上述した第5コンデンサモジュール10E(
図9A参照)とほぼ同様の構成を有するが、以下の点で異なる。
【0071】
すなわち、セラミック基板12の上面12uに、電子部品26を実装するための第1表面電極28aと第2表面電極28bが形成されている。セラミック基板12の例えば第3側面12cと対向する第4側面12dに電子部品26からの例えば出力信号が供給される第4端子電極14dが形成されている。セラミック基板12の上面12uに、電子部品26の出力端子(図示せず)と第4端子電極14dとを接続する第3表面電極28cが形成されている。なお、電子部品26の仕様により、第3表面電極28cと第4端子電極14dは、それぞれ複数に分割されていてもよい。
【0072】
第1表面電極28aは、セラミック基板12のうち、第1端子電極14a寄りに形成され、且つ、一端が第1端子電極14aに接続されている。また、この第1表面電極28aは、上述した第5コンデンサモジュール10Eの表面電極28に形成された第3ヒューズパターン18cと同様の第3ヒューズパターン18cが形成されている。
【0073】
この第7コンデンサモジュール10Gは、
図11Bに示すように、平滑フィルタ部110における平滑コンデンサCaと放電抵抗Raとに加えて第1内層ヒューズ22aと第2内層ヒューズ22bと外層ヒューズ30とが1つのセラミック基板12に一体化されて構成されている。さらに、セラミック基板12の上における第1表面電極28aと第2表面電極28b間に電子部品26を実装し、電子部品26の出力端子(図示せず)とセラミック基板12の第4端子電極14dとを第3表面電極28cを介して電気的に接続することで、上述した平滑コンデンサCa、放電抵抗Ra、第1内層ヒューズ22a、第2内層ヒューズ22b及び外層ヒューズ30と電子部品26とが1つのセラミック基板12に一体化されて構成されることになる。これは、インバータ100のサイズの小型化、コストの低廉化、実装スペースの省スペース化をより促進させることができ、しかも、耐熱性が良好で、ショートモードを防止することができると共に、損失(発熱)の増加を抑えることができる。
【0074】
次に、第8の実施の形態に係るコンデンサモジュール(以下、第8コンデンサモジュール10Hと記す)について
図12A及び
図12Bを参照しながら説明する。
【0075】
この第8コンデンサモジュール10Hの外観は、
図5Aに示す上述した第3コンデンサモジュール10Cと同じであるが、
図12Aに示すように、第1コンデンサ電極16a及び第2コンデンサ電極16bにそれぞれ第1ヒューズパターン18a及び第2ヒューズパターン18bが形成されていない点で異なる。
【0076】
従って、この第8コンデンサモジュール10Hは、
図12Bに示すように、平滑フィルタ部110における平滑コンデンサCaと外層ヒューズ30とが1つのセラミック基板12に一体化されて構成されることとなる。
【0077】
この第8コンデンサモジュール10Hにおいては、平滑コンデンサCaと外層ヒューズ30とを有する平滑フィルタ部110を1つのセラミック基板12に一体化して1チップとして構成することができるため、インバータ100のサイズの小型化、コストの低廉化、実装スペースの省スペース化を実現することができ、しかも、電子部品26への異常電流の流入を阻止することができる。
【0078】
次に、第9の実施の形態に係るコンデンサモジュール(以下、第9コンデンサモジュール10Iと記す)について
図13A及び
図13Bを参照しながら説明する。
【0079】
この第9コンデンサモジュール10Iの外観は、
図7Aに示す上述した第4コンデンサモジュール10Dと同じであるが、
図13Aに示すように、第1コンデンサ電極16a及び第2コンデンサ電極16bにそれぞれ第1ヒューズパターン18a及び第2ヒューズパターン18bが形成されていない点で異なる。
【0080】
この第9コンデンサモジュール10Iにおいても、
図13Bに示すように、平滑フィルタ部110における平滑コンデンサCaと外層ヒューズ30とが1つのセラミック基板12に一体化されて構成されることとなる。
【0081】
従って、この第9コンデンサモジュール10Iにおいても、平滑コンデンサCaと外層ヒューズ30とを有する平滑フィルタ部110を1つのセラミック基板12に一体化して1チップとして構成することができるため、インバータ100のサイズの小型化、コストの低廉化、実装スペースの省スペース化を実現することができ、しかも、電子部品26への異常電流の流入を阻止することができる。
【0082】
そして、第8コンデンサモジュール10H及び第9コンデンサモジュール10Iにおいて、上述した第5コンデンサモジュール10E(
図9A参照)や第6コンデンサモジュール10F(
図10参照)のように、セラミック基板12の上面12uに、放電抵抗Raを構成する抵抗体24を形成するようにしてもよい。また、上述した第7コンデンサモジュール10G(
図11A参照)のように、セラミック基板12の上面12uに電子部品26を実装するようにしてもよい。
【0083】
次に、上述した第1コンデンサモジュール10A〜第9コンデンサモジュール10Iにおける各種電極及びセラミック基板12の構成材料並びに抵抗体24の構成材料について説明する。なお、第1コンデンサモジュール10A〜第9コンデンサモジュール10Iを区別しないで称するときは、コンデンサモジュール10と記す。
【0084】
先ず、コンデンサモジュール10では、各種電極が形成された複数の誘電体層と、電極等を形成しない複数の誘電体層と、必要があれば、抵抗体24が形成された誘電体層とを積層して1つの積層体を構成し、この積層体を焼結して1つのコンデンサモジュール10とする。
【0085】
そして、各種電極の構成材料として銀(Ag)を用いる場合は、複数の誘電体層の構成材料として、1000℃以下の温度で焼結する例えばチタン酸バリウム系の誘電体磁器組成物を使用することが好ましい(特開2007−290940号公報参照)。これにより、抵抗体24の構成材料として実績のある酸化ルテニウム系(RnO
2)を用いることができる。
【0086】
このようなチタン酸バリウム系の誘電体磁器組成物を誘電体層の構成材料として使用することで、積層体を1000℃以下の温度で焼結が可能である。しかも、この誘電体磁器組成物は、鉛のような、環境に過度の負担を与えるような成分を含有させる必要がない上、焼結温度の低下のためのガラス成分を添加する必要もない。
【0087】
チタン酸バリウム系誘電体は、チタン酸バリウムを主成分とする誘電体を指す。具体的には、原料段階では、チタン酸バリウムの仮焼物であってよく、あるいは、焼結後にチタン酸バリウムを生成する酸化チタンと酸化バリウムとの混合物であってよい。
【0088】
なお、上述した各実施の形態において、抵抗体24の表面に保護用のオーバーコートガラスを形成するようにしてもよい。また、抵抗体24の抵抗値の精度向上のために、レーザートリミングを行うようにしてもよい。
【0089】
本発明に係るコンデンサモジュールは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。