(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
[内視鏡用予備洗浄装置1]
先ず、本実施形態における内視鏡用予備洗浄装置1(以下、「予備洗浄装置1」と記載する)の全体構成について説明する。予備洗浄装置1は、既知の内視鏡50の予備洗浄を行うための装置である。予備洗浄装置1は、例えば
図5に示すように、主に洗浄ユニット2や制御ユニット3などにより構成される。
【0017】
洗浄ユニット2は、内視鏡50の予備洗浄を行うための洗浄スペースを確保するためのものである。洗浄ユニット2には、後述するように、前記洗浄スペースを具体的に形成するための洗浄槽21が備えられる。
【0018】
そして、使用直後の内視鏡50は、洗浄槽21内に投入され、該洗浄槽21内において予備洗浄を施される。
【0019】
一方、制御ユニット3は、予備洗浄装置1全体の運転を制御するためのものである。制御ユニット3には、後述するように、圧縮空気を吐出するエアポンプ31や、液体を循環させる循環ポンプ32などが備えられる。
【0020】
そして、使用直後の内視鏡50は、エアポンプ31と連通されて、予備洗浄の作業内容の一つであるリークチェックを施される。また、前記内視鏡50は、例えば
図7や
図9に示すように、循環ポンプ32と連通されて、予備洗浄の作業内容の一つである浸漬洗浄やすすぎを施される。
【0021】
このような構成からなる洗浄ユニット2、及び制御ユニット3は、常に隣接して配置される。そして、後述するように、洗浄槽21内に投入された内視鏡50は、作業手順に従って、順次エアポンプ31、及び循環ポンプ32との連通関係を切替えられ、予備洗浄を施されるのである。
【0022】
[洗浄ユニット2]
次に、洗浄ユニット2の具体的構成について、
図1を用いて説明する。なお、以下の説明に関しては便宜上、
図1の上下方向を洗浄ユニット2の上下方向と規定して記述する。また、
図1においては、矢印Aの方向、及び該矢印Aの対向方向を、それぞれ前面側及び背面側と規定して記述する。さらに、
図1においては、正面視にて向かって右方を右側と規定するとともに、正面視にて向かって左方を左側と規定して記述する。
【0023】
本実施形態における洗浄ユニット2は、主に洗浄槽21やスタンド22や洗浄ブラシ23などにより構成される。なお、以下に示す洗浄ユニット2の構成は、その一例を示すものであって、特に限定されるものではない。即ち、洗浄ユニット2の構成については、少なくとも、内視鏡50の予備洗浄を行うための洗浄スペースを、具体的に形成し得る洗浄槽を備えるものであれば、何れのような構成であってもよい。
【0024】
洗浄槽21は、下側槽211と、該下側槽211の内側に上方より嵌装される上側槽212とからなる二重構造によって構成される。前記下側槽211は、上側槽212を容易に嵌合可能な十分な内容積を有しつつ、該上側槽212の外観形状に基づいて形成される。具体的には、例えば本実施形態において、下側槽211は、上方に開口される直方体形状の箱形状に形成される。
【0025】
そして、下側槽211の裏面には、下方に向かって突出する突出部(図示せず)が該下側槽211の外縁に沿って環状に形成されるとともに、前記裏面の四隅には、開口部(図示せず)が各々穿孔される。
【0026】
上側槽212は、本体部212Aや鍔部212Bなどにより一体的に形成される。前記本体部212Aは、例えば本実施形態においては、上方に開口される略直方体形状の箱状に形成される。
【0027】
具体的には、本体部212Aの左側面は、平面視円弧状に湾曲形成されている。また、本体部212Aの底面は、第一底面部212aと、該第一底面部212aの右側において前記第一底面部212aに比べて低い位置に配設される第二底面部212bとにより一体的に形成される。そして、第一底面部212aには、円筒状の第一凸設部位212cなどが形成される。
【0028】
なお、第一凸設部位212cの内周部には、底面212dが、前記第一底面部212aと略同一平面上に配設される。また、第一凸設部位212cの上端部は、後述する鍔部212Bの上面に比べて、僅かに低くなるように形成されている。そして、底面212dには、排水用の複数の貫通孔が穿孔される。
【0029】
一方、第二底面部212bの略中央部には、開口部212eが形成される。そして、前記開口部212eには通常、栓24が嵌設されており、例えば、洗浄槽21内の汚水を外部に排水するなどのような特別な場合においてのみ、栓24を脱着させて、開口部212eを開放するようになっている。
【0030】
第二底面部212bの隅部には、サクションフィルター25が載置されており、該サクションフィルター25には、例えばシリコンホースなどからなる吸引用ホース26の一端部が嵌設される。そして、吸引用ホース26の他端部は、後述する制御ユニット3のサクション用コネクター35B(
図2を参照)と連結されている。
【0031】
鍔部212Bは、本体部212Aの上端部の外縁に沿って水平状に配設され、該本体部212Aと一体的に形成される。そして、上側槽212は、下側槽211の内側に上方より嵌装されるが、この際、鍔部212Bの底面と、下側槽211の上端部とが当接され、下側槽211に対する上側槽212の配置姿勢が保持されるのである。
【0032】
ところで、下側槽211の内側に上側槽212が嵌装された状態において、該上側槽212の底面は、前記下側槽211の底面の上方に離間して配設されることとなる。つまり、洗浄槽21には、下側槽211の内周面及び底面と、上側槽212の底面とによって囲まれた空間部が形成されることとなり、該空間部内に、後述する洗浄ブラシ23が収納されることとなる。
【0033】
一方、上側槽212の右側面には、開口部212fが形成される。そして、前記空間部内に収納された洗浄ブラシ23は、前記開口部212fを介して、上側槽212の内側へと引き出されるのである。
【0034】
次に、スタンド22について説明する。スタンド22は、洗浄槽21の外部において、内視鏡50の一部分(例えば、
図5に示すコネクター部52など)を着脱可能に保持するためのものである。スタンド22は、上側槽212の鍔部212Bに立設される棒状のガイドロッド221や、該ガイドロッド221に摺動可能に嵌挿される保持部材222などにより構成される。
【0035】
そして、保持部材222には、平面視略「C」字状の切欠部222aが形成されており、該切欠部222aの開口部より押し込むことで、内視鏡50のコネクター部52は、前記切欠部222aに嵌合される。こうして、内視鏡50のコネクター部52は、スタンド22によって、洗浄槽21の外部にて容易、且つ堅固に保持される。
【0036】
一方、スタンド22によって保持された内視鏡50のコネクター部52を、保持部材222より離脱させる場合は、該保持部材222の切欠部222aの開口部を介して、前記コネクター部52を引き出すことによって、容易に行うことができるのである。
【0037】
次に、洗浄ブラシ23について説明する。洗浄ブラシ23は、内視鏡50に予め付属されている既知の部品であって、該内視鏡50の内部に形成される複数の管路内に付着した汚物を取り除くためのものである。洗浄ブラシ23は、ワイヤー部23aや、該ワイヤー部23aの一端に設けられるブラシ部23bや、該ワイヤー部23aの他端に設けられる取手部(図示せず)などにより構成される。
【0038】
そして、前述したように、洗浄ブラシ23は通常、下側槽211の内周面及び底面と、上側槽212の底面とによって囲まれた空間部内に収納される。より具体的には、洗浄ブラシ23は、ワイヤー部23aの大部分、及び取手部が前記空間部内に収納されるとともに、ブラシ部23bが、上側槽212の開口部212fを貫通し、本体部212Aの内側に突出した状態によって保持されている。
【0039】
このような構成からなる洗浄ブラシ23を使用する場合は、ブラシ部23bを水平方向に引き出せばよい。これにより、洗浄ブラシ23は、開口部212fを介して、前記空間部内より、本体部212Aの内側へと引き出されることとなる。
【0040】
一方、洗浄ブラシ23を前記空間部内に収納する場合は、ブラシ部23bを開口部212f側へと押しやればよい。これにより、洗浄ブラシ23は、開口部212fを介して、全体的に前記空間部内へと押し込まれることとなるのである。
【0041】
[制御ユニット3]
次に、制御ユニット3の具体的構成について、
図2、及び
図3を用いて説明する。なお、以下の説明に関しては便宜上、
図2、及び
図3の上下方向を制御ユニット3の上下方向と規定して記述する。また、
図2、及び
図3においては、矢印Aの方向、及び該矢印Aの対向方向を、それぞれ前面側及び背面側と規定して記述する。さらに、
図2、及び
図3においては、正面視にて向かって右方を右側と規定するとともに、正面視にて向かって左方を左側と規定して記述する。
【0042】
本実施形態における制御ユニット3は、
図3に示すように、エアポンプ31や循環ポンプ32や配管機器群33や電気機器群34や、これら複数の構成機器群を内装する筐体35などにより構成される。
【0043】
エアポンプ31は、洗浄ユニット2の洗浄槽21(
図1を参照)内に投入された内視鏡50に対して、予備洗浄の作業内容の一つであるリークチェックを行う際に用いられる機器である。エアポンプ31は、圧縮空気を吐出する既知の小型コンプレッサーなどによって構成される。
【0044】
そして、例えば本実施形態に示すように、エアポンプ31は、筐体35内部の底部に配設される。この際、エアポンプ31の吐出口(図示せず)は、筐体35の前側面の下部に貫設されるリークチェック用コネクター35A(
図2を参照)と連結される。
【0045】
次に、循環ポンプ32について説明する。循環ポンプ32は、洗浄ユニット2の洗浄槽21内に投入された内視鏡50に対して、予備洗浄の作業内容の一つである浸漬洗浄やすすぎを行う際に用いられる機器である。循環ポンプ32は、液体の吸・排水を行う既知の小型の水ポンプなどによって構成される。
【0046】
そして、例えば本実施形態に示すように、循環ポンプ32は、筐体35内部の底部において、エアポンプ31と隣接して配設される。この際、循環ポンプ32の吸入口32aは、複数の配管部材36・36・・・を介して、筐体35の前側面の上部に貫設されるサクション用コネクター35B(
図2を参照)と連結される。また、循環ポンプ32の吐出口32bは、後述するオリフィスブロック33Aに嵌設され、該オリフィスブロック33Aを介して、筐体35の前側面の上部に貫設される第一吐出用コネクター35Cや第二吐出用コネクター35Dや第三吐出用コネクター35E(
図2を参照)などと連結される。
【0047】
次に、配管機器群33について説明する。配管機器群33は、オリフィスブロック33Aやバルブ33Bなどにより構成される。前記オリフィスブロック33Aは、循環ポンプ32より吐出される液体の流量を制御するための配管機器である。
【0048】
オリフィスブロック33Aは、例えば直方体形状の部材によって形成され、その内部には、連通経路(例えば、
図5を参照)が形成されている。前記連通経路は、上流側において一経路(一本の経路)を有するものの、中途部にて分岐され、下流側において、四経路(四本の経路)を有して構成される。また、分岐された三経路(三本の経路)の中途部には、オリフィスが各々配設されている。なお、後述するように、分岐された一本の経路の中途部には、バルブ33Bが配設される。
【0049】
そして、例えば本実施形態に示すように、オリフィスブロック33Aは、筐体35の内部において、循環ポンプ32の上方に配設される。また、前述したように、循環ポンプ32の吐出口32bは、オリフィスブロック33Aに嵌設され、前記連通経路の上流側と連結される。この際、前記三本の経路の下流側には、第一吐出用コネクター35Cや第二吐出用コネクター35Dや第三吐出用コネクター35Eが各々連結されている。つまり、循環ポンプ32の吐出口32bは、オリフィスブロック33Aを介して、第一吐出用コネクター35Cや第二吐出用コネクター35Dや第三吐出用コネクター35Eと各々連結されるのである。
【0050】
バルブ33Bは、循環ポンプ32より吐出される液体の流れを規制するための配管機器である。バルブ33Bは、例えば、既知のソレノイドバルブによって構成される。
【0051】
そして、例えば本実施形態に示すように、バルブ33Bは、筐体35の内部において、オリフィスブロック33Aの側面に嵌設される。これにより、バルブ33Bは、オリフィスブロック33A内部の連通経路において、分岐された一本の経路、即ち、オリフィスが設けられていない経路の中途部に配設されることとなる。
【0052】
なお、前記一本の経路の下流側には、筐体35の前側面の上部に貫設される第四吐出用コネクター35F(
図2を参照)が連結される。つまり、循環ポンプ32の吐出口32bは、バルブ33Bを介在しつつオリフィスブロック33Aを介して、第四吐出用コネクター35Fと連結されるのである。
【0053】
ところで、
図2に示すように、制御ユニット3の前側面には、シリンジ用コネクター35G及び洗剤用コネクター35Hが各々貫設されている。前記シリンジ用コネクター35G及び洗剤用コネクター35Hは、筐体35の内部において、バルブ33Bと第四吐出用コネクター35Fとを繋ぐ連通経路の中途部より分岐する経路によって、各々連通される(例えば、
図6を参照)。
【0054】
なお、シリンジ用コネクター35G及び洗剤用コネクター35Hの上流側には、逆止弁38・38(
図6を参照)が設けられており、バルブ33Bより流出した液体が第四吐出用コネクター35Fへと送られる途中に分岐し、シリンジ用コネクター35G及び洗剤用コネクター35Hへと送られることを防止するようになっている。また、前記逆止弁38・38によって、洗剤用コネクター35Hよりシリンジ用コネクター35Gへと一旦送られた液体が、再び該洗剤用コネクター35Hへと逆流することを防止するようになっている。
【0055】
次に、電気機器群34について説明する。電気機器群34は、
図3に示すように、制御ユニット3の運転手順を具体的に制御するPLC(Programmable Logic Controller)34Aや、複数の電子部品による電気回路が構築されたドライブ基板34Bや、制御ユニット3全体の電源装置として設けられるスイッチング電源34Cや、該スイッチング電源34CのON/OFFを制御するスイッチ34Dなどにより構成される。
【0056】
また、例えば本実施形態に示すように、PLC34A及びドライブ基板34Bは、筐体35の内部において、該筐体35の上下方向中央部、即ち前述したエアポンプ31及び循環ポンプ32の上方に配設される。さらに、スイッチング電源34C及びスイッチ34Dは、筐体35の内部において、該筐体35の上部、即ちPLC34A及びドライブ基板34Bの上方に配設される。
【0057】
そして、電気機器群34を構成する、これらのPLC34Aやドライブ基板34Bやスイッチング電源34Cやスイッチ34Dは、エアポンプ31及び循環ポンプ32とともに、互いに電気的に接続される。
【0058】
以上に示したように、本実施形態における制御ユニット3においては、エアポンプ31や循環ポンプ32や配管機器群33や電気機器群34などが、全て一つの筐体35に纏めて収納される。また、
図2に示すように、本実施形態における制御ユニット3においては、エアポンプ31の吐出口と連結するリークチェック用コネクター35Aや、循環ポンプ32の吸入口32aと連結するサクション用コネクター35Bや、循環ポンプ32の吐出口32bと連結する第一、第二、第三、及び第四吐出用コネクター35C・35D・35E・35Fや、シリンジ用コネクター35G及び洗剤用コネクター35Hなどが、全て前記制御ユニット3の前側面に纏めて配設される構成となっている。
【0059】
そして、後述するように、予め定められた所定の手順に基づいて、内視鏡50と、これら複数のコネクターとの連通状態を切替えることにより、該内視鏡50に対する予備洗浄が行われるのである。
【0060】
なお、制御ユニット3の前側面には、例えば既知のタッチスイッチなどからなる操作スイッチ37が設けられ、該操作スイッチ37は、筐体35内において、ドライブ基板34Bと電気的に接続されている。そして、後述するように、前記操作スイッチ37を操作することによって、PLC34Aに電気信号が送信され、該電気信号を受信したPLC34Aは、該電気信号の内容に基づき、制御ユニット3(より具体的には、エアポンプ31、及び循環ポンプ32)の運転を制御するようになっている。
【0061】
[予備洗浄の作業手順]
次に、本実施形態における予備洗浄装置1によって、内視鏡50の予備洗浄を行う際の作業手順について、
図4を用いて説明する。
【0062】
予備洗浄装置1によって行われる内視鏡50の予備洗浄は、
図4に示すように、主に、準備工程S101やリークチェック工程S102や浸漬洗浄工程S103やすすぎ工程S104などにより構成される。前記準備工程S101は、予備洗浄装置1の洗浄ユニット2及び制御ユニット3の状態を、いつでも予備洗浄を開始できる状態にするための工程である。
【0063】
リークチェック工程S102は、内視鏡50の破損箇所の有無について、調査を行う工程である。リークチェック工程S102は、前記準備工程S101の終了後に行われる。
【0064】
浸漬洗浄工程S103は、内視鏡50の外表面や、該内視鏡50内部の管路などに付着する汚物を、ブラッシングによって剥離させる工程である。浸漬洗浄工程S103は、前記リークチェック工程S102の終了後に行われる。
【0065】
すすぎ工程S104は、剥離した汚物を除去するために、内視鏡50に対してすすぎを行う工程である。すすぎ工程S104は、前記浸漬洗浄工程S103の終了後に行われる。
【0066】
以上に示した、準備工程S101やリークチェック工程S102や浸漬洗浄工程S103やすすぎ工程S104が順次実行され、使用直後の内視鏡50に対して予備洗浄が施されるのである。
【0067】
[準備工程S101の作業手順]
次に、準備工程S101の作業手順について詳述する。
【0068】
先ず始めに、病院内に設置されているシンク内に洗浄ユニット2が載置され、該洗浄ユニット2の近傍に制御ユニット3が配設される。この際、洗浄ユニット2において、洗浄ブラシ23(
図1を参照)は、洗浄槽21の空間部内、即ち、下側槽211の内周面及び底面と、上側槽212の底面とによって囲まれた空間部内に収納されるとともに、上側槽212の開口部212eは、栓24によって閉塞された状態となっている。また、制御ユニット3において、スイッチング電源34C(
図3を参照)はOFF状態となっている。
【0069】
このような状態において、例えば
図5に示すように、サクション用コネクター35Bに、吸引用ホース26の一端が連結される。そして、該吸引用ホース26の他端にはサクションフィルター25が連結されるとともに、該サクションフィルター25を介して、該吸引用ホース26の他端が、洗浄槽21内に投入される。
【0070】
また、第一、第二、第三、第四吐出用コネクター35C・35D・35E・35Fには、例えばシリコンホースなどからなる第一、第二、第三、第四吐出用ホース27A・27B・27C・27Dの一端が各々連結されるとともに、これら第一、第二、第三、第四吐出用ホース27A・27B・27C・27Dの他端が、洗浄槽21内に投入される。
【0071】
また、リークチェック用コネクター35Aには、例えばシリコンホースなどからなるリークチェック用ホース28の一端が連結される。なお、リークチェック用ホース28の他端は、後述するリークチェック工程S102において、内視鏡50のコネクター部52と連結されることとなる。
【0072】
さらに、シリンジ用コネクター35G及び洗剤用コネクター35Hには、例えばシリコンホースなどからなるシリンジ用ホース29及び洗剤用ホース30の一端が各々連結される。なお、シリンジ用ホース29及び洗剤用ホース30の他端は、後述する浸漬洗浄工程S103において、シリンジ61及び洗剤容器62と各々連結されることとなる。
【0073】
一方、制御ユニット3において、スイッチ34D(
図3を参照)が操作され、スイッチング電源34CがON状態に切替えられる。
【0074】
以上により、洗浄ユニット2及び制御ユニット3の状態は、いつでも予備洗浄を開始できる状態となり、準備工程S101が終了するのである。
【0075】
[リークチェック工程S102の作業手順]
次に、リークチェック工程S102の作業手順について、
図5を用いて詳述する。
【0076】
洗浄ユニット2がシンク内に載置されるとともに、制御ユニット3のスイッチング電源34CがON状態に切替えられ、準備工程S101が終了すると、前記洗浄ユニット2の洗浄槽21内に、使用直後の内視鏡50が投入される。
【0077】
洗浄槽21内に投入された内視鏡50は、直ちに、該洗浄槽21内の所定の位置にて、所定の姿勢を保持される。そして、前述したリークチェック用ホース28の他端が、内視鏡50のコネクター部52に設けられる接続口(図示せず)と連結される。これにより、内視鏡50内の管路と、制御ユニット3のエアポンプ31とが連通されることとなる。
【0078】
その後、シンクに備えられる蛇口(図示せず)が開かれ、洗浄槽21内に大量の水が注ぎ込まれる。そして、洗浄槽21内の水の状態がオーバーフロー状態(満了状態)に到達すると、前記蛇口は閉じられ、給水が停止する。
【0079】
洗浄槽21内への給水が停止すると、前述した操作スイッチ37(
図2を参照)が操作され、エアポンプ31が運転を開始する。運転を開始したエアポンプ31からは、圧縮空気が連続的に吐出される。前記圧縮空気は、
図5中の矢印B(破線によって記載)によって示されるように、リークチェック用コネクター35Aを介してリークチェック用ホース28内を通過し、内視鏡50のコネクター部52へと送られる。
【0080】
そして、コネクター部52に到達した圧縮空気は、前述した接続口を介して、内視鏡50の管路内へと送られ、その後、該管路内を通過して所定の出口より内視鏡50の外部へと放出される。この際、内視鏡50の大部分は、洗浄槽21内に貯溜された水に沈水された状態となっており、操作部51を操作しながら内視鏡50の可動部位を可動させて、前記貯溜された水に発生する気泡の状態を、目視によって確認することで、前記内視鏡50に対するリークチェックが行われるのである。
【0081】
前記気泡の状態が十分に確認され、内視鏡50のリークチェックが終了すると、操作スイッチ37が操作され、エアポンプ31は運転を停止する。その後、前記接続口よりリークチェック用ホース28の他端が取り外され、リークチェック工程S102は終了するのである。
【0082】
[浸漬洗浄工程S103の作業手順]
次に、浸漬洗浄工程S103の作業手順について、
図6、
図7、及び
図8を用いて詳述する。
【0083】
内視鏡50のコネクター部52に設けられる接続口よりリークチェック用ホース28の他端が取り外され、リークチェック工程S102が終了すると、シリンジ61及び洗剤容器62が、制御ユニット3に連結される。具体的には、
図6に示すように、前述したシリンジ用ホース29の他端が、シリンジ61の外筒の先端部と連結される。また、前述した洗剤用ホース30の他端が、洗剤容器62の内部に挿入される。換言すると、洗剤が貯溜された洗剤容器62と、該洗剤容器62内の洗剤を計量するシリンジ61とが、循環ポンプ32の吐出口32bと連通される第一、第二、第三、第四吐出用コネクター35C・35D・35E・35Fに、各々連通しつつ備えられる。
【0084】
そして、制御ユニット3にシリンジ61及び洗剤容器62が各々連結された後、該シリンジ61の押子(プランジャー)が、予め定められたストローク量の分だけ、該シリンジ61の外筒より引き抜かれる。これにより、所定量の洗剤が、洗剤容器62内より吸引され、
図6中の矢印C1(破線によって記載)によって示されるように、洗剤用ホース30、洗剤用コネクター35H、逆止弁38、シリンジ用コネクター35G、シリンジ用ホース29と順に通過して、前記外筒の内部に一旦貯溜される。
【0085】
その後、シリンジ61の押子が、該シリンジ61の外筒の内部に押し込まれる。これにより、前記外筒の内部に貯溜されていた洗剤は、全てシリンジ61の外部に押し出されることとなり、
図6中の矢印C2(破線によって記載)によって示されるように、シリンジ用ホース29、シリンジ用コネクター35G、逆止弁38と順に通過した後、二経路に分岐される。
【0086】
そして、前記洗剤は、一方の経路を介して、第四吐出用コネクター35F、第四吐出用ホース27Dと順に通過し、洗浄槽21内へ放出される。また、前記洗剤は、他方の経路を介して、バルブ33B、オリフィスブロック33Aと順に通過した後、第一、第二、第三吐出用コネクター35C・35D・35Eへと各々送られ、第一、第二、第三吐出用ホース27A・27B・27Cを通過して、洗浄槽21内へ放出されるのである。
【0087】
ところで、前述したリークチェック工程S102において、操作スイッチ37が操作されてエアポンプ31が運転を停止すると、循環ポンプ32が運転を開始する。循環ポンプ32が運転を開始すると、
図6中の矢印D1(一点鎖線によって記載)によって示されるように、洗浄槽21内に貯溜される水が、サクションフィルター25、吸引用ホース26、サクション用コネクター35Bと順に通過し、前記循環ポンプ32内に吸入される。
【0088】
循環ポンプ32内に吸入された水は、
図6中の矢印D2(一点鎖線によって記載)によって示されるように、前記循環ポンプ32の外部へと吐出され、その後、一旦オリフィスブロック33Aへと送られる。
【0089】
オリフィスブロック33Aへと送られた水は、該オリフィスブロック33A内に形成される連通経路によって、四経路に分岐される。そして、前記四経路の内の三経路によって導かれた水は、中途部に設けられるオリフィスを各々通過した後、第一、第二、第三吐出用コネクター35C・35D・35Eを各々通過し、さらに、第一、第二、第三吐出用ホース27A・27B・27Cを各々通過して、再び洗浄槽21内へと放出される。また、前記四経路の内の一経路によって導かれた水は、バルブ33Bを通過した後、第四吐出用コネクター35Fを通過し、さらに、第四吐出用ホース27Dを通過して、再び洗浄槽21内へと放出されるのである。
【0090】
以上のように、シリンジ61を用いて必要量に計量された洗剤が、洗浄槽21内に投入されるとともに、該洗浄槽21の内部に満たされた水が、循環ポンプ32によって循環されことにより、前記洗剤及び水が撹拌され、「洗浄液」が生成される。この際、洗浄槽21内に保持される内視鏡50の操作部51やコネクター部52は、前記洗浄槽21内に満たされた洗浄液に完全に沈水した状態となっている。
【0091】
そして、洗剤及び水の撹拌が十分に行われ、洗浄液の生成が終了すると、操作スイッチ37が操作され、循環ポンプ32は運転を停止する。
【0092】
循環ポンプ32の運転が停止すると、洗浄槽21内において、図示せぬスポンジなどによる清拭作業が、内視鏡50の外表面全体に対して行われる。そして、前記清拭作業が終了すると、洗浄ブラシ23が洗浄槽21の空間部内、即ち、下側槽211の内周面及び底面と、上側槽212の底面とによって囲まれた空間部内より引き出され、内視鏡50内部のブラッシング作業が行われる。
【0093】
前記ブラッシング作業においては、洗浄槽21の前記空間部内より引き出された洗浄ブラシ23が、先端部のブラシ部23bより内視鏡50の管路内に挿通される。そして、前記ブラシ部23bが、内視鏡50の管路内を通過して該内視鏡50の外部へと抜け出ると、洗浄ブラシ23は、該内視鏡50の管路内より引き抜かれる。このようにして、内視鏡50の管路は、洗浄ブラシ23によってブラッシングされるのである。
【0094】
内視鏡50の管路内より引き抜かれた洗浄ブラシ23は、その後、再び該内視鏡50の管路内へと挿通される。そして、先端部のブラシ部23bが、内視鏡50の外部へと抜け出ると、洗浄ブラシ23は、再び内視鏡50の管路内より引き抜かれる。こうして、内視鏡50の管路に対するブラッシング作業は、連続的に数回繰返される。
【0095】
そして、内視鏡50の管路のブラッシングが十分に行われると、洗浄ブラシ23は、洗浄槽21の前記空間部内に収納される。これにより、内視鏡50内部のブラッシング作業は終了するのである。
【0096】
内視鏡50内部のブラッシング作業が終了すると、
図7に示すように、第一吐出用ホース27Aの他端が内視鏡50のコネクター部52に設けられる接続口(図示せず)と連結されるとともに、第二、第三吐出用ホース27B・27Cの他端が、内視鏡50の操作部51に設けられる接続口(図示せず)と連結される。
【0097】
その後、操作スイッチ37が操作され、循環ポンプ32が再び運転を開始する。これにより、
図7中の矢印E1(破線によって記載)によって示されるように、洗浄槽21内に貯溜される洗浄液が、サクションフィルター25、吸引用ホース26、サクション用コネクター35Bと順に通過し、前記循環ポンプ32内に吸入される。
【0098】
循環ポンプ32内に吸入された洗浄液は、
図7中の矢印E2(破線によって記載)によって示されるように、前記循環ポンプ32の外部へと吐出され、その後、一旦オリフィスブロック33Aへと送られる。
【0099】
オリフィスブロック33Aへと送られた洗浄液は、該オリフィスブロック33A内に形成される連通経路によって、四経路に分岐される。そして、前記四経路の内の三経路によって導かれた洗浄液は、中途部に設けられるオリフィスを各々通過した後、第一、第二、第三吐出用コネクター35C・35D・35Eを各々通過し、さらに、第一、第二、第三吐出用ホース27A・27B・27Cを各々通過して、内視鏡50の操作部51及びコネクター部52へと送られる。
【0100】
そして、内視鏡50の操作部51及びコネクター部52に到達した洗浄液は、前述した接続口を介して、前記内視鏡50の管路内へと送られ、その後、該管路内を通過して所定の出口より洗浄槽21内へと放出される。
【0101】
一方、操作スイッチ37の操作によって、循環ポンプ32が再び運転を開始すると、バルブ33Bは通電状態となる。通電状態のバルブ33Bは、逆止弁としての機能を発揮することとなる。従って、前記四経路の内の一経路によって導かれた洗浄液は、バルブ33Bによって流れを封鎖され、第四吐出用コネクター35Fへと送られることはない。
【0102】
以上のように、洗浄槽21内に貯溜される洗浄液は、サクションフィルター25を介して吸引用ホース26内へと導かれ、その後、サクション用コネクター35B、循環ポンプ32、オリフィスブロック33A、第一、第二、第三吐出用コネクター35C・35D・35E、第一、第二、第三吐出用ホース27A・27B・27C、内視鏡50の管路と順に循環され、再び洗浄槽21内へと放出される。つまり、洗浄槽21内に貯溜される洗浄液は、内視鏡50と該洗浄槽21との間において、循環ポンプ32によって循環されるのである。
【0103】
このように、内視鏡50は、洗浄槽21内に満たされた洗浄液に沈水した状態を維持しつつ、循環ポンプ32によって循環される洗浄液によって、内部の管路を洗浄され、浸漬洗浄が施されるのである。
【0104】
ところで、制御ユニット3のPLC34Aに格納されるプログラム上において、循環ポンプ32が再び運転を開始すると、予め所定の時間を設定されたタイマーが、カウントを開始するようになっている。
【0105】
そして、
図8に示すように、前記タイマーによって設定された所定の時間が経過すると、バルブ33Bの通電状態は開放され、バルブ33Bによる逆止弁の機能は解除される。その結果、
図8中の矢印F(破線によって記載)によって示されるように、オリフィスブロック33A内に形成される、四経路に分岐された連通経路において、該四経路の内の一経路によって導かれた洗浄液は、バルブ33Bを通過した後、第四吐出用コネクター35Fを通過し、さらに、第四吐出用ホース27Dを通過して、再び洗浄槽21内へと放出される。
【0106】
このように、前記タイマーによって設定された所定の時間が経過すると、内視鏡50に対する浸漬洗浄が終了し、次期工程であるすすぎ工程S104に対応した配管系統に切替えられ、浸漬洗浄工程S103は終了するのである。
【0107】
[すすぎ工程S104の作業手順]
次に、すすぎ工程S104の作業手順について、
図8、及び
図9を用いて詳述する。
【0108】
浸漬洗浄工程S103が終了すると、洗浄槽21内には汚水が貯溜されることとなる。ここで、洗浄槽21の上側槽212に嵌設される栓24を開口部212eより脱着させると、洗浄槽21内に貯溜された汚水は、該開口部212eを介して、下側槽211の内部へと導かれ、その後、該下側槽211の開口部を介してシンクへと排水される。
【0109】
その後、シンクに備えられる蛇口を介して、洗浄槽21内の内視鏡50に水がかけられ、該内視鏡50の外表面全体がすすがれる。或いは、
図8に示す状態において、すすぎ専用の水(すすぎ水)が貯溜されたすすぎ水容器63(
図9を参照)内に、吸引用ホース26の先端部が、サクションフィルター25を介して投入され、第一、第二、第三吐出用ホース27A・27B・27Cより放出されるすすぎ水によって、内視鏡50の管路内がすすがれるとともに、第四吐出用ホース27Dより放出されるすすぎ水によって、該内視鏡50の外表面全体がすすがれる。
【0110】
そして、内視鏡50の外表面全体のすすぎが終了すると、操作スイッチ37が操作される。これにより、
図9に示すように、バルブ33Bは再び通電状態となり、逆止弁としての機能を発揮することとなる。
【0111】
そして、
図9中の矢印G(破線によって記載)に示すように、すすぎ水容器63内に貯溜されるすすぎ水は、サクションフィルター25を介して吸引用ホース26内へと導かれ、その後、サクション用コネクター35B、循環ポンプ32、オリフィスブロック33A、第一、第二、第三吐出用コネクター35C・35D・35E、第一、第二、第三吐出用ホース27A・27B・27C、内視鏡50の管路と順に循環され、再び洗浄槽21内へと放出される。このように、循環ポンプ32によって循環されるすすぎ水によって、内視鏡50内の管路のすすぎは、十分に行われるのである。
【0112】
内視鏡50内の管路のすすぎが終了すると、操作スイッチ37が操作され、循環ポンプ32が運転を停止する。その後、栓24が、洗浄槽21の上側槽212の開口部212eに再び嵌設され、すすぎ工程S104は終了するのである。
【0113】
以上に示したように、本実施形態における予備洗浄装置1は、洗浄槽21を有する洗浄ユニット2を備え、該洗浄槽21内において内視鏡50の予備洗浄を行う内視鏡用予備洗浄装置であって、圧縮空気を吐出するエアポンプ31と、前記内視鏡50と前記洗浄槽21との間において洗浄液を循環させる循環ポンプ32と、前記エアポンプ31及び前記循環ポンプ32の運転を制御するPLC(制御装置)34Aと、前記エアポンプ31と前記循環ポンプ32と前記PLC(制御装置)34Aとを内装する筐体35と、を有する制御ユニット3を備える構成となっている。
【0114】
このような構成を有することで、本実施形態における予備洗浄装置1によれば、予備洗浄に関する作業性の向上を図ることができる。
【0115】
具体的には、本実施形態における予備洗浄装置1においては、内視鏡50の予備洗浄を行う際、エアポンプ31と循環ポンプ32とが予め一つに纏められた制御ユニット3を用いることから、従来のように、前記予備洗浄の作業手順に従って、エアポンプを備えるリークチェック装置、或いは、循環ポンプを備える浸漬洗浄装置などの近傍へと、洗浄槽を逐一移動させる必要もなく、予備洗浄に関する作業性の向上を図ることができるのである。
【0116】
また、本実施形態における予備洗浄装置1において、前記エアポンプ31の排気口(即ち、前記エアポンプ31の吐出口と連通されるリークチェック用コネクター35A)や、前記循環ポンプ32の給水口(即ち、前記循環ポンプ32の吸入口32aと連通されるサクション用コネクター35B)や、前記循環ポンプ32の排水口(即ち、前記循環ポンプ32の吐出口32bと連通される第一、第二、第三、第四吐出用コネクター35C・35D・35E・35F)は、前記筐体35の前側面(一側面)に纏めて設けられる構成となっている。
【0117】
このような構成を有することで、例えば、制御ユニット3を、洗浄槽21の近傍、且つ筐体35の前側面を該洗浄槽21に向けつつ配置することによって、洗浄槽21や内視鏡50と、制御ユニット3のリークチェック用コネクター35Aやサクション用コネクター35Bや第一、第二、第三、第四吐出用コネクター35C・35D・35E・35Fと、の間の連通作業を容易にすることができ、予備洗浄に関する作業性の向上を図ることができる。
【0118】
また、本実施形態における予備洗浄装置1においては、すすぎ工程S104を行う際、前記循環ポンプ32の吸入口32aと連通されるサクション用コネクター(給水口)35Bが、すすぎ水の貯溜されたすすぎ水容器63の内部と連通されるようになっている。
【0119】
このような構成を有することで、本実施形態における予備洗浄装置1によれば、洗浄槽21に貯溜されている汚水ではなく、清潔なすすぎ水を用いて、内視鏡50のすすぎを行うことができるため衛生的である。
【0120】
また、本実施形態における予備洗浄装置1において、前記循環ポンプ32の吐出口32bと連通される第一、第二、第三、第四吐出用コネクター35C・35D・35E・35F(排水口)には、洗剤が貯溜された洗剤容器62と、該洗剤容器62内の洗剤を計量するシリンジ61とが、各々連通しつつ備えられる構成となっている。
【0121】
このような構成を有することで、洗浄液を生成する際に、その都度、洗剤を計量するための計量カップなどを別途用意する必要もなく、予備洗浄に関する作業性の向上を図ることができるのである。