特許第5918114号(P5918114)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5918114
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】積層型熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/00 20060101AFI20160428BHJP
   F28F 3/08 20060101ALI20160428BHJP
   F28D 9/00 20060101ALI20160428BHJP
   F28F 13/08 20060101ALI20160428BHJP
【FI】
   F28F3/00 301A
   F28F3/08 301Z
   F28D9/00
   F28F13/08
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-262409(P2012-262409)
(22)【出願日】2012年11月30日
(65)【公開番号】特開2014-109388(P2014-109388A)
(43)【公開日】2014年6月12日
【審査請求日】2015年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222484
【氏名又は名称】株式会社ティラド
(74)【代理人】
【識別番号】100082843
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 卓美
(72)【発明者】
【氏名】中村 洋一
【審査官】 西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−207809(JP,A)
【文献】 特開2001−280888(JP,A)
【文献】 特開2013−178078(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0229803(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/00 − 3/14
F28F 13/08
F28D 9/00
F25B 39/00 − 39/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の第1流体(1)の第1入口(2a)および第1出口(2b)と、一対の第2流体(3)の第2入口(4a)および第2出口(4b)と、をそれぞれ有する皿状の第1プレート(5)と第2プレート(6)とが交互に積層され、
積層方向に、第1流体(1)が流通する第1流路(7)と、第2流体(3)が流通する第2流路(8)とが交互配置され、その第1流路(7)は第1入口(2a)と第1出口(2b)との間に設けられ、第1流体(1)が気液二相流の冷媒(1a)である積層型熱交換器において、
第1流路(7)の入口側端部の内周縁に整合し、第2入口(4a)またはその出口を内包して、第2プレート(6)の略全幅に渡る環状の外周壁(10)を有すると共に、前記第1入口(2a)に整合する冷媒(1a)の第1連通孔(9)を設けた偏平皿(11) と、
その偏平皿(11) の外周壁(10)に整合する外周を有し、その外周と前記外周壁の開口とが互いに接合される蓋部材(11a) と、を具備し、
前記偏平皿(11)および蓋部材(11a)はプレス加工により形成され、その蓋部材(11a) には偏平皿(11) の第1連通孔(9)に整合する蓋側連通孔(9a)が設けられて、その蓋側連通孔 (9a)の孔縁と偏平皿(11)の第1連通孔(9)の孔縁に互いに対向方向に突設した内周壁(15)(15a)を有し、それら内周壁(15)(15a)の端縁が互いに接合され、
前記蓋部材(11a)と第1プレート(5)とが液密に接合され、
その偏平皿(11) の周辺底(12)と、その周辺底(12)の外面に対向する第2プレート(6)とが液密に接合され、
その偏平皿(11)の内周壁(15)の付根と第2プレート(6)との間に部分的に内側隙間(17)が形成され、その内側隙間(17)の底に冷媒(1a)の内絞り孔(18)が形成され、
その偏平皿(11)と蓋部材(11a)との周縁の接合部であって、第1流路(7)の入口側に、外絞り孔(14)が形成され、
冷媒(1a)が前記内絞り孔(18)、偏平皿(11)内の膨張空間(16)、外絞り孔(14)から前記第1流路(7)に導かれるように構成された積層型熱交換器。
【請求項2】
請求項1に記載の積層型熱交換器において、
蓋部材(11a) の第1流路(7)側の周縁が、偏平皿(11)の周縁より第1流路(7)側に延在し、その端縁が第2プレート(6)側へ断面L字状に折り曲げられて邪魔板部(26)を形成し、前記外絞り孔(14)から流出する冷媒がその邪魔板部(26)に衝突して拡散するように構成した積層型熱交換器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の積層型熱交換器において、
前記外絞り孔(14)が、前記偏平皿(11)の外周壁(10)の開口縁に設けた複数の凹部(19)と前記蓋部材(11a)との間に形成されたことを特徴とする積層型熱交換器。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の積層型熱交換器において、
前記外絞り孔(14)が、前記偏平皿(11)の外周壁(10)の開口縁と蓋部材(11a) の周縁との間に設けた孔(20)であることを特徴とする積層型熱交換器。
【請求項5】
請求項1〜請求項4に記載の積層型熱交換器において、
前記偏平皿(11)の周縁の一部と蓋部材(11a) の周縁のそれとの間が連結部(22)で部分的に連結され、その連結部(22)を折り返して偏平皿(11)と蓋部材(11a) との周縁を接触させるように構成した積層型熱交換器。
【請求項6】
一対の第1流体(1)の第1入口(2a)および第1出口(2b)と、一対の第2流体(3)の第2入口(4a)および第2出口(4b)と、をそれぞれ有する皿状の第1プレート(5)と第2プレート(6)とが交互に積層され、
積層方向に、第1流体(1)が流通する第1流路(7)と、第2流体(3)が流通する第2流路(8)とが交互配置され、その第1流路(7)は第1入口(2a)と第1出口(2b)との間に設けられ、第1流体(1)が気液二相流の冷媒(1a)である積層型熱交換器において、
第1流路(7)の入口側端部の内周縁に整合し、第2入口(4a)またはその出口を内包して、第2プレート(6)の略全幅に渡る環状の外周壁(10)を有すると共に、前記第1入口(2a)に整合する冷媒(1a)の第1連通孔(9)を設けた偏平皿(11) と、
その偏平皿(11) の外周壁(10)に整合する外周を有し、その外周と前記外周壁の開口とが互いに接合される蓋部材(11a) と、を具備し、
前記偏平皿(11)および蓋部材(11a)はプレス加工により形成され、その蓋部材(11a) には偏平皿(11) の第1連通孔(9)に整合する蓋側連通孔(9a)が設けられ、
前記蓋部材(11a)と第1プレート(5)とが液密に接合され、
その偏平皿(11) の周辺底(12)と、その周辺底(12)の外面に対向する第2プレート(6)とが液密に接合され、
その偏平皿(11)と蓋部材(11a)との周縁の接合部であって、第1流路(7)の入口側に、外絞り孔(14)が形成され、
冷媒(1a)が偏平皿(11)内の膨張空間(16)、外絞り孔(14)から前記第1流路(7)に導かれるように構成された積層型熱交換器。
【請求項7】
請求項6に記載の積層型熱交換器において、
蓋部材(11a) の第1流路(7)側の周縁が、偏平皿(11)の周縁より第1流路(7)側に延在し、その端縁が第2プレート(6)側へ断面L字状に折り曲げられて邪魔板部(26)を形成し、前記外絞り孔(14)から流出する冷媒がその邪魔板部(26)に衝突して拡散するように構成した積層型熱交換器。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の積層型熱交換器において、
前記外絞り孔(14)が、前記偏平皿(11)の外周壁(10)の開口縁に設けた複数の凹部(19)と前記蓋部材(11a) との間に形成されたことを特徴とする積層型熱交換器。
【請求項9】
請求項6または請求項7に記載の積層型熱交換器において、
前記外絞り孔(14)が、前記偏平皿(11)の外周壁(10)の開口縁と蓋部材(11a) の周縁との間に設けた孔(20)であることを特徴とする積層型熱交換器。
【請求項10】
一対の第1流体(1)の第1入口(2a)および第1出口(2b)と、一対の第2流体(3)の第2入口(4a)および第2出口(4b)と、をそれぞれ有する皿状の第1プレート(5)と第2プレート(6)とが交互に積層され、
積層方向に、第1流体(1)が流通する第1流路(7)と、第2流体(3)が流通する第2流路(8)とが交互配置され、その第1流路(7)は第1入口(2a)と第1出口(2b)との間に設けられ、第1流体(1)が気液二相流の冷媒(1a)である積層型熱交換器において、
第1流路(7)の入口側端部の内周縁に整合し、第2入口(4a)またはその出口を内包して、第2プレート(6)の略全幅に渡る環状の外周壁(10)を有すると共に、前記第1入口(2a)に整合する冷媒(1a)の第1連通孔(9)を設けた偏平皿(11) と、
その偏平皿(11) の外周壁(10)に、第1流路(7)側の周縁を除き、整合すると共に、その第1流路(7)側の周縁は断面L字状に曲折された壁部(11b)を有し、その壁部(11b)の先端縁と偏平皿(11)の底面とが接合されると共に、それ以外の外周と前記外周壁(10)の開口とが互いに接合される蓋部材(11a) と、を具備し、
前記偏平皿(11)および蓋部材(11a)はプレス加工により形成され、その蓋部材(11a) には偏平皿(11) の第1連通孔(9)に整合する蓋側連通孔(9a)が設けられて、その蓋側連通孔(9a)の孔縁と偏平皿(11)の第1連通孔(9)の孔縁に互いに対向方向に突設した内周壁(15)(15a)を有し、それら内周壁(15)(15a)の端縁が互いに接合され、
前記蓋部材(11a)と第1プレート(5)とが液密に接合され、
その偏平皿(11) の周辺底(12)と、その周辺底(12)の外面に対向する第2プレート(6)とが液密に接合され、
その偏平皿(11)の内周壁(15)の付根と第2プレート(6)との間に部分的に内側隙間(17)が形成され、その内側隙間(17)の底に冷媒(1a)の内絞り孔(18)が形成され、
その偏平皿(11)と蓋部材(11a)の壁部(11b)との接合部であって、第1流路(7)の入口側に、外絞り孔(14)が形成され、
冷媒(1a)が前記内絞り孔(18)、偏平皿(11)内の膨張空間(16)、外絞り孔(14)から前記第1流路(7)に導かれるように構成された積層型熱交換器。
【請求項11】
請求項10に記載の積層型熱交換器において、
蓋部材(11a) の壁部(11b)に対向する偏平皿(11)の周縁が邪魔板部(26)を形成し、前記外絞り孔(14)から流出する冷媒がその邪魔板部(26)に衝突して拡散するように構成した積層型熱交換器。
【請求項12】
請求項10または請求項11に記載の積層型熱交換器において、
前記外絞り孔(14)が、蓋部材(11a) の壁部(11b)の先端縁と前記偏平皿(11)の底面との間に設けた複数の凹部(19)であることを特徴とする積層型熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の皿状プレートを積層して、各プレートの1枚ごとに第1流体が流通する第1流路と、第2流体が流通する第2流路とを交互に配置した、蒸発器としての積層型熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
冷媒が気液二相状態で流通する蒸発器は、冷凍サイクルにおいて、凝縮器からの液体が膨張弁で急激に温度低下され、液相と気相の混合した気液二相流となって、その冷媒が蒸発器である熱交換器に送られる。このような蒸発器としての積層型熱交換器は、気相および液相の粒が比較的大きいとともに、プレート各部で気液の混合割合に疎密が生じる。それらによって、全体として熱交換性能を低下させることになる。
これを防止するため、冷媒流路の入口に、環状のスペーサを介装し、そのスペーサに複数の絞り孔を放射方向に設けたものが知られている。冷媒はその絞り孔を介して流路に放出され急激に膨張する。そのとき気液二相状態の冷媒の各粒を細分化して、熱交換能力を向上するものである。
【0003】
さらに、その細分化を促進するため、下記特許文献1に記載されたプレート式熱交換器は、冷媒流路の入口に、断面コ字状の環状体を挿入することが提案されている。その環状体の環状流路の内壁と外壁とに孔を設け、内壁の孔から冷媒を流入させ、そこで絞りを加えた後に環状流路で膨張させ、気相粒と液相粒を細分化し、さらに外壁の孔で絞りを加え第1流路に放出することにより、2段階で絞りおよび膨張を行い、各粒を細分化して均一に混合された気液を第1流路に供給するものである。そして、後者の提案は前者の二倍、気相粒と液相粒を細分化できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4454779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蒸発器として使用される積層型熱交換器は、その熱交換を促進するため、各プレート間の間隔を可能な限り狭くする必要がある。すると、特許文献1に記載された環状体の高さも低くなる。その高さの低くなった内壁と外壁の周壁に孔を穿設する工程は、極めて面倒である。特に、それを金属板のプレス加工で行なう場合、側壁に形成される孔(例えば、直径2mm程度)はプレスの後工程で穿設する必要がある。なぜならば、プレートの状態で孔を予め形成すると、その後のプレス加工にともない、孔が変形するおそれがある。すると所望の効果を得られないおそれがある。
【0006】
そこで本発者は、プレス加工により容易に形成することができる孔を有する環状の皿を特願2010−027278号(本発明の出願時、未公開)の積層型熱交換器として既に、提案している。
本発明は、上記提案の発明に加えて、冷媒入口付近の空間の耐圧性をさらに、向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の本発明は、一対の第1流体1の第1入口2aおよび第1出口2bと、一対の第2流体3の第2入口4aおよび第2出口4bと、をそれぞれ有する皿状の第1プレート5と第2プレート6とが交互に積層され、
積層方向に、第1流体1が流通する第1流路7と、第2流体3が流通する第2流路8とが交互配置され、その第1流路7は第1入口2aと第1出口2bとの間に設けられ、第1流体1が気液二相流の冷媒1aである積層型熱交換器において、
第1流路7の入口側端部の内周縁に整合し、第2入口4aまたはその出口を内包して、第2プレート6の略全幅に渡る環状の外周壁10を有すると共に、前記第1入口2aに整合する冷媒1aの第1連通孔9を設けた偏平皿11と、
その偏平皿11 の外周壁10に整合する外周を有し、その外周と前記外周壁の開口とが互いに接合される蓋部材11a と、を具備し、
前記偏平皿11および蓋部材11aはプレス加工により形成され、その蓋部材11aには偏平皿11の第1連通孔9に整合する蓋側連通孔9aが設けられて、その蓋側連通孔9aの孔縁と偏平皿11の第1連通孔9の孔縁に互いに対向方向に突設した内周壁15,15aを有し、それら内周壁15,15aの端縁が互いに接合され、
前記蓋部材11aと第1プレート5とが液密に接合され、
その偏平皿11の周辺底12と、その周辺底12の外面に対向する第2プレート6とが液密に接合され、
その偏平皿11の内周壁15の付根と第2プレート6との間に部分的に内側隙間17が形成され、その内側隙間17の底に冷媒1aの内絞り孔18が形成され、
その偏平皿11と蓋部材11aとの周縁の接合部であって、第1流路7の入口側に、外絞り孔14が形成され、
冷媒1aが前記内絞り孔18、偏平皿11内の膨張空間16、外絞り孔14から前記第1流路7に導かれるように構成された積層型熱交換器である。
【0008】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の積層型熱交換器において、
蓋部材11a の第1流路7側の周縁が、偏平皿11の周縁より第1流路7側に延在し、その端縁が第2プレート6側へ断面L字状に折り曲げられて邪魔板部26を形成し、前記外絞り孔14から流出する冷媒がその邪魔板部26に衝突して拡散するように構成した積層型熱交換器である。
【0009】
請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2に記載の積層型熱交換器において、
前記外絞り孔14が、前記偏平皿11の外周壁10の開口縁に設けた複数の凹部19と前記蓋部材11aとの間に形成されたことを特徴とする積層型熱交換器である。
【0010】
請求項4に記載の本発明は、請求項1または請求項2に記載の積層型熱交換器において、
前記外絞り孔14が、前記偏平皿11の外周壁10の開口縁と蓋部材11aの周縁との間に設けた孔20であることを特徴とする積層型熱交換器である。
【0011】
請求項5に記載の本発明は、請求項1〜請求項4に記載の積層型熱交換器において、
前記偏平皿11の周縁の一部と蓋部材11aの周縁のそれとの間が連結部22で部分的に連結され、その連結部22を折り返して偏平皿11と蓋部材11aとの周縁を接触させるように構成した積層型熱交換器である。
【0012】
請求項6に記載の発明は、一対の第1流体1の第1入口2aおよび第1出口2bと、一対の第2流体3の第2入口4aおよび第2出口4bと、をそれぞれ有する皿状の第1プレート5と第2プレート6とが交互に積層され、
積層方向に、第1流体1が流通する第1流路7と、第2流体3が流通する第2流路8とが交互配置され、その第1流路7は第1入口2aと第1出口2bとの間に設けられ、第1流体1が気液二相流の冷媒1aである積層型熱交換器において、
第1流路7の入口側端部の内周縁に整合し、第2入口4aまたはその出口を内包して、第2プレート6の略全幅に渡る環状の外周壁10を有すると共に、前記第1入口2aに整合する冷媒1aの第1連通孔9を設けた偏平皿11と、
その偏平皿11の外周壁10に整合する外周を有し、その外周と前記外周壁の開口とが互いに接合される蓋部材11aと、を具備し、
前記偏平皿11および蓋部材11aはプレス加工により形成され、その蓋部材11aには偏平皿11の第1連通孔9に整合する蓋側連通孔9aが設けられ、
前記蓋部材11aと第1プレート5とが液密に接合され、
その偏平皿11の周辺底12と、その周辺底12の外面に対向する第2プレート6とが液密に接合され、
その偏平皿11と蓋部材11aとの周縁の接合部であって、第1流路7の入口側に、外絞り孔14が形成され、
冷媒1aが偏平皿11内の膨張空間16、外絞り孔14から前記第1流路7に導かれるように構成された積層型熱交換器である。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の積層型熱交換器において、
蓋部材11a の第1流路7側の周縁が、偏平皿11の周縁より第1流路7側に延在し、その端縁が第2プレート6側へ断面L字状に折り曲げられて邪魔板部26を形成し、前記外絞り孔14から流出する冷媒がその邪魔板部26に衝突して拡散するように構成した積層型熱交換器である。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項6または請求項7に記載の積層型熱交換器において、
前記外絞り孔14が、前記偏平皿11の外周壁10の開口縁に設けた複数の凹部19と前記蓋部材11aとの間に形成されたことを特徴とする積層型熱交換器。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項6または請求項7に記載の積層型熱交換器において、
前記外絞り孔14が、前記偏平皿11の外周壁10の開口縁と蓋部材11aの周縁との間に設けた孔20であることを特徴とする積層型熱交換器である。
【0016】
請求項10に記載の発明は、一対の第1流体1の第1入口2aおよび第1出口2bと、一対の第2流体3の第2入口4aおよび第2出口4bと、をそれぞれ有する皿状の第1プレート5と第2プレート6とが交互に積層され、
積層方向に、第1流体1が流通する第1流路7と、第2流体3が流通する第2流路8とが交互配置され、その第1流路7は第1入口2aと第1出口2bとの間に設けられ、第1流体1が気液二相流の冷媒1aである積層型熱交換器において、
第1流路7の入口側端部の内周縁に整合し、第2入口4aまたはその出口を内包して、第2プレート6の略全幅に渡る環状の外周壁10を有すると共に、前記第1入口2aに整合する冷媒1aの第1連通孔9を設けた偏平皿11 と、
その偏平皿11の外周壁10に、第1流路7側の周縁を除き、整合すると共に、その第1流路7側の周縁は断面L字状に曲折された壁部11bを有し、その壁部11bの先端縁と偏平皿11の底面とが接合されると共に、それ以外の外周と前記外周壁の開口とが互いに接合される蓋部材11aと、を具備し、
前記偏平皿11および蓋部材11aはプレス加工により形成され、その蓋部材11aには偏平皿11の第1連通孔9に整合する蓋側連通孔9aが設けられて、その蓋側連通孔9aの孔縁と偏平皿11の第1連通孔9の孔縁に互いに対向方向に突設した内周壁15,15aを有し、それら内周壁15,15aの端縁が互いに接合され、
前記蓋部材11aと第1プレート5とが液密に接合され、
その偏平皿11の周辺底12と、その周辺底12の外面に対向する第2プレート6とが液密に接合され、
その偏平皿11の内周壁15の付根と第2プレート6との間に部分的に内側隙間17が形成され、その内側隙間17の底に冷媒1aの内絞り孔18が形成され、
その偏平皿11と蓋部材11aの壁部11bとの接合部であって、第1流路7の入口側に、外絞り孔14が形成され、
冷媒1aが前記内絞り孔18、偏平皿11内の膨張空間16、外絞り孔14から前記第1流路7に導かれるように構成された積層型熱交換器である。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の積層型熱交換器において、
蓋部材11a の壁部11bに対向する偏平皿11の周縁が邪魔板部26を形成し、前記外絞り孔14から流出する冷媒がその邪魔板部26に衝突して拡散するように構成した積層型熱交換器である。
【0018】
請求項12に記載の発明は、請求項10または請求項11に記載の積層型熱交換器において、
前記外絞り孔14が、蓋部材11aの壁部11bの先端縁と前記偏平皿11の底面との間に設けた複数の凹部19であることを特徴とする積層型熱交換器である。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の発明は、第1流体1の各第1入口2aと第1流路7との間に、偏平皿11および蓋部材11a を配置し、その偏平皿11の内周壁15の付根と第2プレート6との間に部分的に内側隙間17を形成し、その内側隙間17の底に冷媒1aの内絞り孔18を形成し、その偏平皿11と蓋部材11aとの周縁の接合部であって、第1流路7の入口側に、外絞り孔14を形成して、冷媒1aを前記内絞り孔18、偏平皿11内、外絞り孔14から前記第1流路7に導くように構成したものである。そのため、冷媒1aはその底の内絞り孔18で一旦絞られて、偏平皿11内に拡散し、外絞り孔14で再度絞られて、第1流路7に導かれて、拡散する。それにより、気液二相状態の冷媒が効果的に細分化されると共に、攪拌され、冷媒1aと第2流体3との熱交換を促進する。
そして、その内絞り孔18は、偏平皿11の底に形成することができ、その孔18を精度よく容易にプレス成形により製作でき、熱交換性能を所望の値にすることができる。
さらには、外絞り孔14が偏平皿11と蓋部材11aとの接合部に形成されるので、プレス成形等により容易に且つ精度よく設けることができ、熱交換を促進できる。
そして、この偏平皿11を使用することにより、外絞り孔14の配置位置の自由度が大きくなる。また、プレートの幅全体に渡って、冷媒を均一に流すことができる。
さらに、前記蓋部材11aと第1プレート5とが液密に接合され、偏平皿11の周辺底12と、その周辺底12の外面に対向する第2プレート6とが液密に接合されるから、各プレート5、6の第1入口2a、第1出口2b、第2入口4a、第2出口4bの回りの空間が全て二重構造で囲まれることとなり、その耐圧性を向上することができる。
【0020】
請求項2に記載の発明は、蓋部材11a の周縁が、偏平皿11の周縁より突出して延在し、その端縁が断面L字状に折り曲げられて邪魔板部26を形成し、前記外絞り孔14から流出する冷媒がその邪魔板部に衝突して拡散するように構成したから、気液二相状態の冷媒が効果的に細分化されると共に、攪拌され、冷媒1aと第2流体3との熱交換を促進する。
【0021】
請求項3に記載の発明は、外絞り孔14を、偏平皿11の外周壁10の開口縁に設けた複数の凹部19と前記蓋部材11aとの間に形成したから、その凹部19を精度よく容易にプレス成形により製作でき、熱交換性能を所望の値にすることができる。
【0022】
請求項4に記載の発明は、外絞り孔14を、前記偏平皿11の外周壁10の開口縁と蓋部材11aの周縁との間に設けた孔20としたから、その孔20を精度よく容易にプレス成形により製作でき、熱交換性能を所望の値にすることができる。
【0023】
請求項5に記載の発明は、偏平皿11と蓋部材11aとの間を連結部22で部分的に連結し、その連結部22を折り返して偏平皿11と蓋部材11aとの周縁を接触させたものであるから、部品点数が少なくなると共に、組立て容易で精度よく両者を接合できる。
【0024】
請求項6に記載の発明は、偏平皿11と蓋部材11aと、を具備し、
その偏平皿11と蓋部材11aとの接合部に、外絞り孔14が形成されたものである。
その外絞り孔14が偏平皿11と蓋部材11aとの接合部に形成されるので、プレス成形等により容易に且つ精度よく設けることができ、熱交換を促進できる。
そして、この偏平皿11を使用することにより、外絞り孔14の配置位置の自由度が大きくなる。また、プレートの幅全体に渡って、冷媒を均一に流すことができる。
さらに、前記蓋部材11aと第1プレート5とが液密に接合され、偏平皿11の周辺底12と、その周辺底12の外面に対向する第2プレート6とが液密に接合されるから、各プレート5、6の第1入口2a、第1出口2b、第2入口4a、第2出口4bの回りの空間が全て二重構造で囲まれることとなり、その耐圧性を向上することができる。
【0025】
請求項7に記載の発明は、蓋部材11aに断面L字状に折り曲げられた邪魔板部26を有するから、外絞り孔14から流出する冷媒がその邪魔板部26に衝突して拡散し、熱交換性能のよいものとなる。
【0026】
請求項8に記載の発明は、外絞り孔14が、前記偏平皿11の外周壁10の開口縁に設けた複数の凹部19と前記蓋部材11aとの間に形成されたから、その凹部19を精度よく容易にプレス成形により製作でき、熱交換性能を所望の値にすることができる。
【0027】
請求項9に記載の発明は、外絞り孔14を、前記偏平皿11の外周壁10の開口縁と蓋部材11aの周縁との間に設けた孔20としたから、その孔20を精度よく容易にプレス成形により製作でき、熱交換性能を所望の値にすることができる。
【0028】
請求項10〜請求項12に記載の発明は、蓋部材11aの第1流路7側の端縁に設けた断面L字状の壁部11bが偏平皿11の外周壁10の内側に配置されたものである。そして、その作用効果は、請求項1〜請求項3の作用効果と同一である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の積層型熱交換器の分解斜視図。
図2】同熱交換器の斜視図。
図3】同熱交換器に挿入される偏平皿11および蓋部材11aの斜視図であって、開いた状態を示す。
図4】同閉じた状態を示す。
図5図4のV−V矢視断面図。
図6】同熱交換器の内部を示す平面図。
図7図6のVII−VII矢視断面図。
図8図6のVIII−VIII矢視断面図。
図9図6のIX−IX矢視断面図。
図10】第2実施例の偏平皿11の斜視図であって、開いた状態を示す。
図11】同閉じた状態を示す。
図12図11のXII−XII矢視断面図。
図13】本発明の第3実施例の偏平皿11の斜視図であって、開いた状態を示す。
図14】同閉じた状態を示す。
図15図14のXV−XV矢視断面図。
図16】第4実施例の偏平皿11の斜視図であって、開いた状態を示す。
図17】同閉じた状態を示す。
図18】同熱交換器に挿入される第5実施例の偏平皿11および蓋部材11aの斜視図であって、開いた状態を示す。
図19】同閉じた状態を示す。
図20図19のXX-XX断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。
【実施例1】
【0031】
図1図9は、本発明の第1実施例を示す。
この積層型熱交換器は、図1に示すごとく、第1プレート5と第2プレート6とを交互に積層して、その一枚ごとに交互に第1流体1が流通する第1流路7と、第2流体3が流通する第2流路8とを配置したものである。各プレートは、この例では、一対の第1流体1用の第1入口2aおよび第1出口2bと、一対の第2流体3用の第2入口4aおよび第2出口4bをそれぞれ並列に配置した細長い方形の皿状に形成されたものである。なお、各流体の出入口を対角位置に配置することもできる。
【0032】
そして、その第1流体1が気液二相状態の冷媒1aである。なお、一枚ごとに交互に第1流体1が流通する第1流路7と、第2流体3が流通する第2流路8とを配置する手段は各種のものが多数提案されているので、その詳細は省略する。
各第1入口2aと、第1流路7との間には、偏平皿11およびその蓋部材11aが配置されている。
【0033】
この偏平皿11は、図3図4に示す如く、第1流路7の入口側端部の内周縁に整合し、第2入口4aまたはその出口(図1において、第2流体3の向きが反対のとき、符号4aが第2出口になる)を内包して、第2プレート6の略全幅に渡る環状の外周壁10を有すると共に、前記第1入口2aに整合する冷媒1aの第1連通孔9を設けたものである。
蓋部材11aは、その偏平皿11の外周壁10の開口に整合する外周を有し、その外周と前記外周壁の開口(小フランジ部)とが互いに接合される。
【0034】
そして、偏平皿11および蓋部材11aはプレス加工により、2箇所の小さな連結部22で連結された状態で平面的に同時に形成され、後にその連結部22で折り返されて最中状に形成される。その蓋部材11aには偏平皿11の第1連通孔9に整合する位置に蓋側連通孔9aが設けられて、その蓋側連通孔9aの孔縁と偏平皿11の第1連通孔9の孔縁に互いに対向方向に突設した内周壁15,15aを有し、それら内周壁15,15aの端縁の内フランジ部が互いに接合される。このとき、偏平皿11と蓋部材11aとは、前記の如く、連結部22で折り返されている。
【0035】
次に、その蓋部材11aと第1プレート5とは液密に接合され、偏平皿11 の周辺底12と、その周辺底12の外面に対向する第2プレート6とが液密に接合される。従って、蓋部材11aと偏平皿11とが、第1プレート5と第2プレート6との間に挟持される。
その偏平皿11の内周壁15の付根と第2プレート6との間には、舌片状の内側隙間17が形成され、その内側隙間17の底に冷媒1aの内絞り孔18が形成されている。
偏平皿11と蓋部材11aとの周縁の接合部であって、第1流路7の入口側に、幅方向に互いに離間して複数の外絞り孔14が定ピッチで形成されている。この例では、外絞り孔14として、偏平皿11の外周壁10の開口縁の小フランジ部に互いに離間して複数の凹部19が設けられている。そして、偏平皿11の開口を蓋部材11aが閉塞することにより、その凹部19が外絞り孔14を形成する。
【0036】
そして、冷媒1aが内絞り孔18で絞られ、それが偏平皿11内の膨張空間16で膨張し、次いで、外絞り孔14から前記第1流路7に導かれる。
さらに蓋部材11aは、その第1流路7側の周縁が、偏平皿11の周縁より第1流路7側に延在し、その端縁が第2プレート6側へ断面L字状に折り曲げられて邪魔板部26を形成している。この邪魔板部26は外絞り孔14から流出する冷媒をその邪魔板部26に衝突させて拡散させるものである。
【0037】
偏平皿11,蓋部材11aは、その平面が略方形である。これは、第1プレート5、第2プレート6が細長い方形の皿状に形成され、その長手方向の四隅が弧状に形成されているので、そのプレートの長手方向の端部外周に整合するように、偏平皿11,蓋部材11aの外周壁10を形成したものである。そして、その偏平皿11,蓋部材11aが、第1プレート5、第2プレート6間の冷媒入口側の端部に配置される。その偏平皿11,蓋部材11aの第1連通孔9、蓋側連通孔9aの各孔縁の内周壁15、15aの端縁どうしが、図4の如く、互いに接触した状態で、それらが第1プレート5と第2プレート6との間に図5図7図9の如く、内装される。このとき、内周壁15の付根と第2プレート6との間に部分的に内側隙間17が形成される。
【0038】
そして、その内側隙間17の底に冷媒1aの内絞り孔18が形成され、冷媒1aがその内側隙間17から内絞り孔18、外絞り孔14、邪魔板部26を順に通過して第1流路7に導かれるものである。このとき、冷媒1aは内絞り孔18により一旦絞られて拡散し、次いで外絞り孔14によりさらに絞られ、邪魔板部26に衝突した後、拡散し、第1流路7にさらに拡散する。外絞り孔14は偏平皿11の長手方向(プレートの幅方向)に定間隔に多数設けられ、それにより冷媒を円滑に流通させうる。なお、内絞り孔18および外絞り孔14としての凹部19は、プレス成形の際、そのプレスの移動方向に形成されている。
【0039】
このようにしてなる、偏平皿11,蓋部材11aは、図1に示す如く、第2プレート6の上面側の左端部に載置され、その各出入口2a,2b,4a,4bの近傍を除く、第1流路7には、インナーフィン21が内装され、伝熱面積を大きくして熱交換を促進する。第2プレート6の上面側の第1プレート5には多数のディンプル23が形成され、その上面側の第1プレート5が第2流体3の流通する第2流路8を形成する。そして、その積層体の最上端および最下端には端蓋25,基板28が配置され、その上側の端蓋25の開口に入口パイプ24,出口パイプ27が取り付けられる。
【0040】
このようにしてなる熱交換器には、第1流体1として冷媒1aが入口パイプ24から第1プレート5および第2プレート6の第1入口2aに供給され、それが偏平皿11、蓋部材11aを介して第1流路7に導かれる。このとき、冷媒1aは先ず、偏平皿11の底と第2プレート6との間に形成された内側隙間17から、内絞り孔18を通り、外絞り孔14に達する。
このとき、冷媒は先ず内側隙間17で絞られ、さらに内絞り孔18によって絞られ、偏平皿11内の膨張空間16に拡散する。そして、膨張空間16内を半周して外絞り孔14によって絞られ、邪魔板部26に衝突して膨張分散し、第1流路7でさらに膨張する。このとき冷媒は再三、細分化されて第1流路7に供給される。これらの作用により、気液二相流は従来以上に細分化されるとともに、均一に攪拌される。
【0041】
そして、冷媒1aが第1流路7から第1出口2bより流出する。そして、第2流体3が第2入口4aから各第2流路8を通り、第2出口4bから流出する。このとき、その冷媒1aと第2流体3との間に熱交換が行なわれるものである。なお、第2流体3の流通方向を図示のものと逆にして、両流体を対向流とすることもできる。
【実施例2】
【0042】
図10図12は、本発明の積層型熱交換器の第2実施例を示し、この実施例が第1実施例と異なる点は、外絞り孔14の構造のみである。この例では、蓋部材11aの邪魔板部26に隣接した位置で、その長手方向に互いに離間して、複数の楕円形の孔20が穿設され、そこが、図12に示す如く、外絞り孔14となる。この孔20の楕円の長軸の長さは偏平皿11の外フランジ部の幅よりも大である。
その外絞り孔14の他は、第1実施例と同一であるとともに、その作用効果も同一である。
【実施例3】
【0043】
次に、図13図15は本発明の第3実施例であり、この実施例が前記第1実施例の図3及び図4と異なる点は、偏平皿11、蓋部材11aに設けた第1連通孔9、蓋側連通孔9aの外周に内周壁の立上げが存在しない点、及び内側隙間、並びに内絞り孔が存在しない点のみである。
この例でも、図15に示すごとく、第1プレート5の平面に蓋部材11aの上面が一体にろう付け固定され、偏平皿11の平面が第2プレート6の平面に一体にろう付け固定されている。そのため、それらの内部における耐圧性が向上するとともに、製造容易な積層型熱交換器を提供できる。
【実施例4】
【0044】
次に、図16図17は本発明の第4実施例であり、この実施例が前記第2実施例の図10及び図11図12と異なる点は、第3実施例同様に、偏平皿11及び蓋部材11aの第1連通孔9、蓋側連通孔9aの孔縁部に内周壁が存在しない点、及び内側隙間並びに内絞り孔が存在しない点のみである。そして、それらの各構成の作用効果を除き、第4実施例の積層型熱交換器も、第2実施例の作用効果を有する。
【実施例5】
【0045】
次に、図18図20は、本発明の第5実施例であり、この実施例が図3図5の第1実施例と異なる点は、蓋部材11aの第1流路7側に断面L字状に壁部11bが設けられ、その壁部11bの先端が偏平皿11の周辺底12に接合される点である。
そのために、蓋部材11aの壁部11bは偏平皿11の外周壁10より内側に、図19のごとく収納される。その壁部11bの先端にはフランジ部11cが設けられ、そこに外絞り孔14としての凹部19が設けられたものである。そして、その壁部11bに対向する外周壁10が邪魔板部26を形成する。
なお、その邪魔板部26の縁部と第1プレート5との間には図20のごとく、蓋部材11aの板厚分の隙間が形成されている。そして、冷媒1aは図20の矢印のごとく、内絞り孔18、偏平皿11内の膨張空間16、外絞り孔14から流出し、その冷媒が邪魔板部26に衝突して拡散し、さらに、その先端と第1プレート5との隙間で一旦絞られた後、拡散して第1流路7に導かれる。
【0046】
(他の実施例)
前記外絞り孔14として、偏平皿11の外周壁の開口端および外フランジ部に連続した欠切部を形成したものであってもよい。さらには、耐圧性のみに着目した場合には、その外周壁に孔を穿設することも考えられる。さらに、邪魔板部26を櫛歯状に立設することができる。それにより、攪拌効果を増大できる。また、邪魔板部26に多数の孔を穿設することもできる。その邪魔板部26は、必要応じて、蓋部材11aの端部に任意の幅のものを接合してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 第1流体
1a 冷媒
2a 第1入口
2b 第1出口
3 第2流体
4a 第2入口
4b 第2出口
5 第1プレート
6 第2プレート
【0048】
7 第1流路
8 第2流路
9 第1連通孔
9a 蓋側連通孔
10 外周壁
11 偏平皿
11a 蓋部材
11b 壁部
11c フランジ部
12 周辺底
【0049】
13 第2連通孔
14 外絞り孔
15 内周壁
15a 内周壁
16 膨張空間
17 内側隙間
18 内絞り孔
19 凹部
20 孔
【0050】
21 インナーフィン
22 連結部
23 ディンプル
24 入口パイプ
25 端蓋
26 邪魔板部
27 出口パイプ
28 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20