(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0021】
図1〜
図3を参照して、本実施形態に係るスクリーン印刷装置1は、平面視略四角形の基台10と、この基台10上で、前後に移動自在となっている基板テーブル20とを備えている。なお以下の説明では、スクリーン印刷装置1の左右方向をX軸方向、前後方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向と仮に称する。
【0022】
基台10には、フレーム部材11が設けられている。フレーム部材11は、基台10の四隅に配置された支柱フレーム11aと、四隅の支柱フレーム11aの上部を連結するように設置されるとともに、Y軸方向でみて、互いに向き合って開くコ字状の上部フレーム11bとを有している。
【0023】
また、基台10には、
図3に示すように、基板テーブル20をY軸方向に移動させる移動機構15が設けられている。移動機構15は、回転軸がY軸方向に沿う駆動モータ15aと、この駆動モータ15aに駆動されるボールねじ機構15bとを備えている。ボールねじ機構15bは、Y軸方向に沿っており、その前部が、Yテーブル142の底面に固定されたスライドブロック140aに連結されている。スライドブロック140aは、基台10上においてY軸方向に延びる固定レール16によって、Y軸方向に沿い、往復移動可能とされている。そして、上記駆動モータ15aを作動させ、ボールねじ機構15bを回転駆動して上記スライドブロック140aをねじ送りすることにより、上記基板テーブル20を、基台10の中央部にマスククランプユニット50の直下に対応して設定される印刷位置から、基台10の一側方部(
図3の右側方部)に設定された基板搬送位置に、上記固定レール16に沿って移動させるように構成されている。
【0024】
基板テーブル20は、上端部にプリント基板WをX軸方向に移動可能な一対のコンベア251a、251bを有するコンベアユニット25を備えている。またスクリーン印刷装置は、基台10の右側面部に設けられ、印刷前のプリント基板Wを基板搬送位置に位置する基板テーブル20のコンベアユニット25に搬入する搬入コンベア31、31と、基台10の左側面部に設けられ、印刷済のプリント基板Wを基板搬送位置に位置する基板テーブル20のコンベアユニット25から受け取り、実装機等の下流機に搬出する搬出コンベア32、32と、スクリーン印刷装置全体を制御する制御ユニット40(
図5参照)とを備えている。基板テーブル20、搬入コンベア31、31、搬出コンベア32、32は、制御ユニット40の基板搬送
機構制御部43により、互いに連動するように駆動が制御される。
【0025】
なお、搬入コンベア31、31の間のY軸方向間隔、および搬出コンベア32、32の間のY軸方向間隔は不図示のそれぞれ独立のコンベア幅調整装置により可変とされ、コンベア251a、251bの間のY軸方向間隔は下記する通り可変とされており、印刷開始前の段取り工程においてプリント基板Wの幅に合わせて調整される。
【0026】
図3を参照して、基板テーブル20において、140は昇降装置である。昇降装置140は、Yテーブル142に対してX方向に移動可能に構成されているとともに、その上部に配置されたXテーブル141をZ軸方向に昇降可能、且つR軸周りに回動可能に構成されている。Xテーブル141の前後(Y軸方向)両端部には、一対のアーム部材161が設けられている。
【0027】
後側のアーム部材161は、Xテーブル141に固定されている。前側のアーム部材161は、Xテーブル141に対してY軸方向に沿って固定された固定レール164に連結されることで、Y軸方向にスライド可能に設けられている。各アーム部材161には、コンベア251a、251bがそれぞれ設けられて、対をなしている。本実施形態では、前側のアーム部材161のスライド量を調整することで、コンベア251a、251bのコンベア幅を調整し、各種のY軸方向基板幅の基板Wに対応可能としている。
【0028】
基板テーブル20は、両アーム部材161の中間においてXテーブル141上に設けられ、コンベアユニット25から基板Wを持ち上げて支持するバックアップ機構と、アーム部材161に設けられ、バックアップ機構によりリフトアップされた基板Wを、クランプ用モータ162の稼動により前後方向から挟み込んで固定するクランプ機構160、160とを備える。クランプ機構160、160はそれぞれ前後のアーム部材161、161に設けられるので、基板WのY軸方向基板幅によらず基板Wを正確にクランプ可能としている。
【0029】
バックアップ機構は、所定配列の複数本のバックアップピン151を備え、且つボールネジ機構等を介して上記Xテーブル141上に昇降可能に支持されるバックアップテーブル150と、ボールネジ機構等の駆動用のモータ152等とを含んでいる。
【0030】
なお、印刷工程では、昇降装置140によりXテーブル141を上昇させることで、クランプ機構によりコンベアユニット25から持ち上げられてクランプ部材160にクランプされた状態の基板Wを、後記マスクシート51に重装するようになっている。
【0031】
上記基板テーブル20の上方には、マスククランプユニット50が設けられている。マスククランプユニット50は、マスクシート51を基台10に固定されたフレーム部材11に着脱自在に固定するものである。マスクシート51は、オペレータの操作によって、マスク枠(マスクフレーム)52の下面側に貼り付けられた薄板状のステンシルであり、上部フレーム11bに取り付けられたマスク枠52により全周が保持されるものである。マスクシート51の中央部には、はんだを通す開口部(印刷用パターン孔)が形成されているとともに、マスクシート51の開口部の前後両外方部は、はんだ溜Sdを載置可能な前側非開口部と、後側非開口部とされている。
【0032】
マスクシート51の上方位置には、はんだ供給ユニット60と印刷ヘッド704とが配置されている。はんだ供給ユニット60は、制御ユニット40のはんだ供給制御部44からの制御指令に応じてはんだ供給ユニット60の各部が作動することでマスクシート51上にはんだを補充する。また、印刷ヘッド704は、制御ユニット40の印刷制御部45(
図5参照)からの駆動指令に応じて、スキージ702を使ってマスクシート51上のはんだ(はんだ溜Sd)をマスクシート51上において掻きながら移動させる。この印刷ヘッド704の動作により、マスクシート51に設けた開口部を介してはんだがプリント基板Wの上面に印刷される。なお、印刷実行部70とは、印刷が実行される基台10上における部位をいい、この部位には、印刷実行に係わるマスクシート51、印刷ヘッド704が配置される。はんだ供給ユニット60、印刷実行部70の構成および動作に詳細については後で詳述する。
【0033】
図2を参照して、この本実施形態では、プリント基板Wの複数のフィデューシャルマーク等を撮像するための基板カメラ81が、上部フレーム11bに固定されたビーム12に沿ってX軸方向に移動自在に取り付けられている。また、基板テーブル20は、マスクカメラ82を備えている。マスクカメラ82は、マスクシート51裏面の複数のフィデューシャルマーク(図示せず)を撮像してマスクシート51の位置や種類等を識別するため、X軸方向に移動される。基板テーブル20がY軸方向に移動自在であることにより、基板カメラ81、マスクカメラ82はそれぞれ、X軸方向、Y軸方向に離間した複数のフィデューシャルマーク等を撮像し、それらの位置認識が可能になる。
【0034】
さらに、上記基台10上には、基板テーブル20のY軸方向の前側に、クリーニングユニット90が設置されている。基台10には、伸長レール16aが、上記固定レール16に連設されている。伸長レール16aは、クリーニングユニット90を、上記印刷位置に対応する中央のクリーニング位置から、基台10の前方に設けられた
図3の実線で示す待機位置、およびそのさらに前方(外側)に設けられた
図3の仮想線(
図1参照)で示す保守位置に案内するものである。さらに、上記クリーニングユニット90の待機位置に臨む基台10の前部には、開閉扉91が設けられるとともに、上記待機位置の下部近傍には、洗浄剤の洗浄剤供給ユニット100が設けられている。なお、
図3は、基台10の外観と、紙面手前の不図示のパネルを外した状態での昇降装置140およびクリーニングユニット90の外観と、プリント基板W、マスクシート51および印刷実行部70等の断面とを、それぞれ図示した略図である。
【0035】
図3を参照して、上記クリーニングユニット90には、クリーニングヘッド120が支持板121上に設置されるとともに、その側方には洗浄剤の不図示の吹付ノズルが設けられている。クリーニングヘッド120には、図外のブロア等からなる吸引手段に接続され、かつ長手方向に延びるスリット90Aからなる吸引口が上面に形成されている。また、上記クリーニングユニット90には、クリーニングシートとしてのクリーニングペーパ123がロール状に巻き付けられることにより形成されたクリーニングロール124と、このクリーニングロール124から繰り出されて上記クリーニングヘッド120の上面に張設されたクリーニングペーパ123を巻き取る巻取ローラ125と、この巻取ローラ125を回転駆動するサーボモータ等からなる駆動モータ126とが配設されている。
【0036】
また、上記クリーニングユニット90の底部には、連結ロッド127を有する連結シリンダ128が設けられ、この連結シリンダ128と、上記プリント基板Wの基板テーブル20に設けられた連結プレート129とにより、上記基板テーブル20とクリーニングユニット90とを係脱可能に連結する連結手段が構成されている。上記連結シリンダ128により連結ロッド127が駆動されて、その先端部が、上記連結プレート129に形成された係合孔130内に挿入されることにより、上記基板テーブル20とクリーニングユニット90とが一体に連結されるようになっている。
【0037】
クリーニングユニット90には、クリーニングヘッド120を昇降する不図示の昇降装置が配置されており、クリーニング時に、クリーニングヘッド120を上昇させマスクシート51裏面に押し当るようにしている。
【0038】
上記洗浄剤の洗浄剤供給ユニット100は、基台10の前側部に取り付けられ、前部に開閉扉が設けられたケーシング101を備えており、このケーシング101内に洗浄剤を貯留するボトル110が収納されている。ボトル110は頂部にキャップ111が着脱可能に取り付けられており、キャップ111には、可撓性パイプからなる供給管112が接続されている。ボトル110内の洗浄剤がこの供給管112からポンプ113によって吸引され、上記吹付ノズルに洗浄剤が供給されるように構成されている。
【0039】
洗浄剤の残量が少なくなった場合には、上記開閉扉を開き、ボトル110のキャップ111を取り外し、洗浄剤の残量の少なくなったボトル110を取り出し、洗浄剤を十分貯留するボトル110を取り付けることが実施される。
【0040】
次に、はんだ供給ユニット60の構成および動作について説明する。
【0041】
図1及び
図3を参照して、はんだ供給ユニット60は、はんだ収納容器601と、下端部にはんだ収納容器に貯留されたはんだを、マスクシート51の表面に吐出するはんだ吐出口602と、ユニット本体603を備える。このユニット本体603は、はんだ収納容器601からはんだ吐出口602にはんだを供給する不図示のポンプと、このポンプを駆動する不図示の吐出モータと、吐出モータを停止した後もはんだ吐出口602からはんだが後垂れするのを防止するため、はんだ吐出口602を開閉する電動の不図示の吐出口開閉弁とを有する。はんだ供給ユニット60は、はんだ収納容器601と吐出口602とユニット本体603を支持する不図示のフレームを、不図示のX軸方向フレーム部材に沿ってX軸方向に移動駆動するX軸駆動モータ604(
図5)を備える。X軸方向フレーム部材は、一対の固定レール18に沿ってY軸方向に移動可能とされるとともに、後述する印刷ヘッド704と連結されており、印刷ヘッド704と一体となってY軸方向に移動する。制御ユニット40は、はんだ供給ユニット60のX軸駆動モータ604、印刷ヘッド704をY軸方向に駆動するヘッド用Y軸駆動モータ710、吐出モータおよび吐出口開閉弁を制御し、所定のタイミングでマスクシート51の表面のX軸方向およびY軸方向の所定の位置に、所定量のはんだを吐出供給するはんだ供給制御部44を備えている。
【0042】
次に、印刷実行部70に配置された印刷ヘッド704等の構成および動作について説明する。
【0043】
まず
図3を参照して、印刷実行部70には、印刷ヘッド704が配置されている。本実施形態では、印刷ヘッド704として、例えば特開2007−136960号公報に記載されているように、X軸方向に延びる単一のスキージ(シングルスキージ)702(
図4、
図7参照)を備えたものが用いられている。具体的には次の通りである。
【0044】
図4も参照して、印刷ヘッド704は、一対の固定レール18に沿ってY軸方向に移動可能に横架され、サーボモータからなるヘッド用Y軸駆動モータ710(
図5)によりY軸方向に移動駆動されるヘッド支持部材708と、このヘッド支持部材708に固定されるメインフレーム714と、このメインフレーム714に対してZ軸方向に移動可能に支持され、サーボモータからなるヘッド用Z軸駆動モータ710(
図5)によりZ軸方向に移動駆動されるとともに、メインフレーム714の下側に延びるスライド支柱716と、このスライド支柱716の下側にロードセル等の荷重センサ720を介して設けられる支持板718と、この支持板718の下部(下面)に設けられた一対の垂下部724と、この垂下部724をY軸方向に貫通する第1支持軸726と、垂下部724間に配置されて、第1支持軸726に回動自在に支持されるサブフレーム722と、このサブフレーム722に担持されるユニット組付部728とを備えている。
【0045】
ユニット組付部728は、上記サブフレーム722と、このサブフレーム722に一体に組付けられたギアボックス732と、ギアボックス732に取り付けられたスキージ回動用モータ736と(
図5参照)、サブフレーム722の下端部において、サブフレーム722を貫通しX軸方向に延びて回動可能に支持される第2支持軸734と、第2支持軸734に両端部において固定されるスキージ支持ユニット730と、スキージ支持ユニット730に脱着可能に取り付けられたスキージ組立体738とからなる。
【0046】
ギアボックス732には、不図示の入力軸と出力軸、およびの入力軸と出力軸を連結する不図示の減速歯車列が設けられており、スキージ回動用モータ736の不図示の出力軸は前記入力軸に連結される。ギアボックス732の前記出力軸と、前記第2支持軸734にはそれぞれ歯付きプーリが固定されており、両歯付きプーリの間に歯付きベルトが掛け渡されている。
【0047】
スキージ組立体738は、スキージ702とこれを保持するスキージホルダ740と、スキージホルダ740の両端部において回動可能に取り付けられた横漏れ防止板744から構成されており、スキージホルダ740がスキージ支持ユニット730に、各ねじ軸にノブの付いたナット部材742で螺合装着される。
【0048】
スキージ回動用モータ736の駆動により、第2支持軸734、スキージ支持ユニット730、スキージ組立体738を一体として回動させ、スキージ702によりマスクを介して押圧する基板とスキージ702の作業面702aとの間のスキージ702の進行方向側の角度(アタック角)を、90度以下の所定の角度に設定することができる。スキージ702をY軸方向前側から後側に移動させて印刷する往路印刷工程、
図3に示すようにスキージ組立体738を前側に傾斜させた状態でY軸方向後側から前側に移動させて印刷する復路印刷工程共に同一の作業面702aを使って、スキージ702の進行方向の半田を掻き取ることができる。
【0049】
横漏れ防止板744は、印刷中、スキージ702からX軸方向外方にはんだが横洩れするのを防止する。
【0050】
詳しくは後述するように、往路印刷工程、復路印刷工程の間、制御ユニット40の印刷制御部45は、荷重センサ720の検知荷重を目標とする印刷荷重(スキージ702がマスクシート51を介してプリント基板Wやクランプ片を押す荷重)に一致させるべく、メインフレーム714に対してスライド支柱716をZ軸方向に移動可能とするヘッド用Z軸駆動モータ712をフィードバック制御する。
【0051】
なお、スキージ回動用モータ736の下面には、下方のマスクシート51の表面においてスキージ702により掻き寄せられ、滞留するはんだ溜まりを検出するはんだセンサSCが取り付けられている。そして、はんだセンサSCによるはんだ溜まりの測定結果を示す信号が入出力制御部47に入力される。このように本実施形態では、センサSCが本発明の「はんだ量測定手段」として機能している。
【0052】
図5を参照して、制御ユニット40は、演算処理部41と、プログラム記憶部42と、基板搬送機構制御部43と、はんだ供給制御部44と、印刷制御部45とを有している。演算処理部41は、CPU等により構成されており、プログラム記憶部42に予め記憶されている印刷プログラムにしたがってスクリーン印刷装置1の各部を制御して印刷を繰り返して行う。詳しくは後述するように、プログラム記憶部42に記憶されているプログラムには、各種消耗品(クリーニングペーパ123、洗浄剤、はんだ)の残量を管理するためのプログラムが含まれており、このプログラムによって、印刷実行部70の印刷回数Npをカウントする印刷回数カウント部と、印刷回数カウント部がカウントした印刷回数Npに基づいて、クリーニングペーパ123、洗浄剤、はんだの各残量Pq、Lq、Sqを更新する更新部とを機能的に構成するようになっている。
【0053】
また、基板搬送機構制御部43は、基板テーブル20に組み込まれた各種モータやエアシリンダなどのアクチュエータを制御して、コンベア251a、251bによるプリント基板Wの搬入および搬出、マスクシート51に対するプリント基板Wの位置決めなどを行う。また、はんだ供給制御部44は、次に詳述するように、はんだ供給ユニット60を制御してマスクシート51へのはんだの供給を行う。さらに、印刷制御部45は、印刷ヘッド704を介して、スキージ702の動作を制御する。なお、同図中の符号46は、予測結果報知手段としての表示/操作ユニットである。周知のように、表示/操作ユニット46は、ディスプレイや、キーボード等のポインティングディバイスを備えており、印刷プログラムやエラーメッセージ、或いは、後述する印刷実行可能枚数Q(P)、Q(L)、Q(S)、印刷実行可能時間等をディスプレイに表示する機能や、或いは、表示された情報に基づき、作業者が制御ユニット40に対して各種データや指令などの情報を入力するために操作することのできる機能を備えている。また、符号47は入出力制御部であり、マスクシート51上のはんだを検出するはんだセンサなどの検出結果を受け取り、演算処理部41に与える。符号48は、データ記憶部である。データ記憶部48には、上述した各部の制御に必要なデータが記憶されているとともに、印刷品質を確保することのできる限界はんだ量、後述する準備工程においてマスクシート51上にはんだを供給するための初期はんだ吐出量、一回の印刷で消費されるはんだ減少量、はんだ量測定工程において測定されたはんだ量、はんだ量に基づいて算出されたはんだ残量等が記憶されるように構成されている。
【0054】
さらに、本実施形態に係る制御ユニット40は、クリーニングユニット90が消費する消耗品(クリーニングペーパ123、洗浄剤)の残量を印刷実行部の稼働前に取得する残量取得手段、残量取得手段が取得した残量に基づいて、各消耗品
としてのクリーニングペーパ
123、洗浄剤、はんだにそれぞれ係わる印刷実行可能枚数Q(P)、Q(L)、Q(S)を予測する処理可能回数予測手段、処理可能回数予測手段の予測結果を報知する予測結果報知手段、処理可能回数予測手段が予測した印刷実行可能枚数Q(P)、Q(L)、Q(S)が、一ロット当たりに生産されるプリント基板Wの生産数に達するか否かを判定する判定手段、或いは、判定部の判定結果に基づいて、必要な情報をユーザに報知する判定結果報知手段を構成している。
【0055】
これらの機能は、消耗品の残量Pq、Lq、Sqに基づいて、印刷実行可能枚数Q(P)、Q(L)、Q(S)を予測したり、或いは、一ロット当たりに必要な消耗品の残量を充足しているか否かを判定するためのものであり、かかる機能を奏することによって、可及的にスクリーン印刷装置1の稼働率を高めることが可能となるのである。
【0056】
以下、この機能について、詳述する。なお、以下の説明では、各消耗品をP(クリーニングペーパ123)、L(洗浄剤)、S(はんだ)で識別することとする。例えば、以下に説明する印刷実行可能枚数は、基準となる消耗品によってそれぞれ異なるので、クリーニングペーパ
123に基づく印刷実行可能枚数は、Q(P)と、洗浄剤に基づく印刷実行可能枚数は、Q(L)と、はんだに基づく印刷実行可能枚数は、Q(S)と、それぞれ表記する。
【0057】
まず、クリーニングユニット90の消耗品に関して説明する。
【0058】
クリーニングユニット90は、印刷したプリント基板Wが所定の枚数に達するたびに、クリーニングヘッド120等を作動し、マスクシート51の裏面をクリーニングする。このプリント基板Wの印刷枚数(処理枚数)を基準とする単位の動作を「清浄動作」または単に「クリーニング」という。
【0059】
クリーニングペーパ123は、クリーニングロール124の装填によって、供給され、クリーニングロール124から繰り出されて消費される。新品のクリーニングロール124のクリーニングに使用し得る部分の全長は、新品のときの量としてPnewで表記する。
【0060】
本実施形態のクリーニングユニット90は、いわゆる乾式クリーニングと湿式クリーニングとを交互に実行可能に構成されている。これは、清浄動作の度に湿式クリーニングを実行すると、マスクシート51の裏面に洗浄剤が過剰に付着してしまい、印刷品質の低下や、マスクシート51の寿命に影響を与える恐れがあるからである。
【0061】
図6を参照して、好ましい印刷態様として、例えば、最初の印刷動作から4枚置きに、洗浄剤を用いて行われる「湿式クリーニング」が実行され、湿式クリーニングを実行したタイミングから2枚置いた後に、洗浄剤を用いることなく行われる「乾式クリーニング」が実行される。
【0062】
図6に示した「4枚置き」における枚数とは、湿式クリーニングと次の湿式クリーニングの間において印刷されるプリント基板Wの枚数を示している。ここで、このプリント基板W4枚を便宜的に
湿式クリーニングの実行間隔と呼び、I(w)で表す。同様に、図中の「2枚置き」における枚数とは、湿式クリーニングと次の乾式クリーニングの間において印刷されるプリント基板Wの枚数を示している。ここで、このプリント基板W2枚を同じく便宜的に
乾式クリーニングの実行間隔と呼び、I(d)で表す。また、ある湿式クリーニングの終了のタイミングから次の湿式クリーニングの終了のタイミングまでを一クリーニングサイクルという。
【0063】
クリーニングユニット90の制約条件として、I(d)<I(w)としている。すなわち、湿式クリーニングと湿式クリーニングの間に乾式クリーニングを実施するようにしている。
【0064】
次に、乾式クリーニングも、湿式クリーニングも、一回の清浄動作で複数の拭取動作を実行する場合がある。「拭取動作」は、クリーニングヘッド120がY軸方向に沿って一方から他方に移動するときの動作を一回とする動作である。拭取動作の回数を拭取回数としてWPで表す。
【0065】
本実施形態では、一回の清浄動作で、一往復分(WP=2回)の拭取動作が実行されるとともに、湿式クリーニングと湿式クリーニングの間に、必ず一回の乾式クリーニングが実施されている。クリーニングペーパ123について、一回の拭取動作に要する量(乾式クリーニングにおいてWPqd、湿式クリーニングにおいてWPqw:以下、これらWPqd、WPqwを「消費量」ともいう)は、駆動モータ126の制御によって決定される既知の値である。同様に、洗浄剤について、一回の拭取動作に要する量(乾式クリーニングにおいては0、湿式クリーニングにおいてWLqw)は、吹付ノズル122の使用等によって決定される既知の値である。
【0066】
クリーニングペーパ123の残量Pqは、クリーニングロール124に残っているクリーニングペーパ123の長さ(mm)で表される。
【0067】
本実施形態においては、クリーニングペーパ123の残量Pqは、制御ユニット40の演算によって計算される。
【0068】
演算方法としては、種々の態様を取ることが可能である。本実施形態では、センサに依らず、湿式クリーニングの清浄動作の回数(クリーニングカウント回数)N(C)に基づいて、残量Pqを推定する方法を採用している。
【0069】
例えば、新品のクリーニングロール124を装填してから実行された湿式クリーニングの清浄動作の回数N(C)(拭取動作の回数は往復分で2N(C)となる)をカウントし、
Pq=Pnew−(WPqd+WPqw)×2N(C) ・・・(1)
で残量Pqを演算することが可能である。
【0070】
また、センサ等を用いて、クリーニングを実行する前の残量を検知できる場合には、その残量から消費量を再帰的に更新するようにしてもよい。
【0071】
さらに、新品のクリーニングロールで使用可能な湿式クリーニングの清浄動作の回数N(PNewC)が既知である場合には、
Pq=2×(WPqd+WPqw)×(N(PNewC)−N(C))・・・(2)
で演算してもよい。
【0072】
このような演算により、制御ユニット40は、クリーニングユニット90が消費する消耗品としてのクリーニングペーパ123の残量を印刷実行部の稼働前に取得する残量取得手段を構成する。
【0073】
次に、クリーニングペーパ123の残量Pqに基づいて、当該残量Pqでの印刷実行可能枚数Q(P)を演算する場合について説明する。
【0074】
クリーニングペーパ123のある残量Pqでの印刷実行可能枚数Q(P)が求まれば、ユーザは、クリーニングロール124をスクリーン印刷装置1の稼動前に交換すべきかどうかを判定することが可能となる。そこで、本実施形態では、クリーニングペーパ123の残量Pqでの印刷実行可能枚数Q(P)を演算するプログラムが実行されるように構成されている。
【0075】
湿式クリーニングの一クリーニングサイクル中には、湿式クリーニングおよび乾式クリーニングがそれぞれ1回実施されており、一クリーニングサイクル中の清浄動作において消費されるクリーニングペーパ123の長さは、2×(WPqd+WPqw)となる。
【0076】
ここで、便宜的に
図6の期間a1(湿式クリーニングを実施した直後から最初のプリント基板の印刷開始までの期間)における残量Pqが、演算により求められたとする。この残量Pqに基づいて
Pq/2×(WPqd+WPqw) ・・・(3)
を演算し、商と余りを求めて商がA、余りがBとなる場合、少なくともA×I(w)枚は印刷実行可能である。この商Aが、湿式クリーニングから次の湿式クリーニングまでを一クリーニングサイクルとして、一ロット(生産予定枚数N)内で実行されるべき湿式クリーニングの回数uN(P)となる。この場合、B<2×WPqdの場合は、A×I(w)枚の印刷を終えて実施される湿式クリーニング後、乾式クリーニングを行うことができないので、最後の湿式クリーニングの後、さらに印刷実行可能な枚数はI(d)となる。すなわち、印刷実行可能枚数Q(P)は、
Q(P)=A×I(w)+I(d) ・・・(4)
となる。一方、B>2×WPqdの場合は、最後の湿式クリーニングの後、さらに乾式クリーニングを行うことができるとともに、次の湿式クリーニングの前までプリント基板Wへの印刷も可能である。従って、印刷実行可能枚数Q(P)は、
Q(P)=A×I(w)+I(w)
=(A+1)×I(w) ・・・(5)
となる。
【0077】
次に
図6の期間a2における残量Pqが、演算により求められたとする。この期間中においては、プリント基板Wへ印刷中あるいは印刷後であり、この期間におけるプリント基板Wは、印刷実行可能な枚数には加えないとする。同じく式(3)
Pq/2×(WPqd+WPqw)
を演算し、商がA、余りがBとなる場合、最初の1枚は印刷実行可能な枚数には加えないので、少なくとも{A×I(w)−1}枚は印刷実行可能である。この場合、B<2WPqdの場合は、最後の湿式クリーニング後、さらに印刷実行可能な枚数はI(d)となるので、印刷実行可能枚数Q(P)は、
Q(P)=A×I(w)+I(d)−1 ・・・(6)
となる。一方、B>2WPqdの場合、印刷実行可能枚数Q(P)は、
Q(P)={A×I(w)−1}+I(w)
=(A+1)×I(w)−1 ・・・(7)
となる。
【0078】
次に
図6の期間a3における残量Pqが、演算により求められたとする。この場合、印刷実行可能枚数Q(P)は、式(3)の余りBの大きさにより、B<2WPqdの場合、印刷実行可能枚数Q(P)は、
Q(P)=A×I(w)+I(d)−2 ・・・(8)
となり、B>2WPqdの場合、印刷実行可能枚数Q(P)は、
Q(P)=(A+1)×I(w)−2 ・・・(9)
となる。
【0079】
次に
図6の期間a4における残量Pqが、演算により求められたとする。この場合は、最初の1クリーニングサイクルにおいて、既に乾式クリーニングを終えており、少なくとも最初の湿式クリーニングまでの2枚は印刷可能である一方、最初の湿式クリーニングに2×WPqwを使用する。従って、Pq<2×WPqwであれば、湿式クリーニングはできず、印刷実行可能枚数は2枚となる。一方、Pq>2WPqwであれば、最初の湿式クリーニングで2WPqw消費し、以降は次の湿式クリーニングまで1クリーニングサイクルごとに2×(WPqd+WPqw)消費することになる。そこで、
(Pq−2WPqw)/2×(WPqd+WPqw) ・・・(10)
を演算し、商と余りを求める。式(10)において、商がA、余りがBとなる場合、最初の湿式クリーニングまでの印刷枚数2を加え、少なくとも{A×I(w)+2}枚は印刷実行可能である。さらに、B<2WPqdの場合は、式(5)の場合と同様に、最後の湿式クリーニング後に乾式クリーニングはできず、さらに印刷実行可能枚数はI(d)となるので、印刷実行可能枚数Q(P)は
Q(P)=A×I(w)+I(d)+2 ・・・(11)
となる。一方、B>2WPqdの場合、印刷実行可能枚数Q(P)は、
Q(P)={A×I(w)+2}+I(w)
=(A+1)×I(w)+2 ・・・(12)
となる。
【0080】
次に
図6の期間a5における残量Pqが、演算により求められたとする。
この期間中において、プリント基板Wへ印刷中あるいは印刷後であり、この期間におけるプリント基板Wは、印刷実行可能な枚数には加えないとする。期間a4における残量Pqが求められた場合と同様に、Pq<2WPqwであれば湿式クリーニングはできず、印刷実行可能枚数は1枚となる。Pq>2WPqwであれば式(10)
(Pq−2WPqw)/2×(WPqd+WPqw)
を演算し、商と余りを求める。商がA、余りがBとなる場合、最初の湿式クリーニングまでの印刷枚数1を加えるので、少なくとも{A×I(w)+1}枚は印刷実行可能である。この場合、B<2WPqdの場合は、湿式クリーニング後に乾式クリーニングはできず、さらに印刷実行可能な枚数はI(d)となるので、印刷実行可能枚数Q(P)は
Q(P)=A×I(w)+I(d)+1 ・・・(13)
となる。一方、B>2WPqdの場合は、印刷実行可能枚数Q(P)は、
Q(P)={A×I(w)+1}+I(w)
=(A+1)×I(w)+1 ・・・(14)
となる。
【0081】
次に
図6の期間a6における残量Pqが、演算により求められたとする。
【0082】
この期間中においてプリント基板Wへ印刷中あるいは印刷後であり、この期間におけるプリント基板Wは、印刷実行可能な枚数には加えないとする。期間a4における残量Pqが求められた場合と同様に、Pq<2WPqwであれば湿式クリーニングはできず、印刷実行可能枚数は0枚となる。Pq>2WPqwであれば式(10)
(Pq−2WPqw)/2×(WPqd+WPqw)
を演算して商と余りを求める。商がA、余りがBとなる場合、最初の湿式クリーニングまでの印刷枚数1を加え、少なくともA×I(w)枚は印刷実行可能である。この場合、B<2WPqdの場合は、湿式クリーニング後に乾式クリーニングはできず、さらに印刷実行可能な枚数はI(d)となるので、印刷実行可能枚数Q(P)は、
Q(P)=A×I(w)+I(d) ・・・(15)
となる。一方、B>2WPqdの場合、印刷実行可能枚数Q(P)は、
Q(P)=A×I(w)+I(w) ・・・(16)
となる。
【0083】
これにより、制御ユニット40は、残量取得手段が取得したクリーニングペーパ123の残量に基づいて、印刷実行可能枚数Q(P)を予測する処理可能回数予測手段、処理可能回数予測手段の予測結果を報知する予測結果報知手段として機能することができる。
【0084】
さらに、演算された印刷実行可能枚数Q(P)が、一ロットで生産されるプリント基板Wの生産予定枚数Nに達しているか否かを判定し、その判定結果に基づいて、ユーザに必要な情報を表示/操作ユニット46に表示するように構成されている。
【0086】
洗浄剤は、ボトル110から汲み上げられることによって消費される。本実施形態では、基本的に、ボトル110の全容量が新品のとき、その内クリーニングに使用し得る量として、Lnewで表記される。
【0087】
ボトル110の全容量が新品のときの湿式クリーニングの清浄動作可能回数N(BnewC)(拭取動作の回数は往復分で2N(BnewC)となる)が既知である場合には、一回の湿式クリーニングにおける拭取動作に消費する量をWLqwとすると、洗浄剤の残量Lqは、クリーニングペーパ123の場合の上掲の式(3)(4)と同様に、
Lq=Lnew−WLqw×2N(C) ・・・(17)
Lq=2WLqw×(N(BnewC)−N(C)) ・・・(18)
で演算することができる。但し、ボトル110の利用態様としては、空になったボトル110を新品のボトル110と交換するばかりでなく、同一のボトル110に洗浄剤のみを補充する態様であってもよい。その場合には、ボトル110の残量をセンサで検出し、再帰的に更新するようにしてもよい。
【0088】
洗浄剤は、湿式クリーニングの場合にしか、使用されない。また、一回の拭取動作に要する量WLqwは、既知である。従って、ある残量Lqでの印刷実行可能枚数Q(L)は、以下のように求めることができる。
【0089】
便宜的に
図6の期間a1(湿式クリーニングを実施した直から最初のプリント基板の印刷開始までの期間)における残量Lqが、演算により求められたとする。この残量Lqに基づいて、
Lq/2WLqw ・・・(19)
を演算し、商がC、余りがDとなる場合、少なくともC×I(w)枚は印刷実行可能であり、最後の湿式クリーニングの後、さらに印刷実行可能な枚数はI(w)となるので、印刷実行可能枚数Q(L)は、
Q(L)=(C+1)×I(w) ・・・(20)
となる。
【0090】
次に
図6の期間a2における残量Lqが、演算により求められたとする。この期間中においてプリント基板Wへ印刷中あるいは印刷後であり、この期間におけるプリント基板Wは、印刷実行可能な枚数には加えないとする。式(19)により、商がC、余りがDとなる場合、最初の1枚は印刷実行可能な枚数には加えないので、少なくとも{C×I(w)−1}枚は印刷実行可能であり、最後の湿式クリーニングの後、さらに印刷実行可能な枚数はI(w)となる。従って、印刷実行可能枚数Q(L)は、
Q(L)={C×I(w)−1}+I(w)
=(C+1)×I(w)−1 ・・・(21)
となる。
【0091】
次に
図6の期間a3、乾式クリーニング中、および期間a4における残量Lqが、演算により求められたとする。これらの期間中においては、式(19)により、商がC、余りがDとなる場合、印刷実行可能枚数Q(L)は、
Q(L)=(C+1)×I(w)−2 ・・・(22)
となる。
【0092】
次に
図6の期間a5における残量Pqが、演算により求められたとする。この期間中では、プリント基板Wへ印刷中あるいは印刷後であり、この期間におけるプリント基板Wは、印刷実行可能な枚数には加えないとする。この期間において、式(19)により、商がC、余りがDとなる場合、印刷実行可能枚数Q(L)は、
Q(L)=(C+1)×I(w)−3 ・・・(23)
となる。
【0093】
次に
図6の期間a6における残量Lqが、演算により求められたとする。この期間中では、プリント基板Wへ印刷中あるいは印刷後であり、この期間におけるプリント基板Wは、印刷実行可能な枚数には加えないとする。この期間において、式(19)により、商がC、余りがDとなる場合、印刷実行可能枚数Q(L)は、
Q(L)=(C+1)×I(w)−4 ・・・(24)
となる。
【0094】
次に、はんだ供給ユニット60の不図示のはんだ収納容器のはんだ容量については、新品のときの量をSnew0とし、印刷動作ごとの消費量を不図示の吐出モータの駆動量等で計量することによって、印刷実行可能枚数Q(S)を演算することが可能となる。
【0095】
一方、はんだ溜Sdについては、はんだ供給装置60によって、最初にマスクシート51上に供給され、試し刷りを含む段取り作業の後、印刷開始前のはんだ溜Sdのはんだ量をMnewとし、後述するはんだ溜チェック処理サブルーチンにおいて、補給される量をS(M)とする。
【0096】
はんだ収納容器から最初にマスクシート51上に供給されたはんだは、複数回の印刷によりスキージ702よりX軸方向に広げられるとともにY軸方向にまとめられ、
図7に示すようにマスクシート51の上において、X軸方向でみて、概ね半円形断面のかまぼこ状となる。このかまぼこ状のはんだ溜Sdの長さは、両側を横漏れ防止板744で挟まれたスキージ702の長さXsとなる。従って、印刷後の所定タイミングで、センサSCによって、はんだ溜Sdの各Y軸方向位置におけるはんだ高さを検出し、かまぼこ状の断面積とX軸方向の長さXsの積からはんだ溜Sdの残量Mqを演算することができる。
【0097】
はんだ溜Sdの残量Mqが分かれば、後は、印刷動作ごとの消費量Wsから印刷実行可能枚数Q(S)を演算することが可能となる。
【0098】
また、各消耗品P、S、Lでの印刷実行可能枚数Q(P)、Q(L)、Q(S)、Q(M)が分かれば、これらにそれぞれの単位時間を乗じることによって、印刷実行可能時間T(P)、T(L)、T(S)、T(M)を演算することも可能となる。
【0099】
次に、本実施形態に係るスクリーン印刷装置1の動作について説明する。
【0100】
上記のように構成されたスクリーン印刷装置1では、印刷開始前の段取り工程において搬入コンベア31、31の間のY軸方向間隔、コンベア251a、251bの間のY軸方向間隔、および搬出コンベア32、32の間のY軸方向間隔がプリント基板Wの幅に合わせて調整される。また、オペレータにより新たなマスクシート51の貼り付けられたマスク枠52が、マスククランプユニット50でフレーム部材11に固定配置される。また、所望のスキージ702が組み付けられたスキージホルダ740が、ユニット組付部728に組み付けられる。さらに、マスク上に供給されたはんだがX軸方向に広げるべく試し刷り用基板状板に試し刷りが段取りとして実施される。マスクシート51の表面には、データ記憶部48に記憶された初期はんだ吐出量、すなわち、はんだ供給ユニット60から供給されたはんだ量Mnew0から、試し刷りにより消費された分とスキージ702に付着し印刷に利用できない分の残りのはんだにより、マスク表面上にはんだ溜Sdが形成される。この残りのはんだ量がMnewとなる。新品のはんだ収納容器のはんだ容量Snew0から試し刷りにより消費された分と、スキージ702に付着し印刷に利用できない分のはんだ量を差し引いたはんだ量が、実際に印刷に利用できるはんだ量であり、改めてはんだ容量Snewという。はんだ容量Snewは、新品のときの量をSnew0から試し刷りにより消費された分等を差し引いて求めることができる。試し刷りにより消費された分と、スキージ702に付着し印刷に利用できない分の合計のはんだ量は、初期はんだ吐出量Mnew0から、試し刷り後にマスクシート51上に形成される初期のはんだ溜SdをセンサSCにより計測して得られるはんだ量Mnewを差し引いて求めることができる。
【0101】
こうして、印刷準備工程が完了すると、演算処理部41がプログラム記憶部42に予め記憶されている印刷プログラムにしたがってスクリーン印刷装置各部を制御して往路印刷工程と復路印刷工程とを交互に切り替えて実行する。
【0102】
図8を参照して、スクリーン印刷装置1が稼動すると、まず、制御ユニット40は、生産情報の読み取り工程を実行する(ステップS1)。この読み取り工程で読み取られる情報には、生産予定枚数N、はんだ情報(新品のカートリッジのはんだ容量Snew、印刷開始直前の初期のはんだ溜Sdのはんだ量Mnew、はんだ残量Sq、基板1枚印刷あたりのはんだ消費量W(S)、等)、ペーパ情報(新品のクリーニングロール124の全長Pnew、クリーニンペーパの残量長さPq、乾式クリーニングにおいて一回の拭取動作に要するクリーニンペーパ長さWPqd、湿式クリーニングにおいて一回の拭取動作に要するクリーニンペーパ長さWPqw等)、洗浄剤情報(ボトル110の全容量が新品のときの洗浄剤量Lnew、洗浄剤の残量Lq、一回の湿式クリーニングにおける拭取動作に消費する洗浄剤量をWLqw等)、湿式クリーニングの清浄動作の回数N(C)、実行間隔(I(d)、I(w))等が含まれる。
【0103】
次に、制御ユニット40は、印刷回数Npを0に初期化する(ステップS2)。ここで、この印刷回数は、生産実績回数とは、異なっている。生産実績回数は、全ての印刷回数のうち、不良品の数を差し引いたものであるが、本実施形態では、残量検知を実行するに当たり、(不良品の場合を含む)全ての印刷回数を制御のパラメータとしている。なお、生産実績回数の管理自体は、公知であるので、以下の説明では、生産実績回数に関する説明は、省略する。
【0104】
次いで、制御ユニットは、生産前消耗品残量チェックサブルーチンS3を実行する。この生産前消耗品残量チェックサブルーチンS3により、クリーニングペーパ123、洗浄剤、はんだごとに、印刷実行可能枚数Q(P)、Q(L)、Q(S)が、また、必要であれば、印刷実行可能時間T(P)、T(L)、T(S)が演算される。さらに、本実施形態では、この生産前消耗品残量チェックサブルーチンS3において、一ロット当たりに必要な消耗品の残量を充足しているか否かが判定されることになる。
【0105】
その後、プリント基板Wは、プリント基板Wが搬入コンベア31から搬入され、基板テーブル20上で、印刷可能な状態でクランプされる(ステップS4)。その後、制御ユニット40は、基板カメラ81の動作を制御し、プリント基板Wに設けられたフィデューシャルマークの認識処理を実行し(ステップS5)、この工程で、必要な座標設定や補正処理等を実行する。
【0106】
次に、制御ユニット40は、印刷動作サブルーチンS6を実行する。この印刷動作サブルーチンS6では、周知の構成と同様に、スキージ702をY軸方向に駆動して、印刷処理を実行するとともに、各部の消耗品の残量をモニタすることとしている。また、このタイミングで、印刷後のプリント基板Wの良否判定が実行され、必要な処理が施される。
【0107】
次いで、制御ユニット40は、印刷後のプリント基板Wのクランプを解除し、搬出コンベア32から搬出する(ステップS7)。その後、印刷回数Npをインクリメントし(ステップS8)、クリーニング動作サブルーチンS9を実行する。
【0108】
次いで、制御ユニット40は、生産された良品の枚数が生産予定枚数Nに達したか否かを判定し(ステップS10)、達していない場合には、ステップS3に移行して上述した処理を繰り返す。また、ステップS10の判定で、生産された良品の枚数が生産予定枚数Nに達達していると判定した場合には、処理を終了する。
【0109】
次に、
図9を参照して、生産前消耗品残量チェックサブルーチンS3について説明する。
【0110】
このフローにおいて、制御ユニット40は、まず、生産予定枚数Nを読み取り(ステップS301)、消耗品識別変数Sbを1に設定する(ステップS302)。この変数Sbは、値ごとに消耗品の種類を特定するものであり、不図示のはんだ収納容器内のはんだを示す値(Sb=1)、クリーニングペーパ123を示す値(Sb=2)、洗浄剤を示す値(Sb=3)をそれぞれ表している。
【0111】
次に、制御ユニット40は、上述した演算(または、吐出モータ632の制御パラメータ)に基づき、消耗品識別変数Sbに係る消耗品に係る残量を取得する(ステップS303)。
【0112】
次いで、制御ユニット40は、取得した残量(このフローでは、残量Sq)に基づいて、当該残量での印刷実行可能枚数Q(Sb)、印刷実行可能時間T(Sb)を演算する(ステップS304)。次いで、制御ユニット40は、その演算結果を表示/操作ユニット46のディスプレイに表示する(ステップS305)。ユーザは、表示された情報に基づいて、処理を続行したり、或いは、中止するための割り込み命令を入力したりすることができるようになっている。
【0113】
さらに制御ユニット40は、演算された印刷実行可能枚数Q(Sb)と読み取った生産予定枚数Nとを比較する(ステップS306)。この処理は、一ロット当たりに必要な消耗品の残量を充足しているか否かを判定するためのものである。
【0114】
ステップS306において、仮に印刷実行可能枚数Q(Sb)が生産予定枚数N以上である場合、制御ユニット40は、消耗品識別変数Sbをインクリメントする(ステップS307)。そして、該当する消耗品全てについて残量チェックが終わったか否かを変数Sbの値を利用して判定し(ステップS308)、消耗品がある場合(ステップS308においてNOの場合)には、ステップS303に移行して、次の消耗品についての演算と判定を実行する。また、ステップS308において、全ての消耗品の判定が終了していた場合(ステップS308においてYESの場合)には、メインルーチンに復帰する。
【0115】
また、ステップS306の判定において、印刷実行可能枚数Q(Sb)が生産予定枚数N未満である場合、制御ユニット40は、ステップS310に移行し、消耗品識別変数Sbに係る消耗品の残量不足表示処理を実行する。この残量不足表示処理では、消耗品が不足していることを伝えるメッセージ(例えば、「はんだが生産完了前に不足する可能性があります。事前に補充して下さい」)を、ポップアップウィンドウとともに表示/操作ユニット46のディスプレイに表示し、当該ポップアップウィンドウに設定されたボタン操作が終了するまで、処理を中断する、といった処理が実行される。ポップアップウィンドウには、例えば、処理を続行してもよい旨の操作ボタン、処理を中止する旨の操作ボタン等が表示され、ユーザの選択によって、その後の処理を切り換えるように設定される。これにより、ユーザは、消耗品を補充するため、スクリーン印刷装置1を稼働中に停止させるのではなく、稼動に先立って、事前に必要な消耗品を補充することが可能となる。
【0116】
次に、
図10を参照して、印刷動作サブルーチンS6において、制御ユニット40は、はんだ溜Sdの残量Mqを取得する(ステップS601)。
【0117】
次いで、制御ユニット40は、はんだ溜Sdの残量Mqに係る警告残量Wa(M)を読み取り(ステップS602)、取得された残量Sqと警告残量Wa(M)とを比較する(ステップS603)。この処理は、一回の印刷動作に必要なはんだの残量を充足しているか否かを判定するためのものである。
【0118】
ステップS603の判定において、はんだ溜Sdの残量Mqが警告残量Wa(M)未満である場合(ステップS603においてNOの場合)、制御ユニット40は、ステップS604に移行し、はんだ供給ユニット60を用いて前側あるいは後側の不図示の非開口部に滞留しているはんだ溜Sdにはんだを補充する。
【0119】
ステップS603において、はんだ溜Sdの残量Mqが警告残量Wa(M)以上である場合、制御ユニット40は、印刷動作を続行する。この段階では、周知の通り、版合わせ(Xテーブル141のX軸方向位置調整による基板WのX軸方向位置調整、基板テーブル20の駆動モータ15aによる基板WのY軸方向位置調整、昇降装置140によるプリント基板W側のR軸方向位置調整)を実行し(ステップS605)、その後、印刷実行部70を駆動して、マスクシート51上のはんだ溜Sdをスキージ702で押圧し、マスクシート51の印刷パターンを介し、当該マスクシート51の裏面に重装されたプリント基板Wにはんだを塗布する掻取動作(ステップS606)を実行する。この掻取動作では往動印刷工程と復動印刷工程の何れかが実行される。
【0120】
次いで、制御ユニット40は、はんだ溜チェック処理(ステップS607)を実行し、
図11に示すように、版離れ(ステップS620)、はんだ残量更新処理(ステップS621)を実行する。さらに、制御ユニット40は、印刷後のプリント基板Wの印刷面を基板カメラ81で撮像し(ステップS622)、その良否を判定する(ステップS623)。そして、良品の場合には、印刷回数、生産実績数を共に更新する良品判定処理(ステップS624)を実行し、不良品の場合には、印刷回数のみを更新する不良品判定処理(ステップS625)を実行した後、メインルーチンに復帰する。はんだ残量更新処理(ステップS621)では、はんだ溜Sdの残量Mqが更新されるとともに、はんだ溜Sdに対し、はんだ供給ユニット60からはんだが供給された場合には、はんだ収納容器601内の残量Sqも、併せて更新される。
【0121】
図4を参照して、上述したステップS607のはんだ溜チェック処理は、往路印刷工程あるいは復路印刷工程が終了した後、スキージ組立体738を時計回りあるいは反時計回りに回動させて跳ね上げた状態で、印刷ヘッド704を復路方向あるいは往路方向に移動させることでセンサSCをはんだ溜Sdの上方を通過させつつ、Y軸方向位置ごとのはんだ溜Sdの高さを計測し、はんだ溜Sdの残量Mqを算出して行う。
【0122】
「はんだ残量測定」工程が完了すると、演算処理部41は、このタイミングでもはんだの補充要否を判定する。仮に、はんだ溜Sdの残量Mqが警告残量Wa(M)以下となっていると判定した場合には、演算処理部41は、はんだ供給ユニット60を用いて前側あるいは後側の不図示の非開口部に滞留しているはんだ溜Sdにはんだを補充する。
【0123】
逆に、はんだ溜Sdにはんだが十分に残っている場合には、演算処理部41は、はんだの補充処理を実行することなく、スキージ組立体738を回動させ且つZ軸方向に下降させてスキージ702を、マスクシート51を介してプリント基板Wに押圧し、Y軸方向に移動することで印刷を実行する。
【0124】
次に、
図12を参照して、クリーニング動作サブルーチンS9について説明する。
【0125】
このクリーニング動作サブルーチンS9において、制御ユニット40は、ある印刷動作が終了したタイミングで、まず、湿式クリーニングと乾式クリーニングのそれぞれの実行間隔I(w)、I(d)を読み取る(ステップS901)。次いで、印刷回数NpをI(w)で割り、商A(0,1,2・・・)と余りBを求める(ステップS902)。次いで、この余りBに基づき、分岐判断を実行する(ステップS903)。このステップS903において、B=0ならば、ステップS904に進み、湿式クリーニングを実行する。また、B=I(d)ならば、ステップS905に進み、乾式クリーニングを実行する。さらに、Bが0でもI(d)でもなければ、メインルーチンに復帰する。そして、湿式クリーニング(ステップS904)の後にクリーニングペーパ123の残量の更新処理1(ステップS906)を行う。すなわち、ステップS906において、湿式クリーニングを行う前のクリーニン
グペーパ123の残量長さPqから、2WPqwを引いた値を新たなクリーニンペーパ123の残量長さPqとする。また、湿式クリーニングを行う前の洗浄剤の残量Lqから、2WLqwを差し引いた値を新たな洗浄剤の残量Lqとする。一方、乾式クリーニング(ステップS905)の後にもクリーニングペーパ123の残量の更新処理2(ステップS908)を行う。すなわち、乾式クリーニングを行う前のクリーニン
グペーパ123の残量長さPqから、2WPqdを引いた値を新たなクリーニン
グペーパ123の残量(長さ)Pqとする。一方、洗浄剤の残量Lqについては更新処理を行わない。
【0126】
なお、クリーニングペーパ
123の残量の更新処理1、2(ステップS906、S908)の後には、それぞれ消耗品残量チェック処理(ステップS907、S909)を行う。湿式クリーニング(ステップS904)の後の消耗品残量チェック処理(ステップS907)においては、クリーニングペーパ123と洗浄剤の残量Pq、Lqがそれぞれチェックされる。しかしながら、乾式クリーニング(ステップS905)の後の消耗品残量チェック処理(ステップS909)においては、洗浄剤の残量チェックは省略するようにする。
【0127】
以上のクリーニング動作において、制御ユニット40は、連結ロッド127の先端部を係合孔130に挿入し、基板テーブル20とクリーニングユニット90とを一体に連結したものを移動機構15により移動させることにより行う。
【0128】
湿式クリーニングにおいては、制御ユニット40は、吹付ノズル122から洗浄剤をクリーニングペーパ123の裏面に吹き付けて含浸させ、上記クリーニングペーパ123をマスクシート51の裏面に接触させた状態で、上記クリーニングヘッド120内の空気を吸引手段によって吸引することにより、上記クリーニングペーパ123を介してマスクシート51の裏面側に吸引力を作用させながら、このマスクシート51の裏面に沿ってクリーニングユニット90をY軸方向に移動させるとともに、巻取ローラ125によりクリーニングヘッド120の上面に張設されたクリーニングペーパ123を巻き取りつつ、上記マスクシート51に形成された開口部(印刷パターン孔)からマスクシート51裏側にはみ出し裏側面に付着したクリームはんだを吸い取りながら、繰り出される上記クリーニングペーパ123により順次拭き取る。
【0129】
乾式クリーニングにおいては、制御ユニット40は、吹付ノズル122から洗浄剤をクリーニングペーパ123の裏面に吹き付けることはなく、マスクシート51の裏面側に吸引力を作用させること、巻取ローラ125によりクリーニングヘッド120の上面に張設されたクリーニングペーパ123を巻き取りつつ、マスクシート51の裏面に沿ってクリーニングユニット90をY軸方向に移動させることは同じである。但し、巻き取り速度が乾式、湿式にそれぞれ適切なものとされて異なっている。この結果、一回の拭取動作によるクリーニングペーパ123の使用量は異なる。
【0130】
次に、それぞれ消耗品残量チェック処理(ステップS907、S909)の詳細について説明する。
【0131】
湿式クリーニング(ステップS904)の後における消耗品残量チェック処理(ステップS907)においては、クリーニングペーパ123の残量Pqと、洗浄剤の残量Lq残量の両方について、それぞれ警告残量Wa(Pw)、Wa(L)との比較がされ、残量Pq、Lqが警告残量Wa(Pw)あるいは、警告残量Wa(L)未満である場合、消耗品が不足していることを伝えるメッセージ(例えば、「クリーニングペーパがクリーニング作業前に不足する可能性があります。事前に補充して下さい」)を、ポップアップウィンドウとともに表示/操作ユニット46のディスプレイに表示し、当該ポップアップウィンドウに設定されたボタン操作が終了するまで、処理を中断する、といった処理が実行される。
【0132】
乾式クリーニング(ステップS905)の後における消耗品残量チェック処理(ステップS909)においては、クリーニングペーパ123の残量Pqと警告残量Wa(Pd)とが比較され、残量Pqが小さい場合について、上記と同様の警告および処理を中断することが実施される。
【0133】
以上説明したように、本実施形態に係るスクリーン印刷装置1は、印刷パターンが形成されたマスクシート51と、マスクシート51の表面に摺接することで、マスクシート51の裏面に重装されたプリント基板Wに対し、マスクシート51の表面に供給された塗布材料を印刷するスキージ702と、予め設定されたクリーニングの実行間隔I(w)、I(d)ごとにクリーニングシートとしてのクリーニングペーパ123を繰り出して、マスクシート51の裏面をクリーニングするクリーニングユニット90と、クリーニングペーパ123に対し、予め設定されたクリーニングの実行間隔ごとに洗浄剤を供給する洗浄剤供給ユニット100とを備え、複数のプリント基板Wに対し順次印刷を実施するとともに、新たなプリント基板Wに対する印刷の実行に当たり、それ以前に前記クリーニングあるいは印刷により消費された消耗品の残量を、印刷の開始前に取得する残量取得手段としての制御ユニット40とを備えている。
【0134】
そして、本実施形態の制御ユニット40は、取得した残量に基づいて、印刷実行可能枚数Q(P)、Q(L)、Q(S)を予測する処理可能回数予測手段を構成し、処理可能回数予測手段の予測結果を報知する予測結果報知手段として表示/操作ユニット46を機能させるものである。
【0135】
すなわち、本実施形態においては、印刷実行部70が稼動する前に、予め、消費された消耗品の残量が取得される。そして、この残量に基づいて、印刷実行可能枚数Q(P)、Q(L)、Q(S)が予測され、予測結果が表示されるので、ユーザは、予測された枚数に応じて、そのままスクリーン印刷装置1を稼動させるべきか、事前に必要な消耗品を補充すべきかどうか判断することができる。
【0136】
また、本実施形態に係るスクリーン印刷装置1において、クリーニングユニット90は、洗浄剤供給ユニット100によりクリーニングペーパ123に洗浄剤が供給されたタイミングで、クリーニングペーパ123を用いてマスクシート51の裏面をクリーニングする湿式クリーニングを実行するとともに、洗浄剤が供給されない状態でクリーニングペーパ123を用いてマスクシート51をクリーニングする乾式クリーニングを、予め設定された乾式クリーニングの実行間隔に基づいて実行するものであり、予め設定された湿式クリーニングの実行間隔I(w)に基づいて、洗浄剤を用いて清浄動作を行う湿式クリーニングと、予め設定された乾式クリーニングの実行間隔I(d)(或いは乾式クリーニングの実行間隔I(d))に基づいて、洗浄剤を用いることなく清浄動作を行う乾式クリーニングとを実行するものであり、制御ユニット40は、制御ユニット40が取得したクリーニングペーパ123の残量Pqと、前記乾式クリーニングにおける一回の拭取動作において消費するクリーニングペーパ123の消費量WPqdと、前記湿式クリーニングにおける一回の拭取動作において消費するクリーニングペーパ123の消費量WPqwとに基づき、ある湿式クリーニングから次の湿式クリーニングまでを一クリーニングサイクルとして、一ロット(生産予定枚数N)内で実行されるべき湿式クリーニングの回数uN(P)を演算する処理と、印刷実行可能枚数Q(P)を演算する処理とを実行するものである。
【0137】
さらに、本実施形態においては、制御ユニット40が、前記クリーニングペーパ123に対し、予め設定されたクリーニングの実行間隔ごとに供給される洗浄剤の量と、この洗浄剤の供給を伴うクリーニングの実行間隔と、取得した前記洗浄剤の残量とに基づき、印刷実行可能枚数Q(L)を予測するものである。
【0138】
すなわち、制御ユニット40が取得したクリーニングペーパ123の残量Pqで印刷実行可能枚数Q(P)、Q(L)、Q(S)を演算する処理とを実行するものである。また、本実施形態では、湿式クリーニングの回数uN(P)とクリーニングペーパ123の残量が分かれば、湿式クリーニングを所定回数実施した状態のクリーニングペーパ123の残量を、特別なセンサを用いることなく、取得することができる。
【0139】
また、本実施形態に係るスクリーン印刷装置1において、制御ユニット40は、クリーニングペーパ123に対し、予め設定された湿式クリーニングの実行間隔I(w)ごとに供給される洗浄剤の量Lqと、この洗浄剤の供給を伴うクリーニングの実行間隔、すなわち湿式クリーニングの実行間隔I(w)と、取得した前記洗浄剤の残量とに基づき、印刷実行可能枚数Q(L)を予測するものである。
【0140】
また、本実施形態に係るスクリーン印刷装置1において、制御ユニット40は、洗浄剤の使用回数をカウントして当該洗浄剤の残量を取得する機能を備え、制御ユニット40は、湿式クリーニングの実行間隔I(w))に基づき、制御ユニット40が取得した洗浄剤の残量で印刷実行可能枚数Q(L)を予測するものである。
【0141】
また、本実施形態では、洗浄剤供給ユニット100は、洗浄剤を補充可能なボトル110を備え、制御ユニット40は、洗浄剤の残量Lqと、洗浄剤の残量Lqでの印刷実行可能枚数Q(L)とに基づき、一ロットで生産されるプリント基板Wの生産予定枚数Nに当該印刷実行可能枚数Q(L)が満たない場合に、不足分の洗浄剤補充量S(L)を演算する処理を実行するものである。このため本実施形態では、洗浄剤を補充するタイプのボトル110を備えた洗浄剤供給ユニット100が採用されている場合に、一ロット当たりの生産予定枚数Nに不足が生じている場合には、不足分の洗浄剤補充量S(L)が演算され、演算結果を表示/操作ユニット46によって表示することができる。従って、ユーザは、プリント基板Wの生産に入る前に事前に必要な消耗品の補充要否を事前に知ることができるばかりでなく、補充に必要な洗浄剤補充量S(L)を把握することができるので、生産中にスクリーン印刷装置を停止させることなく、一ロット分のプリント基板Wを連続的に加工することができるとともに、容易に適量の洗浄剤を用意することが可能となる。
【0142】
また、本実施形態においては、はんだ供給ユニット60は、はんだを貯留するはんだ収納容器601を有し、制御ユニット40は、当該はんだ収納容器601内のはんだの残量Sqを取得して、印刷実行可能枚数Q(S)を演算するものである。すなわち、はんだが充填された新品のはんだ収納容器601内の残量Sqから、段取りのため使用され実際の印刷に利用されないはんだ量を差し引けば、印刷に利用できるはんだ収納容器601内のはんだの残量Sqが分かる。これにより、さらに何枚印刷可能かの印刷実行可能枚数Q(S)を演算し、事前にはんだ収納容器601のメンテナンスを実行して、スクリーン印刷装置1の稼働率を高めることができる。なお、複数のプリント基板Wの印刷の途中においてはんだ収納容器601を新品に変更した場合は、段取りが不要な場合があり、またスキージ702に付着する分を差し引く必要もなくなる。従って、はんだ収納容器601内の印刷に利用できるはんだの残量Sqは、Snew0となる。
【0143】
また、本実施形態においては、演算された印刷実行可能枚数Q(P)、Q(L)、Q(S)が、一ロット当たりに生産されるプリント基板Wの枚数(生産予定枚数N)に達しているか否かが判定され、その結果が報知されるので、ユーザは、判定結果に応じて、そのままスクリーン印刷装置1を稼動させるべきか、事前に必要な消耗品を補充すべきかどうか判断することができる。
【0144】
また、本実施形態に係る制御ユニット40は、新たな複数の前記プリント基板に対する印刷の実行開始以降の印刷回数Npをカウントする印刷回数カウント部と、印刷回数カウント部がカウントした印刷回数Npに基づいて、残量Pq、Lq、Sqを更新する更新部とを構成している(備えている)。これとともに、制御ユニット40は、残量の更新後に制御ユニット40が予測した印刷実行可能枚数Q(P)、Q(L)、Q(S)が、予め設定される警告残量よりも少なくなっているか否かを判定する警告判定手段としても機能する。また、本実施形態の表示/操作ユニット46は、印刷実行部70の稼働中において、制御ユニット40が予測した印刷実行可能枚数Q(P)、Q(L)、Q(S)が、予め設定される警告残量Wa(P)、Wa(L)、Wa(S)よりも少なくなっている場合に、警告を報知する警告報知手段としても機能する。このため本実施形態では、制御ユニット40が取得する消耗品の残量が、印刷回数Npに応じて更新されるので、この更新に伴って、予測値(印刷実行可能枚数Q(P)、Q(L)、Q(S))も更新される。そして、更新された予測値が、予め設定される警告残量よりも少なくなっている場合には、警告が報知されるので、ユーザは、表示された予測値を利用して、消耗品の残量が少なくなっていることを知ることができ、適切に消耗品の補充準備等を行うことができる。
【0145】
かかる態様のスクリーン印刷装置1において、制御ユニット40は、マスクシート51上のはんだ溜Sdの残量Mqを印刷実行部70の稼働前に取得するはんだセンサSCを備え、処理可能回数予測手段は、はんだセンサSCが取得したはんだ溜Sdの残量Mqで印刷実行可能枚数Q(M)を予測するものである。このため本実施形態では、印刷実行部70が稼動する前に、印刷動作に要する消耗品としてのはんだ溜Sdの残量が取得される。そして、このはんだ溜Sdの残量に基づいて、印刷実行可能枚数Q(M)が予測され、予測結果が表示されるので、本態様においても、ユーザは、予測された枚数に応じて、そのままスクリーン印刷装置1を稼動させるべきか、事前に必要な消耗品を補充すべきかどうか判断することができる。
【0146】
なお、本発明は上記した本実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
【0147】
例えば、上述した実施形態にかかるスクリーン印刷装置1を複数個並列に稼動させる生産ライン(デュアルライン等)で使用してもよい。
【0148】
また、洗浄剤のように、ボトル110ごと交換されるのではなく、同じボトルに洗浄剤のみを補充するようなメンテナンス態様も考えられる。そのような態様においては、データ記憶部48には、生産予定枚数N、湿式クリーニングの実行間隔I(w)、湿式クリーニングの清浄動作の回数(クリーニングカウント回数)N(C)と、湿式クリーニングの実行ごとに使用される洗浄液の量WLq(一回の拭取動作に必要な洗浄剤の量WLqは、吹付ノズル122の仕様で決まっている)、および湿式クリーニングの実行間隔I(w)ごとに更新される洗浄剤の残量としてLqが記憶されている。洗浄剤の残量Lqからは、その後の印刷実行可能枚数Q(L)が、
図9のステップS304によって求められるので、洗浄剤を補充して印刷実行すべき枚数(補充する洗浄剤の量に基づき印刷実行できる枚数)Q‘(L)は、次の通りとなる。
【0149】
Q‘(L)=N−N(C)×I(w)−Q(L) ・・・(25)
洗浄剤の残量Lqは、湿式クリーニングを終えたときに更新されるので、更新後は、補充をしなくても最初のI(w)枚のプリント基板Wは、印刷が可能である。Q‘(L)枚のプリント基板Wへの順次の印刷途中に実施すべき湿式クリーニングの回数N‘(C)は、Q‘(L)/I(w)の商Eと余りFを演算したときに、
Fが0ならば、
N‘(C)=(E−1) ・・・(26)
となり、Fが0ではなければ、
N‘(C)=E ・・・(27)
となる。
【0150】
湿式クリーニングをN‘(C)回実施する際に消費される洗浄剤は、N‘(C)×WLqとなる。この量は、洗浄剤の補充量S(L)となるので、
S(L)=(E−1)×WLq 但し余りF=0
=E×WLq 但し余りF ≠ 0
となる。
【0151】
以上により、図
9で説明した不足表示処理とともに、追加されるべき洗浄剤の補充量S(L)をも表示することが可能となる。このため、ユーザは、プリント基板Wの生産に入る前に事前に必要な洗浄剤の補充要否を事前に知ることができるばかりでなく、補充に必要な洗浄剤補充量S(L)を事前に把握することができるので、生産中にスクリーン印刷装置1を停止させることなく、一ロット分のプリント基板Wを連続的に加工することができるとともに、容易に適量の洗浄剤を用意することが可能となる。
【0152】
また、本実施形態では、往路印刷工程と復路印刷工程の切替ごとに「はんだ量測定」を行うとともに当該「はんだ量測定」により得られた結果に基づき「はんだ補充」を適宜行っているが、「はんだ量測定」および「はんだ補充」の実行タイミングはこれに限定されるものではない。
【0153】
また、所定枚数のプリント基板Wに対して印刷を実行するごとに「はんだ量測定」工程および「はんだ補充」工程を実行してもよい。これらにより「はんだ量測定」工程や「はんだ補充」工程に関わる時間を節約でき、印刷効率を向上できる。
【0154】
また、上記本実施形態では、スキージ回動用モータ736の下面に取り付けられた1つのはんだセンサSCによりはんだ溜Sdのはんだ量を測定しているが、センサの種類、個数や配設位置などはこれに限定されるものではない。例えば、印刷ヘッド704のY軸方向後側および前側にそれぞれはんだセンサを取り付け、はんだ量測定のタイミングに応じてセンサからの出力信号を使い分けてもよい。
【0155】
また、上記実施形態では、はんだセンサとして、センサから検出箇所までの高さを検出するタイプのセンサを用いており、YZ平面でのはんだ溜Sdの断面を計測することができる。Y軸方向のはんだ溜Sdの断面形状とX軸方向長さXsに基づきはんだ溜Sdのはんだ残量を算出しているが、はんだ残量の算出方法はこれに限定されるものではない。例えばはんだセンサとして単にはんだ溜SdのY軸方向の幅
Dsだけを用いてはんだの粘性データからYZ平面でのはんだ溜Sdの断面を推測するようにし、はんだ溜Sdの断面積などに基づきはんだ残量を求めてもよい。
【0156】
また、上記実施形態では、
図6に示すように最初の印刷動作から4枚置きに、「湿式クリーニング」を実行し、湿式クリーニングを実行したタイミングから2枚置いて「乾式クリーニング」を実行しているが、マスクシート51の汚れがひどいことが予想される場合には、例えば、最初の印刷動作から3枚置きに、「湿式クリーニング」を実行し、湿式クリーニングを実行したタイミングから2枚置いてきに、「乾式クリーニング」を実行するようにしてもよい。
【0157】
また、クリーニングシートは、紙に限らず、ガーゼなどの綿製品であってもよい。
【0158】
その他、本発明の特許請求の範囲内で種々の変更が可能であることはいうまでもない。