(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ケーブル部の直線方向に沿って伸縮作動可能となっており、伸長作動によって前記弾性部材を撓ませることにより前記ケーブル部を弾性部材による緊張状態よりも大きな引っ張り力の緊張状態とする緊張増大機構が少なくとも片側のケーブル部に設けられていることを特徴とする請求項2記載のスライドロック装置。
前記緊張付与機構は、少なくとも片側のケーブル部に連結され、前記ケーブル部の長さ方向に沿って伸長作動しケーブル部を直線方向に引張って緊張状態とする緊張用カム部材と、この緊張用カム部材の伸長作動を行うための操作部材とによって形成されていることを特徴とする請求項3記載のスライドロック装置。
前記緊張付与機構は、前記軸体の両側のケーブル部に曲げ部を形成するように押し付けてケーブル部を緊張状態とする押圧部材と、この押圧部材の押し付けを解除する解除部材とによって形成されていることを特徴とする請求項3記載のスライドロック装置。
前記緊張増大機構は、前記ケーブル部の長さ方向に伸長作動して前記弾性部材を撓ませる緊張増大用カム部材と、この緊張増大用カム部材を伸長作動させる操作レバーとによって形成されていることを特徴とする請求項4記載のスライドロック装置。
前記軸体は前記スライド部材に対する所定の摩擦力以下のときスライド部材に対して回転可能で所定の摩擦力以上のときスライド部材に回転拘束される可動軸であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載のスライドロック装置。
前記軸体は前記スライド部材に設けられたロック爪が係合したときに回転拘束され、ロック爪の係合が解除したときに回転可能となる可動軸であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載のスライドロック装置。
【背景技術】
【0002】
自動車においては、ドアの開状態を保持することにより坂道の傾斜や自重によるドアの自動閉止や風圧によるドアの閉止を防止する必要がある。また、車室内に設けたセンターコンソールでは、扉の開状態を保持して内部の物品の取り出しを容易にすることが便利である。スライドロック装置はこのようなドアや扉等の可動側部材の回転をロックするために用いられる。
【0003】
特許文献1には、自動車のドアの開状態を保持するための従来のスライドロック装置が記載されている。この装置は車体側に回転自在に支持されるレバーの上下面に複数の隆起部を長さ方向に沿って形成し、この隆起部がドア側に保持される保持部材を貫通した構造となっている。保持部材は貫通したレバーの隆起部を摺動しながら変位する滑動子と、滑動子が隆起部を押圧するように付勢する弾性体とを備えている。このスライドロック装置は、ドアの開きに伴って保持部材がレバーの長さ方向に沿って移動し、この移動の際に滑動子がレバーの隆起部に乗り上げて弾性体を圧縮し、圧縮の反作用によって滑動子とレバーとの間に発生する摺動抵抗を利用してドアの開状態を保持するものである。
【0004】
しかしながら、特許文献1のスライドロック装置においては、ドア開扉角度が2〜3段階程度に過ぎないものとなっている。これはレバーの隆起部を乗り上げるときにドアの開状態を保持する構造であり、ドアの開扉角度が隆起部の形成箇所に依存するためである。このような構造ではドアの開扉角度を任意に設定することができず、自動車の昇降に不便となる問題を有している。また、ドアの開扉操作力を軽減することができず、操作性が悪い問題も有している。このような問題は自動車のドアだけでなく、可動側部材の開状態を保持する必要のある他の装置においても同様である。
【0005】
これに対し特許文献2及び3には、ドア等の開扉角度を無段階で停止させることが可能なスライドロック装置が記載されている。
【0006】
特許文献2記載のスライドロック装置は、車体側のレバープレートにドア側のスライド部材を移動可能に取り付け、レバープレートに接触して摩擦力を発生する板ばねをスライド部材に設けることによりスライド部材をレバープレートの長さ方向の任意の位置で停止させる構造である。これによりドアの開扉角度を無段階で停止させることが可能となる。また、解除部材をスライド部材に設け、解除部材を板ばねとレバープレートとの間に入り込ませることにより、停止解除する構造となっている。このような構造では、板ばねの摩擦力によってスライド部材の移動、すなわちドア(可動側部材)の開動作を無段階で停止させることができると共に、解除部材がこの停止状態を解除することができる。
【0007】
特許文献3記載のスライドロック装置は、ドア開位置保持機構とドアロック機構とを設けた構造となっている。ドア開位置保持機構はレバーに設けた隆起部と、レバーをスライドする摺動子との間の摩擦抵抗によってドアの開状態を保持する機構であり、摩擦抵抗以上の力をドアに加えることによりドアを開閉することができる。ドアロック機構は、ロッドに沿って移動するシリンダに逆巻きのコイルばねを巻き付け、レバー操作でコイルばねのコイル径を拡縮させることにより任意の位置でシリンダを停止させてドアを任意の角度でロックする構造となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2記載のスライドロック装置では、板ばねの摩擦力による停止動作を確実にするために、レバープレートや板ばね等の部品を高精度に加工する必要と共に組み付けも高精度とする必要がある。このため部品の加工や組み付けが面倒であり、コストアップとなっている。特許文献3記載のスライドロック装置も同様であり、熱処理を施した高精度のロッドが必要であり、部品の加工が面倒であり、コストアップとなっている。
【0010】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、可動側部材の開閉を無段階で停止させることが可能な構造としても、精度の高い部品や面倒な組み付けを必要とすることなく、コストダウンが可能なスライドロック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のスライドロック装置は、一端が固定側部材に取り付けられるレバープレートと、 前記固定側部材に対し正逆回転可能となっている可動側部材に取り付けられ、可動側部材の正逆回転に伴って前記レバープレートに沿って移動するスライド部材と、このスライド部材に設けられ、スライド部材と一体に移動する軸体と、この軸体に巻き付けられる巻き付け部及びこの巻き付き部と連続した状態で前記軸体の左右両側からレバープレートの長さ方向に沿って直線状に延びる左右のケーブル部を有したケーブルとを備え、前記軸体に対する前記ケーブルの巻き付き位置が変化しながら前記スライド部材が前記レバープレートに沿って移動可能となっており、前記左右のケーブル部の緊張状態における前記軸体に作用する前記巻き付き部の摩擦力によって前記スライド部材の移動が停止されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のスライドロック装置は、一端が固定側部材に取り付けられるレバープレートと、前記固定側部材に対し正逆回転可能となっている可動側部材に取り付けられ、可動側部材の正逆回転に伴って前記レバープレートに沿って移動するスライド部材と、このスライド部材に設けられ、スライド部材と一体に移動する軸体と、この軸体に巻き付けられる巻き付け部及びこの巻き付き部と連続した状態で前記軸体の左右両側からレバープレートの長さ方向に沿って直線状に延びる左右のケーブル部を有したケーブルとを備え、 前記軸体に対する前記ケーブルの巻き付き位置が変化しながら前記スライド部材が前記レバープレートに沿って移動可能となっており、前記左右のケーブル部の緊張状態における前記軸体に作用する前記巻き付き部の摩擦力によって前記スライド部材の移動が停止され、 前記ケーブル部の端部が係止されることによりケーブル部を緊張状態に保持する弾性部材が少なくとも片側のケーブル部に設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明においては、前記ケーブル部を緊張状態とする緊張付与機構が少なくとも片側のケーブル部に設けられていることが好ましい。
又、前記ケーブル部の直線方向に沿って伸縮作動可能となっており、伸長作動によって前記弾性部材を撓ませることにより前記ケーブル部を弾性部材による緊張状態よりも大きな引っ張り力の緊張状態とする緊張増大機構が少なくとも片側のケーブル部に設けられていることが好ましい。
又、前記緊張付与機構は、少なくとも片側のケーブル部に連結され、前記ケーブル部の長さ方向に沿って伸長作動しケーブル部を直線方向に引張って緊張状態とする緊張用カム部材と、この緊張用カム部材の伸長作動を行うための操作部材とによって形成されていることが好ましい。
又、前記緊張付与機構は、前記軸体の両側のケーブル部に曲げ部を形成するように押し付けてケーブル部を緊張状態とする押圧部材と、この押圧部材の押し付けを解除する解除部材とによって形成されていることが好ましい。
又、前記緊張増大機構は、前記ケーブル部の長さ方向に伸長作動して前記弾性部材を撓ませる緊張増大用カム部材と、この緊張増大用カム部材を伸長作動させる操作レバーとによって形成されていることが好ましい。
又、前記軸体は前記スライド部材に固定された固定軸であることが好ましい。
又、前記軸体は前記スライド部材に対する所定の摩擦力以下のときスライド部材に対して回転可能で所定の摩擦力以上のときスライド部材に回転拘束される可動軸であることが好ましい。
又、前記軸体は前記スライド部材に設けられたロック爪が係合したときに回転拘束され、ロック爪の係合が解除したときに回転可能となる可動軸であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、スライド部材がレバープレートに沿って移動することにより可動側部材が正逆回転して可動側部材の開閉が行われる。また、スライド部材に設けた軸体にケーブルの巻き付き部が巻き付けられており、左右のケーブル部の緊張状態にあるときにおける巻き付き部が軸体に作用する摩擦力によってスライド部材の移動が停止する。従って可動側部材の開角度を無段階で停止させることができる。また、可動側部材の開閉停止が軸体に巻き付いたケーブルの摩擦力によってなされるため、軸体に巻き付くケーブルを設けるだけの構造とすることによって可動側部材の開閉停止が可能であり、高精度の加工が不要であり、組み付けも容易となり、コストダウンすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を図示する実施形態により具体的に説明する。なお、各実施形態において、同一の部材には同一の符号を付して対応させてある。
【0017】
(第1実施形態)
図1〜
図8は本発明の第1実施形態のスライドロック装置1を示す。このスライドロック装置1は例えば、自動車のドアに適用される。
図1〜
図3はスライドロック装置1の作動前の状態、
図4は自動車のドア13へ適用した状態、
図5及び
図6はスライド部材3の移動状態、
図7及び
図8はケーブル緊張調整機構7の作動をそれぞれ示す。
【0018】
スライドロック装置1はレバープレート2と、スライド部材3と、軸体4と、ケーブル5と、緊張付与機構7とを備えている。
【0019】
レバープレート2は長尺板状のプレート本体2aと、プレート本体2aの長さ方向の両端部から同方向に屈曲された第1屈曲部2b及び第2屈曲部2cとによって形成されている。レバープレート2は一端(第1屈曲部2b)が固定側部材としての車体12(
図4参照)に取り付けられ、他端(第2屈曲部2c)が自由状態となっている。車体12への取り付けを行うため、第1屈曲部2bには取付ブラケット11が取り付けられる。取付ブラケット11は車体12に固定され、レバープレート2は取付ブラケット11の枢支ピン15に回転可能に取り付けられる。
【0020】
図4に示すように、自動車においては、可動側部材であるドア13が固定側部材である車体12に対し正逆回転可能となっており、この正逆回転によりドア13の開閉が行われる。
図4において、符号14は車体12に対してドア13の回転中心となるドア用回転軸であり、スライドロック装置1の回転中心となる枢支ピン15はドア用回転軸14と異なった位置となっている。ドア13を開閉することにより、ドア13はドア用回転軸14を中心に正逆回転し、これに対しスライドロック装置1はドア13の開閉に伴って枢支ピン15を中心に正逆回転する。
図4に示すように、ドア13は角度Aの範囲で開閉作動し、実線がドア13の全閉位置、鎖線がドア13の全開位置である。
【0021】
スライド部材3はレバープレート2におけるプレート本体2aの長さ方向に沿って移動する。スライド部材3は当接ブラケット部3aと、当接ブラケット部3aに組み付けられた保持ブラケット部3bとによって形成されている。当接ブラケット部3aはドア13の内壁にボルト、溶接等により固定される。ドア13が開閉するとき、当接ブラケット部3aはドア13の開閉力を受けるため、スライド部材3の全体がレバープレート2に対して往復移動する。保持ブラケット部3bは軸体4を固定するものであり、軸体4は保持ブラケット部3bに挟まれた状態で取り付けられる。
【0022】
軸体4は外形が円形のボビン部4aと、ボビン部4aの両端部の軸部4bとによって形成されている。ボビン部4aにはケーブル5が巻き付けられる。ボビン部4aの両端部の軸部4bはスライド部材3の保持ブラケット部3bを貫通し、一方の軸部4bの貫通端が加締められる。これにより軸体4はスライド部材3に固定された固定軸となっている。
【0023】
ケーブル5は軸体4のボビン部4aに巻き付けられ、この巻き付き状態でボビン部4aの両側から引き出されるように配置される。このためケーブル5は軸体4に巻き付けられる巻き付き部5aと、巻き付き部5aと連続した状態で軸体4の両側から延びる左右のケーブル部5b、5cとを有している。軸体4の両側のケーブル部5b、5cはレバープレート2の長さ方向に沿って直線的に延びており、左側に位置する一方のケーブル部5bの端部5dはレバープレート2の第1屈曲部2bの外側に係止され、右側に位置する他方のケーブル部5cの端部5eは後述する緊張付与機構7の外側に係止される。
【0024】
この構造において、左右のケーブル部5b、5cが直線状に引張された緊張状態にあるとき、ケーブル5の巻き付き部5aは軸体4に摩擦力を作用させており、巻き付き部5aが軸体4へ作用させる摩擦力によって軸体4(すなわちスライド部材3)の移動が任意の位置で停止する。
【0025】
このようなスライド部材3の移動停止状態に対し、軸体4への巻き付き部5aの摩擦力以上の移動力をスライド部材3に作用させると、その方向側のケーブル部5b又は5cの緊張が緩み、これに伴って巻き付き部5aの軸体4への巻き付き状態も緩むため、スライド部材3をその方向に強制的に移動させることができる。例えば、
図1及び
図2の状態に対し、巻き付き部5aの摩擦力以上の右方向への移動力をスライド部材3に作用させることにより、右側の他方のケーブル部5cの緊張状態が緩み、これにより軸体4への巻き付き部5aの巻き付きが緩んで摩擦力が小さくなる。このためスライド部材3を
図1及び
図2の位置から
図5及び
図6の位置に強制的に移動させることができ、ドア13を開くことができる。
【0026】
そして、
図5及び
図6の位置でスライド部材3に対する移動力を解除すると、右側の他方のケーブル部5cが左側の一方のケーブル部5bと同様な緊張状態となり、巻き付き部5aが軸体4に作用する摩擦力が元に戻るため、スライド部材3は巻き付き部5aの軸体4への摩擦力によってその位置で停止する。これらの構造では、スライド部材3の移動を任意の位置で停止させることができるため、ドア13(可動側部材)の開角度を無段階で停止させることができる。かかる機能の摩擦力を作用させるため、巻き付き部5aは軸体4のボビン部4aに対し2巻以上となって巻き付けられる。
【0027】
緊張付与機構7はレバープレート2の第2屈曲部2c側に配置される。
図7及び
図8に示すように、緊張付与機構7は第2屈曲部2cの外面に固定されたカムケース7aと、カムケース7a内に収容された緊張用カム部材7bと、戻しばね9と、カムケース7aから外側に引き出された操作部材8とを備えている。この場合、緊張付与機構7には他方のケーブル部5cが貫通する。
【0028】
緊張用カム部材7bは回転カム7cと、回転カム7cに対面したスライドカム7dと、スライドカム7d側に設けられたロック駒7gとによって形成されている。回転カム7c及びスライドカム7dの対向した対向面は、他方のケーブル部5cの端部5eの方向に向かって傾斜するカム面7eとなっている。またカムケース7aの内面には、他方のケーブル5cの端部5eに向かって径が漸減した傾斜となっている斜面7fが形成されている。ロック駒7gはスライドカム7dと他方のケーブル部5cの端部5eとの間に設けられており、他方のケーブル部5cを中心とした円周上に複数が配置されている。それぞれのロック駒7gは斜面7fをスライドするように設けられており、斜面7fに沿った往復方向へのスライドにより他方のケーブル部5cに接近したり、離れるように作動する。そして、他方のケーブル部5cに接近することにより他方のケーブル部5cを挟み込んで保持し、他方のケーブル部5cから離れることにより保持を解放する。
【0029】
戻しばね9はロック駒7g及びスライドカム7dが回転カム7c側に復帰するように付勢する。
図7は平常時を示し、スライドカム7dが回転カム7c側に位置し、ロック駒7gが他方のケーブル部5cから離れている。
図7の状態では、戻しばね9によってロック駒7gが他方のケーブル部5cから離れるように付勢されるため、ロック駒7gが他方のケーブル部5cを挟み込むことはない。操作部材8は回転カム7cに連結されており、その回転操作によって回転カム7cを回転させる。そして一方向への回転操作により、回転カム7cがスライドカム7dを押し出して他方のケーブル部5cの端部5eの方向に移動させるため緊張用カム部材7bが伸長作動し、この伸長作動によりロック駒7gが他方のケーブル部5cを挟み込んでロック駒7gが伸長方向に移動する。この移動により他方のケーブル部5cがボビン部4aに巻き付けられている巻き付き部5aから離れる右方向に直線的に引っ張られるため、他方のケーブル部5cが緊張状態となると共にこの緊張状態がロックされる。操作部材8の反対方向への回転操作では、回転カム7cによるスライドカム7dの押し出しが解除されるため、スライドカム7dが戻しばね9の付勢力によって元に復帰すると共にロック駒7gによる他方のケーブル部5cの挟み込みが解除される。
【0030】
図7及び
図8に示すように、他方のケーブル部5cは回転カム7c、スライドカム7d及びロック駒7gを貫通してカムケース7aの外側に引き出されており、引き出された端部5eがカムケース7aの外面に係止されている。
【0031】
図7の状態で操作部材8を操作して回転カム7cを回転させ、スライドカム7dを他方のケーブル部5cの端部5eに接近するように移動させる。この方向への移動により、緊張用カム部材7bが伸長作動すると共にロック駒7gが他方のケーブル部5cを挟み込んで他方のケーブル部5cを直線的に引張って緊張状態とすると共に、この緊張状態をロックする。このように他方のケーブル部5cの緊張状態がロックされると、スライド部材3は他方のケーブル5cの端部5e側(ドア13の開き方向)に移動することができず、スライド部材3の移動が強制的にロックされる。このためドア解放時に強風を受けたり、坂道停車を行っても、さらにはドアに人が寄りかかってもドア13がその位置を確保するため、安全となる。
【0032】
この場合において、操作部材8への操作を行うことなく、緊張付与機構7によるロック力よりも大きな力をドア13に作用させることにより、スライド部材3を介してロック部材7のロックを強制的に解除することができる。従って車両衝突等の緊急時における投げドア操作が可能となっている。
【0033】
図8の状態で操作部材8を操作して回転カム7cを反対方向に回転させると、スライドカム7dが他方のケーブル部5cの端部5eから離れて
図7の状態となるため、緊張付与機構7の引っ張りによる緊張状態のロックが解除され、左側の他方のケーブル部5cは緊張付与機構7が動作しない前の状態に戻る。このため、スライド部材3は上述したように左右のケーブル部5b、5cの緊張状態及び軸体3への巻き付き部5aの摩擦力に基づいた移動停止を行う。
【0034】
図1〜
図3はドア13が閉じた状態であり、この状態でドア13を回転させて開けると、ドア13の回転によってスライド部材3が押されるため、スライド部材3がレバープレート2に沿って左方向に移動する。
図5及び
図6はこのドア13の開放時におけるスライド部材3を示す。このスライド部材3の移動においては、軸体4に対する巻き付き位置が変化しながら軸体4がスライド部材3と一体に移動する。このとき軸体4がスライド部材3に固定された固定軸となっており、この軸体4に対してケーブル5の巻き付き部5aが摩擦力を作用させている。このように左右のケーブル部5b、5cが緊張状態となっているとき、ドア13の開放を止めると、巻き付き部5aの摩擦力によってスライド部材3がその位置で移動停止する。これによりドア13はその開角度で停止するため、ドア13を任意の角度で停止させることができ、ドア13の開放を無段階で停止させることが可能となる。この状態でドア13をさらに開放したり、ドア13を閉じるために回転させると、スライド部材3が巻き付き部5aの軸体4への摩擦力に抗してその回転方向に応じた方向に移動する。従ってドア13の開閉を円滑に行うことができる。この実施形態では、上述したように緊張付与機構7を操作して他方のケーブル部5cを緊張ロックすることにより、ドア13の開動作を強固に停止させた状態とすることができる。
【0035】
このような実施形態では、スライド部材3に設けた軸体4に巻き付けられたケーブル5の巻き付き部5aの摩擦力によってスライド部材3の移動が任意の位置で停止するため、ドア13(可動側部材)を無段階で停止させることができる。また、ドア13(可動側部材)の開閉停止が軸体4に巻き付いたケーブル5の摩擦力によってなされるため、軸体4にケーブル5を巻き付けるだけで開閉停止が可能であり、高精度の加工が不要であり、組み付けも容易となり、コストダウンすることができる。
【0036】
(第2実施形態)
図9〜
図13は本発明の第2実施形態のスライドロック装置1Aであり、
図9〜
図11は作動前の状態、
図12及び
図13はスライド部材3の移動状態を示す。
【0037】
この実施形態のスライドロック装置1Aは、軸体4を回転可能な可動軸とすると共に軸体4の回転を所定の摩擦力範囲内で規制する摩擦機構17が設けられた構造となっている。また、第1実施形態のスライドロック装置1から緊張付与機構7を省いている。その他の構造は第1実施形態のスライドロック装置1と同様である。
【0038】
この実施形態の軸体4は、ボビン部4aの両端の軸部4bがスライド部材3の保持ブラケット部3bに回転可能に差し込まれているのに加え、一方の軸部4b(図示例では、上側の軸部4b)がスライド部材3と直交する方向に延びており、この延びた軸部4b側に摩擦機構17が設けられている。
【0039】
摩擦機構17は、摩擦板17a、皿ばねからなる弾性体17b、押し板17f、スライドカム17c、回転カム17dがスライド部材3から離れるのにつれて順に配置された状態でケース17gに収容された構造となっている。回転カム17dは回転操作されるものであり、この回転操作を行うためのレバー17eが回転カム17dに取り付けられている。
【0040】
摩擦板17aは軸体4の一方の軸部4bに回転拘束された状態で一方の軸部4bに取り付けられている。弾性体17bは摩擦板17aを押圧することにより、摩擦板17aに摩擦力を作用させるものであり、弾性体17bの摩擦力が所定以上のとき、摩擦板17aの回転が拘束され、これにより軸体4が回転拘束される。これに対し、弾性体17bの摩擦力が所定以下のときには摩擦板17aが回転可能となり、軸体4が回転可能となる。
【0041】
回転カム17dには、摩擦板17aに向かって立ち上がった傾斜のカム面17hが形成されており、スライドカム17cはこのカム面17hに当接している。レバー17eへの操作で回転カム17dが回転することにより、スライドカム17cが軸体4の一方の軸部4bに沿って移動する。この移動により、押し板17fを介して弾性体17bに作用するスライドカム17cの押圧力が変化し、軸体4の回転拘束及び回転可能を切り換えることができる。
【0042】
図9〜
図11は、レバー17eへの操作がなされない状態であり、スライドカム17cによる弾性体17bへの押圧が弱く、弾性体17bは摩擦板17aに対して所定以下の摩擦力を作用させている。この状態では軸体4はスライド部材3に対して回転可能となっている。従って、スライド部材3を小さな力で移動させることができる。
【0043】
図12及び
図13は、スライド部材3のスライド途中で、レバー17eを操作して回転カム17dを回転させ、スライドカム17cを弾性体17b方向に移動させた状態を示す。この状態では、弾性体17bに対するスライドカム17cの押圧が大きくなり、弾性体17bは摩擦板17aに対して所定以上の摩擦力を作用させる。これにより軸体4が回転拘束され、軸体4は第1実施形態における固定軸と同様となる。この状態では、軸体4が固定軸である第1実施形態と同様であり、左右のケーブル部5b、5cの緊張状態での巻き付き部5aの軸体4への摩擦力によってスライド部材3は移動停止状態となる。又、巻き付き部5aの軸体4への摩擦力以上の移動力をスライド部材3に作用させることによりスライド部材3がその方向に移動する。
【0044】
このような実施形態では、第1実施形態と同様な効果を得ることができるのに加え、軸体4を回転可能な可動軸の状態に変化させることができ、軸体4が回転可能となることによりスライド部材3の移動を小さな力で行うことができる。
【0046】
この実施形態のスライドロック装置1Bは、ケーブル5に対して2つの弾性部材6、16を設けるものであり、弾性部材6,16はケーブル5の両端に配置されている。弾性部材部材6、16はいずれも圧縮ばねが用いられている。以下、弾性部材6を第1弾性部材6、弾性部材16を第2弾性部材16として説明する。又、この実施形態においては、第1実施形態の緊張付与機構7が省略され、軸体4はスライド部材3に固定された固定軸となっている。
【0047】
第1弾性部材6は、ケーブル5における右側の他方のケーブル部5c側に位置するように配置されるものであり、レバープレート2の他方側の第2屈曲部2cの外面に接触するように設けられている。他方のケーブル部5cはこの第2屈曲部2c及び第1弾性部材6を貫通しており、その端部5eが第1弾性部材6の外側に係止されている。これにより第1弾性部材6は他方のケーブル部5cに対して張力を作用させて緊張状態とし、他方のケーブル部5cが緩むことを防止している。
【0048】
第2弾性部材16はケーブル5における左側の一方のケーブル部5b側に位置するように配置されている。第2弾性部材16はレバープレート2の一方側の第1屈曲部2bの外面に接触するように設けられており、一方のケーブル部5bはこの第1屈曲部2b及び第2弾性部材16を貫通し、その端部5dが第2弾性部材16の外側に係止されて固定されている。これにより第2弾性部材16は、一方のケーブル部5bに対して張力を作用させて緊張状態とし、一方のケーブル部5bが緩むことを防止している。
【0049】
このようにケーブル5の両端部に対して弾性部材6、16を設けることにより、左右のケーブル部5b、5cの双方が直線状に延びた緊張状態を維持することができる。そして、左右のケーブル部5b、5cの緊張状態では、ケーブル5の巻き付き部5aが軸体4に作用する摩擦力によってスライド部材3の移動が停止し、ドア13(可動側部材)の開閉が停止した状態となる。可動側部材の停止状態に対し、巻き付き部5aの軸体4への摩擦力以上の移動力をスライド部材3に作用させると、スライド部材3が移動する。
【0050】
すなわち
図17及び
図18に示すように、スライド部材3に対して右側の他方のケーブル部5c(第1弾性部材6)方向への移動力を作用させると、一方のケーブル部5bが同方向に引っ張られて第2弾性部材16が撓むと共に軸体4の右側の他方のケーブル部5cが弛緩する。このためスライド部材3は矢印A方向の任意の位置に移動することができる。一方、
図19及び
図20に示すように、スライド部材3に左側の一方のケーブル部5b方向への移動力を作用させると、これと逆の動作となり、スライド部材3が矢印B方向に移動することができる。これらの移動において、移動力を解除することにより弾性部材6、16の付勢力によってケーブル部5b、5cが緊張状態に戻り、軸体4への巻き付き部5aの摩擦力によってスライド部材3がその位置で停止する。このためドア13がその開角度で停止し、ドア13の開放を無段階で停止させることができる。ドア13をさらに開放したり、ドア13を閉じる場合には、軸体4へ作用している巻き付き部5aの摩擦力以上の開閉力をドア13に作用させることにより可能となる。
【0051】
このような実施形態では、左右のケーブル部5b、5cのそれぞれが弾性部材6、16によって緊張状態が維持されて巻き付き部5aが軸体4に確実に巻き付いた状態となるため、スライド部材3の不用意な移動を防止することができ、安定した移動停止状態とすることができる。左右の弾性部材6、16は同じばね力であっても良く、異なったばね力であっても良い。後者の場合には、いずれか一方向へのスライド部材3の移動力と他方向へのスライド部材13の移動力とが異なることから、例えば一方向への移動力に対し他方向への移動力を大きくする必要があり、これによりドア13を閉じ勝手又は開き勝手とすることができる。なお、弾性部材6、16はいずれかのケーブル部5b、5cに設けるものであれば良く、両方のケーブル部5b、5cに設ける必要はない。
【0052】
(第4実施形態)
図21〜
図25は、本発明の第4実施形態のスライドロック装置1Cであり、
図21〜
図23は作動前の状態、
図24及び
図25はスライド部材3の移動状態を示す
【0053】
この実施形態のスライドロック装置1Cは、第3実施形態のスライドロック装置1Bに第1実施形態のスライドロック装置1の緊張付与機構7を組み合わせた構造となっている。緊張付与機構7は他方のケーブル部5cに対応して設けられるものであり、レバープレート2の第2屈曲部2cと、第1弾性部材6との間に配置される。又、軸体4はスライド部材3に固定された固定軸となっている。
【0054】
この実施形態では、緊張付与機構7が作動していないときは、第3実施形態のスライドロック装置1Bと同様に作動する。すなわち、左右の弾性部材6、16のそれぞれにより左右のケーブル部5b、5cの双方が直線状に延びた緊張状態を維持し、この左右のケーブル部5b、5cの緊張状態では、ケーブル5の巻き付き部5aが軸体4に作用する摩擦力によってスライド部材3の移動が停止し、ドア13(可動側部材)の開閉が停止した状態となる。可動側部材の停止状態に対し、巻き付き部5aの軸体4への摩擦力以上の移動力をスライド部材3に作用させると、スライド部材3が移動する。
【0055】
これに対し、緊張付与機構7が作動した状態、すなわち操作部材8を回転操作して緊張用カム部材7bを伸長作動させると共にロック駒7gによって他方のケーブル部5cを挟み込み、他方のケーブル部5cを巻き付き部5aから離れる方向に引っ張った状態とすると、他方のケーブル部5は第1弾性部材6とは関係なく、緊張状態でロックされる。これによりスライド部材3を停止位置で強制的にロックすることができ、ドア13を任意の開角度でロックすることができる(
図24及び
図25)。
【0056】
(第5実施形態)
図26〜
図30は、本発明の第5実施形態のスライドロック装置1Dであり、
図26〜
図28は作動前の状態、
図29及び
図30はスライド部材3の移動状態を示す
【0057】
スライドロック装置1Dは第3実施形態のスライドロック装置1Bを基本構造とし、第3実施形態のスライドロック装置から第2弾性部材16を削除すると共に、第1弾性部材6(以下、弾性部材6)側に緊張増大機構18を設けた構造となっている。軸体4はスライド部材3に固定された固定軸となっている。
【0058】
緊張増大機構18はレバープレート2の他方側の第2屈曲部2cと弾性部材6との間に設けられる。緊張増大機構18は第2屈曲部2cの外面に固定されたカムケース18aと、カムケース18a内に設けられた緊張増大用カム部材18bと、操作のため操作レバー18hとによって形成されている。
【0059】
緊張増大用カム部材18bは回転カム18c及びスライドカム18dを有し、回転カム18cにおけるスライドカム18dとの対向面には、弾性部材6の方向に向かって立ち上がり状に傾斜するカム面18e及びカム面18eの頂部に連続する頂面18fが形成され、スライドカム18dにはカム面18eに対向するカム突起18gが形成されている。他方のケーブル部5cは回転カム18c及びスライドカム18dを貫通すると共に弾性部材6貫通しており、その端部5eが弾性部材6の外端面に係止されている。
【0060】
緊張増大機構18においては、操作レバー18hを操作して回転カム18cを回転させることによりカム面18eに接触しているカム突起18gが頂面18fに接触する。これにより
図29及び
図30に示すように回転カム18cとスライドカム18dとが最も離れた状態となり、緊張増大機構18の全体が伸長して弾性部材6を撓ませる。弾性部材6が撓むことにより、他方のケーブル部5cにおける緊張増大機構18の左側の部分の緊張状態が強くなる。すなわち緊張増大機構18が作動することにより弾性部材6が撓んでばね力が変化するため、緊張増大機構18の作動前における他方のケーブル部5cの緊張状態よりも他方のケーブル部5cを強い緊張状態へ変化させることができる。このためスライド部材3の停止力すなわちロック力を変化させることが可能となる。
この場合、緊張増大機構18の操作により変化した弾性部材6のばね力以上の力をスライド部材3に作用させることによりスライド部材3をスライドさせることが可能である。
【0061】
(第6実施形態)・
図31〜
図35は、本発明の第6実施形態のスライドロック装置1Eであり、
図31〜
図33はスライド部材3のロック状態、
図34、
図35はスライド部材3のロック解除状態を示す。
【0062】
このスライドロック装置1Eにおいては、スライド部材3がスライドケース21を有し、このスライドケース21がレバープレート2のプレート本体2aの長手方向に沿って移動可能となっている。軸体4は固定軸であり、スライドケース21の内部に固定されている。軸体4の外周にケーブル5が巻き付けられて、ケーブル5の巻き付き部5aが形成されている。ケーブル5は軸体4の両側のケーブル部5b及び5cを有しており、ケーブル部5bの端部5dがレバープレート2の第1屈曲部2bに係止され、ケーブル部5cの端部5eがレバープレート2の第2屈曲部2cに係止されている。これらのケーブル部5b及び5cはレバープレート2の長さ方向に沿って直線状に延びている。このように軸体4にケーブル5が巻き付けられて巻き付き部5aが形成されることにより、巻き付き部5aの摩擦力によってスライド部材3の移動を任意の位置で停止させることができるため、ドア13(可動側部材)の開角度を無段階で停止させることができる。
【0063】
スライドケース21には押圧部材22及び解除部材23が設けられている。押圧部材22及び解除部材23はケーブル5を緊張及び弛緩させる緊張付与機構(第1実施形態における緊張付与機構7に相当)を構成するものである。
【0064】
押圧部材22は軸体4の両側のケーブル部5b、5cに対応するように軸体4の両側に一対が設けられる。それぞれの押圧部材22は、対応したケーブル部5b、5cに対し接離方向に移動可能な押圧ロッド24と、押圧ロッド24の先端部(下端部)に取り付けられた押圧ローラ25と、押圧ロッド24がケーブル部5b、5cの方向に移動するように付勢する圧縮ばねからなる押圧ばね26とによって形成されている。この場合、スライドケース21にはそれぞれの押圧ローラ25の両側に位置する受けローラ27が取り付けられている。受けローラ27は押圧ローラ25によって押圧されるケーブル部5b、5cを押圧ローラ25の両側で受け止めるものである。
【0065】
以上の構造の押圧部材22においては、押圧ロッド24がケーブル部5b、5cの方向に移動して押圧ローラ25が対応したケーブル部5b、5cを押圧する。この押圧によりケーブル部5b、5cに曲げ部5f、5gが形成される。曲げ部5f、5gが形成されることによりケーブル部5b、5cが緊張状態となってロックされるため、スライド部材3の移動が強制ロックされる。
【0066】
解除部材23はスライドケース21に対してスライド可能に設けられるものであり、スライドケース21の片側の面にスライド可能に設けられた操作板31と、操作板31に形成された解除用テーパ面32と、解除用テーパ面32に沿って転動する解除ローラ33とによって形成されている。
【0067】
操作板31はケーブル部5b、5cが延びた方向に沿ってスライドするようにスライドケース21に設けられている。操作板31におけるスライド方向の両端部にはストッパ部31aが形成されることにより操作板31のスライド量が規制されている。解除用テーパ面32は軸体4の両側の押圧部材32に対応した位置となるように操作板31に対し2箇所に形成されている。解除用テーパ面32は断面三角形の斜面となっている。解除ローラ33はそれぞれの押圧部材22における押圧ロッド24の基端部(上端部)に回転可能に取り付けられており、スライドケース21をスライドさせることにより解除用テーパ面32に沿って転動する。
【0068】
このような構造のスライドロック装置1Eにおいて、解除ローラ33が解除用テーパ面32の三角形の底角に位置しているときは押圧ローラ25がそれぞれのケーブル部5b、5cを押圧する(
図31〜
図33参照)。これによりケーブル部5b、5cに曲げ部5f、5gが形成され、ケーブル部5b、5cが緊張状態となるため、スライド部材3の移動がロックされる。
図34及び
図35はスライドケース21に対して解除部材23をスライドさせた状態を示し、解除用テーパ面32がスライド方向に移動するため押圧ロッド24は解除ローラ33を介してケーブル部5b、5cから離れる方向に移動する。このためケーブル部5b、5cが緩んでスライド部材3のロックが解除され、スライド部材3はいずれの方向にも移動することができ、ドア13(可動側部材)が正逆回転可能となり、ドア13を開放または閉鎖することができる。なお、この実施形態では、解除部材23を省いても良く、この場合は軸体4に巻き付いている巻き付き部5aの摩擦力以上の移動力をスライドケース21に作用させることによりスライドケース21を移動させることができる。
【0069】
(第7実施形態)
図36〜
図41は、本発明の第7実施形態のスライドロック装置1Fであり、
図36〜
図38はスライド部材3のロック状態、
図39〜
図41はスライド部材3のロック解除状態を示す。
【0070】
スライドロック装置1Fは第6実施形態のスライドロック装置1Eを基本構造とするものであり、第6実施形態のスライドロック装置1Eに対し、軸体4が固定軸から回転可能な可動軸の間で切り換えることができる構造である点が相違する。
【0071】
軸体4はスライドケース21に回転可能に取り付けられている。軸体4の軸芯には、ロックギア35が取り付けられ、ロックギア35に対応したロック爪36がスライドケース21に取り付けられている。ロック爪36はロックギア35に噛合可能となっている。また、ロック爪36は解除ばね37を備えており、解除ばね37によってロックギア35から離れる方向(上方向)に移動するようにロック爪36が付勢されている。さらにスライド部材23におけるロック爪36との対向部分には、ロック爪36をロックギア35との噛合方向(下方向)に押す断面三角形のロック凸部38が形成されている。
【0072】
図36〜
図38に示すように、ロック凸部38がロック爪36を押すことにより、ロック爪36がロックギア35に噛合するため軸体4は固定状態となる。この状態では、第6実施形態と同様に作動させることができる。これに対し、
図39〜
図41に示すように、スライド部材23をスライドさせると、ロック凸部38がロック爪36から外れるため、ロック爪36は解除ばね37の付勢力によってロックギア35から退避して噛合が解除される。この状態では、軸体4が回転可能状態となるため、スライド部材3の移動を小さな力で行うことができる。
【0073】
本発明は以上の実施形態に限定されることなく種々変形が可能である。例えば、それぞれのスライドロック装置は自動車のドアだけでなく、センターコンソール等の扉、その他の部材に対しても適用することができる。また、別個の2本のケーブル5を用い、それぞれのケーブルの一端部を軸体4に巻き付け、他端部をレバープレート2の長手方向に沿って直線的に延ばすように配置しても良い。