特許第5917949号(P5917949)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5917949
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】地下水槽用充填部材
(51)【国際特許分類】
   E03B 3/03 20060101AFI20160428BHJP
   E03B 11/14 20060101ALI20160428BHJP
   E03F 1/00 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
   E03B3/03 B
   E03B11/14
   E03F1/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-43741(P2012-43741)
(22)【出願日】2012年2月29日
(65)【公開番号】特開2013-181280(P2013-181280A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2015年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108719
【氏名又は名称】タキロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129632
【弁理士】
【氏名又は名称】仲 晃一
(74)【代理人】
【識別番号】100090608
【弁理士】
【氏名又は名称】河▲崎▼ 眞樹
(72)【発明者】
【氏名】真山 淳哉
【審査官】 竹村 真一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−355259(JP,A)
【文献】 特開2003−034970(JP,A)
【文献】 特開2007−321388(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3146194(JP,U)
【文献】 特開2002−339920(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0166182(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03B 1/00−11/16
E03F 1/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向及び鉛直方向に配設されて地下水槽の内部の空隙構造体を形成する充填部材であって、
上記充填部材は方形状の水平盤部を少なくとも備え、水平盤部の側面同士が合わされて水平方向に配設されると共に、水平盤部の水平面同士が合わされるか、又は、水平盤部の一方の水平面同士及び水平盤部の他方の水平面から突き出す脚部の先端同士が合わされて、鉛直方向に配設されるものであり、
上記水平盤部には、水平方向に隣合わせの充填部材の水平盤部の上又は下に重ねられる充填部材の水平盤部と連結するための連結凸部と連結凹部が、それぞれ一体に形成され、上記連結凸部は上記水平盤部の側面に、上記連結凹部は上記水平盤部の水平面に形成されており、
上記連結凸部は上記水平盤部の側面から水平方向に突き出して上方又は下方に屈曲するL字状の連結凸部であって、この連結凸部の、上方又は下方に屈曲した屈曲部の先端が上記水平盤部から上方又は下方に出ている、
ことを特徴とする地下水槽用充填部材。
【請求項2】
前記連結凹部は前記連結凸部の屈曲部の先端が下方又は上方から嵌まり込む連結凹部であって、前記水平盤部の四周枠部における前記連結凸部の直前部分の水平面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の地下水槽用充填部材。
【請求項3】
前記連結凸部の先端部の幅が基端部の幅よりも広く形成され、この連結凸部に対応して奥端部の幅が開口端部の幅よりも広く形成された水平連結兼用の干渉避け用の連結凹部が水平盤部の側面に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の地下水槽用充填部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地下水槽用充填部材に関し、更に詳しくは、水平方向及び鉛直方向に配設されて地下水槽の内部の空隙構造体を形成する充填部材に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の地下水槽用充填部材として、例えば、正方形の連結用枠に複数本の支脚を嵌合固定した充填部材が知られている(特許文献1)。この充填部材は、水平方向(縦横方向)に並べて配設されると共に、鉛直方向に積み重ねて配設されることによって、地下水槽の内部の空隙構造体を形成するものであり、水平方向に隣合わせの充填部材同士は、充填部材の連結用枠に形成された連結具挿入孔にH形の連結具を挿入することによって連結されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−192516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の充填部材は、H形の連結具を用いて水平方向に隣合わせの充填部材同士を連結するため、部品点数が多くなり、連結作業も面倒で手間がかかるという問題があった。しかも、H形の連結具によって連結できるのは、水平方向(縦横方向)に隣合わせの充填部材同士に限られ、水平方向に隣合わせの充填部材の上又は下に重ねられる充填部材との連結(換言すれば、斜め方向に隣接する充填部材との連結)が不可能であるため、強固な空隙構造体を形成しにくいという問題があった。
【0005】
本発明は上記の問題に対処すべくなされたもので、その解決しようとする課題は、連結具を用いることなく、水平方向(縦横方向)及び鉛直方向に配設するだけで、斜め方向に隣接する充填部材同士を連結できるようにした地下水槽用充填部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係る地下水槽用充填部材は、水平方向及び鉛直方向に配設されて地下水槽の内部の空隙構造体を形成する充填部材であって、
上記充填部材は方形状の水平盤部を少なくとも備え、水平盤部の側面同士が合わされて水平方向に配設されると共に、水平盤部の水平面同士が合わされるか、又は、水平盤部の一方の水平面同士及び水平盤部の他方の水平面から突き出す脚部の先端同士が合わされて、鉛直方向に配設されるものであり、
上記水平盤部には、水平方向に隣合わせの充填部材の水平盤部の上又は下に重ねられる充填部材の水平盤部(換言すれば、斜め方向に隣接する充填部材の水平盤部)と連結するための連結凸部と連結凹部が、それぞれ一体に形成され、上記連結凸部は上記水平盤部の側面に、上記連結凹部は上記水平盤部の水平面に形成されており、
上記連結凸部は上記水平盤部の側面から水平方向に突き出して上方又は下方に屈曲するL字状の連結凸部であって、この連結凸部の、上方又は下方に屈曲した屈曲部の先端が上記水平盤部から上方又は下方に出ていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明の地下水槽用充填部材においては、連結凹部が、連結凸部の屈曲部の先端が下方又は上方から嵌まり込む連結凹部であって、水平盤部の四周枠部における連結凸部の直前部分の水平面に形成されていることが好ましい。
また、連結凸部の先端部の幅が基端部の幅よりも広く形成され、この連結凸部に対応して奥端部の幅が開口端部の幅よりも広く形成された水平連結兼用の干渉避け用の連結凹部が水平盤部の側面に形成されていることも好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の地下水槽用充填部材のように、水平方向に隣合わせの充填部材の水平盤部の上又は下に重ねられる充填部材の水平盤部(換言すれば、斜め方向に隣接する充填部材の水平盤部)と連結するための連結凸部と連結凹部が、それぞれ水平盤部に一体に形成されていると、別部材の連結具を用いることなく、充填部材を水平方向(縦横方向)及び鉛直方向に配設するだけで、連結凸部が連結凹部に嵌まり込み、斜め方向に隣接する充填部材同士を連結することができる。従って、斜め方向に隣接する充填部材同士の接続作業性及び接続強度が向上し、強固な空隙構造体を地下水槽の内部に効率良く形成することが可能となる。
【0009】
そして、連結凸部が水平盤部の側面に形成され、連結凹部が水平盤部の水平面に形成されているので、水平盤部と連結凸部と連結凹部を合成樹脂で一体に射出成形し易く、また、連結凸部が、水平盤部の側面から水平方向に突き出して上方又は下方に屈曲するL字状の連結凸部であって、この連結凸部の、上方又は下方に屈曲した屈曲部の先端が水平盤部から上方又は下方に出ているので、この連結凸部の屈曲部の先端を、斜め方向に隣接する充填部材の水平盤部の連結凹部に係合させて、より簡単かつ確実に連結することができる。
特に、連結凸部の屈曲部の先端が下方又は上方から嵌まり込む連結凹部が、水平盤部の四周枠部における前記連結凸部の直前部分の水平面に形成されている充填部材は、斜め方向に隣接する充填部材同士の連結凸部の屈曲部と連結凹部との位置関係が合致するので、斜め方向に隣接する充填部材同士の連結作業性が向上する。
【0010】
また、連結凸部の先端部の幅が基端部の幅よりも広く形成され、この連結凸部に対応して奥端部の幅が開口端部の幅よりも広く形成された水平連結兼用の干渉避け用の連結凹部が水平盤部の側面に形成されている充填部材は、水平方向及び鉛直方向に配設するだけで、先端部の幅が広い連結凸部が、水平方向に隣合わせの充填部材の水平盤部の連結凹部(開口端部の幅が狭い連結凹部)に対して水平方向に抜け出し不能に嵌まり込むと共に、連結凸部の屈曲部が斜め方向に隣接する充填部材の水平盤部の連結凹部に係合し、水平方向に隣合わせの充填部材と斜め方向に隣接する充填部材の双方に連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る地下水槽用充填部材の斜視図である。
図2】同充填部材を縦の中心線と横の中心線とで4つに区画したときの1つの区画単位を示す平面図である。
図3】同充填部材を水平方向及び鉛直方向に配設して形成される地下水槽の内部の空隙構造体の一例を示す概略側面図である。
図4】同充填部材の水平方向(縦横方向)の連結状態を輪郭線で示した概略平面図である。
図5】同充填部材と斜め方向に隣接する充填部材との連結状態を示す部分側面図である。
図6】同充填部材の部分斜視図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る地下水槽用充填部材を縦の中心線と横の中心線とで4つに区画したときの1つの区画単位を示す平面図である。
図8】同充填部材の部分斜視図である。
図9】本発明の更に他の実施形態に係る地下水槽用充填部材の側面図である。
図10】同充填部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて、本発明に係る地下水槽用充填部材の実施形態を説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施形態に係る地下水槽用充填部材の斜視図、図2は同充填部材を縦の中心線と横の中心線とで4つに区画したときの1つの区画単位を示す平面図、図3は同充填部材を水平方向及び鉛直方向に配設して形成される地下水槽の内部の空隙構造体の一例を示す概略側面図、図4は同充填部材の水平方向(縦横方向)の連結状態を輪郭線で示した概略平面図、図5は同充填部材と斜め方向に隣接する充填部材との連結状態を示す部分側面図、図6は同充填部材の部分斜視図である。
【0014】
この地下水槽用充填部材は、ポリプロピレン等の熱可塑性合成樹脂で射出成形されたものであって、図1に示すように、正方形の平面形状を有する水平盤部1と複数本の脚部2を備えている。水平盤部1の平面形状は正方形に限定されるものではなく、例えば縦横比が1:2の長方形とするなど、水平方向(縦横方向)に並べて配設しやすい方形の平面形状とすればよい。また、脚部2は、本実施形態では水平盤部1の四隅と中央に合計5本形成されているが、例えば中央の脚部2を省略して4本にしたり、水平盤部1の四辺のそれぞれの中間部に脚部を増設して合計9本とするなど、所望の本数を形成すればよい。
【0015】
この水平盤部1は、正方形の四周枠部1aの内側に縦横方向に交差する格子部1bを形成したもので、この格子部1bの開口を通じて水が上下に移動できるようになっている。図1に示すように、格子部1bの四隅と中央の開口は閉塞されており、それぞれの閉塞部1cには、下方へ突き出す中空の脚部2が一体に形成されている。この脚部2は上端(基端)が開口し、下端(先端)に通水用の開口部(不図示)が形成されているため、脚部2内を水が上下に移動できるようになっている。
【0016】
なお、水平盤部1の閉塞部1cに脚部2を一体に形成しないで、閉塞部1cに嵌合穴を形成し、別途製作した脚部2を閉塞部1cの嵌合穴に嵌合固定してもよく、また、中空の脚部2の周壁に通水孔(不図示)を形成して、脚部2の内側と外側で水が自由に出入りできるようにしてもよい。また、水平盤部1は、方形の平板に多数の通水孔を形成したものでもよい。
【0017】
この実施形態の地下水槽用充填部材は、図3に示すように、水平盤部1の側面同士を合わせながら水平方向(縦横方向)に並べて配設すると共に、上下反転させた充填部材と上下反転させない充填部材を交互に積み重ねて、それぞれの水平盤部1の一方の水平面(上面)同士、及び、それぞれの水平盤部1の他方の水平面(下面)から突き出す脚部2の先端同士を合わせながら鉛直方向に配設することによって、雨水貯溜槽や雨水浸透槽などの地下水槽の内部に空隙構造体を形成するものであり、それぞれの充填部材は、後述する水平連結用(縦横連結用)の連結凸部と連結凹部、上下連結用の連結凸部と連結凹部、斜め連結用の連結凸部と連結凹部によって、縦横、上下、斜め方向に連結されるため、強固な空隙構造体を構築できるものである。
【0018】
即ち、この地下水槽用充填部材は、図1に示すように、水平盤部1の各コーナーを挟んで両側の側面に、水平盤部1を水平方向(縦横方向)に連結するための蟻ほぞ状の連結凸部3aと、これに対応した蟻溝状の連結凹部3bが1つずつ、水平盤部1の四周側面全体では合計4つずつ形成されている。また、水平盤部1の各コーナーを挟んで両側の側面には、斜め方向に隣接する充填部材の水平盤部1と連結するためのL字状の連結凸部4aと、斜め方向に連結する際にL字状の連結凸部4aとの干渉を避けるための凹部5が1つずつ、水平盤部1の四周側面全体では合計4つずつ形成されており、斜め方向に隣接する充填部材の水平盤部1と連結するための連結凹部4bは、水平盤部1の上面(一方の水平面)、具体的には、水平盤部1の四周枠部1aにおける各連結凸部4aの直前部分の上面に1つずつ、合計4つ形成されている。そして、水平盤部1の四隅の閉塞部1cの上面には、水平盤部1の上面(一方の水平面)同士を重ね合わせて上下に連結するための円柱状の連結凸部6aと、これに対応した円穴状の連結凹部6bが1つずつ、全体では合計4つずつ形成されている。また、図示はしていないが、それぞれの脚部2の先端にも、上下連結用の連結用凸部と、これに対応した連結用凹部が形成されている。
【0019】
斜め連結用の連結凸部4aは、図1図6に示すように、水平盤部1の側面から水平方向に突き出して上方に屈曲するL字状に形成されており、この連結凸部の、上方に屈曲した屈曲部40aの先端が水平盤部1から上方に出ている。そして、斜め連結用の連結凹部4bは、上記屈曲部40aが嵌まり込む長方形の開口を備えた角穴状に形成されている。
【0020】
本実施形態におけるL字状の連結凸部4aは、上記のように上方に屈曲、つまり脚部2と反対方向に屈曲し、屈曲部40aの先端が水平盤部1よりも上方に出ているが、後述するように脚部を有しない方形枠状の水平盤部からなる充填部材の場合は、L字状の連結凸部4aの屈曲方向が上方(脚部と反対方向)に限定されないので、上方又は下方のいずれかに屈曲し、屈曲部40aの先端が水平盤部1から上方又は下方のいずれかに出ていればよい。
【0021】
なお、斜め連結用のL字状の連結凸部4aの屈曲部40aは、この実施形態では矩形の突片状に形成されているが、先端に近づくほど幅が狭くなる二等辺台形の突片状に形成してもよい。屈曲部40aを二等辺台形の突片状に形成すると、斜め連結用の角穴状の連結凹部4bに嵌まり込みやすくなり、連結作業性が向上する利点があるので好ましい。
また、上下連結用の連結凸部6aと連結凹部6bは、この実施形態では円柱状と円穴状に形成されているが、例えば、連結凸部6aの形状を三角柱以上の多角柱状とし、それに対応して、連結凹部6bの形状を三角穴以上の多角穴状としてもよい。
【0022】
この実施形態の充填部材は、図2に示すように、縦の中心線C1と横の中心線C2とで4つに区画される水平盤部1のそれぞれの区画単位に、前記の脚部2、水平連結用の連結凸部3aと連結凹部3b、斜め連結用の連結凸部4aと連結凹部4b、上下連結用の連結凸部6aと連結凹部6bが1つずつ形成され(但し、脚部2は隅の1本と中央の脚部の1/4が形成されている)、それぞれの区画単位が縦の中心線C1と横の中心線C2との交点Oを中心に90°ずつ回転する度に合致する形状となっている。そして、充填部材を反転させて水平盤部1の上面を合わせた際に、一方の充填部材の連結凸部6aと連結凹部6bが形成されているそれぞれの位置に、他方の充填部材の連結凹部6bと連結凸部6aがそれぞれ対応するように形成されて、互いに嵌合するようになっている。従って、この充填部材は縦横の方向性がなく、水平方向の配設作業を容易に行うことができるので、施工性が良好である。
【0023】
以上のような構成の地下水槽用充填部材は、既に図3を参照して説明したように、水平方向(縦横方向)及び鉛直方向(上下方向)に配設されて、地下水槽の内部の空隙構造体を構築するものであり、配設する際に、図4に示すように、水平連結用の蟻ほぞ状の連結凸部3aを、縦横方向(水平方向)に隣合う充填部材の蟻溝状の連結凹部3bに嵌合するだけで、充填部材の水平盤部1,1同士を縦横に連結できるようになっている。そして、上下連結用の円柱状の連結凸部6aと脚部2の先端の連結凸部(不図示)を、上下方向に重ねて配設された充填部材の上下連結用の円穴状の連結凹部6bと脚部2の先端の連結凹部(不図示)にそれぞれ嵌め込むだけで、充填部材の水平盤部1,1同士、及び、脚部2,2の先端同士を上下に連結できるようになっている。
【0024】
そして、充填部材を配設する際、図5に示すように、充填部材P1の水平盤部1の側面に形成された斜め連結用のL字状連結凸部4aを、水平方向に隣合う充填部材P2の水平盤部1に形成された干渉避けの凹部5に収容し、充填部材P2の上に上下反転して重ねた充填部材P3の水平盤部1に形成された斜め連結用の角穴状連結凹部4bに、充填部材P1のL字状連結凸部4aの屈曲部40aを下方から嵌め込んで係合させると共に、充填部材P3の水平盤部1の側面に形成された斜め連結用のL字状連結凸部4aを、充填部材P1の水平盤部1の上に上下反転して重ねた充填部材P4の水平盤部1に形成された干渉避けの凹部5に収容し、そのL字状連結凸部4aの屈曲部40aを、充填部材P1の水平盤部1に形成された斜め連結用の角穴状連結凹部4bに上方から嵌め込んで係合させるだけで、充填部材P1の水平盤部1と斜め方向に隣接する充填部材P3の水平盤部1を確実に連結できるようになっている。また、充填部材P2と充填部材P4も、上記と同様にして斜め方向に連結できるようになっている。
【0025】
上記のように、この地下水槽用充填部材は、別部材の連結具を用いることなく水平方向(縦横方向)及び鉛直方向に配設するだけで、縦横方向及び上下方向のみならず斜め方向にも確実に連結されるため、強固な空隙構造体を地下水槽の内部に施工性良く構築することができる。そして、別部材の連結具が不要となるので部品点数が減少し、接続作業性も向上する。
【0026】
図7は本発明の他の実施形態に係る地下水槽用充填部材を縦の中心線C1と横の中心線C2とで4つに区画したときの1つの区画単位を示す平面図、図8は同充填部材の部分斜視図である。
【0027】
この地下水槽用充填部材は、水平盤部1のコーナーを挟んで両側の側面に、前記斜め連結用の連結凸部4aに代えて水平連結兼用の斜め連結用の連結凸部7aと、前記干渉避けの凹部5に代えて水平連結兼用の干渉避け用の連結凹部7bが1つずつ、水平盤部1の四周側面全体では合計4つずつ形成されている。そして、水平連結兼用の斜め連結用の連結凸部7aの直前に位置する水平盤部1の上面(四周枠部1aの上面)には、斜め連結用の連結凹部4bが1つずつ、全体では合計4つ形成されており、また、水平盤部1の四隅の閉塞部1cの上面には、上下連結用の円柱状の連結凸部6aと、これに対応した円穴状の連結凹部6bが1つずつ、全体では合計4つずつ形成されている。
【0028】
水平連結兼用の斜め連結用の連結凸部7aは、図8に示すように、前述した斜め連結用のL字状連結凸部4aの先端部の幅を基端部の幅よりも広く形成して蟻ほぞ形状としたものであり、水平連結兼用の干渉避け用の連結凹部7bは、この蟻ほぞ形状の水平連結兼用の斜め連結用の連結凸部7aに対応して、奥端部の幅を開口端部の幅よりも広く形成して蟻溝形状としたものである。
【0029】
この充填部材も、縦の中心線C1と横の中心線C2とで4つに区画される水平盤部1のそれぞれの区画単位に、脚部2、水平連結兼用の斜め連結用の連結凸部7a、水平連結兼用の干渉避け用の連結凹部7b、斜め連結用の連結凹部4b、上下連結用の連結凸部6aと連結凹部6bが1つずつ形成され(但し、脚部2は隅の1本と中央の脚部の1/4が形成されている)、それぞれの区画単位が縦の中心線C1と横の中心線C2との交点Oを中心に90°ずつ回転する度に合致する形状となっている。そして、充填部材を反転させて水平盤部1の上面を合わせた際に、一方の充填部材の連結凸部6aと連結凹部6bが形成されているそれぞれの位置に、他方の充填部材の連結凹部6bと連結凸部6aがそれぞれ対応するように形成されて、互いに嵌合するようになっている。
【0030】
この充填部材の他の構成は、前述した図1図6に示す充填部材のそれと同様であるので、図7図8において同一部材に同一符号を付し、重複する説明を省略することにする。
【0031】
上記構成の充填部材は、図3に示すように水平方向(縦横方向)及び鉛直方向に配設するだけで、水平連結兼用の斜め連結用の連結凸部7aが、水平方向に隣り合う充填部材の水平連結兼用の干渉避け用の連結凹部7bに嵌合すると共に、その上に重ねられた充填部材の斜め連結用の連結凹部4bに上記連結凸部7aの屈曲部70aが嵌まり込んで係合し、水平方向と斜め方向にそれぞれ隣接する充填部材同士が連結される。そして、上下連結用の連結凸部6aと脚部2の先端の連結凸部が、上下方向に重ねて配設された充填部材の上下連結用の連結凹部6bと脚部2の先端の連結凹部にそれぞれ嵌まり込んで、上下の充填部材同士も連結される。従って、この地下水槽用充填部材も、別部材の連結具を用いることなく水平方向(縦横方向)及び鉛直方向に配設するだけで、強固な空隙構造体を地下水槽の内部に施工性良く構築することができる。また、水平連結専用の連結凸部や連結凹部が不要となり、水平盤部1の側面に形成される連結凹部の数を減らすことができるので、水平盤部1の強度低下を抑制することができ、嵌合させる連結凸部と連結凹部の数が減少する分だけ施工性も更に向上することになる。
【0032】
図9は本発明の更に他の実施形態に係る地下水槽用充填部材の側面図、図10は同充填部材の平面図である。
【0033】
この地下水槽用充填部材は、水平盤部1を正方形の四周枠状に形成し、この水平盤部1に倒立した四角台形状の籠形脚部20を一体に形成したものである。四周枠状の水平盤部1の側面には、前述した図1図6に示す地下水槽用充填部材と同様に、水平連結用の蟻ほぞ状の連結凸部3aと蟻溝状の連結凹部3bが合計4つずつ、斜め連結用のL字状の連結凸部4aと干渉避けの凹部5が合計4つずつ形成されており、四周枠状の水平盤部1の四隅の上面には、斜め連結用の連結凹部4bが1つずつ、合計4つ、また、上下連結用の円柱状の連結凸部6aと円穴状の連結凹部6bがそれぞれ1つずつ、合計4つずつ形成されている。そして、籠形脚部20の先端面にも、上下連結用の連結凸部と連結凹部が形成されている。
【0034】
この地下水槽用充填部材も、縦の中心線と横の中心線とで4つに区画される区画単位が、縦の中心線と横の中心線との交点を中心に90°ずつ回転する度に合致し、充填部材を反転させて水平盤部1の上面を合わせた際に、一方の充填部材の連結凸部6aと連結凹部6bが形成されているそれぞれの位置に、他方の充填部材の連結凹部6bと連結凸部6aがそれぞれ対応するように形成されて、互いに嵌合するようになっているため、縦横の方向性がない充填部材となっている。
なお、図示はしていないが、籠形脚部20の側面及び先端面には多数の通水孔が形成され、籠形脚部20の内側と外側で水が自由に出入りできるようになっている。
【0035】
このような地下水槽用充填部材も、前述した地下水槽用充填部材と同様に、水平方向(縦横方向)及び鉛直方向に配設するだけで、水平方向に隣り合う充填部材同士が水平連結用の連結凸部3aと連結凹部3bとの嵌合によって連結し、上下に重なる充填部材同士が上下連結用の連結凸部6aと連結凹部6bとの嵌合、及び、籠形脚部20の先端の上下連結用の連結凸部と連結凹部との嵌合によって連結し、斜め方向に隣接する充填部材同士が斜め連結用の連結凸部4aと連結凹部4bとの係合によって連結するため、別部材の連結具を用いないで、強固な空隙構造体を地下水槽の内部に施工性良く構築することができる。
【0036】
以上の実施形態に係る地下水槽用充填部材は、いずれも水平盤部1の下面(一方の水平面)から突き出す脚部2,20を備えたものであるが、脚部のない水平盤部1のみの充填部材、例えば、ある程度の高さを有する方形枠型の水平盤部1のみからなる充填部材とし、この方形枠型の水平盤部1の側面に、前述した水平連結用の蟻ほぞ状の連結凸部3aと蟻溝状の連結凹部3b、及び、斜め連結用のL字状の連結凸部4aと干渉避けの凹部5を形成すると共に、方形枠型の水平盤部1の上下両面に、斜め連結用の角穴状の連結凹部4b、及び、上下連結用の円柱状の連結凸部6aと円穴状の連結凹部6bを形成してもよい。
【0037】
このような脚部のない水平盤部1のみからなる充填部材は、上下の方向性がないので、斜め連結用のL字状の連結凸部4aを上方又は下方のいずれかに屈曲させて、屈曲部40aの先端が水平盤部1の上方又は下方のいずれかに出るようにすればよく、また、上下連結用の連結凸部6aと連結凹部6bは、水平盤部1の上面と下面の双方に形成するのがよい。
なお、この充填部材の方形枠型の水平盤部1には、多数の通水孔を形成して水が自由に出入りできるようにする必要がある。また、このような方形枠型の水平盤部1は、成形性を勘案して適宜分割して成形することが望ましい。
【0038】
このような充填部材も、水平方向(縦横方向)及び鉛直方向に配設するだけで縦横、上下、斜め方向に連結されるため、強固な空隙構造体を地下水槽の内部に施工性良く構築することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 水平盤部
2 脚部
20 籠型脚部
3a 水平連結用の連結凸部
3b 水平連結用の連結凹部
4a 斜め連結用の連結凸部
4b 斜め連結用の連結凹部
5 干渉避けの凹部
6a 上下連結用の連結凸部
6b 上下連結用の連結
7a 水平連結兼用の斜め連結用の連結凸部
7b 水平連結兼用の干渉避け用の連結凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10