特許第5918103号(P5918103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5918103
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】電力供給装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 11/18 20060101AFI20160428BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20160428BHJP
   B60L 3/00 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
   B60L11/18 A
   H02J7/00 P
   B60L3/00 H
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-233643(P2012-233643)
(22)【出願日】2012年10月23日
(65)【公開番号】特開2014-87154(P2014-87154A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年2月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】富士通テン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】光谷 典丈
(72)【発明者】
【氏名】岡嶋 大介
【審査官】 清水 康
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−121844(JP,A)
【文献】 特開2008−005659(JP,A)
【文献】 特開平04−138004(JP,A)
【文献】 特開2011−109821(JP,A)
【文献】 特開2012−081961(JP,A)
【文献】 特開2010−093891(JP,A)
【文献】 特開2011−146261(JP,A)
【文献】 特開2011−166950(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/060009(WO,A1)
【文献】 特開平09−074666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00 − 3/12
B60L 7/00 − 13/00
B60L 15/00 − 15/42
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インレットを介して外部から供給された電力により蓄電装置が充電される車両において、前記インレットから外部に電力を供給する電力供給装置であって、
前記蓄電装置から供給される電力を変換し、変換した電力を前記インレットに向けて出力する変換器と、
前記インレットと前記変換器との間に設けられたリレーと、
前記リレーに指令を与える制御ユニットとを備え、
前記変換器は、
前記制御ユニットが前記リレーに開くように指令しているときに駆動し、
前記変換器の駆動中に、前記インレットと外部の機器とを接続するために使用されるコネクタが前記インレットに取り付けられると停止する、電力供給装置。
【請求項2】
前記インレットには、前記蓄電装置の充電時に使用される充電コネクタと、前記車両から外部への電力の供給時に使用される給電コネクタとのうちのいずれかが接続され、
前記制御ユニットは、前記給電コネクタが前記インレットから取り外されると、前記リレーに開くよう指令し、
前記変換器は、前記変換器の駆動中に前記インレットに前記充電コネクタおよび前記給電コネクタのいずれかかが取り付けられると停止する、請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項3】
前記インレットにおける電圧および電流のうちの少なくともいずれか一方を検出するセンサをさらに備え、
前記制御ユニットは、前記インレットから前記給電コネクタが取り外された後、前記センサの検出結果から、前記リレーの固着状態を診断する、請求項2に記載の電力供給装置。
【請求項4】
前記変換器は、前記リレーの固着状態の診断が完了する前に前記インレットに前記充電コネクタおよび前記給電コネクタのいずれかが取り付けられると停止する、請求項3に記載の電力供給装置。
【請求項5】
前記変換器は、前記リレーの固着状態の診断が完了すると停止する、請求項4に記載の電力供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給装置に関し、特に、車両の外部から電力供給を受けるためのインレットを利用して、外部へ電力を供給する電力供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
環境に配慮した車両として、蓄電装置(たとえば二次電池やキャパシタなど)を搭載し、蓄電装置に蓄えられた電力から生じる駆動力を用いて走行する車両が注目されている。このような車両には、たとえば電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池車などが含まれる。そして、これらの車両に搭載される蓄電装置を発電効率の高い商用電源などの車両外部の電源(以下、単に「外部電源」とも称する。)により充電(以下、単に「外部充電」とも称する。)する技術が提案されている。
【0003】
このような外部充電が可能な車両の利用方法の1つとして、特開2010−93891号公報(特許文献1)の図1に示されるように、直流電力を交流電力に変換し、車両から逆に外部負荷へ交流電力を供給することも検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−93891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車外への電力供給に関し、防犯上の理由から、車室内のコンセントではなく、車両外面に設けられた充電用のインレットから電力を供給したいというニーズがある。この場合、給電用のインバータの故障を避けるため、リレーなどを利用して、車載バッテリの充電時にインレットから給電用のインバータ等への電流の逆流を防ぐことが好ましい。また、リレーは固着する可能性もあるため、例えば車外からの電力供給ならびに車外への電力供給のいずれも行なわれていないときに給電用のインバータを駆動し、開くように指令されたリレーを電流が通過していないかどうかを診断することが好ましい。
【0006】
しかしながら、リレーの固着診断のために給電用のインバータを駆動している最中に、例えばバッテリを充電するための充電ケーブルがインレットに接続されると、給電用のインバータにおけるスイッチング素子がオンになっているため、車外から供給された電力が給電用のインバータに向けて流れ得る。これにより、給電用のインバータが故障し得る。
【0007】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、車両外部へ電力を供給するための機器の故障を防ぐことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ある実施例において、電力供給装置は、インレットを介して外部から供給された電力により蓄電装置が充電される車両において、インレットから外部に電力を供給する。電力供給装置は、蓄電装置から供給される電力を変換し、変換した電力をインレットに向けて出力する変換器と、インレットと変換器との間に設けられたリレーと、リレーに指令を与える制御ユニットとを備える。変換器は、制御ユニットがリレーに開くように指令しているときに駆動し、変換器の駆動中に、インレットと外部の機器とを接続するために使用されるコネクタがインレットに取り付けられると停止する。
【0009】
この構成によると、インレットにコネクタが接続されると、インレットに向けて電力を出力する変換器が停止する。したがって、リレーが固着していても、変換器に向かって電流が流れないようできる。そのため、車両外部への電力を供給するための機器の故障を防ぐことができる。
【0010】
別の実施例において、インレットには、蓄電装置の充電時に使用される充電コネクタと、車両から外部への電力の供給時に使用される給電コネクタとのうちのいずれかが接続される。制御ユニットは、給電コネクタがインレットから取り外されると、リレーに開くよう指令する。変換器は、変換器の駆動中にインレットに充電コネクタおよび給電コネクタのいずれかかが取り付けられると停止する。
【0011】
この構成によると、車外への電力供給の終了後において、車外からの電力供給ならびに車外への電力供給のいずれも行なわれていないときに、変換器を試験的に駆動できる。
【0012】
別の実施例において、電力供給装置は、インレットにおける電圧および電流のうちの少なくともいずれか一方を検出するセンサをさらに備える。制御ユニットは、インレットから給電コネクタが取り外された後、センサの検出結果から、リレーの固着状態を診断する。
【0013】
この構成によると、リレーが指令通りに開いていればインレットには電力が供給されず、リレーが固着していればインレットに電力が供給されるため、変換器からインレットに電力が供給されているかどうかを診断することにより、リレーの固着状態を診断できる。
【0014】
別の実施例において、変換器は、リレーの固着状態の診断が完了する前にインレットに充電コネクタおよび給電コネクタのいずれかが取り付けられると停止する。
【0015】
この構成によると、リレーの固着状態を診断する間に起こり得る変換器の故障を抑制できる。
【0016】
別の実施例において、変換器は、リレーの固着状態の診断が完了すると停止する。
この構成によると、リレーの固着状態を診断するための期間に限定して、変換器を試験的に駆動できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】車両、給電スタンドおよび家屋を示す図である。
図2】車両のインレットに充電ケーブルを接続した状態を示す図である。
図3】車両のインレットに給電コネクタを接続した状態を示す図である。
図4】放電リレーが正常であるときに放電装置に与えられる指令を示す図である。
図5】放電リレーが固着したときに放電装置に与えられる指令を示す図である。
図6】放電リレーの固着状態の診断中に充電コネクタまたは給電コネクタがインレットに接続されたときに放電装置に与えられる指令を示す図である。
図7】PLG−ECUならびにPM−ECUが放電リレーの固着状態を診断するために実行する処理を示すフローチャートである。
図8】PLG−ECUならびにPM−ECUが放電リレーの固着状態を診断する間に実行する処理を示すフローチャートである。
図9】参考例においてPLG−ECUならびにPM−ECUが放電リレーの固着状態を診断するために実行する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0019】
図1を参照して、一例として、車両100には、充電スタンド200および家屋300を介して商用電源500から電力が供給される。本実施の形態においては、家屋300を介して商用電源500から供給される交流電流により車両の100のバッテリ110が充電される。家屋300に設置されたバッテリ(図示せず)から供給される直流電流によりバッテリ110を充電するようにしてもよい。
【0020】
充電スタンド200は、充電ケーブル202、充電コネクタ204とを含む。充電ケーブル202の一端は充電スタンド200に接続され、他端には充電コネクタ204が設けられる。図1に示すように、充電コネクタ204は、車両に接続される。
【0021】
充電コネクタ204が車両100に接続された状態において、充電スタンド200は、商用電源500から車両に電力を供給する。一例として、充電スタンド200は、家屋300の分電盤302に電気的に接続される。分電盤302は、商用電源500に接続される。
【0022】
図2を参照して、車両100について説明する。車両100は、バッテリ110と、リレー112と、PCU(Power Control Unit)120と、モータジェネレータ130と、エンジン132と、減速機140と、駆動輪150とを備える。
【0023】
バッテリ110は、たとえば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池または鉛蓄電池などである。バッテリ110の代わりにキャパシタを用いてもよい。
【0024】
バッテリ110は、リレー112を介してPCU120に接続される。バッテリ110は、車両100の駆動力を発生させるための電力をPCU120に供給する。また、バッテリ110は、モータジェネレータ130で発電された電力を蓄える。バッテリ110の電圧はたとえば200V程度である。
【0025】
バッテリ110とPCU120との間のリレー112が開くことにより、バッテリ110が車両100の電気回路から遮断される。一方、リレー112が閉じることにより、バッテリ110が車両100の電気回路に接続され、バッテリ110への充電およびバッテリ110からの放電が可能になる。リレー112の開閉動作は、PM(Power Management)−ECU(Electronic Control Unit)160により制御される。
【0026】
PCU120は、バッテリ110からの電源電圧を昇圧するためのコンバータや、コンバータにより昇圧された直流電力を、モータジェネレータ130を駆動するための交流電力に変換するためのインバータなどを含む。
【0027】
モータジェネレータ130は交流回転電機であり、たとえば、永久磁石が埋設されたロータを備える永久磁石型同期電動モータである。モータジェネレータ130の出力トルクは、減速機140を介して駆動輪150に伝達される。モータジェネレータ130は、車両100の回生制動動作時には、駆動輪150の回転力によって発電することができる。発電電力は、PCU120によってバッテリ110の充電電力に変換される。PCU120はPM−ECU160によって制御される。
【0028】
なお、図2においては、モータジェネレータが1つ設けられる構成が示されるが、モータジェネレータの数はこれに限定されず、モータジェネレータを複数設ける構成としてもよい。
【0029】
エンジン132は、一例として周知の内燃機関である。本実施の形態において、エンジン132は、バッテリ110の残存容量(SOC:State Of Charge)がしきい値以下になると運転される。エンジン132を運転した場合、モータジェネレータ130に発電させることができる。
【0030】
なお、エンジン132が搭載されていない車両に本願発明を適用してもよい。
車両100は、さらに、充電装置170と、インレット172とを備える。充電装置170は、商用電源500からの電力によってバッテリ110を充電するための装置である。充電装置170は、商用電源500から供給される交流電力を直流電流に変換するとともに、電圧を所望の電圧に変換(昇圧、もしくは降圧)して、バッテリ110に向けて出力する。充電装置170は、インレット172に接続される。
【0031】
インレット172は、車両100の外表面に設けられる。インレット172には、充電ケーブル202の充電コネクタ204が接続される。したがって、インレット172は、商用電源500に、充電ケーブル202を介して接続される。
【0032】
インレット172に充電コネクタ204が接続されると、インレット172上に設けられたPISW端子173が、充電コネクタ204内の抵抗を介して接地される。その結果、PISW端子173の電位が、抵抗に応じた所定値となる。本実施の形態においては、PISW端子173の電位が所定値となったことをPLG−ECU162が検出することにより、インレット172に充電コネクタ204または後述する給電コネクタが接続されたことをPLG−ECU162が検出する。逆に、PISW端子173の電位が上記の所定値ではなくなったことにより、インレット172から充電コネクタ204または給電コネクタが取り外されたことをPLG−ECU162が検出する。
【0033】
充電装置170とインレット172との間、すなわち充電装置170の入力側には、電圧センサ174が設けられる。電圧センサ174は、インレット172における電圧(充電装置170への入力電圧)を検出し、検出結果をPLG−ECU162に伝える。充電装置170はPLG−ECU162によって制御される。
【0034】
なお、PM−ECU160とPLG−ECU162とを一体的に形成してもよい。また、電圧センサ174の代わりにもしくは加えて、インレット172における電流(充電装置170への入力電流)を検出する電流センサを設けてもよい。
【0035】
充電装置170とリレー112との間には、充電リレー114が設けられる。バッテリ110の充電の際、充電リレー114が閉じられる。
【0036】
車両100は、さらに、放電装置180を備える。放電装置180は、車両100から車両100の外部の電子機器などに電力を供給するための装置である。一例として、放電装置180は、バッテリ110から放電された直流電流を交流電流に変換するとともに、電圧を所望の電圧に変換(昇圧、もしくは降圧)して、インレット172に向けて出力する。結果として、バッテリ110から放電された電力は、インレット172から車外に向けて出力される。一例として、インバータが放電装置180として用いられる。コンバータを放電装置180として用いてもよい。
【0037】
図3に示すように、インレット172に接続される給電コネクタ206を介して、車外の電気機器208に対して車両100から電力が供給される。一例として、給電コネクタ206に設けられたコンセントに電気機器208のケーブルの先端にあるプラグ210が差し込まれる。
【0038】
前述した充電コネクタ204と同様に、インレット172に給電コネクタ206が接続されると、インレット172上に設けられたPISW端子173が、給電コネクタ206の抵抗を介して接地される。その結果、PISW端子173の電位が所定値となる。
【0039】
また、給電コネクタ206にはユーザが操作可能なスイッチ205が設けられており、ユーザがスイッチ205を操作することによって、PISW端子173の電位を増減することが可能である。ユーザがスイッチ205を所定のパターン(例えば2回)操作することにより、PISW端子173の電位が2回増減すると、PLG−ECU162はインレット172に給電コネクタ206が接続されたことを検出する。したがって、PLG−ECU162は、インレット172に接続されたコネクタが給電コネクタ206であると認識した後に、PISW端子173の電位が所定値でなくなったことを検出すると、インレット172から給電コネクタ206が取り外されたことを検出する。なお、インレット172に給電コネクタ206が接続されたことを検出する方法は上記の方法に限定されない。
【0040】
図2,3に示すように、充電装置170と放電装置180とは並列に接続される。具体的には、放電装置180の入力側(入力端子)がリレー112と充電リレー114との間に接続される。放電装置180の出力側(出力端子)がインレット172と電圧センサ174との間に接続される。したがって、電圧センサ174は、放電装置180の出力側においても電圧を検出し得る。
【0041】
インレット172(ならびに電圧センサ174)と、放電装置180との間には、放電リレー116が設けられる。バッテリ110に蓄えられた電力を車両100から外部に向けて供給する際、放電リレー116が閉じられる。
【0042】
充電装置170、充電リレー114、放電装置180、放電リレー116は、PLG−ECU162により制御される。一例として、PLG−ECU162は、充電装置170、充電リレー114、放電装置180、放電リレー116の夫々に指令(信号)を与えることにより、充電装置170、充電リレー114、放電装置180、放電リレー116を個別に制御する。
【0043】
指令を与える機能の他、PLG−ECU162は、放電リレー116が固着しているかどうかを診断する機能を有する。放電リレー116が固着しているかどうかを診断する方法については後で詳細に説明する。
【0044】
放電装置180は、駆動時において、放電装置180とPLG−ECU162とを接続する信号線182を介して、PLG−ECU162に信号(以下、駆動状態信号とも記載する)を送信する。したがって、PLG−ECU162は、駆動状態信号を受信することにより放電装置180が駆動したことを把握できる。また、PLG−ECU162は、駆動状態信号を受信していないことにより、放電装置180が停止していることを把握できる。
【0045】
放電装置180には、PLG−ECU162の他、PM−ECU160からも指令が与えられる。放電装置180としてのインバータのゲートを遮断する指令ならびに遮断を解除する指令がPM−ECU160から放電装置180に与えられる。
【0046】
放電装置180と放電リレー116との間には、車内コンセント190が接続される。車内コンセント190は、車室内に設けられたコンセントである。したがって、本実施の形態においては、給電コネクタ206がインレット172に接続されていなくても、車内コンセント190に電気機器208のプラグ210を接続することにより、車室内で電気機機器208を使用することも可能である。
【0047】
図4,5を参照して、放電リレー116が固着しているかどうかを診断する方法について説明する。放電リレー116が固着しているかどうかは、インレット172から給電コネクタ206が取り外された後、すなわち車両外部への電力供給が終了した後に診断される。
【0048】
図4に示すように、時間t1において、インレット172から給電コネクタ206が取り外されると、例えばPLG−ECU162のメモリに、給電コネクタ206が取り外されたという履歴が記憶される。さらに、放電装置180を停止すべく、放電装置180のゲートを遮断する指令がPM−ECU160から放電装置180に与えられる。また、PLG−ECU162から放電装置180に停止指令が与えられる。さらに、時間t2において、PLG−ECU162は、放電リレー116に開くように指令する。
【0049】
その後、時間t3において、放電装置180のゲートの遮断を解除する指令がPM−ECU160から放電装置180に与えられる。また、時間t4においてPLG−ECU162から放電装置180に駆動指令が与えられる。
【0050】
放電リレー116が正常であり、指令通りに開いていれば、放電装置180はインレット172から遮断されているため、時間t4以後において、電圧センサ174の検出値は零である。この場合、放電装置180へ駆動指令が与えられてから所定時間が経過した後にPLG−ECU162から放電装置180に停止指令が与えられる。さらに、放電装置180のゲートを遮断する指令がPM−ECU160から放電装置180に与えられる。これにより、放電リレー116の固着状態の診断が完了する。
【0051】
一方、放電リレー116が固着していれば、指令とは逆に放電装置180はインレット172に接続されているため、図5に示すように、時間t4以後において、電圧センサ174の検出値が零よりも大きくなり得る。このような場合に、PLG−ECU162は、時間t5において放電リレー116の固着異常を検出する。固着異常が検出された場合は、放電リレー116の固着異常履歴がPLG−ECU162のメモリに記憶される。また、PLG−ECU162から放電装置180に停止指令が与えられる。さらに、放電装置180のゲートを遮断する指令がPM−ECU160から放電装置180に与えられる。これにより、放電リレー116の固着状態の診断が完了する。
【0052】
ところで、放電リレー116の固着状態の診断中において、ユーザがインレット172に充電コネクタ204もしくは給電コネクタ206を接続することもあり得る。このような場合、放電装置180は停止する。
【0053】
図6に示すように、放電リレー116の固着状態の診断が完了する前の時間t6において、インレット172に給電コネクタ206(もしくは充電コネクタ204)が接続されると、放電装置180のゲートを遮断する指令がPM−ECU160から放電装置180に与えられる。さらに、PLG−ECU162から放電装置180に停止指令が与えられる。
【0054】
図7を参照して、本実施の形態においてPM−ECU160ならびにPLG−ECU162が放電リレー116の固着状態を診断するために実行する処理について説明する。以下に説明する処理は、ソフトウェアにより実現してもよく、ハードウェアにより実現してもよく、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現してもよい。
【0055】
ステップ(以下、ステップをSと略す)100にて、インレット172から給電コネクタ206が取り外されたか否かが判断される。インレット172から給電コネクタ206が取り外されると(S100にてYES)、S102にて、給電コネクタ206が取り外されたという履歴が記憶される。さらに、S104にて、放電装置180が停止され、S106にて、PLG−ECU162が放電リレー116を開くように指令する。その後、S108にて、放電装置180が駆動される。
【0056】
電圧センサ174により電圧が検出されなければ(S110にてNO)、放電リレー116は正常である。この場合、放電装置180が駆動してから所定時間が経過した後に(S112にてYES)、S118にて、放電装置180が停止される。
【0057】
一方、電圧センサ174により電圧が検出されると(S110にてYES)、S114にて、放電リレー116の固着異常が検出される。また、S116にて、固着異常が記憶される。その後、S118にて、放電装置180が停止される。
【0058】
図8を参照して、本実施の形態においてPM−ECU160ならびにPLG−ECU162が放電リレー116の固着状態を診断する間に実行する処理について説明する。以下に説明する処理は、ソフトウェアにより実現してもよく、ハードウェアにより実現してもよく、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現してもよい。
【0059】
S120にて、インレット172に充電コネクタ204もしくは給電コネクタ206が接続されたかどうかが判断される。インレット172に充電コネクタ204もしくは給電コネクタ206が接続されると(S120にてYES)、S122にて、放電装置180が停止される。
【0060】
[参考例]
図9を参照して、参考例として、車内コンセント190の使用中に放電リレー116の固着状態を診断するためにPM−ECU160ならびにPLG−ECU162が実行する処理について説明する。以下に説明する処理は、ソフトウェアにより実現してもよく、ハードウェアにより実現してもよく、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現してもよい。
【0061】
S200にて、車内コンセント190が使用中であるか否かが判断される。たとえば、車内コンセント190が使用可能(車内コンセント190への電力供給可能)となるようにユーザがスイッチを操作すると(例えばアクセサリ(ACC)あるいはアクセサリに相当する機能がオンにされると)、車内コンセント190が使用中であると判断される。
【0062】
車内コンセント190が使用中である場合(S200にてYES)、S202にて、PLG−ECU162が放電リレー116を開くように指令する。その後、S204にて、放電装置180が駆動される。
【0063】
この状態で、電圧センサ174により電圧が検出されると(S206にてYES)、S208にて、放電リレー116の固着異常が検出される。また、S210にて、固着異常が記憶される。その後、S212にて、放電装置180が停止される。
【0064】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0065】
100 車両、110 バッテリ、112 リレー、114 充電リレー、116 放電リレー、160 PM−ECU、162 PLG−ECU、170 充電装置、172 インレット、173 PISW端子、174 電圧センサ、180 放電装置、200 充電スタンド、202 充電ケーブル、204 充電コネクタ、205 スイッチ、206 給電コネクタ、208 電気機器、210 プラグ、300 家屋、302 分電盤、500 商用電源。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9