【実施例1】
【0014】
図1はこの発明の保冷材を木材チップの集合体(含水構造物)で作製した実施例を示す斜視図である。
図1において11は、ヒノキその他の放香性のある木材や間伐材類を伐採した後、好ましくは生木の状態でチップ状に加工した木材チップであり、該木材チップ11の集合体21に対して所定の含水率となるよう水分を保持させてある。この含水した木材チップの集合体21を不織布や市販の緩衝材用の布、防水性のある各種シート類22を用いて袋詰めすれば保冷材20が得られる。この保冷材20を冷蔵庫、冷水や氷水中で冷蔵ないし冷凍させれば、いわゆる保冷材として好適に用いることができる。
もちろん、前記木材チップに代えておがくず(ひきぬか)を用いることもでき、おがくずは袋詰めの際に木材チップよりも高密度に充填することができ、したがってより一層、効率的に水分を保持させることが可能である。
このようにして得た保冷材20は、夏場の暑い盛りに冷たく心地よい保冷材として、あるいは病気の際の熱さまし用の保冷材として便利であり、かつ扱いやすい保冷材となる。
【0015】
この発明の保冷材において、前記集合体を構成する木材チップ11は、ほぼ半円から円形の範囲で円弧状にカールしていることが望ましい。このように前記木材チップ11をほぼ半円から円形の範囲で円弧状にカールさせておけば、袋詰めの際に適度の密集度で収納することができるためクッション材の嵩密度の変化が少ない、いわゆるクッション材がヘタリにくい保冷材を得ることができ、しかも薄片状で表面積が大きいので効率的に水分を保持させることが可能となる。
また、前記集合体を構成する木材チップ11として、ヒノキその他の放香性のある木材や間伐材類を使用すれば、枕として用いた場合にフィトンチッドの芳香が漂う寝心地の良い保冷材を提供することができる。
【0016】
本発明の保冷材の製作工程を以下に説明する。
まず、前記集合体21を構成する木材チップ11は、所定の時間水中に浸漬して十分に木材チップ11中に水分を保持させる。
前記集合体21を構成する木材チップ11は、その含水率を180重量%〜390重量%となるようにすれば緩衝材としての使用感、保冷材としての温度の維持等において好ましい。
なお、前記木材チップ11においては白身の方が含水しやすく、赤身の方が含水しにくいため、それぞれの特性を考慮の上で含水率を調節することが望ましい。
単純に水を凍らせたものと比較したときにおいて、おおむね25%程度の冷却維持効果を得ることができた。
【0017】
得た含水率が180重量%〜390重量%の木材チップ11の集合体21は不織布や市販の緩衝材用の布、防水性のある各種シート類22から好みの素材を用いて袋詰めすれば、所望の保冷材20を得ることができる。
得た保冷材20は冷凍庫で所定の時間冷凍すれば、保冷材20中の水分が凍結した状態となり、保冷材として所定の時間使用することができるようになった。この冷凍時間は、木材チップ11の集合体21のボリューム、含水率や冷凍機の仕様等に応じて適宜決定することが望ましい。
単純に水を凍らせたものと比較したときにおいて、おおむね25%程度の冷却維持効果を得ることができた。
【実施例2】
【0018】
前記集合体21を構成する木材チップ11は、所定の時間、水1:グリセリン0.3の割合で混合した混合液中に浸漬して十分に木材チップ11中に混合液を保持させる。この比率は−20℃で凍り始める比率であり、製品化した場合には凍ることなく冷たさを維持し、クッション性を持たせることが可能で、頭部や頸部の冷却に好適に使用することができる。
上述のように180重量%〜390重量%となるようにすることが緩衝材としての使用感、保冷材としての温度の維持等において好ましい。
【0019】
得た含水率が180重量%〜390重量%の木材チップ11の集合体21は不織布や市販の緩衝材用の布、防水性のある各種シート類22から好みの素材を用いて袋詰めすれば、所望の保冷材20を得ることができる。
得た保冷材20は冷凍庫で所定の時間冷凍すれば、保冷材20中の水分が凍結した状態となり、保冷材としてより長時間使用することができるようになった。
このように木材チップの含水率を180重量%〜390重量%となるようにすることにより、水分を長時間保持する機能と、緩衝材としての好適な使用感が得られる効果とを両立させることができる。
【0020】
[参考例1]
本
参考例では、前記木材チップに代えておがくず(ひきぬか)を用いる。おがくずは袋詰めの際に木材チップよりも高密度に充填することができ、したがってより一層、効率的に水分を保持させることが可能である。
この場合にも、おがくずを所定の時間、水1:グリセリン0.3の割合で混合した混合液中に浸漬して十分におがくず中に混合液を保持させる。
前記おがくずは、その含水率を360重量%〜1080重量%となるようにすることが緩衝材としての使用感、保冷材としての温度の維持等において好ましい。
そして、単純に水を凍らせたものと比較したときにおいて、おおむね25%程度の冷却維持効果を得ることができた。
得た含水率が360重量%〜1080重量%のおがくずの集合体は不織布や市販の緩衝材用の布、防水性のある各種シート類から好みの素材を用いて袋詰めすれば、所望の保冷材を得ることができる。
得た保冷材は冷凍庫で所定の時間冷凍すれば、保冷材中の水分が凍結した状態となり、保冷材としてより長時間使用することができるようになった。
このようにおがくずの含水率を360重量%〜1080重量%となるようにすることにより、水分を長時間保持する機能と、緩衝材としての好適な使用感が得られる効果とを両立させることができる。
このようにして得た保冷材は、夏場の暑い盛りに冷たく心地よい保冷材として、あるいは病気の際の熱さまし用の保冷材として便利であり、かつ扱いやすい保冷材となる。
【0021】
例えば、実施例2の保冷材の上に
参考例1の保冷材を重ねて枕として使用すれば、水分が多くて柔軟な
参考例1の保冷材が頭部をやさしく保持するとともに、硬さのある実施例2の保冷材により優れた冷却維持効果を得ることが可能となる。
もちろん、このような積層構造に限定されるものではなく、異なる条件の種々の保冷材を積層して使用することができることはいうまでもない。
【0022】
[参考例2]
図4はこの発明の保冷材を連通構造の気泡を備えた発泡体(含水構造物)で作製した
参考例を示す斜視図である。
まず、前記連通構造の気泡を備えた発泡体31を構成する素材は、スポンジやウレタン、ポリオレフィン系等からなるその他の合成樹脂製発泡体であり、いずれも内部の気泡が連通して通水性のある構造となっている。
その上で該発泡体31に対して所定の含水率となるよう水分を保持させてある。
この含水した発泡体31を不織布や市販の緩衝材用の布、防水性のある各種シート類32を用いて袋詰めすれば保冷材30が得られる。この保冷材30を冷蔵庫、冷水や氷水中で冷蔵ないし冷凍させれば、いわゆる保冷材として好適に用いることができる。
このようにして得た保冷材30は、夏場の暑い盛りに冷たく心地よい保冷材として、あるいは病気の際の熱さまし用の保冷材として便利であり、かつ扱いやすい保冷材となる。
【0023】
本
参考例の保冷材の製作工程を以下に説明する。
まず、前記発泡体31は、所定の時間水中に浸漬して強制的に発泡体31中に水分を保持させる。
前記発泡体31は、その含水率を1900重量%となるようにすれば緩衝材としての使用感、保冷材としての温度の維持等において好ましい。
単純に水を凍らせたものと比較したときにおいて、おおむね25%程度の冷却維持効果を得ることができた。
【0024】
得た含水率が1900重量%の発泡体31は不織布や市販の緩衝材用の布、防水性のある各種シート類32から好みの素材を用いて袋詰めすれば、所望の保冷材30を得ることができる。
得た保冷材30は冷凍庫で所定の時間冷凍すれば、保冷材30中の水分が凍結した状態となり、保冷材として所定の時間使用することができるようになった。