(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5918277
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月18日
(54)【発明の名称】ウルトラコンデンサパッケージ構造
(51)【国際特許分類】
H01G 11/74 20130101AFI20160428BHJP
【FI】
H01G11/74
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-556726(P2013-556726)
(86)(22)【出願日】2012年2月22日
(65)【公表番号】特表2014-510405(P2014-510405A)
(43)【公表日】2014年4月24日
(86)【国際出願番号】US2012026020
(87)【国際公開番号】WO2012118657
(87)【国際公開日】20120907
【審査請求日】2015年2月6日
(31)【優先権主張番号】13/036,069
(32)【優先日】2011年2月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】レディー,カムジュラ パッタビラミ
(72)【発明者】
【氏名】ウェザリル,トッド マーシャル
【審査官】
小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−118374(JP,A)
【文献】
特開2005−276840(JP,A)
【文献】
特開平04−162350(JP,A)
【文献】
特開平03−218616(JP,A)
【文献】
特開2010−199351(JP,A)
【文献】
特開平09−063894(JP,A)
【文献】
特開2004−071267(JP,A)
【文献】
特開2007−280743(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0076532(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 11/74
H01M 2/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウルトラコンデンサパッケージのための、単一の導電材料シートで形成された端子プレートにおいて、
前記端子プレートの第1の主表面に実質的に直交する共通の方向に延びる複数のベントタブを有し、
前記複数のベントタブは、前記ウルトラコンデンサパッケージのハウジングの端壁及びエンドキャップに形成されたそれぞれのスロットと滑り態様で嵌合されるように構成されていることを特徴とする端子プレート。
【請求項2】
前記ベントタブは、前記ぞれぞれのスロットを通り前記ハウジングから突き出るよう構成されていることを特徴とする請求項1記載の端子プレート。
【請求項3】
前記端子プレートが一対のベントタブを有することを特徴とする請求項1または2に記載の端子プレート。
【請求項4】
前記ベントタブが複数の位置決めノッチを有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の端子プレート。
【請求項5】
前記シートの厚さが0.01インチ(0.254mm)から0.1インチ(2.54mm)の範囲にあることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の端子プレート。
【請求項6】
前記端子プレートの前記第1の主表面が、0.005インチ(0.127mm)から0.05インチ(1.27mm)の厚さを有する、1つ以上の薄化領域を有することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の端子プレート。
【請求項7】
ウルトラコンデンサパッケージにおいて、
第1のパッケージ端子を有する端壁を有する、内部空間を定めるハウジング、
第2のパッケージ端子を有し、前記内部空間を閉じるために前記ハウジングと嵌合される、エンドキャップ、
前記内部空間に組み込まれた、第1及び第2の電極を含む電極セット、
及び
それぞれが単一の導電材料シートで形成される第1及び第2の端子プレートであって、それぞれの前記端子プレートの主表面に実質的に直交する方向に延びる、それぞれの複数のベントタブを有する第1及び第2の端子プレート、
を有し、
前記第1の端子プレートの第1の主表面は前記第1の電極と電気的に接触しており、
前記第1の端子プレートの前記ベントタブは前記第1のパッケージ端子と電気的に接触しており、
前記第2の端子プレートの第1の主表面は前記第2の電極と電気的に接触しており、
前記第2の端子プレートの前記ベントタブは前記第2のパッケージ端子と電気的に接触しており、
前記第1の端子プレート及び前記第2の端子プレートの前記ベントタブが、前記端壁及び前記エンドキャップに形成されたそれぞれのスロットと滑り態様で嵌合される、
ことを特徴とするウルトラコンデンサパッケージ。
【請求項8】
前記ベントタブは、前記それぞれのスロットを通り前記ハウジングが定める前記内部空間から外側に突き出るように構成されることを特徴とする請求項7に記載のウルトラコンデンサパッケージ。
【請求項9】
前記第1の端子プレートの前記第1の主表面が前記第1の電極に溶接され、前記第2の端子プレートの前記第1の主表面が前記第2の電極に溶接されることを特徴とする請求項7または8に記載のウルトラコンデンサパッケージ。
【請求項10】
前記第1の端子プレートの前記第1の主表面が、前記第1の端子プレートの前記第1の主表面の1つ以上の薄化領域において前記第1の電極に溶接され、前記第2の端子プレートの前記第1の主表面が、前記第2の端子プレートの前記第1の主表面の1つ以上の薄化領域において前記第2の電極に溶接されることを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載のウルトラコンデンサパッケージ。
【請求項11】
前記第1の端子プレート及び前記第2の端子プレートの前記ベントタブが、前記ベントタブのそれぞれの一部が最大で0.1インチ(2.54mm)までノッチを通して延び出すように前記ベントタブに形成された位置決めノッチによって定められる段差が前記端壁及び前記エンドキャップの表面と接触するように、前記端壁及び前記エンドキャップに形成されたそれぞれのスロットと滑り態様で嵌合されることを特徴とする請求項7から10のいずれかに記載のウルトラコンデンサパッケージ。
【請求項12】
前記ベントタブは、前記それぞれのスロット内で溶接されており、当該溶接は、ガスタングステンアーク溶接であることを特徴とする請求項7から11のいずれかに記載のウルトラコンデンサパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は2011年2月28日に出願された米国特許出願第13/036069号の米国特許法第120条の下の優先権の恩典を主張する。本明細書は上記出願の明細書の内容に依存し、上記出願の明細書の内容はその全体が本明細書に参照として含められる。
【技術分野】
【0002】
本開示は電気化学二重層コンデンサのための低コストパッケージ構造に関し、さらに詳しくは、EDLCにおいて電極とコンデンサ端子の間の総金属電気伝導路を設けるための端子プレート構造に関する。
【背景技術】
【0003】
ウルトラコンデンサのようなエネルギー貯蔵デバイスは個々別々の電力パルスが必要な様々な用途に用いられ得る。そのような用途の範囲はセル式電話からハイブリッド車にわたる。ウルトラコンデンサは、多孔質セパレータ及び有機電解質で隔てられた2つ以上の炭素ベース電極を有することができる。上記の活性コンポーネントは、平行プレート構造及びゼリーロール構造を含めることができる、様々な構造で配置することができる。活性コンポーネントはハウジングまたはパッケージ内に収められる。
【0004】
ウルトラコンデンサの重要な特性は、ウルトラコンデンサが提供できるエネルギー密度及び電力密度である。エネルギー密度及び電力密度は主として活性コンポーネントの特性によって決定される。さらに重要な性質はコストである。デバイスのコストに強く影響する要因には原材料のコストがあり、また性能、製造性及び信頼性に強く影響し得るパッケージにともなう直接コスト及び間接コストもある。ウルトラコンデンサパッケージを簡素かつ低費用にし、同時に堅牢かつ効率的にすることが望ましい。
【0005】
ウルトラコンデンサパッケージの一態様は内部電気接続がなされる手段である。(例えばゼリーロール構造の)デバイスの活性コンポーネントとパッケージ端子の間の電気接続を形成するための手法には、溶接、クリンピング及び締り嵌めがある。しかし、上述の手法を用いる従来の構造には長期の性能及び信頼性に関わる問題があり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の観点において、ウルトラコンデンサのための、簡素で、経済的であり、堅牢なパッケージ構造が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示はウルトラコンデンサパッケージのための端子プレートに関する。一実施形態において、端子プレートは単一の導電材シートで形成され、端子プレートの第1の主表面に実質的に直交する共通の方向に延びる複数のベントタブを有する。
【0008】
ウルトラコンデンサパッケージは1つ以上の端子プレートを有することができる、別の実施形態において、ウルトラコンデンサパッケージは、第1のパッケージ端子を有する端壁を有するハウジングを含む。ハウジングは、第2のパッケージ端子を有するエンドキャップを用いることで閉じることができる、内部空間を定める。第1及び第2の電極を含む電極セットを内部空間に組み込むことができる。コンデンサ電極とパッケージ端子の間の電気接続を提供するため、第1及び第2の端子プレートも内部空間に組み込むことができる。一構成例において、第1の端子プレートの第1の主表面は第1の電極と電気的に接触しており、第1の端子プレートに形成されたベントタブは第1のパッケージ端子と電気的に接触している。同様の態様で、第2の端子プレートの第1の主表面は第2の電極と電気的に接触しており、第2の端子プレートに形成されたベントタブは第2のパッケージ端子と電気的に接触している。
【0009】
本発明のさらなる特徴及び利点は以下の詳細な説明に述べられ、ある程度は、当業者にはその説明から容易に明らかであろうし、あるいは、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲を含み、添付図面も含む、本明細書に説明されるように本発明を実施することによって認められるであろう。
【0010】
上記の全般的説明及び以下の詳細な説明のいずれもが本発明の実施形態を提示し、特許請求されるような本発明の本質及び特質を理解するための概要または枠組みの提供が目的とされていることは当然である。添付図面は本発明のさらに深い理解を提供するために含められ、本明細書に組み入れられて、本明細書の一部をなす。図面は本発明の様々な実施形態を示し、記述とともに、本発明の原理及び動作の説明に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付図面は本発明のさらに深い理解を提供するために含められ、本明細書に組み入れられて、本明細書の一部をなす。図面には特許請求されるような本発明を限定する目的はなく、むしろ、図面は本発明の実施形態例を示すために与えられ、記述とともに、本発明の原理の説明に役立つ。
【
図1】
図1は一例のウルトラコンデンサパッケージの断面図である。
【
図2】
図2は一実施形態にしたがう端子プレートの斜視図である。
【
図3】
図3は一例のウルトラコンデンサパッケージの詳細な断面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態にしたがう、ある程度集成された試験セルの光学顕微鏡写真である。
【
図5】
図5は、別の実施形態にしたがう、ある程度集成された試験セルの光学顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ウルトラコンデンサパッケージは、コンデンサ電極とデバイスの電気端子の間の電流路に沿う総金属接続を提供する端子プレートを有する。充電/放電サイクル中の電流密度分布を改善し、低抵抗を提供することができる、端子プレートは簡素で製造に経済的であり、開示されるウルトラコンデンサパッケージに容易に組み込むことができる。端子プレート及び得られるウルトラコンデンサパッケージは従来のウルトラコンデンサパッケージに対して高められた信頼性を提供することができる。
【0013】
一例のウルトラコンデンサパッケージ100が
図1に断面で簡略に示される。ウルトラコンデンサパッケージ100は内部空間112を定めているハウジング110を有する。ハウジング110は、端壁116,側壁118及び、内部空間112を封じるために側壁118と封止可能な態様で嵌合するように構成された、エンドキャップ130を有する。端壁116及びエンドキャップ130はそれぞれパッケージ端子126,136を有する。ハウジングを形成するため、例えば衝撃押出成形を含む、従来の方法を用いることができる。
【0014】
ゼリーロール構造電極セットのような、電極セットを内部空間112に組み込むことができる。実施形態において、電極セット150には、例えば少なくとも1つのセパレータ層で分割された電極を含む、従来構成を採用することができる。電極のそれぞれは導電性ホイルに重ねて形成された炭素ベース層を有することができる。本明細書に用いられるように、別の層に「重ねて形成された」層はその別の層と電気的に接触しているであろうがその別の層と物理的に直接に接触している必要はない。
【0015】
一例の構造において、一対の電極及び2つのセパレータ層が交互する態様で積層され、軸に沿って巻かれて「ゼリーロール構造」の円柱にされる。形成されると、ゼリーロール構造は、例えば、円形または長円形の断面を有することができる。巻く前に、電極は、それぞれの導電性ホイルが、第1の及び第2のコンデンサ端子154,158を形成するため、対向方向に電極セットの他方のコンポーネントの先まで延びるように、構成及び配置することができる。したがって、電極及びセパレータが巻かれるときに、円柱の対向する端にあるコンデンサ端子154,152は、得られるゼリーロール構造コンデンサをパッケージ端子126,136に接続するための手段を提供する。いくつかの構造において、それぞれの導電性ホイルの延長部分は強固な電気接続を容易にするために締め合わせるかまたは撚り合わせることができる。
【0016】
ゼリーロール構造は材料の積層をマンドレルの周りに巻き付けることで形成することができる。マンドレルは、用いられるならば、ゼリーロール構造が形成された後で取り外すことができ、あるいは、例えば動作中のコンデンサにおいてヒートシンクとして機能するように、所定の場所に残しておくことができる。
【0017】
実施形態において、導電性ホイルは電気化学二重層コンデンサに用いるに適するいずれの導電性材料も含むことができる。一態様において、導電性ホイルの少なくとも1つは、例えば、折り畳むか、ロール巻きにするかまたはコイル巻きにすることができる、可撓性導電性材料を含む。導電性ホイルは、たとえばアルミニウムのような、金属でつくることができる。
【0018】
炭素ベース層は電極セットの表面積を大きくすることができ、多孔質炭素または活性炭を含むことができる。様々な実施形態において、電極の一方は、またはいずれもが、活性炭を含む。
【0019】
セパレータ層は、それを通る液体電解質の浸透及び/または拡散を可能にする、多孔質層とすることができる。例えば、セパレータ層は、紙、雲母、ガラス、セラミック、エアロゲル、シリカ、非導電性炭素、高分子材料またはこれらの組合せを含むことができる。
【0020】
導電性ホイル、炭素層、セパレータ層及び液体電解質を含む、電極セットを説明するさらなる詳細は、共通に所有される、米国特許出願公開第2010/0306979号及び2009/0320253号の明細書に開示されている。これらの明細書のそれぞれの全内容は本明細書に参照として含められる。
【0021】
端子プレート300はコンデンサ端子154,158と対応するパッケージ端子126,136の間の電気的接触を与えることができる。電極セット150とともに、端子プレート300は、端子プレートの一方の表面318がコンデンサ端子154または158と物理的及び電気的に接触するとともに、対向する表面316から延びる1つ以上のベントタブ320がパッケージの端壁116またはエンドキャップ130と物理的及び電気的に接触して、パッケージ端子123,136への電気的接触を与えるように、パッケージ100の内部空間112に組み込むことができる。単一の端子プレートをハウジングのいずれか一方の端に組み込むことができ、あるいはパッケージは一対の端子プレートを有することができる。
【0022】
一実施形態にしたがう端子プレートの詳細図が
図2に示される。端子プレート300は、周端312で定められ、実質的に平行な対向する主表面316,318を有する、プレート本体310を含む。複数のベントタブ320を端子プレート300に形成することができる。図示される実施形態において、一対のタブが曲げられて、主表面316に実質的に直交する共通の方向に延びる。別の実施形態において、端子プレートは、エンドキャップまたは端壁に形成された同じ数のスロットに嵌合するように適合させることができる、3つ以上のベントタブを有することができる。
【0023】
必要に応じて、それぞれのベントタブは、パッケージ100の端壁116またはエンドキャップ130に対して端子プレートを位置決めできる自己固定止めを提供することができる、一対の位置決めノッチ322を有することができる。位置決めノッチは、ベントタブがスロットを通り抜ける長さを0.1インチ(2.54mm)未満、(例えば、0.1インチ未満または0.05インチ(1.27mm)未満)に制限することができる。
【0024】
主表面318の端子154,158への溶接(例えばレーザ溶接)を可能にするため、薄化領域330をプレート本体310に形成することができる。薄化領域330は主表面をコイニングすることで形成することができる。実施形態において、薄化領域330は端子プレートが端子154,158に接触する主表面318の裏側の主表面316に形成される。
【0025】
端子プレートには必要に応じて中央孔340を設けることができる。中央孔340はウルトラコンデンサの電解質充填を可能にするために用いることができる。中央孔は、ガス発生バッファとしてはたらくことができる開放デッドスペースを形成し、溶接中にそれぞれの端子プレート300をコンデンサ端子154及び/または158に接触させておくための、集成中のロッドまたはマンドレルの使用を可能にする。
【0026】
一体部品を含む、端子プレートは、打抜き、レーザ切断、ウオータージェット切断、コイニング、等を含む、いずれか適する方法を用いて導電性材料シートから形成することができる。実施形態において、端子プレートの厚さは0.01インチから0.1インチの範囲とすることができ、薄化領域の厚さは0.005インチ(0.127mm)から0.05インチの範囲とすることができる。例として、端子プレートの薄化領域330は端子プレートの元の厚さの25%から75%の範囲(例えば50%)の厚さを有することができる。
【0027】
一対の端子プレートを有するウルトラコンデンサにおいて、それぞれの端子プレートの構造は実質的に同じ構造とすることができ、あるいは端子プレートは相互に異ならせることができる。一実施形態において、一方の端子プレートは、集成されたハウジング内にガス用デッドスペースを形成するためにエンドキャップ延長部または端壁延長部と協働することができる、他方より長いベントタブを有することができる。
【0028】
別の実施形態にしたがえば、ハウジング110の端壁116及びエンドキャップ130は、ベントタブと滑り態様で嵌合するように構成されたスロット140を独立に有することができる。一例のウルトラコンデンサパッケージ100の一端の詳細図が
図3に示される。ゼリーロール構造電極セット150の端子154は端子プレート300の表面318に溶接され、内部空間112に挿入される。ベントタブ320はエンドキャップ130に形成されたスロット140を通って延び、必要に応じて若干突き出る。ベントタブ320がスロット140を通り抜けるエンドキャップ130にベントタブ320を溶接することによって、端子154とエンドキャップ130の間に気密な直接金属接合が形成される。溶接には、例えばガスタングステンアーク溶接(GTAW)を含めることができる。同様の構成をパッケージ100の対向端に(例えば端壁116に)形成することができる。
【0029】
電気伝導路内のパーツ間に締り嵌めを用いる従来のアセンブリとは対照的に、溶接接合は、向上した寸法安定性及びより高い機械的堅牢性を有し、溶接接合の気密性により、電解質による内部腐蝕及び電解質からの塩の沈殿への高められた耐性を提供することができる。端子プレートによって与えられる総金属接続は、電極セットとパッケージ端子の間の電気抵抗を有意に低める点で有利である。
【0030】
溶接中の温度分布を評価するため、熱シミュレーション及び実験的試験を実施した。過剰な熱はゼリーロール構造に損傷を与え得る。12V及び60Aで5秒間の溶接条件の下で、シミュレーションはゼリーロール構造の近傍で110℃の最高温度を予測し、この温度はデバイスにとって許容範囲内である。
【0031】
図4及び5は試験デバイスを示す。
図4において、端子プレート300はコンデンサ端子154に接触し、端子プレートは、ワッシャ415及びナット420を用いて端子154に確実に固定される。端子154を形成する導電性ホイルの複数の領域は、端子154と端子プレートの主表面318の間にさらに堅牢な界面を設けるため、撚り合わされている。端子プレートは一対のベントタブ320を有する。溶接中の局所温度を測定するため、端子プレート300とゼリーロール端子154の間に熱電対450が配置される。
図5を参照して分かるように、一対のスロット140を有する模擬エンドキャップ130が、それぞれのスロットを通してベントタブ320が延びるように、端子プレート300に重ねて配置される。ベントタブはスロットを通り抜けて、ほぼ0.03インチ(0.762mm)延び出す。
【0032】
ベントタブは、温度測定値が120℃になる、12V及び65Aの溶接条件において模擬エンドキャップのスロット内に溶接(例えばガスタングステンアーク溶接)される。ヘリウムリーク試験により、溶接接合は気密であることが確認された。
【0033】
一実施形態において、ベントタブ320は、必要に応じて、ベントタブがスロットに嵌合する長さを制限するように構成された位置決めノッチ322を有することができる。
図2を再び参照すれば、位置決めノッチ322を有するベントタブは、幅w及び深さdを有する、嵌合部326を有する。嵌合部の厚さはベントタブの厚さと同じとすることができ、ベントタブの厚さは、ベントタブがそこから曲げられた、プレート本体310の厚さと同じとすることができる。そのような嵌合部を有するベントタブは、w×dより若干大きい寸法の長さ及び幅を有するスロットと滑り態様で嵌合することができ、ベントタブはノッチ322によって形成された段差部328が、スロットが形成され、ベントタブがスロット内に据えられる、本体と噛み合う深さdまでしかそのようなスロットを通って滑ることはないであろう。
【0034】
位置決めノッチは、実施形態において、主表面316とエンドキャップまたは端壁の内表面の間にデッドスペース390が形成されるように、エンドキャップまたは端壁をプレート本体310から空間的にオフセットするために用いることができる。実施形態において、端子プレートとエンドキャップまたは端壁の間の電気的接触はベントタブ320を介してしかなされない。すなわち、プレート本体310はエンドキャップ130または端壁116と接触しない。端子プレートとハウジングの間の結合の場所を定めるだけでなく、位置決めノッチは、それがなければ溶接接合に衝撃を与えておそらく損傷させるであろう外部荷重を吸収することができる。
【0035】
ハウジングの中身を空気または水分への曝露から保護するために、またエンドキャップ136(及び対応するパッケージ端子136)を対向する端壁116(及び対応するパッケージ端子126)から電気的に絶縁するためにも、エンドキャップ130とハウジング110の側壁118の間に気密封止を形成することができる。
【0036】
様々な手法を、エンドキャップとハウジングの間に気密封止及び電気絶縁のいずれをも与えるために用いることができる。そのような手法には、インシュレータ、コーティング及び、Oリングを含む、高分子材シールがある。
【0037】
エンドキャップ接合には、封止された界面を与えるため、例えばハウジング110とエンドキャップ130の間に配置することができるOリング370を組み込むことができる。
図4に示されるように、Oリング370は側壁118の端面119においてハウジングに嵌合する面シールとして組み込むことができる。一例のOリングは高電気抵抗を有することができ、低炭素材料を用いて形成することができる。
【0038】
別の実施形態において、エンドキャップをハウジングから電気的に絶縁するため及び空気及び/または水分の侵入に対してパッケージを気密封止するために、また液体電解質の漏洩を防止するためにも、接着剤封止を用いることができる。試験は、接着剤封止が従来の高分子材Oリングより堅牢な気密障壁を提供することを示唆している。例えば、接合を封止するため、またハウジングをエンドキャップから電気的に絶縁するためにも、エポキシ樹脂を用いることができるであろう。エポキシ樹脂の例は(独国デュッセルドルフ(Dusseldorf)のヘンケル(Henkel)社の)ロックタイト(Loctite(登録商標))である。
【0039】
Oリングに加えて、またはOリングの代わりに、用いることができる、接着剤封止380は、側壁118の外表面とエンドキャップ130の内表面の間の狭い界面に沿って形成することができる。
【0040】
開示したウルトラコンデンサパッケージは、集成が簡単で、集成されると、低コストで、堅牢であり、高信頼性のパッケージを提供する、低コストの部品を有する。
【0041】
本明細書に用いられるように、単数形の‘a’,‘an’及びthe’は、そうではないことを文脈が明白に規定していない限り、複数の支持対象を含む。したがって、例えば、「金属」への言及は、そうではないことを文脈が明白に指定していない限り、2つ以上のそのような「金属」を含む。
【0042】
本明細書において範囲は[「約」1つの特定値]から、及び/または[「約」別の特定値]までのように表され得る。範囲がそのように表される場合、実施例はその1つの特定値から及び/またはその別の特定値までを含む。同様に、先行詞「約」の使用により値が近似値として表されていれば、その特定の値が別の実施形態をなすことは理解されるであろう。さらに、範囲のそれぞれの端点が、他方の端点との関係においても、他方の端点とは独立にも、有意であることが理解されるであろう。
【0043】
別途に明白に言明されない限り、本明細書に述べられるいずれの方法もその工程が特定の順序で実施される必要があると解されるとは全く考えていない。したがって、方法請求項が、その工程がしたがうべき順序を実際に挙げていないか、または、そうではなくとも、その工程が特定の順序に限定されるべきであることが請求項または説明に特に言明されていない場合には、いかなる特定の順序も推定されるとは全く考えていない。
【0044】
本明細書における叙述は、特定の態様で機能するように「構成」または「適合」されている本発明のコンポーネントを指すことにも注意されたい。この点において、そのようなコンポーネントは、特定の特性または機能を特定の態様で具現化するように「構成」または「適合」されており、そのような叙述は、目的用途の叙述ではなく、構造の叙述である。さらに詳しくは、コンポーネントが「構成」または「適合」される態様への本明細書における言及はコンポーネントの既存の物理的状態を表し、したがって、コンポーネントの構造特性の限定された叙述としてとられるべきである。
【0045】
本発明の精神及び範囲を逸脱することなく様々な改変及び変形が本発明になされ得ることが当業者には明らかであろう。本発明の精神及び本質を組み込んでいる、開示した実施形態の改変、組合せ、準組合せ及び変形が当業者には思い浮かび得るから、本発明は添付される特許請求項及びそれらの等価形態の範囲内に全てを含むと解されるべきである。
【符号の説明】
【0046】
100 ウルトラコンデンサパッケージ
110 ハウジング110
112 内部空間
116 端壁
118 側壁
119 側壁の端面
126,136 パッケージ端子
130 エンドキャップ
140 スロット
150 電極セット
154,158 コンデンサ端子
300 端子プレート
310 端子プレート本体
312 端子プレート周端
316,318 端子プレート主表面
320 ベントタブ
322 位置決めノッチ
326 嵌合部
328 段差部
330 薄化領域
340 中央孔
370 Oリング
380 接着剤封止
390 デッドスペース
400 試験デバイス
410 ねじ付タイロッド
415 ワッシャ
420 ナット
450 熱電対