(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1及び前記第2の股部弾性部材の端部が前記胴周り弾性部材と交わる位置に配置された場合には、前記第1及び前記第2の股部弾性部材の間には、前記胴周り弾性部材が存在しないか、あるいは前記胴周り弾性部材が分断され、前記外装シートの幅方向の弾性力がないようになされていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の使い捨て着用物品。
【背景技術】
【0002】
パンツタイプのおむつや尿とりパッド等を併用するおむつカバー等の使い捨て着用物品を装着する場合、通常のパンツと同様に、前後方向があり、その装着方向(前後方向)を間違えると、おむつあるいはおむつカバーとしての機能を発揮し得ず、装着感が悪く、排泄物等が漏れる等の原因になっていた。そのため、おむつやおむつカバー等の着用物品には、装着方向(前後方向)を示す表示が付されているものがある。
しかしながら、そのような表示は高齢者にとって視認し難いものであり、また介護する者にとって、おむつやおむつカバー等の着用物品の前後方向を確認しながらの作業には、煩わしさがあった。
【0003】
このような問題を解決するものとして、特許文献1に示すおむつが提案されている。この特許文献1に示されたおむつを
図7に示すと共に、
図7に基づいて説明する。
図7に示すように、おむつ50の脚周り部51は、本体部52の脚周り開口端部52aから脚周り開口部側に延出するように、本体部52に貼り付けられた伸縮性の脚周りシート53を備えている。
そして、本体部52の脚周り開口端部52aの形状は、腹側の脚周りに適合する形状に形成されると共に、本体部52の長さ方向の中心線Mを挟んで腹側部50Aと背側部50Bとで略対称に形成されている。
【0004】
一方、脚周りシート53の自由端を形成する端部53aは、背側の脚周りに適合する形状、即ち装着者の臀部を覆う形状に形成されている。また、脚周りシート53の自由端部53aによって、脚周り開口端部が形成されている。
ここで、脚周り開口端部を形成する前記自由端部53aは、本体部52の長さ方向の中心線Mを挟んで、腹側部50Aと背側部50Bとでそれぞれ装着者の臀部を覆うに充分な形状に形成され、前記中心線Mを挟んで、腹側部50Aと背側部50Bとで略対称の形状に形成されている。
即ち、前記脚周り部51は、腹側の脚周りに適合する形状である脚周り開口端部52aと、背側の脚周りに適合し臀部を覆う形状である脚周り開口端部53aとの異なる二つの形状を同時に備えるように構成されている。
【0005】
これにより、装着時に装着者の腹側の脚周りを保持する脚周り開口部52aにおいては、伸縮性を有する脚周りシート53が腹側の脚周りの形状に略沿って縮み込むことによりフィットする。一方、装着者の背側の脚周りを保持する脚周り開口部53aにおいては、伸縮性を有する脚周りシート53が伸び広がることによって装着者の臀部を包み込みフィットする。
このように、おむつ50を、前向き或いは後向きのどちらの向きであっても装着することができ、装着時におむつの前後の判断を行う必要がなくなり、装着者や介護者の手間を軽減することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記した特許文献1に記載のおむつの本体部52の脚周り開口端部52aの形状が、腹側の脚周りに適合する形状に形成され、背側の脚周りに適合する形状には形成されていない。そのため、本体部52の脚周り開口端部52aが、背側において装着者の臀部を斜め縦方向に横切るように当たり、装着者に不快感を与えることがあった。
また、脚周りシート53が伸び広がることによって装着者の臀部を包み込むようになされても、良好な装着感が得られず、また排泄物が漏れる虞があった。
更に、腹側においては、伸縮性を有する脚周りシート53が腹側の脚周りの形状に略沿って縮み込むため、前記脚周りシート53が装着者の鼠けい部に挟まれ、装着者の違和感を与えるという技術的課題があった。
【0008】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、前向き或いは後向きのどちらの向きからも装着することができ、装着時の不快感、違和感が少なく、かつ排泄物の漏れを防止する使い捨て着用物品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記した課題を解決するためになされた本発明にかかる使い捨て着用物品は、装着者の前側の腰部から鼠けい部を経て臀部から後側の腰部を覆う外装シートと、前記外装シートの左右に設けられ且つ前後対称に形成される左右湾入部によって前後対称に形成される左右脚開口部と、前記外装シートの腰部から前記左湾入部及び前記右湾入部の近傍まで、前記外装シートの幅方向に延設され、胴周りギャザーを形成する胴周り弾性部材と、前記左右湾入部の縁に沿って配置され、前記左右脚開口部の夫々に前後対称のレッグギャザーを形成する脚周り弾性部材と、を少なくとも備え、更に、前記外装シートの内面側に配置される吸収体と、前記左湾入部の内側であって前記外装シートと前記吸収体との間に、前記外装シートの幅方向の中心線に平行に延設される複数の弾性部材からなる第1の股部弾性部材と、前記右湾入部の内側であって前記外装シートと前記吸収体との間に、前記外装シートの幅方向の中心線に平行に延設される複数の弾性部材からなる第2の股部弾性部材と、を備え、前記左湾入部の前記脚周り弾性部材と前記右湾入部の前記脚周り弾性部材は、前記第1及び前記第2の股部弾性部材の間において繋がって形成されず、前記左右湾入部の前記脚周り弾性部材における前記外装シートの幅方向の中心線側の端部が、前記第1又は前記第2の股部弾性部材と隣接する位置又は重なる位置に形成され、前記外装シートを展開した状態において、前記外装シートの幅方向の中心線と前記外装シートの縦方向の中心線との交点と、前記左右湾入部の端部を結ぶ直線と、前記外装シートの縦方向の中心線とのなす角度が30度以下に形成され
ることを特徴としている。
【0010】
一般的に、パンツタイプのおむつやおむつカバー等の使い捨て着用物品を、前向き或いは後向きのどちらの向きからも装着することができるように、着用物品の前部形状を臀部形状に対応した形状にすると、鼠けい部に隙間が生じ、漏れが生じ易い。
一方、着用物品の後部形状(背部形状)を鼠けい部に対応した形状にすると、臀部を包み込むことができず、臀部を斜め縦方向に横切るように着用物品の脚開口部の縁部が当たり、装着者に不快感、違和感を与える。
【0011】
本発明にかかる使い捨て着用物品は、左湾入部及び右湾入部によって形成される左右脚開口部の夫々が、前後対称に形成されると共に、外装シートを展開した状態において、外装シートの幅方向の中心線と外装シートの縦方向の中心線との交点と、左右湾入部の端部を結ぶ直線と、前記外装シートの縦方向の中心線とのなす角度が30度以下に形成されている。
【0012】
このように、外装シートの幅方向の中心線と外装シートの縦方向の中心線との交点と左右湾入部の端部を結ぶ直線と、前記外装シートの長さ方向(縦方向)中心線とのなす角度が30度以下になすことによって、
胴周り弾性部材と脚周り弾性部材の弾性応力(弾性力)によって鼠けい部に対応する外装シートを左右方向に引張ることができ、鼠けい部の隙間を極力抑制できると共に、脚開口部の脚周り弾性部材の弾性力が着用物品を大腿部に圧着させるように作用する。このため、前後どちら向きにはいても、前後腰部全体を包み込むことができ、排泄物の漏れを抑制することができる。また、装着者の臀部を斜め縦方向に横切るように当たることもなく、臀部の不快感、違和感を解消することができる。
【0013】
また、前記左湾入部の内側であって、外装シートの幅方向の中心線に平行に形成された第1の股部弾性部材と、前記右湾入部の内側であって、外装シート幅方向の中心線に平行に形成された第2の股部弾性部材と、を備え、前記左湾入部の脚周り弾性部材と前記右湾入部の脚周り弾性部材は、前記第1、第2の股部弾性部材の間において繋がって形成されず、かつ、前記左右湾入部の脚周り弾性部材における外装シートの幅方向の中心線側の端部が、前記第1、第2の股部弾性部材と隣接する位置または重なる位置に形成されることが望ましい。
【0014】
このように構成すると、股部には左右湾入部の脚周り弾性部材による外装シートの幅方向の伸縮力が作用しないため、着用前まで第1、第2の股部弾性部材の平行が保たれ、着用後は装着者の前後股部の体型に合わせてフィットし、着用物品の位置ずれや漏れが抑制される。
【0015】
また、前記第1、第2の股部弾性部材は、前記胴周り弾性部材の延設方向と垂直方向に延設され、その端部が胴周り弾性部材の近傍あるいは交わる位置に配置され、かつ、前記第1、第2の股部弾性部材は夫々複数の弾性部材からなると共に、前記第1、第2の股部弾性部材のそれぞれの幅が10mm〜40mmに形成されていることが望ましい。
【0016】
このように第1、第2の股部弾性部材が、前記胴周り弾性部材の延設方向と垂直方向に延設され、その端部が胴周り弾性部材の近傍あるいは交わる位置に配置されている。
そのため、着用物品を装着した際、第1、第2の股部弾性部材が胴周り弾性部材によって広げられ、前記外装シートの股部が幅方向に広げられ、着用後は装着者の前後股部の体型に合わせてフィットし、着用物品の位置ずれや漏れが抑制される。
また、前記第1、2の股部弾性部材の幅が10mm未満の場合には、尿とりパットや吸収体の側部を身体に圧着させる幅が小さく、排泄物等が漏れるため、好ましくない。一方、その幅が40mmを超える場合には、身体に圧着させる幅が左右を合わせると、股間幅と同等以上になってしまい、股間の違和感が大きくなるため、好ましくない。
【0017】
また、
前記第1、第2の股部弾性部材は、前記胴周り弾性部材の延設方向と垂直方向に延設され、その端部が胴周り弾性部材の近傍あるいは交わる位置に配置され、かつ、前記第1、第2の股部弾性部材は夫々複数の弾性部材からなると共に、前記第1、第2の股部弾性部材における最も内側に位置する弾性部材の弾性力が、最も外側に位置する弾性部材の弾性力よりも大きいことが望ましい。
このように構成されているため、おむつを装着した際、前記外装シートを幅方向に広げると共に、前記外装シートの縁部が外側に折れるようになされる。更に、股部弾性部材が胴周り弾性部材と直交することで、仮に着用者の力が弱く、はき方が浅い場合でも、着用物品を引き上げる力が働き、外装シート、吸収体が装着者の身体に圧着され、排泄物の漏れ等を防止することができる。
また、前記第1、第2の股部弾性部材の端部が胴周り弾性部材と交わる位置に配置された場合には、前記第1、第2の股部弾性部材の間には、前記胴周り弾性部材が存在しないか、あるいは胴周り弾性部材が切断され、外装シートの幅方向の弾性力がないようになされていることが望ましい。
このように構成されているため、前記外装シートが幅方向に広げられ(第1、第2の股部弾性部材の間を広げやすく)、着用後は装着者の体型に合わせてフィットし、着用物品の位置ずれや漏れが抑制される。
【0018】
また、前記外装シートの左右縁の接合部の左右いずれか一方が、開閉可能に接合されていることが望ましい。
このように、外装シートの左右縁の接合部の左右いずれか一方が、開閉可能に接合されるため、装着あるいは取外しを容易に行うことができる。
例えば、左右どちらかの手足に麻痺が有る場合でも、開閉可能な接合部から麻痺のある足を通すことができ、また片手でも容易に装着、取外しを行うことができる。しかも、前後の区別がないため、一つの製品で左側、右側のどちらを開閉するか使用者が選択できる。尚、従来から、手足が不自由な装着者のために左右両側が開閉可能な着用物品があるが、装着時は両手で保持することが必要になるため、片手での装着は困難であった。このため、装着時には、介助を必要とすることが多かった。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、前向き或いは後向きのどちらの向きからも装着することができ、装着時の不快感、違和感が少なく、かつ排泄物の漏れを防止する使い捨て着用物品を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明にかかる使い捨て着用物品について、以下の実施形態の説明においては、吸収体が内蔵されたトランクス型のおむつを例にとって説明する。
図1、2に示すように、本発明にかかるトランクス型のおむつ1は、一枚のシートあるいは複数のシートを重ねた外装シート2と、前記外装シート2の内側面に配置された吸収体3とを備えている。また、前記吸収体3の上面には表面シート12、また前記吸収体3の上面両側には立体ギャザー13が形成されている。また、外装シート2と吸収体3の間には、中間シート14が形成されている。尚、
図1では、前記立体ギャザー13は省略して、図示している。
【0022】
ここで、前記外装シート2としては、遮水性、通気性のあるシート材で、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、レーヨン等の化学繊維や、綿、セルロース等の天然繊維などから成る不織布、フィルム他、ポリエチレンとポリプロピレンの混合不織布のような上記素材を適宜組み合わせた混合繊維等を用いても良い。
また、吸収体3としては、例えば、解繊パルプや不織布、フィルムなどと、吸水性ポリマーとを併用したものや、熱可塑性樹脂とセルロース繊維と吸水性ポリマーとの混合物等で形成されている。また、これを吸収紙や不織布などで覆ったものや上記の構成が複数重なって構成されていても良い。
更に、表面シート12は、液透過性のシート、例えば天然繊維からなる織布、合成繊維からなる不織布、または熱可塑性樹脂からなる開口フィルム等、吸収性物品の表面材として従来から使用されているものが用いられる。また、上記複数のシートから構成されていても良い。
また、立体ギャザー13、中間シート14は、使い捨ておむつに通常使用される遮水性または撥水性の不織布又はフィルム等のシートが用いられる。
【0023】
また、
図1に示すように、前記トランクス型のおむつ1の外装シート2の上端部には腰周り弾性部材4aが設けられ、前記外装シート2の下端部には腰周り弾性部材4bが設けられている。更に、前記腰周り弾性部材4a下方には胴周り弾性部材5aが設けられ、前記腰周り弾性部材4bの上方には、胴周り弾性部材5bが設けられている。
これらは腰周り弾性部材4a、4b及び胴周り弾性部材5a、5bは、
図4に示すように組み立てられた状態にあっては、一つの腰周り弾性部材として、また一つの胴周り弾性部材として機能する。また、前記腰周り弾性部材4a、4b及び胴周り弾性部材5a、5bは、例えば、糸ゴム、平ゴム、ウレタンフィルム等の弾性部材から形成されている。
【0024】
また、前記外装シート2の左右端には、左湾入部6及び右湾入部7が形成されている。この左湾入部6及び右湾入部7は、
図4に示すように組み立てられた状態にあっては、左右脚開口部A、Bを形成するものである。
前記胴周り弾性部材5a、5bは、
図1に示すように、前記左湾入部7及び右湾入部8の近傍まで形成されている。そのため、前記胴周り弾性部材5a、5bは、腹側においては、腰部から鼠けい部にわたって配置され、また背側においては、腰部から臀部にわたって配置されることになる。
【0025】
また、前記左湾入部6及び右湾入部7は、
図1に示すように外装シート2(おむつ)を展開した状態において、外装シート2の幅方向の中心線M1を境にして、左右対称に形成されている。また、前記左湾入部6及び右湾入部7は、外装シート2(おむつ)を展開した状態において、外装シート2の縦方向の中心線M2(中心線M1に直交する中心線)を境にして、上下対称(前後対称)に形成されている。
即ち、前記左湾入部6における左湾入部の上部6aと左湾入部の下部6bは、対称に形成され、また前記右湾入部7における右湾入部の上部7aと右湾入部の下部7bは、対称に形成されている。
更に、前記左湾入部6における左湾入部の上部6aと前記右湾入部7における左湾入部の上部7aとは左右対称に形成され、前記左湾入部6における左湾入部の下部6bと前記右湾入部7における左湾入部の下部7bとは左右対称に形成されている。
【0026】
したがって、前記左湾入部6及び右湾入部7によって形成される左右脚開口部A、Bは左右対称になるように形成され、また左右脚開口部A、Bの各開口部の前後についても対称になるように形成されている。
【0027】
また、前記左湾入部6の縁に沿って脚周り弾性部材8a、8bが形成され、同様に右湾入部7の縁に沿って、脚周り弾性部材9a、9bが形成されている。この脚周り弾性部材8a、8b、弾性部材9a、9bは、夫々3本の弾性部材から構成されている。
【0028】
また、前記脚周り弾性部材8a、8bは、前記中心線M2に対して上下対称に配置されている。また、前記脚周り弾性部材9a、9bは、前記中心線M2に対して上下対称に配置されている。更に、前記脚周り弾性部材8a、9aは、前記中心線M1に対して左右対称に配置されている。また、前記脚周り弾性部材8b、9bは、前記中心線M1に対して左右対称に配置されている。
【0029】
このように、前記左湾入部6に脚周り弾性部材8a、8bが形成され、右湾入部7に脚周り弾性部材9a、9bが形成されているため、外装シート2(おむつ)を展開した状態において、前記左湾入部6と右湾入部7に左右対称のレッグギャザーが形成される。また、前記左湾入部6、7のそれぞれ形成されたレッグギャザーは、前後対称に形成される。
そして、前記左右脚開口部A、Bは前記レッグギャザーによって囲まれ、前記レッグギャザー(脚周り弾性部材8a、8b、9a、9b)によって、左右脚開口部A、Bが装着者に密着(圧着)し、排泄物等が漏れないようになされている。
【0030】
尚、脚周り弾性部材8a、8b、9a、9bとして、夫々3本の弾性部材から構成されている場合について説明したが、特に、これに限定されるものではなく、脚周り弾性部材8a、8b、9a、9bの弾性部材は複数本以上であれば良い。
【0031】
また、左湾入部6の弾性部材8aと、右湾入部7の弾性部材9aあるいは弾性部材9bとは繋がって形成されていない。また左湾入部6の弾性部材8bと、右湾入部7の弾性部材9aあるいは弾性部材9bとは繋がって形成されていない。
このように、前記左湾入部6の弾性部材8a、8bと右湾入部7の弾性部材9a、9bとを繋げて形成されていないのは、繋げて形成した場合、弾性部材8a、8b、9a、9bによって、外装シート2(おむつ)の股部に幅方向の伸縮力が生じ、股部中央にしわが生じ、座った時などに装着者に不快感、違和感を与えるからである。
【0032】
更に、前記左湾入部6における左湾入部の上部6a、下部6b、また前記右湾入部7における左湾入部の上部7a、下部7bの形状について、
図3に基づいて説明する。尚、左湾入部の上部6a、下部6b、右湾入部7の上部7a、下部7bの形状は同一の形状であるため、右湾入部7の上部7aを例にとって説明する。
【0033】
図3に示すように、外装シート2(おむつ)を展開した状態において、外装シート2の幅方向の中心線M1と外装シート2の縦方向の中心線M2との交点をOとし、この交点Oと外装シート2の幅方向の右湾入部7の端部(外縁部)T1を結ぶ直線OT1と、前記中心線M2とのなす角度θ1が30度以下に形成されている。
【0034】
おむつを前向き或いは後向きのどちらの向きからも装着することができるように、おむつの前後の形状を臀部形状に対応した形状にすると、おむつの前部の鼠けい部に隙間が生じ、漏れが生じ易い。一方、おむつの前後の形状を鼠けい部に対応した形状にすると、臀部に不快感、違和感が生じる。
即ち、前記直線OT1と、前記外装シート2の長さ方向(縦方向)中心線M2とのなす角度が30度以下になすことによって、この胴周り弾性部材5a、5bと脚周り弾性部材9a、9bの弾性応力(弾性力)によって鼠けい部に対応する外装シート2を左右方向に引張ることができ、鼠けい部の隙間を極力抑制でき、脚開口部の脚周り弾性部材の弾性力が着用物品を大腿部に圧着させるように作用するため、排泄物の漏れを抑制できる。
また、前記直線OT1と、前記外装シート2の長さ方向(縦方向)中心線M2とのなす角度が小さいため、臀部の不快感、違和感を解消することができる。
【0035】
更に、前記左湾入部6の内側、及び右湾入部7の内側には、
図1に示すように、外装シート2の縦方向に平行に延設された、股部弾性部材10、11を備えている。この股部弾性部材10、11は外装シート2の中心線M1に対して左右対称に形成され、また中心線M2に対して前後対称に形成されている。
この股部弾性部材10、11は、股下部の主に鼠けい部において、外装シート及び吸収体をフィットさせて、違和感や漏れを防止するものである。
【0036】
また、前記股部弾性部材10,11が、前記胴周り弾性部材5a,5bの延設方向(中心線M2と平行な方向)と垂直方向(中心線M1と平行な方向)に延設され、その端部が胴周り弾性部材5a,5bの近傍あるいは交わる位置に配置されている。
図1,3では、前記股部弾性部材10,11の端部は、胴周り弾性部材5aの下部5a1と交り、胴周り弾性部材5bの上部5b1と交わる位置に配置されている。
しかしながら、前記股部弾性部材10,11の端部が、胴周り弾性部材5a,5bと交わるように配置される必要はなく、少なくとも、前記股部弾性部材10,11の端部が、胴周り弾性部材5aの下部5a1、胴周り弾性部材5bの上部5b1の近傍に配置されるように構成されていれば良い。
【0037】
このように、前記股部弾性部材10,11が、前記胴周り弾性部材の延設方向(中心線M2と平行な方向)と垂直方向(中心線M1と平行な方向)に延設され、その端部が胴周り弾性部材の近傍あるいは交わる位置に配置されている場合には、着用物品を装着した際、第1、第2の股部弾性部材10,11の間が胴周り弾性部材5a,5bによって広げられ、また前記外装シート2の股部が幅方向に広げられ、着用後は装着者の前後股部の体型に合わせてフィットし、着用物品の位置ずれや漏れが抑制される。
【0038】
また、前記第1、第2の股部弾性部材10,11の端部が胴周り弾性部材と交わる位置に配置された場合には、前記第1、第2の股部弾性部材10,11の間(領域R1)には、前記胴周り弾性部材5a,5bが存在せず、外装シート2の幅方向の弾性力がないようになされている。
尚、胴周り弾性部材5a,5bを切断するようになしても良い。また、
図1,3に示すように、第1、第2の股部弾性部材10,11の間(領域R1)のみならず、胴周り弾性部材5aの上方の領域R2(吸収体3の上端部間での領域)、胴周り弾性部材5bの下方の領域R3(吸収体3の下端部間での領域)においても、前記胴周り弾性部材5a,5bが存在しないか、あるいは胴周り弾性部材5a,5bが切断され、外装シート2の幅方向の弾性力がないようになされていることが望ましい。
【0039】
このように、前記第1、第2の股部弾性部材10,11の端部が胴周り弾性部材と交わる位置に配置された場合には、前記第1、第2の股部弾性部材10,11の間(領域R1)には、前記胴周り弾性部材5a,5bが存在しないため、外装シート2の幅方向の弾性力がなく、前記外装シートが幅方向に広げられやすく、着用後は装着者の体型に合わせてフィットし、着用物品の位置ずれや漏れが抑制される。
【0040】
この股部弾性部材10は3本の弾性部材10a,10b,10cからなり、その幅(弾性部材10a,10cとの間の間隔)が10mm以上に形成されている。また、この股部弾性部材11も、股部弾性部材10と同様に、3本の弾性部材11a,11b,11cからなり、その幅(弾性部材11a,11cとの間の間隔)が10mm以上に形成されている。
【0041】
好ましくは、その幅が10mm以上〜40mm以下に形成されているのが望ましい。前記股部弾性部材10,11の幅が10mm未満の場合には、尿とりパットや吸収体の側部を身体に圧着させる幅が小さく、排泄物等が漏れるため、好ましくない。一方、その幅が40mmを超える場合には、身体に圧着させる幅が左右を合わせると、股間幅と同等以上になってしまい、股間の違和感が大きくなるため、好ましくない。
【0042】
また、股部弾性部材10、11の間の寸法、即ち、股部弾性部材10の弾性部材10aと、股部弾性部材11の弾性部材11aとの間の距離Lが、70mm〜140mmに形成されている。
身体の股部の寸法から70mm以上が好ましく、一方、140mmを超えると外装シート2が股部にだぶつくため好ましくない。
【0043】
また、前記股部弾性部材10、11の間において、
図1、
図3に示すように、前記左湾入部の脚周り弾性部材8a、8bと前記右湾入部の脚周り弾性部材9a、9bは繋がって形成されず、かつ、前記左右湾入部の脚周り弾性部材8a、8b、9a、9bにおける外装シート2の幅方向の中心線側の端部8a1、8b1、9a1、9b1が、前記第1、第2の股部弾性部材10、11と重なる位置に形成されている。
尚、前記端部8a1、8b1、9a1、9b1が、前記第1、第2の股部弾性部材10、11に隣接する位置に形成されていても良い。
【0044】
このように構成すると、股部には左右湾入部の脚周り弾性部材10,11による外装シート2の幅方向の伸縮力が作用せず、また着用前まで第1、第2の股部弾性部材10,11の平行が保たれる。そして、着用後は装着者の前後股部の体型に合わせてフィットし、着用物品の位置ずれや漏れが抑制される。
【0045】
尚、前記股部弾性部材10(10a,10b,10c)、前記股部弾性部材11(11a,11b,11c)、例えば、糸ゴム、平ゴム、ウレタンフィルム等の弾性部材から形成されている。
また、この実施形態にあっては、股部弾性部材10は3本の弾性部材10a,10b,10cからなり、また股部弾性部材11も、股部弾性部材10と同様に、3本の弾性部材11a,11b,11cからなる場合を示したが、特に、これに限定されるものではなく、股部弾性部材10、11の弾性部材は複数本以上であれば良い。
【0046】
このように、前記左湾入部6の内側、及び右湾入部7の内側には、おむつの縦方向(中心線M1)に平行に、股部弾性部材10、11が設けられ、前後方向に伸縮力(弾性力)が付与されている。
ここで、前記したように左湾入部6の弾性部材8a、8bと右湾入部7の弾性部材9a、9bとを繋げて形成されている場合には、外装シート2の幅方向の伸縮力(弾性力)により、股部弾性部材10、11が平行でなくなり、股部弾性部材10、11の間隔が狭い部分Nが生じる(外装シート2にしわが生じ狭い部分が生じる)。
この股部弾性部材10、11の間隔が狭い部分Nは、装着者が動くたびに徐々に装着位置が前側にずれ、最終的に
図6(b)に示すように、股部弾性部材10、11の間隔が狭い部分Nが鼠けい部Sに当たるように、おむつの装着位置がずれる。
【0047】
これに対して、前記したように左湾入部6の弾性部材8a、8bと右湾入部7の弾性部材9a、9bとを繋げて形成されていない場合には、外装シート2の幅方向の伸縮力(弾性力)が生じないため、股部弾性部材10、11は、着用者の前後股部の曲線に合わせて、フィットし、前後どちらの向きにはいても、
図6(a)に示すような、おむつの正常な装着状態を維持することができる。
尚、
図6は、装着者の側面図であり、図中のFは装着者の大腿部、Dは装着者の臀部である。
【0048】
更に、前記股部弾性部材10,11について説明すると、股部弾性部材10の3本の弾性部材10a,10b,10cは、内側に位置する弾性部材10aの弾性(弾性力)が強く、外側に位置する弾性部材10cの弾性(弾性力)は弱く、
弾性部材10bの弾性(弾性力)はその中間に位置する。
また、前記弾性部材10a,10b,10cは、前記胴周り弾性部材5aの下端部5a1、胴周り弾性部材5bの上端部5b1において直交する位置になるように配置されている。
【0049】
同様に、前記股部弾性部材11の3本の弾性部材11a,11b,11cは、内側に位置する弾性部材11aの弾性(弾性力)が強く、外側に位置する弾性部材11cの弾性(弾性力)は弱く、
弾性部材11bの弾性(弾性力)はその中間に位置する。
また、前記弾性部材11a,11b,11cは、前記胴周り弾性部材5aの下端部5a1、胴周り弾性部材5bの上端部5b1において直交する位置になるように配置されている。
【0050】
前記したように
、内側に位置する弾性部材10a,11aの弾性が強く、外側に位置す
る弾性部材10c,11cの弾性が弱く形成され、弾性部材10,11が胴周り弾性部材5a,5b
と直交する位置になるように配置されているため、おむつを装着した際、
図5に示すように、前記外装シート2(吸収体3)を幅方向に広げると共に、前記外装シート2(吸収体3)の縁部が外側に折れるようになされる。
更に、股部弾性部材10,11が胴周り弾性部材5a,5bと直交することで、仮に着用者の力が弱く、はき方が浅い場合でも、着用物品を引き上げる力が働き、外装シート2、吸収体3が装着者の身体に圧着され、排泄物の漏れを防止することができる。
【0051】
前記したトランクス型おむつ1は、第1図に示されるような外装シート2を展開した状態から、外装シート2を二つ折りにして、前身頃、後身頃及び股間部を形成し、第4図に示されるように、左右縁Eを互いに合掌状に接合して、おむつ1の左右に接合部を形成することによって組み立てられる。
このとき、
図1に示すように、前記外装シートの左右縁の接合部の左右いずれか一方(
図1では右縁)が、開閉可能に接合されていることが望ましい。例えば、外装シートの右縁に面ファスナー15,16を設け、着脱自在になし、開閉可能に形成しても良い。
尚、トランクス型おむつ1は、前後を逆に装着することができるおむつであり、前身頃は後身頃であり、後身頃は前身頃となるものである。 上記トランクス型おむつ1は、前記したように、左右脚開口部A、Bのほか、上部に腰開口部Cを備えている。このおむつ1を正面から捉えた図が第4図である。
【0052】
尚、上記実施形態にあっては、使い捨て着用物品としておむつを例にとって説明したが、本発明はおむつに限定されることなく、例えば、おむつカバー、パンツ等にも適用することができる。
また、上記実施形態にあっては、おむつの身体へのフィット性を高め、尿等の漏れを防止するために、腰周り、胴周り及び脚周りにそれぞれ弾性部材を配置し、腰周りギャザー(弾性部材4a,4b)、胴周りギャザー(弾性部材5a,5b)と、左右レッグギャザー(弾性部材8a、8b、9a、9b)を形成した場合を説明したが、前記弾性部材は必要に応じて、他の部位にも配置しても良い。
【0053】
また、弾性部材としては、複数本の天然ゴム糸、合成ゴム糸や、伸縮性の不織布や伸縮性のフィルム等を用いることができる。また、上記実施形態では、弾性部材が3本の場合について説明したが、身体への装着感や防漏性を考慮して本数を増減しても良い。