特許第5918255号(P5918255)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5918255
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】微細複写に利用する冷却装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 59/04 20060101AFI20160428BHJP
【FI】
   B29C59/04 Z
【請求項の数】20
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-542071(P2013-542071)
(86)(22)【出願日】2011年11月28日
(65)【公表番号】特表2014-502225(P2014-502225A)
(43)【公表日】2014年1月30日
(86)【国際出願番号】US2011062199
(87)【国際公開番号】WO2012074906
(87)【国際公開日】20120607
【審査請求日】2014年8月28日
(31)【優先権主張番号】61/418,153
(32)【優先日】2010年11月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594177391
【氏名又は名称】エーブリー デニソン コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Avery Dennison Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンバウム,ユージーン
【審査官】 大塚 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−012308(JP,A)
【文献】 特表2003−509241(JP,A)
【文献】 特開2006−056087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 59/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側周辺部によって囲まれた領域を有し、上面と下面とを有する底部層と、
該底部層の前記外側周辺部を囲む複数の側壁であって、それぞれの該側壁が上方部分と下方部分とを有しており、前記側壁の前記下方部分は前記底部層の前記外側周辺部に取り付けられている、複数の側壁と、
外側中間層周辺部に囲まれ、上面と下面とを有している中間層であって、該中間層は前記底部層と、それぞれの前記側壁の前記上方部分との間に位置している、中間層と、
該中間層の前記下面と前記底部層の前記上面との間で設けられた複数の通穴と、
を含んで構成され、
前記複数の通穴のうちの少なくとも1つは、エンボスポリマーフィルムの裏面又はエンボスポリマーフィルムを冷却するためのベルトの裏面に直接噴霧される少なくとも1種の冷却剤の供給を制御する制御装置を保持する、微細複写において、裏面及びエンボスパターンを含む表面を有するエンボスポリマーフィルムを冷却するための冷却装置。
【請求項2】
前記制御装置はノズルである、請求項1記載の冷却装置。
【請求項3】
前記複数の通穴の一部は、前記少なくとも1種の冷却剤の排液に利用される、請求項1記載の冷却装置。
【請求項4】
前記複数の通穴の一部は、前記少なくとも1種の冷却剤のリサイクルに利用される、請求項1記載の冷却装置。
【請求項5】
前記少なくとも1種の冷却剤はグリコールである、請求項1記載の冷却装置。
【請求項6】
前記少なくとも1種の冷却剤はグリコール混入水である、請求項1記載の冷却装置。
【請求項7】
前記少なくとも1種の冷却剤は空気混入グリコールである、請求項1記載の冷却装置。
【請求項8】
前記少なくとも1種の冷却剤は空気混入水である、請求項1記載の冷却装置。
【請求項9】
ポリマーフィルムが本冷却装置の前記側壁の前記上方部分に敷かれる、請求項1記載の冷却装置。
【請求項10】
前記中間層は、溝、導路または凹列をさらに含んでいる、請求項1記載の冷却装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の冷却装置と、
第1セットのローラの周囲でループを形成するベルトと、
該ベルトとフィルムとを支持する第2セットのローラと、
前記制御装置は少なくとも1つのノズルであり、該ノズルは前記ベルトと前記フィルムの下側に位置し、少なくとも1種の冷却剤を前記ベルトの裏面に搬送する少なくとも1つのノズルと、を含んで構成され
前記エンボスポリマーフィルムの裏面は、前記ベルトと接触する、微細複写において、裏面及びエンボスパターンを含む表面を有するエンボスポリマーフィルムを冷却するための冷却ベルトのシステム。
【請求項12】
前記冷却ベルトは金属である、請求項11記載のシステム。
【請求項13】
前記ベルトは断熱ブランケットである、請求項11記載のシステム。
【請求項14】
前記フィルムはポリマーフィルムである、請求項11記載のシステム。
【請求項15】
前記フィルムは前記ベルトと接触状態にある、請求項11記載のシステム。
【請求項16】
前記フィルムはプレナムボックスと接触状態にある、請求項11記載のシステム。
【請求項17】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の冷却装置と、
第1セットのローラの周囲でループを形成するベルトであって、該ローラは該ベルトとフィルムとを支持する、ベルトと、
前記制御装置は少なくとも1つのノズルであり、該ノズルは前記ベルトと前記フィルムの下側に位置し、少なくとも1種の冷却剤を前記ベルトの裏面に搬送し、前記ベルトと前記フィルムの下側に位置する少なくとも1つのノズルと、
を含
前記エンボスポリマーフィルムの前記裏面は、前記ベルトと接触する、微細複写において、裏面とエンボスパターンを含む表面を有するエンボスポリマーフィルムを冷却するための冷却ベルトのシステム。
【請求項18】
前記フィルムはポリマーフィルムである、請求項17記載のシステム。
【請求項19】
前記ベルトは金属である、請求項17記載のシステム。
【請求項20】
前記フィルムは前記ベルトと接触状態にある、請求項17記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2010年11月30日に出願された米国仮特許願61/418,153の優先権を主張する。
【0002】
発明の概要
本発明は、特定の光学特性を有した表面微細構成を創り出すために微細複写模様を含んだフィルムの製造分野に関する。特に、本発明は、特殊な微細複写プロセスの効率を高めることに関する。
【背景技術】
【0003】
微細複写とは、軟化ポリマーフィルムまたは押出し材料が加圧ニップ(挟持体)と接触し、押出さ物あるいは軟化フィルムが、微細模様または特殊表面微細構成を備えたツールに対して押圧されるプロセスである。この模様または微細構成はツールと接触する材料の表面に反転写される。このプロセスは、反射性材料や他の光学フィルムのごとき模様化あるいは複写されている製品を製造するためのロール製造法において広く利用されている。
【0004】
典型的な微細複写プロセスは、フィルムまたは押出し物として利用できるポリマー材料を軟化させる加熱手段を含み、熱と圧力を利用してポリマー材料に模様を印刻し、続いて材料を冷却し、巻き上げ処理、シート化処理その他の回収処理に先立って模様化されたポリマーを冷却する。
【0005】
製造速度は最も遅い工程に影響を受ける。製造速度は前記のステップ(加熱、加圧、冷却)の1つにより決定されるであろう。NIR(近赤外線装置)のごとき加熱手段の進歩により、冷却ステップがボトルネックになる可能性がある。すなわち、フィルムは望むほどには素早く冷却しないため、フィルムが充分に冷却するように充分な時間が費やせるよう製造速度を遅くしなければならない。現在のところ、冷却は、再循環扇風機、送風機、チルドローラ、等々のごとき冷却空気を利用して行われている。
【0006】
フィルムまたはウェブの冷却を改善するための従来方法がいくつか存在する。1例は、フィルムから熱を奪うために熱伝導を利用することである。熱伝導の熱伝達係数は(空気による)熱対流の熱伝達係数より一桁ほども大きいことが知られている。熱伝導による冷却は、通常においては、単体式または双体式の無端冷却ベルトによって行われる。このタイプの装置は、薬剤産業および食品産業において広く活用されている。典型的には、薄金属ベルト(ステンレス鋼製または真鍮製)の両端が連結され、無端(閉式)ループを提供している。そのようなベルトは、冷水または他の冷却剤を、冷却を必要とする面とは反対側のベルト面に噴霧することで冷却状態に保たれる。金属の高熱伝導性によって、熱は高温面から効果的に取り除かれる。このプロセスでは、高温面と冷却面との間の良好な接触が重要である。冷却ベルトと、冷却されているフィルムとの間に空気間隙が存在すると、熱伝達率は格段に降下し、冷却は非効率になる。このような冷却装置の例示的製造業者には、サンドビック社とBBA社とが含まれる。
【0007】
従って、特殊な表面微細構成を有した模様化された製品を製造するためには、冷却ステップの改善が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下で説明する本発明の実施形態および実施例は、本発明を以下の詳細な説明における開示形態に限定するものではない。それら実施形態および実施例は、本明細書の読者である当業界の技術者が本発明の原理および実施形態を理解できるように選択され、説明されているものである。1実施形態によれば、微細複写装置が開示されている。この微細複写装置は、底部層、複数の側壁および中間層を含んだ冷却装置を含んでいる。底部層は外周囲を有しており、複数の側壁は底部層の外周囲を囲んでいる。中間層は底部層と側壁の上側部分との間に位置する。中間層は複数の開口部を含むことができる。これら開口部は冷却剤を送り出す装置を保持するか、または冷却剤の排液のために使用される。本発明の方法は、微細複写時のポリマーフィルムの加熱および加圧後にこの装置を利用する。
【0009】
本発明の1目的は微細複写のために使用する冷却ベルトを備えたシステムの提供であり、このシステムは、第1セットのローラ、第2セットのローラ、および少なくとも1つのノズルの周囲でループを形成するベルトを含んでおり、第2セットのローラはベルトとフィルムを支持し、ノズルは少なくとも1種の冷却剤を搬送する。この少なくとも1つのノズルはベルトとフィルムの裏側に位置する。
【0010】
本発明の別目的は微細複写のために使用する冷却ベルトを備えた別システムの提供であり、ベルトとフィルムを支持する第1セットのローラと、少なくとも1種の冷却剤を搬送するための少なくとも1つのノズルの周囲でループを形成するベルトを含んでいる。この少なくとも1つのノズルはベルトとフィルムの裏側に位置する。
【0011】
本発明の他の特徴と利点は、以下の詳細な説明から当業技術者には明らかになるであろう。しかし、好適実施形態を含んだ本発明の種々な実施例および特定例の詳細な解説は、本発明の説明のみを目的としており、本発明の限定は意図されていない。それらの数多くの変更や改良は本発明の範囲を逸脱せずに可能であり、よって、本発明はそのような全ての変更および改良をも含んでいる。
【0012】
図面の簡単な説明
本発明のそれら、および他の目的並びに利点は、以下の添付図面に関する本発明の好適実施例の詳細な説明から完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は冷却装置の概略図である。
図2図2aと図2bは冷却装置の構造を示す概略図である。
図3図3は冷却構造の概略図である。
図4図4は微細複写構造の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
他に別段の言及がない限り、上記の図面は必ずしも寸法的に忠実なものではない。
【0015】
発明の詳細な説明
本明細書で開示されている装置および方法は、実施例および図面に沿って詳細に説明されている。特に言及がない限り、図面を通して同一番号は同一要素を表している。開示されている実施例、構成、形態、部材、要素、装置、方法、材料、等々の変更は可能であり、特定の利用形態においては望ましいであろう。本明細書では、特定形状、材料、技術、構成、等々は特定実施例に関するものか、あるいは、それら形状、材料、技術、構成、等々の一般的な説明であり、特定の詳細や実施例は本発明を限定せず、特にそのように説明されていない限り、本発明に必須あるいは本発明を限定するものとは解釈されるべきではない。選択された実施例の装置および方法は、以下において図面に沿って詳細に開示され、説明されている。
【0016】
微細複写の冷却方法が開示されている。この冷却方法はエンボス加工されたポリマーフィルム(以降“エンボスポリマーフィルム”)の冷却に熱伝導を利用する。
【0017】
図1は冷却装置110を概略図である。冷却装置110はタンク106とノズルセット104とを含む。タンク106は2つの側部106−1と底部106−2とを有する。ノズルセット104には、ノズルセット104に共通供給源から、または個別供給源から冷却剤を供給する供給管105が接続されている。
【0018】
加熱後、エンボスポリマーフィルムまたはウェブ102は冷却装置110を矢印Mで示されるように漸増的に前進する。エンボスポリマーフィルム102は裏側103と表側101とを有する。表側101はエンボスポリマーフィルム102を加熱および加圧することにより形成されたエンボス模様を含み、冷却装置110とは非接触状態であり、エンボスポリマーフィルム102の裏側103は冷却装置110と接触状態である。
【0019】
エンボスポリマーフィルム102の冷却にあたり、ノズルセット104は冷却剤をエンボスポリマーフィルム102の裏側103に直接的に噴霧する。タンク106が使用されて、ノズル104から送り出された冷却剤を回収し、リサイクルさせるか、あるいは廃棄処理する。ポンプ/冷却システムを冷却剤の搬送のために使用することもできる。
【0020】
冷却剤は、水、冷却水、グリコール混入水、グリコール、または空気混入水、等々であるが、これらに限定はされない。
【0021】
それぞれのノズル104は冷却剤の供給源に供給管105によって接続されている。供給管105は1つの供給源から、あるいは複数の独立した供給源から冷却剤を提供できる。供給管105が冷却剤の独立した複数の供給源からノズル104に冷却剤を供給する場合には、異種タイプの冷却剤を同時に供給できる。さらに、ノズル104に制御バルブを装備することができ、1種の冷却剤を利用させつつ、他種の冷却剤を利用しないでおくことができる。この制御バルブは、それぞれのノズル104に装備することも、それぞれのロールのノズルに装備することも、特定領域のノズルに装備することもできる。
【0022】
加えて、冷却剤の供給速度を可変とすることができる。すなわち、複数種の冷却剤を、ノズル104のセットからエンボスポリマーフィルム102の裏側103に、同じ供給量で、あるいは独立した供給量で供給でき、その結果、温度を必要に応じて調節することができ、冷却装置110内の冷却の割合を上昇または低下させることができる。個別に冷却剤を供給することにより、1つの製造プロセス、あるいは異なる複数の製造プロセスまたは材料で異なる複数の冷却剤が利用できる。追加の冷却剤を異なる製造プロセスで利用させることにより、異なるプロセスのために材料や条件を変更する際にシステム全体を洗浄する必要がなくなる。
【0023】
冷却剤を個別に供給する別の利点は、冷却剤の温度を冷却に使用される材料のタイプに応じて変化させることができることである。例えば、冷却剤として使用される水の温度は華氏約45°から約55°とすることができ、冷却剤として使用されるグリコールの温度は華氏約45°程度とすることができる。供給管105は、製造工程での諸条件、寸法的要因および速度に応じて1以上のタンクから冷却剤を引き入れることができる。
【0024】
所与セットのノズル104の冷却効率は、ノズル104とエンボスポリマーフィルム102との間の距離、またはノズル104がエンボスポリマーフィルム102を指向する角度を調節することによってさらに改善できる。
【0025】
冷却装置110は防水シールを介して微細複写装置に装着できる。さらに、空気乾燥装置またはエアナイフを冷却装置の下流に配置し、エンボスポリマーフィルム102に残留する残留冷却剤を排除することができる。
【0026】
図2aと図2bは冷却装置の構成を図示する。図2aは冷却装置110の斜視図である。冷却装置110は底部層111と、上方部分と下方部分とを有した複数の側壁112とを有する。底部層111は、外側周辺部によって囲まれた特定領域を有する。底部層111は上面と底面とを有する。図2aで示すように、底部層111の外側周辺部は方形である。もし底部層111が方形であるなら、底部層111の外側周辺を囲む4つの側壁が存在する。底部層111の方形に加えて、正方形または六角形のごとき他の形状を冷却装置110に利用できる。
【0027】
冷却装置は中間層あるいはキャリアトレイ113も含む。中間層113は、上面115、底面114、および外側中間層周辺部を有する。複数の通穴116、117および118が中間層113に提供されている。通穴116、117および118は、冷却剤を搬送する様々な寸法のノズル104(図1)を受け容れるために様々な寸法で提供されている。中間層113は冷却装置110の底部層111と、側壁112の上方部分の下方との間のスペースに位置する。中間層113はエンボスポリマー層102と接触していない。中間層113は、中間層113と底部層111とによって提供されるスペース内に提供される管システムまたは導管システムを構築させるように底部層111とは接触していない。
【0028】
冷却剤を回収するため、底部層111は、中央排液管に接続された排液穴を有する。中央排液管は中央貯蔵タンク内の使用済み冷却剤の回収も行う。
【0029】
図2bは通穴116の形状と中間層113のスペースとを図示する。図示のごとく、通穴116は等間隔に整列配置されている。通穴116に加えて、冷却装置110(図2a)は、通穴116に位置するノズル104(図1)を通って冷却剤が排出された後に、冷却剤を回収するための回収導路あるいは回収溝または回収凹列119を含むことができる。図2bで示される実施例に加えて、冷却の均等なパターンを提供するように、通穴116と回収導路119の多数の形状が可能である。
【0030】
図3は例示的な冷却ベルトシステム130を図示する。冷却ベルトシステム130は冷却装置110、薄金属ベルト120、第1セットのローラ121、および第2セットのローラ125を含む。薄金属ベルト120は、第1セットのローラ121と第2セットのローラ125の周囲に連続ループを形成する。薄金属ベルト120が連続ループ形態で移動する際に第1セットのローラ121は薄金属ベルト120を支持する。第2セットのローラ125は冷却装置110内に収容されており、薄金属ベルと120、エンボスポリマーフィルム102、および冷却剤を搬送するノズルセット104を支持する。
【0031】
薄金属ベルト120は表側123と裏側122とを有する。薄金属ベルト120の裏側122は冷却ベルトシステム130と接触状態にあり、薄金属ベルト120の表側123はエンボスポリマーフィルム102と接触状態にある。
【0032】
薄金属ベルト120は、エンボスポリマーフィルム102の加熱および加圧後に当初にはエンボスポリマーフィルム102と接触する。当初の接触後に、薄金属ベルト120は、第1セットのローラ121と第2セットのローラ125の助けを借りて、エンボスポリマーフィルム102を矢印Fで示す方向に移動させる。
【0033】
エンボスポリマーフィルム102の部分が薄金属ベルト120の表側にあり、F方向に移動する際に、供給チューブ105によって冷却剤が供給されるノズル104のセットは、薄金属ベルト120の裏側122に冷却剤を噴霧する。
【0034】
好適には、エンボスポリマーフィルム102は薄金属ベルト120と接触状態にあるか、ほぼ接触している状態にあり、エンボスポリマーフィルム102の動きを阻害したり、エンボスポリマーフィルム102の表側101(図1)に提供されているエンボス模様またはエンボス形状を変形しないようにしている。薄金属ベルト120からエンボスポリマーフィルム102への熱伝導を介して、エンボス模様を破壊することなくエンボスポリマーフィルム102を熔融状態から冷却して温度を低下させる。エンボスポリマーフィルム102の十分な冷却を提供するためには、エンボスポリマーフィルム102と薄金属ベルト120との間に良好な熱接触を提供することが非常に重要である。
【0035】
薄金属ベルト120とエンボスポリマーフィルム102との間に空気ギャップが存在する場合には、熱伝導率は大きく低下し、冷却は非効率的になる。
【0036】
エンボスポリマーフィルム102の部分は、薄金属ベルト120、第1セットのローラ121、および第2セットのローラ125によって漸増的にF方向に冷却装置110の上で引っ張り移動される。ノズル104が薄金属ベルト120に対する噴霧を継続するとき、消費された冷却剤はタンク106によって回収される。エンボスポリマーフィルム102の部分が冷却装置110の端近辺に到達したとき、エンボスポリマーフィルム102は前方移動を継続し、連続ループ内に残る薄金属ベルト120との接触を離れる。
【0037】
薄金属ベルト120を解説したが、材料から熱を奪う能力を備えた断熱ブランケットやポリマーあるいは他の材料のごときを、金属に代えて利用することもできる。
【0038】
さらに、この実施例は冷却ベルトシステム130内の4つのノズル104を図示するが、いくつのノズル104であっても冷却ベルトシステム130には可能である。また、ローラまたはローラセットの数も実施例から逸脱せずに自由である。
【0039】
オプションで、冷却ベルトシステム130を、エンボスポリマーフィルム102と金属ベルト120との間の熱的密着を確実にするよう、微細複写ツールまたはベルトの反対側に使用することもできる。
【0040】
さらに、冷却ベルトシステム130は、エンボスポリマーフィルム102と相互作用する冷却装置110の上方に位置する第3セットのローラを含むことができる。第3セットのローラはエンボスポリマーフィルム102と同じ速度で移動し、エンボスポリマーフィルム102を加圧する。
【0041】
図4は、微細複写冷却ベルト140と、微細複写ベルト141の表面に模様を含んだ微細複写ベルト141を備えた微細複写装置131の概略図である。
【0042】
第1ポリマーフィルム136は第1ロールのポリマーフィルム135上に巻き付けられる。第2ポリマーフィルム138も提供され、第2ロールのポリマーフィルム137上に巻き付けられる。第1ポリマーフィルム136と第2ポリマーフィルム138は、微細複写プロセスを開始するにあたり、ローラセット139によって、加熱されたロール142に向けて前方に引っ張られる。
【0043】
加熱されたロール142は1以上のニップロール134、第1ポリマーフィルム136、および第2ポリマーフィルム138を加熱するために提供される。第1ポリマーフィルム136と第2ポリマーフィルム138は、ニップロール134が第1ポリマーフィルム136および第2ポリマーフィルム138と相互作用する際に微細複写ベルト141に沿って移動する。ニップロール134は圧力を提供し、続いて特殊な表面形状を提供する。ローラ139のセットは、第1ポリマーフィルム136および第2ポリマーフィルム138の移動を継続させ、十分な張力を維持させる。
【0044】
第1ポリマーフィルム136と第2ポリマーフィルム138がホットロール142とニップロール134に沿って移動するとき、第1ポリマーフィルム136と第2ポリマーフィルム138は微細複写冷却ベルト140に沿って移動する。微細複写冷却ベルト140は、第1ポリマーフィルム136と第2ポリマーフィルム138を冷却するために提供されている。
【0045】
微細複写冷却ベルト140は、銅、ニッケル、アルミニウムまたはステンレス鋼のごとき金属で製造することができ、微細複写冷却ベルト140上での速度を一定に保たせる閉ループ143を形成するローラ144のセットを含む。微細複写冷却ベルト140の厚みは約5ミルから約25ミルであり、約8ミルから約10ミルが好適である。複数の噴霧ノズル104を微細複写冷却ベルト140の裏側の下方の配列部に配置でき、供給管105によって冷却剤が供給される。
【0046】
第1ポリマーフィルム136と第2ポリマーフィルム138が微細複写冷却ベルト140に沿って移動するとき、第1ポリマーフィルム136と第2ポリマーフィルム138はローラ146に巻き取られる。
【0047】
第1ポリマーフィルム136および第2ポリマーフィルム138と微細複写冷却ベルト140との間に良好な熱的接触を提供するため、プレナムボックス145が微細複写冷却ベルト140の表側で使用できる。ロール132や133のごとき追加のロールをそこで利用することができ、製造ライン上で多層積層を可能にするため、防護運搬フィルムあるいは剥離裏層を加えることができる。
【0048】
微細複写冷却ベルト140の使用によって、ポリマーフィルムを回収するために微細複写装置131から取り除くとき、第1ポリマーフィルム136と第2ポリマーフィルム138の剥離温度は従来の微細複写製造プロセスの場合よりも低下し、さらなる安定性が提供される。
【0049】
冷却剤の使用は、冷却剤と同じ側から、または冷却剤とは反対側から微細複写装置131を冷却する空気冷却と組み合わせることもできる。空気冷却装置と冷却剤の使用は、微細複写プロセスにおいて同時的、実質的に同時的、または異なるタイミングで実施することができる。例えば、空気冷却は冷却剤の適用前後に行うことができる。あるいは冷却剤の使用を空気冷却の前後に実行してもよい。空気冷却は、上述したごとき導路内での冷却剤の回収を助けるように適用することもできる。
【0050】
説明した実施例に加えて、1つのポリマーフィルムまたは複数のポリマーフィルムを利用することもできる。
【0051】
上記の説明および添付図面は本発明の操作の原理並びに好適実施例および操作モードを説明する。しかし、本発明はそれら説明した特定の実施形態に限定されるものではない。例示された実施形態のさらなる変形例も当業技術者であれば可能であることが理解されよう。
【0052】
従って、上述の実施例は本発明を限定するものではなく、本発明を説明するものである。よって、それら実施例の変形態様は、当業技術者であれば本明細書の請求の範囲に記載の本発明の範囲内において可能であろう。本発明によれば、微細複写されたフィルムを製造するための非常に有利なプロセスが提供される。本発明は、現在において最も実用的であり、好適であると考えられる実施例によって説明されているが、当業技術者であれば、本発明が、解説されている実施例には限定されず、それらの数多い改良および均等構成が本発明の範囲内で可能であることを理解するであろう。
【0053】
本発明によれば、エンボスポリマーフィルムの冷却に非常に有利な方法と装置とが提供される。本発明は現在のところ最も実際的であって好適であると考えられる実施例に関して説明されているが、当業技術者であれば、本発明はこれら実施例には限定されず、その改良、変形および均等な構成も可能であることは理解しよう。本発明の範囲は、均等な構造並びに製品を包含する請求の範囲にて定義された本発明の最も広い概念を含むものである。
【0054】
本発明の範囲から実質的には逸脱しないが、請求項の文言とは必ずしも一致しない本発明の任意の形態の装置、システム、方法、または物品に関わる本発明の範囲の決定並びに評価には均等の理論が適用されるべきである。
図1
図2a
図2b
図3
図4